JP2009292950A - 放射線硬化性組成物及びその硬化物、並びにそれを用いた光記録媒体 - Google Patents

放射線硬化性組成物及びその硬化物、並びにそれを用いた光記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】低粘度であって塗布性に優れると共に、耐荷重痕性と積層体としたときの耐反り性とのバランスに優れる硬化物を与えることができ、光記録媒体の保護層等に好適に用いられる放射線硬化性組成物、及びその硬化物、並びにそれを用いた光記録媒体を提供する。
【解決手段】下記の(A−1)成分、及び(A−2)成分を含有する放射線硬化性組成物、及び、該放射線硬化性組成物を放射線照射により硬化させて得られたものである放射線硬化物、並びに、該放射線硬化物からなる保護層を有する光記録媒体。
(A−1)成分;ポリイソシアネートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであって、(メタ)アクリロイルオキシ基の酸素原子とヒドロキシ基置換炭素原子との間に介在するアルキレン鎖の炭素数が3〜12のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させて得られた3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート
(A−2)成分;前記(A−1)成分以外であって、放射線硬化性基を有し、数平均分子量が900以上の化合物
【選択図】 なし

Description

本発明は、放射線硬化性組成物及びその硬化物、並びにそれを用いた光記録媒体に関する。詳しくは、低粘度であって塗布性に優れると共に、耐荷重痕性と積層体としたときの耐反り性とのバランスに優れる硬化物を与えることができ、光記録媒体の保護層等に好適に用いられる放射線硬化性組成物、及びその硬化物、並びにそれを用いた光記録媒体に関する。
光記録媒体における情報記録層の保護層等に放射線硬化性組成物を用いる試みは、従来より数多くなされており、本発明者等も、例えば、放射線硬化性基を有するモノマー又は/及びオリゴマー、例えば、ポリイソシアネート、高分子ポリオール、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応生成物としてのウレタン(メタ)アクリレートであって、その高分子ポリオールがポリエーテルポリオール骨格、ポリエステルポリオール骨格、及びポリカーボネートポリオール骨格の中の複数種を含む放射線硬化性組成物が、低粘度であって、優れた透明性、機械的強度を有すると共に、表面硬度と耐熱・耐湿変形性とのバランスに優れた硬化物を与えることができることを見出し、先に特許出願した(特許文献1参照)。しかしながら、更に、その後の検討によると、これら従来の放射線硬化性組成物は、例えば、光記録媒体における情報記録層上に硬化させた保護層として形成し積層体とした場合、その保護層面に凹凸形状を有する物が長時間押し付けられたときに、その保護層に凹凸形状の痕が残り易く(本明細書において、この現象を「荷重痕性」と言うこととする。)、一方、その荷重痕性を改良しようとすると、情報記録層上に硬化させた保護層として積層体を形成したときに、硬化直後に反りが生じ易く、又、急激な環境湿度の変化による変形も認められ、光記録媒体として情報の読み書きに支障を来すという問題が内在し、前記耐荷重痕性と積層体としたときの耐反り性とをバランスさせるのが困難であることが判明した。
特開2007−131698号公報
本発明は、前述の従来技術における問題を解決すべくなされたものであり、従って、本発明は、低粘度であって塗布性に優れると共に、耐荷重痕性と積層体としたときの耐反り性とのバランスに優れる硬化物を与えることができ、光記録媒体の保護層等に好適に用いられる放射線硬化性組成物、及びその硬化物、並びにそれを用いた光記録媒体を提供することを目的とする。
本発明者等は、前述の課題に解決を与えるべく鋭意検討した結果、特定のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアネートとを反応させて得られた多官能のウレタン(メタ)アクリレートと、特定量以上の分子量の放射線硬化性基含有化合物とを含有する組成物が前記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに到ったもので、即ち、本発明の要旨は、下記の(A−1)成分、及び(A−2)成分を含有する放射線硬化性組成物、及び、該放射線硬化性組成物を放射線照射により硬化させて得られたものである放射線硬化物、並びに、該放射線硬化物からなる保護層を有する光記録媒体、に存する。
(A−1)成分;ポリイソシアネートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであって、(メタ)アクリロイルオキシ基の酸素原子とヒドロキシ基置換炭素原子との間に介在するアルキレン鎖の炭素数が3〜12のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させて得られた3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート
(A−2)成分;前記(A−1)成分以外であって、放射線硬化性基を有し、数平均分子量が900以上の化合物
本発明によれば、低粘度であって塗布性に優れると共に、耐荷重痕性と積層体としたときの耐反り性とのバランスに優れる硬化物を与えることができ、光記録媒体の保護層等に好適に用いられる放射線硬化性組成物、及びその硬化物、並びにそれを用いた光記録媒体を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
1.放射線硬化性組成物
1−1.(A−1)成分;ポリイソシアネートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであって、(メタ)アクリロイルオキシ基の酸素原子とヒドロキシ基置換炭素原子との間に介在するアルキレン鎖の炭素数が3〜12のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させて得られた3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート
本発明における(A−1)成分のウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させて得られたものである。本発明におけるこの(A−1)成分のウレタン(メタ)アクリレートとしては、組成物としての表面硬化性に優れ、タック(べたつき)が残りにくい面から、ウレタンアクリレートが好ましい。
1−1−a.ポリイソシアネート
ポリイソシアネートとは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であるが、本発明における(A−1)成分に用いられるポリイソシアネートとしては、(A−1)成分が3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートである必要があり、9官能以下であるのが好ましいことから、具体的には、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート、及び、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール1モルに対して前記ジイソイアネート3モルの付加体等が挙げられ、これらの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、本発明においては、これらの中で、得られるウレタン(メタ)アクリレートの色相が良好である点で、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートの3量体、及び、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートの3量体が特に好ましい。
尚、ここでのポリイソシアネートの分子量としては、組成物の硬化物としての表面硬度と弾性率とのバランスの面で、100以上、更には150以上であるのが好ましく、又、1,000以下、更には500以下であるのが好ましい。
1−1−b.ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
