JP2007243285A - 局側装置及びponシステムの上り方向通信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】端末装置の上り伝送レートが複数種類であるPONシステムにおける上り伝送レートに対して、簡単かつ迅速に、同期を確立することができる局側装置及びPONシステムの上り通信方法を提供する。
【解決手段】光ファイバ5を介して接続された端末装置と共にPONシステムを構成し、当該端末装置を管理する局側装置1において、制御信号処理部104は、端末装置に対して上り方向への通信のグラントを与える。次受信バースト判定部106は、端末装置が使用する複数種類の上り方向への伝送レートを記憶しており、グラントに基づいて、次に上り方向の信号を受信する時期及びその伝送レートを特定する。光受信部109及びPON側受信部107は、その時期に合わせて、受信機能を、特定された伝送レートに対応させ、その状態で信号の受信が行われる。
【選択図】図2
【解決手段】光ファイバ5を介して接続された端末装置と共にPONシステムを構成し、当該端末装置を管理する局側装置1において、制御信号処理部104は、端末装置に対して上り方向への通信のグラントを与える。次受信バースト判定部106は、端末装置が使用する複数種類の上り方向への伝送レートを記憶しており、グラントに基づいて、次に上り方向の信号を受信する時期及びその伝送レートを特定する。光受信部109及びPON側受信部107は、その時期に合わせて、受信機能を、特定された伝送レートに対応させ、その状態で信号の受信が行われる。
【選択図】図2
Description
本発明は、局側装置と複数の端末装置とを光ファイバ網で結ぶPON(Passive Optical Network)システムに関し、特に、端末装置から局側装置への上り方向通信に関する。
PONシステムは、集約局としての局側装置と、複数の加入者宅に設置された端末装置とを、1本の光ファイバから光カプラを介して複数の光ファイバに分岐する光ファイバ網によって、接続したものである(例えば、特許文献1,2参照。)。端末装置から局側装置への上りバースト通信は、信号の衝突を防止すべく、局側装置によって時分割で管理されている。
当初、かかる上りバースト通信は一定の伝送レートで考えられていたが、今後伝送レートの段階的な高速化が予想される。しかし、高速な伝送レートのサービス提供が開始されても、すべての加入者がそれを同時に希望する訳ではないので、上り方向通信に関して、既存の伝送レートと、それを超える高速な伝送レートとが、1つのPONシステム内で共存するマルチレートPONシステムとなる(例えば特許文献3参照。)。
上記のようなマルチレートPONシステムでは、複数種類の伝送レートに対応した受信機能が、局側装置に必要となる。しかしながら、各端末装置からバースト信号を受信開始してその伝送レートを検出し、かつ、受信機能を伝送レートに同期させることを高速に実行するのは技術的に容易ではなく、実現するには非常に高価なPON受信部が必要となる。また、同期が確立されるまでの時間内には有効なデータ通信が行えないので、この時間が長いほど、上り方向通信の効率が悪くなる。
かかる問題点に鑑み、本発明は、端末装置の上り伝送レートが複数種類であるPONシステムにおける上り伝送レートに対して、簡単かつ迅速に、同期を確立することができる局側装置及びPONシステムの上り通信方法を提供することを目的とする。
本発明は、光ファイバを介して接続された端末装置と共にPONシステムを構成し、当該端末装置を管理する局側装置であって、前記端末装置が使用する複数種類の上り方向への伝送レートを記憶し、前記端末装置に対して上り方向への通信のグラントを与えるとともに、当該グラントに基づいて、次に上り方向の信号を受信する時期及びその伝送レートを特定する管理手段と、前記時期に合わせて、受信機能を、特定された伝送レートに対応させる受信手段とを備えたことを特徴とする。
上記のように構成された局側装置では、端末装置に与えるグラントに基づいて、次に上り方向の信号を受信する時期及びその伝送レートの情報を、実際の受信前に得ることができる。また、その伝送レートに受信機能を対応させた状態で信号を受信すれば、迅速に同期を確立することができる。
また、前記局側装置において、管理手段は、伝送レートに加えて、さらに上り方向の信号の符号化の種類を特定するものであり、受信手段は、前記時期に合わせて、受信機能を、特定された符号化の種類にも対応させるものであってもよい。
