JP2009038707A - 復号器、受信装置、符号化データの復号方法及び通信システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、通信路3に伝送された符号化データXnに対して誤り訂正復号を行って復号データを得る復号器5に関する。この復号器5は、復号演算を反復して行う繰り返し復号法によって符号化データXnの誤り訂正復号を行う復号処理部7と、通信路3の伝送特性に基づいて復号演算の反復回数を決定する回数決定部12とを備える。
【選択図】 図3
Description
このLDPC符号では、白色ガウス通信路のシャノン(Shannon)限界まで、0.004dBという復号特性が得られることが知られている。また、sum-product復号法は、並列処理による復号処理を実行するため、符号長を長くすることができるとともに処理能力を向上させることができる。また、復号法としては、sum-product復号法を簡略化した、min-sum復号法も知られている。
かかる特許文献1に記載の復号装置では、行処理及び列処理の演算処理は、反復して繰り返し行われる。そして、行処理及び列処理の繰り返し回数が所定値に到達すると、行処理及び列処理の反復が終了する。
しかし、特許文献1に記載の復号装置では、復号演算の反復回数が復号器に固定的に組み込まれているので、通信路の状況によって反復回数が少なすぎたり多すぎたりする事態が発生し、この結果、所定品質の復号が行えなかったり、レイテンシー(遅延)や不必要な電力消費が生じたりすることがあった。
このため、反復回数が少なすぎて所定品質の復号が行われなかったり、反復回数が多すぎてレイテンシーや不必要な電力消費が生じたりするのを未然に防止でき、繰り返し復号法による誤り訂正復号を効率的に行うことができる。
なお、符号化データのノイズ特性は、伝送路で混入されたノイズを数量的に評価できる指標であればよく、例えば、信号ノイズ比(SNR)がこれに含まれることは勿論、ノイズパワーやノイズ量もこれに含まれる。
上記復号器によれば、復号演算の反復回数を決定するためのパラメータである符号化データのノイズ特性を、その符号化データに含まれるパイロット信号を用いて算出するので、反復回数を決定するためのノイズ特性を復号器内で自立的に求めることができ、実装が簡単である。
そこで、本発明の復号器において、前記復号データのエラー特性を外部から入力するための入力ポートを更に設け、前記通信路の伝送特性を、前記入力ポートに入力された前記復号データのエラー特性で特定することにしてもよく、この場合には、前記回数決定部は前記復号データのエラー特性に基づいて復号演算の反復回数を決定することになる(請求項3)。
なお、復号データのエラー特性は、復号データに含まれるエラーを数量的に評価できる指標であればよく、例えば、誤り率がこれに含まれることは勿論、復号データに含まれるエラー量もこれに含まれる。
この場合、回数決定部が上記多い方の反復回数を選択するので、片方のパラメータの変動のみに依拠して復号演算の反復回数が絞られることがなくなり、復号品質を維持することができる。
また、本発明の復号方法(請求項6)は、通信路に伝送された符号化データに対して、繰り返し復号法による誤り訂正復号を行って復号データを得る符号化データの復号方法あって、前記伝送路の伝送特性に基づいて復号演算の反復回数を決定してから、前記繰り返し復号法による誤り訂正復号を行うことを特徴とする。
このため、反復回数が少なすぎて所定品質の復号が行われなかったり、反復回数が多すぎてレイテンシーや不必要な電力消費が生じたりするのを未然に防止でき、繰り返し復号法による誤り訂正復号を効率的に行うことができる。
〔第一実施形態〕
図1は、本発明の第一実施形態に係る復号器を有する、通信システムの構成例を示す図である。図1に示すように、この通信システムは、符号化データを送信する送信装置(送信側通信装置)Sと、符号化データを受信して復号する受信装置(受信側通信装置)Rとを備えている。
