JP2009031197A - 赤外線検出素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】赤外線検出素子の支持梁の特定部位への応力の集中を緩和して、支持梁への亀裂の発生や支持梁の破壊が起こらないようにする。
【解決手段】基板1から分離された受光部3と、受光部3と基枠2とを接続して受光部3を支持する支持梁4とを備える赤外線検出素子Aであって、支持梁4の幅方向断面における角部のうち、底部11側の幅方向における両角部を、曲面形状または面取り形状にして応力緩和部とすることで、支持梁4の底部11側に位置する角部に集中する応力を応力緩和部により緩和させて、応力の集中による支持梁4への亀裂の発生や支持梁4の破壊が起こらないようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線を検出する赤外線検出素子およびその製造方法に関する。
熱型の赤外線検出素子には、焦電型の赤外線検出素子やサーモパイル型の赤外線検出素子がある。焦電型の赤外線検出素子は、受光部の赤外線吸収体が赤外線を吸収して赤外線を熱に変換した際に、受光部と基板との間に生ずる温度差に起因する抵抗変化を出力とするものである。サーモパイル型の赤外線検出素子は、受光部の赤外線吸収体が赤外線を吸収して赤外線を熱に変換した際に、変換により生じた熱量に応じて抵抗体が生ずる起電力を出力とするものである。
これらの赤外線検出素子において、温度検出の感度を高めるには、受光部と基板とを熱的に分離して、赤外線を受光した受光部の温度上昇幅を大きくする必要がある。
そのため、熱型の赤外線検出素子は、受光部と赤外線の吸収による温度の上昇を検出する温度上昇検出部とが支持梁により支えられた中空構造を採用し、受光部から基板への放熱を抑えることで、赤外線を受光した受光部の温度上昇幅を大きくして、温度検出の感度を高めるようにしている。
さらに、温度検出の感度をより高めるために、支持梁の熱抵抗値を高くして受光部から基板への放熱を抑えるようにした素子も種々提案されており、例えば特許文献1に開示された赤外線検出素子がある。この特許文献1に開示された素子の場合、支持梁を細長くすると共に厚さを薄くすることで熱抵抗値を高くして、温度検出の感度を上昇させている。
特開2001−281065号公報
しかし、赤外線検出素子は、複数の材料より構成され、また様々なプロセスを経て製造されるため、製造プロセスの熱履歴に依存する残留応力が赤外線検出素子に存在する。
そのため、支持梁の厚みが薄くなると、支持梁に作用する応力が大きくなり、支持梁自体の機械的な剛性が低下するという問題がある。
よって、本発明は、支持梁における特定の部位への応力の集中を緩和して、剛性の高い支持梁を備える赤外線検出素子を提供すること、そしてその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、基板から分離された受光部と、受光部と基板とを接続し、受光部を支持する支持梁とを備える赤外線検出素子であって、支持梁の幅方向断面における角部のうちの少なくともひとつを、面取り形状または曲面形状にして応力緩和部とした構成の赤外線検出素子とした。
本発明によれば、支持梁の幅方向断面における角部のうちの少なくともひとつは、面取り形状または曲面形状にされて、応力緩和部が形成されている。これにより、支持梁の角部へ集中する応力が、応力緩和部により緩和されるので、剛性の高い支持梁を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施例を、添付図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明においては、同一の機能を有するものは同一の符号を付して示し、繰り返しの説明は省略する。
図1の(a)は、本実施例に係る赤外線検出素子の平面図であり、図1の(b)は、(a)におけるX−X線断面図である。
図1の(a)および(b)を参照して、第1実施例にかかる赤外線検出素子Aの平面構造を説明する。
赤外線検出素子Aは、基枠2と、赤外線を受光する受光部3と、基枠2と受光部3とを連結する支持梁4とを備え、受光部3と支持梁4とはシリコン基板1から離間して位置している。
受光部3は、上面視において略正方形形状を有し、2本のL字型の支持梁4により、基枠2の内側において、基枠2から離間しつつ基枠2に囲まれた状態で保持されている。
支持梁4は温点接合部4aにおいて受光部3と、冷点接合部4bにおいて基枠2と、それぞれ接合されている。基枠2と二本の支持梁4および受光部3とは、受光部3を基枠2から熱分離するためにエッチングスリット5により分離されて、受光部3からの熱の放出が支持梁4を介してのみ行われるようにされる。
