JP5514024B2 - 二軸延伸プラスチックからなる包装用成型品 - Google Patents

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この発明は、二軸延伸プラスチックからなる包装用成型品、その包装用成型品の製造方法、およびその包装用成型品の製造装置に関する。
食品などの商品を包装するためのプラスチック製の包装用成型品(容器および蓋)が知られている。このような包装用成型品は、プラスチックシートに真空成型や圧空成型により椀型に盛り上がった箇所を多数形成しておき、当該箇所の周縁部をマージンを残して切断してシート本体から切り離すことで作製される。
その結果、できあがった包装用成型品は、椀型本体の開口縁の全周にフランジを有し、このフランジの外周には鋭利な裁断面が現れることになる。したがって、その包装用成型品を取り扱う際に、その裁断面で手を切るおそれがあり危険である。
そこで、包装用成型品の開口縁にできるフランジをカールさせて縁巻き部を形成し、裁断面で手が切れないようにすることもよく行われている。
その一例として、特許文献1のように、包装用成型品をチャックしてその周方向に回転させながら、開口縁に熱源となる特殊な構造のロールを接触させ、フランジをそのロールにより加熱しながら押圧することでカールさせる方法がある。
ちなみに、このようにフランジをカールさせて縁巻き部を形成することで、開口縁部の厚みが増して成型品全体の剛性も高まっている。
特開平8−47970号公報
しかし、特許文献1のようにして包装用成型品のフランジをカールさせる場合、回転する成型品が平面視円形でなければ、すなわち成型品の回転中心から開口縁までの距離が均一でなければ、開口縁全周にわたって熱源となるロールを均等に接触させることができない。
したがって、カール処理できる成型品の形状が実質上平面視円形だけに制約されてしまう。
また包装用成型品の素材として、二軸延伸ポリスチレンなどの二軸延伸プラスチックが汎用されているが、このような素材は熱収縮性を有するため、特許文献1のようにして熱源となるロールを直に接触させると、伝熱作用により成型品全体が収縮したり変形したりしてしまう。
その結果、成型品のフランジだけをきれいにカールさせることができない。
そこでこの発明の解決すべき課題は、二軸延伸プラスチックからなる平面視が種々の形状の包装用成型品について、その開口縁をカールさせて縁巻き部を形成するのを可能にすることである。
上記した課題を解決するため、発明にかかる包装用成型品の製造方法を、二軸延伸プラスチックからなり椀型本体の開口縁にフランジを有する包装用プレ成型品を成型する工程と、この包装用プレ成型品のフランジの両面のうち一方の面の全周に隣接して対向するカール阻止面を配置する工程と、この包装用プレ成型品の本体を冷却しかつフランジを熱風により加熱することでフランジだけをカール阻止面の逆側に向けてカールさせて縁巻き部を形成する工程と、を含む構成としたのである。
この製造方法によれば、フランジは加熱されて熱収縮するがその片面にはカール阻止面が隣接しているためこれが壁となってその方向への熱収縮に伴うカールが阻止されている。そのため、フランジの全周がカール阻止面と逆方向に方向付けられてスムーズにカールすることになり、縁巻き部が綺麗に形成される。一方、成型品の本体は冷却されているため、本体の熱収縮による変形が防がれている。
フランジが熱源と非接触の状態でカールするため、フランジを熱源と接触させる場合のように、成型品の本体の形状が、その回転中心から開口縁までの距離が均一な形状、すなわち平面視円形である必要がない。
その結果、本体が平面視楕円形、平面視矩形などのような平面視非円形の場合でも、開口縁に縁巻き部を綺麗に形成することが可能である。
実施形態の包装用成型品の(a)は斜視図、(b)は(a)の矢印断面図 実施形態の製造装置の断面図 実施形態の製造装置の断面図 実施形態の製造装置の断面図 実施形態の製造装置の断面図 実施形態の製造装置の他の例を示す断面図
以下、図面を参照しつつこの発明の実施形態について説明する。
図1に示す実施形態の包装用成型品10は、食品などの商品を包装する包装容器の開口を閉塞する蓋として用いられる。
この包装用成型品10は、平面視楕円形の上面11と、上面11の全周から広がって垂下する側面12と、側面12の下端全周から上向きにカールする縁巻き部13と、からなる。
