JP5200381B2 - Ponシステムの局側装置、受信部、クロック及びデータ再生部、及び、ponシステムの上り方向通信方法 - Google Patents

Ponシステムの局側装置、受信部、クロック及びデータ再生部、及び、ponシステムの上り方向通信方法 Download PDF

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Description

本発明は、局側装置と複数の端末装置とを光ファイバ網で結ぶPON(Passive Optical Network)システムに関し、特に、端末装置から局側装置への上り方向通信に関する。
PONシステムは、集約局としての局側装置と、複数の加入者宅に設置された端末装置とを、一本の光ファイバから光カプラを介して複数の光ファイバに分岐する光ファイバ網によって、接続したものである(例えば、特許文献1及び2参照)。このPONシステムにおいては、端末装置から局側装置への上りバースト通信は、信号の衝突を防止すべく局側装置によって時分割で管理されている。
当初、かかる上りバースト通信は一定の伝送レートものとして考えられていたが、今後、伝送レートの段階的な高速化が予想される。しかし、高速な伝送レートのサービス提供が開始されても、すべての加入者がそれを同時に希望する訳ではないので、上り方向通信に関して、既存の伝送レートとそれを超える高速な伝送レートとが、一つのPONシステム内で共存するマルチレートPONシステムとなる(例えば特許文献3参照)。
特開2004−64749号公報(図4) 特開2004−289780号公報(図31) 特開平8−8954号公報(図2) 特許第3626365号公報(請求項1)
上記のようなマルチレートPONシステムでは、複数種類の伝送レートに対応した受信機能が局側装置にも必要となる。しかしながら、各端末装置から受信したバースト信号からその伝送レートを検出し、かつ、受信機能を伝送レートに同期させることを高速に実行するのは技術的に容易ではなく、これを実現するには高価なPON受信部が必要となる。
一方、上記特許文献4では、伝送速度が異なるパケットを含むマルチレートの入力信号から、所望のクロックと伝送速度のパケットを再生するクロック及びデータ再生回路が記載されている。この再生回路では、入力信号に含まれるパケットのうちで所望のクロック再生動作を乱す可能性のあるパケットを排除するパケット選択回路を、クロック再生回路及びデータ再生回路の前段に設けることにより、所望の伝送速度以外の入力信号によるクロック再生回路の動作の不安定化を防止している。
かかるパケット選択回路を有するクロック及びデータ再生回路は、単一の伝送レートのみを受信できれば足りる端末装置には適している。
しかし、上り方向の伝送レートが複数種類であるマルチレートPONシステムの局側装置に上記再生回路を適用すると、時分割多重されて各端末装置から送信されるマルチレートバーストパケットを局側装置が受信した際に、パケット選択回路が所望の伝送速度以外のパケットを全て排除するため、同一のクロック及びデータ再生回路おいてマルチレートパケットを連続して再生できなくなる。
このため、所望の伝送速度以外のパケットを排除するパケット選択回路をクロック及びデータ再生回路に設ける回路構成を局側装置に適用しても、複数種類の伝送レートに対応して連続的かつ迅速に同期することは困難であり、局側装置が上り方向のバースト信号を適切に受信することができない。
また、上り方向通信の場合、ある伝送レートでの同期が確立されるまでの時間内には、他の伝送レートにおいて有効なデータ通信が行えないので、この時間が長いほど上り方向通信の効率が悪くなる。
本発明は、上記のような問題点に鑑み、端末装置の上り方向の伝送レートが複数種類であるマルチレートPONシステムにおいて、各伝送レートの上り信号に対して迅速に同期を確立するようにして、上り方向の通信効率を向上することができるPONシステムの局側装置、受信部、クロック及びデータ再生部、及び、PONシステムの上り通信方法を提供することを目的とする。
本発明の局側装置(請求項1)は、光ファイバを介して一対多接続された端末装置と共にPONシステムを構成し、当該端末装置から送信される複数の伝送レートの上り信号を時分割多重方式で受信する局側装置であって、前記複数の伝送レートを記憶して前記端末装置に対して上り方向への通信のグラントを与えるとともに、当該グラントに対応する次の上り信号を受信する時期及びその伝送レートを特定する管理部と、この管理部で特定された時期及び伝送レートに合わせて上り信号のクロック及びデータ再生を行う再生部と、を備えていることを特徴とする。
本発明の局側装置によれば、管理部が、端末装置に与えるグラントに対応する次の上り信号を受信する時期及びその伝送レートを特定するので、グラントに対応する所望の伝送レートの上り信号を受信する時期及び伝送レートの情報を実際の受信前に取得することができる。また、再生部が、上記管理部で特定された時期及び伝送レートに合わせてクロック及びデータ再生を行うので、各伝送レートの上り信号に対して迅速に同期を確立することができる。
本発明の局側装置において、前記再生部は、より具体的には、複数の伝送レートのうちの一つの伝送レートの上り信号に対して自己の発振周波数を位相同期させてその上り信号からクロック及びデータ再生を行うクロック及びデータ再生回路を当該複数の伝送レートに対応して複数有するとともに、前記管理部が特定した伝送レートを示す信号として当該管理部が生成したレート選択信号に基づいて、この選択信号に対応する前記クロック及びデータ再生回路を作動させる制御器を有している(請求項1)。
この場合、上記制御器が、管理部が特定した伝送レートを表すレート選択信号に基づいてクロック及びデータ再生回路を作動させるので、伝送レートの切り替えを迅速に行うことができる。そして、このレート選択信号は管理部が生成する信号であるから、局側装置が受信する上り信号の伝送レートを判定する回路を別途設ける必要がなく、回路構成が容易になる。
もっとも、本発明の局側装置において、端末装置に対してグラントを送信してからそのグラントに対応する次の上り信号を受信するまでには、フレーム遅延(RTT)を含む一定の時間遅れがあるので、実際には、制御器がレート選択信号を受けてから所定時間後に局側装置が上り信号を受信する。また、グラントの送信から対応上り信号の受信までの上記時間遅れは一定時間ではなく、端末装置までの距離によって相違する。
このため、レート選択信号の検出のみに基づいてクロック及びデータ再生回路の作動開始時を決定すると、実際の上り信号の受信時とは異なるタイミングでクロック及びデータ再生回路の作動が開始されてしまう恐れがある。
そこで、前記制御器は、前記レート選択信号と、上り信号が実際に到達したことを表すデータ検出信号との双方に基づいて、前記クロック及びデータ再生回路の作動を開始させるものであることが好ましい(請求項2)