本発明における(A−1)成分に用いられるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイルオキシ基の酸素原子とヒドロキシ基置換炭素原子との間に介在するアルキレン鎖の炭素数が3〜12であることが必須であり、該炭素数が3〜6であるのが好ましい。この炭素数が小さすぎると、組成物としての硬化収縮が大きくなって、積層体としたとき反り易いこととなり、一方、大きすぎると、機械的強度が低下することとなる。
そのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、7−ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1−1−c.(A−1)成分のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法
前記ポリイソシアネートと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを付加反応させることにより、(A−1)成分のウレタン(メタ)アクリレートを製造することができる。その際、イソシアネート基とヒドロキシ基が化学量論量になるように仕込む。
これらのポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの付加反応は、公知の何れの方法でも行うことができる。例えば、ポリイソシアネートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及び付加反応触媒との混合物とを、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、又、通常90℃以下、好ましくは75℃以下の条件下で混合する。その際の混合の方法としては、ポリイソシアネート存在下に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと付加反応触媒との混合物を滴下することが好ましい。又、このときの付加反応触媒としては、例えば、ジブチルスズラウレート、ジブチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジラウレート、及び、ジオクチルスズジオクトエート等が好ましく、これらの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1−1−d.(A−1)成分のウレタン(メタ)アクリレートの特性
本発明において、(A−1)成分として用いるウレタン(メタ)アクリレートとしては、透明性の高いものであるのが好ましく、例えば、芳香環を有していない化合物であるのが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートが芳香環を有する場合、芳香環を有する放射線硬化性組成物及びその硬化物は、得られるものが着色物であったり、最初は着色していなくても保存中に着色したり着色が強まること(いわゆる黄変)がある。これは芳香環を形成する二重結合部分が、エネルギー線によってその構造を不可逆的に変化させることが原因であると考えられており、このため、ウレタン(メタ)アクリレートは、芳香環を有しない構造を持つことで、色相の悪化がなく、かつ光線透過性も低下することなく、光記録媒体等の無色透明が要求される用途への応用に特に適する利点がある。
芳香環を有しないウレタン(メタ)アクリレートは、芳香環を有しないポリイソシアネート或いはイソシアヌレートを選択することにより製造でき、その芳香環を有しないポリイソシアネート或いはイソシアヌレートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートの3量体、及び、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートの3量体、並びに、トリオール1モルに対して芳香環を有しない前記ジイソイアネート3モルの付加体等が挙げられる。
これら(A−1)成分のウレタン(メタ)アクリレートの分子量は、数平均分子量で、500以上、更には900以上であるのが好ましく、又、3,000以下、更には1,500以下であるのが好ましい。
1−2.(A−2)成分;前記(A−1)成分以外であって、放射線硬化性基を有し、数平均分子量が900以上の化合物
本発明における(A−2)成分の放射線硬化性基を有する化合物は、前記(A−1)成分以外であって、放射線硬化性基を有し、特定量以上の分子量のものであれば、特に限定されるものではないが、その放射線硬化性基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましく、そのような放射線硬化性基を有する化合物としては、更にウレタン結合を有するウレタン(メタ)アクリレート〔以下、この「ウレタン(メタ)アクリレート」を「(A−2−1)成分」と言うことがある。〕が好ましく、その他には、ポリエステル(メタ)アクリレート〔以下、この「ポリエステル(メタ)アクリレート」を「(A−2−2)成分」と言うことがある。〕等が挙げられる。又、本発明の放射線硬化性組成物が含有するその他の成分としては、1個の放射線硬化性基、好ましくは(メタ)アクリロイル基、を有する単官能化合物、好ましくは単官能(メタ)アクリレート、及び、2個以上の放射線硬化性基、好ましくは(メタ)アクリロイル基、を有する多官能化合物、好ましくは多官能(メタ)アクリレート〔以下、この「単官能又は多官能(メタ)アクリレート」を「(B)成分」と言うことがある。〕等、及び放射線硬化を開始させるための重合開始剤〔以下、「(C)成分」と言うことがある。〕、その他の補助成分、等が挙げられる。
(A−2−1)成分;ウレタン(メタ)アクリレート
本発明における(A−2)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネートと、ヒドロキシ基含有化合物と、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとを反応させて得られる。本発明におけるこの(A−2)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートとしては、組成物としての表面硬化性に優れ、タック(べたつき)が残りにくい面から、ウレタンアクリレートが好ましい。
1−2−a.ポリイソシアネート
本発明における(A−2)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートに用いられるポリイソシアネートとしては、具体的には、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、及びこれらジイソシアネートの三量体であるイソシアヌレート等が挙げられ、これらの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、本発明においては、組成物の硬化物として、表面硬度が高く、弾性率が低く、硬化収縮に因る変形が小さい点で、これらの中で、イソシアネート基中の炭素原子も含んだ全炭素数が4〜12のジイソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、及びイソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
尚、ポリイソシアネートの分子量としては、組成物の硬化物としての表面硬度と弾性率とのバランスの面で、100以上、更には150以上であるのが好ましく、又、1,000以下、更には500以下であるのが好ましい。
1−2−b.ヒロドキシ基含有化合物
本発明における(A−2)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートに用いられるヒロドキシ基含有化合物としては、2個以上のヒドロキシル基を含有するポリオール類が好ましく、その具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン等のアルキレンポリオール類が挙げられる。
これらの中でも、前記ポリオール類が、多量体等を形成するためのエーテル結合を有するポリエーテルポリオール、多塩基酸との反応によるエステル結合、或いは環状エステルの開環重合によるエステル結合を有するポリエステルポリオール、又は、カーボネートとの反応によるカーボネート結合を有するポリカーボネートポリオールであるのが好ましい。
