JP4396264B2 - 車体前部構造 - Google Patents

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    • B60G2206/016Constructional features of suspension elements, e.g. arms, dampers, springs allowing controlled deformation during collision

Description

本発明は、車両に対する衝突、特に車長方向からの衝突における衝撃を吸収する車体前部構造に関するものである。
従来より、車両前方のサイドメンバ(フロントサイドメンバ)の衝撃吸収性と剛性とを両立させ、車両前方が衝突した場合における当該車両の安全性能を向上させる技術が開発されている。
このような技術は、具体的には、車両前方が衝突した場合に、フロントサイドメンバの一部がアコーディオン状に潰れ得るように形成することで、車室に対して伝達される衝撃を吸収するとともに、車室まわりを形成する部材の剛性を高く設定することで、車両の安全性を向上させるものである。
また、このフロントサイドメンバに下面には、井桁フレームと呼ばれるサブフレームが固定される場合がある。このサブフレーム上には、エンジン、駆動装置(トランスミッション,ディファレンシャルギアなど)、操舵装置(ステアリングギアボックスなど)などが取り付けられ、車両生産時およびメンテナンス時などに、このサブフレームをフロントサイドメンバに対して着脱することによって、エンジン、駆動装置、操舵装置などを車両に対して容易に着脱することができ、艤装性,組付け性を向上させることができるようになっている。
さらに、このサブフレームに対し、艤装性や組付け性を向上させる機能だけではなく、車両が衝突した場合にこの衝撃を吸収するという機能を持たせる技術も開発されている(例えば、以下の特許文献1の技術参照)。
特開平2003−72585号公報
しかしながら、フロントサイドメンバとサブフレームとの双方の異なる部材による衝撃吸収性を効率良く実現することは困難である。この困難性を示す具体例を、図7および図8を用いて説明する。
図7は、フロントサイドメンバ102とこのフロントサイドメンバ102の下面にサブフレーム103を固定した一般的な車体前部構造101を模式的に示す側面図であり、図8は、図7に示す一般的な車体前部構造に対して前方より衝撃を加えた実験の結果を模式的に示す側面図である。
図7に示す一般的な車体前部構造101は、車長方向に配設されたフロントサイドメンバ102と、このフロントサイドメンバ102に溶接され下方に突出するブラケット104と、ブラケット104に対してボルト(図示略)によって固定されるとともに、フロントサイドメンバ102の後部とボルト(図示略)によって固定されたサブフレーム103とによって主に構成されている。
フロントサイドメンバ102は、水平に延在する第1水平部102aと、第1水平部102aの後端部から後下方に向けて傾斜して延在する傾斜部102bと、傾斜部102bの後端部から再び略水平に屈曲して水平に延在する第2水平部102cとから構成され、これらの各部102a,102b,102cはすべて一体に構成されている。
また、この第1水平部102aはクラッシャブル構造が適用された構造となっており、フロントサイドメンバ102に対して前方から荷重(衝撃)が入力されると、この荷重によって第1水平部102aはアコーディオン状に潰れるようになっている。
ブラケット104は、フロントサイドメンバ102の車両外側の面に溶接され、下方に向けて突出したプレートであって、その下端が車両内側へ折れるようにプレス成型されている。また、このブラケット104下端にはウェルドナット104aが設けられ、このウェルドナット104aにサブフレーム103を固定する上述のボルト(図示略)が係合されている。
サブフレーム103は、前側がブラケット104を介してフロントサイドメンバの第1水平部102aに固定され、また、後側がボルトによって直接フロントサイドメンバ102の第2水平部102cに固定されている。
そして、このような一般的な車両構造101に対して、前方から衝撃が加えられると、この車両構造は図8に示すように変形する。
