JP2009041703A - メタルガスケット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】開口部6が設けられた略平板状の本体4と、薄板を折り返して形成された折り返し部分8aを有し、折り返し部分8aによって開口部6を囲んだグロメット部8と、を備えたメタルガスケット2であって、グロメット部8には、折り返し部分8aから連続した薄板が本体4と重なり合う部分であるつば部分8bが形成され、同一のグロメット部8において、つば部分8bの幅が一定でないメタルガスケット2を提供する。
【選択図】図1
Description
近年、内燃機関の高出力化、高効率化のため、シールをする燃焼室孔内における燃焼ガス圧が上昇する傾向にある。このため、シール性を確保するため、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間の接合面の締付面圧を高める必要があるが、この場合、局所的に過大な締付面圧がかかる恐れがあり、シリンダヘッドやシリンダブロックを変形させたり、メタルガスケットを損傷させたりする恐れがある。従って、十分なガスシール性を発揮する締付面圧を有し、かつ局所的に過大な締付面圧がかからないようにするため、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間の接合面における締付面圧分布を調整ることがますます重要になってきている。
しかし、厚みの変化は非常に微細なものなので、初期の厚さ調整において極めて精緻な厚さ調整を要し、環境の変化や微細な変形等により締付面圧分布が変化しやすく、製品のばらつきも生じやすいので、柔軟性、ロバスト性に劣る設計を余儀なくされる。
前記グロメット部には、前記折り返し部分から連続した前記薄板が前記本体と重なり合う部分であるつば部分が形成され、同一の前記グロメット部において、前記つば部分の幅が一定でないことを特徴とする。
コーティング層を除く本体の材料としては、ステンレス鋼、炭素鋼、アルミ、銅、耐熱合金を始めとするあらゆる金属材料を用いることが可能であり、使用圧力や使用温度に応じて最適な材料を用いることができる。
また、コーティング層としては、ゴムやフッ素樹脂を始めとする任意の有機、無機材料をコーティングすることもできるし、二酸化モリブデン、アルミニウム、ステンレス等の金属粉をコーティングすることもできる。また、コーティング層は、芯材の金属に直接コーティングすることもできるし、芯材の外側に配置された外層の薄板にコーティングすることも考えられる。コーティング層を設ける場合には、その弾性によって、多少の変形が生じたとしてもシール性を保つことができる。なお、本体に設けられた開口部は、円形、矩形を始めとする任意の断面形状を有することができる。
また、グロメット部の材料としては、本体と同様に、ステンレス鋼、炭素鋼、アルミ、銅、耐熱合金を始めとするあらゆる金属材料を用いることが可能であり、使用圧力や使用温度に応じて最適な材料を用いることができる。また、本体と同様に、任意の材料を用いたコーティング層設けることもできる。
つば部分の幅を局所的に変更することもできるし、つば部分の幅を連続的に変更することもできる。また、つば部分が本体の両面側に設けられている場合には、両面で同一な態様でつば部分の幅寸法を変更することもできるし、各面で異なる態様でつば部分の幅寸法を変更することもできる。この場合、一方の面のつば部分の幅寸法は変更され、もう一方の面のつば部分の幅寸法は変更されない態様も含まれる。
また、クリープ特性等による締付面圧分布の経時的変化が少ないので、安定した状態で、ガスケットを長期間使用することができる。更に、グロメット部のつば部分によって、面接触によるシールができるので、有効シール領域を増大させることができ、多様なシール状況に適合したガスケット構造を得ることができる。例えば、締結する構造体の接合面が平行でない場合であっても、有効なシール面を広く形成しやすくなる。
本発明に係るメタルガスケットのその他の実施態様は、複数の気筒を有する内燃機関のシリンダヘッドとシリンダブロックとの間の接合面をシールする場合において、各気筒ごとに装着する前記メタルガスケットの前記つば部分の形状が異なることを特徴とする。
更に、グロメット部のつば部分によって、面接触によるシールができるので、有効シール領域を増大させることができ、多様なシール状況に適合したガスケット構造を得ることができる。
