JP5169522B2 - バースト信号の受信装置と受信方法、及び、その受信装置を用いたponシステム - Google Patents
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この場合、複数の宅側装置から局側装置への上り送信が同時に行われると、送信データが衝突するため、局側装置は、宅側装置に対して送信時期及び送信データ量に関する許可を与えるようになっている。各宅側装置は、局側装置からの許可を受けて、許可されたタイミングでかつ許可された量の上り送信を、局側装置に対して行う。
従って、局側装置には、種々の強度の光バースト信号が各宅側装置から時分割で間欠的に届くということになる。
かかる上りバースト信号は、先頭のプリアンブル区間と、それに続くデータ区間とによって構成されている。
例えばIEEE802.3avで標準化が進んでいる10G−EPONにおいては、送信信号に誤り訂正(FEC: Forward Error Correction)符号化を行い、受信側においてその符号化に対応する誤り訂正復号を行うことより、伝送速度の高速化に伴って不足するパワーバジェットを当該FECで補うようになっている。
伝送損失が他より大きい宅側装置の場合には、他の伝送損失が小さい宅側装置に比べて誤り訂正能力を高めるために、より長い冗長コードを有する上りバースト信号が使用されることになる。
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、誤り訂正能力が異なるバースト信号を受信する場合であっても、バースト信号の応答性を改善して帯域の利用効率の低下を緩和することができるバースト信号の受信装置等を提供することを目的とする。
このため、時分割で受信する各バースト信号の誤り訂正能力が異なっていても、その冗長コードの変動に伴う帯域変動を、時定数とプリアンブル長の最適化によってカバーすることができ、帯域の利用効率を改善することができる。
従って、本発明の受信装置において、前記制御部は、前記バースト信号の誤り訂正能力が高いほど、前記時定数と前記プリアンブル長がともに短くなるようにこれらを特定するものであることが好ましい(請求項2)。
この場合、制御部が、バースト信号の受信時期に合わせて、当該バースト信号に対応する誤り訂正能力で復号化部を動作させるので、時分割で受信する各バースト信号の誤り訂正能力が異なっていても、その各バースト信号に対応する適正な誤り訂正復号を行うことができる。
すなわち、この受信方法(請求項4)は、誤り訂正能力が異なる複数種類のバースト信号を時分割で受信するバースト信号の受信方法であって、前記バースト信号に適した誤り訂正能力と、前記誤り訂正能力に適した時定数と前記プリアンブル長を予め特定して、特定した前記誤り訂正能力と前記プリアンブル長を送信装置に通知し、前記バースト信号の受信時期に合わせて、特定した前記時定数をもって前記バースト信号の振幅に追従した受信を行うことを特徴とする。
すなわち、本発明のPONシステム(請求項5)は、前記局側装置が、前記上りバースト信号のプリアンブル長の時間内において所定の時定数をもって前記上りバースト信号の振幅に追従するバースト受信部と、前記バースト信号に適した誤り訂正能力と、前記誤り訂正能力に適した時定数と前記プリアンブル長を予め特定して、特定された前記誤り訂正能力と前記プリアンブル長を宅側装置に通知し、前記バースト信号の受信時期に合わせて、特定された前記時定数にて前記バースト受信部を動作させる局側制御部と、を備えていることを特徴とする。
そこで、本発明のPONシステムにおいて、ディスカバリの手続中に局宅間での誤り訂正能力等に関する情報交換を行うようにすれば、局側装置がその情報を自動的に把握できるようになって好ましい。
この場合、宅側装置は、例えばレポートに下り信号の強度を含めてその強度を局側装置に直接通知することができ、局側装置は通知された強度に基づいて、宅側装置との線路の伝送損失を見積もり、当該宅側装置が送信するバースト信号のプリアンブル長と誤り訂正能力を定めて当該宅側装置に通知することができる。宅側装置は、その局側装置からの通知に従って、送出する上りバースト信号のプリアンブル長と誤り訂正能力を設定する。
そこで、前記局側装置が、前記上りバースト信号に誤り訂正復号を行う場合の訂正数のカウント機能を有している場合には、カウントされた前記訂正数と前記宅側装置から通知された前記下り信号の強度に基づいて、前記上りバースト信号に適した誤り訂正能力と、前記誤り訂正能力に適した時定数と前記プリアンブル長を予め特定することにしてもよい(請求項7)。