ここで、ポリエーテルポリオールの具体例としては、前記ポリオール類の多量体の他に、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの開環重合体としてのポリテトラメチレングリコール、及び、前記ポリオール類の、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイドの付加物等が挙げられる。
又、ポリエステルポリオールの具体例としては、前記ポリオール類と、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等の多塩基酸との反応物、及び、カプロラクトン等の環状エステルの開環重合体としてのポリカプロラクトン等が挙げられる。
又、ポリカーボネートポリオールの具体例としては、前記ポリオール類と、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート、又は、ジフェニルカーボネート、4−メチルジフェニルカーボネート、4−エチルジフェニルカーボネート、4−プロピルジフェニルカーボネート、4,4’−ジメチルジフェニルカーボネート、2−トリル−4−トリルカーボネート、4,4’−ジエチルジフェニルカーボネート、4,4’−ジプロピルジフェニルカーボネート、フェニルトルイルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、フェニルクロロフェニルカーボネート、フェニルナフチルカーボネルート、ジナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート、又は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジ−n−アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等のジアルキルカーボネート等との反応物等が挙げられる。
これらのポリオール類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。そして、本発明における(A−2)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリエステル骨格を有するものであるのが好ましく、これらの中で、ポリオール類と多塩基酸との反応によるエステル結合、或いは環状エステルの開環重合によるエステル結合、を有する前記ポリエステルポリオールの1種以上が用いられているのが好ましい。そのポリエステルポリオールとしては、組成物の硬化物として、表面硬度を低下させずに弾性率を低くし易い面で、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、アジピン酸、フタル酸との反応によるポリエステルポリオール、及びポリカプロラクトンが特に好ましい。
尚、これらポリオール類の分子量としては、組成物の硬化物としての表面硬度の低下を抑える面で、数平均分子量で、200以上、更には400以上であるのが好ましく、又、3,000以下、更には2,000以下であるのが好ましい。
1−2−c.ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート
本発明における(A−2)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートに用いられるヒロドキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、7−ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及び、グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコールのモノ(メタ)アクリレート体等が挙げられ、これらの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの分子量としては、40以上、更には80以上であるのが好ましく、又、800以下、更には400以下であるのが好ましい。
1−2−d.(A−2−1)成分;ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法
前記ポリイソシアネートと、前記ヒドロキシ基含有化合物と、前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとを付加反応させることにより、(A−2)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートを製造することができる。その際、イソシアネート基とヒドロキシ基が化学量論量になるように仕込む。特に、ヒドロキシ基含有化合物としてジオール類を用いており、さらに(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートは、得られる組成物の硬化物として密着性や表面硬化度がさらに増すという利点がある。
尚、ウレタン(メタ)アクリレートを製造するときは、前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの使用量を、前記ヒドロキシ基含有化合物と該ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとを合わせた全ヒドロキシ基含有化合物量に対して、通常20重量%以上、好ましくは40重量%以上、又、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下とする。その割合に応じて、得られるウレタン(メタ)アクリレートの分子量を制御することができる。
これらのポリイソシアネートとヒドロキシ基含有化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとの付加反応は、公知の何れの方法でも行うことができる。例えば、ポリイソシアネートと付加反応触媒との混合物と、ヒドロキシル基含有化合物、次いでヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとを、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、又、通常90℃以下、好ましくは75℃以下の条件下で混合する。その際の混合の方法としては、ポリイソシアネートと付加反応触媒との混合物の存在下に、ヒドロキシ基含有化合物、次いでヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを滴下することが好ましい。又、このときの付加反応触媒としては、例えば、ジブチルスズラウレート、ジブチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジラウレート、及び、ジオクチルスズジオクトエート等が好ましく、これらの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、ここで、ウレタン(メタ)アクリレートを製造するにおいて、ヒドロキシ基含有化合物として前記ポリエステルポリオールの1種以上を用いるのが好ましく、又、前記ポリイソシアネート、前記ヒドロキシ基含有化合物、及び前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの他に、その他の成分を含有させてもよい。
1−2−e.(A−2−1)成分;ウレタン(メタ)アクリレートの特性
本発明において、(A−2)成分として用いるウレタン(メタ)アクリレートとしては、透明性の高いものであるのが好ましく、例えば、芳香環を有していない化合物であるのが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートが芳香環を有する場合、芳香環を有する放射線硬化性組成物及びその硬化物は、得られるものが着色物であったり、最初は着色していなくても保存中に着色したり着色が強まること(いわゆる黄変)がある。これは芳香環を形成する二重結合部分が、エネルギー線によってその構造を不可逆的に変化させることが原因であると考えられており、このため、ウレタン(メタ)アクリレートは、芳香環を有しない構造を持つことで、色相の悪化がなく、かつ光線透過性も低下することなく、光記録媒体等の無色透明が要求される用途への応用に特に適する利点がある。