ここで、第1実施例に係る赤外線検出素子Aでは、基枠2は一辺100μmの正方形形状を有し、支持梁4の幅は3μm、厚みは2μmであり、エッチングスリット5の幅は5μmであり、受光部3は一辺74μmに設定されている。
支持梁4の内部には、受光部3の温度上昇を検出するための温度上昇検出部を構成するサーモパイルとして、P型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7とが形成される。P型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7は、支持梁4の長手方向に沿って互いに平行に配置形成されており、電気的にはPNPNの順で、受光部3内のアルミ配線8aと、アルミ配線8bにより直列に接続されている。
コンタクト9は、赤外線検出素子Aの電気信号を外部に出力する端子である。
図1の(b)を参照して、赤外線検出素子Aの断面構造について説明する。受光部3と支持梁4の底面には、SiO膜からなる第1絶縁膜11が設けられている。ここで、第1絶縁膜11は受光部3と支持梁4の下地層となる。
支持梁4では、第1絶縁膜11の上面にサーモパイルであるP型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7とが形成されており、これらP型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7とを覆うように、アルミ配線8a、8bを絶縁分離するためのSiOからなる第2絶縁膜12が設けられている。
また、受光部3では、第1絶縁膜11の上に、アルミ配線8aを絶縁分離するためのSiOからなる第2絶縁膜12が設けられており、さらにその上に赤外線を吸収する赤外線吸収膜13が設けられている。
受光部3と支持梁4の下方には空隙10が設けられて中空状態となっており、これにより受光部3と支持梁4とがシリコン基板1から離間した状態で位置している。
図1の(b)および(c)に示すように、支持梁4の底部(第1絶縁膜11)の幅方向における両角部には、Rが約0.5μmの曲面加工(R加工)が施されており、曲面加工は支持梁4の長手方向に沿って、支持梁4の全長に及んで形成されている。
図32は、従来の赤外線検出素子を説明する説明図である。なお、説明の都合上、図32の(a)において、支持梁4に設けられた温度上昇検出部等は、図示を省略している。
図32の(b)、(c)に示すように、従来の赤外線検出素子では、SiO膜からなる支持梁4が断面視において矩形形状を有しており、その内部には、P型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7とが設けられている。
ここで、SiOとポリシリコンのヤング率は、それぞれ66GPa、145GPaであり、ポリシリコンの方がSiOよりも硬質の材料である。そのため、支持梁4に曲げやひねりなどに起因する応力が作用した場合、硬いポリシリコンが応力を受ける結果、図32の(c)において円で囲って表した支持梁4の底部11の幅方向における両角部に応力が集中する傾向がある。
特に、支持梁4が屈曲部を有している場合、屈曲部の屈曲方向における内側に位置する角部には、より大きな応力が集中し、図2の(a)において円で囲って表した屈曲部の内側からクラックが生じやすい傾向がある。
一方、本実施例に係る赤外線検出素子Aの場合、図1の(c)に示すように、支持梁4の底部11の両角部は、断面視において曲面形状となるように加工されているので、支持梁4の屈曲部の内側に位置する角部でも、この曲面形状により、応力の集中が緩和される。よって、従来の赤外線検出素子のようなクラックの発生を抑えることができる。
図1の(a)、(b)に示した赤外線検出素子Aの原理について説明する。
赤外線検出素子Aの受光部3に入射した赤外線は、赤外線吸収膜13により吸収され、光子のエネルギーが熱エネルギーへと変換されて、受光部3の温度が上昇する。この際、支持梁4内に設けられたサーモパイルの受光部側(温点接合部4a)と、シリコン基板1側(冷点接合部4b)との間に、吸収した赤外線の量に応じた温度差が生じる。ここで、サーモパイルは、温度差に比例した熱起電力をゼーベック効果により生じるという機能があるので、受光部3が吸収した赤外線の量に応じて温度差が生ずると、温度差に比例した熱起電力が、コンタクト9を介してシリコン基板1側(外部)へ出力される。
第1の実施例の赤外線検出素子の製造方法を説明する。
