JP2009034871A - 合成樹脂製カップ状容器及びその熱結晶化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の熱結晶化処理方法は、フランジの下方部分に突条リブを周設したカップ状容器、若しくはプリフォームに支持治具の上端部に配設される嵌合筒部を、上端面が突条リブの下端面に当接するように下方から外嵌し、フランジ部近傍をフランジの外周面側から赤外線ヒータにより加熱すると云う方法であり、本発明のカップ状容器は、フランジの下方、胴部の上端部の所定高さ位置に幅が0.5〜1.5mmの範囲の突条リブを周設しこの突条リブの上端基部から、フランジを含む上方の部分が熱結晶化処理されている構成とするものである。
【選択図】 図4
Description
(1)熱板が接触したフランジ面に小さなクレーター状の凹凸が発生し、外観が損なわれ、また蓋材によるシール性が不完全となる。なおこの凹凸は加熱により揮散した成分が、フランジ面と熱板との間にトラップされて発生するものと推定される。
(2)フランジだけに接触させて、フランジだけを加熱するためには、熱板を極く小型にする必要があり、フランジの全周に亘って加熱を均一にすることが困難である。
たとえば熱板の影響でプリフォームの胴部の一部で熱結晶化が進行してしまうと2軸延伸ブロー成形での延伸が不均一になってしまう。また当該部分の白化により外観が損なわれる。
(3)赤外線の照射のように非接触でないのでプリフォームや最終成形品を回動させて全周に亘って均一に加熱することができない。
上端に外鍔状にフランジを周設した合成樹脂製カップ状容器のフランジ部分近傍の熱結晶化処理方法であって、
フランジの下方部分に連続的に、若しくは間欠的に突条リブを周設したカップ状容器を用い、
このカップ状容器に、支持治具の上端部に配設される嵌合筒部を、この嵌合筒部の上端面が突条リブの下端面に当接するように下方から外嵌し、
上記のように嵌合筒部で外嵌した状態で、フランジ部近傍をフランジの外周面側から赤外線ヒータにより加熱する、
と云うものである。
上端に外鍔状にフランジを周設した2軸延伸ブロー成形して合成樹脂製カップ状容器を成形するためのプリフォームのフランジ部近傍の熱結晶化処理方法であって、
フランジの下方部分に連続的に若しくは間欠的に突条リブを周設したプリフォームを用い、
このプリフォームに、支持治具の上端部に配設される嵌合筒部を、この嵌合筒部の上端面が突条リブの下端面に当接するように下方から外嵌し、
嵌合筒部を外嵌した状態で、フランジ部近傍をフランジの外周面側から赤外線ヒータにより加熱する、
と云うものであり、プリフォームの状態でフランジ近傍部分を予め熱結晶化処理しておく方法である。
ここで、非加熱部位の上端部には加熱部分の下端部からの熱の流入があるが、嵌合筒部に金属製やセラミック製等の熱伝導の良好な素材を使用することにより、突条リブとこの嵌合筒部の当接部分から嵌合筒部を介して熱を放散させることができ、加熱部分と非加熱部位の境界を、周方向に亘って均一なものとすることができる。
また、プリフォームから2軸延伸ブロー成形によりカップ状容器を成形する際には、フランジ直下の頸部は延伸変形が少なく比較的耐熱性が低い部分となり、高温充填工程等で変形し易いが、当該部分に突条リブを形成することにより、このような変形を抑制する効果もある。
突条リブの幅を0.5〜1.5mmの範囲とすると云うものである。
すなわち、この範囲の幅を有した突条リブの周設高さ位置により、熱結晶化領域をフランジを含む所望の高さ位置までとすることが可能となる。
なお、この突条リブの幅を0.5〜1.5mmの範囲の中のどの程度の寸法にするかは、赤外線ヒータによる放射線量、嵌合筒部による放熱作用等を考慮して適宜決めることができる。