芳香環を有しないウレタン(メタ)アクリレートは、芳香環を有しないポリイソシアネートと、芳香環を有しないヒドロキシ基含有化合物と、芳香環を有しないヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを選択することにより製造でき、その芳香環を有しないポリイソシアネートの具体例としては、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられ、又、芳香環を有しないヒドロキシ基含有化合物の具体例としては、アルキレンポリエステルポリオール等が挙げられ、又、芳香環を有しないヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。尚、これらの1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら(A−2)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートの分子量は、数平均分子量で、900以上であることが必須であり、1, 000以上であるのが好ましく、又、10,000以下、更には4,000以下であるのが好ましい。数平均分子量が小さすぎると、組成物の硬化物として耐反り性が劣り易い傾向となり、一方、大きすぎると、耐荷重痕性が劣り易い傾向となる。
(A−2−2)成分;ポリエステル(メタ)アクリレート
本発明において、(A−2)成分の放射線硬化性基を有し、数平均分子量が900以上の化合物として、ポリエステル(メタ)アクリレートを用いてもよい。そのポリエステル(メタ)アクリレートは、通常、ポリオール類と多塩基酸とを反応させて得られたポリエステルポリオールを(メタ)アクリル酸によりエステル化することにより得られたもので、その際のポリエステルポリオールとしては、前記(A−2−1)成分の「1−2−b.ヒロドキシ基含有化合物」で挙げたポリエステルポリオールが好ましい。
1−3.(A−1)成分と(A−2)成分の含有割合
本発明の放射線硬化性組成物において、前記(A−1)成分と前記(A−2)成分の含有割合は、両者の合計量に対して、前記(A−1)成分が10重量%以上で前記(A−2)成分が90重量%以下であるのが好ましく、前記(A−1)成分が20重量%以上で前記(A−2)成分が80重量%以下であるのが更に好ましく、又、前記(A−1)成分が60重量%以下で前記(A−2)成分が40重量%以上であるのが好ましく、前記(A−1)成分が55重量%以下で、前記(A−2)成分が45重量%以上であるのが更に好ましい。前記(A−1)成分が少なすぎ前記(A−2)成分が多すぎると、組成物の硬化物として耐荷重痕性が劣り易い傾向となり、一方、前記(A−1)成分が多すぎ前記(A−2)成分が少なすぎると、耐反り性が劣り易い傾向となる。
1−4.(B)成分;単官能又は多官能(メタ)アクリレート
本発明の放射線硬化性組成物は、前記(A−1)成分のウレタン(メタ)アクリレートと前記(A−2)成分の放射線硬化性基を有する化合物の他に、単官能又は多官能(メタ)アクリレートを含有していてもよく、その単官能(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリロイルモルフォリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート類等が挙げられ、これらの中で、脂環式(メタ)アクリレート類が好ましく、中でも、疎水性の高いテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレートが特に好ましい。
又、多官能(メタ)アクリレートとしては、脂肪族ポリ(メタ)アクリレート類、脂環式ポリ(メタ)アクリレート類、芳香族ポリ(メタ)アクリレート類等が挙げられ、具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリイソブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA、ビスフェノールF、或いはビスフェノールS等のビスフェノールのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、或いはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA、ビスフェノールF、或いはビスフェノールS等のビスフェノールの水添誘導体のジ(メタ)アクリレート、各種ポリエーテルポリオール化合物と他の化合物とのブロック、或いはランダム共重合体のジ(メタ)アクリレート等のポリエーテル骨格を有する(メタ)アクリレート類、及び、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン=ジ(メタ)アクリレート、p−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]キシリレン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルホン等の2官能の(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、グリセリントリス(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリス(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリレート類、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の5官能以上の(メタ)アクリレート類等の不定多官能の(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、架橋生成反応の制御性から2官能の(メタ)アクリレート類が好ましい。2官能の(メタ)アクリレート類としては、脂肪族ポリ(メタ)アクリレート、脂環式ポリ(メタ)アクリレートが好ましく、更には、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン=ジ(メタ)アクリレートが好ましい。又、硬化物としての耐荷重痕性の面から、炭素数6〜20、更には炭素数8〜12のジオールのジ(メタ)アクリレート類、具体的には、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレートがが特に好ましい。又、硬化物としての耐荷重痕性の面から、4官能以上の(メタ)アクリレート類、具体的には、ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等も特に好ましい。
尚、これらの単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートの分子量は、組成物としての粘度と硬化収縮性とのバランスの面から、50以上、更には100以上であるのが好ましく、又、1,000以下、更には500以下であるのが好ましい。
これら(B)成分の単官能又は多官能(メタ)アクリレートは、以上の1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。但し、少なくとも多官能(メタ)アクリレートは、1種以上を含有することが好ましい。
本発明の放射線硬化性組成物において、前記(B)成分の単官能又は多官能(メタ)アクリレートの含有量は、5重量%以上であるのが好ましく、10重量%以上であるのが更に好ましく、又、75重量%以下であるのが好ましく、70重量%以下であるのが更に好ましい。(B)成分の単官能又は多官能(メタ)アクリレートの量が少なすぎると、放射線硬化性組成物としての粘度が高くなり、又、硬化物の表面硬度が低下する傾向となり、一方、多すぎると、硬化物を形成するときの成形性や機械的強度が低下し、硬化物にクラックが生じ易くなる傾向となる。
1−5.(C)成分;重合開始剤
本発明の放射線硬化性組成物は、更に、放射線(例えば、活性エネルギー線、紫外線、電子線等)によって進行する重合反応を開始するための重合開始剤を含有することが好ましい。特に放射線が活性エネルギー線、紫外線の場合、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、光によりラジカルを発生する性質を有する化合物であるラジカル発生剤が一般的であり、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知の何れのラジカル発生剤でも使用可能である。
