JP5729353B2 - シリンダヘッドガスケット - Google Patents
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たとえば、燃焼室孔を囲繞するフルビードの形成された2枚のガスケット基板と、当該2枚のガスケット基板の間に設けられた中間板と、上記ガスケット基板よりもシリンダヘッド側もしくはシリンダブロック側に設けられるとともに、上記ガスケット基板および中間板の燃焼室孔を覆うように形成した折り返し部を有するグロメット基板とを備えたシリンダヘッドガスケットが知られている(特許文献1)。
このような問題に鑑み、本発明は上記グロメット基板の耐久性を向上させることが可能なシリンダヘッドガスケットを提供するものである。
上記ガスケット基板および中間板の燃焼室孔を覆う上記折り返し部は、さらに上記2枚のガスケット基板のフルビードを覆うように形成されており、また上記中間板の燃焼室孔を上記ガスケット基板の燃焼室孔よりも大径とし、かつ中間板の燃焼室孔が上記ガスケット基板のフルビードよりも内側に位置することを特徴としている。
これに加えて、上記中間板の燃焼室孔を上記ガスケット基板の燃焼室孔よりも大径とし、かつ中間板の燃焼室孔が上記ガスケット基板のフルビードよりも内側に位置することで、上記2枚のガスケット基板の間に上記中間板の燃焼室孔が退避したことによる空間が形成されることとなる。
その結果、折り返し部に荷重が作用すると、上記ガスケット基板における燃焼室孔周辺の部分が上記空間に向けて変形して荷重を逃がすため、上記折り返し部とガスケット基板の燃焼室孔との接触部分への応力集中が低減され、グロメット基板の耐久性を向上させることができる。
上記シリンダヘッドガスケット1は、シリンダヘッド側に位置するガスケット基板2と、シリンダブロック側に位置するガスケット基板3と、これら2枚のガスケット基板2、3の間に設けられた中間板4と、上記ガスケット基板2とシリンダヘッドとの間に設けられたグロメット基板5とを備えている。
またシリンダヘッドガスケット1は、シリンダブロックに形成されたシリンダボアの位置に合わせて後述する燃焼室孔が形成され、また図示しないが締結ボルトを挿通させるボルト孔や、潤滑油を流通させる油孔や、冷却水を流通させる水孔が形成されている。
両ガスケット基板2、3の燃焼室孔2a、3aは同一の直径を有しており、上記シリンダボアの内径よりも若干大径に形成されている。
上記燃焼室孔2a、3aにはそれぞれプレス加工や切削加工によって面取り形状やR形状からなる逃がし部2d、3eが形成されており、逃がし部2dはガスケット基板2のシリンダヘッド側に、逃がし部3eはガスケット基板3のシリンダブロック側にそれぞれ形成されている。
上記フルビード2bは上記シリンダヘッド側のガスケット基板2からシリンダヘッドに向けて突出し、フルビード3bは上記シリンダブロック側のガスケット基板3からシリンダブロック側にそれぞれ突出しており、それぞれ重合する位置に形成されている。
上記シリンダヘッド側のガスケット基板2のハーフビード2cは、上記フルビード2bを囲繞するように形成され、シリンダヘッドに向けて突出するように形成されている。
一方、上記シリンダブロック側のガスケット基板3には、上記ガスケット基板2のハーフビード2cと同じ位置に形成された第1ハーフビード3cと、当該第1ハーフビード3cと上記フルビード3bとの間に形成された第2ハーフビード3dとが形成され、これら第1、第2ハーフビード3c、3dはそれぞれシリンダブロックに向けて突出している。
そして本実施例における中間板4の燃焼室孔4aは、上記ガスケット基板2、3の燃焼室孔2a、3aよりも大径となっており、かつ上記フルビード2b、3bよりも内側に形成されている。
これにより2枚のガスケット基板2、3の間には、上記中間板4の燃焼室孔4aが外側に退避したことによる空間Sが形成されるようになっている。
また、上記中間板4と上記シリンダヘッド側のガスケット基板2との間にはシム6が設けられ、また中間板4と上記シリンダブロック側のガスケット基板3との間には調整板7が設けられている。
