以下に、本開示の実施の形態にかかる光通信システムおよび光通信方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態によって本開示の技術的範囲が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる光通信システム1の構成を示す図である。光通信システム1は、送信部10と、送信部10が出力する光信号を分岐させる光分岐部として機能する光カプラ20と、光カプラ20により分岐後の光信号を受信する複数の受信部30-1,30-2とを有する。受信部30-1は、通常運用時に稼働する現用系であり、受信部30-2は、通常運用時に待機している予備系である。現用系の受信部30-1は、誤り訂正復号化部40-1と、通信断検出部50とを有する。予備系の受信部30-2は、誤り訂正復号化部40-2を有する。
以下、複数の受信部30-1,30-2のそれぞれを区別する必要がない場合、単に受信部30と称することがある。なお、以下の説明中において、複数の受信部30のそれぞれを受信部30-1,30-2と称するように、同様の機能を有する複数の構成要素のそれぞれを区別する場合、共通の符号の後にハイフンに続いて異なる数字を付して示すことがある。
送信部10は、伝送する情報に対して、誤り訂正符号化処理を施して光信号として出力する。送信部10が使用する誤り訂正符号は、例えばLow Density Parity Check符号など、復号の繰り返し数に応じた訂正性能が得られる誤り訂正符号である。送信部10が出力する光信号は、光カプラ20に入力される。
光カプラ20は、送信部10が出力した光信号を1:1(3dB)の対称な分岐比ではなく、例えば1:10(10dB)などの非対称な分岐比で分岐させる光分岐部である。分岐後の複数の光信号のうち、分岐比が最大の光信号を第1の光信号と称し、分岐比が最大でない光信号を第2の光信号と称する。また、第1の光信号を伝送する信号経路を第1の信号経路60と称し、第2の光信号を伝送する信号経路を第2の信号経路61と称する。分岐比が最大である第1の光信号を伝送する第1の信号経路60は現用系の受信部30-1に接続されており、第2の信号経路61は予備系の受信部30-2に接続されている。
受信部30は、第1の光信号および第2の光信号の少なくとも一方の光信号を受信する。具体的には、実施の形態1においては、受信部30-1は、第1の光信号を受信し、受信部30-2は、第2の光信号を受信する。このように送信部10が出力した共通の光信号から分岐された第1の光信号と第2の光信号とは異なる受信部30で受信されることになる。
誤り訂正復号化部40は、複数の受信部30のそれぞれに対応して設けられ、対応する受信部30が受信した光信号を誤り訂正復号化する機能を有する。具体的には、誤り訂正復号化部40-1は、現用系の受信部30-1に対応して設けられ、受信部30-1が受信した第1の光信号を誤り訂正復号化することができる。誤り訂正復号化部40-2は、予備系の受信部30-2に対応して設けられ、受信部30-2が受信した第2の光信号を誤り訂正復号化することができる。誤り訂正復号化部40は、誤り訂正復号化の繰り返し数を変更する機能を有しており、設定された繰り返し数で光信号を誤り訂正復号化する。繰り返し数が大きいほど、誤り訂正性能は向上するが、処理負荷が増大して消費電力が増加する。このため、繰り返し数を調整することによって、誤り訂正性能、処理負荷、および消費電力を調整することが可能である。誤り訂正性能は、情報を正しく伝達できる程度に高いことが望ましく、処理負荷および消費電力は低く抑えることが望ましい。このため、繰り返し数は、各受信部30の受信した光信号の状態に合わせて、情報を正しく伝達できる最低限の回数とすることが望ましい。したがって、光通信システム1が有する複数の誤り訂正復号化部40のそれぞれは、処理対象の光信号の分岐比が高いほど少ない繰り返し数で誤り訂正復号化する。
なお、誤り訂正復号化部40は、光通信システム1の構成および光通信システム1を構成する各部の特性に基づいて、繰り返し数を予め計算して決定しておくことができる。
通信断検出部50は、第1の光信号を受信する現用系の受信部30-1の通信断を検出すると、第1の光信号と共通の光信号から分岐された第2の光信号を受信する受信部30-2に対応する誤り訂正復号化部40-2に通信断を通知する。言い換えると、通信断検出部50は、現用系の受信部30-1の通信断を検出し、現用系の受信部30-1が受信する第1の光信号と送信元が同じである第2の光信号を受信する予備系の受信部30-2に通信断を通知する。また通信断検出部50は、現用系の受信部30-1で受信した光信号と予備系の受信部30-2で受信した光信号とのいずれかを選択して後段に出力する。
現用系の受信部30-1に対応する誤り訂正復号化部40-1は、通常運用時に第1の光信号を誤り訂正復号化する。予備系の受信部30-2に対応する誤り訂正復号化部40-2は、通信断を通知されていない通常運用時には停止しており第2の光信号を誤り訂正復号化せず、通信断を通知されたときには第2の光信号を誤り訂正復号化する。このとき、誤り訂正復号化部40-1,40-2のそれぞれが誤り訂正復号化するときの繰り返し数は、処理対象の光信号の分岐比が高いほど少なく設定することができる。具体的には、誤り訂正復号化部40-2は、誤り訂正復号化部40-1が第1の光信号を誤り訂正復号化するときの繰り返し数よりも多い繰り返し数で第2の光信号を誤り訂正復号化する。現用系の受信部30-1が受信する第1の光信号は、第2の光信号よりも分岐比が大きいため、信号劣化が小さく、第2の光信号を復号化する際よりも繰り返し数を少なくすることができる。
以上説明したように、実施の形態1にかかる光通信システム1は、光カプラ20が非対称な分岐比で送信部10が出力する光信号を分岐させ、分岐後の複数の光信号のうち分岐比が最大である第1の光信号が現用系の受信部30-1で受信され、分岐比が最大でない第2の光信号が予備系の受信部30-2で受信される。このため、現用系の光信号の信号強度を維持することが可能になる。また、複数の誤り訂正復号化部40のうち、処理対象の光信号が第1の光信号である誤り訂正復号化部40-1は、処理対象の光信号が第2の光信号である誤り訂正復号化部40-2よりも少ない繰り返し数で誤り訂正復号化処理を行う。このため、光通信システム1において、第1の光信号を誤り訂正復号化する際の消費電力を低減することができる。また、光通信システム1によれば、第2の光信号の信号強度は第1の光信号と比較して低く、誤り訂正復号化する際の繰り返し数は多くなるため、予備系において第2の光信号を誤り訂正復号化する際の消費電力は増大する。しかしながら、一般的な通信システムにおいて、運用期間中、現用系が稼働している時間は99.999%以上を占めるため、予備系に切り替わった期間は一時的に消費電力が増大したとしても、運用時間全体としては、消費電力を低減することが可能になる。したがって、光カプラ20を用いて光信号を分岐させて冗長系を構成する光通信システム1において、誤り率を低下させつつ、消費電力を低減することが可能になる。
