JP2009035583A - 放射線硬化性組成物及びその硬化物、並びにその積層体 - Google Patents

放射線硬化性組成物及びその硬化物、並びにその積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた透明性、機械的強度を有すると共に、表面硬度と温湿度変化における被着体としての基材の寸法安定性とのバランスに優れた硬化物を与えることができる放射線硬化性組成物、及びその硬化物、並びにその硬化物の層を有する積層体を提供する。
【解決手段】(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、及び(C)分子量が300以下の多官能(メタ)アクリレートを含有する放射線硬化性組成物であって、(A)ウレタン(メタ)アクリレートが、(A−1)ポリイソシアネート、(A−2)分子量が400未満のジオール、(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオール、(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオール、及び(A−5)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、の反応生成物である放射線硬化性組成物、及び、該放射線硬化性組成物を放射線照射により硬化させて得られたものである放射線硬化物、並びに、該放射線硬化物の層を有する積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、放射線硬化性組成物、及びその硬化物、並びにその硬化物の層を有する積層体に関する。
放射線硬化性組成物は、ハードコート層等の基材保護層用等の材料として広く用いられ、例えば、光学用途におけるその具体例として、光学記録媒体における情報記録層の保護層が挙げられる。そして、それら材料には、一般に、硬化物として、被着体としての基材との密着性、表面硬度、透明性、及び機械的強度等を有すると共に、被着体としての基材の寸法安定性、特に温湿度変化における基材の寸法安定性等が要求され、それに対して、例えば、ポリイソシアネート、高分子ポリオール、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応生成物としてのウレタンオリゴマー、並びにエチレン性不飽和化合物を含有し、その高分子ポリオールが、ポリエーテルポリオール骨格、ポリエステルポリオール骨格、ポリカーボネートポリオール骨格等の複数種の骨格を含む放射線硬化性組成物が、優れた透明性、機械的強度を有すると共に、表面硬度と耐熱・耐湿変形性とのバランスに優れた硬化物を与え得ることが提案されている(特許文献1等参照)。
しかしながら、本発明者等の検討によると、前記放射線硬化性組成物を含む従来のいずれの放射線硬化性組成物も、硬化物としての表面硬度と温湿度変化における被着体としての基材の寸法安定性との両立の面で、必ずしも十分ではないことが判明した。
特開2006−152289号公報
本発明は、前述の従来技術の現状に鑑みてなされたもので、従って、本発明は、優れた透明性、機械的強度を有すると共に、表面硬度と温湿度変化における被着体としての基材の寸法安定性とのバランスに優れた硬化物を与えることができる放射線硬化性組成物、及びその硬化物、並びにその硬化物の層を有する積層体を提供することを目的とする。
本発明者等は、前述の課題に解決を与えるべく鋭意検討した結果、ポリイソシアネート、ジオール、高分子ポリオール、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応生成物としてのウレタンオリゴマー、並びに(メタ)アクリレートを含有し、その高分子ポリオールが、特定分子量の複数種の併用系である場合に前記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに到ったもので、即ち、本発明の要旨は、(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、及び(C)分子量が300以下の多官能(メタ)アクリレートを含有する放射線硬化性組成物であって、(A)ウレタン(メタ)アクリレートが、下記の(A−1)〜(A−5)の反応生成物である放射線硬化性組成物、及び、該放射線硬化性組成物を放射線照射により硬化させて得られたものである放射線硬化物、並びに、該放射線硬化物の層を有する積層体、に存する。
(A−1)ポリイソシアネート
(A−2)分子量が400未満のジオール
(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオール
(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオール
(A−5)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート
本発明によれば、優れた透明性、機械的強度を有すると共に、表面硬度と温湿度変化における被着体としての基材の寸法安定性とのバランスに優れた硬化物を与えることができる放射線硬化性組成物、及びその硬化物、並びにその硬化物の層を有する積層体を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
1.放射線硬化性組成物
本発明の放射線硬化性組成物は、(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、及び(C)分子量が300以下の多官能(メタ)アクリレート、を含有し、更に、本発明の効果を著しく損なわない限り、その他の物質を含有していてもよい。
1−1.(A)ウレタン(メタ)アクリレート
(A)ウレタン(メタ)アクリレートは、通常、ポリイソシアネートとヒドロキシル基含有化合物とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとを反応させて得られる。本発明における(A)ウレタン(メタ)アクリレートとしては、組成物としての表面硬化性に優れ、タック(べたつき)が残りにくい面から、ウレタンアクリレートが好ましい。そして、本発明においては、そのヒドロキシル基含有化合物として分子量の異なる3種を用いるものとし、(A−1)ポリイソシアネート、(A−2)分子量400未満のジオール、(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオール、(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオール、及び(A−5)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応生成物とする。
1−1−a.(A−1)ポリイソシアネート
ポリイソシアネートとは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、そのポリイソシアネートとしては、具体的には、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられ、これらの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、得られるウレタン(メタ)アクリレートの色相が良好である点で、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、及びイソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが好ましい。
尚、ポリイソシアネートの分子量としては、放射線硬化性組成物の硬化物としての強度と弾性率とのバランスの面で、100以上、更には150以上であるのが好ましく、又、1,000以下、更には500以下であるのが好ましい。
1−1−b.(A−2)分子量が400未満のジオール