この図8に示す実験結果を検証すると、フロントサイドメンバ102は、第1水平部102aと傾斜部102bとの境界近傍で屈曲している。また、サブフレーム103の中程が下方に向けて座屈している。
そして、この図8に示す実験結果で特に着目すべき点は、本来、衝撃を受けるとアコーディオン状に潰れることで衝撃を吸収すべき構造、即ち、クラッシャブル構造が適用されているフロントサイドメンバ102の第1水平部102aがほとんど変形していない点である。つまり、このフロントサイドメンバ102の第1水平部102aは潰れ残ってしまっており(図8中矢印A参照)、換言すれば、フロントサイドメンバ102は入力された衝撃をうまく吸収していない。また、サブフレーム103も、その中間部一箇所が曲がっているのみで、当該曲げに相当する分しか衝撃を吸収していない。したがって、フロントサイドメンバ102とサブフレーム103との双方の異なる部材が協働して衝撃を吸収することがいかに困難であることを示している。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、サイドメンバとサブフレームとの双方の異なる部材による衝撃吸収性能を効率的に向上させる、車体前部構造を提供することを目的とする。
請求項1記載の本発明の車体前部構造は、車長方向に配設されたサイドメンバと、該サイドメンバの下方に設けられ後方で該サイドメンバに接続されるサブフレームとを備えた車体前部構造において、側面視において、該サブフレームは、該サイドメンバに対して直交して接続される直立部と、該直立部と一体に形成され該直立部の下方の屈曲箇所から後方に屈曲して水平に延在する水平部とから構成され、該直立部の上端の前方側部分を介して該サブフレームと該サイドメンバの前端近傍とが接続され且つ、該直立部の上端後縁は該サイドメンバに固定されていないことを特徴としている。
また、請求項2記載の本発明の車体前部構造は、請求項1記載の内容において、該サブフレームの水平部の前端が該サイドメンバの前端よりも後方に位置するように固定されていることを特徴としている。
また、請求項3記載の本発明の車体前部構造は、請求項1または2記載の内容において、該サブフレームの該屈曲箇所における該直立部と該水平部との屈曲角度が略直角であることを特徴としている。
また、請求項4記載の本発明の車体前部構造は、請求項1〜3のいずれか1項記載の内容において、該サブフレームが、断面中空のパイプ部材によって構成されていることを特徴としている。
また、請求項5記載の本発明の車体前部構造は、請求項1〜4のいずれか1項記載の内容において、該サブフレームは、ブラケットを介して該サイドメンバに固定され、該ブラケットは、該サブフレームの該直立部の上方の前方側部分に対して固着されるとともに、該サイドメンバに対してボルトにより固定されていることを特徴としている。
また、請求項6記載の本発明の車体前部構造は、請求項1〜5のいずれか1項記載の内容において、該サブフレームの該水平部において、操舵装置が取り付けられ、該サブフレームの該水平部に対し該水平部の軸線方向に荷重が入力されて該水平部が座屈すると、該操舵装置が下方へ変位するように構成されていることを特徴としている。
本発明の車体前部構造によれば、サイドメンバに荷重(衝撃)が入力された後、サブフレームに対して伝達された荷重は、サブフレームの屈曲箇所において、「サブフレームの屈曲箇所から直立部の上端部分までの距離」と「入力された荷重」とを積算することによって近似的に算出される曲げモーメントを作用させることができる。
したがって、サブフレームは屈曲箇所を中心にして曲げられるので、入力された荷重のうち当該曲げに相当する荷重をサブフレームが吸収する。一方、サイドメンバもその軸線方向に圧縮されて潰れることにより荷重を吸収する。したがって、フロントサイドメンバとサブフレームとの双方による衝撃吸収性能を効率的に向上させることができる。(請求項1)
また、サブフレームの水平部の前端がサイドメンバの前端よりも後方に位置するように、サブフレームがサイドメンバに対して固定されているので、車両が衝突した場合、この衝突による衝撃は、まず、サイドメンバに入力され、サイドメンバが衝撃を吸収し始めた後、即ち、サイドメンバが潰れはじめた後に、サブフレームの水平部に対して衝撃が入力されるようになっている。また、このサブフレームの水平部に入力された衝撃は、この水平部の軸線方向に沿って入力されるので、サブフレームは入力された荷重を確実に受け止めることが可能となる。これにより、サイドメンバのみによって吸収できない衝撃を、L字型サブフレームが分担することによって、車両の安全性能を向上させることができる。(請求項2)