図2は、実施の形態1の第1の変形例にかかる光通信システム1-1の構成を示す図である。光通信システム1-1は、送信部10と、光カプラ20と、受信部31-1,31-2と、信号強度測定部70-1,70-2とを有する。受信部31-1は、分岐比が最大である第1の信号経路60に接続されており、受信部31-2は、分岐比が最大でない第2の信号経路61に接続されている。光通信システム1-1の構成要素のうち、光通信システム1と同様の部分については同じ符号を用いることで、以下では詳細な説明を省略し、光通信システム1と異なる部分について主に説明する。光通信システム1では、誤り訂正復号化部40が使用する繰り返し数は予め決定しておくこととしたが、光通信システム1-1は、繰り返し数を決定する機能を有する。
受信部31-1は、誤り訂正復号化部40-1と、通信断検出部50と、誤り訂正復号化部40-1が実行する誤り訂正復号化の繰り返し数を決定する制御部71-1とを有する。受信部31-2は、誤り訂正復号化部40-2と、誤り訂正復号化部40-2が実行する誤り訂正復号化の繰り返し数を決定する制御部71-2とを有する。信号強度測定部70は、複数の受信部31のそれぞれが受信する光信号の信号強度を測定し、測定値を制御部71に出力する。具体的には、信号強度測定部70-1は、第1の信号経路60を伝送される第1の光信号の信号強度を測定し、測定値を制御部71-1に出力する。信号強度測定部70-2は、第2の信号経路61を伝送される第2の光信号の信号強度を測定し、測定値を制御部71-2に出力する。
制御部71は、信号強度測定部70が出力する信号強度の測定値に基づいて、誤り訂正復号化部40が実行する誤り訂正復号化処理の繰り返し数を決定する。制御部71は、信号強度の測定値が高いほど繰り返し数を少なくすることができる。
第1の変形例のように、実際の信号強度の測定値に基づいて、誤り訂正復号化部40が実行する誤り訂正復号化の繰り返し数を決定することによって、システムの構成および状態に合わせて、適切な繰り返し数を使用して、誤り訂正復号化処理を行うことが可能になる。
図3は、実施の形態1の第2の変形例にかかる光通信システム1-2の構成を示す図である。光通信システム1-2は、送信部10と、光カプラ20と、受信部32-1,32-2とを有する。受信部32-1は、分岐比が最大である第1の信号経路60に接続されており、受信部32-2は、分岐比が最大でない第2の信号経路61に接続されている。現用系の受信部32-1は、誤り訂正復号化部40-1と、通信断検出部50と、繰返し試行部72-1とを有する。予備系の受信部32-2は、誤り訂正復号化部40-2と、繰返し試行部72-2とを有する。光通信システム1-2の構成要素のうち、光通信システム1と同様の部分については同じ符号を用いることで、以下では詳細な説明を省略し、光通信システム1と異なる部分について主に説明する。
繰返し試行部72は、例えば起動時に、誤り訂正復号化部40に、異なる複数の繰り返し数で繰り返し誤り訂正復号化を試行させた結果に基づいて、誤り訂正復号化部40が使用する繰り返し数を決定し、決定した繰り返し数を記憶しておく。具体的には、繰返し試行部72は、繰り返し数を、設定可能な最小値から順に増加していき、誤り訂正復号化処理の結果が訂正不可とならない状態が安定した時点で、その時点の繰り返し数を保持する。誤り訂正復号化部40は、以降、保持された繰り返し数を使用して、誤り訂正復号化処理を行う。また、繰返し試行部72は、起動時に繰り返し数を決定した後、定期的に上記の処理を繰り返して、使用する繰り返し数を更新してもよい。また、第2の光信号が入力される予備系の受信部32-2の繰返し試行部72-2では、現用系の受信部32-1に通信断が生じて、予備系の誤り訂正復号化部40-2の回路が起動した時点で、繰り返し数を決定してもよい。
第2の変形例のように、実際に誤り訂正復号化処理を行った結果に基づいて繰り返し数を決定することで、システムの構成および状態に合わせて、適切な繰り返し数を使用して、誤り訂正復号化処理を行うことが可能になる。信号強度など処理対象の光信号の状態を示す値に基づいて繰り返し数を決定する場合であっても、システムの状態に合わせた処理を行うことは可能であるが、実際に誤り訂正復号化処理を行った結果に基づいて繰り返し数を決定する方が、より適切な繰り返し数を決定することができる。したがって、必要な誤り訂正性能を維持しつつ、消費電力を低下させることが可能になる。また、繰り返し数を決定する処理を繰り返して行うことによって、システムの状態が変化した場合であっても、状態変化に合わせた繰り返し数を使用することが可能になる。
図4は、実施の形態1の第3の変形例にかかる光通信システム1-3の構成を示す図である。光通信システム1-3は、送信部10と、光カプラ20と、受信部33-1,33-2とを有する。受信部33-1は、分岐比が最大である第1の信号経路60に接続されており、受信部33-2は、分岐比が最大でない第2の信号経路61に接続されている。現用系の受信部33-1は、誤り訂正復号化部40-1と、通信断検出部50と、フレーム識別部73-1とを有する。予備系の受信部33-2は、誤り訂正復号化部40-2と、フレーム識別部73-2とを有する。光通信システム1-3の構成要素のうち、光通信システム1と同様の部分については同じ符号を用いることで、以下では詳細な説明を省略し、光通信システム1と異なる部分について主に説明する。
光通信システム1-3は、光カプラ20に入力される光信号が、ITU-T G.984、IEEE802.3ahなどで規定されるPON(Passive Optical Network)に対応する複数の送信機からの複数の光信号が時間多重された信号である。
フレーム識別部73は、入力される光信号のフレームヘッダなどから、光信号の送信元である送信器情報、制御タイミングを示す情報などに基づいて、受信フレーム単位で誤り訂正復号化部40の繰り返し数を設定する。
なお、ここでは複数の光信号が時間多重された信号を受信した場合、受信フレーム単位で誤り訂正復号化部40の繰り返し数を設定する例について記載したが、誤り訂正復号化部40は、受信信号に含まれる複数の光信号のそれぞれに適した複数の繰り返し数のうち最大の繰り返し数を使用すれば、受信フレーム毎に設定する処理を省略することができる。