図2乃至図8は、第1実施例の赤外線検出素子の製造方法を説明する図であり、図2乃至図8のそれぞれにおいて、(a)は平面図であり、(b)は(a)におけるX−X線断面図である。なお、説明の便宜上、各層の構成が判りやすくなるように、各層の厚みは若干誇張して図面において表記するものとする。
第1−1工程において、シリコン基板1の上面の全面に亘って、SiNからなるマスク膜21を堆積したのち、支持梁4の形状に対応させた開口部21aをマスク膜21において形成する。ここで、マスク膜21に形成される開口部21aの幅は、支持梁4の幅である3μmよりも狭く約2.5μmである。この状態が図2である。
第1−2の工程において、例えばHF、HNO、CHCOOHの混合液を用いた等方性エッチングにより、シリコン基板1を厚み方向(図3の(b)において下方向)にエッチングして、深さが約0.5μmの溝1aをシリコン基板1上に形成する。この際、マスク膜21のエッチングは、厚み方向(図中下方向)のみならず幅方向(図3の(b)において左右方向)へも進行するので、結果として、断面視においてR0.5μmの曲面形状を幅方向における両角部に持つ溝1aが、シリコン基板1上の支持梁4に対応する位置に形成される。この状態が図3である。
なお、図3の(a)において点線で示すように、シリコン基板1の幅方向へのエッチングにより、支持梁の幅(3μm)と略同じ幅の溝1aが、シリコン基板1においてマスク膜21の下方に及んで最終的に形成される。
第1−3工程において、シリコン基板1上のマスク膜21を除去した後、シリコン基板1上に、SiOからなる第1絶縁膜11を約0.3μmの厚みで堆積させる。この第1絶縁膜は、受光部3と支持梁4の下地層となる。この状態が図4である。
第1−4工程において、第1絶縁膜11の上にポリシリコンを堆積したのち、ポリシリコンのP型ポリシリコン6に対応する領域にボロンを打ち込んで、P型ポリシリコン6を形成し、N型ポリシリコン7に対応する領域にリンを打ち込んで、N型ポリシリコン7を形成する。そして、ドライエッチングによりパターニングすることで、サーモパイルの温度検出部となる部分が形成される。この状態が図5である。
なお、P型ポリシリコン6、N型ポリシリコン7は、それぞれ0.35μmの厚みで形成される。
第1−5工程において、P型ポリシリコン6、N型ポリシリコン7を覆うようにSiOからなる絶縁膜を、約0.7μmの厚さで堆積したのち、コンタクト9、アルミ配線8a,8bを形成する。さらにアルミ配線8a,8bを絶縁する為にSiOからなる絶縁膜を約1μmの厚さで堆積する。
これにより、電気的にはPNPNの順で、P型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7とが直列に接続されてなるサーモパイルが形成される。よって、赤外線の吸収により生じた温度差に比例する熱起電力が、コンタクト9を介してシリコン基板1側に出力されるようになる。
なお、上記した2回の絶縁膜の堆積により、全体として約1.7μmの厚みの絶縁膜、すなわち第2絶縁膜12が、第1絶縁膜11の上に形成される。この状態が図6である。
第1−6工程において、最終的に生成される赤外線検出素子において、受光部3と支持梁4とが基枠2(基板1)から熱的に分離されるようにする為に、第2絶縁膜12のエッチングを行って、受光部3に対応する領域と支持梁4に対応する領域とを基枠2に対応する領域から区画するエッチングスリット5を形成する。
この際、前記した第1−2工程で形成した溝1aの幅方向における両角部の曲面形状が、支持梁4の下部に残るように、エッチングスリット5を形成する位置を決定することで、エッチングスリット5を形成したのち、底部の両角部に曲面形状が形成された支持梁4に対応する領域が形成される。この状態が図7である。
第1−7工程において、受光部3に対応する位置の第2絶縁層12の上面に、赤外線吸収膜13を設けたのち、エッチングスリット5を通じたXeFガスを用いたシリコン基板1の等方性エッチングを行って、支持梁4に対応する領域と受光部3に対応する領域の下方に空隙10を形成する。これにより、支持梁4と受光部3とが、シリコン基板1から分離された赤外線検出素子Aが生成される。この状態が図8である。
本実施例では、溝1aが発明における凹部に相当し、支持梁4の底部11の幅方向における両角部に形成された曲面形状が応力緩和部に相当する。
さらに、第1−1工程および第1−2工程が発明の(a)工程に相当し、第1−3工程から第1−5工程が発明の(b)工程に、第1−6工程が発明の(c)工程に、第1−7工程が発明の(d)工程にそれぞれ相当する。
以上のように製造された赤外線検出素子Aでは、図1の(a)、(b)に示すように、支持梁4の底部11の幅方向における両角部が、断面視において、約R0.5μmの曲面形状に形成され、この曲面形状により、支持梁4の下部側に集中する応力を緩和する。