図1は、本発明の実施形態に係るPONシステムの接続図である。
図1において、局側装置1は、複数の宅側装置2,3,4に対する集約局として設置され、各宅側装置2,3,4は、それぞれPONシステムの加入者宅に設置されている。
局側装置1に接続された1本の光ファイバ(幹線)5は、光カプラ6を介して複数の光ファイバ(支線)7に分岐しており、これによって光ファイバ網が構成されている。その光カプラ6から分岐した各光ファイバ7の終端に、それぞれ宅側装置2,3,4が接続されている。
なお、図1では、合計3個の宅側装置2,3,4を示しているが、1つの光カプラ6から例えば32分岐して32個の宅側装置を接続することが可能である。また、図1では、光カプラ6を1個だけ使用しているが、光カプラを縦列に複数段設けることにより、更に多くの宅側装置を局側装置1と接続することができる。
これらの波長λ1及びλ2は、例えば、IEEE802.3avの10Gbps信号では以下の範囲の値が想定されている。
1260nm≦λ1≦1280nm
1574nm≦λ2≦1580nm
例えば、図1の例では、誤り訂正符号を使用しない宅側装置2(FECなし)と、同符号を使用する宅側装置3,4(FECあり)とが混在しており、FECありの宅側装置3,4は、比較的訂正能力が低い宅側装置3(低FEC)と、比較的訂正能力が高い宅側装置4(高FEC)の2種類とがある。
また、宅側装置3の場合には、局宅間の伝送距離がそれほど長くなく中間的であるので、誤り訂正能力が比較的低い低FECの上りバースト信号B3を送信し、宅側装置4の場合には、局宅間の伝送距離が遠くパワーバジェットに余り余裕がないので、誤り訂正能力が比較的高い高FECの上りバースト信号B4を送信する。
局側装置1は、前述の通り各宅側装置2,3,4に対する集約局として機能するので、宅側装置2,3,4における誤り訂正符号の使用状況も把握している。すなわち、局側装置1は、自身が管理するすべての宅側装置2,3,4のFEC能力を把握している。
この参照テーブル10から明らかな通り、本実施形態では、上りバースト信号B2〜B4のFEC能力が高いほど、時定数とプリアンブル長がともに短くなるように規定されているが、その理由については後述する。
図2は、局側装置1の内部構成の概略を示すブロック図である。本実施形態の局側装置1の各部は、図2に示すように接続されている。
図2において、上位ネットワーク8からのフレームは上位ネットワーク側受信部101により受信され、データ中継処理部103に送られる。データ中継処理部103は、PON側送信部105へフレームを渡す。このフレームは、光送信部108において、波長λ2でかつ所定の伝送レート(10.3125Gbps)の光信号に変換され、合分波部110を通じて各宅側装置2〜4に送信される。
この光受信部109は、内部に、光電変換素子111、増幅器112、時定数回路113及び比較器114を備えている。
光電変換素子111は、フォトダイオードやアバランシェフォトダイオード等の半導体受光素子であり、上りバースト信号B2〜B4の受光量に対応するレベルのバースト電気信号を出力し、増幅器112はその電気信号を増幅して出力する。
なお、光受信部109のより詳細な回路構成については後述する。
クロック・データ再生部115は、光受信部109の比較器114から受けた2値の出力信号に同期してタイミング成分(クロック)とデータとを再生する。
FEC復号化部116は、再生されたデータに対して所定の誤り訂正復号を行い、物理層復号化部117は、再生されたデータに施されている所定の符号を復号する。
また、FEC復号化部116は、誤り訂正復号の際の誤り訂正数のカウント機能を有していてもよく、FEC復号化部116が誤り訂正数をカウントした場合には、その誤り訂正数は局側信号処理部(局側制御部)104に送られる。
上記制御情報の例としては、IEEE802.3avで想定されているMPCP(Multi-point Control Protocol)PDU(Protocol Data Unit)を挙げることができる。
フレーム種別の判定の結果、フレームがデータフレームであれば、フレーム再生部118は、これをデータ中継処理部103に送る。
一方、フレーム種別の判定の結果、フレームがレポートフレームであれば、フレーム再生部118はこれを局側信号処理部104に送る。局側信号処理部104は、このレポートに基づいて制御情報としてのグラントフレームを生成し、このグラントフレームを、PON側送信部105及び光送信部108によって下り方向へ送信させる。