このように、フランジ面の反り変形や、波うち変形を抑制してフランジを平坦に仕上げておくことにより、カップ状容器ではフランジの上面を利用してアルミ箔や樹脂合成紙などの蓋材を容易に接着することができ、容器を確実に密閉することができる。
手段は、
筒状の胴部上端に外鍔状にフランジを周設した合成樹脂製カップ状容器において、このフランジの下方、胴部の上端部の所定高さ位置に、連続的に、若しくは間欠的に幅が0.5〜1.5mmの範囲の突条リブを周設し、この突条リブの上端基部から、フランジを含む、上方の部分が熱結晶化処理されている、と云う構成とすることにある。
本発明の基本的な方法にあっては、金属製の嵌合筒部を外嵌した成形品部分は加熱されないので、突条リブの形成高さ位置、すなわち嵌合筒部の当接高さ位置により、この嵌合筒部からの放熱効果も相俟って、加熱部位と非加熱部位を明確に分けることができ、赤外線ヒータによる加熱方法に拘わらずフランジ近傍部分と云う限定した部分の加熱を実現することが可能となる。
図1〜図3は本発明の熱結晶化処理方法の一実施例を示すもので、プリフォームのフランジの熱結晶化処理方法の一例であり、図1は使用するプリフォーム11の半縦断面、図2は赤外線ヒータIRによる加熱工程の概略説明図、そして図3は冷却治具31を用いた冷却工程の概略説明図である。
このプリフォーム11は小型のカップ状の射出成形品で、無色透明で全体が非晶状態であり、底部13を有し、上方に向けて拡径する筒状の胴部12の上端に、短円筒状の頸部15を介して、外鍔状にフランジ14が周設されている。このフランジ14の幅は4mm、肉厚は平均で2mm、外径は80mmである。
図1のプリフォーム11を有底円筒状で金属製の支持治具21に嵌合組付けした状態で、軸体21c回りに回動させながら、フランジ14の外周面の外側直近に配設される左右一対の赤外線ヒータIRで、外周面側からこのフランジ14部分を加熱する。支持治具21の上端部は、頸部15の周壁に沿うように形成された円筒状の嵌合筒部21aとなっており、この嵌合筒部21aの上端部は、上端面が突条リブ16の下端面に当接するように、頸部15の周壁に外嵌する。(図2中のフランジ14近傍の拡大図参照)
なお、本実施例では支持治具21全体を金属製としているが、少なくとも嵌合筒部21aを金属製とすれば、後述する熱放散機能が損なわれない範囲で、他の部分に金属材料以外の材料を使用することもできる。
フランジ14の下端面と嵌合筒部21aの上端との間には突条リブ6の幅Wに相当する1mmの間隙が形成されており、この間隙部分にも赤外線ヒータの放射熱が到達するが、金属製の嵌合筒部21aの放熱効果によりこの間隙部分の熱結晶化は進行せず、結晶化に伴なう白化もみられなかった。
このカップ状容器1は胴部2と底部3を有し、上方に向かって緩やかに拡径する円筒状の胴部2の上端に、胴部2の一部として形成された頸部5を介して、外鍔状にフランジ4が周設されている。また頸部5のフランジ4の直下部分には前述したプリフォーム11と同様に突条リブ6が周設されており、この突条リブ6の上端基部6aから上方の部分、すなわちフランジ4部分だけが限定的に熱結晶化されている(図4中の部分拡大図でクロスハッチングした結晶化部位C参照)。
たとえば図7に示した2軸延伸ブロー成形の例ではプリフォーム111の頸部115は縦方向には若干延伸されるものの横方向への延伸はほとんどなく、用途によってはカップ状容器101の頸部105の耐熱性が不足する場合があり、このような場合にはプリフォーム111のフランジ114と共に頸部115についても熱結晶化処理が必要となる。
