JP2009036984A - 光拡散フィルムとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材フィルム10の内部に対し楕円体微粒子20を、各々の長径がy方向(MD方向又はTD方向)に向くように配設して光拡散フィルム1を構成する。楕円体微粒子20は、製造時の延伸処理によって球状微粒子30を当該延伸方向に延伸し、楕円体状に変形させて形成する。楕円体微粒子20の形状は、長径D2と短径D1との比D2/D1が1.1以上7.0以下の範囲にあることが好適である。
【選択図】図1
Description
LCDは、一般的には液晶層の裏面に、光拡散フィルム及びバックライト光源等を順次積層して構成される。液晶層は非自発光型であるため、蛍光体ランプ等のバックライト光源が不可欠となる。バックライト光源の主な取付形態として、液晶層直下にスペースを設け、蛍光管を単数又は複数配設する直下型と、透明な導光板を液晶層下に配設し、当該導光板の側面に蛍光管を配設するサイドライト型とが存在する。
バックライト光源と液晶層との間には、光源の位置によって液晶層の表示面に発光ムラが生じないように、光源からの出射光をディスプレイ全面にわたり均一に発光させる手段を設ける必要がある。光拡散フィルムは、このような均一発光を行うための手段として用いられる。
一方、光拡散フィルムには、高い光拡散性を有する点も要求される。例えば直下型の場合、光拡散性が弱いとバックライト光源の蛍光管像が画像表示面に現れることがあるので、このような蛍光管像を適切に遮蔽して光線の出射分布を均一化する必要がある。このため、場合によっては蛍光管の形状に合わせた拡散ドット印刷をフィルム表面に行う場合もある。
また、この問題は、直下型又はサイドライト型のいずれのバックライト光源においても重要な課題となっている。
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、バックライト光源に対して良好な光拡散性を発揮しつつ、優れた光透過性により高輝度の画像表示性能を実現することが可能な光拡散性フィルムとその製造方法を提供することにある。
ここで、前記楕円体微粒子としては、長径D2と短径D1との比D2/D1が1.1以上7.0以下の範囲に設定されたものを用いることができる。
楕円体微粒子の長径における平均粒径は、例えば1μm以上100μm以下の範囲とするのが好適である。
さらに、前記光拡散フィルムに対する楕円体微粒子の重量比率については、1重量%以上10重量%以下の範囲が望ましい。
前記基材フィルムとしては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂の群から選ばれた少なくとも一種の材料から構成することができる。
また本発明は、基材フィルム材料に球状の微粒子を混合した原料によりベースフィルムを成形するベースフィルム成形ステップと、ベースフィルムをMD方向又は/及びTD方向に延伸する延伸ステップとを経る光拡散フィルムの製造方法であって、前記延伸ステップでは、延伸方向に球状の微粒子を変形させ、当該主延伸軸方向を長径とする楕円体微粒子を形成するものとした。
ここで、特に発明者らの検討によれば、例えば、楕円体微粒子の長径方向を蛍光管等のバックライト光源の長手方向と一致させることによって、単純な球状微粒子を分散させた従来の光拡散フィルムに比べて効果的な光拡散性を発揮できることが明らかになっている。
従って本発明では、光拡散フィルムの製造工程やLCDの組立時において、光拡散フィルムが破損するのを防止し、歩留まりの低下を防いで高い製造効率を発揮することが可能となっている。
また、各実施の形態における各構成要素は、矛盾しない範囲で互いに組み合わせることも可能である。
図1は実施の形態1にかかる光拡散フィルム1の構成を示す模式図である。
当該光拡散フィルム1は、その特徴として基材フィルム10に対し、内部に主として楕円体微粒子20が分散されてなる構成を有する。楕円体微粒子20は、その長径方向をy方向に向けて揃えられた状態で配設されている。
図2は、図1における領域Pを拡大したものであって、楕円体微粒子20及びボイド101、102の配置を示す部分拡大図である。
当図に示される楕円体微粒子20は、製造時の延伸処理によって球状微粒子30を当該延伸方向に延伸し、楕円体状に変形させたものである。このような球状微粒子30は、適度な熱可塑性を有する有機材料(例えばアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂の群から選ばれた少なくとも一種の材料を主体とするもの)から構成されている。