この場合、レート選択信号とデータ検出信号がアンド条件で揃った時にクロック及びデータ再生回路の作動が開始されるので、その作動開始時と実際の上り信号の受信タイミングとの時間差をほぼ無くすことができ、クロック及びデータ再生回路の作動開始時をより正確に設定することができる。なお、かかるデータ検出信号は、再生部の前段に設けられる光受信部の増幅器に生成させることができ(図5参照)、この場合、新たな検出回路を設ける必要がなく、回路構成が容易になる。
また、本発明の局側装置において、前記複数のクロック及びデータ再生回路が、位相同期方式によって上り信号のクロック及びデータ再生を行う位相ロックループと、自己の発振周波数を参照クロックに同期させる周波数ロックループとを備えていることが好ましい(請求項3)
この場合、前記制御器が、前記レート選択信号で選択されていない前記クロック及びデータ再生回路の作動ループを前記周波数ロックループに切り替えるようにすれば、当該クロック及びデータ再生回路が想定する伝送レート以外の信号(ノイズを含む)が入力されている間は、上記周波数ロックループによって自己の発振周波数を安定化することができ、想定外の信号の入力によって発振周波数が乱れるのを防止することができる。
また、本発明の局側装置において、前記複数のクロック及びデータ再生回路は、再生したデータをパラレル信号化して出力するデシリアライザをそれぞれ有することが好ましい。
この場合、クロック及びデータ再生部の後段の回路ブロックに対して、高速なシリアル信号ではなく低速のパラレル信号が送信されることになるので、後段の回路ブロックにおいて再度クロック及びデータの再生を行う必要がなくなり、後段の回路ブロックの負担を軽減させることができる。また、複数あるクロック及びデータ再生回路のそれぞれがデシリアライザを備えることにより、一つのデシリアライザを共用した場合に生じ得る、伝送レートの切り替え時の乱れを回避することができる。
本発明のPON受信部(請求項)は、マルチレートのバースト信号を時分割多重方式で受信するPON受信部であって、複数の伝送レートのうちの一つの伝送レートのバースト信号に対して自己の発振周波数を位相同期させてそのバースト信号からクロック及びデータ再生を行うクロック及びデータ再生回路を、当該複数の伝送レートに対応して複数備えており、グラントに対応する次のバースト信号を受信する時期及び伝送レートに合わせてその伝送レートに対応する前記クロック及びデータ再生回路を作動させることにより、当該バースト信号のクロック及びデータ再生を行うことを特徴とする。
本発明のPON受信部によれば、グラントに対応する次のバースト信号を受信する時期及びその伝送レートに合わせてその伝送レートに対応するクロック及びデータ再生回路を作動させることにより、各々のクロック及びデータ再生回路が、バースト信号に対して自己の発振周波数を位相同期させてそのバースト信号からクロック及びデータ再生を行うので、マルチレートのバースト信号に対して迅速に同期を確立することができる。
本発明の通信方法(請求項)は、複数の端末装置と光ファイバを介して一対多接続された局側装置が、前記端末装置から送信される複数の伝送レートの上り信号を時分割多重方式で受信するPONシステムの上り方向通信方法であって、前記複数の伝送レートのうちのいずれか一つの伝送レートの上り信号に対して自己の発振周波数を位相同期させてその上り信号からクロック及びデータ再生を行うクロック及びデータ再生回路を、当該伝送レートに対応して複数用意しておき、前記複数の伝送レートを記憶して前記端末装置に対して上り方向への通信のグラントを与えるとともに、当該グラントに対応する次の上り信号を受信する時期及びその伝送レートを特定し、その特定された時期及び伝送レートに合わせてその伝送レートに対応する前記クロック及びデータ再生回路を作動させることにより、上り信号のクロック及びデータ再生を行うことを特徴とする。
本発明の通信方法によれば、端末装置に与えるグラントに対応する次の上り信号を受信する時期及びその伝送レートを特定するようにしたので、グラントに対応する所望の伝送レートの上り信号を受信する時期及び伝送レートの情報を実際の受信前に取得することができる。
また、そのように特定された時期及び伝送レートに合わせてその伝送レートに対応するクロック及びデータ再生回路を作動させることにより、各々のクロック及びデータ再生回路が、上り信号に対して自己の発振周波数を位相同期させてその上り信号からクロック及びデータ再生を行うので、各伝送レートの上り信号に対して迅速に同期を確立することができる。
本発明の他の局側装置(請求項)は、光ファイバを介して一対多接続された複数の端末装置と共にPONシステムを構成し、前記端末装置から送信される複数の伝送レートの上り信号を時分割多重方式で受信する局側装置であって、複数の伝送レートのうちの一つの伝送レートの上り信号に対して自己の発振周波数を位相同期させてその上り信号からクロック及びデータ再生を行うクロック及びデータ再生回路を、当該複数の伝送レートに対応して複数備えた再生部と、複数の前記クロック及びデータ再生回路の作動タイミングを各伝送レートの上り信号の受信タイミングに合わせて設定する管理部と、を備えていることを特徴とする。
本発明の他の局側装置によれば、管理部が、再生部が有する複数のクロック及びデータ再生回路の作動タイミングを、各伝送レートの上り信号の受信タイミングに合わせて設定するので、各伝送レートの上り信号を局側装置が時分割多重方式で受信するに当たって、各伝送レートの上り信号に対して迅速に同期を確立することができる。
なお、上記管理部が再生部の各クロック及びデータ再生回路に対して行う作動タイミングの設定は、前述の通り、例えば、各端末装置に付与するグラントに対応する次の上り信号を受信する時期及びその伝送レートを再生部に送ることによって行うことができる。
また、本発明のクロック及びデータ再生部(請求項)は、マルチレートのバースト信号うちの一つの伝送レートのバースト信号に対して自己の発振周波数を位相同期させてそのバースト信号からクロック及びデータ再生を行うクロック及びデータ再生回路を、当該複数の伝送レートに対応して複数備えたクロック及びデータ再生部であって、複数の前記クロック及びデータ再生回路の作動タイミングを各伝送レートのバースト信号の受信タイミングに合わせることを特徴とする。
本発明のクロック及びデータ再生部によれば、複数のクロック及びデータ再生回路の作動タイミングを各伝送レートのバースト信号の受信タイミングに合わせるので、各伝送レートのバースト信号を時分割多重方式で受信するに当たって、マルチレートのバースト信号に対して迅速に同期を確立することができる。
以上の通り、本発明によれば、端末装置の上り方向の伝送レートが複数種類であるマルチレートPONシステムにおいて、各伝送レートの上り信号に対して迅速に同期を確立することができるので、上り方向の通信効率を向上することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るPONシステムの概略構成図である。