このようなラジカル発生剤の具体例としては、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−ヒドロキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン等が挙げられる。中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及び、2−ヒドロキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましい。
又、硬化速度が速く架橋密度を十分に上昇させることができる点では、前記のラジカル発生剤のうち、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、及び、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが好ましい。
又、本発明の放射線硬化性組成物の硬化物を、波長380〜800nmのレーザーを光源とする光記録媒体等に用いる場合には、読み取りに必要なレーザー光が十分に該硬化物層を通過するように、ラジカル発生剤の種類及び使用量を選択して用いることが好ましい。この場合、得られる硬化物層がレーザー光を吸収し難い短波長感光型のラジカル発生剤を使用するのが特に好ましい。
前記のラジカル発生剤のうち、このような短波長感光型のラジカル発生剤としては、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられ、中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の水酸基を有するものが特に好ましい。
尚、これらのラジカル発生剤は、1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。又、ラジカル発生剤の量は、前記(A−1)成分と前記(A−2)成分の合計、又は必要に応じて用いられる前記(B)成分も加えた合計100重量部に対し、通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、更に好ましくは2重量部以上、又、通常10重量部以下、好ましくは9重量部以下、より好ましくは7重量部以下、更に好ましくは5重量部以下、特に好ましくは4重量部以下である。添加量が少なすぎると、放射線硬化性組成物を十分に硬化させることができなくなる傾向となり、一方、多すぎると、重合反応が急激に進行して、光学歪みの増大をもたらす等の問題が発生したり、色相も悪化する傾向となる。
又、ベンゾフェノン系重合開始剤を用いる場合は、通常0.5重量部以上であって、好ましくは2重量部以下、更に好ましくは1重量部以下用いる。ベンゾフェノン系重合開始剤の量が多いと、放射線硬化性組成物の硬化物中の揮発成分が多くなり、高温、高湿環境下で膜厚が減少する場合があるためである。
又、これらのラジカル発生剤と共に、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等の公知の増感剤を併用してもよい。増感剤は1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、ラジカル発生剤以外の重合開始剤としては、酸化剤等が挙げられ、これら重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、重合開始剤は、塩素原子、硫黄原子、燐原子、ナトリウム原子等の不純物を含有していることがあるが、それらの不純物の含有量は少ないことが好ましく、それぞれの含有量は好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、更に好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下である。
尚、放射線として電子線によって重合反応を開始させる場合には、上記の重合開始剤を用いることもできるが、重合開始剤を用いなくても十分硬化するため、ラジカル発生剤やその他の重合開始剤を用いない方が好ましい。
1−6.補助成分
本発明の放射線硬化性組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、必要に応じて添加剤等の補助成分が含有されていてもよい。その補助成分の具体例としては、酸化防止剤、熱安定剤、或いは光吸収剤等の安定剤類;ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、マイカ、タルク、カオリン、金属繊維、金属粉等のフィラー類;炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料類(フィラー類、炭素材料類を総称して無機成分と称する。);帯電防止剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤、エポキシ基含有化合物等の改質剤類;顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類;モノマー又は/及びそのオリゴマー、または無機成分の合成に必要な硬化剤、触媒、硬化促進剤類等が挙げられ、これらの補助成分は、1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら補助成分の含有量は、放射線硬化性組成物の通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
これらの中で、フィラー類としてのシリカについて詳述する。本発明の放射線硬化性組成物において、シリカとは、珪素酸化物一般を指し、珪素と酸素の比率や、結晶であるかアモルファスであるかは問わない。該シリカ粒子としては、工業的に生産されている、溶媒中に分散されている状態のシリカ粒子、又は粉体のシリカ粒子;アルコキシシラン等の原料から誘導、合成されたシリカ粒子等を挙げることができる。中でも、本発明の放射線硬化性組成物に用いる場合、混合や分散のしやすさから、溶媒中に分散されている状態のシリカ粒子、又は、アルコキシシラン等の原料から誘導、合成されたシリカ粒子が好ましい。
そのシリカ粒子の粒径は任意であるが、TEM(透過型電子顕微鏡)等を用いた形態観察によって測定される数平均粒径として、好ましくは0.5nm以上、更に好ましくは1nm以上であり、又、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは30nm以下、特に好ましくは15nm以下、最も好ましくは12nm以下である。シリカ粒子としては超微粒子であることが好ましいが、小さすぎると、超微粒子の凝集性が極端に増大して、硬化物の透明性や機械的強度が極端に低下する傾向があり、量子効果による特性が顕著でなくなる傾向があるためである。
1−7.放射線硬化性組成物の製造方法及び特性
1−7−a.放射線硬化性組成物の製造方法
本発明の放射線硬化性組成物は、前記(A−1)成分のウレタン(メタ)アクリレート、及び前記(A−2)成分の放射線硬化性基を有する化合物、並びに、必要に応じて用いられる前記(B)成分の単官能又は多官能(メタ)アクリレート、前記(C)成分の光重合開始剤、及び前記補助成分を、放射線を遮断した状態で、攪拌し均一に混合することにより調製される。その際の各化合物の添加順序としては、特に限定されるものではないが、低粘度の液体成分に高粘度の液体成分及び/又は固体成分を加え攪拌するのが好ましく、又、重合開始剤は最後に加えるのが好ましい。
又、その際の攪拌条件は、特に限定されるものではないが、攪拌温度としては、通常、常温とするが、通常90℃以下、好ましくは70℃以下の温度に加熱してもよく、攪拌速度としては、通常100rpm以上、好ましくは300rpm以上、又、通常1,000rpm以下とし、攪拌時間としては、通常10秒以上、好ましくは3時間以上、又、通常24時間以下とする。
1−7−b.放射線硬化性組成物の特性