また、サブフレームの直立部と水平部との屈曲角度が略直角であるので、衝突初期段階において、サブフレームの屈曲箇所に適度な大きさの曲げモーメントを確実に作用させることが可能となり、衝撃吸収性能を向上させることができる。(請求項3)
また、サブフレームが、断面中空のパイプ部材によって構成されているので、衝突の初期段階において、サブフレームの屈曲箇所が適度に曲げ易くすることができるとともに、衝突の中期〜終期段階において、サブフレームの水平部が入力された衝撃を確実に受け止めることができる。また、サブフレームの軽量化を図ることもできる。(請求項4)
また、サブフレームは、ブラケットを介してサイドメンバに固定され、ブラケットは、サブフレームの直立部の上方の前方側に対して固着されるとともに、サイドメンバに対してボルトにより固定されているので、サブフレームの屈曲箇所に対する曲げモーメントの作用を妨げることなく、また、容易に脱着できるように、サイドメンバに対してサブフレームを取り付けることができる。(請求項5)
また、サブフレームの水平部において、操舵装置が取り付けられ、サブフレームの水平部に荷重が入力されてこの水平部が座屈すると、前記の操舵装置が下方へ変位するように構成されているので、車両の前方が衝突した場合に、この操舵装置が下方へ変位することによって、衝突時における安全性、特に乗員保護性能を向上させることができる。(請求項6)
以下、本発明の一実施形態にかかる車体前部構造について図1〜図6を用いて説明すると、図1はその模式的な斜視図、図2はその模式的な側面図、図3〜図6はそれぞれ前面衝突実験における変形を示す模式的な側面図である。
本発明の一実施形態にかかる車体前部構造1は、図1に示すように、車長方向に配設された2本のフロントサイドメンバ(サイドメンバ)2,2と、これらのフロントサイドメンバ2,2の下方に固定されたサブフレーム3,3とによって主に構成されている。なお、左右のフロントサイドメンバ2,2は、それぞれ略同一の形状および構造であるので、本実施形態においては、左右を特に区別せずに符号2で示して説明する。
このフロントサイドメンバ2は、図2に示すように、水平に延在する第1水平部2aと、第1水平部2aの後部から後下方に屈曲する第1屈曲箇所2dと、この第1屈曲箇所2dから後下方へ傾斜して延在する傾斜部2bと、傾斜部2bの後部から再び水平に屈曲する第2屈曲箇所2eと、この第2屈曲箇所2eから水平に延在する第2水平部2cとから構成され、これらの各部2a〜2eはすべて一体の部材として構成されている。
また、この第1水平部2aはクラッシャブル構造が適用された構造となっており、フロントサイドメンバ2に前方から荷重(衝撃)が入力されると、この荷重によって前面から後方に向けて圧縮されてアコーディオン状に潰れるようになっている。
サブフレーム3は、図1に示すように、左右のサイドメンバ2の下方にそれぞれ設けられ、これらの各サブフレーム3,3の間は2本のクロスメンバ3a,3bによって接続されており、また、これらのサブフレーム3,3およびクロスメンバ3a,3bによって囲まれる領域には、図示しないエンジン、駆動装置、操舵装置などが、図示しないマウントを介して実装され、サブフレーム3,3をサイドメンバ2,2に対して脱着することによって、これらの装置類を車両に対して容易に取り付けたり取り外したりできるようになっている。
なお、本実施形態において、左右のサブフレーム3,3は略同一の形状および構造であるので特に区別せずに符号3で示して説明する。
このサブフレーム3は、図2に示すように、側面視において、L字型に形成され、サイドメンバ2に対して直交して接続される直立部3cと、この直立部3cと一体に形成され直立部3cの下方で水平方向に屈曲した第1屈曲箇所(屈曲箇所)3eと、この第1屈曲箇所3eから水平に延在する水平部3dとから構成されている。そして、直立部3cの上方の前端部分がサイドメンバ2の第1水平部2aと接続され、また、水平部3dの後端部分がサイドメンバ2の第2水平部2cと接続されることで、サイドメンバ2とL字型サブフレーム3とが固定されるようになっており、フロントサイドメンバ2とともに、車体前方の強度向上および車体前方から入力される衝撃を吸収できるようになっている。
