JP2009034871A - 合成樹脂製カップ状容器及びその熱結晶化処理方法 - Google Patents

合成樹脂製カップ状容器及びその熱結晶化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、フランジ部分近傍を熱結晶化処理した合成樹脂製カップ状容器及びその熱結晶化処理方法に関し、フランジ部分近傍と云う限定的な部位の加熱を可能にすることを技術的課題とし、優れた耐熱性を有するカップ状容器を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の熱結晶化処理方法は、フランジの下方部分に突条リブを周設したカップ状容器、若しくはプリフォームに支持治具の上端部に配設される嵌合筒部を、上端面が突条リブの下端面に当接するように下方から外嵌し、フランジ部近傍をフランジの外周面側から赤外線ヒータにより加熱すると云う方法であり、本発明のカップ状容器は、フランジの下方、胴部の上端部の所定高さ位置に幅が0.5〜1.5mmの範囲の突条リブを周設しこの突条リブの上端基部から、フランジを含む上方の部分が熱結晶化処理されている構成とするものである。
【選択図】 図4

Description

本発明は、上端に外鍔状にフランジを周設した合成樹脂製カップ状容器、特にフランジ部分近傍を熱結晶化処理した合成樹脂製カップ状容器、及びその熱結晶化処理方法に関する。
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す。)樹脂製のプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより得られる所謂PETボトル等の容器は、機械強度、耐熱性、透明性、バリア性、衛生性等に優れており、飲料などの食品容器等に多用されている。
そして、PETボトルのほかにも、上記したような優れた性質を生かして、コーヒー、乳飲料等80〜90℃程度での殺菌のための高温充填、あるいは無菌充填を要する用途向けに、2軸延伸ブロー成形したPET樹脂製の、あるいはポリプロピレン樹脂製の広口のカップ状容器が普及している。そしてこのカップ状容器は上端に外鍔状に周設したフランジの上面を利用してアルミ箔や樹脂合成紙などの蓋材を接着して容器を密閉するようにして利用される。
たとえば、特許文献1にPET樹脂製の広口のカップ状容器の2軸延伸ブロー成形方法に関する記載があるが(図7参照)、この2軸延伸ブロー成形は図7の概略説明図に示されるようなものであり、上端にフランジ114を周設した小型カップ状のプリフォーム111のフランジ114部分を固定して、2軸延伸ブロー成形が実施され、カップ状容器101が成形される。
ここで、2軸延伸ブロー成形された成形品において、2軸延伸された部分は延伸による配向結晶化により耐熱性が向上しているが、PETボトルにおける口筒部、あるいは上記したカップ状容器のプリフォーム111におけるフランジ114は無延伸状態であり、70℃程度の耐熱性はあるものの、上記したような高温での充填工程、あるいは過酸化水素の熱風殺菌工程により熱変形してしまう。
このような口筒部やフランジ等の無延伸部分等の耐熱性を向上させるためにはプリフォームの状態で、あるいは容器の状態で、これら部分だけを加熱して熱結晶化処理(所謂白化処理)を実施する。たとえばPETボトルの場合には、多くの場合プリフォームの状態で、口筒部を赤外線ヒータで照射する方法が採用されている。この際、試験管状のプリフォームを治具に固定し、中心軸回りに回動させながら口筒部の全周に亘って均一になるようにする。
また、カップ状容器のフランジあるいはフランジと頸部の熱結晶化処理方法として特許文献2には、フランジ等に熱板を接触させて部分的に熱結晶化する方法が記載されている。
特開2004−268570号公報 特開2004−58602号公報
ここで、PETボトルの口筒部が肉厚円筒状であるのに対して、カップ状容器のフランジ、あるいは頸部は比較的薄肉であり、僅かな熱結晶化処理の強度の違い(斑)により、大きく変形する。
一方、熱結晶化処理工程についてみると、たとえばフランジのみを熱結晶化する場合には、フランジという極く限定された箇所を加熱する必要があるが、この点赤外線ヒータを使用した従来の方法での部分的な加熱が難しい。