分子量が400未満のジオールとは、2個以上のヒドロキシル基を含有する分子量が400未満の化合物であり、その具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ジシクロペンタジエニルジメタノール等のアルキレンジオールが挙げられる。
これらの中でも、炭素数4〜10の脂肪族ジオールが好ましく、具体的には、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールが、放射線硬化性組成物の硬化物として、基材を変形しにくく、かつ表面硬度が高くなる傾向があるため、特に好ましい。
1−1−c.(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオール
数平均分子量が400以上1,500未満のポリオールとしては、数平均分子量が400以上1,500未満であって、かつ前記(A−2)ジオールの多量体であり、その多量体を形成するためのエーテル結合を有するポリエーテルポリオール、多塩基酸との反応によるエステル結合、或いは環状エステルの開環重合によるエステル結合を有するポリエステルポリオール、及び、カーボネートとの反応によるカーボネート結合を有するポリカーボネートポリオールであるのが好ましい。
ポリエーテルポリオールの具体例としては、前記ジオールの多量体の他に、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの開環重合体としてのポリテトラメチレングリコール、及び、前記ジオールの、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイドの付加物等が挙げられる。
又、ポリエステルポリオールの具体的としては、前記ジオールと、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等の多塩基酸との反応物、及び、カプロラクトン等の環状エステルの開環重合体としてのポリカプロラクトン等が挙げられる。
又、ポリカーボネートポリオールの具体例としては、前記ジオールと、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート、又は、ジフェニルカーボネート、4−メチルジフェニルカーボネート、4−エチルジフェニルカーボネート、4−プロピルジフェニルカーボネート、4,4’−ジメチルジフェニルカーボネート、2−トリル−4−トリルカーボネート、4,4’−ジエチルジフェニルカーボネート、4,4’−ジプロピルジフェニルカーボネート、フェニルトルイルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、フェニルクロロフェニルカーボネート、フェニルナフチルカーボネート、ジナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート、又は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジ−n−アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等のジアルキルカーボネート等との反応物等が挙げられる。
これらのポリオールは、1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのポリオールの中でも、ポリエーテルポリオールが好ましく、中でも、ポリアルキレングリコールが更に好ましく、ポリテトラメチレングリコールが特に好ましい。
尚、これらポリオールの分子量としては、数平均分子量が400以上1,500未満であることが必須であり、放射線硬化性組成物の硬化物として高い表面硬度が得られる等の面で、1,100以下であるのが好ましく、900以下であるのが更に好ましく、800以下であるのが特に好ましい。
1−1−d.(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオール
数平均分子量が1,500以上のポリオールとしては、数平均分子量が1,500以上であって、かつ前記(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオールとして例示したと同様のポリオールが挙げられる。
これらのポリオールは、1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのポリオールの中でも、ポリエーテルポリオールが好ましく、中でも、ポリアルキレングリコールが更に好ましく、ポリテトラメチレングリコールが特に好ましい。
尚、これらポリオールの分子量としては、数平均分子量が1,500以上であることが必須であり、放射線硬化性組成物の硬化物としての温湿度変化における寸法安定性において、吸水時の弾性率低下が小さくなる等の面で、1,900以上であるのが好ましい。
1−1−e.(A−5)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとは、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを併せ持つ化合物であり、具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコールのモノ(メタ)アクリレート体等が挙げられ、これらの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの分子量としては、40以上、更には80以上であるのが好ましく、又、800以下、更には400以下であるのが好ましい。
1−1−f.(A)ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法
前記(A−1)ポリイソシアネートと、前記(A−2)分子量が400未満のジオールと、前記(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオールと、前記(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオールと、前記(A−5)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとを付加反応させることにより、(メタ)アクリロイル基を有する、(A)ウレタン(メタ)アクリレートを製造することができる。その際、前記(A−1)ポリイソシアネートのイソシアネート基と、前記(A−2)分子量が400未満のジオール、前記(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオール、前記(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオール、及び前記(A−5)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの合計ヒドロキシル基が化学量論量になるように仕込む。
又、その際、前記(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオールと前記(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオールとを、(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオールの(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオールに対する割合として、モル比で0.1〜5となるように用いることが好ましく、0.3〜3となるように用いることが更に好ましく、重量比で0.05〜10となるように用いることが好ましく、0.1〜7となるように用いることが更に好ましい。この割合が小さすぎると、放射線硬化性組成物の硬化物としての温湿度変化における寸法安定性において、吸水時の弾性率が低下し易い傾向となり、一方、大きすぎると、放射線硬化性組成物の硬化物としての表面硬度が低下し易い傾向となる。