なお、本発明に係るメタルガスケット2は、あらゆる構造体の接合面のシールに用いることができ、特に、高温、高圧にさらされる環境下でのシールにも高いシール性能を発揮することができる。例えば、内燃機関のシリンダヘッド及びシリンダブロックの間の接合面のシールに適用することができ、特に、圧縮比の高いディーゼルエンジンの場合には、より高圧に曝されることになるので、本発明に係るメタルガスケットを用いることが特に有効である。
始めに、図1を用いて、本発明に係るメタルガスケットの1つの実施形態の説明を行なう。
<メタルガスケット全体の構造の説明>
まず、図1(a)を用いて、複数の開口部6が設けられたメタルガスケット2の全体構造の説明を行なう。メタルガスケット2は、略平板状の本体4と、グロメット部8とを備え、本体4には複数の開口部6が設けられ、各々の開口部6にグロメット部8が装着されている。この構成は、図1〜図4に示す実施形態で全て同様であり、後述するように、各図においては、グロメット部8の形状、特にグロメット部8のつば部分8bの形状が異なっているが、その他の形状については、原則として同様である。なお、本体4に設けられた開口部6の断面形状としては、円形、矩形を始めとする任意の形状を有することができる。
略平板状の本体4は、完全に平板状である必要は無く、多少の凹凸部分や曲がり部分を有する場合も含まれる。例えば、開口部6を囲むように凹凸部を設けることによって、バネ状のシール機構を形成することもできる。
また、本体4は、1つの部材で構成される場合も考えられるし、複数の部材で構成される場合も考えられる。複数の部材で構成される場合には、例えば、複数の異なる層を積層させた積層構造も考えられるし、芯材の外側にコーティング層を有する構造も考えられる。
コーティング材料を除く本体4を構成する材料としては、ステンレス鋼、炭素鋼、アルミ、銅、耐熱合金を始めとするあらゆる金属材料を用いることが可能であり、使用圧力や使用温度に応じて最適な材料を用いることができる。
次に、本体4の開口部6に装着されるグロメット部8の構造を、図1(b)及び図1(c)に示す部分断面図を用いて詳細に説明する。ここで、図1(b)は、図1(a)の矢印Aから見た部分断面図であり、図1(c)は、図1(a)の矢印Bから見た部分断面図である。
どちらの断面図も基本構造は同様であり、グロメット部8は、薄板を折り返して形成された折り返し部分8aと、その折り返し部分8aから連続した薄板が、本体4と重なり合うつば部8bを有する。図1(b)及び図1(c)では、折り返し部分8aから連続した薄板が、本体4の表面と重なり合う領域をつば部分8bとして示し、その左側の領域を折り返し部分8aとして示している。
また、グロメット部8が本体4に装着される態様を説明すると、薄板を折り返すことによって生じた折り返し部分8aの内部空間に、略平板状の本体4が挿入されることによって、両部材が固定されている。また、グロメット部8の折り返し部分8aによって、開口部6が囲まれた形になっている。
なお、図1(b)及び図1(c)では、つば部分8bの幅寸法が異なるが、基本的な構造は同様である。このつば部分8bの幅寸法の差異については後述する。
また、グロメット部8を構成する薄板の厚み寸法としては、0.1mm〜0.4mmを例示することができるが、これに限られるものではない。
図1(a)に示すように、本実施形態では、グロメット部8のつば部分8bの幅が、矢印Aで示すような狭い領域と、矢印Bで示すような広い領域を有する。ここで、つば部分8bの幅とは、グロメット部8の折り返し部分8aから連続した薄板が、本体4と重なり合う「重なり代」を示している。また、図1(b)及び図1(c)に示すように、グロメット部8は、グロメット部8を構成する薄板の厚みの分だけ、本体4の表面よりも外側に飛び出しているので、締結ボルトを用いてメタルガスケット2に締付荷重を与えた場合、開口部6の周囲領域では、主にグロメット部8によって、更に詳しく言えば、折り返し部分8aの一部とつば部分8bとによって締付荷重を受けることになる。
従って、同じ締付荷重を受ける場合、つば部分8bの幅が広い、つまり重なり代が大きい場合には、この領域における締付面圧は小さくなり、つば部分8bの幅が狭い、つまり重なり代が小さい場合には、この領域の締付面圧は大きくなる。