符号化器1は、Kビットの情報に対し、パリティ計算用の冗長ビットMビットを付加して、(K+M)ビットのLDPC(低密度パリティ検査)符号化データを生成する。低密度パリティ検査行列においては、行が冗長ビットに対応し、列が符号ビットに対応する。
変調器2は、この通信路3の構成に応じて、振幅変調、位相変調、コード変調、周波数変調または直交周波数分割多重変調などの変調を行なう。
復調器4は、この通信路3における送信形態に応じて復調処理を行なう。例えば、振幅変調、位相変調、コード変調、周波数変調および直交周波数分割多重変調等の場合、復調器4において、振幅復調、位相復調、コード復調、および周波数復調等の処理が行なわれる。
図2において、上述のように、通信路3が光ファイバの場合、変調器2においては、送信データが“0”のときには、”1”に変換され、送信用のレーザダイオード(発光ダイオード)の発光強度が強くなり、また送信データビットが“1”のときには、”−1”に変換され、レーザダイオードの発光強度を弱くして送信する。
図2においては、8段階に受光レベルが量子化された場合の受信信号強度を示す。すなわち、受光レベルがデータ“7”のときには、発光強度がかなり強く、受光レベルが“0”のときには、光強度がかなり弱い状態である。
復号器5は、この復調器4から与えられた(K+M)ビットの受信符号化データ(各ビットは、多値情報を含む)の入力を受け、sum-product復号法又はmin-sum復号法に従ってLDPCパリティ検査行列を適用して、元のKビットの情報を復元する。
また、図2においては、比較器を用いて、ある閾値を使って受信信号のレベルを判定し、2値信号を生成してもよい。
この図3においては、復調器4および通信路3も併せて示している。
復調器4は、通信路3から与えられた信号を復調する復調回路4aと、この復調回路4aにより生成されたアナログ復調信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路4bを含み、このアナログ/デジタル変換回路4bの出力データ(符号化データ)Xnが復号器5へ与えられる。
復号器5へ与えられる符号化データXnはL値(L≧2)のデータである。この符号化データXnは多値量子化データであるため、以下においては、当該データXnをシンボルと称することがある。
また、復号器5は、復調器4からの復調シンボルXnの対数尤度比λnを生成する対数尤度比算出部6と、上記復号処理を行う復号処理部(単に、「処理部」ともいう。)7とを含む。
しかし、本実施形態においては、この対数尤度比算出部6は、バッファ回路または定数乗算回路で形成され、対数尤度比λnは、Xn・fで与えられる。ここで、fは非ゼロの正の数である。
具体的には、行処理部9が、式(1)による外部値対数比(第1変数)αmnを算出する演算を行い、列処理部10が、式(2)による事前値対数比βmnを算出する演算を行う。
また、αおよびβの行列内の位置を示す添え字“mn”は、通常は下付文字で示されるが、本明細書においては、読みやすさのために、「横並びの文字」で示す。
式(1)中において、fはギャラガ(Gallager)のf関数であり、関数sign(x)は次の式(3)で定義される。
A(m)={n:Hmn=1} …(4)
B(n)={m:Hmn=1} …(5)
より具体的に説明するために、例えば図4に示す検査行列Hを考える。
この図4の検査行列Hにおいては、第1行の第1列から第3列に“1”が立ち、また第2行の第3列および第4列に“1”が立ち、また第3行の第4列から第6列に、“1”が立つ。従って、この場合、部分集合A(m)は以下のようになる。
A(2)={3,4}
A(3)={4,5,6}
B(1)=B(2)={1}
B(3)={1,2}
B(4)={2,3}
B(5)=B(6)={3}
すなわち、図5に示すように、変数ノード1,2,3は、チェックノードX(第1行)に接続され、変数ノード3,4が、チェックノードY(第2行)に接続される。変数ノード4,5,6が、チェックノードZ(第3行)に接続される。
