JP2009040155A - 車体前部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クラッシャブルゾーン84は、車室Rの床部に設けられたトンネル部81の前端に設けられている。クラッシャブルゾーン84は、複数の板材(82,83)からなり、少なくともエンジンルームER側に設置される板材(83)が、車室R側に設置される板材(82)よりも剛性を低く設定されている。このように構成された車体前部構造は、重度の正面衝突をした際に、そのクラッシャブルゾーン84で衝突エネルギーを吸収できるようになっている。
【選択図】図1
Description
図6に示すように、トランスミッションカバー200の各フランジ部210は、トンネル部100に形成された凸部220からシフトレバーを設置するための通し穴230に至る部分の横方向の寸法がその他の部分の横方向の寸法より大きく形成されている。そのため、トランスミッションカバー200は、凸部220の後方のトンネル部100において、変形が発生し始める稜部近傍の剛性が大きくなるように設定されており、凸部220の後方のトンネル部100が前後方向(矢印A方向)の衝突荷重を受けたときに変形のきっかけとなるのを防いでいる。
そして、クロスメンバは、重度の衝突時にトランスミッションがトンネル部の前端に当たる際に、トランスミッションがクラッシャブルゾーンに当たって緩衝され、トンネル部の車室側が剛性の高い板材で保護されると共に、トンネル部の車幅方向の端部がトンネルフレームによって保持されているので、トンネル部を衝撃から保護することができる。これにより、クロスメンバの設置位置を、トンネル部の下部の位置の高さに配置することが可能となると共に、クロスメンバの設置位置、トンネル部の前端の位置、およびダッシュボード部の設置位置を、エンジンルーム側(前側)に近づけた構成にすることができるため、車室スペースを広くすることが可能となる。
車両衝突時に、トンネル部が変形することをクラッシャブルゾーン等によって抑制できるので、クロスメンバの設置の自由度が向上されて、車体の剛性を確保できる効果的な位置に配置することが可能となり、トンネルフレームをアルミニウム合金等の軽金属や軽量材料で形成して車体の軽量化を図ることが可能となる。
車両は、クロスメンバをトンネル部の下部の高さの位置に設置することが可能となることにより、クロスメンバに連結されるフロントサイドフレームやトンネルフレーム等の骨格の設置位置を低い位置に設置することができるようになる。これに伴って、車両の低床化を図って車高を低くして車体のデザインの自由度の向上させることができると共に、車体の重心位置を低くできるので、運動性能の向上を図ることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る車体前部構造を示す要部概略図である。図2は、本発明の実施形態に係る車体前部構造におけるフロントサイドフレーム、クロスメンバおよびトンネルフレームの設置状態を示す概略平面図である。図3は、本発明の実施形態に係る車体前部構造を示す図であり、トンネル部を下方から見上げたときの状態を示す斜視図である。図4は、本発明の実施形態に係る車体前部構造におけるクロスメンバの設置状態を示す図であり、(a)は図3のX−X線拡大断面図、(b)は図3のY−Y線拡大断面図である。図5は、本発明の実施形態に係る車体前部構造を示す図であり、トンネル部における厚板の設置状態を示す斜視図である。
まず、本発明の実施形態に係る車体前部構造が適用される車両1について説明する。
図1に示すように、車両1は、車体の前部にエンジンルームERを有し、このエンジンルームERに隔壁3を介在して車室(客室)Rが配設された自動車であり、例えば、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)や四輪駆動の乗用車等である。図2に示すように、車両1のダッシュボード部(図示せず)の下方には、車体の骨格を形成するそれぞれ一対のフロントサイドフレーム4,4、クロスメンバ5,5、トンネルフレーム6,6、フロアフレーム7,7、およびサイドシル(図示せず)等が略左右対称に設置されている。
なお、車両1は、エンジンルームERにパワーユニット2(図2参照)があって、車室Rの床面部分に後記するトンネル部81を備えた自動車であればその形式・種類は特に限定されない。以下、FRの乗用車の場合を例に挙げて本発明を説明する。
図1に示すように、エンジンルームERには、中央部にパワーユニット2が内設され、エンジンルームERの前側にバンパー(図示せず)等が配設され、そのエンジンルームERの後方側に隔壁3およびダッシュボード部(図示せず)等が設置され、エンジンルームERの下方の左右に車体の前後方向に向けて配置された一対のフロントサイドフレーム4,4(図2参照)が設置されている。エンジンルームERおよびフロントサイドフレーム4,4(図2参照)は、車両1が重度の正面衝突をした場合に押し潰されて変形して衝突エネルギーを吸収するクラッシュストロークを有する構造になっている。
図1に示すように、パワーユニット2は、例えば、エンジン21と、このエンジン21の近傍に横設されたトランスミッション22とを備えて構成され、前記フロントサイドフレーム4,4に不図示のマウント部材およびサブフレームを介在させてエンジンルームERの略中央部に設置されている。