上記シム6はリング状の部材となっており、上記中間板4に溶接等の手段によって固定されている。また上記シム6は上記ガスケット基板2、3のフルビード2b、3bよりも若干広い幅を有しており、本実施例ではシム6の内周縁は上記中間板4の燃焼室孔4aと同径となっている。
上記調整板7は、図示しないボルト孔や水孔や油孔の穿設された上記フルビードやハーフビードの形成されていない平板状の部材となっており、シリンダボア側の内周縁は、後述するグロメット基板5の折り返し部5aの端部よりも外側に位置し、かつ上記ガスケット基板3の第2ハーフビード3dよりも外側に位置している。
そしてグロメット基板5におけるシリンダボア側の端部には、シリンダブロック側に向けて折り曲げて、上記ガスケット基板2、3および中間板4の燃焼室孔2a、3a、4aを覆う折り返し部5aが形成されている。
上記折り返し部5aはその頂部がシリンダボアの内周面に露出して燃焼室孔5bを形成しており、また折り返し部5aにおけるシリンダブロック側の端部は、上記ガスケット基板3のフルビード3bよりも外側で、かつ第2ハーフビード3dの内側まで形成されている。
図1はシリンダヘッドガスケット1がシリンダヘッドとシリンダブロックとの間で挟持されていない状態を示しているが、実際のエンジンの運転状態においては、上記折り返し部5aが圧縮されて変形する。
すると、折り返し部5aにおける図中円で示した部分に、ガスケット基板2、3の燃焼室孔2a、3aが接触することとなり、一方、これらガスケット基板2、3の間には上記中間板4の燃焼室孔4aによる空間Sは維持されるようになっている。
しかしながら上記ガスケット基板2、3において、上記グロメット基板5の上記折り返し部5aと重合する位置には上記ゴムコーティングCを形成しておらず、製造の際には、一旦塗布したゴムコーティングを剥がすか、またはマスキング等により当該位置に上記ゴムコーティングCを形成しないようにしている。
これにより、上記折り返し部5aに覆われた部分では、シリンダヘッド側のガスケット基板2とシム6とが直接接触し、またシリンダブロック側のガスケット基板3と中間板4とが直接接触するようになっている。
また、上記折り返し部5aが上記ガスケット基板2、3のフルビード2b、3bを覆うことで、上記フルビード2b、3bによる良好な追従性を得つつ、上記折り返し部5aの板厚による良好な面圧を得ることができる。
さらに、上記中間板4に上記フルビード2bと重合するシム6を設けたことで、上記フルビード2b、3bの位置でより高い面圧を得ることができ、また上記調整板7を設けることで、燃焼室孔の周辺だけに面圧が集中してしまうのを防止するようになっている。
すなわち、上記荷重が上記シリンダヘッドガスケット1に作用すると、上記折り返し部5aにおける上記ガスケット基板2、3の燃焼室孔2a、3aとの接触部分(図中円部分)に応力が集中し、当該応力集中部分に荷重が繰り返し作用することでグロメット基板5が損傷する恐れがある。
そこで本実施例では、上記中間板4の燃焼室孔4aを上記ガスケット基板2、3の燃焼室孔2a、3aよりも大径とし、2枚のガスケット基板2、3の間に中間板4の燃焼室孔4aによる空間Sを形成することで、ガスケット基板2、3が上記中間板4よりも内側に突出した部分が空間Sに向けて変形させることができる。
これにより、上記ガスケット基板2、3と折り返し部5aとの接触部分の応力集中を低減させることができ、グロメット基板5の折り返し部5aの耐久性を向上させることが可能となる。
またガスケット基板2、3における燃焼室孔2a、3aのシリンダヘッド側およびシリンダブロック側に、それぞれ上記逃がし部2d、3eを形成したことで、当該逃がし部2d、3eが折り返し部5aに接触し、前記接触部分の応力集中をさらに低減することが可能となる。
次に、シリンダヘッドガスケット1を長時間使用すると、ゴムコーティングCがへたりにより厚さが減少し、繰り返し荷重による各基板同士の振幅量が増大してしまうことから、上記フルビード2b、3bや折り返し部5aにおいて金属疲労による損傷が発生するおそれがある。