図5は、実施の形態1の第4の変形例にかかる光通信システム1-4の構成を示す図である。光通信システム1-4は、送信部10と、光カプラ20と、受信部34-1,34-2とを有する。受信部34-1は、分岐比が最大である第1の信号経路60に接続されており、受信部34-2は、分岐比が最大でない第2の信号経路61に接続されている。現用系の受信部34-1は、誤り訂正復号化部40-1と、通信断検出部50と、増幅部74-1とを有する。予備系の受信部34-2は、誤り訂正復号化部40-2と、増幅部74-2とを有する。光通信システム1-4の構成要素のうち、光通信システム1と同様の部分については同じ符号を用いることで、以下では詳細な説明を省略し、光通信システム1と異なる部分について主に説明する。
増幅部74は、入力される光信号を、出力する信号の強度が一定となるように調整した利得で増幅し、増幅後の信号を誤り訂正復号化部40に出力する。増幅部74は、光信号を増幅する光増幅器を有してもよいし、光信号を光電変換する光電変換素子と光電変換後の電気信号を増幅する電気増幅部とを有してもよい。増幅部74は、増幅後の信号を誤り訂正復号化するときの繰り返し数を、調整後の利得に基づいて決定する。具体的には、増幅部74-1は、第1の光信号を増幅して誤り訂正復号化部40-1に出力すると共に、誤り訂正復号化部40-1が使用する繰り返し数を、第1の光信号を増幅したときの利得に基づいて決定する。増幅部74-2は、第2の光信号を増幅して誤り訂正復号化部40-2に出力すると共に、誤り訂正復号化部40-2が使用する繰り返し数を、第2の光信号を増幅したときの利得に基づいて決定する。誤り訂正復号化部40は、増幅部74の利得に基づいて設定された繰り返し数で、入力された信号を誤り訂正復号化することになる。
なお、増幅部74が利得に基づいて繰り返し数を決定する具体的な方法は、例えば、利得に対応する繰り返し数を予めメモリなどに記憶しておき、増幅時の利得の値に対応する繰り返し数を、メモリに記憶された情報から抽出する方法などが挙げられる。或いは、増幅部74は、利得と繰り返し数との関係を示す計算式に、増幅時の利得を代入して、繰り返し数を求めるようにしてもよい。
光通信システム1,1-1~1-4では、光カプラ20は、入力された光信号を2つの光信号に分岐させることとしたが、3つ以上の光信号に分岐させてもよい。この場合、例えば、10:1:1と分岐数の多い導波路を用いて分岐比が最大の出力を現用系に接続する構成としてもよいし、例えば、10:1カプラで光信号を分岐した後に、分岐比が大きい出力を現用系に接続して分岐比が小さい出力をさらにカプラ分岐して複数の予備系に接続する構成としてもよい。前者の構成の場合には、現用系に入力される光信号の強度は予備系の数が増えるほど少しずつではあるが減少するため、予備系の数が増えるほど現用系の消費電力は増加していく。これに対して後者の構成では、現用系に入力される光信号の強度は予備系の数によらないため、2以上に予備系の数を増加させたとしても現用系の消費電力が増加しないという利点がある。
なお、予備系の受信部30-2~34-2は、現用系の受信部30-1~34-1で通信が成立しており通信断が検出されていない間、受信システム全体を停止してもよいし、誤り訂正回路のみを停止してもよい。受信システム全体を停止する場合、誤り訂正回路のみを停止する場合と比較して、予備系への切替えにかかる時間が長くなるが、消費電力を低減することが可能になる。誤り訂正回路のみを停止する場合、受信システム全体を停止する場合と比較して、消費電力は大きくなるが、予備系への切り替えに係る時間を短くすることが可能になる。
実施の形態2.
実施の形態1では、冗長化する信号が単一であり、受信部30は予め現用系であるか予備系であるか定まっている場合の構成について説明したが、実施の形態2では、複数の信号を時間多重により同時に冗長化する構成について説明する。なお、以下では実施の形態1と同様の構成については詳細な説明を省略し、実施の形態1と異なる部分について主に説明する。
図6は、実施の形態2にかかる光通信システム2の構成を示す図である。光通信システム2は、複数の送信部10と、複数の送信部10のそれぞれに対応して設けられ、対応する送信部10が出力する光信号を分岐させる光分岐部として機能する複数の光カプラ20と、複数の受信部35と、複数の受信部35のそれぞれに対応して設けられ、複数の光カプラ20のそれぞれが出力する複数の光信号を結合して対応する受信部35に入力する光結合部として機能する光カプラ80とを有する。
具体的には、光通信システム2は、2つの送信部10-1,10-2と、2つの受信部35-1,35-2とを有する。光カプラ20-1は、送信部10-1に対応して設けられ、光分岐部として機能し、送信部10-1が出力する光信号を2つの光信号に非対称な分岐比で分岐させる。光カプラ20-1の出力のうち分岐比が大きい第1の信号経路60-1は光カプラ80-1に接続されており、光カプラ20-1の出力のうち分岐比が小さい第2の信号経路61-1は光カプラ80-2に接続されている。光カプラ20-2は、送信部10-2に対応して設けられ、光分岐部として機能し、送信部10-2が出力する光信号を2つの光信号に非対称な分岐比で分岐させる。光カプラ20-2の出力のうち分岐比が大きい第1の信号経路60-2は光カプラ80-1に接続されており、光カプラ20-2の出力のうち分岐比が小さい第2の信号経路61-2は光カプラ80-2に接続されている。
送信部10-1,10-2のそれぞれは、伝送する情報に対して復号の繰り返し数に応じた訂正性能が得られる誤り訂正符号を施した上で光信号として出力する。送信部10-1のバースト出力時間が送信部10-2のバースト出力時間と重ならないように、送信部10-1,10-2のそれぞれは光信号を出力する。
光カプラ80は、入力される複数の光信号を結合して、対応する受信部35に入力する。具体的には、光カプラ80-1には、送信元が送信部10-1である第1の光信号と、送信元が送信部10-2である第1の光信号とが入力される。受信部35-1に入力される信号は、複数の第1の光信号が含まれることになる。光カプラ80-2には、送信元が送信部10-1である第2の光信号と、送信元が送信部10-2である第2の光信号とが入力される。受信部35-2に入力される信号は、複数の第2の光信号が含まれることになる。したがって、受信部35-1は、送信部10-1にとっての現用系として機能すると共に、送信部10-2にとっての現用系としても機能する。また、受信部35-2は、送信部10-1にとっての予備系として機能すると共に、送信部10-2にとっての予備系としても機能する。
受信部35-1は、誤り訂正復号化部42-1と、通信断検出部50とを有する。受信部35-2は、誤り訂正復号化部42-2を有する。現用系の受信部35-1に入力される信号の強度は、予備系の受信部35-2に入力される信号の強度よりも高くなるため、受信部35-1の誤り訂正復号化部42-1の繰り返し数は、受信部35-2の誤り訂正復号化部42-2の繰り返し数よりも少なくすることができる。予備系として機能する受信部35-2の誤り訂正復号化部42-2は、通信断検出部50から受信部35-1の通信断を通知されていない通常運用時には誤り訂正復号化処理を行わずに停止しており、受信部35-1の通信断を通知されたときにのみ稼働して誤り訂正復号化処理を行う。
