JP2009040806A - ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート粉体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、(i)固有粘度が0.4dl/gを超えるポリエチレンナフタレンジカルボキシレートをエチレングリコールと接触せしめ、固有粘度が0.1〜0.4dl/gのポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)とする工程、(ii)得られたポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)をエチレングリコールを主たる成分とする液相とを分離する工程、および(iii)分離したポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を粉砕する工程、を含む粉体の製造方法である。
【選択図】なし
Description
例えば特許文献1には、共重合ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造工程において、共重合ポリエチレンテレフタレートに不活性粒子と平均粒径が10〜1,000μmのポリエチレン−2,6−ナフタレート微粉末を同時に添加することにより、共重合ポリエチレンテレフタレートと不活性粒子との界面に発生するボイド(空隙)を少なくすることができるため、表面平滑性に優れた共重合ポリエチレンテレフタレートフィルムを提供できることが記載されている。
特許文献2には、ポリエステルに不活性粒子とポリエステル微粉末を同時に添加することにより、ポリエステルに粗大粒子を存在させることなく無機粒子を均一に分散できることが記載されており、ポリエステル微粉末の一例としてポリエチレン−2,6−ナフタレート微粉末が挙げられている。
特許文献4では、PET樹脂ペレットおよび成型品再生用破砕品を原料として機械粉砕する場合において、前記原料を加熱処理することによって結晶化度を35%以上として常温下で機械粉砕することを特徴とする粉砕方法が記載されている。この発明は原料をPET(ポリエチレンテレフタレート)に限定している。また、実施例によると平均粒径200μm程度の粉砕粒子が得られ、更に繰り返し粉砕することで85μm程度の粉砕粒子を得ることが記載されていることから、数十μm程度の平均粒径の粉体を得るためには複数回の粉砕操作が必要となり、粉砕効率の改善が望まれる。
(ii)得られたポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を、エチレングリコールを主たる成分とする液相と分離する工程、および
(iii)分離したポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を粉砕する工程、を含む粉体の製造方法によって達成される。
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)の粉砕は、機械粉砕により行うことが好ましい。得られる粉体は、平均粒径500μm以下、残留エチレングリコール量が0〜5,000ppmであることが好ましい。粉砕により得られた粉体をさらに乾燥することが好ましい。
本発明において原料として用いられるポリエチレンナフタレンジカルボキシレートは、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95〜100モル%のエチレンナフタレンジカルボキシレート単位からなることが好ましい。
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートは結晶化させることが好ましい。結晶化処理は、従来公知の方法で良い。例えば、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを結晶化温度に加熱する方法、溶融状態から徐冷する方法、有機溶剤を作用させる方法等を好ましく例示することができる。また、後述する接触工程にて、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの結晶化温度を経ることにより結晶化させることもできる。この処理によりポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの中には、結晶質と非晶質が混在することになる。
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの形状は、易粉砕性付与の処理を効率的に進めるためペレットであることが好ましい。ペレットは、断面が円形または楕円形の円柱状であることが好ましく、その長径は1〜3mm、短径は0.5〜2mmであることが好ましい。また、長さは1〜10mmであることが好ましい。
接触工程は、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートをエチレングリコールと接触させ、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの主として非晶質部分を解重合させる工程である。
エチレングリコールとの接触は、固有粘度が0.4dl/gを超えるポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを、固有粘度が0.1〜0.4dl/g、好ましくは0.12〜0.3dl/gであるポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(以下、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)とする)になるまで行う。ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの非晶質は、結晶質に比べてエチレングリコールにより解重合されやすく、優先的に溶解され、主として結晶質からなるポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を得ることができる。
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートとエチレングリコールとの接触温度は、150〜250℃、さらには160〜230℃であることが好ましい。また、接触時間は60〜360分間、さらには100〜300分間であることが好ましい。これらの範囲で反応させることにより非晶質の溶解(部分的な解重合)が効率的に進み、且つ、固有粘度が0.1〜0.4dl/g、好ましくは0.12〜0.3dl/gであるポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)の収率も良くなる。
さらに、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートとエチレングリコールとの接触は、無触媒により行うことが好ましい。反応を効率的に進める目的で解重合触媒を加えることにより、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの結晶質部分が溶解してしまうため、収率の低下が起こるのを防ぐためである。
接触工程の後、分離工程を行う。分離工程は、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)と、エチレングリコールを主たる成分とする液相とを分離する工程である。分離は、固体状のポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を分離できればどのような方法でも良く、ろ過、遠心分離、デカンテーション等の方法が挙げられる。例えば、接触工程により得られたポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)の分散液を好ましくは5〜100メッシュのフィルターに通液することで行うことができる。
エチレングリコールを主たる成分とする液相は、エチレングリコールの他、ビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレンジカルボキシレートおよびそのオリゴマー等の固形成分を含む。従って、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)と、エチレングリコールを主たる成分とする液相との分離は、好ましくは温度50〜145℃、より好ましくは70〜120℃で行うことが好ましい。