また、特許文献2に記載されている、熱板を接触させて部分的に加熱する方法には以下の問題がある。
(1)熱板が接触したフランジ面に小さなクレーター状の凹凸が発生し、外観が損なわれ、また蓋材によるシール性が不完全となる。なおこの凹凸は加熱により揮散した成分が、フランジ面と熱板との間にトラップされて発生するものと推定される。
(2)フランジだけに接触させて、フランジだけを加熱するためには、熱板を極く小型にする必要があり、フランジの全周に亘って加熱を均一にすることが困難である。
たとえば熱板の影響でプリフォームの胴部の一部で熱結晶化が進行してしまうと2軸延伸ブロー成形での延伸が不均一になってしまう。また当該部分の白化により外観が損なわれる。
(3)赤外線の照射のように非接触でないのでプリフォームや最終成形品を回動させて全周に亘って均一に加熱することができない。
そこで本発明は、特に、非接触で、短時間で均一な熱結晶化処理が可能な赤外線ヒータによる加熱方法の特徴を生かしながら、フランジを含むフランジ部分近傍と云う限定的な部位の加熱を可能にすることを技術的課題とし、変形のない、優れた耐熱性を有するカップ状容器を提供することを目的とする。
上記技術的課題を解決するための、本発明の基本的な熱結晶化処理方法は、
上端に外鍔状にフランジを周設した合成樹脂製カップ状容器のフランジ部分近傍の熱結晶化処理方法であって、
フランジの下方部分に連続的に、若しくは間欠的に突条リブを周設したカップ状容器を用い、
このカップ状容器に、支持治具の上端部に配設される嵌合筒部を、この嵌合筒部の上端面が突条リブの下端面に当接するように下方から外嵌し、
上記のように嵌合筒部で外嵌した状態で、フランジ部近傍をフランジの外周面側から赤外線ヒータにより加熱する、
と云うものである。
本発明の基本的な熱結晶化処理方法のもう一つは、
上端に外鍔状にフランジを周設した2軸延伸ブロー成形して合成樹脂製カップ状容器を成形するためのプリフォームのフランジ部近傍の熱結晶化処理方法であって、
フランジの下方部分に連続的に若しくは間欠的に突条リブを周設したプリフォームを用い、
このプリフォームに、支持治具の上端部に配設される嵌合筒部を、この嵌合筒部の上端面が突条リブの下端面に当接するように下方から外嵌し、
嵌合筒部を外嵌した状態で、フランジ部近傍をフランジの外周面側から赤外線ヒータにより加熱する、
と云うものであり、プリフォームの状態でフランジ近傍部分を予め熱結晶化処理しておく方法である。
なお、本発明においてフランジ近傍部分とは、フランジ部分、若しくはフランジ部分とフランジの直下部分(所謂、頸部)の所定範囲を含む部分であり、この熱結晶化の範囲はカップ状容器の形状、要求される耐熱性等により設定するものである。
上記した二つの熱結晶化処理方法は、前述した赤外線ヒータによる加熱の長所と問題点を考慮して創案されたものであり、この熱結晶化処理方法によれば、カップ状容器若しくはプリフォーム(両者総称して以下、成形品と記載する場合がある。)に、支持治具の上端部に配設される嵌合筒部を、上端面が突条リブの下端面に当接するように、また上端部が成形品に密着状に周接するように下方から外嵌し、フランジ部近傍をフランジの外周面側から赤外線ヒータにより加熱することにより、赤外線ヒータによる加熱方法に拘わらずフランジ近傍部分云う限定した部分の加熱を実現することが可能となる。
赤外線ヒータによる加熱は、放射線によるものであり加熱部位を高精度に限定することは難しいが、金属製の嵌合筒部を外嵌した成形品部分は加熱されないので、突条リブの形成高さ位置、すなわち嵌合筒部の上端の高さ位置により、加熱部位と非加熱部位を分けることができる。
ここで、非加熱部位の上端部には加熱部分の下端部からの熱の流入があるが、嵌合筒部に金属製やセラミック製等の熱伝導の良好な素材を使用することにより、突条リブとこの嵌合筒部の当接部分から嵌合筒部を介して熱を放散させることができ、加熱部分と非加熱部位の境界を、周方向に亘って均一なものとすることができる。
そして、突条リブの形成位置をフランジの直下とすれば、フランジ部分だけを加熱することができ、必要に応じてこの形成位置を少し下げれば、フランジと共に頸部の所定高さ範囲も熱結晶化処理することが可能となる。