この場合、端末装置に与えるグラントに基づいて、次に受信する上り方向の信号の符号化の種類を、実際の受信前に知ることができる。また、その符号化の種類に受信機能を対応させた状態で信号を受信すれば、迅速に復号化を行うことができる。さらに、符号化されたものが誤り訂正符号であれば、端末装置の光送信パワーに関して、同じ送信パワーで伝送できる距離を伸ばすことが可能となる。
この場合、端末装置に与えるグラントに基づいて、次に受信する上り方向の信号の符号化の種類を、実際の受信前に知ることができる。また、その符号化の種類に受信機能を対応させた状態で信号を受信すれば、迅速に復号化を行うことができる。さらに、符号化されたものが誤り訂正符号であれば、端末装置の光送信パワーに関して、同じ送信パワーで伝送できる距離を伸ばすことが可能となる。
また、前記局側装置において、管理手段は、伝送レートに加えて、さらに上り信号の暗号化の種類を特定するものであり、受信手段は、前記時期に合わせて、受信機能を、特定された暗号化の種類にも対応させるものであってもよい。
この場合、端末装置に与えるグラントに基づいて、次に受信する上り方向の信号の暗号化の種類を、実際の受信前に知ることができる。また、その暗号化の種類に受信機能を対応させた状態で信号を受信すれば、迅速に暗号解読を行うことができる。従って、特定の端末装置との通信の秘匿性を高めることができる。
この場合、端末装置に与えるグラントに基づいて、次に受信する上り方向の信号の暗号化の種類を、実際の受信前に知ることができる。また、その暗号化の種類に受信機能を対応させた状態で信号を受信すれば、迅速に暗号解読を行うことができる。従って、特定の端末装置との通信の秘匿性を高めることができる。
また、本発明は、複数種類の上り方向への伝送レートを使用する端末装置とこれを管理する局側装置とが光ファイバを介して接続されたPONシステムの上り方向通信方法であって、前記端末装置が使用する複数種類の上り方向への伝送レートを記憶し、前記端末装置に対して上り方向への通信のグラントを与え、前記グラントに基づいて、次に上り方向の信号を受信する時期及びその伝送レートを特定し、前記時期に合わせて、受信機能を、特定された伝送レートに対応させることを特徴とする。
上記のようなPONシステムの上り方向通信方法では、端末装置に与えるグラントに基づいて、次に上り方向の信号を受信する時期及びその伝送レートの情報を、実際の受信前に得ることができる。また、その伝送レートに受信機能を対応させた状態で信号を受信すれば、迅速に同期を確立することができる。
本発明の局側装置又はPONシステムの上り方向通信方法では、グラントに基づいて、次に上り方向の信号を受信する時期及びその伝送レートの情報を、実際の受信前に得ることができ、また、その伝送レートに受信機能を対応させた状態で信号を受信すれば、迅速に同期を確立することができる。従って、簡単かつ迅速に、上り方向通信の伝送レートに同期を確立して、上り方向通信の効率を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態によるPONシステムの接続図である。図において、局側装置1は、複数の端末装置2〜4に対する集約局として設置される。端末装置2〜4はそれぞれ、PONシステムの加入者宅に設置される。局側装置1に接続された1本の光ファイバ5から光カプラ6を介して複数の光ファイバ(支線)7〜9に分岐した構成を成す光ファイバ網(5〜9)が構成され、分岐した光ファイバ7〜9の終端にそれぞれ端末装置2〜4が接続されている。さらに、局側装置1は上位ネットワーク11と接続され、端末装置2〜4はそれぞれのユーザネットワーク12〜14と接続されている。
なお、図1では3個の端末装置2〜4を示しているが、1つの光カプラ6から例えば32分岐して32個の端末装置を接続することが可能である。また、図1では光カプラ6を1個だけ使用しているが、光カプラを縦列に複数段設けることにより、さらに多くの端末装置を局側装置1と接続することができる。
図1において、各端末装置2〜4から局側装置1への上り方向には波長λ1でデータが送信される。逆に、局側装置1から端末装置2〜4への下り方向には波長λ2でデータが送信される。これらの波長λ1及びλ2は、IEEE規格802.3ah−2004のClause60に基づいて、以下の範囲の値とすることができる。
1260nm≦λ1≦1360nm
1480nm≦λ2≦1500nm
1260nm≦λ1≦1360nm
1480nm≦λ2≦1500nm