なお、パワーユニット2は、後記するパワートレンを設置したものであればよく、エンジン21とトランスミッション22との間にクラッチが設置されてあってもよい。
トランスミッション22は、エンジン21の出力を不図示のプロペラシャフトやユニバーサルジョイント等のパワートレンを介在して駆動輪に伝達する動力伝達装置であり、自動変速機でも手動変速機でもあってもよい。トランスミッション22は、エンジンルームER内からフロアパネル8のトンネル部81内に向けて配置されて、上端部22aが重度の衝突の際に後退して後記するクラッシャブルゾーン84に当たる高さに設置されている。
図2に示すように、フロントサイドフレーム4,4は、車体の骨格を形成する一対の部材であり、例えば、剛性を有する断面ロ字状のスチール製角パイプ材等から形成されている。フロントサイドフレーム4,4は、エンジンルームERの左右前端部から車体に沿って後方に向けて配置されて、後端部がクロスメンバ5,5およびフロアフレーム7,7に連続する状態に溶接されて、さらに、そのクロスメンバ5,5の後端側がトンネルフレーム6,6に連続する状態に溶接されて、フロアフレーム7,7の後端部が左右のサイドシル(図示せず)に溶接されて、車体の骨組の一部を形成している。このように、フロントサイドフレーム4,4の後端部は、クロスメンバ5,5と、フロアフレーム7,7とが略Y字状に状態に設置されて、前方からの荷重の方向を後方側に二股に分岐させている。
図2に示すように、クロスメンバ5,5は、車体に対して略左右方向に配置される骨格部材であり、例えば、剛性を有する断面コ字状のみぞ形鋼等(図4(a)、(b)参照)を折り曲げて形成されている。クロスメンバ5,5は、トンネル部81の左右両方向の前端部から離間した位置に車体の前後方向に延設されたフロントサイドフレーム4,4と、トンネル部81の左右端部に車体の前後方向に延設されたトンネルフレーム6,6と、の間に介在されてその両者を連結するための部材である。クロスメンバ5,5は、トンネルフレーム6,6の前端からフロントサイドフレーム4,4の後端部に向けて斜め前方向に拡開した状態に配置されると共に、ダッシュボードロア31の下方に設置されている。言い換えると、このクロスメンバ5,5は、ハシゴ状のトンネルフレーム6,6の先端からフロントサイドフレーム4,4の後端部を介して車体の左右端部に配置されるサイドシル(図示せず)に向けて設置されている。
左右のクロスメンバ5,5の後側に形成された中央側半部5a,5aは、トンネル部81の前端部の左右端部に配置されてトンネル部81の骨格を形成している。その中央側半部5a,5a間のトンネル部81の前端部には、クラッシャブルゾーン84を形成する薄板83(図1参照)と厚板82とが設置されている。
図2に示すように、トンネルフレーム6,6は、車室Rの床部中央部に設置されるトンネル部81の左右端部に車両前後方向に向けて延設される左右一対の金属製の骨格部材であり、例えば、アルミ押出し材等の軽金属によって中空状に形成されている。2本のトンネルフレーム6,6は、架設部材61によってハシゴ状に形成されたラダーフレーム構造になっていて、トンネル部81によって形成されたコンソール部にハンドブレーキやシフトレバー等を設置できるように強度が向上されている。このようにして左右のトンネルフレーム6,6がしっかりと連結されていることによって、その先端に設置された左右のクロスメンバ5,5をしっかりと連結して保持することもできる。
図4(b)に示すように、トンネルフレーム6,6(一方のみ図示)は、このトンネルフレーム6,6の前端がクロスメンバ5,5と、車両1のダッシュボード部(図示せず)の下部に設置されたダッシュボードロア31と、によって囲まれて挟持された状態に固定されている。
図2、図3および図5に示すように、フロアフレーム7,7は、フロアパネル8を保持するための骨格部材であり、左右のフロアパネル8の下面にそれぞれ設置されている。フロアフレーム7,7は、前端がフロントサイドフレーム4,4の後端部に溶接されて、後端が左右のサイドシル(図示せず)の車室側側面に溶接されている。
図1、図4および図5に示すように、隔壁3は、エンジンルームERと車室Rとを仕切るための部材であり、比較的薄い鋼板等の金属製平板部材を折曲加工して形成されている。隔壁3は、左右方向に延設されたダッシュボードアッパ(図示せず)と、このダッシュボードアッパの下方に車幅方向に沿って設置されたダッシュボードロア31等から構成されている。
図3および図4(a)に示すように、メンバ前半部31aは、断面横向きコ字形状の金属材からなるクロスメンバ5,5の後端開口部を閉塞して接合するように設置されて、エンジンルームERと車室Rとの間に介在されている。
図5に示すように、メンバ後半部31bは、メンバ前半部31aの下端部を略L字形に折り曲げてフロアパネル8およびトンネルフレーム6,6に重なるように配置してスポット溶接等によって固定される。
図1に示すように、フロアパネル8は、車室Rの前席の床面を形成する金属製平板部材であり、中央部に車両前後方向に沿ってトンネル部81を有する。フロアパネル8のトンネル部81の前端には、車室R側が剛性の高い板材からなる厚板82と、エンジンルームER側が厚板(剛性の高い板材)82より剛性の低い板材からなる薄板83と、で構成されたクラッシャブルゾーン84が設けられている。