よって、かかる形状を有する支持梁4を採用すると、支持梁4の屈曲部、特に屈曲部の下部側に集中する応力が、曲面形状の応力緩和部により緩和されるので、応力の集中による支持梁4への亀裂の発生や支持梁の破壊を抑えることができる。よって、壊れにくい(破壊に強い)赤外線検出素子Aを得ることができる。
本実施例によると、基板1から分離された受光部3と、受光部3と基枠2(基板1)とを接続して受光部3を支持する支持梁4とを備える赤外線検出素子Aであって、支持梁4の底部11の幅方向断面における角部のうちの少なくともひとつを、曲面形状または面取り形状にして応力緩和部とする構成とした。これにより、角部へ集中する応力が応力緩和部により緩和されるので、応力の集中による支持梁4への亀裂の発生や支持梁4の破壊を抑えることができる。
また、支持梁4が少なくともひとつの屈曲部4c(図1参照)を有しており、支持梁4の幅方向断面における角部のうち、屈曲部において、屈曲方向における内側に位置する角部のうちの少なくともひとつを、曲面形状にして応力緩和部とする構成とした。
これにより、屈曲方向における内側に位置する角部に集中する応力が、応力緩和部により緩和されるので、応力が作用して亀裂が生じやすい屈曲部4cの内側において、亀裂の発生を抑えることができると共に、支持梁4の強度が向上して、支持梁4の破壊を防止できる。
特に、屈曲部4cの屈曲方向における内側に応力の集中を緩和する曲面形状が設けられた支持梁4において、支持梁4の底部11の幅方向における角部を曲面形状にする構成としたので(図1参照)、屈曲部4cでは、支持梁4の屈曲方向に沿って設けた曲面形状による応力緩和と、支持梁4の底部11の角に設けた曲面形状の応力緩和部による応力緩和とにより、屈曲部4cに集中する応力をより確実に緩和することができる。よって、支持梁4の破壊、特に屈曲部4cからの破壊をより効果的に防止できる。
また、図1の(c)に示すように、硬質と軟質の材料とを積層させてなる支持梁4の幅方向断面の図心位置Oを基準として、P型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7などの硬質の材料が位置する側にある角部、例えば、支持梁4の底部11の幅方向における両側部に位置する角部に曲面形状を有する応力緩和部を設ける構成とした。
ここで、支持梁4がポリシリコンやSiO、SiNなどの複数の材料を積層させて形成される場合、P型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7のように硬質の材料が位置する側にある角部に応力が集中する傾向がある。よって、応力が集中する傾向のある角部に応力緩和部を設けることで、支持梁4の破壊をより効果的に防止できる。
さらに、赤外線検出素子Aを、(a)シリコン基板1上の支持梁4に対応する領域に、底部の幅方向における両角部を曲面形状にした溝1aを形成する工程と、(b)シリコン基板1と溝1aの上面の全面に亘って第1絶縁膜11を設けて、溝1aの上に支持梁4の底部に対応する領域を形成すると共に、基板1の上に受光部3の下地層に対応する領域を形成する工程と、(c)第1絶縁膜11の溝1a上の所定の領域に温度検出部として、P型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7とからなるサーモパイルを設ける工程と、(d)温度検出部を覆いつつ、第1絶縁膜11の上面の全面に亘って第2絶縁膜12を形成する工程と、(e)受光部3に対応する領域と支持梁4に対応する領域とを、基枠2に対応する領域から区画するエッチングスリット5を、第1絶縁膜11と第2絶縁膜12とを貫通させて形成する工程と、(f)エッチングスリット5を通じたシリコン基板1の一部の除去により、支持梁4に対応する領域と受光部3に対応する領域とをシリコン基板1から離間して、支持梁4の底部11の幅方向における両角部に曲面形状の応力緩和部が形成されて隻眼線検出素子を得る工程とを経て製造する構成とした。
これにより、所望の断面形状を有する溝1aをシリコン基板1に形成し、最終的に支持梁4の底部となる第1絶縁膜11を、形成した溝1aに積層させるだけで、所望の断面形状の底部を備える支持梁4が形成される。よって、底部の幅方向における角部に、応力を緩和することのできる曲面形状や面取り形状の応力緩和部を備える支持梁4を簡便に形成することができる。
特に、等方性エッチングにより溝1aを形成する構成としたので、曲面形状を幅方向における両側部に備える溝1aが、シリコン基板1上の支持梁4に対応する領域に容易に形成される。その結果、かかる溝1aに第1絶縁膜11を積層するだけで、底部の幅方向における両角部に、応力緩和部としての曲面形状を有する支持梁4を作成できる。