又、その際、前記(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオールと前記(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオールとの、両者の使用モル数から算出される数平均分子量の平均値が、700〜3,000となるように両者の数平均分子量を選択することが好ましく、750〜2,500となるように選択することが更に好ましく、750〜2,000となるように選択することが特に好ましい。混合物としての数平均分子量が小さすぎると、放射線硬化性組成物の硬化物としての温湿度変化における寸法安定性において、吸水時の弾性率が低下し易い傾向となり、一方、大きすぎると、放射線硬化性組成物の硬化物としての表面硬度が低下したり、ポリオールが結晶化してそれに伴い透明性の低下を引き起こし易い傾向となる。
尚、ここで、両者の使用モル比から算出される数平均分子量の平均値は、(A−3)の数平均分子量を「MnA-3 」、その使用モル数を「NA-3 」とし、(A−4)の数平均分子量を「MnA-4 」、その使用モル数を「NA-4 」とすると、以下の式により求めたものである。
数平均分子量の平均値=(MnA-3 ×NA-3 +MnA-4 ×NA-4 )/(NA-3 +NA-4
又、その際、前記(A−5)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの使用量を、前記(A−2)分子量が400未満のジオールと前記(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオールと前記(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオールと該(A−5)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとの合計ヒドロキシル基量に対する該(A−5)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートのヒドロキシル基量の割合として、20〜80モル%とするのが好ましく、40〜60モル%とするのが更に好ましい。その割合に応じて、得られる(A)ウレタン(メタ)アクリレートの分子量を制御することができる。
これらのポリイソシアネートとジオール、ポリオール、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとの付加反応は、公知の何れの方法でも行うことができる。例えば、ポリイソシアネートと、ジオール、ポリオール、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、並びに付加反応触媒との混合物とを、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、又、通常90℃以下、好ましくは75℃以下の条件下で混合する。その際の混合の方法としては、ポリイソシアネート存在下に、ジオール、ポリオール、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを、付加反応触媒とともに順次滴下することが好ましく、ポリイソシアネート存在下に、ジオール及びポリオールと付加反応触媒の混合物を滴下し、しかる後にヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを滴下して徐々に反応させることが更に好ましい。このときの付加反応触媒としては、例えば、ジブチルスズラウレート、ジブチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジラウレート、及び、ジオクチルスズジオクトエート等が好ましく、これらの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、(A)ウレタン(メタ)アクリレートを製造するときに、前記(A−1)ポリイソシアネート、前記(A−2)分子量が400未満のジオール、前記(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオール、前記(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオール、及び前記(A−5)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの他に、その他の成分が用いられていてもよい。
1−1−g.(A)ウレタン(メタ)アクリレートの特性
(A)ウレタン(メタ)アクリレートとしては、透明性の高いものであるのが好ましく、例えば、芳香環を有していない化合物であるのが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートが芳香環を有する場合、芳香環を有する放射線硬化性組成物及びその硬化物は、得られるものが着色物であったり、最初は着色していなくても保存中に着色したり着色が強まること(いわゆる黄変)がある。これは芳香環を形成する二重結合部分が、エネルギー線によってその構造を不可逆的に変化させることが原因であると考えられており、このため、(A)ウレタン(メタ)アクリレートは、芳香環を有しない構造を持つことで、色相の悪化がなく、かつ光線透過性も低下することなく、無色透明が要求される用途への応用に特に適する利点がある。
芳香環を有しない(A)ウレタン(メタ)アクリレートは、前記(A−1)として芳香環を有しないポリイソシアネート、前記(A−2)として芳香環を有しないジオール、前記(A−3)及び(A−4)として芳香環を有しないポリオール、及び、前記(A−5)として芳香環を有しないヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、を選択することにより製造でき、その芳香環を有しないポリイソシアネートの具体例としては、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられ、又、芳香環を有しないジオールの具体例としては、アルキレンジオール等が挙げられ、又、芳香環を有しないポリオールの具体例としては、アルキレンポリオール、アルキレンポリエステル、アルキレンカーボネートの各ポリオール等が挙げられ、又、芳香環を有しないヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの(A)ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、粘度と機械特性とのバランスの面から、1,000以上、更には1,500以上であるのが好ましく、又、10,000以下、更には5,000以下であるのが好ましい。
尚、本発明における(A)ウレタン(メタ)アクリレートにおいて、前記(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオールと前記(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオールの2種のポリオールが用いられていることは、ウレタン(メタ)アクリレートを熱分解GC/MS法又はアルカリメチル化熱分解GC/MS法等の方法を組み合わせて分析することによって、その含有されているポリオールの分子量を知ることができる。又、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析を実施し、得られた分子量分布のプロファイルが2つの山を有するか否かによっても判別することができる。
1−2.(B)単官能(メタ)アクリレート
(B)単官能(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの中で、脂環式(メタ)アクリレートが好ましく、中でも、炭素数5以上、好ましくは炭素数5〜7の脂環式炭化水素環の1つ以上の炭素原子が窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子等のヘテロ原子で置換されている環基を1つ以上有する複素脂環式(メタ)アクリレートが更に好ましく、それらの複素脂環式(メタ)アクリレートとして、具体的には、例えば、(メタ)アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルアクリレートが特に好ましく、又、脂環式(メタ)アクリレートとして、イソボルニルアクリレート、トリシクロデカン骨格を有するアクリレートも特に好ましい。