そして、局側信号処理部104が特定したFEC能力がPON側受信部107に通知され、そのFEC能力に対応する時定数が光受信部109に通知される。
具体的には、光受信部109は、局側信号処理部104から通知される時定数に時定数回路113の内部パラメータを切り替え、同グラントで宅側装置2,3,4に通知したプリアンブル長の時間内で増幅器112のゲイン等を所定値に切り替え、時定数回路113を収束させる。
また、物理層復号化部117は、上記グラントで通知したプリアンブル長を有するデータに対して、所定の復号を行う。
図3は、光受信部109の回路構成の一例を示す回路図である。
図3において、受光素子であるフォトダイオード111は、2値信号(デジタル信号)に基づく光信号よりなる上りバースト信号B2〜B4を受光し、これを電気信号の上りバースト信号に変換して出力する。
フォトダイオード111の出力信号は、フィードバック抵抗119が入出力間に接続された前記増幅器112によって増幅される。
図3に示す時定数回路113は、外部からの制御信号により抵抗値が可変な抵抗器120と、この可変抵抗器120に一端が接続され、他端が接地電位であるコンデンサ121とによって構成されるローパスフィルタよりなる。
比較器114は、信号電圧と閾値電圧とを比較して、その比較結果を0又は1の2値信号(デジタル信号)であるDout とその論理反転信号とを出力する。
可変抵抗器120の抵抗値Rは、局側信号処理部104からの制御信号で変化し、これにより、時定数回路113の時定数τを、τ1〜τ3(τ1<τ2<τ3)の3段階で切り替えることができる。
図4に示すように、この場合の時定数回路113は、増幅器112の出力端子と接地電位との間に設けられた、抵抗R0(抵抗値R0)及びコンデンサ121の直列体と、抵抗R0に対して並列接続された抵抗R1(抵抗値R1)及びスイッチング素子(例えばMOS−FET)122の直列体と、同様に抵抗R0に対して並列接続された抵抗R2(抵抗値R2)及びスイッチング素子123の直列体とを備えている。
ここで、スイッチング素子122のオン抵抗をRs1、スイッチング素子123のオン抵抗をRs2とし、(R2+Rs3)<(R1+Rs1)の関係を満たすと仮定すると、各スイッチング素子122,123のオン・オフ切り替えにより、次の3通りの時定数τ1〜τ3を得ることができる。
τ1={R0・(R2+Rs2)/(R0+R2+Rs2)}・C
(2)素子122→オン、素子123→オフの場合
τ2={R0・(R1+Rs1)/(R0+R1+Rs1)}・C
(3)素子122→オフ、素子123→オフの場合
τ3= R0・C
従って、図4に示す光受信部109の場合も、局側信号処理部(局側制御部)104からのグラントに基づいて生成された制御信号により、時定数回路113の時定数τを、τ1〜τ3(τ1<τ2<τ3)の3段階で切り替えることができる。
ところで、バースト信号を時定数回路113で追随して受信する場合、データ信号区間における局所的な0ビット/1ビットのアンバランスに影響されないようにするには、時定数をある程度長く設定する必要がある。
一方、バースト信号の受信回路は、バースト信号の受信開始時において、その信号のプリアンブル区間(プリアンブル長の時間)を利用して時定数回路113を収束させる必要があるため、設定された時定数に応じたプリアンブル長が必要とある。
データ信号がランダムに符号化されている場合、0ビットと1ビットの割合は平均的に1:1となるが、局所的には正規分布に従った確率でアンバランスになり得る。このようにアンバランスに時定数回路113が応答して受信波形が揺らぐ現象は、「ベースラインワンダ(Baseline Wander)」と呼ばれている。
なお、上記式(2)において、Qはエラー関数、σはVpp/2で正規化されたもの、ISIRXは符号間干渉(ISI)の影響度を表すパラメータであり、ペナルティPBLWの単位はdBである。
他方、誤り訂正(FEC)符号を使用した場合には、光受信器はそのFEC能力に応じて、例えば10-3といった高いビットエラーレートで信号を受信することになる。
この場合、上記式(2)から分かるとおり、同じベースラインワンダでもペナルティは小さくなる。
このため、同じペナルティを見込んだ場合には、エラー関数Qが小さくなる高ビットエラーの時ほど、大きなベースラインワンダが許容できることになる。
従って、訂正能力が高いFECの場合ほど、付加される冗長コードが多くなって帯域の利用効率が悪化することになるが、時定数τを短く切り替えることで、短いプリアンブル長での受信が可能となり、帯域の利用効率を改善することができる。