これに対し本実施例では、ガスケット基板2、3における上記折り返し部5aと重合する部分については、ゴムコーティングCを形成しないため、上記ゴムコーティングCのへたりによる基板同士の振幅量が大きくならず、上記金属疲労による損傷も防止することができる。
図2に示す第2実施例にかかるシリンダヘッドガスケット1は、上記第1実施例のシリンダヘッドガスケット1に対し、上記ガスケットに形成したフルビード2b、3bおよびハーフビード2c、3cの突出方向を異ならせたものである。
すなわち、両ガスケット基板2、3におけるフルビード2b、3bをそれぞれ中間板4に向けて突出させるように形成し、またシリンダヘッド側のガスケット基板2のハーフビード2cおよびシリンダブロック側のガスケット基板3の第1ハーフビード3cを中間板4に向けて突出させた構成となっている。
このような構成を有するシリンダヘッドガスケット1であっても、第1実施例のシリンダヘッドガスケット1と同様、中間板4の燃焼室孔4aをガスケット基板2、3の燃焼室孔2a、3aよりも大径としていることから、グロメット基板5の折り返し部5a分におけるガスケット基板2、3との接触部分の応力集中を低減させることが可能となっている。
この第3、第4実施例のシリンダヘッドガスケット1では、シム6を省略することにより、上記第1、第2実施例のシリンダヘッドガスケット1よりも燃焼室孔2a、3a、4a周辺の面圧が減少するものの、安価にシリンダヘッドガスケット1を得ることができる。
2a、3a 燃焼室孔 2b、3b フルビード
2d、3e 逃がし部 4 中間板
4a 燃焼室孔 5 グロメット基板
5a 折り返し部 6 シム
7 調整板 S 空間
C ゴムコーティング
Claims (5)
- 燃焼室孔を囲繞するフルビードの形成された2枚のガスケット基板と、当該2枚のガスケット基板の間に設けられた中間板と、上記ガスケット基板よりもシリンダヘッド側もしくはシリンダブロック側に設けられるとともに、上記ガスケット基板および中間板の燃焼室孔を覆うように形成した折り返し部を有するグロメット基板とを備えたシリンダヘッドガスケットにおいて、
上記ガスケット基板および中間板の燃焼室孔を覆う上記折り返し部は、さらに上記2枚のガスケット基板のフルビードを覆うように形成されており、また上記中間板の燃焼室孔を上記ガスケット基板の燃焼室孔よりも大径とし、かつ中間板の燃焼室孔が上記ガスケット基板のフルビードよりも内側に位置することを特徴とするシリンダヘッドガスケット。 - 上記ガスケット基板の表面または裏面の少なくとも一方にコーティングを形成し、
当該コーティングを上記グロメット基板の折り返し部と重合する位置に形成しないことを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。 - 上記シリンダヘッド側に位置するガスケット基板における燃焼室孔のシリンダヘッド側と、上記シリンダブロック側に位置するガスケット基板における燃焼室孔のシリンダブロック側とに、それぞれ逃がし部を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のシリンダヘッドガスケット。
- 上記中間板と少なくともいずれか一方のガスケット基板との間に、上記ガスケット基板のフルビードと重合するシムを設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のシリンダヘッドガスケット。
- 上記中間板と上記グロメット基板とは反対側に位置するガスケット基板との間に、上記グロメット基板の折り返し部の端部よりも外側に位置する調整板を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のシリンダヘッドガスケット。
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