尚、これらの(B)単官能(メタ)アクリレートの分子量は、組成物としての粘度と硬化収縮性とのバランスの面から、50以上、更には100以上であるのが好ましく、又、1000以下、更には500以下であるのが好ましい。
1−3.(C)分子量が300以下の多官能(メタ)アクリレート
多官能(メタ)アクリレートとしては、脂肪族ポリ(メタ)アクリレート、脂環式ポリ(メタ)アクリレート、芳香族ポリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリイソブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA、ビスフェノールF、或いはビスフェノールS等のビスフェノールのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、或いはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA、ビスフェノールF、或いはビスフェノールS等のビスフェノールの水添誘導体のジ(メタ)アクリレート、各種ポリエーテルポリオール化合物と他の化合物とのブロック、或いはランダム共重合体のジ(メタ)アクリレート等のポリエーテル骨格を有する(メタ)アクリレート、及び、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、メチルオクタンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン=ジ(メタ)アクリレート、p−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]キシリレン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルホン等の2官能の(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、グリセリントリス(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリス(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の5官能以上の(メタ)アクリレート等の不定多官能の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのうち、架橋生成反応の制御性から2官能の(メタ)アクリレートが好ましい。2官能の(メタ)アクリレートとしては、脂肪族ポリ(メタ)アクリレートが好ましく、更には、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、メチルオクタンジオールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。又、硬化物の架橋構造の耐熱性、表面硬度の向上等を目的として、3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。その具体例としては、上記に例示されたトリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリス(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等、及び、イソシアヌレート骨格を有する3官能の(メタ)アクリレートが挙げられる。
尚、これらの(C)多官能(メタ)アクリレートの分子量は、組成物としての粘度と硬化収縮性とのバランスの面から、50以上、更には100以上であるのが好ましく、又、1000以下、更には500以下であるのが好ましい。
1−4.(A)、(B)、及び(C)の含有割合
本発明の放射線硬化性組成物において、前記(A)ウレタン(メタ)アクリレート、前記(B)単官能(メタ)アクリレート、及び前記(C)分子量が300以下の多官能(メタ)アクリレートの各含有割合は、これら(A)、(B)、及び(C)の合計量に対して、(A)10〜85重量%、(B)15〜80重量%、(C)0〜30重量%であり、(A)15〜70重量%、(B)15〜70重量%、(C)0〜15重量%であるのが好ましい。(A)ウレタン(メタ)アクリレートの含有割合が少なすぎると、放射線硬化性組成物の硬化物として引張強度等の機械的特性が低下し、一方、多すぎると、放射線硬化性組成物として粘度が高すぎて塗布性が劣ることとなる。又、(B)単官能(メタ)アクリレートの含有割合が少なすぎると、放射線硬化性組成物として粘度が高すぎて塗布性が劣ることとなり、一方、多すぎると、放射線硬化性組成物の硬化物として引張強度等の機械的特性が低下し脆くなる。又、(C)多官能(メタ)アクリレートの含有割合が多すぎると、放射線硬化時の収縮が増大し、積層体として基材を変形させてしまう等の問題を生じる。
又、(A)ウレタン(メタ)アクリレートにおける、前記(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオールと前記(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオールとの合計使用量の、(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、及び(C)分子量が300以下の多官能(メタ)アクリレートの合計量に占める割合は、3〜30重量%であるのが好ましく、8〜10重量%であるのが更に好ましい。この割合が小さすぎると、放射線硬化性組成物を硬化させたときの硬化収縮率が大きくなり、積層体として基材を変形させてしまう等の問題を生じ易い傾向となり、一方、大きすぎると、硬化物としての表面硬度が低下し易い傾向となる。
1−5.(D)重合開始剤
本発明の放射線硬化性組成物は、更に、放射線(例えば、活性エネルギー線、紫外線、電子線等)によって進行する重合反応を開始するために、(D)重合開始剤を含有することが好ましい。(D)重合開始剤としては、光によりラジカルを発生する性質を有する化合物であるラジカル発生剤が一般的であり、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知の何れのラジカル発生剤でも使用可能である。
このようなラジカル発生剤の具体例としては、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−ヒドロキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン等が挙げられる。中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及び、2−ヒドロキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましい。
又、硬化速度が速く架橋密度を十分に上昇させることができる点では、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び、2−ヒドロキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましい。
又、本発明の放射線硬化性組成物の硬化物を、波長380〜800nmのレーザーを光源とする光記録媒体等に用いる場合には、読み取りに必要なレーザー光が十分に該硬化物層を通過するように、ラジカル発生剤の種類及び使用量を選択して用いることが好ましい。この場合、得られる硬化物層がレーザー光を吸収し難い短波長感光型のラジカル発生剤を使用するのが特に好ましい。