〔PONシステムの全体構成〕
図1において、局側装置1は、複数の端末装置2〜4に対する集約局として設置される。端末装置2〜4はそれぞれ、PONシステムの加入者宅に設置される。局側装置1に接続された伝送路である一本の光ファイバ5(幹線)から光カプラ6を介して複数の光ファイバ(支線)7〜9に分岐した構成を成す光ファイバ網(5〜9)が構成され、分岐した光ファイバ7〜9の終端にそれぞれ端末装置2〜4が接続されている。更に、局側装置1は上位ネットワーク11と接続され、端末装置2〜4はそれぞれのユーザネットワーク12〜14と接続されている。
なお、図1では3個の端末装置2〜4を示しているが、一つの光カプラ6から例えば32分岐して32個の端末装置を接続することが可能である。また、図1では光カプラ6を1個だけ使用しているが、光カプラを縦列に複数段設けることにより、さらに多くの端末装置を局側装置1と接続することができる。
図1において、各端末装置2〜4から局側装置1への上り方向には波長λ1でデータが送信される。逆に、局側装置1から端末装置2〜4への下り方向には波長λ2でデータが送信される。これらの波長λ1及びλ2は、IEEE規格802.3ah−2004のClause60に基づいて、以下の範囲の値とすることができる。
1260nm≦λ1≦1360nm
1480nm≦λ2≦1500nm
また、端末装置2,3,4における上り方向通信の伝送レートはそれぞれ、L[Gbps]、M[Gbps]、H[Gbps]である。ここで、L,M,Hの値は、L<M<Hの関係にあり、例えば、L=1,M=2,H=10である。
一方、局側装置1における下り方向通信の伝送レートはD[Gbps]1種類であり、Dの値は例えば1である。なお、本実施形態では端末装置を3台として、互いに異なる3種類の伝送レートとしたが、端末装置の台数及び異なる伝送レートの数は種々のパターンがあり得る。
〔局側装置の構成〕
図2は、上記PONシステムを構成する局側装置1の内部構成の概略を示すブロック図であり、局側装置1内の各部(101〜115)は、図示のように接続されている。
図2において、上位ネットワーク11からのフレームは、上位ネットワーク側受信部101により受信され、データ中継処理部103に送られる。データ中継処理部104は、PON側送信部105へフレームを渡し、これが、光送信部108において下り方向の光信号(下り信号:波長λ2及び伝送レートD[Gbps])に変換され、合分波部110を介して端末装置2〜4に送られる。
一方、端末装置2〜4(図1)から上り方向に送信された光信号(上り信号:波長λ1及び伝送レートL/M/H[Gbps])は、合分波部110を通過して光受信部109により受信される。
光受信部109は、光電変換素子111及び増幅器112を内部に備えている。光電変換素子111は、フォトダイオードやアバランシェフォトダイオード等の半導体受光素子であり、受光量に応じた電気信号を出力する。増幅器112は、電気信号を増幅して出力し、その出力信号はPON側受信部107に入力される。
PON側受信部107は、クロック・データ再生部113、物理層符号化/復号化部114及びフレーム再生部115を内部に備えている。クロック・データ再生部113は、増幅器112から受けた電気信号に同期してタイミング成分(クロック)とデータとを再生する。この再生部113の詳細については、後述する。
物理層符号化/復号化部114は、再生されたデータに施されている符号を復号する。フレーム再生部115は、復号されたデータからフレームの境界を検出して例えば、イーサネット(登録商標)フレームを復元する。
また、フレーム再生部115は、フレームのヘッダ部分を読みとることにより、受信したフレームがデータフレームであるか、又は、レポートフレーム等のメディアアクセス制御のための制御情報のフレームであるかを判定する。
なお、制御情報の例として、IEEE規格802.3ah−2004のClause 64に記載のMPCP(Multi-point Control Protocol) PDU(Protocol Data Unit)を挙げることができる。局側装置1が端末装置2〜4に対して上り方向データの送出開始時刻および送出許可量を指示するため制御情報であるグラントや、端末装置2〜4が局側装置1に対して上り方向データの蓄積量に関する値を通知するための制御情報であるレポートは、このMPCP PDUの一種である。
上記判定の結果、データフレームであれば、フレーム再生部115はこれをデータ中継処理部103に送る。データ中継処理部103は、データフレームのヘッダ情報の変更や上位ネットワーク側送信部102に対する送信制御等の所定の中継処理を行い、処理後のフレームは上位ネットワーク側送信部102から上位ネットワーク11へ送出される。
また、上記判定の結果、フレームがレポートフレームであれば、フレーム再生部115はこれを制御信号処理部104に送る。制御信号処理部104はこのレポートに基づいて、制御情報としてのグラントフレームを生成し、これが、PON側送信部105及び光送信部108から合分波部110を介して、波長λ2、伝送レートD[Gbps]で、下り方向に送信される。
上記グラントは、次受信バースト判定部(管理部)106にも送られる。この次受信バースト判定部106は、端末装置2〜4が使用する伝送レートを記憶し、グラントに基づいて、次にバースト信号を受信する時期及びその伝送レートを特定する。
そして、特定された伝送レートは、光受信部109及びPON側受信部107に通知される。光受信部109及びPON側受信部107は、その時期に合わせて、特定された伝送レート用のものとして受信機能を対応させることができる。
具体的には、光受信部109における光電変換素子111の増倍率、増幅器112のゲイン、PON側受信部107における量子化判定閾値、クロック・データ再生部113におけるロック許容範囲、及び、参照クロックの周波数等、バースト受信に関する回路パラメータを切り替えることにより、所定の伝送レートに対応させることができるように構成されている。
例えば、端末装置2〜4が同一の線路条件で接続されており(必要な光のパワーバジェットが同じであり)、同じビット誤り率の伝送品質を満足させなければならないような場合において、端末装置2,3と比較して伝送レートが高い端末装置4から受信するとき、光受信部109のゲインを下げ、帯域を拡げる。
また、例えば、端末装置2,4がそれぞれ1.25Gbps,10.3125Gbpsで上り方向にバースト通信する場合、クロック・データ再生部113に対して予め、次のバーストの伝送レートがそれぞれ1Gbps,10Gbpsであると通知されていれば、後は端数分を合わせるだけでよいので、短い時間で確実に、クロック・データ再生部113の同期を確立することができる。