上記した第1実施例では、支持梁4の底部11の幅方向における両角部が、断面視において、曲面形状となるようにした場合を例に挙げて説明をしたが、支持梁4の底部11の幅方向における角部に集中する応力を緩和することができる限り、支持梁4の断面形状は適宜変更可能である。よって、支持梁4の断面形状を5角形や6角形などの多角形形状としても良い。
例えば、図9の(a)に示すように、支持梁4Aの底部側の幅方向における両角部を斜めに切り落として、幅方向の両角部に斜め切り形状(面取り形状)が形成された底部11Aとし、断面視において6角形形状を有する支持梁4Aとしても良い。
また、図9の(b)に示すように、支持梁4Bの底部側の形状が、図中下方向に向かうに従って幅が狭くなるようにした、断面視において三角形形状を有する底部11Bとし、断面視において5角形形状を有する支持梁4Bとしても良い。
このように、支持梁の断面形状を5角形や6角形の形状とした場合にも、支持梁4の底部側(下側)に作用する応力を緩和することができるので、壊れにくい支持梁4と、この支持梁4を備えた破壊に強い赤外線検出素子を提供することができる。
なお、支持梁4の底部の断面視における形状が半円形状となるようにしても良い。
図9の(a)や(b)に示す断面形状の応力緩和部を備える支持梁4を有する赤外線検出素子の製造方法について、図10乃至図12を参照して説明する。
第2−1工程において、シリコン基板1の上面の全面に亘って、SiNからなるマスク膜21を堆積したのち、マスク膜21において開口部21aを支持梁4の形状に対応させて形成する。ここで、開口部21aの幅は、支持梁4の幅である3μmである。この状態が図10である。
第2−2工程において、例えば、ヒドラジンや、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液、水酸化カリウム(KOH)水溶液などのアルカリ性のエッチング液を用いて、シリコン基板1の結晶異方性エッチングを行い、(111)面を露出させる。この際、所望の時間でエッチングを止めることにより、エッチング時間に応じた深さを有する断面視において台形形状を有する溝1bが形成される。この状態が、図11である。
第2−3工程において、シリコン基板1上のマスク膜21を除去したのち、シリコン基板1上に、SiOからなる第1絶縁膜11を約0.3μmの厚みで形成する。この状態が図12である。
なお、以降の処理は、上記した第1実施例の第1−4工程から第1−7工程までの処理と同じであるので、ここではその説明を省略する。
これにより、図9の(a)に示す断面形状の支持梁4Aを有する赤外線検出素子が生成される。
なお、上記した第2−2工程におけるエッジング時間を長くすることで、V字型の断面形状を有する溝をシリコン基板1上に形成できるので、V字型の断面形状を有する溝を形成したのち、上記した支持梁4Aの場合と同様の処理を行うことにより、図9の(b)に示す断面形状の支持梁4Bも形成することができる。
このように、シリコン基板1の結晶異方性エッチングにより、断面視において台形形状や三角形形状を有する溝の形成を行うと、水平面に対する交差角が約54度となる斜面を有する溝が形成される。
よって、このようにして形成した溝に基づいて、図9に示すような断面5角形や6角形形状の支持梁4A、4Bを形成すると、支持梁の底部側に位置する角部の内角θ、θ’が、90度以上180度未満の鈍角となる応力緩和部を容易に複数形成することができる。
上記した第1実施例では、支持梁4の底部側に曲面形状を形成する方法として、エッチングを利用する場合を例に挙げて説明をしたが、熱酸化を利用して曲面形状を形成しても良い。
熱酸化により曲面形状を形成する場合について、図13乃至図15を参照して説明する。
第3−1工程において、シリコン基板1の全面に亘って、SiNからなるマスク膜21を堆積したのち、支持梁4の形状に対応させた開口部21aをマスク膜21において形成する。ここで、マスク膜21に形成される開口部21aの幅は、支持梁4の幅である3μm同じ幅で形成される。この状態が図13である。
第3−2工程において、マスク膜21の開口部21a内に露出するシリコン基板1の熱酸化を行って、SiOからなる熱酸化膜22を形成する。ここで、図15の(a)を参照して、シリコン基板1の上面1cを基準として、図中下方向に約0.45μm、上方向に約0.55μmの厚みを有する熱酸化膜22が形成されるように、熱酸化条件を設定する。この状態が図14、図15の(a)である。