図1(a)に示すように、本実施形態では、本体4に設けられた複数の開口部6のうち、端の開口部6に装着されたグロメット部8の形状を示している。この場合、図1(a)の中央に示された開口部6の左右に配置された締結ボルト(図1(a)ではボルト孔10のみ図示)について説明すると、開口部6の左側の上下の締結ボルトは、その片側にしか開口部6が存在せず、開口部6の右側の上下の締結ボルトは、その両側に開口部6が存在する。つまり、左側に配置された締結ボルトは1つの開口部6に対して締付荷重を加え、右側に配置された締結ボルトは2つの開口部6に対して締付荷重を加えることになる。従って、左側に配置された締結ボルトによる締付荷重は、原則として、右側に配置された締結ボルトによる締付荷重の2倍となる。
もし、1つのグロメット部8において、そのつば部分8bの幅寸法を全て同一にした場合には、グロメット部8の左側の領域(つば部8bと折り曲げ部8aの一部)が受ける締付面圧は、グロメット部8の右側の領域(つば部8bと折り曲げ部8aの一部)が受ける締付面圧に比べて非常に大きな値となる。なお、グロメット部8の各位置に加わる締付面圧は、締結ボルトの位置だけでなく、構造体の形状、剛性によっても影響を受ける。特に、十分なシール性を発揮させるために、全体として比較的大きな締付荷重を加えた場合には、特に締結ボルトに近い領域において、過大な締付面圧が加わる恐れがある。
また、図1(a)の矢印Bから見た部分断面図である図1(c)に示すように、本実施態様では、グロメット8のつば部分8bが本体4の両面側に設けられており、本体4の両面側において、つば部分8bは同一な幅寸法を有している。つまり、同一な態様でつば部分8bの幅が広げられている。ただし、これに限られるものではなく、図2(c)に示すように、本体4の上下面でつば部分8bの幅寸法が異なるようにすることも可能であるし、図6に示すように、本体4の片面にだけつば部分8bを設けることもできる。
なお、図1(a)の矢印Aから見た部分断面図である図1(b)には、グロメット部8のつば部分8bの幅が広げられていない領域の断面形状が示されている。
また、クリープ特性等による締付面圧分布の経時的変化が少ないので、安定した状態で、メタルガスケットを長期間使用することができる。更に、グロメット部8のつば部分8bによって、面接触によるシールができるので、有効シール領域を増大させることができ、多様なシール状況に適合したメタルガスケット構造を得ることができる。例えば、締結する構造体の接合面が平行でない場合であっても、有効なシール面を広く形成しやすくなる。
また、本実施形態では、図1(b)及び図1(c)に示すように、折り返し部分8aの内部は中空になっているが、図5(a)及び図5(b)に示すように、折り返し部分8aの内部に、芯部材12を備えることもできる。この場合には、芯部材12を変形させることによって、グロメット部8の厚み寸法を変更することができる。
次に、図2〜図4を用いて、本発明に係るメタルガスケット2のグロメット部8その他の実施形態の説明を行なう。
<図2に示す実施形態の説明>
まず、図2を用いて、メタルガスケット2に設けられた複数の開口部6のうち、端に配置された開口部6に装着されたグロメット部8のその他の実施形態の説明を行なう。本実施形態と図1に示す実施形態との間では、グロメット部8のつば部分8bの形状が異なるが、その他の点では同一である。従って、下記の説明においては、異なる点に絞って説明を行なう。
本実施形態のような構造は、例えば、内燃機関のシリンダヘッドとシリンダブロックを接合する場合において、比較的強度の弱いシリンダヘッド側(上側)の締付面圧を下げ、比較的強度の強いシリンダブロック側(下側)の締付面圧を上げてシール性を確保することが考えられる。
以上のように、本実施形態においても、上記の実施形態と同様に、開口部6の周囲領域において、最適な締付面圧を得ることができる。
次に、図3を用いて、メタルガスケット2に設けられた複数の開口部6のうち、中間位置(端でない位置)に配置された開口部6に装着されたグロメット部8の1つの実施形態の説明を行なう。なお、本実施形態と図1に示す実施形態との間では、グロメット部8のつば部分8bの形状が異なるが、その他の点では同一である。従って、下記の説明においては、異なる点に絞って説明を行なう。
ここで、図3(a)の矢印Aから見た部分断面図である図3(b)に、グロメット部8のつば部分8bの幅寸法が広がっていない領域の断面形状を示す。また、図3(a)の矢印Bから見た部分断面図である図3(c)に、グロメット部8のつば部分8bの幅寸法が広がった領域の断面形状を示す。