また、端末装置2,3,4における上り方向通信の伝送レートはそれぞれ、L[Gbps]、M[Gbps]、H[Gbps]である。ここで、L,M,Hの値は、L<M<Hの関係にあり、例えば、L=1,M=2,H=10である。一方、局側装置1における下り方向通信の伝送レートはD[Gbps]1種類であり、Dの値は例えば1である。
なお、本例では端末装置を3台として、互いに異なる3種類の伝送レートとしたが、端末装置の台数及び異なる伝送レートの数は種々のパターンがあり得る。
なお、本例では端末装置を3台として、互いに異なる3種類の伝送レートとしたが、端末装置の台数及び異なる伝送レートの数は種々のパターンがあり得る。
図2は、局側装置1について、その内部構成の概略を示すブロック図である。局側装置1内の各部(101〜115)は、図示のように接続されている。図において、上位ネットワーク11からのフレームは上位ネットワーク側受信部101により受信され、データ中継処理部103に送られる。データ中継処理部104は、PON側送信部105へフレームを渡し、これが、光送信部108で波長λ2、伝送レートD[Gbps]の光信号に変換され、合分波部110を介して、端末装置2〜4に送られる。
一方、端末装置2〜4(図1)から上り方向に送信された光信号(波長λ1、伝送レートL/M/H[Gbps])は、合分波部110を通過して、光受信部109により受信される。光受信部109は、内部に、光電変換素子111及び増幅器112を備えている。光電変換素子111は、フォトダイオードやアバランシェフォトダイオード等の半導体受光素子であり、受光量に応じた電気信号を出力する。増幅器112は、電気信号を増幅して出力する。増幅器112の出力信号はPON側受信部107に入力される。
PON側受信部107は、内部に、クロック・データ再生部113、物理層符号化/復号化部114及び、フレーム再生部115を備えている。クロック・データ再生部113は、増幅器112から受けた電気信号に同期してタイミング成分(クロック)とデータとを再生する。物理層符号化/復号化部114は、再生されたデータに施されている符号を復号する。フレーム再生部115は、復号されたデータからフレームの境界を検出して例えば、イーサネット(登録商標)フレームを復元する。また、フレーム再生部115は、フレームのヘッダ部分を読みとることにより、受信したフレームがデータフレームであるか、又は、レポートフレーム等のメディアアクセス制御のための制御情報のフレームであるかを判定する。
なお、制御情報の例として、IEEE規格802.3ah−2004のClause 64に記載のMPCP(Multi-point Control Protocol) PDU(Protocol Data Unit)を挙げることができる。局側装置1が端末装置2〜4に対して上り方向データの送出開始時刻および送出許可量を指示するため制御情報であるグラントや、端末装置2〜4が局側装置1に対して上り方向データの蓄積量に関する値を通知するための制御情報であるレポートは、このMPCP PDUの一種である。
上記判定の結果、データフレームであれば、フレーム再生部115はこれをデータ中継処理部103に送る。データ中継処理部103は、データフレームのヘッダ情報の変更や上位ネットワーク側送信部102に対する送信制御等の所定の中継処理を行い、処理後のフレームは上位ネットワーク側送信部102から上位ネットワーク11へ送出される。また、上記判定の結果、フレームがレポートフレームであれば、フレーム再生部115はこれを制御信号処理部104に送る。制御信号処理部104はこのレポートに基づいて、制御情報としてのグラントフレームを生成し、これが、PON側送信部105及び光送信部108から合分波部110を介して、波長λ2、伝送レートD[Gbps]で、下り方向に送信される。
上記グラントは、次受信バースト判定部106にも送られる。この次受信バースト判定部106は、端末装置2〜4が使用する伝送レートを記憶し、グラントに基づいて、次にバースト信号を受信する時期及びその伝送レートを特定する。そして、特定された伝送レートは、光受信部109及びPON側受信部107に通知される。光受信部109及びPON側受信部107は、その時期に合わせて、受信機能を、特定された伝送レートに対応させることができる。
具体的には、光受信部109における光電変換素子111の増倍率、増幅器112のゲイン、PON側受信部107における量子化判定閾値、クロック・データ再生部113におけるロック許容範囲、参照クロックの周波数等、バースト受信に関する回路パラメータを切り替えることにより、所定の伝送レートに対応させることができるように構成されている。例えば、端末装置2〜4が同一の線路条件で接続されており(必要な光のパワーバジェットが同じであり)、同じビット誤り率の伝送品質を満足させなければならないような場合において、端末装置2,3と比較して伝送レートが高い端末装置4から受信するとき、光受信部109のゲインを下げ、帯域を拡げる。