すなわち、上りバースト信号の誤り訂正能力が高い場合(例えば、BER=10-3の場合)には、その誤り訂正能力が低い場合に比べて、時定数回路113の時定数と上りバースト信号のプリアンブル長も短く設定すればよく、これにより、PONシステムに誤り訂正能力が高い宅側装置4(図1参照)が含まれていても、PONシステムの上り方向の帯域の利用効率を改善できる。
例えば、10G−EPONで想定されているリードソロモン(255,223)の場合には、BER=10-3の低ビットエラーの信号を訂正する能力が見込まれる。
ここで、BER=10-3の信号とBER=10-12の信号とで同じペナルティを想定した場合に、式(2)における(Q×σ)の項が等しくなるとして計算すると、次の式(3)に示すようになる。
従って、BER=10-3の信号の場合には、BER=10-12の信号の場合に比べて、プリアンブル長を約1/5まで短縮しても差し支えないということになる。
図5は、宅側装置2の内部構成の概略を示すブロック図である。
本実施形態の宅側装置2の各部は、図5に示すように接続されている。なお、宅側装置3,4の場合も同様の構成である。
図5において、局側装置1から下り方向に送信されて来る光信号は、合分波部201を通過して、光受信部202により電気信号に変換され、更に、この電気信号はPON側受信部204により受信される。
PON側受信部204は、受信したフレームのヘッダ部分(プリアンブル部分を含む)を読み取ることにより、当該フレームが自己宛(ここでは、自己又は自己の配下のユーザネットワーク9内の装置宛を意味する。)であるか否かを判定する。
更に、PON側受信部204は、フレームのヘッダ部分を読み取ることにより、受信したフレームがデータフレームであるか、又は、グラントフレームであるかを判定する。
また、上記判定の結果、フレームがグラントフレームであれば、PON側受信部204はこれを宅側信号処理部206に転送する。宅側信号処理部206は、グラントフレームに基づいて上り方向の送出をデータ中継処理部207に指示する。
宅側信号処理部206は、PON側送信部205に対して送信制御を行い、所定のタイミングで、バッファメモリに蓄積されているフレームをPON側送信部205に出力させるとともに、通知されたバッファメモリ内のデータ蓄積量に基づいてレポートフレームを作成してPON側送信部205に出力させる。
物理層符号化部210は、データ中継処理部207から送られてくるデータに対して所定の符号化を行い、FEC符号化部211は、符号化されたデータに対して更に冗長ビットを付加して所定の誤り訂正符号を生成する。
宅側信号処理部206は、プリアンブル長に関する情報がグラントフレームに記載されている場合には、その情報に基づいて、物理層符号化部210が生成する符号のプリアンブル長を設定する。また、宅側信号処理部206は、訂正能力の変更情報がグラントフレームに記載されている場合には、その情報に基づいて、FEC符号化部211による誤り訂正能力を設定する。
図6は、局側装置1と宅側装置2(宅側装置3,4についても同様)との間の制御フレームのやり取りを示すシーケンス図である。
図6に示すように、まず、局側装置1は、運用時間開始時刻T0の時点で宅側装置2に関するRTT(Round Trip Time)を既に計算している。
時刻Ta1において、局側装置1は送出要求量を通知させるために、宅側装置2に対してレポート送出開始時刻Tb2を含んだグラント(グラントフレーム)G1を送信する。
宅側装置2は、自身に対するグラントG1を受信すると、データ中継処理部207のバッファメモリに蓄積されたデータ量を参照して送出要求量を算出し、グラントG1に含まれるレポート送出開始時刻Tb2に、局側装置1に対して送出要求量を含んだレポート(レポートフレーム)R1を送出する。
レポートR1に含まれる送出要求量がゼロの場合には、局側装置1による演算結果がゼロとなるため帯域が割当てられないが、宅側装置2にレポートR2を送出させる必要があるので、局側装置1は宅側装置2に対して必ずグラントG2を送出する。
なお、局側装置1は、送出許可量及び送出開始時刻Tb4を含むグラントG2を送出する時刻Ta3を、送出開始時刻Tb4までにグラントG2が宅側装置2に到着するように計算する。
このレポートR2はデータDの直前または直後に送出されるが、データDの直前に送出される場合には、送出要求量として局側装置1に報告する値は、バッファメモリに蓄積されているデータ量とデータDのデータ量との差分である。
図7は、上記PONシステムでの上り方向通信を示すシーケンス図であり、分散割当方式の一例を示している。