さらにまた、1.25Gbps及び10.3125Gbpsに対してそれぞれ8B/10B符号及び64B/66B符号で物理層符号化/復号化を行うことが前提となっている場合には、次のバーストに対して使用すべき復号化回路を簡単かつ確実に選択することができる。
次受信バースト判定部31は、グラントに対応する次の上り信号の伝送レートを示す信号としてレート判定信号S1を生成し、そのグラントに対応する次の上り信号であるレポートを受信する時期(図5に示す時刻Ta2や時刻Ta4)に、当該レポート判定信号S1をPON側受信部107のクロック・データ再生部113に送信する。このレート選択信号S1は、例えば、複数の端末装置2〜4で使用する伝送レートがL,M,Hの三種類である場合には、その3つの伝送レートL,M,Hにそれぞれ対応した識別符号で構成される。
また、光受光部109の増幅器112は、上り信号が当該増幅器112に入力されたことを示すデータ検出信号S2を生成し、その生成と同時に当該検出信号S2をPON側受信部107のクロック・データ再生部113に送信する。
〔端末装置の構成〕
図3は、端末装置2(伝送レートL[Gbps])について、その内部構成の概略を示すブロック図であり、端末装置2内の各部(201〜209)は、図示のように接続されている。
図3において、局側装置1(図1)から下り方向に送信されて来る光信号は、合分波部201を通過して、光受信部202により電気信号に変換され、さらに、この電気信号はPON側受信部204により受信される。
PON側受信部204は、受信したフレームのヘッダ部分(プリアンブル部分を含む)を読みとることにより、当該フレームが自己宛(ここでは、自己又は自己の配下のユーザネットワーク12内の装置宛を意味する。)であるか否かを判定する。
判定の結果、自己宛であれば当該フレームを取り込み、そうでなければ当該フレームを廃棄する。例えば、上記の宛先判定を行うためのヘッダ情報の例として、IEEE規格802.3ah−2004に記載の論理リンク識別子(LLID)を挙げることができる。
更に、PON側受信部204は、フレームのヘッダ部分を読みとることにより、受信したフレームがデータフレームであるか、又は、グラントフレームであるかを判定する。
判定の結果、データフレームであれば、PON側受信部204はこれをデータ中継処理部207に送る。データ中継処理部207は、ユーザネットワーク側送信部208に対する送信制御等の所定の中継処理を行い、処理後のフレームはユーザネットワーク側送信部208からユーザネットワーク12へ送出される。
また、上記判定の結果、フレームがグラントフレームであれば、PON側受信部204はこれを制御信号処理部206に転送する。制御信号処理部206は、グラントフレームに基づいて上り方向の送出をデータ中継処理部207に指示する。
一方、ユーザネットワーク12からのフレームはユーザネットワーク側受信部209により受信され、データ中継処理部207に転送される。転送されたフレームはデータ中継処理部207内のバッファメモリに一旦蓄積され、また、そのデータ量が制御信号処理部206に通知される。
制御信号処理部206は、PON側送信部205に対して送信制御を行い、所定のタイミングで、バッファメモリに蓄積されているフレームをPON側送信部205に出力させるとともに、通知されたバッファメモリ内のデータ蓄積量に基づいてレポートフレームを作成してPON側送信部205に出力させる。PON側送信部203の出力は光送信部203で光信号に変換され、波長λ1、伝送レートL[Gbps]の信号として、合分波部201を介して上り方向に送信される。
図4は、端末装置4(伝送レートH[Gbps])について、その内部構成の概略を示すブロック図であり、端末装置4内の各部(401〜411)は、図示のように接続されている。このうち401〜409は、図3における201〜209に相当する回路要素であり、同様の機能を有する。
図3の端末装置2(伝送レートL[Gbps])との相違は、制御信号処理部406と光受信部403との間に登録要求送信部411を設けた点と、PON側送信部405と登録要求送信部411とを送信部切替判定部410によって切り替えることができるようにした点、及び、この送信部切替判定部410は制御信号処理部406の指令を受けて送信部切替を行うようにした点である。
通常、送信部としては、PON側送信部405が動作するようになっている。なお、PON側送信部405が動作する場合の端末装置4(伝送レートH[Gbps])は、実質的に端末装置2(伝送レートL[Gbps])と同様である。また、端末装置3についても、見かけ上の構成は図4と同様である。ただし、前述のように、端末装置3の伝送レートはM[Gbps]であり、端末装置4の伝送レートH[Gbps]とは異なる。
〔局側装置のクロック・データ再生部〕
図5は、前記局側装置1のクロック・データ再生部113の回路構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、この再生部113は、複数種類の上り方向の伝送レートに対応して、その各伝送レートの上り信号からそれぞれクロック及びデータ再生を行う複数のクロック及びデータ再生回路51L,51Hを備えており、図5に示す例では、低速の伝送レートL[Gbps]用のクロック及びデータ再生回路51Lと、高速の伝送レートH[Gbps]用のクロック及びデータ再生回路51Hとが設けられている。
なお、更に中速の伝送レートM[Gbps]に対応するには、当該伝送レートM用のクロック及びデータ再生回路を並列的に追加すればよい。
上記各クロック及びデータ再生回路51L,51Hは、いずれも位相同期方式によってクロック及びデータを再生するものであり、前段側(図5の左側)から後段側(図5の右側)に向かって、周波数比較器52、位相比較器53、切り替え器54、チャージポンプ及びループフィルタ55、発振器(VCO又はVCXO)56、分周器57及びデシリアライザ58を備えている。
光受信部109の増幅器112からの上り信号は、各クロック及びデータ再生回路51L,51Hの位相比較器53にそれぞれ入力される。この位相比較器53は、切り替え器54、ループフィルタ55及び発振器56とともに、上り信号のクロック及びデータ再生を行う位相ロックループ59を構成している。
他方、周波数比較器52には、局側装置1内のローカルクロックである参照クロックが入力される。この周波数比較器52は、切り替え器54、ループフィルタ55、発振器56及び分周器57とともに、自己の発振周波数を上記参照クロックに同期させる周波数ロックループ60を構成している。
各クロック及びデータ再生回路51L,51Hの切り替え器54は、位相ロックループ59又は周波数ロックループ60のいずれか一方に切り替えるためのスイッチング素子よりなり、アンド回路等の論理回路よりなる制御器61によってスイッチングされる。この制御器61は、前記レート選択信号S1とデータ検出信号S2がアンド条件で揃った時に、クロック及びデータ再生回路51L,51Hの作動ループが位相ロックループ59になるように切り替え器54をスイッチングする。