楕円体微粒子20の形状は、長径D2と短径D1との比D2/D1が1.1以上7.0以下の範囲にあることが好適である。例えば製造工程において、平均粒径が8μmの球状のPMMA微粒子を用い、これを延伸して、長径方向の平均粒径が約24μmの楕円体微粒子20とする例が挙げられる。
また、光拡散フィルム1に含まれる微粒子は、基本的には全て楕円体微粒子20であることが望ましいが、実際製品の公差として、図1のように、当該楕円体微粒子20の材料である球状微粒子30が製造後もそのままの形で残留する場合もある。この場合、残留量は多くて全微粒子中の1.0%程度である。従って本発明では、光拡散フィルム1の単位体積当たりに含まれる微粒子の内、99%以上を楕円体微粒子20とするのが好適である。
光拡散フィルム1中において、楕円体微粒子20は1〜10重量%の範囲で含まれる。このうち、さらに2重量%以上8重量%以下であれば好適である。1重量%未満であると光拡散性が十分に得られない。また、10重量%を上回るとフィルム強度が脆くなり、取り扱い性が悪くなるので好ましくない。
例えば、上記した基材フィルム材料と微粒子材料を用いる場合、微粒子は3倍程度に延伸できるため、5倍程度にまでベースフィルムを延伸させると、楕円体微粒子20とボイド101、102を同時形成することができる。さらに延伸倍率を上げると、ボイド101、102を相対的に増やし、又は大きくすることができる。また、反対に微粒子が5倍程度の延伸率まで延伸できるものであれば、楕円体微粒子20の長径を大きくしつつ、ボイド101、102を相対的に少なく、又は小さく抑える等の調節を行うことも可能である。
また、例えばMD方向に延伸して当該方向を長径とする楕円体微粒子20を形成するとともに、TD方向にも比較的小さい延伸倍率でベースフィルムを延伸し、TD方向に沿った楕円体微粒子20の短径両端部付近に別途、ボイドを形成したり、長径両端部付近のボイドを変形することも可能である。
このような効果により、例えはLCDのバックライト光源として配設した蛍光管の長手方向と、楕円体微粒子20の長径方向とが一致するように、光拡散フィルム1をバックライトユニットに採用することによって、画面に蛍光管の形状に対応した輝度ムラが現れるのを効果的に防止し、バックライト光源の優れた均一発光を利用して、優れた画像表示性能を得ることができる。
さらに、楕円体微粒子20は、予め粒径分布が狭い、粒径が比較的揃えられた球状微粒子30を変形させて構成されているため、各々の短径、長径が比較的揃っている。このような短径、長径を有する楕円体微粒子20の採用により、光拡散フィルム1のいずれの部分においても、当該平面方向に沿った一方向に対して均一な光拡散性が発揮される。
なお、特許文献7には、異なる樹脂材料をブレンドしてなる海島構造を持つ光拡散フィルムにおいて、島構造をなすフィルム材料により複数の棒状粒子を形成し、これをフィルム平面に配設した構成が開示されているが、本発明では主として上記の通り、粒径が比較的揃えられた球状微粒子30を用いて楕円体微粒子20を形成している点や、その粒子のサイズが異なる点、及び光拡散性と光透過性についてフィルム全体で均一な特性が得られる点等において、両者は大きく異なるものである。また、本発明では、従来は不要とされていたフィルム中の気泡を光拡散性を発揮させる手段の一つとして、積極的に利用した点においても特徴を有している。
なお、光拡散フィルム1における光異方性は、楕円体微粒子20を光拡散フィルム平面の一方向に配列させて得られるものであるから、当該楕円体微粒子20がランダムな方向で光拡散フィルム1中に含まれると、異方性を有する効果的な光拡散性を示さなくなるので留意する。しかしながら、実際の製造工程における延伸処理の誤差等によって生じうる多少の配列誤差を含んだ構成は、実質的に本発明の効果を得られるため、このような構成も本発明に含まれるものとする。配列誤差を生じた楕円体微粒子の比率と長径方向の配列誤差角度の大きさは、それぞれ当該光拡散性に影響を与える為に一概には決定できないが、一つの目安として、配列誤差を生じた楕円体微粒子が光拡散フィルム1中の楕円体微粒子20の内の10重量%未満であり、且つ、前記一方向に対する楕円体微粒子20の長径方向の間の配列誤差角度が45°未満であるとすることが好ましい。