前記のラジカル発生剤のうち、このような短波長感光型のラジカル発生剤としては、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられ、中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の水酸基を有するものが特に好ましい。
尚、これらのラジカル発生剤は、1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。又、ラジカル発生剤の添加量は、前記(A)ウレタン(メタ)アクリレート、前記(B)単官能(メタ)アクリレート、及び、前記(C)分子量が300以下の多官能(メタ)アクリレート、の合計100重量部に対し、通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、更に好ましくは2重量部以上、又、通常10重量部以下、好ましくは9重量部以下、更に好ましくは7重量部以下である。添加量が少なすぎると、放射線硬化性組成物を十分に硬化させることができなくなる傾向となり、一方、多すぎると、重合反応が急激に進行して、光学歪みの増大をもたらす等の問題が発生したり、色相も悪化する傾向となる。
又、ベンゾフェノン系重合開始剤を用いる場合は、通常0.5重量部以上であって、好ましくは2重量部以下、更に好ましくは1重量部以下用いる。ベンゾフェノン系重合開始剤の量が多いと、放射線硬化性組成物の硬化物中の揮発成分が多くなり、高温、高湿環境下で膜厚が減少する場合があるためである。
又、これらのラジカル発生剤と共に、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等の公知の増感剤を併用してもよい。増感剤は1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、ラジカル発生剤以外の(D)重合開始剤としては、酸化剤等が挙げられ、これら重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、重合開始剤は、塩素原子、硫黄原子、燐原子、ナトリウム原子等の不純物を含有していることがあるが、それらの不純物の含有量は少ないことが好ましく、それぞれの含有量は好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下である。
尚、放射線として電子線によって重合反応を開始させる場合には、上記の重合開始剤を用いることもできるが、重合開始剤を用いなくても十分硬化するため、ラジカル発生剤やその他の重合開始剤を用いない方が好ましい。
1−6.補助成分
本発明の放射線硬化性組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、必要に応じて添加剤等の補助成分が含有されていてもよい。その補助成分の具体例としては、酸化防止剤、熱安定剤、或いは光吸収剤等の安定剤類;ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、マイカ、タルク、カオリン、金属繊維、金属粉等のフィラー類;炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料類(フィラー類、炭素材料類を総称して無機成分と称する。);帯電防止剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤等の改質剤類;顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類;モノマー又は/及びそのオリゴマー、または無機成分の合成に必要な硬化剤、触媒、硬化促進剤類等が挙げられ、これらの補助成分は、1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら補助成分の含有量は、放射線硬化性組成物の通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
これらの中で、フィラー類としてのシリカについて詳述する。本発明の放射線硬化性組成物において、シリカとは、珪素酸化物一般を指し、珪素と酸素の比率や、結晶であるかアモルファスであるかは問わない。該シリカ粒子としては、工業的に生産されている、溶媒中に分散されている状態のシリカ粒子、又は粉体のシリカ粒子、及びアルコキシシラン等の原料から誘導、合成されたシリカ粒子等を挙げることができる。中でも、本発明の放射線硬化性組成物に用いる場合、混合や分散のしやすさから、溶媒中に分散されている状態のシリカ粒子、又は、アルコキシシラン等の原料から誘導、合成されたシリカ粒子が好ましい。
そのシリカ粒子の粒径は任意であるが、TEM(透過型電子顕微鏡)等を用いた形態観察によって測定される数平均粒径として、好ましくは0.5nm以上、更に好ましくは1nm以上であり、又、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは30nm以下、特に好ましくは15nm以下、最も好ましくは12nm以下である。シリカ粒子としては超微粒子であることが好ましいが、小さすぎると、超微粒子の凝集性が極端に増大して、硬化物の透明性や機械的強度が極端に低下する傾向があり、量子効果による特性が顕著でなくなる傾向があるためである。
1−7.放射線硬化性組成物の製造方法及び特性
1−7−a.放射線硬化性組成物の製造方法
本発明の放射線硬化性組成物は、前記(A)ウレタン(メタ)アクリレート、前記(B)単官能(メタ)アクリレート、前記(C)分子量が300以下の多官能(メタ)アクリレート、並びに必要に応じて用いられる前記(D)重合開始剤、及び前記補助成分を、放射線を遮断した状態で、攪拌し均一に混合することにより調製される。その際の各化合物の添加順序としては、特に限定されるものではないが、低粘度の液体成分に高粘度の液体成分及び/又は固体成分を加え攪拌するのが好ましく、又、重合開始剤は最後に加えるのが好ましい。
又、その際の攪拌条件は、特に限定されるものではないが、攪拌温度としては、通常、常温とするが、通常90℃以下、好ましくは70℃以下の温度に加熱してもよく、攪拌速度としては、通常100rpm以上、好ましくは300rpm以上、又、通常1000rpm以下とし、攪拌時間としては、通常10秒以上、好ましくは3時間以上、又、通常24時間以下とする。
1−7−b.放射線硬化性組成物の特性
本発明において、光記録媒体用放射線硬化性組成物は、E型粘度計、B型粘度計、又は振動型粘度計等によって測定される、25℃における粘度が、1,000センチポイズ以上であるのが好ましく、1,300センチポイズ以上であるのが更に好ましく、又、5,000mセイチポイズ以下であるのが好ましく、4,000センチポイズ以下であるのが更に好ましい。粘度が小さすぎると、厚みが50μm以上の硬化物を形成するのが困難となる場合があり、一方、大きすぎると、平滑な表面の硬化物を形成し難くなる場合がある。尚、1センチポイズ=1mPa・sである。
放射線硬化性組成物としての粘度を調整する方法としては、(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、及び(C)分子量が300以下の多官能(メタ)アクリレート、の各分子量、並びに添加量を調整する方法、更に、希釈剤、溶媒、増粘剤、及びレオロジー制御剤等を混合する等の方法があるが、中でも、(A)ウレタン(メタ)アクリレート、及び、(B)単官能(メタ)アクリレートや(C)分子量が300以下の多官能(メタ)アクリレートの各添加量を調整する方法が特に好ましい。
尚、本発明の放射線硬化性組成物としては実質的に溶媒を含有しないことが好ましい。例えば、光学記録媒体等に用いた場合、気泡が残留して情報の読み書きに支障が出るのを防止するためである。実質的に溶媒を含有しないとは、揮発性を有するか若しくは低沸点のいわゆる有機溶剤の含有量が非常に少ない状態を言い、放射線硬化性組成物中の溶媒含有量が通常5重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下、とりわけ好ましくは0.1重量%以下である。簡易的には該有機溶剤の臭気が観測されない状態をいう。