図6では1つの現用系の受信部35-1と、1つの予備系の受信部35-2とを有する光通信システム2を示したが、複数の信号を時間多重により同時に冗長化する構成においても、予備系の受信部35を2つ以上とすることもできる。この場合、光カプラ20-1,20-2の分岐数を増やしてもよいし、2つの光信号に分岐させる光カプラ20-1,20-2の出力のうち分岐比が低い方の出力に、別の光カプラを接続してさらに光信号を分岐させてもよい。以下、予備系の受信部35を2つ有する光通信システム2-1において、光カプラ20-1,20-2の分岐数を増やす構成について説明する。
図7は、実施の形態2の第1の変形例にかかる光通信システム2-1の構成を示す図である。光通信システム2-1は、2つの送信部10-1,10-2と、送信部10-1,10-2のそれぞれに対応して設けられる光カプラ20-1,20-2と、3つの受信部35-1,35-2,35-3と、受信部35-1,35-2,35-3のそれぞれに対応して設けられる光カプラ80-1,80-2,80-3とを有する。以下、光通信システム2と異なる部分について主に説明する。
光カプラ20は、入力される光信号を3つの光信号に分岐させる。このとき光カプラ20は、非対称な分岐比で光信号を分岐させる。「非対称」とは、分岐比が1:1:1ではないことを指す。例えば、光カプラ20-1,20-2のそれぞれは、分岐比が10:1:1である。光カプラ20-1による分岐後の3つの光信号のうち、分岐比が最大の第1の光信号は、第1の信号経路60-1に入力される。第1の信号経路60-1は、光カプラ80-1に接続される。また光カプラ20-1による分岐後の3つの光信号のうち、分岐比が最大でない2つの第2の光信号は、第2の信号経路61-1,62-1のそれぞれに入力される。第2の信号経路61-1は、光カプラ80-2に接続され、第2の信号経路62-1は、光カプラ80-3に接続される。光カプラ20-2による分岐後の3つの光信号のうち、分岐比が最大の第1の光信号は、第1の信号経路60-2に入力される。第1の信号経路60-2は、光カプラ80-1に接続される。また光カプラ20-2による分岐後の3つの光信号のうち、分岐比が最大でない2つの第2の光信号は、第2の信号経路61-2,62-2のそれぞれに入力される。第2の信号経路61-2は、光カプラ80-2に接続され、第2の信号経路62-2は、光カプラ80-3に接続される。
光カプラ80は、入力される複数の光信号を結合して、対応する受信部35に出力する。光カプラ80-1は、第1の信号経路60-1,60-2を介して入力される2つの第1の光信号を結合して、受信部35-1に出力する。光カプラ80-2は、第2の信号経路61-1,61-2を介して入力される2つの第2の光信号を結合して、受信部35-2に出力する。光カプラ80-3は、第2の信号経路62-1,62-2を介して入力される2つの第2の光信号を結合して、受信部35-3に出力する。
受信部35-1は、誤り訂正復号化部42-1と、通信断検出部50-1とを有する。受信部35-2は、誤り訂正復号化部42-2と、通信断検出部50-2とを有する。受信部35-3は、誤り訂正復号化部42-3を有する。通信断検出部50-1は、受信部35-1の通信断を検出すると、誤り訂正復号化部42-2,42-3のそれぞれに通信断を通知する。通信断検出部50-2は、受信部35-2の通信断を検出すると、誤り訂正復号化部42-3に通信断を通知する。予備系として機能する受信部35-3の誤り訂正復号化部42-3は、通信断検出部50-1,50-2から受信部35-1,35-2の通信断を通知されていない通常運用時には誤り訂正復号化処理を行わずに停止しており、受信部35-1,35-2の両方の通信断を通知されたときにのみ稼働して誤り訂正復号化処理を行う。
誤り訂正復号化部42-2は、誤り訂正復号化部42-1の繰り返し数よりも多い繰り返し数で誤り訂正復号化処理を行う。なお、第2の信号経路62-1を伝送される光信号の分岐比が第2の信号経路61-1を伝送される光信号の分岐比よりも小さい場合、誤り訂正復号化部42-3は、誤り訂正復号化部42-2の繰り返し数よりも多い繰り返し数で誤り訂正復号化処理を行ってもよい。第2の信号経路62-1を伝送される光信号の分岐比が第2の信号経路61-1を伝送される光信号の分岐比と等しい場合、誤り訂正復号化部42-3は、誤り訂正復号化部42-2と等しい繰り返し数で誤り訂正復号化処理を行うこともできる。
予備系の受信部35を複数準備する場合、図7に示すように、受信部35と同数の光カプラ80を設け、光カプラ20の分岐数を受信部35と同数にする。光カプラ20の複数の出力のそれぞれを、異なる光カプラ80に接続する。これにより、共通の光信号から分岐された複数の光信号が、それぞれ異なる受信部35で受信されることになる。また、予備系の受信部35のうち、稼働される順番が最も遅いもの以外、図7の例では、受信部35-3以外の受信部35には、通信断検出部50が設けられる。通信断検出部50は、対応する受信部35の通信断を検出し、検出対称の受信部35よりも稼働される順番が遅い受信部35に、通信断を通知する。予備系の受信部35は、自身よりも稼働される順番が早い受信部35全ての通信断が通知されたときのみ稼働し、自身よりも稼働される順番が早い受信部35の中で通信断が検出されていない受信部35があるときには停止している。
なお、予備系の受信部35を複数準備する場合、複数の第2の光信号の分岐比は等しくてもよいし、異なっていてもよい。例えば、図7の例では、第2の信号経路61-1を伝送される第2の光信号の分岐比と、第2の信号経路62-1を伝送される第2の光信号の分岐比とは等しくてもよいし、異なっていてもよい。第2の信号経路61-1,62-1のそれぞれを伝送される第2の光信号の分岐比が、第1の信号経路60-1を伝送される第1の光信号の分岐比よりも小さければよい。
図8は、実施の形態2の第2の変形例にかかる光通信システム2-2の構成を示す図である。光通信システム2-2は、3つの送信部10-1~10-3と、送信部10-1~10-3のそれぞれに対応して設けられる光カプラ20-1~20-3と、2つの受信部35-1,35-2と、受信部35-1,35-2のそれぞれに対応して設けられる光カプラ80-1,80-2とを有する。以下、光通信システム2と異なる部分について主に説明する。