第3−3工程において、シリコン基板1の上のマスク膜21と熱酸化膜22とを除去したのち、SiOからなる第1絶縁膜11をシリコン基板1上の全面に亘って形成する。
続いて、図15の(b)に示すように、P型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7とからなるサーモパイルを第1絶縁膜11の上に形成することになるが、以降の処理は、上記した第1実施例の第1−4工程乃至第1−7工程の処理と同じであるので、ここではその説明を省略する。
かかる方法によっても、支持梁4の底部11の幅方向における両角部に曲面形状が形成される。よって、角部への応力の集中を緩和することのできる支持梁4とすることができるので、支持梁の破壊を効果的に防止でき、破壊に強い赤外線検出素子を得ることができる。
また、上記した熱酸化を利用して曲面形状を形成する製造方法を採用すると、赤外線検出素子と同じ基板にCOMSを形成する際に必要となる素子分離工程、すなわちLOCOS工程と同時に、熱酸化膜を形成することができるので、マスクの数を増やすことなく応力緩和構造を形成できる。
熱酸化により曲面形状を形成する場合の他の態様について、図16乃至図18を参照して説明する。
第4−1工程において、シリコン基板1の全面に亘って、SiNからなるマスク膜21を堆積したのち、マスク膜21において、支持梁4の幅方向における両側に対応する位置に沿って幅約1.0μmの開口部21aを形成する。
ここで、隣接する開口部21aの離間距離は、支持梁4の幅である3μmとなるように設定される。この状態が図16である。
第4−2工程において、マスク膜21に形成した開口部21a内に露出するシリコン基板1の熱酸化を行って、図17および図18の(a)の部分拡大図に示すような、断面略円形形状のSiOからなる熱酸化膜22を形成する。ここで、シリコン基板1の上面1cを基準として、図中下方向に約0.45μm、上方向に約0.55μmの厚みを有する熱酸化膜が形成されるように、熱酸化条件を設定する。この状態が図17、図18の(a)である。
第4−3工程において、シリコン基板1の上のマスク膜21のみを除去したのち、熱酸化膜22を残したままで、シリコン基板1と熱酸化膜22の上にSiNからなる第1絶縁膜11を形成する。これにより、底部の幅方向における両角部が曲面形状の凹部が形成される。
第4−4工程において、前記した第1の実施形態の第1−4工程と同じ処理を行って、第1絶縁膜11の上に、P型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7とを形成する。この状態が図18の(b)である。
第4−5工程において、前記した第1実施形態の第1−5工程と同じ処理を行って、P型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7とが直列に接続されたサーモパイルを形成する。
第4−6工程において、前記した第1実施形態の第1−6工程の処理と同じ処理を行って、受光部3に対応する領域と支持梁4に対応する領域とを、基枠2(基板1)から分離するエッチングスリット5を形成し、支持梁4と受光部3の露出面をSiN膜で覆って、SiNからなる保護膜25を形成する。この状態が図18の(c)である。
第4−7工程において、受光部3に対応する位置の上面に赤外線吸収膜13を形成したのち、XeFガスを用いたシリコン基板1の等方性エッチングを行って、支持梁4と受光部3の下方に空隙10を形成する。これにより、支持梁4と受光部3とが、シリコン基板1から分離される。この状態が図18の(d)である。
かかる方法によっても、支持梁4の底部の幅方向における両角部に曲面形状が形成される。よって、角部への応力の集中を緩和することができるので、支持梁の破壊を効果的に防止でき、破壊に強い赤外線検出素子を得ることができる。
また、支持梁4の下端面と受光部3の下端面とが面一となり、支持梁4と受光部3との接合部に段差が生じないので、接合部において亀裂などが生じることで、赤外線検出素子が破壊される可能性を低減させることができる。
さらに、上記した熱酸化を利用して曲面形状を形成する製造方法を採用すると、赤外線検出素子と同じ基板にCOMSを形成する際に必要となる素子分離工程、すなわちLOCOS工程と同時に、上記した処理を行って熱酸化膜を形成することができるので、マスクの数を増やすことなく応力緩和構造を形成できるという効果が得られる。
また、熱酸化膜を除去する必要がないので、除去のための工程を設けること無しに、曲面形状を備える支持梁4を形成することができる。
次に、本発明にかかる赤外線検出素子の第2実施例として、エッチング犠牲層を利用して、支持梁4の底部側に曲面形状を形成した赤外線検出素子について、図19乃至図25を参照して説明する。