また、例えば、端末装置2,4がそれぞれ1.25Gbps,10.3125Gbpsで上り方向にバースト通信する場合、クロック・データ再生部113に対して予め、次のバーストの伝送レートがそれぞれ1Gbps,10Gbpsであると通知されていれば、後は端数分を合わせるだけでよいので、短い時間で確実に、クロック・データ再生部113の同期を確立することができる。さらにまた、1.25Gbps及び10.3125Gbpsに対してそれぞれ8B/10B符号及び64B/66B符号で物理層符号化/復号化を行うことが前提となっている場合、次のバーストに対して使用すべき復号化回路を簡単かつ確実に選択することができる。
図3は、端末装置2について、その内部構成の概略を示すブロック図であり、端末装置2内の各部(201〜209)は、図示のように接続されている。図3において、局側装置1(図1)から下り方向に送信されて来る光信号は、合分波部201を通過して、光受信部202により電気信号に変換され、さらに、この電気信号はPON側受信部204により受信される。
PON側受信部204は、受信したフレームのヘッダ部分(プリアンブル部分を含む)を読みとることにより、当該フレームが自己宛(ここでは、自己又は自己の配下のユーザーネットワーク12内の装置宛を意味する。)であるか否かを判定する。判定の結果、自己宛であれば、当該フレームを取り込み、そうでなければ、当該フレームを廃棄する。例えば、上記の宛先判定を行うためのヘッダ情報の例として、IEEE規格802.3ah−2004に記載の論理リンク識別子(LLID)を挙げることができる。
さらに、PON側受信部204は、フレームのヘッダ部分を読みとることにより、受信したフレームがデータフレームであるか、又は、グラントフレームであるかを判定する。判定の結果、データフレームであれば、PON側受信部204はこれをデータ中継処理部207に送る。データ中継処理部207は、ユーザネットワーク側送信部208に対する送信制御等の所定の中継処理を行い、処理後のフレームはユーザネットワーク側送信部208からユーザネットワーク12へ送出される。
また、上記判定の結果、フレームがグラントフレームであれば、PON側受信部204はこれを制御信号処理部206に転送する。制御信号処理部206は、グラントフレームに基づいて上り方向の送出をデータ中継処理部207に指示する。
一方、ユーザネットワーク12からのフレームはユーザネットワーク側受信部209により受信され、データ中継処理部207に転送される。転送されたフレームはデータ中継処理部207内のバッファメモリに一旦蓄積され、また、そのデータ量が制御信号処理部206に通知される。制御信号処理部206は、PON側送信部205に対して送信制御を行い、所定のタイミングで、バッファメモリに蓄積されているフレームをPON側送信部205に出力させるとともに、通知されたバッファメモリ内のデータ蓄積量に基づいてレポートフレームを作成してPON側送信部205に出力させる。PON側送信部203の出力は光送信部203で光信号に変換され、波長λ1、伝送レートL[Gbps]の信号として、合分波部201を介して上り方向に送信される。
図4は、端末装置4(伝送レートH[Gbps])について、その内部構成の概略を示すブロック図であり、端末装置4内の各部(401〜411)は、図示のように接続されている。このうち401〜409は、図3における201〜209に相当する回路要素であり、同様の機能を有する。図3との違いは、制御信号処理部406と光受信部403との間に登録要求送信部411を設けた点と、PON側送信部405と登録要求送信部411とを、送信部切替判定部410によって切り替えることができるようにした点、及び、この送信部切替判定部410は制御信号処理部406の指令を受けて送信部切替を行うようにした点である。
通常、送信部としては、PON側送信部405が動作するようになっている。なお、PON側送信部405が動作する場合の端末装置14は、実質的に端末装置12と同様である。
また、端末装置3についても見かけ上の構成は図4と同様である。但し、前述のように、端末装置3の伝送レートはM[Gbps]であり、端末装置4とは異なる。
また、端末装置3についても見かけ上の構成は図4と同様である。但し、前述のように、端末装置3の伝送レートはM[Gbps]であり、端末装置4とは異なる。