このカールする縁巻き部13は、二軸延伸プラスチックシート体の収縮の現象を利用して形成されたものであるが、その形成の機構については後述する。
上面11はその外周に補強用の環状リブ11aが設けられており、側面12はその上面11から縁巻き部13に至る中途に環状の肩部12aが設けられている。
ここで包装用成型品10の上面11と側面12とは、下向きに開口する椀型の本体を構成しており、縁巻き部13は、この本体の開口縁の厚みを大きくして包装用成型品全体の剛性を高めている。
包装用成型品10は、二軸延伸ポリスチレン、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリスチレンテレフタレートなどの二軸延伸プラスチックより形成されている。
この包装用成型品10は、図2から図5に示すような製造装置20を用いることで、同図に示す包装用プレ成型品pから製造される。
図2から図4に示すように、包装用プレ成型品pは、平面視楕円形の上面11と、上面11の全周から広がって垂下する側面12と、側面12の下縁全周からほぼ水平に広がるフランジ14と、からなる。
ここでプレ成型品pの上面11および側面12は、包装用成型品10の上面11および側面12と相似形である。
このプレ成型品pは、二軸延伸プラスチックからなるシートに、熱板圧空成型や圧空成型により椀型に盛り上がった箇所を多数形成しておき、当該箇所周縁部のマージンを残して切断してシート本体から切り離すことで作製される。
シートの椀型に盛り上がった箇所がプレ成型品pの本体に、マージンがプレ成型品pのフランジ14に、それぞれ対応しており、フランジ14の外周には切り離しに伴う鋭利な裁断面が現れている。
図2から図5に示すように、実施形態の製造装置20は、上下に並列する下型21および上型22と、ブロワ23とからなる。
図示のように、アルミ、真鍮、鉄などの金属製の下型21は全体がブロック形をなしており、その上面に、楕円形の上面嵌合面21aと、上面嵌合面21aの全周から広がって垂下する側面嵌合面21bと、側面嵌合面21bの下縁全周からほぼ水平に広がる楕円環形のフランジ嵌合面21cとを有する。
上面嵌合面21a、側面嵌合面21b、フランジ嵌合面21cの形状は、それぞれプレ成型品pの上面11、側面12、およびフランジ14の形状に対応している。このため下型21の上面に、プレ成型品pが過不足なくはまり込むようになっている。
ここで上面嵌合面21aおよび側面嵌合面21bは、プレ成型品pの椀型本体がはまり込む本体嵌合面となっている。
下型21の上面には、プレ成型品pをはめ込んだ際の摩耗や破損を防止するために、フッ素樹脂コーティングが施されている。
また下型21には、その側面から内部に延びて側面へと還る冷却媒体通路21dが形成されており、ここに図2の矢印で示すように冷水などの冷却媒体を流通させることで、下型21の全体が冷却されるようになっている。
すなわち、この冷却媒体通路21dがクーラとして機能している。冷却温度は公知の温調機などにより適宜管理される。
一方、アルミ、真鍮、鉄などの金属製の上型22は、押さえ筒22aと、閉止板22bと、からなる。図示のように、上下に開口する押さえ筒22aは楕円筒形をなしており、その上端開口は、楕円形の閉止板22bにより閉塞されている。
押さえ筒22aの下端面には、フッ素樹脂コーティングが施され、かつ下端面の内周側は面取り加工が施されている。上型にも下型同様にクーラ機能を具備すれば更に好ましい。
上型22は、図示省略の機構により昇降可能となっており、その下降時には、図3のように押さえ筒22aの下端面が下型21のフランジ嵌合面21cに衝合するようになっている。
このとき同図のように、下型21の上面嵌合面21aおよび側面嵌合面21bと上型22の閉止板22bとの間には、密閉空間が形成される。
また、上型22の押さえ筒22aの厚みは、下型21のフランジ嵌合面21cの幅よりも小さく、両者の衝合時には、フランジ嵌合面21cの一部(外側)が衝合箇所よりも外方に突出するようになっている。
このフランジ嵌合面21cは、後述するようにカール阻止面として機能する。
さらに下型21および上型22は、図示省略の機構により図4の環状矢印で示すように同軸周りに回転可能となっている。その回転速度は特に限定されないが、たとえば15rpm〜1000rpmである。