本発明の放射線硬化性組成物は、E型粘度計、B型粘度計、又は振動型粘度計等によって測定される、25℃における粘度が、好ましくは800mPa・a以上、更に好ましくは1,000mPa・s以上である。又、好ましくは5,000mPa・s以下、更に好ましくは3,000mPa・s以下、特に好ましくは2,000mPa・a以下である。粘度が小さすぎると、例えば50μm以上の膜厚の硬化物を形成するのが困難となり、一方、粘度が大きすぎると、平滑な表面の硬化物を形成し難くなる。
放射線硬化性組成物としての粘度を調整する方法としては、前記(A−1)成分及び前記(A−2)成分、並びに前記(B)成分の各分子量、及び添加量を調整する方法、更に、希釈剤、溶媒、増粘剤、及びレオロジー制御剤等を混合する等の方法があるが、中でも、前記(A−1)成分及び前記(A−2)成分、並びに前記(B)成分の各分子量又は/及び含有量を調整する方法が特に好ましい。
尚、本発明の放射線硬化性組成物としては実質的に溶媒を含有しないことが好ましい。気泡が残留して情報の読み書きに支障が出るのを防止するためである。実質的に溶媒を含有しないとは、揮発性を有するか若しくは低沸点のいわゆる有機溶剤の含有量が非常に少ない状態を言い、放射線硬化性組成物中の溶媒含有量が通常5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。簡易的には該有機溶剤の臭気が観測されない状態をいう。
2.放射線硬化性組成物の硬化物
2−1.放射線硬化性組成物の硬化物の製造方法
本発明における放射線硬化性組成物の硬化物は、放射線(活性エネルギー線や電子線)を照射して重合反応を開始させる、いわゆる「放射線硬化」によって得られる。重合反応の形式に特に制限はなく、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の公知の重合形式を用いることができる。これらの重合形式のうち、重合反応の開始が重合系内で均質かつ短時間に進行することによる生成物の均質性等の面から、ラジカル重合が特に好ましい。
ここで、放射線とは、必要とする重合反応を開始する重合開始剤に作用して該重合反応を開始する化学種を発生させる働きを有する電磁波(ガンマ線、エックス線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波等)、又は粒子線(電子線、α線、中性子線、各種原子線等)である。本発明において好ましく用いられる放射線の一例は、エネルギーと汎用光源を使用可能であることから、紫外線、可視光線、及び電子線が好ましく、最も好ましくは紫外線、及び電子線である。
放射線として紫外線を用いる場合、その紫外線の波長は、通常200nm以上、好ましくは240nm以上、又、通常400nm以下、好ましくは350nm以下の範囲である。紫外線を照射する装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、マイクロ波によって紫外線を発生させる構造の紫外線ランプ等、公知の装置を好ましく用いることができる。該装置の出力は通常10W/cm以上、好ましくは30W/cm以上、又、通常200W/cm以下、好ましくは180W/cm以下であり、該装置は、被照射体に対して通常5cm以上、好ましくは30cm以上、又、通常80cm以下、好ましくは60cm以下の距離に設置するようにすると、被照射体の光劣化や熱劣化、熱変形等が少なく、好ましい。
放射線の照射強度としては、通常0.1J/cm2 以上、好ましくは0.2J/cm2 以上、又、通常20J/cm2 以下、好ましくは10J/cm2 以下、より好ましくは5J/cm2 以下、更に好ましくは3J/cm2 以下、特に好ましくは2J/cm2 以下で照射する。照射強度がこの範囲内であれば、放射線硬化性組成物の種類によって適宜選択可能である。
放射線の照射時間は通常1秒以上、好ましくは10秒以上、又、通常3時間以下、反応促進と生産性の点で好ましくは1時間以下である。放射線の照射エネルギーや照射時間が極端に少ない場合、重合が不完全なため硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されない場合がある。又、逆に極端に過剰な場合は黄変等光による色相悪化に代表される劣化を生ずる場合がある。
該放射線の照射は、一段階で行ってもよく、複数段階に分けて行ってもよい。その線源としては、通常、放射線が全方向に広がる拡散線源を用いる。放射線の照射は、通常、型内に賦形された放射線硬化性組成物を固定静置した状態、又は、コンベアで搬送された状態で、放射線源を固定静置して行う。又、放射線硬化性組成物を適当な基板(例えば、樹脂、金属、半導体、ガラス、紙等)上の塗布液膜とし、そこに放射線を照射して該塗布液膜を硬化させることも可能である。
又、放射線として電子線を用いる場合、照射に用いられる電子線照射装置としては、特にその方式に制限はないが、例えば、カーテン型、エリアビーム型、ブロードビーム型、パルスビーム型等が挙げられ、照射の際の加速電圧は、通常10kV以上、好ましくは100kV以上、又、通常1,000kV以下、好ましくは200kV以下とする。電子線照射の光源及び照射装置は高価であるものの、重合開始剤の使用が省略可能であること、及び酸素による重合阻害を受けず、従って表面硬度が良好となるという利点があり、又、機械特性、特に引張伸びに優れた硬化物を得ることができる。
2−2.放射線硬化物の特性
本発明の放射線硬化性組成物の硬化物は、通常、溶剤等に不溶不融の性質を示し、厚膜化した場合であっても光学部材の用途に有利な性質を備え、密着性、表面硬化度に優れていることが好ましい。具体的には、低い光学歪み性(低複屈折性)、高い光線透過率、機械的強度、寸法安定性、高密着性、高表面硬度、及び一定以上の耐熱・耐湿変形性を示すことが好ましい。又、硬化収縮が小さいほど好ましい。
本発明の放射線硬化物の膜厚は、通常10μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは70μm以上、特に好ましくは85μm以上、又、通常300μm以下、好ましくは130μm以下、より好ましくは115μm以下である。ゴミ等による情報の読み書きへの影響と透過率とのバランスが良好なためである。
本発明の放射線硬化物の光線透過率は、高圧水銀ランプを用いて1J/cm2 の紫外線を照射して得られる膜厚100μmの硬化物として、波長550nmにおける光路長0.1mm当たりの光線透過率が、好ましくは85%以上、更に好ましくは89%以上、又、上限に制限はなく、100%に近いほど好ましい。又、波長400nmにおける光路長0.1mm当たりの光線透過率が、好ましくは85%以上であり、更に好ましくは89%以上である。光線透過率が低すぎると、硬化物としての透明性が劣ることとなって、光記録媒体に用いた場合に記録された情報の読み出し時にエラーが増加することとなる。尚、光線透過率は、例えば、アジレント・テクノロジー社製8453型紫外可視分光光度計にて公知の方法で、室温で測定することができる。
本発明の放射線硬化物の光線透過率を前記範囲とするには、放射線硬化性組成物を構成する各成分として光線透過率の高いものを用いるのが好ましい。更に、各成分中の有色物や分解物等の不純物量の少ないものが好ましい。又、製造時の触媒量が少ないものが好ましい。これらのことは、可視光領域の光線透過率を低下させないために有効である。更に、各成分に芳香環を含まない、脂肪族或いは脂環式骨格のものを選択することが好ましい。これらのことは、紫外領域の光線透過率を低下させないために有効である。
又、本発明の放射線硬化物は、高圧水銀ランプを用いて1J/cm2 の放射線を照射して得られる膜厚100μmの硬化物として、引張弾性率が500MPa以上であるのが好ましく、1,000MPa以上であるのが更に好ましく、又、2,000MPa以下であるのが好ましく、1,800MPa以下であるのが更に好ましい。引張弾性率が小さすぎると、表面硬度が不足する傾向となり、一方、大きすぎると、耐反り性が低下し、変形が生じたり、積層体とたときに層間の剥離が生じ易い傾向となる。
又、本発明の放射線硬化物の硬度は、高圧水銀ランプを用いて1J/cm2 の紫外線を照射して得られる膜厚100μmの硬化物として、JIS K5400に準拠した鉛筆硬度試験による表面硬度で、通常6B以上、好ましくは4B以上、更に好ましくはB以上、特に好ましくはHB以上である。
3.光記録媒体
本発明の放射線硬化性組成物及びその放射線硬化物は、以下に説明する光記録媒体の情報記録層の保護層形成用の材料として好適に利用される。