すなわち、図6(a)に示すように、低速用のクロック及びデータ再生回路51Lの場合には、レート選択信号S1の識別符号がL(低速)になりかつデータ検出信号S2が立ち上がった時に、クロック及びデータ再生回路51Lの作動ループが位相ロックループ59に切り替わり、それ以外の時には、クロック及びデータ再生回路51Lの作動ループは周波数ロックループ60になっている。
また、図6(b)に示すように、高速用のクロック及びデータ再生回路51Hの場合は、レート選択信号S1の識別符号がH(高速)になりかつデータ検出信号S2が立ち上がった時に、クロック及びデータ再生回路51Hの作動ループが位相ロックループ59に切り替わり、それ以外の時には、クロック及びデータ再生回路51Hの作動ループは周波数ロックループ60になっている。
このため、増幅器112から入力される上り信号の伝送レートが低速Lの場合には、低速用のクロック及びデータ再生回路51Lの位相ロックループ59が作動し、低速の伝送レートLでのクロック及びデータ再生が行われ、このさい、高速用のクロック及びデータ再生回路51Hは周波数ロックループ60になっていて、自己の発振周波数を参照クロックに同期させている。
また、増幅器112から入力される上り信号の伝送レートが高速Hの場合には、高速用のクロック及びデータ再生回路51Hの位相ロックループ59が作動し、高速の伝送レートHでのクロック及びデータ再生が行われ、このさい、低速用のクロック及びデータ再生回路51Lは周波数ロックループ60になっていて、自己の発振周波数を参照クロックに同期させている。
このように、本実施形態のクロック・データ再生部113では、送受信バースト判定部106が生成したレート選択信号S1に基づいて制御器61がクロック及びデータ再生回路51L,51Hを作動させるので、伝送レートの切り替えを迅速に行うことができる。そして、このレート選択信号S1は、送受信バースト判定部106がグラントを利用して生成する信号であるから、局側装置1が受信する上り信号の伝送レートを判定する回路を別途設ける必要がなく、回路構成が容易になる。
また、本実施形態のクロック・データ再生部113では、レート選択信号S1とデータ検出信号S2がアンド条件で揃った時に制御器61がクロック及びデータ再生回路51L,51Hの作動を開始させるので、レート選択信号S1の検出のみに基づいてクロック及びデータ再生回路51L,51Hの作動開始時を決定する場合に比べて、その作動開始時と実際の上り信号の受信タイミングとの時間差をほぼ無くすことができ、クロック及びデータ再生回路51L,51Hの作動開始時をより正確に設定することができる。
更に、本実施形態のクロック・データ再生部113では、切り替え器54をスイッチング制御する制御器61が、レート選択信号S1で選択されていないクロック及びデータ再生回路51L,51Hの作動ループを周波数ロックループ60に切り替えるので、当該クロック及びデータ再生回路51L,51Hが想定する伝送レート以外の信号(ノイズを含む)が入力されている間は、周波数ロックループ60によって自己の発振周波数を安定化することができ、これにより、想定外の信号の入力によって発振周波数が乱れるのを防止することができる。
前記デシリアライザ58は、各クロック及びデータ再生回路51L,51Hにおいて再生したデータをパラレル信号化して出力するものであり、このデシリアライザ58には、位相比較器53が出力するデータ信号(シリアル)と、発振器56のフルレートクロックと、このクロックを分周器57で分周した分周クロックがそれぞれ入力される。
図7は、上記デシリアライザ58の回路構成の一例を示している。図7に示すように、本実施形態のデシリアライザ58は、複数のDフリップフロップ63よりなるシフトレジスタ64と、このシフトレジスタ64の後段に配置されたラッチ回路65とから構成されている。
シフトレジスタ64は、位相比較器53から入力されたシリアル信号を発振器56のフルレートクロックでシフトして出力し、この出力信号が後段のラッチ回路65に入力される。このラッチ回路65は、パラレル信号用のフリップフロップ回路よりなり、分周器57から得た分周クロックでシフトレジスタ64から入力された信号をラッチし、その信号に対応するパラレル信号を出力する。
このように、本実施形態のクロック・データ再生部113では、再生したデータをパラレル信号化して出力するデシリアライザ58を内蔵しているので、クロック・データ再生部113の後段の回路ブロックに対して、高速なシリアル信号ではなく低速のパラレル信号が送信される。このため、後段の回路ブロックにおいて再度クロック及びデータの再生を行う必要がなくなり、後段の回路ブロックの負担を軽減させることができる。
また、本実施形態のクロック・データ再生部113では、複数あるクロック及びデータ再生回路51L,51Hのそれぞれがデシリアライザ58を備えているので、一つのデシリアライザ58を共用した場合に生じ得る、伝送レートの切り替え時の乱れを回避できるという利点もある。
〔PONシステムの動作手順(上り方向通信方法)〕
次に、上記のように構成されたPONシステムにおける動作手順について、図8のシーケンス図を参照して説明する。なお、このシーケンス図は、局側装置1と端末装置2(伝送レートL[Gbps])との間での動作についてのものであるが、他の端末装置3,4についても同様である。
図8において、局側装置1は、運用時間開始時刻T0の時点で端末装置2に関するRTT(Round Trip Time)を既に計算している。時刻Ta1において、局側装置1は送出要求量を通知させるために、端末装置2に対してレポート送出開始時刻Tb2を含んだグラント(グラントフレーム)G1を送信する。このレポート送出開始時刻Tb2は、他の端末装置3,4から送信されるレポートと衝突しないように計算される。
端末装置2は、自身に対するグラントG1を受信すると、データ中継処理部207のバッファメモリに蓄積されたデータ量を参照して送出要求量を算出し、グラントG1に含まれるレポート送出開始時刻Tb2に、局側装置1に対して送出要求量を含んだレポート(レポートフレーム)R1を送出する。
局側装置1はレポートR1を受信すると、固定または可変の最大送出許可量以下となり、かつ、レポートR1に含まれるバッファメモリ内データ量のデータをなるべく多く送れるような値を演算し、演算結果を送出許可量としてグラントG2に挿入する。
レポートR1に含まれる送出要求量がゼロの場合には、局側装置1による演算結果がゼロとなるため帯域が割当てられないが、端末装置2にレポートR2を送出させる必要があるので、局側装置1は端末装置2に対して必ずグラントG2を送出する。
グラントG2に含まれる送出開始時刻Tb4は、演算済みである前回の端末装置データの受信予定時刻、前回の端末装置2の送出許可量、現在の端末装置2に関するRTT及び固定時間であるガードタイムを用い、データ及びレポートが他の端末装置3,4からのデータまたはレポートと衝突しないように計算される。