また、直立部3cの上方の前方側部分3c−1にはブラケット4が溶接され、このブラケット4を介して直立部3cがサイドメンバ2の第1水平部2aの下面にボルト(図示略)によって固定されることにより、直立部3cの上端の前方側部分3c−2を介してサブフレーム3がサイドメンバ2に接続される。また、水平部3dの後端部分は特にブラケットなどを介さず、直接ボルト(図示略)によってサイドメンバ2の第2水平部2cの下面に固定されている。
また、このL字型サブフレーム3の材料は断面が円形で中空の鋼管(パイプ部材)であり、また、直立部3cと水平部3dとの屈曲箇所3eにおける角度(屈曲角度)は、直角となるように形成されている。なお、この屈曲角度は厳密に90度であることを要求するものではなく、略90度となっていればよい。
また、L字型サブフレーム3の屈曲箇所3eの前端にはクラッシュコントロールボックス5と呼ばれる中空箱状の部材が車両前方に突出して溶接されている。このクラッシュコントロールボックス5はサイドメンバ2の前端位置(図2中符号B1参照)とサブフレーム3の水平部3cの前端位置(図2中符号B2参照)との位置関係を調整するものである。本実施形態において、水平部3cの先端B2は、サイドメンバ2の先端B1よりも後方であり、かつ、L字型サブフレーム3の直立部3cとサイドメンバ2との接続箇所(図2中符号B3参照)よりも後方に位置するように設定され、実質的に水平部3dの先端がフロントサイドメンバ2の前端よりも後方に位置するようになっている。
このサブフレーム3上には、上述したように、エンジンや駆動装置などが実装されており、特に、本実施形態においては、水平部3dにおいて、ステアリングシャフト(図示略)に接続された操舵装置としてのステアリングギアボックス(図示略)が取り付けられている。そして、詳しくは後述するが、サブフレーム3の水平部3dの軸線方向に荷重が入力され、この水平部3dが座屈すると、ステアリングギアボックスが下方へ変位するように構成されている。
また、この水平部3dは、第1屈曲箇所3eの後部から後方へ水平に延在している第1水平部3d−1と、第1水平部3d−1の後部から上後方へ屈曲する第2屈曲箇所3fと、この第2屈曲箇所3fから斜め後上方に傾斜して延在する第2傾斜部3d−2と、この第2傾斜部3d−2の後部で再び水平に屈曲する第3屈曲箇所3gと、この第3屈曲箇所3gから後方へ水平に延在する第2水平部3d−3とから構成されている。
水平部3dを上述のように構成することによって、水平部3dの軸線方向に対して前方から大きな荷重が入力されると、この水平部3dは、第2屈曲箇所3f近傍が下方へ折れ曲がることによって、水平部3dが下方へ座屈するようになっている。なお、図2中、符号3h,3iで示す構成要素は駆動装置や操舵装置をサブフレーム3に対してマウントするためのブラケットである。
本発明の一実施形態に係る車体前部構造は上述のように構成されているので、その作用・効果について説明すると、以下のようになる。
車両が前方の他の車両や壁部10などに衝突した初期の段階では、図3に示すように、サイドメンバ2がまず最初に壁部10と接触して衝撃を吸収する。この図3と、従来の技術の欄で説明した図8とを比較すると、図8に示す従来の車体前部構造101では、サイドメンバ102の最前部である第1水平部102aにクラッシャブル構造を適用しているにもかかわらず、入力された衝撃をうまく吸収できず、潰れ残り(図8中矢印A参照)が生じている。これに対して、本実施形態の車体前部構造1では、図3に示すように、サイドメンバ2の最前部である第1水平部2aは、潰れ残りなく圧縮され、入力された衝撃を確実に吸収することができる。
また、この図3で着目すべき点は、L字型サブフレーム3の直立部3cの上端後縁がサイドフレーム2に固定されていないため、図中符号Gで示すように、直立部3cの上端後縁とサイドメンバ2との間の隙間が拡がり、サイドメンバ2の潰れを阻害していないという点である。この現象は、衝突の中期段階を示す図4でさらに顕著になって現れる。つまり、直立部3cの上端後縁とサイドフレーム2の下面との間に生じる隙間Gが、図3おいて示す衝突初期段階における場合よりも、図4および図5において示す衝突中期段階における場合のほうがさらに広がっているのである。