現在、一般的に用いられている光記録媒体としては、再生専用型の媒体(ROM媒体)、一度の記録のみ可能な追記型の媒体(Write Once媒体)、及び、記録消去を繰り返し行える書き換え可能型の媒体(Rewritable媒体)等があるが、本発明の放射線硬化性組成物及びその放射線硬化物は、それらの何れにも適用することができる。
これらの光記録媒体は、それぞれの使用目的に応じた層構成が採用されている。例えば、再生専用型の媒体においては、再生用の凹凸を形成した基板上に、通常、例えばアルミニウム、銀、金等の金属を含有する単層が形成され、又、追記型の媒体においては、基板上に、通常、例えばアルミニウム、銀、金等の金属を含有する反射層と、有機色素を含有する記録層とがこの順に積層された記録再生機能層が形成され、又、書き換え可能型の媒体においては、基板上に、通常、例えばアルミニウム、銀、金等の金属を含有する反射層と、誘電体層と、有機色素を含有する記録層と、誘電体層とがこの順に積層された記録再生機能層が形成され、それぞれ構成されており、本発明の放射線硬化性組成物及びその放射線硬化物は、それらの再生専用型の媒体における単層上、追記型の媒体における記録再生機能層上、及び書き換え可能型の媒体における記録再生機能層上に形成される保護層として用いるに好適である。尚、保護層上には、必要に応じてハードコート層が形成される。
又、一方、光記録媒体の記録再生のための記録再生光としてのレーザー光の波長は、CD、DVD、ブルーレイディスク、HDDVD等、その規格によって、最適な波長の光が用いられており、近年のリッチコンテンツの普及に伴い、光記録媒体の高密度化、高容量化の要請が高まる中で、より波長の短い青色レーザーを用いる研究も盛んになされている。この青色レーザーを用いる次世代高密度光記録媒体は、基板上に、誘電体層、記録層、反射層等からなる記録再生機能層を形成し、その上に保護層が形成されている光記録媒体であって、波長が通常350nm以上、好ましくは380nm以上、又、通常450nm以下、好ましくは430nm以下の記録再生光を用いる光記録媒体であるが、この次世代高密度光記録媒体に、本発明の放射線硬化性組成物及びその放射線硬化物は特に好適に用いられる。
尚、本発明の放射線硬化性組成物及びその放射線硬化物が用いられる光記録媒体としては、例えば、記録層と反射層とをそれぞれ2層ずつ有する2層式の層構成を採るものであってもよい。この2層式の場合、基板上に、順に1層ずつ積層したものであってもよいが、記録層と反射層とを一対積層したものを2枚貼り合わせて形成されたものであつてもよい。又、3層式の層構成を採るものであってもよく、それらの貼り合わせが接着層を介してなされていてもよい。更には、必要に応じて、ハブを付け、カートリッジへ組み込まれたものであってもよい。
保護層としての膜厚は、通常10μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは70μm以上、特に好ましくは85μm以上、又、通常300μm以下、好ましくは130μm以下、より好ましくは115μm以下である。膜厚をこのような範囲とすれば、保護層表面に付着したゴミや傷の影響を低減することができ、又、記録再生機能層を外気の水分等から保護するのに十分な厚さとすることができる。又、スピンコート等で用いられる一般的な塗布方法で均一な膜厚を容易に形成することができる。
尚、本発明の放射線硬化性組成物及びその放射線硬化物が用いられる光記録媒体は、その表面に、耐摩耗性、耐擦傷性、滑り性、表面硬度等の特性を向上させる目的で、ハードコート層が形成されたものであるのが好ましい。そのハードコート層としては、これらの目的を満たすものであればその材料は特に限定されず、一般的な光記録媒体におけるハードコート層として用いられているものを用いることができる。
但し、青色レーザーを用いる光記録媒体等の高記録密度媒体の場合は、そのレーザースポット径が小さいため、指紋や塵、埃等の汚れに敏感であり、特に指紋のような有機物を含む汚れが、光記録媒体のレーザー光入射側の表面に付着している場合、レーザーによる記録/再生エラー等の深刻な影響を生じる惧れがあり、又、その除去も困難であることから、これらの汚れに留意する必要がある。
よって、本発明におけるハードコート層形成用材料としては、多官能(メタ)アクリレートモノマーやエポキシ化合物、無機ナノ粒子等の無機成分を含有すると共に、耐汚染性付与剤としてのシリコーン化合物やフッ素化合物を含有する放射線硬化性組成物が好ましく用いられる。その耐汚染性付与剤としては、具体的には、シリコーン化合物としては、オルガノポリシロキサン等のシリコーン骨格を有する重合体、シリコーン骨格と(メタ)アクリロイル基とを有する放射線硬化性化合物、シリコーン系界面活性剤等が挙げられ、又、フッソ化合物としては、フッ素系重合体、フッ素原子と(メタ)アクリロイル基とを有する放射線硬化性化合物、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
更には、耐汚染性付与剤に放射線硬化性が付与されたものであるのが特に好ましい。その具体例としては、(1)末端に放射線硬化性基を有するポリシロキサン化合物又は/及びフッ素化合物を含有し、且つ、無機成分を含有しない放射線硬化性ハードコート剤、(2)放射線硬化性基、及びポリシロキサンユニット又は/及び有機フッ素基ユニットを有する重合体を含有する放射線硬化性ハードコート剤、(3)側鎖に放射線硬化性基を有するポリシロキサン化合物又は/及びフッ素化合物を含有する放射線硬化性ハードコート剤、等が挙げられる。
又、そのハードコート層の形成は、前記ハードコート剤を含有するハードコート層形成用放射線硬化性組成物を、例えばスピンコート法等の汎用の塗布方法で前記保護層上に塗布し、放射線を照射して硬化させることによりなされる。
そのハードコート層の膜厚は、通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上であり、通常5μm以下、好ましくは3μm以下、更に好ましくは2μm以下とされる。
又、そのハードコート層を形成したときの表面硬度は、高圧水銀ランプを用いて1J/cm2 の放射線を照射して得られる膜厚100μmの本発明の放射線硬化物上に膜厚2μmのハードコート層を形成したときの、JIS K5400に準拠した鉛筆硬度試験による表面硬度でHB以上であるのが好ましく、F以上であるが更に好ましく、H以上であるのが特に好ましい。
又、ハードコート層は、波長400nmにおける光路長0.1mm当たりの光線透過率が80%以上であり、好ましくは85%以上であり、更に好ましくは89%以上である。又、光記録媒体としての防汚性の面から、水に対する接触角が90°以上であるのが好ましく、100°以上であるのが更に好ましい。
<ウレタンアクリレート(I) の調製>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコにヘキサメチレンジイソシアネート3量体(ローディア社製「トロネートHDT」)100.0gとメトキノン0.1gの混合物を入れ、そこに4−ヒドロキシブチルアクリレート(日本化成社製)74.7gとジブチルスズラウレート0.01gの混合物を滴下し、滴下が終わったら温度を80℃に保ち、10時間撹拌することにより、数平均分子量1451のウレタンアクリレート(I) を合成した。
<ウレタンアクリレート(II)の調製>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコにヘキサメチレンジイソシアネート3量体(ローディア社製「トロネートHDT」)100.0gとメトキノン0.1gの混合物を入れ、そこにヒドロキシエチルアクリレート(日本化成社製)60.2gとジブチルスズラウレート0.01gの混合物を滴下し、滴下が終わったら温度を80℃に保ち、10時間撹拌することにより、数平均分子量1180のウレタンアクリレート(II)を合成した。
<ウレタンアクリレート(III) の調製>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート42.5gとジブチルスズラウレート0.04gとを入れ、オイルバスにて80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌した。温度が一定になったら、ポリエステルポリオール(数平均分子量500、クラレ社製「P510」)47.8g を滴下漏斗にて滴下し、温度を90℃に保ちながら5時間攪拌した。温度を60℃まで下げてから、ヒドロキシエチルアクリレート22.2gとメトキノン0.2gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、滴下が終わったら温度を70℃に保ち、10時間撹拌することにより、数平均分子量1245のウレタンアクリレート(III) を合成した。