ここで、突条リブは、嵌合筒部の当接高さ位置を決める機能を発揮するものであり連続的に周設するだけでなく、当接部分からの熱の放散効率が損なわれない範囲で間欠的に周設することもできる。
また、プリフォームから2軸延伸ブロー成形によりカップ状容器を成形する際には、フランジ直下の頸部は延伸変形が少なく比較的耐熱性が低い部分となり、高温充填工程等で変形し易いが、当該部分に突条リブを形成することにより、このような変形を抑制する効果もある。
なお、赤外線ヒータによる加熱を周方向に均一にするために、フランジの外周面の外側に沿って、1ケまたは複数の赤外線ヒータを所定位置に配設し、支持治具を利用して成形品を中心軸回りに回動させながら加熱することが好ましい。
本発明の他の方法は、上記の基本的な方法に加えて、
突条リブの幅を0.5〜1.5mmの範囲とすると云うものである。
上記方法によれば、突条リブの幅を0.5〜1.5mmの範囲とすることにより、この厚さ範囲では突条リブの下端面に当接する嵌合筒部による放熱作用が効果的に機能し、赤外線ヒータによる熱結晶化領域と非結晶化領域との境界を、略この突条リブの上端基部の高さ位置とすることができる。
すなわち、この範囲の幅を有した突条リブの周設高さ位置により、熱結晶化領域をフランジを含む所望の高さ位置までとすることが可能となる。
なお、この突条リブの幅を0.5〜1.5mmの範囲の中のどの程度の寸法にするかは、赤外線ヒータによる放射線量、嵌合筒部による放熱作用等を考慮して適宜決めることができる。
本発明のさらに他の方法は、赤外線ヒータによる加熱後、軟化状態にあるフランジを冷却治具で押圧状に挟持した状態で冷却すると云うものである。
フランジを冷却治具で押圧状に挟持した状態で冷却することにより、熱結晶化や熱収縮によるフランジでの反り変形や、波うち変形の発生を効果的に抑制することができる。
このように、フランジ面の反り変形や、波うち変形を抑制してフランジを平坦に仕上げておくことにより、カップ状容器ではフランジの上面を利用してアルミ箔や樹脂合成紙などの蓋材を容易に接着することができ、容器を確実に密閉することができる。
上記技術的課題を解決するための、本発明の合成樹脂製カップ状容器に係る
手段は、
筒状の胴部上端に外鍔状にフランジを周設した合成樹脂製カップ状容器において、このフランジの下方、胴部の上端部の所定高さ位置に、連続的に、若しくは間欠的に幅が0.5〜1.5mmの範囲の突条リブを周設し、この突条リブの上端基部から、フランジを含む、上方の部分が熱結晶化処理されている、と云う構成とすることにある。
上記構成の合成樹脂製カップ状容器は、突条リブの周設高さ位置により、熱結晶化領域をフランジを含む所望の高さ位置までとすることができるので、容器の形状や、特に高温での使用環境を考慮して、所望の限定された領域を赤外線ヒータ等による熱結晶化領域としたものであり、使用目的に応じた耐熱性を有するカップ状容器を提供することができる。
合成樹脂製カップ状容器に係る他の構成は、カップ状容器をPET系樹脂製とすること、にある。
PET系樹脂は、射出成形により透明性に優れ、剛性の高いカップ状容器を提供することができるし、また、プリフォームを2軸延伸ブロー成形したり、シート成形品を2軸延伸状に熱成形することにより、より優れた耐熱性、剛性、強度、ガスバリア性を有するカップ状容器を提供することができる。
なお、PET系樹脂としては、主としてPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂が使用されるが、PET樹脂の本質が損なわれない限り、エチレンテレフタレート単位を主体として、他のポリエステル単位を含む共重合ポリエステルも使用できると共に、たとえばガスバリア性や耐熱性を向上させるためにナイロン系樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等の樹脂をブレンドして使用することもできる。共重合ポリエステル形成用の成分としては、たとえばイソフタル酸、ナフタレン2,6ジカルボン酸、アジピン酸等のジカルボン酸成分、プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等のグリコール成分を挙げることができる。