3つの送信信号の間で時間多重による信号経路の共有を行う場合、受信部35を3つ準備したとしても、いかなる信号経路の組み合わせを行った場合においても、送信信号間で同一の時刻に輻輳なく信号送信を行うことはできない。したがって、受信部35の数は最低1台でよいため、光通信システム2-2は、現用系として1台の受信部35-1、予備系として1台の受信部35-2を有することとして説明する。
送信部10-3は、光信号を光カプラ20-3に出力する。光カプラ20-3は、入力される光信号を2つの光信号に非対称な分岐比で分岐させる。光カプラ20-3の出力のうち分岐比が高い第1の光信号が伝送される第1の信号経路60-3は、光カプラ80-1に接続される。光カプラ20-3の出力のうち分岐比が低い第2の光信号が伝送される第2の信号経路61-3は、光カプラ80-2に接続される。
光カプラ80-1は、第1の信号経路60-1~60-3を介して伝送される3つの第1の光信号を結合して、受信部35-1に出力する。光カプラ80-2は、第2の信号経路61-1~61-3を介して伝送される3つの第2の光信号を結合して、受信部35-2に出力する。
送信部10-1,10-2,10-3は、互いにバースト出力時間が重ならないように光信号を出力する。このため、受信部30-1,30-2の受信信号には、時分割で送信部10-1,10-2,10-3のそれぞれからの送信信号が含まれることになる。
第2の変形例では、送信信号が3つの例について説明したが、送信信号が4つ以上の場合であっても、送信部10と同数の光カプラ20を設け、光カプラ20の出力のうち分岐比が高い方を光カプラ80-1に接続し、光カプラ20の出力のうち分岐比が低い方を光カプラ80-2に接続すればよい。この場合、システム内の現用系の信号全てが同一の受信部35-1で受信され、システム内の予備系の信号全てが同一の受信部35-2で受信されることになる。この場合、システム全体での通信帯域は低下するものの受信器の数を抑えて消費電力を低減することが可能になる。
また、例えば、図6に示す光通信システム2の構成と、図8に示す光通信システム2-2の構成とを組み合わせることで、あらゆる数の送信信号に対応することができる。図6,7に示すような、送信信号が2つである構成を第1のシステムと称し、図8に示すような、送信信号が3つである構成を第2のシステムと称する。第1のシステムは、2つの送信部10-1,10-2と、2つの送信部10-1,10-2のそれぞれに対応する光分岐部である2つの光カプラ20-1,20-2と、複数の受信部35と、複数の受信部35のそれぞれに対応して設けられる光結合部である光カプラ80とから構成される。第2のシステムは、3つの送信部10-1~10-3と、3つの送信部10-1~10-3のそれぞれに対応する光分岐部である3つの光カプラ20-1~20-3と、2つの受信部35-1,35-2と、2つの受信部35-1,35-2のそれぞれに対応する光結合部である2つの光カプラ80-1,80-2とから構成される。送信信号の数、つまり、送信部10の数がNであるシステムを、実施の形態2の第3の変形例にかかる光通信システム2-3と称する。光通信システム2-3は、第1のシステムおよび第2のシステムの少なくとも一方を有する。システム全体の送信信号の数をNとすると、光通信システム2-3が有する第1のシステムおよび第2のシステムのそれぞれの数は、図9または図10に示す数となる。
図9は、実施の形態2の第3の変形例にかかる光通信システム2-3が有する第1のシステムの数および第2のシステムの数の組み合わせの第1の例を示す図である。図10は、実施の形態2の第3の変形例にかかる光通信システム2-3が有する第1のシステムの数および第2のシステムの数の組み合わせの第2の例を示す図である。図9に示す第1の例では、送信信号が2つである第1のシステムを優先的に用いており、図10に示す第2の例では、送信信号が3つである第2のシステムを優先的に用いている。
図9に示す第1の例では、Nは2以上の整数である。Nが偶数の場合、光通信システム2-3は、Nを2で除算した数の第1のシステムを有する。このとき第2のシステムの数は0である。Nが奇数の場合、光通信システム2-3は、1つの第2のシステムと、Nから3を減算した値を2で除算した数の第1のシステムとを有する。図9に示すように、第1のシステムを優先的に用いる場合、通信帯域を確保することが可能になる。
図10に示す第2の例では、Nは3以上の整数である。Nが3の倍数である場合、光通信システム2-3は、Nを3で除算した数の第2のシステムを有する。このとき第1のシステムの数は0である。Nが3の倍数+1である場合、光通信システム2-3は、2つの第1のシステムと、Nから4を減算した値を3で除算した数の第2のシステムとを有する。Nが3の倍数+2である場合、光通信システム2-3は、1つの第1のシステムと、Nから2を減算した値を3で除算した数の第2のシステムとを有する。図10に示すように、第2のシステムを優先的に用いる場合、消費電力を低減することが可能になる。第1のシステムおよび第2のシステムの数の組み合わせをどのようにするかは、光通信システム2-3に求められる条件に応じて使い分けることができる。
以上説明したように、実施の形態2にかかる光通信システム2,2-1,2-2,2-3においても、光カプラ20が非対称な分岐比で送信部10の出力する光信号を分岐させ、分岐後の複数の光信号のうち分岐比が最大である第1の光信号が現用系の受信部35-1で受信され、分岐比が最大でない第2の光信号が予備系の受信部35-2で受信される。光通信システム2-1においては、予備系の受信部35-3においても、第2の光信号が受信される。このため、現用系の光信号の信号強度を維持することが可能になる。また、複数の誤り訂正復号化部42のうち、処理対象の光信号が第1の光信号である誤り訂正復号化部42-1は、処理対象の光信号が第2の光信号である誤り訂正復号化部42-2,42-3よりも少ない繰り返し数で誤り訂正復号化する。このため、光通信システム2,2-1,2-2,2-3において、第1の光信号を誤り訂正復号化する際の消費電力を低減することができる。また、光通信システム2,2-1,2-2,2-3によれば、第2の光信号の信号強度は第1の光信号と比較して低くなるため、予備系において第2の光信号を誤り訂正復号化する際の消費電力は増大する。しかしながら、一般的な通信システムにおいて、運用期間中、現用系が稼働している時間は99.999%以上を占めるため、予備系に切り替わった期間は一時的に消費電力が増大したとしても、運用時間全体としては、消費電力を低減することが可能になる。したがって、光カプラ20を用いて光信号を分岐させて冗長系を構成する光通信システム2,2-1,2-2,2-3において、誤り率を低下させつつ、消費電力を低減することが可能になる。
また、送信信号が2つである第1のシステムと、送信信号が3つである第2のシステムとを組み合わせて用いることで、任意の数の送信信号に対する冗長系を構成することが可能になる。
実施の形態3.