LDPCの検査行列Hでは、“1”の数は少なく、低密度の検査行列であり、これにより、計算量を低減できる。この変数ノードとチェックノードの間で各条件確率P(Xi|Yi)を伝播させ、MAPアルゴリズムに従って、尤もらしい符号を各変数ノードについて決定する。ここで、条件付確率P(Xi|Yi)は、Yiの条件下でXiとなる確率を示す。
この判定部11は、行処理及び列処理の反復回数が、終了回数に達したか否かを判定し、行処理と列処理の繰り返し回数が終了回数に達すると、復号処理部7による復号変算の反復を終了させる。
具体的には、判定部11は、次の式(6)に従ってQnを算出する。
回数決定部12は、符号化データXnのヘッダ部等に含まれるパイロット信号を抽出する抽出回路と、この抽出回路で抽出したパイロット信号の正否をカウントして符号化データXnの信号ノイズ比を演算する演算回路とを備えており、復調器4から入力される符号化データXnから信号ノイズ比を自立的に算出できるようになっている。
図6に示す例では、信号ノイズ比が2dB以下であれば、通信路3の伝送特性が悪いため、反復回数が比較的多い20回に設定される。また、信号ノイズ比が2〜6dBの範囲内であれば、通信路3の伝送特性が普通であるため、反復回数が通常の8回に設定される。更に、信号ノイズ比が6dB以上であれば、通信路3の伝送特性が良いため、反復回数が比較的少ない4回に設定される。
このため、反復回数が少なすぎて所定品質の復号が行われなかったり、反復回数が多すぎてレイテンシーや不必要な電力消費が生じたりするのを未然に防止でき、繰り返し復号法による誤り訂正復号を効率的に行うことができる。
なお、上記第一実施形態において、符号化データXnのノイズ特性として、信号ノイズ比(SNR)の代わりにノイズパワー又はノイズ量を算出し、この指標に基づいて反復回数を決定するようにしてもよい。
図7及び図8は、本発明の第二実施形態に係る復号器5を有する、受信装置Rの構成例を示す図である。
この第二実施形態の復号器5が第一実施形態のそれと異なる点は、復号データCnの誤り率を外部から入力するための入力ポート5cを更に備えており、回数決定部12が、符号化データXnのノイズ特性である信号ノイズ比だけでなく、上記入力ポート5cに入力された復号データCnの誤り率によっても、復号演算の反復回数を決定可能になっている点にある。
この端末装置40は、復号データCnから算出した誤り率の情報Txを通信制御部30に送り、この情報Txは前記入力ポート5cから復号器5の回数決定部12に入力されるようになっている。
例えば図10に示すように、符号化データXnの信号ノイズ比と復号データCnの誤り率は、一般に、前者が増加すると後者が減少する一対一対応の関係にある。そこで、図9に示すルックアップテーブル14では、符号化データXnの信号ノイズ比の範囲に対応する復号データCnの誤り率の範囲と、それらのパラメータが当該範囲にある場合の復号演算の反復回数がそれぞれ規定されている。
このように、本実施形態の復号器5によれば、復号データCnの誤り率からも復号演算の反復回数を決定可能になっているので、復号処理部7の復号結果を、復号演算の反復回数の決定に際してフィードバックすることができる。
なお、上記第二実施形態において、復号データCnの誤り率のみに基づいて復号演算の反復回数を決定するようにしてもよい。
また、上記第二実施形態において、復号データCnのエラー特性として、誤り率の代わりに当該復号データCnに含まれるエラー量を算出し、この指標に基づいて反復回数を決定するようにしてもよい
ところで、上記各実施形態の通信システムにおいて、復号演算の反復回数を多くすると通信品質は向上するが、反復回数を余り多くしても遅延によって伝送速度が高速にできない場合があり、従って、伝送速度と反復回数はトレードオフの関係にある。
そこで、伝送速度×(1−誤り率)を評価関数とし、この評価関数が最大となるように伝送速度と復号演算の反復回数を決定する制御ロジックを、回数決定部12に行わせるようにしてもよい。
この場合、正常に届くデータのビット数が最大になるように反復回数を決定することになるので、伝送速度との関係をも考慮して反復回数をより適切に決定することができる。