次に、上記のように構成されたPONシステムにおける動作手順について、図5のシーケンス図を参照して説明する。なお、このシーケンス図は、局側装置1と端末装置2との間での動作についてのものであるが、他の端末装置3,4についても同様である。
図5において、局側装置1は、運用時間開始時刻T0の時点で端末装置2に関するRTT(Round Trip Time)を既に計算している。時刻Ta1において、局側装置1は送出要求量を通知させるために、端末装置2に対してレポート送出開始時刻Tb2を含んだグラント(グラントフレーム)G1を送信する。このレポート送出開始時刻Tb2は、他の端末装置3,4から送信されるレポートと衝突しないように計算される。
端末装置2は、自身に対するグラントG1を受信すると、データ中継処理部207のバッファメモリに蓄積されたデータ量を参照して送出要求量を算出し、グラントG1に含まれるレポート送出開始時刻Tb2に、局側装置1に対して送出要求量を含んだレポート(レポートフレーム)R1を送出する。
局側装置1はレポートR1を受信すると、固定または可変の最大送出許可量以下となり、かつ、レポートR1に含まれるバッファメモリ内データ量のデータをなるべく多く送れるような値を演算し、演算結果を送出許可量としてグラントG2に挿入する。レポートR1に含まれる送出要求量がゼロの場合には、局側装置1による演算結果がゼロとなるため帯域が割当てられないが、端末装置2にレポートR2を送出させる必要があるので、局側装置1は端末装置2に対して必ずグラントG2を送出する。
グラントG2に含まれる送出開始時刻Tb4は、演算済みである前回の端末装置データの受信予定時刻、前回の端末装置2の送出許可量、現在の端末装置2に関するRTT及び固定時間であるガードタイムを用い、データ及びレポートが他の端末装置3,4からのデータまたはレポートと衝突しないように計算される。なお、局側装置1は、送出許可量及び送出開始時刻Tb4を含むグラントG2を送出する時刻Ta3を、送出開始時刻Tb4までにグラントG2が端末装置2に到着するように計算する。
端末装置2は、自身に対するグラントG2を受信すると、グラントG2に含まれる送出開始時刻Tb4に、送出許可量分のデータDを、次回の送出要求量を含んだレポートR2とともに局側装置1に送出する。このレポートR2はデータDの直前または直後に送出されるが、データDの直前に送出される場合には、送出要求量として局側装置1に報告する値は、バッファメモリに蓄積されているデータ量とデータDのデータ量との差分である。
局側装置1は、データD及びレポートR2を受信すると、データDを上位ネットワーク11に送出し、レポートR2についてはレポートR1に対する処理と同様の処理を行なう。以上説明したシーケンス処理は、全ての端末装置2〜4に対して独立に行なわれ、運用時間が終了するまで時刻Ta3〜時刻Ta4の処理が繰返される。
図6は、端末装置2〜4に対する帯域割当てと、局側装置1と端末装置2〜4との間での上り方向通信に関する送受信を示すシーケンス図であり、分散割当方式の一例を示している。図の左側から右側へ時間が進行するとして、局側装置1を主体として見たシステムの動作について説明する。
まず、局側装置1は、端末装置4,3,2に対してそれぞれ、グラントG41,G31,G21を順次送出する。そして局側装置1は、端末装置4,3,2からレポートR41,R31,R21を受信すると、最初にデータの送出を許可する端末装置4に対するグラントG42を送出する。
局側装置1は、端末装置4から送出されるデータD41及び次のレポートR42を受信するとともに、これと並行して端末装置3に対するグラントG32を送出する。局側装置1は、端末装置3から送出されるデータD31及び次のレポートR32を受信するとともに、これと並行して端末装置2に対するグラントG22を送出する。また、続いて、端末装置4に対するグラントG43も送出する。
局側装置1は、端末装置2から送出されるデータD21及び次のレポートR22を受信する。また、局側装置1は、端末装置4から送出されるデータD42及び次のレポートR43を受信するとともに、これと並行して端末装置3に対するグラントG33を送出する。さらに、局側装置1は、端末装置3から送出されるデータD32及び次のレポートR33を受信するとともに、これと並行して端末装置2に対するグラントG23を送出する。ここで、端末装置2から送出されるデータがなければ、局側装置1は、次のレポートR23のみを受信する。これ以降、同様の処理が繰返され、局側装置1は、順次端末装置2〜4に対して帯域を割当てて、データの受信を繰返す。