さらに、PET系樹脂製のカップ状容器、あるいはプリフォームとしては、PET樹脂製としての本質が損なわれない限り、たとえば耐熱性、ガスバリア性の向上のために、PET樹脂/ポリエチレンナフタレート樹脂、あるいはPET樹脂/ナイロン樹脂/PET樹脂等のように他樹脂との積層したものであっても良い。
本発明の結晶化処理方法は上記した構成の方法であり、以下に示す効果を奏する。
本発明の基本的な方法にあっては、金属製の嵌合筒部を外嵌した成形品部分は加熱されないので、突条リブの形成高さ位置、すなわち嵌合筒部の当接高さ位置により、この嵌合筒部からの放熱効果も相俟って、加熱部位と非加熱部位を明確に分けることができ、赤外線ヒータによる加熱方法に拘わらずフランジ近傍部分と云う限定した部分の加熱を実現することが可能となる。
突条リブの幅を0.5〜1.5mmの範囲とするものにあっては、赤外線ヒータによる熱結晶化領域と非結晶化領域との境界を、略この突条リブの上端基部の高さ位置とすることができ、突条リブの周設高さ位置により、熱結晶化領域をフランジを含む所望の高さ位置までとすることができる。
赤外線ヒータによる加熱後、軟化状態にあるフランジを冷却治具で押圧状に挟持した状態で冷却するものにあっては、結晶化や熱収縮によるフランジでの反り変形や、波うち変形の発生を効果的に抑制することができる。
また、本発明の合成樹脂製カップ状容器は上記した構成であり、胴部の上端部の所定高さ位置に、幅が0.5〜1.5mmの範囲の突条リブを周設し、この突条リブの上端基部から、フランジを含む、上方の部分が熱結晶化処理されている構成とすることにより、突条リブの周設高さ位置により、熱結晶化領域をフランジを含む所望の高さ位置までとして、使用目的に応じた耐熱性を有するカップ状容器を提供することができる。
カップ状容器をPET系樹脂製とするものにあっては、PET系樹脂は、射出成形により透明性に優れ、剛性の高いカップ状容器を提供することができるし、また、プリフォームを2軸延伸ブロー成形したり、シート成形品を2軸延伸状に熱成形することにより、より優れた耐熱性、剛性、強度、ガスバリア性を有するカップ状容器を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を実施例に沿って、図面を参照しながら説明する。
図1〜図3は本発明の熱結晶化処理方法の一実施例を示すもので、プリフォームのフランジの熱結晶化処理方法の一例であり、図1は使用するプリフォーム11の半縦断面、図2は赤外線ヒータIRによる加熱工程の概略説明図、そして図3は冷却治具31を用いた冷却工程の概略説明図である。
図1に示されるプリフォーム11はPET樹脂製であり、図7の概略説明図で示される2軸延伸ブロー成形により、深絞り状に、図4に示される本発明の合成樹脂製カップ状容器1に成形される。
このプリフォーム11は小型のカップ状の射出成形品で、無色透明で全体が非晶状態であり、底部13を有し、上方に向けて拡径する筒状の胴部12の上端に、短円筒状の頸部15を介して、外鍔状にフランジ14が周設されている。このフランジ14の幅は4mm、肉厚は平均で2mm、外径は80mmである。
また、頸部15のフランジ14の下端面の直下位置に、幅1mmの突条リブ16を周状に形成している。そしてこの突条リブ16の上端基部16bがフランジ14の下端面に連結するように形成している。
図2は赤外線ヒータIRによる加熱工程の概略説明図である。
図1のプリフォーム11を有底円筒状で金属製の支持治具21に嵌合組付けした状態で、軸体21c回りに回動させながら、フランジ14の外周面の外側直近に配設される左右一対の赤外線ヒータIRで、外周面側からこのフランジ14部分を加熱する。支持治具21の上端部は、頸部15の周壁に沿うように形成された円筒状の嵌合筒部21aとなっており、この嵌合筒部21aの上端部は、上端面が突条リブ16の下端面に当接するように、頸部15の周壁に外嵌する。(図2中のフランジ14近傍の拡大図参照)
なお、本実施例では支持治具21全体を金属製としているが、少なくとも嵌合筒部21aを金属製とすれば、後述する熱放散機能が損なわれない範囲で、他の部分に金属材料以外の材料を使用することもできる。