以下、図7の左側から右側に向かって時間が進行するとして、局側装置1を主体としたPONシステムの動作について説明する。
まず、局側装置1は、各宅側装置4,3,2に対して、それぞれ、グラントG41,G31,G21を順次送出する。
そして、局側装置1は、宅側装置4から送出されるデータD41及び次のレポートR42を受信すると、これと並行して宅側装置3に対するグラントG32を送出する。
局側装置1は、宅側装置2から送出されるデータD21及び次のレポートR22を受信する。
更に、局側装置1は、宅側装置3から送出されるデータD32及び次のレポートR33を受信するとともに、これと並行して宅側装置2に対するグラントG23を送出する。
ここで、宅側装置2から送出されるデータがなければ、局側装置1は、次のレポートR23のみを受信する。
この通知を受けた光受信部109では、時定数回路113の時定数が宅側装置4用の短い時定数τ1に設定する。また、PON側受信部107では、その内部のFEC復号化部116のFEC能力が宅側装置4用の高FECに設定される。
このように、本実施形態のPONシステムでは、高FECの宅側装置4からプリアンブル長が短く設定された上りバースト信号B4を受信した際、その到来時に、高FECの宅側装置4に適した短い時定数τ1での受信態勢が整っている。
従って、低FECの宅側装置3からプリアンブル長が中程度に設定された上りバースト信号B3を受信した際、その到来時に、低FECの宅側装置3に適した、中程度の時定数τ2での受信態勢が整っており、迅速に同期を確立することができる。
そして、時定数をFEC能力に合わせて最適化した受信機能にしてから上りバースト信号B2〜B4を受信するので、誤り訂正能力に応じてプリアンブル長が異なる上りバースト信号B2〜B4に対しても、迅速かつ効率的に同期を確立することができ、帯域の利用効率を改善することができる。
以上の説明では、宅側装置2,3,4がいずれもPONシステムに既に加入済みであると仮定している。
しかし、実際には、例えば電源オフの状態から電源オンにより宅側装置2,3,4が局側装置1に認識され、PONシステムに加入する手順が存在し、この手順はディスカバリプロセスと呼ばれる。
そこで、局側装置1は、電源オフ(未接続も含む。)から電源オンになり、PONシステムに加入しようとする宅側装置2,3,4(以下、未登録宅側装置という。)を検出するためのディスカバリプロセスを周期的に実行し、未登録宅側装置に応答機会を与える。
図8において、局側装置は時刻T1においてディスカバリプロセスを開始し、下り方向にディスカバリゲートをブロードキャストする。
このディスカバリゲートには、これに対する応答が許されるディスカバリ期間の開始時刻と期間の長さの情報が含まれている。このディスカバリ期間は、ディスカバリウインドウと呼ばれ、例えば時刻T2からT4までの時間ΔTdとなる。
このランダム待ち時間ΔTwは、登録要求メッセージがディスカバリウインドウに収まる範囲内で、ランダムな値となる。従って、仮に、PONシステムに加入しようとする未登録宅側装置が複数あった場合でも、複数の未登録宅側装置からの登録要求メッセージが相互に衝突する確率を低下させることができる。
次に、局側装置は、新たに登録した宅側装置に対して、時刻T5において、登録メッセージを送信する。登録メッセージには、当該宅側装置のLLIDと、局側装置が上り方向のバースト通信を受信する際に必要な同期時間の情報とが含まれている。
グラントゲートを受信した未登録宅側装置は、そのグラントを用いて時刻T7に登録アクノレッジを局側装置に送信し、これを局側装置が受信してディスカバリプロセスが終了する。その後は、通常のPONシステムの通信が開始される。
そこで、FEC能力が不明の未登録の宅側装置2,3,4についても、これを自動的に登録する登録手順が望まれる。かかる自動登録の手順としては、例えば、次の2つの手順例1及び2が考えられる。
このうち、最初の手順例(手順例1)は以下の通りである。
(1) 上記ディスカバリプロセスにおいて、宅側装置2,3,4はFEC能力を最大でかつプリアンブル長を最長に設定し、この状態で登録要求メッセージを送信する。
局側装置1も、宅側装置2,3,4を登録する際には、FEC能力が最大であることを想定して登録要求メッセージを受信する。
(3) その後、宅側装置2,3,4は、ディスカバリゲートを受信した時の受信強度(RSSI)の情報を、局側装置1にレポートで通知することとする。
(5) 宅側装置2,3,4は、局側装置1からのグラントの通知に従い、自身のFEC能力とプリアンブル長を変更し、登録アクノレッジを送信する。