図6に示すシーケンスによれば、ユーザネットワーク12〜14(図1)から送出されたデータが、対応する端末装置2〜4に到着し、そこから送出されるまでの待ち時間は、端末装置2〜4がレポートを送出してから、そのレポートに対応したデータを送出するまでの時間に依存する。すなわち、全ての端末装置2〜4からの送出データ量によって変化する。
例えば、端末装置2〜4からのレポートによる送出要求量を全て許可すると、レポートの送出からデータの送出までの待ち時間が大幅に増加し、リアルタイム処理が要求されるサービスに影響を及ぼすだけでなく、TCP(Transmission Control Protocol)スループットにも大きく影響を及ぼすことになる。従って、端末装置内のバッファにおける待ち時間を、許容される時間内に抑えられるように、局側装置1は端末装置2〜4からの送出データ量を制御する必要がある。
上記シーケンス(図6)において、例えば端末装置4にグラントG42が送出されたとき、図2の制御信号処理部104から次受信バースト判定部106にも同じグラントG42の情報が送られる。このグラントG42に基づいて、次受信バースト判定部106は、レポートR42を受信する前のバースト間ギャップの期間に、次に受信するバースト(レポートR42+データD41)の伝送レートH(10Gbps)を、光受信部109及びPON側受信部107に通知する。通知を受けた光受信部109及びPON側受信部107は、受信機能を10Gbpsに対応させ、当該バーストを待つ。従って、当該バースト到来時に、伝送レートHに対応した受信態勢が整っており、極めて迅速に同期を確立することができる。
同様に、端末装置3にグラントG32が送出されたとき、制御信号処理部104から次受信バースト判定部106にも同じグラントG32の情報が送られる。このグラントG32に基づいて、次受信バースト判定部106は、データD41とレポートR32との間のバースト間ギャップの期間に、次に受信するバースト(レポートR32+データD31)の伝送レートM(2Gbps)を、光受信部109及びPON側受信部107に通知する。通知を受けた光受信部109及びPON側受信部107は、受信機能を2Gbpsに対応させ、当該バーストを待つ。従って、当該バースト到来時に、伝送レートMに対応した受信態勢が整っており、極めて迅速に同期を確立することができる。以下同様にして、迅速な同期確立が可能となるので、上り方向通信の効率を高めることができる。
以上のようにして、局側装置1は、端末装置2〜4に与えるグラントに基づいて、次に上り方向の信号を受信する時期及びその伝送レートの情報を、実際の受信前に得ることができる。また、その伝送レートに受信機能を対応させた状態で信号を受信すれば、迅速に同期を確立することができる。従って、簡単かつ迅速に、上り方向通信の伝送レートに同期を確立して、上り方向通信の効率を高めることができる。
また、このために必要な構成の主要部は、「管理手段」としての制御信号処理部104、次受信バースト判定部106と、「受信手段」としての光受信部109、PON側受信部107である。すなわち、「管理手段」は、端末装置2〜4が使用する複数種類の上り方向への伝送レートを記憶し、端末装置2〜4に対して上り方向への通信のグラントを与えるとともに、当該グラントに基づいて、次に上り方向の信号を受信する時期及びその伝送レートを特定する。また、「受信手段」は、その時期に合わせて、受信機能を、特定された伝送レートに対応させる。これら管理手段及び受信手段の機能手順は、PONシステムの上り方向通信方法を構成するものでもある。
なお、上記管理手段は、伝送レートに加えて、さらに上り方向の信号の符号化の種類を特定するものであってもよいし、また、受信手段は、上記時期に合わせて、受信機能を、特定された符号化の種類にも対応させるものであってもよい。この場合、端末装置に与えるグラントに基づいて、次に受信する上り方向の信号の符号化の種類を、実際の受信前に知ることができる。また、その符号化の種類に受信機能を対応させた状態で信号を受信すれば、迅速に復号化を行うことができる。さらに、符号化されたものが誤り訂正符号であれば、端末装置の光送信パワーに関して、同じ送信パワーで伝送できる距離を伸ばすことが可能となる。