同図のように、熱風を噴射可能なブロワ23は、フランジ嵌合面21cの衝合箇所より外方に突出する部分にその熱風を吹き付けられるように配置されている。この熱風の温度は二軸延伸プラスチックシート体の収縮現象が発生する温度であれば特に限定されないが、たとえば100℃〜650℃であるのが好ましい。熱源23をプレ成型品pのフランジ部14全周を覆うように数多く設置する、もしくは雰囲気全体に熱がかかるようにすれば特に装置を回転する必要はない。
熱風を受けたプレ成型品pのフランジ部14は、二軸延伸プラスチックシート体の収縮の現象により、カール阻止面と反対の方向にカールしてゆくのである。
包装用成型品の製造装置20の構成は、以上のようであり、次にこの装置20を用いた包装用成型品10の製造方法を説明する。
図2および図3に示すように、まず製造装置20の下型21の上面に、包装用プレ成型品pをはめ込む。下型21の冷却媒体通路21dに冷却媒体を流通させ冷却しておくことにより、ブロア23の熱風の影響により、下型21が加熱されないようにする。
ここでプレ成型品pのフランジ14の幅は、下型21のフランジ嵌合面21cの幅とほぼ等しくなるように調節されている。
この状態から図3の下向き矢印で示すように、上型22を下降させる。そして図4に示すように、上型22の押さえ筒22aの下端面により、下型21のフランジ嵌合面21cにはまり込むプレ成型品pのフランジ14を挟みつける。
ここで押さえ筒22aの下端面には、フッ素樹脂コーティングが施されているため、フランジ14を挟んだ際に損耗を与えるのが防止されている。また、押さえ筒22aの下端面の内周側に面取り加工が施されているため、フランジ14との接触面積が小さく、その観点からもフランジ14に損耗を与えるのが防止されている。
上型22の下降により、プレ成型品pの上面11および側面12、すなわち本体は製造装置20の密閉空間に収容される。一方、プレ成型品pのフランジ14の一部、すなわち下型21のフランジ嵌合面21cの一部(外側)にはまり込んでいる箇所は、密閉空間の外側にはみ出ている。
さらに図4の環状矢印でしめすように、上型22と下型21を同軸周りに回転させながら、その側方からブロワ23を接近させ、プレ成型品pのフランジ14の密閉空間外側にはみ出た部分に熱風を吹きつける。
フランジ14は二軸延伸プラスチックからなるため、熱風により軟化して収縮する。このときフランジ14は、下型21のフランジ嵌合面21cが壁、すなわちカール阻止面となってカールできないため、図5のように、フランジ嵌合面21cと逆側、すなわち開放された上方に向けてカールする。フランジ14の全周にわたって、カールの向きが上方に方向付けられるため、綺麗な上向きカールが得られる。
一方プレ成型品pの上面11および側面12は、製造装置20の密閉空間に収容されて外部から断熱され、かつ素材となるプラスチックのガラス転移点以下の温度に冷却されている。このため、プレ成型品pの本体は、ブロワ23の熱風により軟化収縮して変形することが防止されている。
このように、フランジ14がカールすることで縁巻き部13が形成され、包装用成型品10が完成する。カールによりフランジ14の鋭利な裁断面が内側に巻き込まれて隠れるため、成型品10を取り扱う際にも裁断面で手を傷付けるおそれはない。
ここで、プレ成型品pのフランジ14の幅は特に限定されないが、小さすぎるとカールを形成しにくく、大きすぎると縁巻きが大きくなって美観を損なうため、3mm〜20mmが好ましく、特に5mm〜12mmが望ましい。
また、製造装置20の上型22の押さえ筒22aの厚みは特に限定されないが、小さすぎると密閉空間の断熱性が落ちて成型品本体が変形するおそれがあり、大きすぎるとフランジ14を挟んだ際に損耗を与えやすくまた上型22が大型化すること、機械加工や冷却効率の便を考慮すると、0.5mm〜3mmが特に好ましい。
縁巻き部13があることで、成型品10の剛性が向上するため、素材となる二軸延伸プラスチックシートの厚みを小さくすることができる。そのため、材料コストの削減が可能となる。シートの厚みは特に限定されないが、たとえば、0.13mm〜0.45mmである。
また、縁巻き部13があることで、蓋として用いるこの成型品10を、容器の開口にはめ込む際の嵌合力も向上している。
図6に、製造装置20の他の例を示す。この例では、下型21のフランジ嵌合面21cの幅よりも上型22の押さえ筒22aの厚みのほうが大きく、両者を衝合させた際には、押さえ筒22aの下端面の一部(外側)が衝合箇所よりも外方に突出するようになっている。