なお、局側装置1は、送出許可量及び送出開始時刻Tb4を含むグラントG2を送出する時刻Ta3を、送出開始時刻Tb4までにグラントG2が端末装置2に到着するように計算する。
端末装置2は、自身に対するグラントG2を受信すると、グラントG2に含まれる送出開始時刻Tb4に、送出許可量分のデータDを、次回の送出要求量を含んだレポートR2とともに局側装置1に送出する。
このレポートR2はデータDの直前または直後に送出されるが、データDの直前に送出される場合には、送出要求量として局側装置1に報告する値は、バッファメモリに蓄積されているデータ量とデータDのデータ量との差分である。
局側装置1は、データD及びレポートR2を受信すると、データDを上位ネットワーク11に送出し、レポートR2についてはレポートR1に対する処理と同様の処理を行なう。以上説明したシーケンス処理は、全ての端末装置2〜4に対して独立に行なわれ、運用時間が終了するまで時刻Ta3〜時刻Ta4の処理が繰返される。
図9は、端末装置2〜4に対する帯域割当てと、局側装置1と複数の端末装置2〜4との間で行われる、上り方向通信に関する送受信を示すシーケンス図である。
この図9では、分散割当方式の一例を示している。図の左側から右側へ時間が進行するものとして、局側装置1を主体として見たシステムの動作について説明する。
まず、局側装置1は、端末装置4,3,2に対してそれぞれ、グラントG41,G31,G21を順次送出する。そして局側装置1は、端末装置4,3,2からレポートR41,R31,R21を受信すると、最初にデータの送出を許可する端末装置4に対するグラントG42を送出する。
局側装置1は、端末装置4から送出されるデータD41及び次のレポートR42を受信するとともに、これと並行して端末装置3に対するグラントG32を送出する。局側装置1は、端末装置3から送出されるデータD31及び次のレポートR32を受信するとともに、これと並行して端末装置2に対するグラントG22を送出する。また、続いて、端末装置4に対するグラントG43も送出する。
局側装置1は、端末装置2から送出されるデータD21及び次のレポートR22を受信する。また、局側装置1は、端末装置4から送出されるデータD42及び次のレポートR43を受信するとともに、これと並行して、端末装置3に対するグラントG33を送出する。
さらに、局側装置1は、端末装置3から送出されるデータD32及び次のレポートR33を受信するとともに、これと並行して、端末装置2に対するグラントG23を送出する。ここで、端末装置2から送出されるデータがなければ、局側装置1は、次のレポートR23のみを受信する。これ以降、同様の処理が繰返され、局側装置1は、順次端末装置2〜4に対して帯域を割当てて、データの受信を繰返す。
図9に示すシーケンスによれば、ユーザネットワーク12〜14(図1)から送出されたデータが、対応する端末装置2〜4に到着し、そこから送出されるまでの待ち時間は、端末装置2〜4がレポートを送出してから、そのレポートに対応したデータを送出するまでの時間に依存する。すなわち、全ての端末装置2〜4からの送出データ量によって変化する。
例えば、端末装置2〜4からのレポートによる送出要求量を全て許可すると、レポートの送出からデータの送出までの待ち時間が大幅に増加し、リアルタイム処理が要求されるサービスに影響を及ぼすだけでなく、TCP(Transmission Control Protocol)スループットにも大きく影響を及ぼすことになる。
従って、端末装置内のバッファにおける待ち時間を、許容される時間内に抑えられるように、局側装置1は端末装置2〜4からの送出データ量を制御する必要がある。
上記シーケンス(図9)において、例えば、端末装置4にグラントG42が送出されたとき、図2の制御信号処理部104から次受信バースト判定部106にも同じグラントG42の情報が送られる。次受信バースト判定部106は、このグラントG42に基づいて、レポートR42を受信する前のバースト間ギャップの期間に、次に受信するバースト(レポートR42+データD41)の伝送レートH(10Gbps)を光受信部109及びPON側受信部107に通知する。
この通知を受けた光受信部109及びPON側受信部107は、受信機能を10Gbpsに対応させ、当該バーストを待つ。そして、PON側受信部107のクロック・データ再生部113は、次受信バースト判定部106がグラントG42から生成したレート判定信号S1(S1=H)に基づいて、伝送レートH(10Gbps)用のクロック及びデータ再生回路52Hに切り替える。
従って、当該バースト到来時に、高速伝送レートHに対応した受信態勢が整っており、極めて迅速に同期を確立することができる。
同様に、例えば、端末装置2にグラントG22が送出されたときには、制御信号処理部104から次受信バースト判定部106にも同じグラントG22の情報が送られる。次受信バースト判定部106は、このグラントG22に基づいて、データD21とレポートR22との間のバースト間ギャップの期間に、次に受信するバースト(レポートR22+データD21)の伝送レートL(1Gbps)を、光受信部109及びPON側受信部107に通知する。
この通知を受けた光受信部109及びPON側受信部107は、受信機能を1Gbpsに対応させ、当該バーストを待つ。そして、PON側受信部107のクロック・データ再生部113は、次受信バースト判定部106がグラントG22から生成したレート判定信号S1(S1=L)に基づいて、伝送レートL(1Gbps)用のクロック及びデータ再生回路51Lに切り替える。
従って、当該バースト到来時に、低速の伝送レートLに対応した受信態勢が整っており、極めて迅速に同期を確立することができる。
以下同様に、全ての伝送レート(L,M,H)の上り信号について、送受信バースト判定部(管理部)106がグラントから生成したレート判定信号S1をクロック・データ再生部112が受けることにより、その判定信号S1に対応する伝送レート用のクロック及びデータ再生回路に切り替えられる。
従って、本実施形態の送受信バースト判定部(管理部)106は、局側装置1が各端末装置2〜4に対して設定する時分割多重と同じ時系列で、各伝送レート(L,M,H)の上り信号の受信タイミングに合わせて、クロック・データ再生部112に設けられた複数のクロック及びデータ再生回路51L,51Hの作動タイミングを設定する管理部として機能する。
このように、本実施形態の局側装置1では、端末装置2〜4に与えるグラントに基づいて、次に上り方向の信号を受信する時期及びその伝送レートの情報を実際の受信前に取得しており、この取得した伝送レートに受信機能を対応させて信号を受信するので、時分割多重されたマルチレートの上り信号に対して迅速に同期を確立することができる。
従って、上り方向の伝送レートがマルチレートである上り方向通信の通信効率を向上することができる。