これは、L字型サブフレーム3の直立部3cの上端の前方側部分3c−2が、サイドメンバ2の第1部2aに接続され、一方、直立部3cの上端後縁は特に何ら固定されていないという構成による現象である。
また、図4に示す状態からさらに、車両1が前進し、サイドメンバ2に荷重(衝撃)が引き続き入力されると、ブラケット4を介してL字型サブフレーム3に伝達された荷重は、L字型サブフレーム3の屈曲箇所3eにおいて、次式(1)によって近似的に算出される曲げモーメントとして作用する。
「屈曲箇所3eから直立部3cの上端部分までの距離」×「入力荷重」・・・(1)
したがって、L字型サブフレーム3は、直立部3cが前方から衝撃を受けると、屈曲箇所3eを中心として曲げられ、このため、衝突の初期段階において、L字型サブフレーム3が当該曲げに相当する荷重を吸収する。したがって、サイドメンバ2の圧縮による潰れと相まって衝撃吸収性能が向上される。なお、先述の通り、直立部3cはその上端の前方側部分3c−2のみにおいてサイドメンバ2に接続されているため、荷重が作用したときにサブフレーム3の屈曲箇所3eは曲がり易くなっている。
そして、衝突の中期段階では、図4および図5に示すように、サイドメンバ2の第1水平部2aが衝撃を吸収しながら車両はさらに前方へ進行し、壁部10がL字型サブフレーム3の水平部3dの先端に設けられたクラッシュコントロールボックス5に接触する。これにより、荷重(衝撃)はサイドメンバ2で受け止められるとともに、L字型サブフレーム3の水平部3dによっても受け止めることになる。
また、L字型サブフレーム3の水平部3dに入力された荷重は水平部3dの軸方向に作用する圧縮力である。即ち、図4に示す段階においては、屈曲箇所3eに対して作用する力は上述したような曲げモーメントではなく、水平部3dの軸方向に沿った圧縮力が作用する。したがって、L字型サブフレーム3はサイドメンバ2と協働して入力された荷重を軸方向の圧縮力として受け止めるようになっている。
つまり、サブフレーム3は、屈曲箇所3eの曲げと軸方向の圧縮力との両方で荷重を吸収するので、より大きな荷重を吸収できるとともに、持続的に荷重を吸収できる。
そして、図4および図5に示す状態からさらに車両1が前方に進行し、最終的にその進行が停止するような段階、即ち、図6に示す衝突終期段階では、サイドメンバ2の第1水平部2aは完全に潰れ、また、L字型サブフレーム3の水平部3dも中ほどで下方へ向けて座屈している。つまり、この図6に示すように、サイドメンバ2の第1水平部2aに適用されたクラッシャブル構造による衝撃吸収性能が最大限に活用されて、入力された衝撃が吸収されるとともに、L字型サブフレーム3の水平部3dによっても、入力された衝撃が確実に吸収されていることが示されている。
また、衝撃が入力されたL字型サブフレーム3の最終的な変形について着目すると、図6に示すように、サブフレーム3は、第1屈曲箇所3eにおいて直立部3cと第1水平部3d―1とのなす角度θ1が拡がるように変形するとともに、第2屈曲箇所3fにおいて第1水平部3d−1と第2傾斜部3d−2とのなす角度θ2が小さくなるように変形する。また、第2水平部3d−3とフロントサイドメンバ2の傾斜部2bとのなす角度θ4が拡がるように変形する。
つまり、衝撃が入力されたL字型サブフレーム3は、「第1屈曲箇所3e」,「第2屈曲箇所3f」および「フロントサイドメンバ2とL字型サブフレーム3の水平部3dとの接続点近傍」の3点で折れ曲がることで、入力された荷重を吸収する。
また、図6に示すように、下方に大きく座屈しているL字型サブフレーム3の水平部3dには、上述したステアリングシャフト(図示略)に接続されたステアリングギアボックス(図示略)が取り付けられており、水平部3dが下方に座屈することによって、ステアリングギアボックスの位置が下方へ変位する。
つまり、車両1の前方が衝突した場合に、L字型サブフレーム3の水平部3dに設けられたステアリングギアボックスが下方へ変位することによって、ステアリングギアボックスに接続されたステアリングシャフト、および、このステアリングシャフトに接続されたステアリングホイール(図示略)が突き上げられることがなく、衝突時における安全性(乗員保護性)を向上させることができる。