そして、上記したような嵌合筒部21aによる外嵌状態で、プリフォーム11を軸体21c回りに回動させながら、フランジ14の外周面側から赤外線ヒータIRでフランジ14部分を加熱すると、フランジ14部分を限定的に熱結晶化することができる(図2中の部分拡大図でクロスハッチングした結晶化部位C参照)。
フランジ14の下端面と嵌合筒部21aの上端との間には突条リブ6の幅Wに相当する1mmの間隙が形成されており、この間隙部分にも赤外線ヒータの放射熱が到達するが、金属製の嵌合筒部21aの放熱効果によりこの間隙部分の熱結晶化は進行せず、結晶化に伴なう白化もみられなかった。
次に図3は、冷却治具31を用いた冷却工程の概略説明図である。上記した加熱工程の後、PET樹脂がまだ軟化状態にある時間内に、このようにフランジ14の上端面、下端面、外周面を、上下に分割しそれぞれに冷却配管31aを配設したリング状の冷却治具31で押圧状に挟持して冷却することにより、フランジ14面の反り変形や、波うち変形といった結晶化や熱収縮に伴なう変形を防止することができる。
図4は前述したように、図1のプリフォーム11を2軸延伸ブロー成形して得られる本発明の合成樹脂製カップ状容器の一実施例である。
このカップ状容器1は胴部2と底部3を有し、上方に向かって緩やかに拡径する円筒状の胴部2の上端に、胴部2の一部として形成された頸部5を介して、外鍔状にフランジ4が周設されている。また頸部5のフランジ4の直下部分には前述したプリフォーム11と同様に突条リブ6が周設されており、この突条リブ6の上端基部6aから上方の部分、すなわちフランジ4部分だけが限定的に熱結晶化されている(図4中の部分拡大図でクロスハッチングした結晶化部位C参照)。
図1のプリフォーム11は図4のカップ状容器1に比較して、小型で、また厚肉のため剛性が高いので、本発明の熱結晶化処理は、プリフォーム11の段階で実施するのが比較的容易であるが、全体的な製造工程等を考慮してもちろんカップ状容器1でも、プリフォーム11の場合と同様な工程で実施することができる。
また、上記実施例ではフランジ14のみを熱結晶化する例を記載したが、使用目的に応じて、フランジ14直下の頸部15の所定高さ範囲も含めて熱結晶化処理を実施することもできる。
たとえば図7に示した2軸延伸ブロー成形の例ではプリフォーム111の頸部115は縦方向には若干延伸されるものの横方向への延伸はほとんどなく、用途によってはカップ状容器101の頸部105の耐熱性が不足する場合があり、このような場合にはプリフォーム111のフランジ114と共に頸部115についても熱結晶化処理が必要となる。
図5は図1のプリフォーム11において、突条リブ16の周設高さ位置を下方に下げた例のフランジ14近傍の縦断面図である。この突条リブ16の幅Wは1mmで、上端基部16bとフランジ14の下端面の間隔は3mmである。
そして、この突条リブ16の下端面に嵌合筒部21aの上端を当接させた状態で図2に示されるように赤外線ヒータIRに加熱すると、嵌合筒部21aの放熱作用により、フランジ14と共に、上端基部16bまでの高さ範囲で頸部15の熱結晶化が進行する。(図5中のクロスハッチングした結晶化部位C参照。)
このように、本発明の熱結晶化処理方法では突条リブ16の周設高さ位置により、カップ状容器の形状や使用態様に応じて、必要とされる耐熱性を考慮して熱結晶化処理する高さ範囲を容易に制御することができる。
そして、図6は図5のプリフォーム11を2軸延伸ブロー成形して得られる、本発明の合成樹脂製カップ状容器の他の実施例を示すフランジ4近傍の縦断面図である。
本実施例のカップ状容器は、全体的な形状は図4のカップ状容器1と同様で、突条リブ6の周設高さ位置と熱結晶化部位Cの範囲が異なり、この突条リブ6の周設高さ位置は図5のプリフォーム11と同様で、突条リブ6の幅Wは1mm、上端基部6bとフランジ4の下端面の間隔は3mmである。そして、フランジ4と共に、上端基部6bまでの高さ範囲で胴部2の一部である頸部5が熱結晶化している。(図6中のクロスハッチングした結晶化部位C参照。)
以上、実施例に沿って本発明の実施の形態を説明したが、本願発明は上記した実施例に限定されるものではない。
たとえば使用するプリフォームやカップ状容器はPET系樹脂製のものに限定されるものではなく、ポリプロピレン系樹脂製等のものも使用することができる。