2.放射線硬化性組成物の硬化物
2−1.放射線硬化性組成物の硬化物の製造方法
本発明における放射線硬化性組成物の硬化物は、放射線(活性エネルギー線や電子線)を照射して重合反応を開始させる、いわゆる「放射線硬化」によって得られる。重合反応の形式に制限はなく、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の公知の重合方式を用いることができる。これらの重合方式のうち、最も好ましいのはラジカル重合である。その理由は定かではないが、重合反応の開始が重合系内で均質かつ短時間に進行することによる生成物の均質性によるものと推定される。
ここで、放射線とは、必要とする重合反応を開始する重合開始剤に作用して該重合反応を開始する化学種を発生させる働きを有する電磁波(ガンマ線、エックス線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波等)、又は粒子線(電子線、α線、中性子線、各種原子線等)である。本発明において好ましく用いられる放射線の一例は、エネルギーと汎用光源を使用可能であることから、紫外線、可視光線、及び電子線が好ましく、最も好ましくは紫外線であり、その紫外線の波長としては、通常200nm以上、好ましくは240nm以上、又、通常400nm以下、好ましくは350nm以下の範囲である。尚、紫外線を用いる場合、前記(D)光重合開始剤として、紫外線によりラジカルを発生する光ラジカル発生剤を用いるのが好ましく、必要に応じて増感剤を併用してもよい。
紫外線を照射する装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、マイクロ波によって紫外線を発生させる構造の紫外線ランプ等、公知の装置を好ましく用いることができる。該装置の出力は通常10W/cm以上、好ましくは30W/cm以上、又、通常200W/cm以下、好ましくは180W/cm以下であり、該装置は、被照射体に対して通常5cm以上、好ましくは30cm以上、又、通常80cm以下、好ましくは60cm以下の距離に設置するようにすると、被照射体の光劣化や熱劣化、熱変形等が少なく、好ましい。
又、本発明の放射線硬化性組成物は、電子線によっても好ましく硬化することができ、機械特性、特に引張伸びに優れた硬化物を得ることができる。電子線を用いる場合、その光源及び照射装置は高価であるものの、前記(D)重合開始剤の使用が省略可能であること、及び、酸素による重合阻害を受けず、従って表面硬度が良好となるという利点がある。電子線照射に用いられる電子線照射装置としては、特にその方式に制限はないが、たとえば、カーテン型、エリアビーム型、ブロードビーム型、パルスビーム型等が挙げられる。電子線照射の際の加速電圧は、通常10kV以上、好ましくは100kV以上であり、又、通常1,000kV以下、好ましくは200kV以下である。
これらの放射線の照射強度としては、通常0.1J/cm2 以上、好ましくは0.2J/cm2 以上であり、又、通常20J/cm2 以下、好ましくは10J/cm2 以下、より好ましくは5J/cm2 以下、更に好ましくは3J/cm2 以下、特に好ましくは2J/cm2 以下で照射する。照射強度がこの範囲内であれば、放射線硬化性組成物の種類によって適宜選択可能である。
放射線の照射時間は通常1秒以上、好ましくは10秒以上、又、通常3時間以下、反応促進と生産性の点で好ましくは1時間以下である。放射線の照射エネルギーや照射時間が極端に少ない場合、重合が不完全なため硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されない場合がある。又、逆に極端に過剰な場合は黄変等光による色相悪化に代表される劣化を生ずる場合がある。
該放射線の照射は、一段階で照射してもよく、或いは複数段階に分割して照射してもよい。その線源としては、通常、放射線が全方向に広がる拡散線源を用いる。放射線の照射は、通常、型内に賦形された放射線硬化性組成物を固定静置した状態、又はコンベアで搬送された状態で、放射線源を固定静置して行う。又、放射線硬化性組成物を適当な基板(例えば、樹脂、金属、半導体、ガラス、紙等)上に塗布して液膜を形成し、そこに放射線を照射して該液膜を硬化させることも可能である。
2−2.放射線硬化性組成物の硬化物の特性
本発明の放射線硬化性組成物の硬化物は、通常、溶剤等に不溶不融の性質を示し、厚膜化した場合であっても光学部材の用途に有利な性質を備え、密着性、表面硬化度に優れていることが好ましい。具体的には、低い光学歪み性(低複屈折性)、高い光線透過率、機械的強度、寸法安定性、高密着性、高表面硬度、及び一定以上の耐熱・耐湿変形性を示すことが好ましい。又、硬化収縮が小さいほど好ましい。
本発明の放射線硬化性組成物の硬化物の膜厚は、通常10μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは70μm以上、特に好ましくは85μm以上、又、通常300μm以下、好ましくは130μm以下、より好ましくは115μm以下である。光学記録媒体に用いた場合のゴミ等による情報の読み書きへの影響と透過率とのバランスが良好なためである。
本発明の放射線硬化性組成物の硬化物の光線透過率は、膜厚100μmの硬化物として、波長400nmにおける光路長0.1mm当たりの光線透過率が、好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上、特に好ましくは89%以上であり、又、100%に近い程好ましい。又、波長550nmにおける光路長0.1mm当たりの光線透過率が、好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上、特に好ましくは89%以上であり、又、100%に近い程好ましい。光線透過率が低すぎると、硬化物としての透明性が劣ることとなって、光学記録媒体に用いた場合に記録された情報の読み出し時にエラーが増加する傾向となる。尚、光線透過率は、例えば、ヒューレットパッカード社製HP8453型紫外・可視吸光光度計にて公知の方法で、室温で測定することができる。
本発明の放射線硬化性組成物の硬化物の光線透過率を前記範囲とするには、放射線硬化性組成物を構成する各成分として光線透過率の高いものを用いるのが好ましい。更に、各成分中の有色物や分解物等の不純物量の少ないものが好ましい。又、製造時の触媒量が少ないものが好ましい。これらのことは、可視光領域の光線透過率を低下させないために有効である。更に、各成分に芳香環を含まない、脂肪族或いは脂環式骨格のものを選択することが好ましい。これらのことは、紫外領域の光線透過率を低下させないために有効である。
又、本発明の放射線硬化性組成物の硬化物の硬度は、JIS K5400に準拠した鉛筆硬度試験による表面硬度で、通常B以上、好ましくはHB以上である。
3.硬化物の用途
本発明の放射線硬化性組成物は、基材に塗布した後、形成された塗布膜を放射線照射により硬化させた硬化物として用いるのに好適であり、特に高度な透明性が要求される樹脂層、例えば、光学記録媒体の保護層、中間層、緩衝層、下地層等の透明樹脂層、光学部材や表示部材等用の透明樹脂層として好適に用いられる。その際、形成された保護層上には、更にハードコート層が形成されてもよく、そのハードコート層用としても、本発明の放射線硬化性組成物は好適に用いられる。
実施例1