上述のように、本発明の車体前部構造によれば、サブフレーム3が、サイドメンバ2に対して直交して接続される直立部3cと、この直立部3cと一体に形成され直立部3cの下方で水平方向に屈曲した屈曲箇所3eから水平に延在する水平部3dとをそなえて側面視においてL字型に形成され、さらに、直立部3cの上端の前方側部分3c−2を介して、サブフレーム3とサイドメンバ2とが接続された構成となっているので、サイドメンバ2に荷重(衝撃)が入力された後、L字型サブフレーム3に対して伝達された荷重は、L字型サブフレーム3の屈曲箇所3eにおいて、「屈曲箇所3eから直立部3cの上端部分までの距離」×「入力荷重」という式によって近似的に算出される曲げモーメントとして作用する。
したがって、L字型サブフレーム3は屈曲箇所3eを中心にして曲げられることとなるので、入力された荷重のうち、当該曲げに相当する荷重をサブフレームが吸収する。一方、サイドメンバ2もその軸線方向に圧縮されて潰れることにより、荷重を吸収する。したがって、フロントサイドメンバ2のクラッシャブル構造を十分に機能させることができる。つまり、衝突の初期段階において、入力された荷重(衝撃)をサイドメンバ2によって確実に吸収させることが可能となり、フロントサイドメンバ2とサブフレーム3との双方による衝撃吸収性能を効率的に向上させることができる。
また、L字型サブフレーム3の水平部3dの前端がサイドメンバ2の前端よりも後方に位置するように、サブフレーム3がサイドメンバ2に対して固定されているので、車両1の前方が衝突した場合、この衝突による衝撃は、まず、前方からサイドメンバ2に入力され、サイドメンバ2が衝撃を吸収し始めた後、即ち、サイドメンバ2が潰れはじめた後に、L字型サブフレーム3の水平部3dに対して衝撃が入力される。つまり、サイドメンバ2で、衝突初期の衝撃を吸収した後に、サブフレーム3に大きな荷重を伝達でき、これにより、フロントサイドメンバ2とサブフレーム3とによって、衝撃を多段的に受け止められることができる。
また、このL字型サブフレーム3の水平部3dに入力された衝撃は、この水平部3dの軸線方向に沿って入力されるので、L字型サブフレーム3は入力された荷重を確実に受け止めることが可能となる。これにより、サイドメンバ2のみによって吸収できない荷重(衝撃)を、L字型サブフレーム3が分担することによって、車両1の安全性能を向上させることができる。
また、L字型サブフレーム3の直立部3cと水平部3dとの屈曲角度3eが略直角であるので、L字型サブフレーム3の屈曲箇所3eに適切な大きさの曲げモーメントを作用させることが可能となり、衝撃吸収性能を向上させることができる。
また、L字型のサブフレーム3が、円形断面で中空のパイプ部材によって構成されているので、衝突の初期段階において、L字型サブフレーム3の屈曲箇所3eが適度に曲げ易くすることができるとともに、衝突の中期段階において、L字型サブフレーム3の水平部3dが入力された衝撃を確実に受け止めることができる。また、L字型サブフレーム3の軽量化を図ることもできる。
また、L字型のサブフレーム3は、ブラケット4を介してサイドメンバ2に固定され、ブラケット4は、L字型サブフレーム3の直立部3cの上方の前方側部分3c−1に対して固着されるとともに、サイドメンバ3に対してボルトにより固定されているので、特に、衝突の初期段階において、L字型サブフレーム3の屈曲箇所3eに対する曲げモーメントの作用を妨げることなく、また、容易に脱着できるように、サイドメンバ2に対してL字型サブフレーム3を取り付けることができる。
また、L字型のサブフレーム3の水平部3dにおいて、ステアリングシャフトに接続されたステアリングギアボックスが取り付けられ、L字型サブフレーム3の水平部3dに荷重が入力されてこの水平部3dが座屈すると、前記のステアリングギアボックスが下方へ変位するように構成されているので、車両の前方が衝突した場合に、ステアリングギアボックスが下方へ変位することによって、ステアリングギアボックスに接続されたステアリングシャフト、および、このステアリングシャフトに接続されたステアリングホイールが突き上げられることがなく、衝突時における安全性、特に、乗員保護性を向上させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
上述の実施形態においては、L字型のサブフレーム3が、円形断面の中空のパイプ部材によって構成された場合について説明したが、このような部材に限定するものではなく、例えば、断面が多角形の中空パイプ部材であっても良いし、中空でない一般的な鋼材を用いてもかまわない。しかしながら、断面が中空のパイプ部材を用いた方が、車両の軽量化および座屈変形の容易性、生産性、コストなどの観点から好ましい。