分離工程の後、粉砕工程の前に洗浄工程を行うことが好ましい。洗浄工程は、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を洗浄する工程である。洗浄は、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を、エチレングリコール、温水、水またはこれらの組み合わせにより行うことが好ましい。
さらに、場合によっては、常温(好ましくは10〜40℃)の水で洗浄し、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を常温にすることも好ましい態様の一つである。
洗浄工程の後、粉砕工程の前に、乾燥工程を行うことが好ましい。乾燥工程は、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を乾燥する工程である。乾燥は、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)に付着している液体分が乾燥除去できればどのような方法でも良いが、例えば、真空乾燥、熱風乾燥等の方法を好ましく例示することができる。例えば真空乾燥の場合、圧力は1〜10,000Pa、さらには5〜8,000Pa、乾燥温度は60〜220℃、さらには70〜200℃、乾燥時間は0.5〜20時間、さらには1〜15時間の条件で乾燥することが好ましい。また、熱風乾燥の場合、常圧下、乾燥温度は60〜180℃、さらには70〜160℃、乾燥時間は0.5〜50時間、さらには1〜20時間の条件で乾燥することが好ましい。液体分としては、例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール等を挙げることができる。
乾燥工程により、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)に残留する水分量を0〜5,000ppm、さらには0.1〜4,000ppmにすることが好ましい。また、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)に残留するエチレングリコール量を0〜5,000ppm、さらには0.1〜4,000ppmにすることが好ましい。
粉砕工程は、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を粉砕して粉体を得る工程である。粉砕工程は、乾燥工程の後に行うことが好ましい。粉砕は機械粉砕により行うことが好ましい。即ち粉砕は、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)をロッドミル、ボールミル、ハンマーミル、円盤型ミル、オリエントミル、インペラーミル、スパイラルミル、ジェットミル等の粉砕機に投入することにより実施できる。これらの粉砕機は、所望とする粒径の粉体を得るために適宜選定することが好ましい。また、これらの粉砕機を組み合わせて粉砕することにより所望の粒径とすることも好ましい態様の一つである。
本発明により得られる粉体の平均粒径は、好ましくは500μm以下、より好ましくは0.01〜400μm、さらに好ましくは0.05〜300μm、特に好ましくは0.05〜100μmである。
本発明により得られる粉体は、僅か(例えば、4,000ppm以下)であるがエチレングリコールが残留している場合がある。粉体は、用途によっては、粉砕後に乾燥することが好ましい。乾燥は、粉体に残留しているエチレングリコールが除去できればどのような方法でも良いが、例えば、真空乾燥、熱風乾燥等の方法を好ましく例示することができる。例えば、真空乾燥の場合、圧力は1〜10,000Pa、さらには5〜8,000Pa、乾燥温度は60〜220℃、さらには70〜200℃、乾燥時間は0.5〜20時間、さらには1〜15時間の条件で乾燥することが好ましい。また、熱風乾燥の場合、常圧下、乾燥温度は60〜180℃、さらには70〜160℃、乾燥時間は0.5〜50時間、さらには1〜20時間の条件で乾燥することが好ましい。この乾燥により粉体の残留エチレングリコール量は、好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは0.1〜50ppmにすることができる。
p−クロロフェノール/テトラクロロエタン(3/2(重量比))の混合溶媒を用い、試料を濃度0.4g/100mlとなるように加え、30℃で測定した。
試料を、硝酸カルシウム水溶液を用いた密度勾配管により、30℃で測定した。
レーザー回折散乱法により測定し、平均粒径(X50)を求めた。測定機はLMS−30((株)セイシン企業製)を使用した。
試料1gに特級メタノール3mlを加え12時間浸漬させた後、10分間超音波を照射し、得られた上澄み液をガスクロマトグラフGC−14B((株)島津製作所製)に展開し、ピーク面積より試料中のエチレングリコール含有量を算出した。
(接触工程)
固有粘度が0.48dl/gのポリエチレンナフタレンジカルボキシレート60重量部とエチレングリコール90重量部を窒素雰囲気下の反応装置に投入し、温度198℃、常圧下、4時間で反応(部分解重合)させた。反応終了後のポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)は、固有粘度0.18dl/gであった。
(分離、洗浄、乾燥工程)
得られたポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)と、エチレングリコールを主たる成分とする液相を、85℃まで冷却した後、20メッシュのフィルターを用いて濾別した。
濾別したポリエチレンテレフタレート(A)を180重量部のエチレングリコールで濯いだ。その後、85℃の水90重量部に浸漬し15分間撹拌洗浄した。この水洗浄を4回繰り返した後、真空乾燥機により圧力500Pa、180℃で10時間かけて乾燥し、53重量部のポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を得た。
得られたポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)をSTJ−200((株)セイシン企業製)により粉砕し、平均粒径6.2μm、エチレングリコール含有量150ppmの粉体37重量部を得た。
さらに、得られた粉体を常圧下、温度120℃で6時間かけて乾燥し、エチレングリコール含有量が25ppmの粉体を得た。
Claims (7)
- (i)固有粘度が0.4dl/gを超えるポリエチレンナフタレンジカルボキシレートをエチレングリコールと接触せしめ、固有粘度が0.1〜0.4dl/gのポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)とする工程、
(ii)得られたポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を、エチレングリコールを主たる成分とする液相と分離する工程、および
(iii)分離したポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を粉砕する工程、を含む粉体の製造方法。 - ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの形状はペレットであり、断面の長径が1〜3mm、短径が0.5〜2mm、長さが1〜10mmである、請求項1に記載の製造方法。
- ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートとエチレングリコールとの接触を、温度150〜250℃、接触時間60〜360分間で行う、請求項1または2に記載の製造方法。
- ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)と、エチレングリコールを主たる成分とする液相との分離を、温度50〜145℃で行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 分離した後、粉砕する前に、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を、エチレングリコール、温水、水またはこれらの組み合わせにより洗浄する請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 洗浄した後、粉砕する前に、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(A)を乾燥して、残留水分量を0〜5,000ppm、残留エチレングリコール量を0〜5,000ppmにする請求項5に記載の製造方法。
- 粉砕により得られた粉体をさらに乾燥する請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
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