次に、図4を用いて、メタルガスケット2に設けられた複数の開口部6のうち、中間位置(端でない位置)に配置された開口部6に装着されたグロメット部8のその他の実施形態の説明を行なう。なお、本実施形態と図3に示す実施形態との間では、グロメット部8のつば部分8bの形状が異なるが、その他の点では同一である。従って、下記の説明においては、異なる点に絞って説明を行なう。
ここで、図4(a)の矢印Aから見た部分断面図である図4(b)に、グロメット部8のつば部分8bの幅寸法が最も狭まった地点の断面形状を示す。また、図4(a)の矢印Bから見た部分断面図である図4(c)に、グロメット部8のつば部分8bの幅寸法が最も広がった地点の断面形状を示す。
<図5に示す実施形態の説明>
図5は、グロメット部8の周りの構造を示した部分断面図であり、グロメット部8の折り返し部分8aの内部空間に芯部材12が備えられた実施形態を示す。図5(a)には、円形の断面形状を有する芯部材12が備えられたグロメット部8を示し、図5(b)には、矩形断面の断面形状を有する芯部材12が備えられたグロメット部8を示す。これらは、用途や使用条件に応じて、最適な断面形状の芯部材12を選択することができる。本実施形態のグロメット部8においては、芯部材12の強度によって、より大きな締付荷重を受けることができる。
また、上記のように、例えば、芯部材12を変形させることによって、グロメット8の厚みに変化を付けて、グロメット部8のつば部分8bの幅寸法の変化、及びグロメット部8の厚み寸法の変化を組み合わせて、最適な締付面圧分布を形成することができる。
図6は、本体4及びグロメット部8を含むメタルガスケット2の構造を示す断面図であり、本実施形態では、グロメット部8が本体4と一体的に形成されている。
始めに図6(a)に示す実施形態を説明すると、本体4は、芯部材4aの両面に外層部材4b及び外層部材4cが積層された3層構造を有する。更に、下側の外層部材4bが芯部材4aを越えて伸びており、外層部材4bが折り返されて折り返し部8aを形成し、更に外層部材4bが本体4の外層部材4cと重なり合って、つば部分8bを形成している。従って、本実施形態では、上側につば部分8bを有するが、下側には有さない。ただし、上側のつば部分8bの幅寸法は、図1〜図4に示す実施形態と同様に任意の態様で変化させることができる。
本発明に係るメタルガスケットの実施形態は、上記の実施形態に限られるものではなく、その他の様々な実施形態が本発明に含まれる。
4 本体
4a 芯部材
4b 外層部材
4c 外層部材
6 開口部
8 グロメット部
8a 折り返し部分
8b、8b’ つば部分
10 ボルト孔
12 芯部材
Claims (6)
- 開口部が設けられた略平板状の本体と、
薄板を折り返して形成された折り返し部分を有し、該折り返し部分によって前記開口部を囲んだグロメット部と、
を備えたメタルガスケットであって、
前記グロメット部には、前記折り返し部分から連続した前記薄板が前記本体と重なり合う部分であるつば部分が形成され、
同一の前記グロメット部において、前記つば部分の幅が一定でないことを特徴とするメタルガスケット。 - 2つの構造体の間に前記メタルガスケットを挿入し、締結部材により前記2つの構造体を締結して前記2つの構造体の接合面をシールする場合において、
前記締結部材の位置及び前記構造体の剛性に基づき、前記開口部の周囲領域において所定の締付面圧分布を形成するように、前記つば部の幅が定められることを特徴とする請求項1に記載のメタルガスケット。 - 前記グロメット部の前記折り返し部分の内部に芯部材が備えられている請求項1または2に記載のメタルガスケット。
- 前記グロメット部が、前記本体と異なる部材で構成されることを特徴とする請求項1から3の何れ1項に記載のメタルガスケット。
- 同一の前記グロメット部において、前記グロメット部の厚みが一定でなく、
前記つば部分の幅寸法及び前記グロメット部の厚み寸法の組み合わせにより、前記開口部の周囲領域における所定の締付面圧分布を形成することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のメタルガスケット。 - 複数の気筒を有する内燃機関のシリンダヘッドとシリンダブロックとの間の接合面をシールする場合において、各気筒ごとに装着する前記メタルガスケットの前記つば部分の形状が異なることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のメタルガスケット。
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