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、(A−1)としてのイソホロンジイソシアネート292gと、ジブチルスズラウレート60mgを入れ、オイルバスにて70〜80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌する。温度が一定になったら、(A−2)としての1,4−ブタンジオール47gと(A−3)としてのポリテトラメチレングリコール(数平均分子量約650)79gと(A−4)としてのポリテトラメチレングリコール(数平均分子量約2,000)25gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、温度を80℃に保ちながら2時間撹拌する。温度を70℃まで下げてから、(A−5)としてのヒドロキシエチルアクリレート152gと、メトキノン0.3gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、滴下が終わったら温度を80℃に保ち、10時間撹拌させ、(A)としてのウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。合成した(A)ウレタンアクリレートオリゴマーに、(B)としてのテトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機社製)326g、(C)としての1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学社製)79g、及び(D)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本シイベルヘグナー社製)30gを加えて5時間混合して希釈し、均一液状の放射線硬化性組成物Aを調製した。
得られた放射線硬化性組成物Aは、(A−4)の(A−3)に対する割合は、モル比で0.11、重量比で0.31であり、(A−3)と(A−4)の各使用モル数から算出される数平均分子量の平均値は約775であり、(A−3)と(A−4)の合計重量の(A)、(B)、(C)の合計量に占める割合は10重量%であった。
得られた放射線硬化性組成物Aについて、以下に示す方法で、放射線硬化物としての光線透過率、表面硬度、温湿度変化における被着体としての基材の寸法安定性、及びガラス転移点を測定、評価し、結果を表1に示した。
<光線透過率>
得られた放射線硬化性組成物Aを、100mm角、厚さ3mmのフッ素コートガラス板上にスピンコーターにより塗布した後、高圧水銀ランプにて照射強度1J/cm2 で紫外線を照射することにより硬化させて膜厚100μmの硬化物層となした。その硬化物層をガラス板から剥離した後、剥離した硬化物層について、紫外・可視吸光光度計(ヒューレットパッカード社製;HP8453型)を用いて、波長400nmにおける光路長0.1mm当たりの光線透過率を測定した。
<表面硬度>
得られた放射線硬化性組成物Aを、100mm角、厚さ3mmのガラス板上に膜厚が100±5μmとなるようにスピンコーターにより塗布した後、高圧水銀ランプにて照射強度1J/cm2 で紫外線を照射することにより硬化させて硬化物層となした。その硬化物層上に、以下に示すハードコート組成物を固形分膜厚が2±0.3μmとなるようにスピンコーターにより塗布し、60℃オーブン中にて2分間乾燥させた後、高圧水銀ランプにて照射強度1J/cm2 で紫外線を照射することにより硬化させて硬化物層(ハードコート層)となした。その硬化物層(ハードコート層)表面について、JIS K5400に準拠して鉛筆硬度を測定した。
ハードコート組成物
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製;カヤラッドDPHA)100gに光重合開始剤としてヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3gを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテル50gと1−アセトキシ−2−メトキシプロパン100gを加えて、室温25℃にて2時間攪拌し、ハードコート組成物を調製した。
<温湿度変化における被着体としての基材の寸法安定性>
得られた放射線硬化性組成物Aを、100mm角、厚さ3mmのフッ素コートガラス板上にスピンコーターにより塗布した後、高圧水銀ランプにて照射強度1J/cm2 で紫外線を照射することにより硬化させて膜厚100μmの硬化塗膜となした。その塗膜をガラス板から剥離した後、10mm×80mmの短冊状サンプルを10本切り出して以下の引張弾性率測定用のサンプルとした。
得られたサンプルについて、テンシロン型引張試験機を用い、温度25℃にてJIS K7127に準拠して引張弾性率を測定した。一方、得られたサンプルを1Lの純水を入れた容器に25℃で3時間浸漬した後、取り出して水滴を軽く拭き取り、直ちにテンシロン型引張試験機を用い、温度25℃にてJIS K7127に準拠して引張弾性率を測定した。吸水後の引張弾性率(E2 )の吸水前の引張弾性率(E1 )に対する割合(E2 /E1 )を吸水弾性率係数と定義し、該吸水弾性率係数により温湿変化における被着体としての基材の寸法安定性を以下の基準により評価した。
○;吸水弾性率係数が0.2以上
×;吸水弾性率係数が0.2未満
<ガラス転移点>
得られた放射線硬化性組成物Aを、100mm角、厚さ3mmのフッ素コートガラス板上にスピンコーターにより塗布した後、高圧水銀ランプにて照射強度1J/cm2 で紫外線を照射することにより硬化させて膜厚100μmの硬化塗膜となした。その塗膜をガラス板から剥離した後、10mm×80mmの短冊状サンプルを1本切り出して以下のガラス転移点測定用のサンプルとした。
得られたサンプルについて、DMA装置(粘弾性スペクトロメーター、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製;粘弾性スペクトロメーターEXSTAR6000/DMS6100)を用いて、設定周波数;10Hz、昇温速度;2℃/分、チャック−クランプ間距離;5mmの条件にてtanδを求め、その値が極大となる温度をガラス転移点Tgとした。
実施例2
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、(A−1)としてのイソホロンジイソシアネート296gと、ジブチルスズラウレート60mgを入れ、オイルバスにて70〜80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌する。温度が一定になったら、(A−2)としての1,4−ブタンジオール54gと(A−3)としてのポリテトラメチレングリコール(数平均分子量約650)23gと(A−4)としてのポリテトラメチレングリコール(数平均分子量約2,000)66gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、温度を80℃に保ちながら2時間撹拌する。温度を70℃まで下げてから、(A−5)としてのヒドロキシエチルアクリレート154gと、メトキノン0.3gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、滴下が終わったら温度を80℃に保ち、10時間撹拌させ、(A)としてのウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。合成した(A)ウレタンアクリレートオリゴマーに、(B)としてのテトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機社製)363g、(C)としての1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学社製)44g、及び(D)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本シイベルヘグナー社製)30gを加えて5時間混合して希釈し、均一液状の放射線硬化性組成物Bを調製した。
得られた放射線硬化性組成物Bは、(A−4)の(A−3)に対する割合は、モル比で0.95、重量比で2.9であり、(A−3)と(A−4)の各使用モル数から算出される数平均分子量の平均値は約1,300であり、(A−3)と(A−4)の合計重量の(A)、(B)、(C)の合計量に占める割合は約9重量%であった。
得られた放射線硬化性組成物Bについて、実施例1におけると同様の方法で、放射線硬化物としての光線透過率、表面硬度、温湿度変化における被着体としての基材の寸法安定性、及びガラス転移点を測定、評価し、結果を表1に示した。
比較例1