上記の実施の形態2では、複数の信号を時間多重により同時に冗長化する構成について説明したが、各送信信号に公平なバースト時間割り当てを行う上では、送信信号の数が3つとなる構成を用いる際には、送信信号に対するバースト時間割り当ては最大でも全バースト時間の1/3つまり約33%に制限されてしまう。実施の形態3では、送信信号が5つ以上である場合に、全ての送信信号に対して全バースト時間の33%以上のバースト時間を割り当てることが可能な構成について説明する。以下、実施の形態1,2と同様の構成および動作については詳細な説明を省略し、実施の形態1,2と異なる部分について主に説明する。
図11は、実施の形態3にかかる光通信システム3の構成を示す図である。光通信システム3は、送信部10-1~10-5と、送信部10-1~10-5のそれぞれに対応して設けられる光分岐部である光カプラ20-1~20-5と、受信部36-1~36-5と、受信部36-1~36-5のそれぞれに対応して設けられる光結合部である光カプラ80-1~80-5とを有する。受信部36の数は送信部10の数の整数倍であり、図11に示す例では1倍、つまり、光通信システム3は、同数の受信部36および送信部10を有する。
実施の形態2において、受信部35-1は現用系の光信号を受信し、受信部35-2は予備系の光信号を受信したのに対して、実施の形態3では、複数の受信部36のそれぞれは、現用系の光信号と予備系の光信号とを受信する。このとき、共通の光信号から分岐された第1の光信号および第2の光信号は、異なる受信部36で受信される。
光カプラ20は、対応する送信部10が出力する光信号を2つの光信号に分岐させる。光カプラ20の出力は、隣接する2つの光カプラ80に接続される。具体的には、光カプラ20-1の出力のうち分岐比が高い第1の光信号が伝送される第1の信号経路60-1は、光カプラ80-1に接続され、光カプラ20-1の出力のうち分岐比が低い第2の光信号が伝送される第2の信号経路61-1は、光カプラ80-2に接続される。光カプラ20-2の出力のうち分岐比が高い第1の光信号が伝送される第1の信号経路60-2は、光カプラ80-2に接続され、光カプラ20-2の出力のうち分岐比が低い第2の光信号が伝送される第2の信号経路61-2は、光カプラ80-3に接続される。光カプラ20-3の出力のうち分岐比が高い第1の光信号が伝送される第1の信号経路60-3は、光カプラ80-3に接続され、光カプラ20-3の出力のうち分岐比が低い第2の光信号が伝送される第2の信号経路61-3は、光カプラ80-4に接続される。光カプラ20-4の出力のうち分岐比が高い第1の光信号が伝送される第1の信号経路60-4は、光カプラ80-4に接続され、光カプラ20-4の出力のうち分岐比が低い第2の光信号が伝送される第2の信号経路61-4は、光カプラ80-5に接続される。光カプラ20-5の出力のうち分岐比が高い第1の光信号が伝送される第1の信号経路60-5は、光カプラ80-5に接続され、光カプラ20-5の出力のうち分岐比が低い第2の光信号が伝送される第2の信号経路61-5は、光カプラ80-1に接続される。すなわち、光カプラ20-1~20-5および光カプラ80-1~80-5は、第1の信号経路60-1~60-5および第2の信号経路61-1~61-5により物理的にリング状に接続されて、幾何的にリングトポロジを構成する。
上記のようなリングトポロジを構成することで、1つの送信部10が出力する光信号から分岐された2つの光信号は、異なる受信部36で受信されると共に、複数の送信部10が同一の受信部36を予備系とすることがないよう接続することができる。以下、簡単のため、送信部10が出力した光信号が光カプラ20で分岐されて生成される第1の光信号を、送信部10の第1の光信号と称する。第2の光信号についても同様である。上記のように接続されることで、光カプラ80-1~80-5のそれぞれには、2つの光カプラ20が接続され、一方の光カプラ20が出力する第1の光信号と、他方の光カプラ20が出力する第2の光信号とを結合させて、対応する受信部36-1~36-5に出力することになる。したがって、受信部36-1は、送信部10-1の現用系の第1の光信号と、送信部10-5の予備系の第2の光信号とを受信する。受信部36-2は、送信部10-2の現用系の第1の光信号と、送信部10-1の予備系の第2の光信号とを受信する。受信部36-3は、送信部10-3の現用系の第1の光信号と、送信部10-2の予備系の第2の光信号とを受信する。受信部36-4は、送信部10-4の現用系の第1の光信号と、送信部10-3の予備系の第2の光信号とを受信する。受信部36-5は、送信部10-5の現用系の第1の光信号と、送信部10-4の予備系の第2の光信号とを受信する。
複数の受信部36のそれぞれは、誤り訂正復号化部42と、通信断検出部51と、フレーム識別部73とを有する。通信断検出部51は、対応する受信部36の通信断を検出すると、対応する受信部36が受信する第1の光信号と共通の光信号から分岐された第2の光信号を受信する受信部36の誤り訂正復号化部42に、通信断を通知する。具体的には、通信断検出部51-1は、受信部36-1の通信断を検出すると、誤り訂正復号化部42-2に通信断を通知する。通信断検出部51-2は、受信部36-2の通信断を検出すると、誤り訂正復号化部42-3に通信断を通知する。通信断検出部51-3は、受信部36-3の通信断を検出すると、誤り訂正復号化部42-4に通信断を通知する。通信断検出部51-4は、受信部36-4の通信断を検出すると、誤り訂正復号化部42-5に通信断を通知する。通信断検出部51-5は、受信部36-5の通信断を検出すると、誤り訂正復号化部42-1に通信断を通知する。
フレーム識別部73は、受信信号のフレーム毎に、対応する誤り訂正復号化部42の繰り返し数を決定する。誤り訂正復号化部42は、現用系の第1の光信号については、対応する受信部36の通信断が発生しない限り、誤り訂正復号化処理を行い、予備系の第2の光信号については、通信断検出部51から通信断が検出されていないときには、フレームを破棄して誤り訂正回路を停止した状態とし、通信断が通知されたときには、誤り訂正回路を動作させて、第2の光信号の誤り訂正復号化処理を行う。このとき、誤り訂正復号化部42は、フレーム識別部73によって決定された繰り返し数で誤り訂正復号化処理を行うことになる。なお、ここでは光通信システム3は、フレーム識別部73を有することとしたが、図2に示すような信号強度測定部70および制御部71を有してもよいし、図5に示すような増幅部74を有してもよい。受信信号のフレーム毎に、対応する誤り訂正復号化部42の繰り返し数を決定することができればよい。
送信部10は、伝送する情報に対して、復号の繰り返し数に応じた訂正性能が得られる誤り訂正符号化処理を施して、同一の光カプラ80に入力される第1の光信号および第2の光信号の光カプラ80への入力時間が重複しないように、光信号を出力する。図11に示す例では、送信部10は、互いに隣接するチャネルのバースト時間帯以外においてバースト出力を行う。例えば、各送信部10の送信時間帯は、図12に示すようになる。図12は、図11に示す光通信システム3の送信部10-1~10-5の送信時間帯を示す図である。