また、上述の実施形態においては、ブラケット4をL字型サブフレーム3の直立部3cの上方の前方側部分3c―1に対して溶接するとともに、サイドメンバ2の下面に対してボルトにより固定する構成としたが、特にこのような構成に限定するものではない。例えば、ブラケット4をL字型サブフレーム3の直立部3cの上方の前方側部分3c−1に対して十分な強度を持つボルトによって固定しても良いし、また、ブラケット4をサイドメンバ2の下面に対して溶接によって固定しても良い。つまり、ブラケット4を介してサイドメンバ2とL字型サブフレーム3とを接続する場合に、どのような接続手法を用いるにせよ、L字型サブフレーム3の直立部3cの上端の前方側3c−2がサイドメンバ2に対して確実に固定され、一方、直立部3cの上端の後縁がサイドメンバ2に対して固定されていない構成となることが重要である。
一般的な自動車に限らず、工作車両のような特殊車両など種々の車両に対して広く適用可能である。
本発明の一実施形態に係る車体前部構造の構成を示す模式的な斜視図である。 本発明の一実施形態に係る車体前部構造の構成を示す模式的な側面図である。 本発明の一実施形態に係る車体前部構造の構成を示す模式的な側面図であって、衝突実験の結果を示すものである。 本発明の一実施形態に係る車体前部構造の構成を示す模式的な側面図であって、衝突実験の結果を示すものである。 本発明の一実施形態に係る車体前部構造の構成を示す模式的な側面図であって、衝突実験の結果を示すものである。 本発明の一実施形態に係る車体前部構造の構成を示す模式的な側面図であって、衝突実験の結果を示すものである。 一般的な車体前部構造の構成を示す模式的な側面図である。 一般的な車体前部構造の構成を示す模式的な側面図であって、衝突実験の結果を示すものである。
符号の説明
1 車体前部構造
2 フロントサイドメンバ(サイドメンバ)
3 サブフレーム
3c 直立部
3c−1 直立部の上方の前方側
3c−2 直立部の上端の前方側部分
3d 水平部
3e 屈曲箇所
4 ブラケット


Claims (6)

  1. 車長方向に配設されたサイドメンバと、該サイドメンバの下方に設けられ後方で該サイドメンバに接続されるサブフレームとを備えた車体前部構造において、
    側面視において、
    該サブフレームは、該サイドメンバに対して直交して接続される直立部と、該直立部と一体に形成され該直立部の下方の屈曲箇所から後方に屈曲して水平に延在する水平部とから構成され、
    該直立部の上端の前方側部分を介して該サブフレームと該サイドメンバの前端近傍とが接続され且つ、
    該直立部の上端後縁は該サイドメンバに固定されていない
    ことを特徴とする、車体前部構造。
  2. 該サブフレームの該水平部の前端が該サイドメンバの前端よりも後方に位置するように固定されている
    ことを特徴とする、請求項1記載の車体前部構造。
  3. 該サブフレームの該屈曲箇所における該直立部と該水平部との屈曲角度が略直角である
    ことを特徴とする、請求項1または2記載の車体前部構造。
  4. 該サブフレームが、断面中空のパイプ部材によって構成されている
    ことを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項に記載の車体前部構造。
  5. 該サブフレームは、ブラケットを介して該サイドメンバに固定され、
    該ブラケットは、該サブフレームの該直立部の上方の前方側部分に対して固着されるとともに、該サイドメンバに対してボルトにより固定されている
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車体前部構造。
  6. 該サブフレームの該水平部において、操舵装置が取り付けられ、
    該サブフレームの該水平部に対し該水平部の軸線方向に荷重が入力されて該水平部が座屈すると、該操舵装置が下方へ変位するように構成されている
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車体前部構造。



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