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、(A−1)としてのイソホロンジイソシアネート289gと、ジブチルスズラウレート60mgを入れ、オイルバスにて70〜80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌する。温度が一定になったら、(A−2)としての1,4−ブタンジオール43gと(A−3)としてのポリテトラメチレングリコール(数平均分子量約650)113gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、温度を80℃に保ちながら2時間撹拌する。温度を70℃まで下げてから、(A−5)としてのヒドロキシエチルアクリレート151gと、メトキノン0.3gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、滴下が終わったら温度を80℃に保ち、10時間撹拌させ、(A)としてのウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。合成した(A)ウレタンアクリレートオリゴマーに、(B)としてのテトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機社製)304g、(C)としての1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学社製)100g、及び(D)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本シイベルヘグナー社製)30gを加えて5時間混合して希釈し、均一液状の放射線硬化性組成物Cを調製した。
得られた放射線硬化性組成物Cは、(A−4)の(A−3)に対する割合は、モル比で0、重量比で0であり、(A−3)と(A−4)の各使用モル数から算出される数平均分子量の平均値は約650であり、(A−3)と(A−4)の合計重量の(A)、(B)、(C)の合計量に占める割合は11重量%であった。
得られた放射線硬化性組成物Cについて、実施例1におけると同様の方法で、放射線硬化物としての光線透過率、表面硬度、温湿度変化における被着体としての基材の寸法安定性、及びガラス転移点を測定、評価し、結果を表1に示した。
比較例2
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、(A−1)としてのイソホロンジイソシアネート297gと、ジブチルスズラウレート60mgを入れ、オイルバスにて70〜80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌する。温度が一定になったら、(A−2)としての1,4−ブタンジオール43gと(A−4)としてのポリテトラメチレングリコール(数平均分子量約2,000)82gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、温度を80℃に保ちながら2時間撹拌する。温度を70℃まで下げてから、(A−5)としてのヒドロキシエチルアクリレート155gと、メトキノン0.3gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、滴下が終わったら温度を80℃に保ち、10時間撹拌させ、(A)としてのウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。合成した(A)ウレタンアクリレートオリゴマーに、(B)としてのテトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機社製)380g、(C)としての1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学社製)30g、及び(D)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本シイベルヘグナー社製)30gを加えて5時間混合して希釈し、均一液状の放射線硬化性組成物Dを調製した。
得られた放射線硬化性組成物Dは、(A−4)の(A−3)に対する割合は、モル比で無限大、重量比で無限大であり、(A−3)と(A−4)の各使用モル数から算出される数平均分子量の平均値は約2,000であり、(A−3)と(A−4)の合計重量の(A)、(B)、(C)の合計量に占める割合は約8重量%であった。
得られた放射線硬化性組成物Dについて、実施例1におけると同様の方法で、放射線硬化物としての光線透過率、表面硬度、温湿度変化における被着体としての基材の寸法安定性、及びガラス転移点を測定、評価し、結果を表1に示した。
Figure 2009035583

Claims (8)

  1. (A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、及び(C)分子量が300以下の多官能(メタ)アクリレートを含有する放射線硬化性組成物であって、(A)ウレタン(メタ)アクリレートが、下記の(A−1)〜(A−5)の反応生成物であることを特徴とする放射線硬化性組成物。
    (A−1)ポリイソシアネート
    (A−2)分子量が400未満のジオール
    (A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオール
    (A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオール
    (A−5)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート
  2. (A)ウレタン(メタ)アクリレートにおける、(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオールと(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオールとの合計使用量の、(A)ウレタン(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、及び(C)分子量が300以下の多官能(メタ)アクリレートの合計量に占める割合が、3〜30重量%である請求項1に記載の放射線硬化性組成物。
  3. (A)ウレタン(メタ)アクリレートにおける、(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオールの(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオールに対する使用割合が、モル比で0.1〜5である請求項1又は2に記載の放射線硬化性組成物。
  4. (A)ウレタン(メタ)アクリレートにおける、(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオールの(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオールに対する使用割合が、重量比で0.05〜10である請求項1又は2に記載の放射線硬化性組成物。
  5. (A)ウレタン(メタ)アクリレートにおける、(A−3)数平均分子量が400以上1,500未満のポリオールと(A−4)数平均分子量が1,500以上のポリオールの各使用モル数から算出される数平均分子量の平均値が、700〜3,000である請求項1乃至4のいずれかに記載の放射線硬化性組成物。
  6. 更に、(D)重合開始剤を含有する請求項1乃至5のいずれかに記載の放射線硬化性組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の放射線硬化性組成物を、放射線照射により硬化させて得られたものであることを特徴とする放射線硬化物。
  8. 請求項7に記載の放射線硬化物の層を有することを特徴とする積層体。
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