第5−1工程において、シリコン基板1上にエッチング犠牲層30を堆積したのち、エッチング犠牲層30の所定の領域にボロンをインプラントしてエッチングストッパ14を形成する。
続いて、エッチング犠牲層30とエッチングストッパ14の上面の全面に亘って、SiNからなるマスク膜21を堆積したのち、支持梁4の形状に対応させた開口部21aをマスク膜21において形成する。この状態が図19である。
なお、開口部21aの詳細は、第1実施例の第1−1工程と同じである。
第5−2工程において、エッチング犠牲層30の等方性エッチングを行い、断面視においてR0.5μmの曲面を幅方向における両角部に持つ溝30aを支持梁4に対応する位置に形成する。この状態が図20である。
なお、等方性エッチングの詳細は、第1実施例の第1−2工程と同じである。
第5−3工程において、シリコン基板1上のマスク膜21を除去した後、エッチング犠牲層30とエッチングストッパ14の上面の全面に亘って、SiNからなる第1絶縁膜11を堆積させて形成する。この状態が図21である。
第5−4工程において、第1実施例の第1−4工程と同じ処理を行って、第1絶縁膜11上に、P型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7とを形成する。この状態が図22である。
第5−5工程において、第1実施例の第1−5工程と同じ処理を行って、P型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7とを覆うように、SiOからなる第2絶縁膜12を堆積して、サーモパイルを形成する。この状態が図23である。
5−6工程において、第2絶縁膜12と第1絶縁膜11のエッチングにより、エッチングスリット5を形成して、受光部3に対応する領域と支持梁4に対応する領域とを、基枠2に対応する領域から熱的に分離する。そして、受光部3と支持梁4の露出面をSiN膜で覆って、SiNからなる保護膜25を形成する。この状態が図24である。
第5−7工程において、受光部3に対応する位置の上面に、赤外線吸収膜13を形成したのち、ヒドラジンを用いたエッチングにより、支持梁4と受光部3の下方に空隙10を形成する。これにより、支持梁4と受光部3とが、シリコン基板から分離される。この状態が、図25である。
かかる方法によっても、支持梁4の底部の幅方向における両角部に曲面形状が形成され、曲面形状の部分が、角部への応力の集中を緩和するので、破壊に強い赤外線検出素子を得ることができる。
また、エッチング犠牲層30に溝30aを形成する構成としたので、シリコン基板1自体を加工することなく、底部の幅方向における両角部に曲面形状を有する応力緩和部を備える支持梁を生成できる。
さらに、等方性エッチングにより溝30aを形成する構成としたので、エッチング犠牲層30の支持梁に対応する領域のみに溝を形成することができる。
なお、上記した第2実施形態では、エッチング犠牲層のエッチングにより、支持梁4の下部の幅方向における両角部に曲面形状を形成したが、上記した第1の実施形態の場合と同様にして、熱酸化を利用して曲面形状を形成しても良い。
この場合、マスク膜21に形成した開口部21a内に露出するエッチング犠牲層の熱酸化を行って、図26の部分拡大図に示すような熱酸化膜22を形成する工程を、上記した第5−2工程の代わりに行えば良い。
これにより、マスク膜21と熱酸化膜22を除去した後に、第1絶縁膜をエッチング犠牲層30とエッチングストッパ14の上に形成し、その後、上記した第5−4工程以降の処理を行うことで、底部の幅方向における両角部に曲面形状が形成された支持梁を得ることができる。
また、熱酸化を利用して支持梁の底部の幅方向の両角部に曲面形状を形成する方法の変形例として、シリコン基板1の支持梁4の幅方向における両側部に対応する領域に熱酸化を行って酸化膜を形成することで、支持梁の底部の幅方向における角部に曲面形状を形成するようにしても良い。
この場合、上記した第5−1工程においてマスク膜21を堆積したのちに、マスク膜21において、支持梁4の幅方向における両側に対応する位置に沿って幅約1.0μmの開口部を形成する。
そして、開口部内に露出するシリコン基板1の熱酸化を行って熱酸化膜を形成したのちにマスク膜21のみを除去し、熱酸化膜を残したままで、シリコン基板1と熱酸化膜の上にSiNからなる第1絶縁膜11を形成する工程を、前記した第5−2工程、第5−3工程の代わりに行い、続いて、上記した第5−4工程以降の処理を行うことで、赤外線検出素子が作成される。