一方、第2の手順例(手順例2)は次の通りである。
(1) この手順例2の場合も、手順例1の場合と同様に、上記ディスカバリプロセスにおいて、宅側装置2,3,4はFEC能力を最大でかつプリアンブル長を最長に設定し、この状態で登録要求メッセージを送信する。
局側装置1も、宅側装置2,3,4を登録する際には、FEC能力が最大であることを想定して登録要求メッセージを受信する。
また、局側装置1は、FEC能力と、そのFEC能力に対応するプリアンブル長と送信タイミングを宅側装置2,3,4にグラントで通知する。
(3) 宅側装置2,3,4は、局側装置1からのグラントの通知に従い、自身のFEC能力とプリアンブル長を変更し、登録アクノレッジを送信する。
例えば、上記実施形態では、誤り訂正能力が異なる複数種類のバースト信号を時分割で受信する受信装置が、PONシステムの局側装置である場合を例示したが、本発明の受信装置は無線通信システムに採用することもできる。
2 宅側装置(FECなし)
3 宅側装置(低FEC)
4 宅側装置(高FEC)
5 光ファイバ(幹線)
6 光カプラ
7 光ファイバ(支線)
10 参照テーブル
104 局側信号処理部(局側制御部)
109 光受信部(バースト受信部)
116 FEC復号化部(復号化部)
B2 上りバースト信号(FECなし)
B3 上りバースト信号(低FEC)
B4 上りバースト信号(高FEC)
Claims (7)
- 誤り訂正能力が異なる複数種類のバースト信号を時分割で受信する受信装置であって、
前記バースト信号のプリアンブル長の時間内において所定の時定数をもって前記バースト信号の振幅に追従するバースト受信部と、
前記バースト信号に適した誤り訂正能力と、前記誤り訂正能力に適した時定数と前記プリアンブル長を予め特定して、特定された前記誤り訂正能力と前記プリアンブル長を送信装置に通知し、前記バースト信号の受信時期に合わせて、特定された前記時定数にて前記バースト受信部を動作させる制御部と、
を備えていることを特徴とするバースト信号の受信装置。 - 前記制御部は、前記バースト信号の誤り訂正能力が高いほど、前記時定数と前記プリアンブル長がともに短くなるようにこれらを特定する請求項1に記載のバースト信号の受信装置。
- 前記バースト受信部の出力信号に対して誤り訂正復号を行う復号化部を備え、
前記制御部は、前記バースト信号の受信時期に合わせて、当該バースト信号に対応する誤り訂正能力で前記復号化部を動作させる請求項1又は2に記載のバースト信号の受信装置。 - 誤り訂正能力が異なる複数種類のバースト信号を時分割で受信する受信方法であって、
前記バースト信号に適した誤り訂正能力と、前記誤り訂正能力に適した時定数と前記プリアンブル長を予め特定して、特定した前記誤り訂正能力と前記プリアンブル長を送信装置に通知し、前記バースト信号の受信時期に合わせて、特定した前記時定数をもって前記バースト信号の振幅に追従した受信を行うことを特徴とするバースト信号の受信方法。 - 局側装置と複数の宅側装置とが光ファイバを介してP2MP形態で接続され、前記局側装置が、誤り訂正能力が異なる複数種類の上りバースト信号を時分割で受信可能となっているPONシステムであって、
前記局側装置が、前記上りバースト信号のプリアンブル長の時間内において所定の時定数をもって前記上りバースト信号の振幅に追従するバースト受信部と、
前記バースト信号に適した誤り訂正能力と、前記誤り訂正能力に適した時定数と前記プリアンブル長を予め特定して、特定された前記誤り訂正能力と前記プリアンブル長を宅側装置に通知し、前記バースト信号の受信時期に合わせて、特定された前記時定数にて前記バースト受信部を動作させる局側制御部と、を備えていることを特徴とするPONシステム。 - 前記宅側装置は、前記局側装置が送信した下り信号の強度の検出機能を有し、検出された前記下り信号の強度を前記局側装置に通知し、
前記局側装置は、通知された下り信号の強度に基づいて、前記上りバースト信号に適した誤り訂正能力と、前記誤り訂正能力に適した時定数と前記プリアンブル長を予め特定する請求項5に記載のPONシステム。 - 前記局側装置は、前記上りバースト信号に誤り訂正復号を行う場合の訂正数のカウント機能を有し、カウントされた前記訂正数と前記宅側装置から通知された前記下り信号の強度に基づいて、前記上りバースト信号に適した誤り訂正能力と、前記誤り訂正能力に適した時定数と前記プリアンブル長を予め特定する請求項6に記載のPONシステム。
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