上記の通り、本実施形態の局側装置1において、制御信号処理部104と次受信バースト判定部106とからなる「管理手段」は、端末装置2〜4が使用する複数種類の上り方向への伝送レートを記憶し、端末装置2〜4に対して上り方向への通信のグラントを与えるとともに、当該グラントに基づいて、次に上り方向の信号を受信する時期及びその伝送レートを特定する機能を有する。
また、光受信部109とPON側受信部107とからなる「受信手段」は、その時期に合わせて、特定された伝送レートに受信状態を対応させる機能を有する。
なお、上記管理手段は、伝送レートに加えて、さらに上り方向の信号の符号化の種類を特定するものであってもよい。また、受信手段は、上記時期に合わせて、受信機能を、特定された符号化の種類にも対応させるものであってもよい。
この場合、端末装置に与えるグラントに基づいて、次に受信する上り方向の信号の符号化の種類を、実際の受信前に知ることができる。また、その符号化の種類に受信機能を対応させた状態で信号を受信すれば、迅速に復号化を行うことができる。さらに、符号化されたものが誤り訂正符号であれば、端末装置の光送信パワーに関して、同じ送信パワーで伝送できる距離を伸ばすことが可能となる。
また、上記管理手段は、伝送レートに加えて、さらに上り信号の暗号化の種類を特定するものであってもよく、受信手段は、上記時期に合わせて、受信機能を、特定された暗号化の種類にも対応させるものであってもよい。
この場合、端末装置に与えるグラントに基づいて、次に受信する上り方向の信号の暗号化の種類を、実際の受信前に知ることができる。また、その暗号化の種類に受信機能を対応させた状態で信号を受信すれば、迅速に暗号解読を行うことができる。従って、特定の端末装置との通信の秘匿性を高めることができる。
〔ディスカバリプロセス〕
以上説明した実施形態では、複数の端末装置2〜4が既にPONシステムに加入しているものと仮定している。ところが、実際には、局側装置1に認識されていない電源オフの状態から、電源オンにより局側装置1に認識され、PONシステムに加入する手順が存在する。
この手順はディスカバリプロセスと呼ばれるものであり、IEEE規格802.3ah−2004のClause 64に規定されている。以下、このディスカバリプロセスに関して説明する。
そもそも、局側装置1に認識される前の端末装置は、グラントを与えられる機会が無い。一方、全ての端末装置は、局側装置1から明示的にグラントが与えられない限り、上り方向通信を行うことができない。
そこで、局側装置1は、電源オフ(未接続も含む。)から電源オンになり、PONシステムに加入しようとする端末装置(以下、未登録端末装置という。)を検出するためのディスカバリプロセスを周期的に実行し、未登録端末装置に応答の機会を与える。
図10は、局側装置と未登録端末装置との間で行われるディスカバリプロセスを示す図である。
図10において、局側装置は時刻T1においてディスカバリプロセスを開始し、下り方向にディスカバリゲートメッセージをブロードキャストする。
このディスカバリゲートメッセージには、これに対する応答が許されるディスカバリ期間の開始時刻と期間の長さの情報が含まれている。このディスカバリ期間は、ディスカバリウインドウと呼ばれ、例えば時刻T2からT4までの時間ΔTdとなる。
ディスカバリゲートメッセージを受け取った未登録端末装置は、時刻T2(局側装置と同期している。)からランダム長の時間をもつランダム待ち時間ΔTwだけ待ち、時刻T3に、登録要求メッセージを局側装置に送信する。このランダム待ち時間ΔTwは、登録要求メッセージがディスカバリウインドウに収まる範囲内で、ランダムな値となる。
従って、仮に、PONシステムに加入しようとする未登録端末装置が複数あった場合でも、複数の未登録端末装置からの登録要求メッセージが相互に衝突する確率を低下させることができる。
登録要求メッセージには、その未登録端末装置の個体識別番号としてのMACアドレスが含まれている。登録要求メッセージの受信に成功した局側装置は、PONシステム上の論理的なリンク番号(LLID)を当該未登録端末装置に割り当て、MACアドレスとLLIDとを相互に関連付けて、PONシステムに登録する。
次に、局側装置は、新たに登録した端末装置に対して、時刻T5において、登録メッセージを送信する。登録メッセージには、当該端末装置のLLIDと、局側装置が上り方向のバースト通信を受信する際に必要な同期時間の情報とが含まれている。
その後、時刻T6において局側装置は、当該端末装置に対して上り方向通信を許可するグラント(グラントゲートメッセージ)を送信する。
グラントを受信した未登録端末装置は、そのグラントを用いて時刻T7に登録アクノレッジを局側装置に送信し、これを局側装置が受信してディスカバリプロセスが終了となる。 その後は、通常のPONシステムの通信が開始される。
ここで、図1に示すPONシステムにおいて、例えば、全ての端末装置2〜4について上記ディスカバリプロセスが行われるとすると、局側装置1は、端末装置2〜4からそれぞれ登録要求メッセージを受け取らなければならない。
端末装置2〜4がPONシステムに加入した後の通常のPON通信では、前述のように、グラントに基づいて局側装置1の受信態勢を整える(受信機能を伝送レートに対応させる)ことができるが、未登録の段階ではこれができない。
そこで、局側装置1は、例えば以下のようにして、未登録端末装置からの上り方向通信(登録要求メッセージ)を受信する。
すなわち、通常のPON通信における伝送レートが互いに異なる端末装置2〜4であっても、登録要求メッセージに関しては1種類の伝送レート(典型的にはL)を使用するようにすれば、受信する前から伝送レートが判明している。具体的には、伝送レートLの端末装置2は、通常のPON通信と同様に伝送レートLで登録要求メッセージを送信する。
一方、図4に示す伝送レートHの端末装置4は、ディスカバリゲートメッセージを受け取ると、このメッセージを制御信号処理部406から送信部切替判定部410に送る。これにより、送信部切替判定部410は、送信機能をPON側送信部405から登録要求送信部411に切り替える。そして、制御信号処理部406は、登録要求送信部411から伝送レートLで、登録要求メッセージを送信させる。
従って、通常のPON通信では高速の伝送レートHを使用する端末装置4が、登録要求メッセージに関しては、低速の伝送レートLで送信を行うことになる。なお、登録要求メッセージの送信後、送信部切替判定部410は、送信機能を登録要求送信部411からPON側送信部405に戻す。
同様に、通常のPON通信では伝送レートMの端末装置3が、登録要求メッセージ等に関しては、伝送レートLで送信を行う。
この結果、未登録の端末装置2〜4から局側装置1に対してディスカバリウインドウの期間内に届く登録要求メッセージ(2又は3台同時に電源オンであれば同期間内にランダムに前後して届く。)は、全て伝送レートLで送られてくる。