トンネル部81は、いわゆるフロアトンネルと言われている強度および剛性を備えた床部中央部分である。トンネル部81は、その下方に配置されるパワートレン(図示せず)等に合わせて開口し、正面視して断面略下向きコ字形状(トンネル形状)に形成された板厚が後記する薄板83より厚い厚板82と、前記トンネルフレーム6,6と、当該トンネル部81の車室R側を覆う樹脂材(図示せず)と、によって形成されている。トンネル部81は、エンジンルームERに設置されたトランスミッション22の後部から車室Rの後席側中央部に向けて車体に沿って形成されている。このトンネル部81内には、例えば、不図示のプロペラシャフト等のパワートレンや配管類やワイヤ等が配置されている。
厚板82は、鋼板、アルミニウム合金板などの金属板からなり、トンネル部81の左右端部に設置されたトンネルフレーム6,6およびダッシュボードロア31にスポット溶接や工業用接着剤などによって固定されている。
薄板83は、厚板82と比較して薄い鋼板、アルミニウム合金板などの金属板から形成されて、厚板82より剛性を低く設定した板材からなる。薄板83は、トンネル部81の前端部の厚板82の下面に中空状の閉断面からなるクラッシャブルゾーン84を形成するようにして、外周部をスポット溶接等によって厚板82に接合される。
クラッシャブルゾーン84は、重度の正面衝突の際に、エンジンルームERおよびフロントサイドフレーム4,4のクラッシュストロークで後退したトランスミッション22の上端部22aが当接する位置に設置されて、衝突エネルギーを吸収してトンネル部81が変形しないように抑制するために設置されている。つまり、クラッシャブルゾーン84の前方の車両長さ方向の延長上には、トランスミッション22が設置されている。
クラッシャブルゾーンの左右方向の両端部には、トンネル部81から間隔を隔てて配置されて車体の前後方向に延設されたフロントサイドフレーム4,4と、トンネル部81の左右方向の端部に車体の前後方向に延設されたトンネルフレーム6,6と、が設けられている。そのフロントサイドフレーム4,4とトンネルフレーム6,6とが、クロスメンバ5,5(図2、図3および図5参照)で連結されている。クラッシャブルゾーン84は、車室R側に設置された厚板82に、エンジンルームER側に設置された薄板83を接合して形成される差厚構造になっている。
次に、図1を主に図2〜図5を参照しながら本発明の実施形態に係る車体前部構造の作用を、車両1が他車と重度の正面衝突(前面衝突)した場合を例に挙げて説明する。
図1に示すように、車両1が走行中に、例えば、他車と重度の正面衝突をした場合、車両1の前部に設置されたバンパ(図示せず)が他車によって後側方向に押圧されて、バンパビーム(図示せず)を介してフロントサイドフレーム4,4の前端部を押圧する。フロントサイドフレーム4,4は、他車によってエンジンルームERと共に押し潰されて変形するので、クラッシュストロークにより衝突エネルギーを適宜に吸収することができる。
このように、トンネル部81の前端にクラッシャブルゾーン84を設けたことによって、後退したトランスミッション22を局部的に受け止めることができるので、その周部に設けたクロスメンバ5,5を結合効率および荷重伝達効率のよい位置に配置することができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造および変更が可能であり、本発明はこれら改造および変更された発明にも及ぶことは勿論である。
また、厚板82と薄板83とで中空状に形成されたクラッシャブルゾーン84内には、発泡材や軟質樹脂材等の緩衝材料を内設してもよい。
2 パワーユニット
3 隔壁
4 フロントサイドフレーム
5 クロスメンバ
6 トンネルフレーム
8 フロアパネル
22 トランスミッション
31 ダッシュボードロア
81 トンネル部
82 厚板(車室側に設置される板材)
83 薄板(エンジンルーム側に設置される板材)
84 クラッシャブルゾーン
ER エンジンルーム
R 車室
Claims (3)
- 車室の床部に設けられたトンネル部の前端に、クラッシャブルゾーンを設けた車体前部構造であって、
前記クラッシャブルゾーンは、複数の板材からなり、
少なくともエンジンルーム側に設置される板材が、前記車室側に設置される板材よりも剛性を低く設定されていることを特徴とする車体前部構造。 - 前記クラッシャブルゾーンの車幅方向の両端部には、前記トンネル部から間隔を隔てて配置されて車体の前後方向に延設されたフロントサイドフレームと、
前記トンネル部の車幅方向の端部に車体の前後方向に延設されたトンネルフレームと、が設けられ、
前記フロントサイドフレームと前記トンネルフレームとが、クロスメンバで連結されていることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。 - 前記クラッシャブルゾーンの前方の車両長さ方向の延長上には、トランスミッションが設置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車体前部構造。
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