図3は、実施の形態2における光拡散フィルム1Aの構成を示す模式図である。当図に示される光拡散フィルム1Aは、基本的には基材フィルム10に楕円体微粒子20が長径方向を一方向に配列されて含まれる点において光拡散フィルム1と同様であるが、ボイド101、102が含まれていない点が異なる。ここで図6は、光学顕微鏡を用いて倍率1000倍で撮影した光拡散フィルム1Aの実物の部分拡大写真である。長径約20μmの楕円体微粒子20の周囲にはボイドが存在せず、密に基材フィルム10中に分散されているのが確認できる。
また、光拡散フィルム1Aでは、ボイド101、102が存在しない分、光透過性にも優れており、異方性を有する効果的な光拡散性と良好な輝度を発揮することが可能である。
<光拡散フィルムの製造方法について>
以下、本発明の光拡散フィルムの製造方法について例示する。ここでは溶融押出成形法を利用した製造方法について説明する。
当該光拡散フィルムは、フィルム材料の混合ステップと、ベースフィルムの成形ステップ、延伸ステップとを順次経ることで形成できる。
(フィルム材料の混合ステップ)
まず、基材フィルム材料となるペレット(例えばポリエステル系樹脂)と、楕円体微粒子20の材料となる低架橋密度の球状微粒子30(例えば平均粒径7μm〜8μmのPMMA)とを一定比率で混合する。基材フィルム材料と球状微粒子の比率は、基材フィルム材料が90〜99重量%に対し、球状微粒子を10〜1重量%とするのが好ましい。この混合は、タンブラー混合機等を用いたドライブレンド法で混合し、押出機のホッパーへ投入する。
また、基材フィルム材料となるペレットを二軸押出機を用いて溶融混練し、球状微粒子を押出機へサイドフィードして基材フィルム材料となる樹脂に微粒子を分散させても良い。この場合、フィルム材料の混合ステップとベースフィルム成形ステップとは同時に実施することになる。
フィルムは一例としてTダイ法に基づき成形される。単軸、または二軸押出機に投入された材料は基材フィルム材料としてポリエステル系樹脂を用いる場合、200℃〜300℃で加熱溶融して溶融材料を得る。そして、この溶融材料を押出機からの導入管120を通じて連続的にTダイ本体110に導入する。加熱溶融する温度は基材フィルム材料に応じて適宜調整することが好ましい。
ベースフィルム1Xはロール延伸機100に導入されて延伸される。基材フィルム材料としてポリエステル系樹脂を用いる場合、ベースフィルム1Xは60℃〜120℃に加熱された加熱ロールR2〜R6の周面に巻回され、各加熱ロールR2〜R6の互いの回転速度差により搬送方向へ負荷を受けて延伸処理される。ここで、ベースフィルム1Xは赤外線ヒーターを用いて加熱してもよい。このとき、ベースフィルム1XをMD方向に延伸させるとともに、これに追従して当該フィルム1X中の球状微粒子30を当該延伸方向に変形させ、楕円体微粒子20とすることができる。ロールや赤外線ヒーター等の加熱温度は基材フィルム材料に応じて適宜調整することが好ましい。
この場合の具体的な条件設定は、選択した材料や得ようとする光拡散フィルムの性能等によって調節すべきであるが、一例として延伸倍率を1.1〜7.0倍の範囲でMD方向に延伸することができる。
各延伸処理後は、ベースフィルム1Xをワインダーで巻き取る。或いは枚葉処理して、所定のサイズに切断加工すると、光拡散フィルム1又は1Aが得られる。
<実施例及び比較例>
各種市販材料を用い実施例1〜4及び比較例の光拡散フィルムを作製し、これらの全光線透過率、輝度、拡散率について調べた。
実施例、及び比較例において、「グリコール変性PET樹脂」とは、エチレングリコールに由来する分子構造を1,4シクロヘキサンジメタノールに由来する分子構造で3〜50モル%程度部分変性したものを指す。また「グリコール変性PCT樹脂」とは1,4シクロヘキサンジメタノールに由来する分子構造をエチレングリコールに由来する分子構造に20〜50モル%程度部分変性したものを指す。
基材フィルム材料と球状微粒子材料は、それぞれの重量比が同順に97:3になるように混合し、これを原料として上記製造方法例に従い、光拡散フィルムを製造した。ここで比較例では延伸倍率1.0(延伸無し)とし、実施例1〜4では延伸倍率を4.5倍又は3倍に設定した。この延伸倍率の違いにより、実施例1〜3でボイド101、102を形成し、実施例4でボイド無しの構成とした。
<性能評価試験>
性能評価は、ヘイズ値、全光線透過率、輝度、拡散率の各項目について行い、それぞれ以下の公知の各評価方法と装置を用いて実施した。