一方、局側装置1の次受信バースト判定部106は、ディスカバリゲートメッセージに対して、次に受信するバースト(登録要求メッセージ)の伝送レートLを、光受信部109及びPON側受信部107に通知する。通知を受けた光受信部109及びPON側受信部107は、受信機能を伝送レートLに対応させ、登録要求メッセージを待つ。
従って、局側装置1では、登録要求メッセージ到来時に、その伝送レートLに対応した受信態勢が整っており、未登録の端末装置2〜4からの登録要求メッセージを迅速かつ確実に受信することができる。
なお、登録アクノレッジに関しては、通常のPON通信の場合と同様に、その前に端末装置2〜4に対して与えられるグラントに基づいて、局側装置1の受信機能を伝送レートに対応させることができる。
なお、図10では、一種類の伝送レートLを利用してディスカバリウインドウΔTdを設定しているが、局側装置1が各伝送レートL,M,Nに対応したディスカバリウインドウを設定するようにし、その各伝送レートL,M,Nのディスカバリウインドウ内において、当該伝送レートL,M,Nで通信する各端末装置2,3,4との間でディスカバリを行うようにしてもよい。この場合には、各端末装置2,3,4が、基準レートとなる低速レートLで通信する機能を備えている必要がない。
本発明の一実施形態に係るPONシステムの概略構成図である。 上記PONシステムを構成する局側装置の内部構成を示すブロック図である。 上記PONシステムを構成する一つの端末装置の内部構成を示すブロック図である。 上記PONシステムを構成する他の端末装置の内部構成を示すブロック図である。 局側装置のクロック・データ再生部の内部構成を示すブロック図である。 クロック及びデータ再生回路の作動状態を示すタイムチャートである。 デシリアライザの内部構成を示すブロック図である。 局側装置と端末装置との間での動作を示すシーケンス図である。 端末装置に対する帯域割当てと、局側装置と端末装置との間での上り方向通信に関する送受信を示すシーケンス図である。 局側装置と未登録端末装置との間で行われるディスカバリプロセスを示すシーケンス図である。
1 局側装置
2〜4 端末装置
5,7〜9 光ファイバ
106 次受信バースト判定部(管理部)
107 クロック・データ再生部(再生部)
51L クロック及びデータ再生回路
51H クロック及びデータ再生回路
58 デシリアライザ
59 位相ロックループ
60 周波数ロックループ
61 制御器

Claims (7)

  1. 光ファイバを介して一対多接続された複数の端末装置と共にPONシステムを構成し、当該端末装置から送信される複数の伝送レートの上り信号を時分割多重方式で受信する局側装置であって、
    前記複数の伝送レートを記憶して前記端末装置に上り方向への通信のグラントを与えるとともに、当該グラントに対応する次の上り信号を受信する時期及びその伝送レートを特定する管理部と、
    この管理部で特定された時期及び伝送レートに合わせて上り信号のクロック及びデータ再生を行う再生部と、を備えており、
    前記再生部は、複数の伝送レートのうちの一つの伝送レートの上り信号に対して自己の発振周波数を位相同期させてその上り信号からクロック及びデータ再生を行うクロック及びデータ再生回路を、当該複数の伝送レートに対応して複数有するとともに、
    前記管理部が特定した伝送レートを示す信号として当該管理部が生成したレート選択信号に基づいて、この選択信号に対応する前記クロック及びデータ再生回路を作動させる制御器を有することを特徴とする局側装置。
  2. 前記制御器は、前記レート選択信号と、上り信号が実際に到達したことを表すデータ検出信号との双方に基づいて、前記クロック及びデータ再生回路の作動を開始させる請求項1に記載の局側装置。
  3. 前記複数のクロック及びデータ再生回路は、位相同期方式によって上り信号のクロック及びデータ再生を行う位相ロックループと、自己の発振周波数を参照クロックに同期させる周波数ロックループとを備えており、
    前記制御器は、前記レート選択信号で選択されていない前記クロック及びデータ再生回路の作動ループを前記周波数ロックループに切り替えるものである請求項1又は2に記載の局側装置。
  4. マルチレートのバースト信号を時分割多重方式で受信するPON受信部であって、
    複数の伝送レートのうちの一つの伝送レートのバースト信号に対して自己の発振周波数を位相同期させてそのバースト信号からクロック及びデータ再生を行うクロック及びデータ再生回路を、当該複数の伝送レートに対応して複数備えており、
    グラントに対応する次のバースト信号を受信する時期及び伝送レートに合わせてその伝送レートに対応する前記クロック及びデータ再生回路を作動させることにより、バースト信号のクロック及びデータ再生を行うことを特徴とするPON受信部。
  5. 複数の端末装置と光ファイバを介して一対多接続された局側装置が、前記端末装置から送信される複数の伝送レートの上り信号を時分割多重方式で受信するPONシステムの上り方向通信方法であって、
    前記複数の伝送レートのうちのいずれか一つの伝送レートの上り信号に対して自己の発振周波数を位相同期させてその上り信号からクロック及びデータ再生を行うクロック及びデータ再生回路を、当該伝送レートに対応して複数用意しておき、
    前記複数の伝送レートを記憶して前記端末装置に上り方向への通信のグラントを与えるとともに、当該グラントに対応する次の上り信号を受信する時期及びその伝送レートを特定し、
    特定された時期及び伝送レートに合わせてその伝送レートに対応する前記クロック及びデータ再生回路を作動させることにより、上り信号のクロック及びデータ再生を行うことを特徴とするPONシステムの上り方向通信方法。
  6. 光ファイバを介して一対多接続された複数の端末装置と共にPONシステムを構成し、前記端末装置から送信される複数の伝送レートの上り信号を時分割多重方式で受信する局側装置であって、
    複数の伝送レートのうちの一つの伝送レートの上り信号に対して自己の発振周波数を位相同期させてその上り信号からクロック及びデータ再生を行うクロック及びデータ再生回路を、当該複数の伝送レートに対応して複数備えた再生部と、
    複数の前記クロック及びデータ再生回路の作動タイミングを各伝送レートの上り信号の受信タイミングに合わせて設定する管理部と、
    を備えていることを特徴とする局側装置。
  7. マルチレートのバースト信号うちの一つの伝送レートのバースト信号に対して自己の発振周波数を位相同期させてそのバースト信号からクロック及びデータ再生を行うクロック及びデータ再生回路を、当該複数の伝送レートに対応して複数備えたクロック及びデータ再生部であって、
    複数の前記クロック及びデータ再生回路の作動タイミングを各伝送レートのバースト信号の受信タイミングに合わせることを特徴とするクロック及びデータ再生部。
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