図12の例では、送信部10-1は、時刻t0からt0+Tまでの時間帯と、時刻t0+3Tからt0+4Tまでの時間帯とにバースト出力を行い、送信部10-2は、時刻t0+Tからt0+2Tまでの時間帯と、時刻t0+4Tからt0+5Tまでの時間帯とにバースト出力を行い、送信部10-3は、時刻t0からt0+Tまでの時間帯と、時刻t0+2Tからt0+3Tまでの時間帯とにバースト出力を行い、送信部10-4は、時刻t0+Tからt0+2Tまでの時間帯とt0+3Tからt0+4Tまでの時間帯とにバースト出力を行い、送信部10-5は、時刻t0+2Tからt0+3Tまでの時間帯と、時刻t0+4Tからt0+5Tまでの時間帯とにバースト出力を行う。時刻t0+5T以降も、送信部10-1~10-5は、同様のパターンでバースト出力すればよい。この場合、全ての送信部10において、全バースト時間の40%を割り当てることが可能である。
光通信システム3における送信信号の数をNとした場合、Nが奇数である場合には、同時間帯に輻輳なく送信できる送信信号の数は(N-1)/2であり、これをNで除算した全バースト時間の(1-1/N)/2を全ての送信信号に対して割り当てることができる。Nが増加するにしたがってこの比率は増加し、より多くのバースト時間を割り当てることが可能である。また、Nが偶数である場合には、同時間帯に輻輳なく送信できる送信信号の数はN/2であり、全ての送信信号に対して全バースト時間の50%を割り当てることが可能である。
以上説明したように、実施の形態3にかかる光通信システム3は、光カプラ20が非対称な分岐比で送信部10の出力する光信号を分岐させて、共通の光信号から分岐された複数の光信号はそれぞれ異なる受信部36で受信される。各受信部36は、第1の光信号に対しては現用系として機能し、誤り訂正復号化部42は、受信部36に通信断が発生しない限り、第1の光信号を誤り訂正復号化処理する。また、各受信部36は、第2の光信号に対しては予備系として機能し、誤り訂正復号化部42は、通常運用時には第2の光信号を誤り訂正復号化せず、処理対象の第2の光信号と共通の光信号から分岐された第1の光信号を受信する受信部36の通信断が通知されると、第2の光信号を誤り訂正復号化する。このとき、誤り訂正復号化部42が第1の光信号を誤り訂正復号化するときの繰り返し数は、第2の光信号を誤り訂正復号化するときの繰り返し数よりも少ない。このため、光通信システム3において、第1の光信号を誤り訂正復号化する際の消費電力を低減することができると共に、誤り率を低下させることが可能である。誤り訂正復号化処理の繰り返し数は、受信される光信号の分岐比に応じて、光信号の強度が低いほど繰り返し数が多くなるように調整されることが好ましい。全ての光信号に対して誤り率を低下させることが可能な一定の繰り返し数を用いた場合、無駄に消費電力を増大させてしまうが、適切な繰り返し数を用いることで、誤り率を低下させつつ、消費電力を低減することができる。
また、光通信システム3は、光カプラ20および光カプラ80がリング状に配置されて互いに接続され、リングトポロジを構成している。それぞれの光カプラ80は、接続された2つの光カプラ20のうちの一方が出力する第1の光信号と、他方が出力する第2の光信号とを結合して、対応する受信部36に出力する。複数の送信部10のそれぞれは、同一の光カプラ80に入力される第1の光信号および第2の光信号の光カプラ80への入力時間が重複しないように光信号を出力する。このような構成をとることによって、全体の送信信号数の増加に伴って同時間帯に輻輳を来す送信信号の比率が小さくなることから、図8に示したような、3つの送信信号を光カプラ20で2つの光信号に分岐させて1つの現用系の受信部35-1および1つの予備系の受信部35-2で受信する構成よりも、全ての送信信号に対してバースト出力時間を多く割り当てることが可能になる。
図13は、実施の形態3の変形例にかかる光通信システム3-1の構成を示す図である。光通信システム3-1は、送信部10-1~10-5と、光カプラ20-1~20-5と、光カプラ80-1~80-10と、受信部36-1~36-10とを有する。受信部36-1~36-10のそれぞれは、誤り訂正復号化部42-1~42-10と、通信断検出部51-1~51-10と、フレーム識別部73-1~73-10とを有する。
光カプラ20は、送信部10が出力する光信号を非対称な分岐比で4つの光信号に分岐させる。光カプラ20は1つの第1の光信号と、3つの第2の光信号とを出力する。光カプラ20-1の出力のうち第1の信号経路60-1は、光カプラ80-1に接続され、第2の信号経路61-1は光カプラ80-2に接続され、第2の信号経路62-1は光カプラ80-6に接続され、第2の信号経路63-1は光カプラ80-7に接続される。光カプラ20-2の出力のうち第1の信号経路60-2は光カプラ80-2に接続され、第2の信号経路61-2は光カプラ80-3に接続され、第2の信号経路62-2は光カプラ80-7に接続され、第2の信号経路63-2は光カプラ80-8に接続される。光カプラ20-3の出力のうち第1の信号経路60-3は光カプラ80-3に接続され、第2の信号経路61-3は光カプラ80-4に接続され、第2の信号経路62-3は光カプラ80-8に接続され、第2の信号経路63-3は光カプラ80-9に接続される。光カプラ20-4の出力のうち第1の信号経路60-4は光カプラ80-4に接続され、第2の信号経路61-4は光カプラ80-5に接続され、第2の信号経路62-4は光カプラ80-9に接続され、第2の信号経路63-4は光カプラ80-10に接続される。光カプラ20-5の出力のうち第1の信号経路60-5は光カプラ80-5に接続され、第2の信号経路61-5は光カプラ80-1に接続され、第2の信号経路62-5は光カプラ80-10に接続され、第2の信号経路63-5は光カプラ80-6に接続される。すなわち、光カプラ20および光カプラ80は、第1の信号経路60-1~60-5と、第2の信号経路61-1~61-5,62-1~62-5,63-1~63-5とにより、リングトポロジを構成している。
1つの光カプラ20が出力した4つの光信号は、それぞれ異なる受信部36で受信されることになる。また、受信部36-1~36-5のそれぞれは、第1の光信号と第2の光信号とを受信し、受信部36-6~36-10のそれぞれは、異なる2つの第2の光信号を受信することになる。
受信部36-1~36-10のそれぞれは、誤り訂正復号化部42と、通信断検出部51と、フレーム識別部73とを有する。なお、1つの送信部10からの4つの光信号は、4つの受信部36で受信されることになる。受信される光信号の処理は、共通の光信号から分岐された複数の光信号を受信する他の受信部36の状態によって変化する。また、4つの光信号のうちの3つは予備系の第2の光信号であり、3つの第2の光信号の中で、予め優先度を定めることができる。例えば、送信部10-1が送信した光信号に対して、第1の信号経路60-1を介して受信部36-1が受信する第1の光信号は現用系として処理される。3つの第2の光信号の優先度は、第2の信号経路61-1を介して受信部36-2が受信する第2の光信号、第2の信号経路62-1を介して受信部36-6が受信する第2の光信号、第2の信号経路63-1を介して受信部36-7が受信する第2の光信号の順で高いこととする。この場合、各受信部36の動作は、図14に示す通りとなる。
図14は、図13に示す光通信システム3-1の一部の動作を示す図である。通信断検出部51-1による送信部10-1からの信号の判定結果が、受信成功である場合、通信断検出部51-2,51-6,51-7の判定結果の状態を問わず、誤り訂正復号化部42-1が第1の光信号を復号処理することになり、誤り訂正復号化部42-2,42-6,42-7のそれぞれは、送信部10-1からの光信号をフレーム単位で破棄する。