そして、この突条リブ16の下端面に嵌合筒部21aの上端を当接させた状態で図2に示されるように赤外線ヒータIRに加熱すると、嵌合筒部21aの放熱作用により、フランジ14と共に、上端基部16bまでの高さ範囲で頸部15の熱結晶化が進行する。(図5中のクロスハッチングした結晶化部位C参照。)
本実施例のカップ状容器は、全体的な形状は図4のカップ状容器1と同様で、突条リブ6の周設高さ位置と熱結晶化部位Cの範囲が異なり、この突条リブ6の周設高さ位置は図5のプリフォーム11と同様で、突条リブ6の幅Wは1mm、上端基部6bとフランジ4の下端面の間隔は3mmである。そして、フランジ4と共に、上端基部6bまでの高さ範囲で胴部2の一部である頸部5が熱結晶化している。(図6中のクロスハッチングした結晶化部位C参照。)
たとえば使用するプリフォームやカップ状容器はPET系樹脂製のものに限定されるものではなく、ポリプロピレン系樹脂製等のものも使用することができる。
2 ;胴部
3 ;底部
4 ;フランジ
5 ;頸部
6 ;突条リブ
6b;上端基部
11;プリフォーム
12;胴部
13;底部
14;フランジ
15;頸部
16;突条リブ
16b;上端基部
21;支持治具
21a;嵌合筒部
21c;軸体
31;冷却治具
31a;冷却配管
101;カップ状容器
104;フランジ
105;頸部
111;プリフォーム
114;フランジ
115;頸部
IR;赤外線ヒータ
W ;幅
C ;結晶化部位
Claims (6)
- 上端に外鍔状にフランジ(4)を周設した合成樹脂製カップ状容器(1)の前記フランジ(4)部分近傍の熱結晶化処理方法であって、前記フランジ(4)の下方部分に連続的に、若しくは間欠的に突条リブ(6)を周設したカップ状容器(1)を用い、該カップ状容器(1)に、支持治具(21)の上端部に配設される嵌合筒部(21a)を、該嵌合筒部(21a)の上端面が前記突条リブ(6)の下端面に当接するように下方から外嵌し、前記嵌合筒部(21a)で外嵌した状態で、前記フランジ(4)部近傍を該フランジ(4)の外周面側から赤外線ヒータ(IR)により加熱することを特徴とする熱結晶化処理方法。
- 上端に外鍔状にフランジ(14)を周設した2軸延伸ブロー成形して合成樹脂製カップ状容器を成形するためのプリフォーム(11)の前記フランジ(14)部近傍の熱結晶化処理方法であって、前記フランジ(14)の下方部分に連続的に、若しくは間欠的に突条リブ(16)を周設したプリフォーム(11)を用い、該プリフォーム(11)に、支持治具(21)の上端部に配設される嵌合筒部(21a)を、該嵌合筒部(21a)の上端面が前記突条リブ(16)の下端面に当接するように下方から外嵌し、
前記嵌合筒部(21a)で外嵌した状態で、前記フランジ(14)部近傍を該フランジ(14)の外周面側から赤外線ヒータ(IR) により加熱することを特徴とする熱結晶化処理方法。 - 突条リブ(6,16)の幅(W)を0.5〜1.5mmの範囲とした請求項1または2記載の熱結晶化処理方法。
- 赤外線ヒータ(IR)による加熱後、軟化状態にあるフランジ(4、14)を冷却治具(31)で押圧状に挟持した状態で冷却することを特徴とする請求項1、2または3記載の熱結晶化処理方法。
- 筒状の胴部(2)上端に外鍔状にフランジ(4)を周設し、該フランジ(4)の下方、胴部(2)の上端部の所定高さ位置に、連続的に、若しくは間欠的に幅(W)が0.5〜1.5mmの範囲の突条リブ(6)を周設し、該突条リブ(6)の上端基部(6b)から、前記フランジ(4)を含む、上方の部分が熱結晶化処理されていることを特徴とする合成樹脂製カップ状容器。
- ポリエチレンテレフタレート系樹脂製とした請求項5記載の合成樹脂製カップ状容器。
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