一方、ブロードキャスト通信のような単方向の通信環境を想定すると、この場合には受信装置R側の通信品質を考慮するよりも、送信装置S側が一様なデータを放送することが重要視される。
そこで、このような場合には、各受信装置Rの品質よりも伝送速度をより優先し、次のような制御を行う通信システムとすることが推奨される。
そして、受信装置Rでは、送信装置Sで決定された上限値の範囲内で、所望の通信品質が得られるように反復回数を決定する。なお、消費電力の低減を重視する場合には、上記で決定された上限値の範囲内で、反復回数を最小に設定することにしてもよい。
他方、1対1の双方向通信の場合を想定すると、この場合には通信品質が重要視されることから、まず所望の通信品質が得られるように反復回数を決定してから、その決定した反復回数をもとに伝送速度を決定するようにすればよい。
例えば、繰り返し復号法による復号器としては、LDPCの復号器に限らず、ターボ復号器など他の繰り返し復号法による復号器であってもよい。
4a:復調回路 4b:アナログ/デジタル変換回路
5:復号器 5a:符号化データ入力ポート 5b:復号データ出力ポート
5c:誤り率入力ポート
6:対数尤度比算出部 7:復号処理部 9:行処理部 10:列処理部
11:判定部 12:回数決定部 13:ルックアップテーブル
14:ルックアップテーブル 30:通信制御部 40:端末装置
S:送信装置 R:受信装置 Xn:符号化データ Cn:復号データ
Claims (7)
- 通信路に伝送された符号化データに対して誤り訂正復号を行って復号データを得る復号器であって、
復号演算を反復して行う繰り返し復号法によって前記符号化データの誤り訂正復号を行う復号処理部と、
前記通信路の伝送特性に基づいて復号演算の反復回数を決定する回数決定部とを備えていることを特徴とする復号器。 - 前記通信路の伝送特性は前記符号化データのノイズ特性であり、
前記回数決定部は前記符号化データに含まれるパイロット信号を用いて算出した前記符号化データのノイズ特性に基づいて復号演算の反復回数を決定する請求項1に記載の復号器。 - 前記復号データのエラー特性を外部から入力するための入力ポートを更に備え、
前記通信路の伝送特性は前記入力ポートに入力された前記復号データのエラー特性であり、
前記回数決定部は前記復号データのエラー特性に基づいて復号演算の反復回数を決定する請求項1に記載の復号器。 - 前記復号データのエラー特性を外部から入力するための入力ポートを更に備え、
前記通信路の伝送特性は前記符号化データのノイズ特性と、前記入力ポートに入力された前記復号データのエラー特性であり、
前記回数決定部は、前記符号化データのノイズ特性に基づいて特定される復号演算の反復回数と、前記復号データのエラー特性に基づいて特定される復号演算の反復回数のうち多い方の反復回数を選択する請求項1に記載の復号器。 - 通信路に伝送された符号化データを受信して復号する受信装置であって、
受信した前記符号化データをデジタル復調する復調器と、
復調された前記符号化データのデジタル信号を復号する請求項1〜4のいずれか1項に記載の復号器とを備えていることを特徴とする受信装置。 - 通信路に伝送された符号化データに対して、繰り返し復号法による誤り訂正復号を行って復号データを得る符号化データの復号方法あって、
前記伝送路の伝送特性に基づいて復号演算の反復回数を決定してから、前記繰り返し復号法による誤り訂正復号を行うことを特徴とする符号化データの復号方法。 - 符号化データを通信路に送信する送信装置と、送信された前記符号化データを受信して復号する受信装置とを備え、この受信装置が、受信した前記符号化データに対して繰り返し復号法を行って復号データを得る復号器を有する通信システムであって、
前記受信装置が、前記伝送路の伝送特性に基づいて復号演算の反復回数を決定してから、前記繰り返し復号法よる誤り訂正復号を行うこと特徴とする通信システム。
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