続いて、受信部36-1に通信断が発生して、通信断検出部51-1による送信部10-1からの信号の判定結果が「通信断」である場合、誤り訂正復号化部42-1は、送信部10-1からの光信号を破棄する。この場合、予備系の受信部36のうち優先度が高い順に現用系として機能するため、優先度が最も高い予備系の受信部36-2の通信断検出部51-2による送信部10-1からの信号の判定結果が「受信成功」である場合、通信断検出部51-6,51-7による送信部10-1からの信号の判定結果の状態を問わず、誤り訂正復号化部42-2が送信部10-1からの第2の光信号を復号処理することになる。誤り訂正復号化部42-6,42-7のそれぞれは、送信部10-1からの信号を破棄する。
さらに、通信断検出部51-1による送信部10-1からの信号の判定結果が「通信断」である場合において、通信断検出部51-2による送信部10-1からの信号の判定結果も「通信断」である場合について考える。優先度が受信部36-2の次に高い受信部36-6の通信断検出部51-6による送信部10-1からの信号の判定結果が「受信成功」である場合、通信断検出部51-7による送信部10-1からの信号の判定結果の状態を問わず、誤り訂正復号化部42-6が送信部10-1からの第2の光信号を復号処理することになる。誤り訂正復号化部42-1,42-2,42-7のそれぞれは、送信部10-1からの信号を破棄する。
さらに、通信断検出部51-1による送信部10-1からの信号の判定結果が「通信断」である場合において、通信断検出部51-2,51-6による送信部10-1からの信号の判定結果も「通信断」である場合について考える。この場合、受信部36-7の通信断検出部51-7による送信部10-1からの信号の判定結果の状態を問わず、誤り訂正復号化部42-7は、送信部10-1からの信号を復号処理することになる。誤り訂正復号化部42-1,42-2,42-6のそれぞれは、送信部10-1からの信号を破棄する。
簡単のため図13では省略しているが、通信断検出部51-1~51-10のそれぞれは、対応する受信部36の通信断を検出すると、対応する受信部36が受信する光信号と共通の光信号から分岐された他の光信号を処理する誤り訂正復号化部42に、通信断を通知する。このとき、通信断検出部51は、対応する受信部36が受信する光信号と共通の光信号から分岐された他の光信号を処理する誤り訂正復号化部42のうち、対応する受信部36よりも優先度が低い受信部36の誤り訂正復号化部42に、通信断を通知する。例えば、図13の送信部10-1が出力して光カプラ20-1により分岐された4つの光信号のそれぞれを受信する受信部36-1,36-2,36-6,36-7について説明する。通信断検出部51-1は、誤り訂正復号化部42-2,42-6,42-7に通信断を通知する。通信断検出部51-2は、誤り訂正復号化部42-6,42-7に通信断を通知する。通信断検出部51-6は、誤り訂正復号化部42-7に通信断を通知する。なお、ここでは光通信システム3-1の冗長構成のうち、送信部10-1が出力する光信号の冗長化の部分のみ説明したが、送信部10-2~10-5についても同様である。
なお、追加する予備系を1系統のみとする場合には、送信部10-1,10-2からの信号を受信する機能を光カプラ80-7および受信部36-7で共有化し、送信部10-3,10-4からの信号を受信する機能を光カプラ80-9および受信部36-9で共有化することで、光カプラ80-6,80-8および受信部36-6,36-8を省略して消費電力を低減しつつ、簡便に追加の予備系統を2系統へと拡張することができる。
光通信システム1,1-1~1-4,2,2-1,2-2,2-3,3,3-1の機能は、処理回路により実現される。これらの処理回路は、専用のハードウェアにより実現されてもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いた制御回路であってもよい。
上記の処理回路が、専用のハードウェアにより実現される場合、これらは、図15に示す処理回路90により実現される。図15は、実施の形態1~3にかかる光通信システム1,1-1~1-4,2,2-1,2-2,2-3,3,3-1の機能を実現するための専用のハードウェアを示す図である。処理回路90は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものである。
上記の処理回路が、CPUを用いた制御回路で実現される場合、この制御回路は例えば図16に示す構成の制御回路91である。図16は、実施の形態1~3にかかる光通信システム1,1-1~1-4,2,2-1,2-2,2-3,3,3-1の機能を実現するための制御回路91の構成を示す図である。図16に示すように、制御回路91は、プロセッサ92と、メモリ93とを備える。プロセッサ92は、CPUであり、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)などとも呼ばれる。メモリ93は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)などである。
上記の処理回路が制御回路91により実現される場合、プロセッサ92がメモリ93に記憶された、各構成要素の処理に対応するプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、メモリ93は、プロセッサ92が実行する各処理における一時メモリとしても使用される。プログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよいし、通信路を介して提供されてもよい。
上記の実施の形態で説明した各機能ブロックごとに異なる処理回路が用いられてもよいし、複数の機能ブロックの機能が1つの処理回路により実現されてもよいし、1つの機能ブロックで説明した機能が複数の処理回路により実現されてもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
例えば、実施の形態1-3では、誤り訂正復号化部40,42および通信断検出部50,51は、受信部30-35の一機能としたが、受信部30-35とは異なる処理回路により誤り訂正復号化部40,42および通信断検出部50,51の機能が実現されてもよい。他の機能部についても同様である。
また、実施の形態2では、複数の送信部10からの信号を受信する受信部35について説明しているが、このような受信部35を有する光通信システム2-1,2-2が、図2に示すような信号強度測定部70および制御部71を備えてもよいし、図3に示すような繰返し試行部72を備えてもよいし、図4に示すようなフレーム識別部73を備えてもよいし、図5に示すような増幅部74を備えてもよい。さらに、実施の形態3では、フレーム識別部73を備える受信部36について説明しているが、このような光通信システム3,3-1が、フレーム識別部73の代わりに、図2に示すような信号強度測定部70および制御部71を備えてもよいし、図3に示すような返し試行部72を備えてもよいし、図5に示すような増幅部74を備えてもよい。なお、増幅部74を備える受信部34が複数の送信部10からの信号が時間多重された信号を受信する場合、増幅部74は、受信フレーム単位で利得の値を取得して、受信フレーム単位で繰り返し数を決定してもよい。
なお、上記の光通信システム1,1-1~1-4,2,2-1,2-2,2-3,3,3-1は、例えば、衛星に搭載される光通信システムなど、高い信頼性と低消費電力が求められ、かつ衝撃に対する耐性が求められる場合に特に適している。