また、上記管理手段は、伝送レートに加えて、さらに上り信号の暗号化の種類を特定するものであってもよいし、受信手段は、上記時期に合わせて、受信機能を、特定された暗号化の種類にも対応させるものであってもよい。この場合、端末装置に与えるグラントに基づいて、次に受信する上り方向の信号の暗号化の種類を、実際の受信前に知ることができる。また、その暗号化の種類に受信機能を対応させた状態で信号を受信すれば、迅速に暗号解読を行うことができる。従って、特定の端末装置との通信の秘匿性を高めることができる。
なお、以上の説明において、端末装置2〜4はPONシステムに既に加入しているものとしたが、実際には、局側装置1に認識されていない電源オフの状態から、電源オンにより局側装置1に認識され、PONシステムに加入する手順が存在する。この手順はディスカバリプロセスと呼ばれるものであり、IEEE規格802.3ah−2004のClause 64に規定されている。以下、このディスカバリプロセスに関して説明する。
そもそも、局側装置1に認識される前の端末装置は、グラントを与えられる機会が無い。一方、全ての端末装置は、局側装置1から明示的にグラントが与えられない限り、上り方向通信を行うことができない。そこで、局側装置1は、電源オフ(未接続も含む。)から電源オンになり、PONシステムに加入しようとする端末装置(以下、未登録端末装置という。)を検出するためのディスカバリプロセスを周期的に実行し、未登録端末装置に応答の機会を与える。
図7は、局側装置と未登録端末装置との間で行われるディスカバリプロセスを示す図である。図において、局側装置は時刻T1においてディスカバリプロセスを開始し、下り方向にディスカバリゲートメッセージをブロードキャストする。このディスカバリゲートメッセージには、これに対する応答が許されるディスカバリ期間の開始時刻と期間の長さの情報が含まれている。このディスカバリ期間は、ディスカバリウインドウと呼ばれ、例えば時刻T2からT4までの時間ΔTdとなる。
ディスカバリゲートメッセージを受け取った未登録端末装置は、時刻T2(局側装置と同期している。)からランダム長の時間をもつランダム待ち時間ΔTwだけ待ち、時刻T3に、登録要求メッセージを局側装置に送信する。このランダム待ち時間ΔTwは、登録要求メッセージがディスカバリウインドウに収まる範囲内で、ランダムな値となる。従って、仮に、PONシステムに加入しようとする未登録端末装置が複数あった場合でも、複数の未登録端末装置からの登録要求メッセージが相互に衝突する確率を低下させることができる。
登録要求メッセージには、その未登録端末装置の個体識別番号としてのMACアドレスが含まれている。登録要求メッセージの受信に成功した局側装置は、PONシステム上の論理的なリンク番号(LLID)を当該未登録端末装置に割り当て、MACアドレスとLLIDとを相互に関連付けて、PONシステムに登録する。次に、局側装置は、新たに登録した端末装置に対して、時刻T5において、登録メッセージを送信する。登録メッセージには、当該端末装置のLLIDと、局側装置が上り方向のバースト通信を受信する際に必要な同期時間の情報とが含まれている。
その後、時刻T6において局側装置は、当該端末装置に対して上り方向通信を許可するグラント(グラントゲートメッセージ)を送信する。グラントを受信した未登録端末装置は、そのグラントを用いて時刻T7に登録アクノレッジを局側装置に送信し、これを局側装置が受信してディスカバリプロセスが終了となる。その後は、通常のPONシステムの通信が開始される。
図1に示すPONシステムの構成において、例えば全ての端末装置2〜4について上記ディスカバリプロセスが行われるとすると、局側装置1は、端末装置2〜4からそれぞれ登録要求メッセージを受け取らなければならない。端末装置2〜4がPONシステムに加入した後の通常のPON通信では、前述のように、グラントに基づいて局側装置1の受信態勢を整える(受信機能を伝送レートに対応させる)ことができるが、未登録の段階ではこれができない。そこで、局側装置1は、例えば以下のようにして、未登録端末装置からの上り方向通信(登録要求メッセージ)を受信する。
すなわち、通常のPON通信における伝送レートが互いに異なる端末装置2〜4であっても、登録要求メッセージに関しては1種類の伝送レート(典型的にはL)を使用するようにすれば、受信する前から伝送レートが判明している。
具体的には、伝送レートLの端末装置2は、通常のPON通信と同様に伝送レートLで登録要求メッセージを送信する。一方、図4に示す伝送レートHの端末装置4は、ディスカバリゲートメッセージを受け取ると、これを、制御信号処理部406から送信部切替判定部410に送る。これにより、送信部切替判定部410は、送信機能をPON側送信部405から登録要求送信部411に切り替える。そして、制御信号処理部406は、登録要求送信部411から伝送レートLで、登録要求メッセージを送信させる。