輝度については、JIS Z8724の評価方法に基づき、株式会社トプコンテクノハウス製輝度計BM−7を用いて測定した。
拡散率については、日本電色工業株式会社製変角光度計GC5000Lを用いて測定した。
(考察)
表1に示されるように、比較例の輝度は、実施例1〜4よりも高い数値が確認された。但し、これは基材フィルムに対する微粒子分散量を従来の構成に比べて少量としたためであって、実際はより大量の微粒子を使用するため、実施例に比べると低輝度値となることが予想される。また表2に示されるように、光拡散性はMD方向とTD方向でほぼ同じであり、効果的な光拡散性が発揮されていない。
以上の実験から、本発明の優位性が確認された。
本発明の光拡散フィルムは、LCDに限定するものではなく、各種非自発光型ディスプレイに適用できるほか、光源を均一的に面状に照射する照射装置にも適用することができる。
また、光拡散フィルムは一枚だけでなく、複数枚を重ねて使用することもできる。この場合、互いのフィルムにおける楕円体微粒子の長径方向がフィルム同士で同方向、或いは交差するように配設することによって、所望の光拡散性を得るようにしてもよい。
また、本発明の光拡散フィルムには、その表面を粗面化処理等で処理することにより凹凸面とし、これにより別途光拡散効果を発揮できるように工夫しても良い。
1X ベースフィルム
10 基材フィルム
20 楕円体微粒子
30 球状微粒子
100 ロール延伸機
110(111、112) Tダイ本体
101、102 ボイド
113 リップエッジ
114 エアーナイフ
120 導入管
R1 チルロール
R2〜R6 加熱ロール(延伸ロール)
Claims (10)
- 基材フィルムの中に微粒子が分散されてなる光拡散フィルムであって、
前記微粒子には楕円体微粒子が含まれ、
各々の楕円体微粒子は、フィルム平面方向に沿った一方向に長径が揃えられた状態で配設されている
ことを特徴とする光拡散フィルム。 - 楕円体微粒子は長径D2と短径D1との比D2/D1が1.1以上7.0以下の範囲である
ことを特徴とする請求項1に記載の光拡散フィルム。 - 前記光拡散フィルム中において、楕円体微粒子の近接位置にボイドが存在する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光拡散フィルム。 - 楕円体微粒子の長径における平均粒径が1μm以上100μm以下の範囲である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散フィルム。 - 前記光拡散フィルムに対する楕円体微粒子の重量比率が1重量%以上10重量%以下の範囲である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散フィルム。 - 前記一方向が、フィルム平面方向の中のMD方向又はTD方向のいずれかである
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光拡散フィルム。 - 基材フィルムは、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂の群から選ばれた少なくとも一種の材料から構成されている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光拡散フィルム。 - 前記楕円体微粒子は、有機材料で構成されている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光拡散フィルム。 - 基材フィルム材料に球状の微粒子を混合した原料によりベースフィルムを成形するベースフィルム成形ステップと、
ベースフィルムをMD方向又は/及びTD方向に延伸する延伸ステップとを経る光拡散フィルムの製造方法であって、
前記延伸ステップでは、
延伸方向に球状の微粒子を変形させ、当該主延伸軸方向を長径とする楕円体微粒子を形成する
ことを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。 - 前記延伸ステップでは、各々の楕円体微粒子の長径両端部付近の少なくともいずれかの位置にボイドを存在させる
ことを特徴とする請求項9に記載の光拡散フィルムの製造方法。
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