<ウレタンアクリレート(IV)の調製>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート44.8gとジブチルスズラウレート0.04gとを入れ、オイルバスにて70〜80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌した。温度が一定になったら、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量650、三菱化学社製「PTMG650」)15.0gを滴下漏斗にて滴下し、温度を80℃に保ちながら2時間攪拌した。温度を70℃まで下げてから、ヒドロキシエチルアクリレート23.4gとメトキノン0.2gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、滴下が終わったら温度を80℃に保ち、10時間撹拌することにより、数平均分子量1485のウレタンアクリレート(IV)を合成した。
<ウレタンアクリレート(V) の調製>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート87.9gとジブチルスズラウレート0.03gとを入れ、オイルバスにて70〜80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌した。温度が一定になったら、ポリカーボネートポリオール(数平均分子量500、クラレ社製「C590」)100.0gを滴下漏斗にて滴下し、温度を80℃に保ちながら2時間攪拌した。温度を70℃まで下げてから、ヒドロキシエチルアクリレート46.3gとメトキノン0.1gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、滴下が終わったら温度を80℃に保ち、10時間撹拌することにより、数平均分子量1678のウレタンアクリレート(V) を合成した。
註26;数値入れて下さい。
<ウレタンアクリレート(VI)の調製>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート376.2gとジブチルスズラウレート0.05gとを入れ、オイルバスにて70〜80℃に加熱し、温度が一定になるまで静かに撹拌した。温度が一定になったら、1,6−ヘキサンジオール(宇部興産社製)100.0gを滴下漏斗にて滴下し、温度を80℃に保ちながら2時間攪拌した。温度を70℃まで下げてから、ヒドロキシエチルアクリレート205.3gとメトキノン0.2gの混合物を滴下漏斗にて滴下し、滴下が終わったら温度を80℃に保ち、10時間撹拌することにより、数平均分子量837のウレタンアクリレート(VI)を合成した。
実施例1〜3、比較例1〜3
前記で調製したウレタンアクリレート(I) 〜(VI)、多官能アクリレートとしてノナンジオールジアクリレート(新中村化学社製)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学社製)、及び重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティケミカルズ社製「イルガキュア−184)を表1に示す配合割合で用い、室温にて1時間攪拌して各放射線硬化性組成物を調製した。
調製した各放射線硬化性組成物について、以下に示す方法で粘度測定し、結果を表1に示した。
<粘度>
23℃、50%RHの恒温恒湿室内にて、E型粘度計を用いて測定した。
更に以下に示す方法で硬化物となして試験用ディスクを作製し、得られた各ディスクについて、以下に示す方法で、硬化直後の反り量、及び湿度変化の反り量を測定し、結果を表1に示した。
<硬化直後の反り量>
直径120mm、厚み1.1mmの平滑なポリカーボネート製基板表面に、100nmの厚みのAg反射層をスパッタにて形成し、以下の反り量測定法における基板初期反り量d0 (mm)を測定した。この反射層表面に、得られた放射線硬化性組成物をスピンコーターを用いて塗布した後、高圧水銀ランプ(ジャテック社製「J−cure100」)を用いて照射量1J/cm2 の紫外線を照射することにより硬化させて膜厚100μmの保護層を形成させることにより試験用ディスクを作製し、直ちに、定盤上に、作製した試験用ディスクを保護層が上側になるように静置し、ディスクの中心部の鉛直方向の位置を基準としたときの、中心から半径方向55mmの位置の鉛直方向の変位を任意に4点選んでその4点の変位を変位センサ(キーエンス社製「LT−9010」)を用いて測定した。但し、鉛直方向上側の反りをプラス、鉛直方向下側の反りをマイナスとして各反り量の平均値をディスクの反り量d(mm)とし、d−d0 (mm)から算出した反り量を硬化直後の反り量とした。
<湿度変化の反り量>
前記で作製した試験用ディスクを、23℃、90%RHに設定した環境下に24時間静置した後、23℃、30%RHに設定した環境下に取り出し、その1時間後、2時間後、3時間後、及び4時間後におけるディスクの反り量d1 、d2 、d3 、及びd4 (mm)を前記と同様に測定し、各々についてのd0 との差が最大のものを湿度変化の反り量とした。
更に、得られた各ディスクについて、以下に示す方法で耐荷重痕性を評価し、結果を表1に示した。
<耐荷重痕性>
前記で作製した試験用ディスクを、保護層を上にして定盤の上に置き、保護層上に、サンドプラストされた100mm角、厚み5mmのガラス板を重ね、その上に重さ200gの鋼鉄製の重りを載せ、1日間静置した後、重りとガラス板を取り除き、直ちに、保護層表面を光学顕微鏡にて観察し、サンドプラスト痕が全体面積の75%以上において観察された場合を「×」、全体面積の75%未満において観察された場合を「△」、観察されなかった場合を「○」として評価した。
Figure 2009292950

Claims (8)

  1. 下記の(A−1)成分、及び(A−2)成分を含有することを特徴とする放射線硬化性組成物。
    (A−1)成分;ポリイソシアネートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであって、(メタ)アクリロイルオキシ基の酸素原子とヒドロキシ基置換炭素原子との間に介在するアルキレン鎖の炭素数が3〜12のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させて得られた3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート
    (A−2)成分;前記(A−1)成分以外であって、放射線硬化性基を有し、数平均分子量が900以上の化合物
  2. (A−1)成分におけるポリイソシアネートが、イソシアヌレート骨格を有するポリイソシアネートである請求項1に記載の放射線硬化性組成物。
  3. (A−2)成分の放射線硬化性基を有する化合物が、ポリエステル骨格を有するものである請求項1又は2に記載の放射線硬化性組成物。
  4. (A−2)成分の放射線硬化性基を有する化合物における放射線硬化性基が、(メタ)アクリロイル基である請求項1〜3のいずれかに記載の放射線硬化性組成物。
  5. (A−2)成分の放射線硬化性基を有する化合物が、ポリイソシアネートとヒドロキシ基含有化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとを反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレートである請求項4に記載の放射線硬化性組成物。
  6. 25℃における粘度が800〜5,000mPa・sである請求項1〜5のいずれかに記載の放射線硬化性組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の放射線硬化性組成物を、放射線照射により硬化させて得られたものであることを特徴とする放射線硬化物。
  8. 請求項7に記載の放射線硬化物からなる保護層を有することを特徴とする光記録媒体。
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