また、本発明の効果は2軸延伸ブロー成形されたカップ状容器の他にも熱成形されたカップ状容器、あるいは射出成形されたカップ状容器等についても十分発揮されるのであり、フランジ、あるいは頸部の限定された部分の結晶化を促進し、剛性を高くしたり、耐熱性を向上させるのに極めて有効な方法である。
以上説明したように本発明の合成樹脂製カップ状容器、及び熱結晶化処理方法は、フランジ部近傍の限定された高さ範囲を高精度に、短時間かつ均一に熱結晶化処理することができるものであり、使用目的に応じた耐熱性を付与して、幅広く使用展開されることが期待される。
本発明の熱結晶化処理方法に使用するプリフォームの一例を示す半縦断面図である。 本発明の熱結晶化処理方法における赤外線ヒータによる加熱工程の一例を示す概略説明図である。 本発明の熱結晶化処理方法における冷却工程の一例を示す概略説明図である。 図1のプリフォームを2軸延伸ブロー成形して得られる、本発明の合成樹脂製カップ状容器の一実施例の半縦断正面図である。 本発明の熱結晶化処理方法に使用するプリフォームの他の例を示す、フランジ近傍の縦断面図である。 図5のプリフォームを2軸延伸ブロー成形して得られる、本発明の合成樹脂製カップ状容器の他の実施例を示す、フランジ近傍の縦断面図である。 カップ状容器の2軸延伸ブロー成形の概略説明図である。
符号の説明
1 ;カップ状容器
2 ;胴部
3 ;底部
4 ;フランジ
5 ;頸部
6 ;突条リブ
6b;上端基部
11;プリフォーム
12;胴部
13;底部
14;フランジ
15;頸部
16;突条リブ
16b;上端基部
21;支持治具
21a;嵌合筒部
21c;軸体
31;冷却治具
31a;冷却配管
101;カップ状容器
104;フランジ
105;頸部
111;プリフォーム
114;フランジ
115;頸部
IR;赤外線ヒータ
W ;幅
C ;結晶化部位

Claims (6)

  1. 上端に外鍔状にフランジ(4)を周設した合成樹脂製カップ状容器(1)の前記フランジ(4)部分近傍の熱結晶化処理方法であって、前記フランジ(4)の下方部分に連続的に、若しくは間欠的に突条リブ(6)を周設したカップ状容器(1)を用い、該カップ状容器(1)に、支持治具(21)の上端部に配設される嵌合筒部(21a)を、該嵌合筒部(21a)の上端面が前記突条リブ(6)の下端面に当接するように下方から外嵌し、前記嵌合筒部(21a)で外嵌した状態で、前記フランジ(4)部近傍を該フランジ(4)の外周面側から赤外線ヒータ(IR)により加熱することを特徴とする熱結晶化処理方法。
  2. 上端に外鍔状にフランジ(14)を周設した2軸延伸ブロー成形して合成樹脂製カップ状容器を成形するためのプリフォーム(11)の前記フランジ(14)部近傍の熱結晶化処理方法であって、前記フランジ(14)の下方部分に連続的に、若しくは間欠的に突条リブ(16)を周設したプリフォーム(11)を用い、該プリフォーム(11)に、支持治具(21)の上端部に配設される嵌合筒部(21a)を、該嵌合筒部(21a)の上端面が前記突条リブ(16)の下端面に当接するように下方から外嵌し、
    前記嵌合筒部(21a)で外嵌した状態で、前記フランジ(14)部近傍を該フランジ(14)の外周面側から赤外線ヒータ(IR) により加熱することを特徴とする熱結晶化処理方法。
  3. 突条リブ(6,16)の幅(W)を0.5〜1.5mmの範囲とした請求項1または2記載の熱結晶化処理方法。
  4. 赤外線ヒータ(IR)による加熱後、軟化状態にあるフランジ(4、14)を冷却治具(31)で押圧状に挟持した状態で冷却することを特徴とする請求項1、2または3記載の熱結晶化処理方法。
  5. 筒状の胴部(2)上端に外鍔状にフランジ(4)を周設し、該フランジ(4)の下方、胴部(2)の上端部の所定高さ位置に、連続的に、若しくは間欠的に幅(W)が0.5〜1.5mmの範囲の突条リブ(6)を周設し、該突条リブ(6)の上端基部(6b)から、前記フランジ(4)を含む、上方の部分が熱結晶化処理されていることを特徴とする合成樹脂製カップ状容器。
  6. ポリエチレンテレフタレート系樹脂製とした請求項5記載の合成樹脂製カップ状容器。
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