この例では、その押さえ筒22aの下端面がカール阻止面として機能する。
いま図6(a)のように、そのフランジ14の幅が下型21のフランジ嵌合面21cの幅よりも大きいプレ成型品pを準備して、上述したのと同様に、フランジ14の製造装置20の密閉空間より外側にはみ出た部分にブロワ23で熱風を吹きつける。
すると、フランジ14は熱風により軟化して収縮するが、押さえ筒22aの下端面が壁、すなわちカール阻止面となって上向きにカールできないため、図6(b)のように開放された下向きに全周がカールし、下向きカールからなる縁巻き部13を有する包装用成型品10が得られる。
上記実施形態では、包装用成型品10を平面視楕円形としたが、これに限定されず、円形、矩形、多角形、長円形、星型など種々の形状とすることができる。
成型品10の本体の形状は、上面11と側面12があるものに限られず、ドーム型の曲面形状を含む椀型全般とすることができる。
また、包装用成型品10の上面11のリブ11aおよび側面12の肩部12aは、それぞれ省略可能である。あるいは、側面12にリブを設けたり、上面11にエンボス部を設けたりしてもよい。
とくに、上述のように、実施形態の製造装置20は、熱源と非接触の状態で包装用成型品10の縁巻き部13を形成するため、平面視非円形の包装用成型品10の製造に好適に用いられる。
下型21および上型22の形状は、包装用成型品10の形状にあわせて適宜変更可能である。たとえば包装用成型品10の上面が矩形で有る場合には、下型21の上面嵌合面21aも矩形とし、上型22の閉止板を矩形とし押さえ筒を角筒形にする。
成型品10の縁巻き部13は、プレ成型品pのフランジ14の全部をカールさせて形成してもよいし、一部をカールさせて形成してもよい。フランジ14の一部をカールさせた場合には、カールしていない箇所はそのまま包装用成型品10のフランジとなる。
なお、包装用成型品10として蓋を例示したが、下面と側面と側面上縁の縁巻き部を有する容器、すなわちコップなどとしてもよいことは無論である。
実施形態では、製造装置20の上型22および下型21を回転させたが、上型22および下型21は固定して、その周りにブロワ23を周回させてもよい。
また、クーラとして冷却媒体通路21dを例示したが、これに限定されず公知の冷却手段が適用可能である。
10 包装用成型品
11 上面
11a リブ
12 側面
12a 肩部
13 縁巻き部
14 フランジ
20 包装用成型品の製造装置
21 下型
21a 上面嵌合面
21b 側面嵌合面
21c フランジ嵌合面
21d 冷却媒体通路(クーラ)
22 上型
22a 押さえ筒
22b 閉止板
23 ブロワ
p 包装用プレ成型品

Claims (2)

  1. 二軸延伸プラスチックからなり椀型本体の開口縁にフランジを有する包装用プレ成型品を成型する工程と、
    この包装用プレ成型品のフランジの両面のうち一方の面の全周に隣接して対向するカール阻止面を配置する工程と、
    この包装用プレ成型品の本体を冷却しかつフランジを熱風により加熱することでフランジだけを前記カール阻止面の逆側に向けてカールさせて縁巻き部を形成する工程と、を含む包装用成型品の製造方法。
  2. 二軸延伸プラスチックからなり椀型本体の開口縁にフランジを有する包装用プレ成型品から、前記フランジを熱収縮によりカールさせることで椀型本体の開口縁に縁巻き部を有する包装用成型品を製造する包装用成型品の製造装置であって、
    その上面に前記包装用プレ成型品の椀型本体が嵌合可能な本体嵌合面およびフランジが嵌合可能なフランジ嵌合面を有し、かつその内部に自身を冷却可能なクーラを有する下型と、
    前記下型の上方に昇降可能に配置され、上下に延びる押さえ筒と押さえ筒の上端部を閉塞する閉止板とを有して、その下降時に押さえ筒の下端面が前記下型のフランジ嵌合面に衝合することで前記下型の本体嵌合面との間に密閉空間を形成し、かつその衝合箇所より外方に前記押さえ筒の下端面または前記下型のフランジ嵌合面の一部が突出する上型と、
    前記下型のフランジ嵌合面または前記押さえ筒の下端面の、前記衝合箇所より外方に突出する部分に熱風を吹き付け可能なブロワと、を備える包装用成型品の製造装置。
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