具体的には、伝送レートLの端末装置2は、通常のPON通信と同様に伝送レートLで登録要求メッセージを送信する。一方、図4に示す伝送レートHの端末装置4は、ディスカバリゲートメッセージを受け取ると、これを、制御信号処理部406から送信部切替判定部410に送る。これにより、送信部切替判定部410は、送信機能をPON側送信部405から登録要求送信部411に切り替える。そして、制御信号処理部406は、登録要求送信部411から伝送レートLで、登録要求メッセージを送信させる。
従って、通常のPON通信では伝送レートHの端末装置4が、登録要求メッセージに関しては、伝送レートLで送信を行うことになる。なお、登録要求メッセージの送信後、送信部切替判定部410は、送信機能を登録要求送信部411からPON側送信部405に戻す。
同様に、通常のPON通信では伝送レートMの端末装置3が、登録要求メッセージ等に関しては、伝送レートLで送信を行う。
同様に、通常のPON通信では伝送レートMの端末装置3が、登録要求メッセージ等に関しては、伝送レートLで送信を行う。
この結果、未登録の端末装置2〜4から局側装置1に対してディスカバリウインドウの期間内に届く登録要求メッセージ(2又は3台同時に電源オンであれば同期間内にランダムに前後して届く。)は、全て伝送レートLで送られてくる。一方、局側装置1の次受信バースト判定部106は、ディスカバリゲートメッセージに対して、次に受信するバースト(登録要求メッセージ)の伝送レートLを、光受信部109及びPON側受信部107に通知する。通知を受けた光受信部109及びPON側受信部107は、受信機能を伝送レートLに対応させ、登録要求メッセージを待つ。
従って、局側装置1では、登録要求メッセージ到来時に、その伝送レートLに対応した受信態勢が整っており、未登録の端末装置2〜4からの登録要求メッセージを迅速かつ確実に受信することができる。
なお、登録アクノレッジに関しては、通常のPON通信の場合と同様に、その前に端末装置2〜4に対して与えられるグラントに基づいて、局側装置1の受信機能を伝送レートに対応させることができる。
なお、登録アクノレッジに関しては、通常のPON通信の場合と同様に、その前に端末装置2〜4に対して与えられるグラントに基づいて、局側装置1の受信機能を伝送レートに対応させることができる。
1 局側装置
2〜4 端末装置
5,7〜9 光ファイバ
104 制御信号処理部(管理手段)
106 次受信バースト判定部(管理手段)
107 PON側受信部(受信手段)
109 光受信部(受信手段)
2〜4 端末装置
5,7〜9 光ファイバ
104 制御信号処理部(管理手段)
106 次受信バースト判定部(管理手段)
107 PON側受信部(受信手段)
109 光受信部(受信手段)
Claims (4)
- 光ファイバを介して接続された端末装置と共にPONシステムを構成し、当該端末装置を管理する局側装置であって、
前記端末装置が使用する複数種類の上り方向への伝送レートを記憶し、前記端末装置に対して上り方向への通信のグラントを与えるとともに、当該グラントに基づいて、次に上り方向の信号を受信する時期及びその伝送レートを特定する管理手段と、
前記時期に合わせて、受信機能を、特定された伝送レートに対応させる受信手段と
を備えたことを特徴とする局側装置。 - 前記管理手段は、伝送レートに加えて、さらに上り信号の符号化の種類を特定するものであり、前記受信手段は、前記時期に合わせて、前記受信機能を、特定された符号化の種類にも対応させるものである請求項1に記載の局側装置。
- 前記管理手段は、伝送レートに加えて、さらに上り信号の暗号化の種類を特定するものであり、前記受信手段は、前記時期に合わせて、前記受信機能を、特定された暗号化の種類にも対応させるものである請求項1に記載の局側装置。
- 複数種類の上り方向への伝送レートを使用する端末装置とこれを管理する局側装置とが光ファイバを介して接続されたPONシステムの上り方向通信方法であって、
前記端末装置が使用する複数種類の上り方向への伝送レートを記憶し、
前記端末装置に対して上り方向への通信のグラントを与え、
前記グラントに基づいて、次に上り方向の信号を受信する時期及びその伝送レートを特定し、
前記時期に合わせて、受信機能を、特定された伝送レートに対応させる
ことを特徴とするPONシステムの上り方向通信方法。
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