かかる方法を採用する場合、支持梁4の下端面と受光部3の下端面とが面一となり、支持梁4と受光部3との接合部に段差が生じないので、接合部において亀裂などが生じることで、赤外線検出素子が破壊される可能性を低減させることができる。
また、等方性エッチングや熱酸化を行わずに、エッチング犠牲層の堆積を複数回繰り返すことで、支持梁4の底部の幅方向における両角部に曲面形状を有する応力緩和部が形成されるようにしても良い。
この場合、上記した第5−1工程において、シリコン基板1上に堆積させて形成されたポリシリコンエッチング犠牲層30Aにエッチングストッパ14を形成した後に、エッチング犠牲層30Aの支持梁4に対応する領域に開口部30bを形成してシリコン基板1を露出させる(図27の(a)参照)。そして、エッチング犠牲層30Aとエッチングストッパ14の上に、再度ポリシリコンエッチング犠牲層30Bを堆積する工程を、上記した第5−2工程の代わりに行うことで、エッチング犠牲層30において、支持梁4の形状に対応させて窪み30cを形成する(図27の(b))。
そして、さらにその上にSiNからなる第1絶縁膜11を堆積させる工程を、上記した第5−3の工程の代わりに行ったのち、上記した第5−4工程以降の工程の操作を行うことで、支持梁4の底部の幅方向における両角部に曲面形状を有する応力緩和部を備える赤外線検出素子が得られる。
この場合、エッチング犠牲層を形成する操作を複数回繰り返すだけで、底部の幅方向における両角部に曲面形状が形成された支持梁を簡単に形成することができる。
また、エッチング犠牲層を形成する回数および厚み、そしてエッチング犠牲層に形成する開口部30bの大きさを適宜調整することで、支持梁4の底部の幅方向における両角部に形成される曲面形状を、所望の形状とすることができる。
上記した各実施例では、支持梁4の底部側に曲面形状を形成する場合を例に挙げて説明したが、支持梁4の上部側に曲面形状を形成する構成としても良い。
この場合、エッチングスリットを形成したのちに、第2絶縁膜12の支持梁4に対応する領域の上面の等方的エッチングを行うことで、図28に示すように、支持梁4の上部側に曲面形状を形成することができる。
このような断面形状を有する支持梁4とすることで、角部への応力の集中をよりいっそう緩和することができるので、支持梁の破壊を効果的に防止でき、破壊に強い赤外線検出素子を得ることができる。
支持梁の上部側に曲面形状を形成する方法の他の態様について、図29および図30を参照して説明する。
なお、図29および図30では、エッチング犠牲層30、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12等の位置関係を判りやすく表すために、それぞれ厚みを強調して表示してある。
第6−1工程において、シリコン基板1上にエッチング犠牲層30を堆積したのち、エッチング犠牲層30の所定の領域に、ボロンをインプラントしてエッチングストッパ14を形成する。
第6−2工程において、エッチング犠牲層30とエッチングストッパ14の上面の全面に亘って、SiNからなる第1絶縁膜11を約0.3μmの厚みで堆積させる。
第6−3工程において、第1絶縁膜11の上にポリシリコンを堆積したのち、前記した第1実施例の第1−4工程と同様の操作を行って、サーモパイルの温度検出部となる部分を形成する。
第6−4工程において、SiOからなる第2絶縁膜12Aを、P型ポリシリコン6やN型ポリシリコン7の厚みと略同じ厚みで堆積する。この際、第2絶縁膜12の厚みは薄いので、P型ポリシリコン6やN型ポリシリコン7の上部には、凸型の曲面が形成される。
第6−5工程において、前記した第1実施例の第1−5工程と同じ操作により、コンタクト9、アルミ配線8a,8bを形成する際に、支持梁4に対応する領域にアルミ層15をエッチングストッパ層として形成する。
第6−6工程において、第2絶縁膜12Aの上面の全面に亘ってSiOからなる第3絶縁膜12Bを堆積させる。
第1絶縁膜を形成した後の2回の絶縁膜の堆積により、全体として約1.7μmの厚みの絶縁膜12が形成される。この状態が図29の(a)である。
第6−7工程において、第3絶縁膜12Bの支持梁4に対応する領域のドライエッチングにより、アルミ層15を露出させる。この状態が図29の(b)である。
第6−8工程において、露出させたアルミ層15を硫酸で除去する。
第6−9工程において、受光部3と支持梁4とを基枠に相当するエッチングストッパ14から熱的に分離する為に、受光部3に対応する領域と支持梁4に対応する領域とを基枠2に対応する領域から区画するエッチングスリット5を、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12A、そして第3絶縁膜12Bとを貫通させて形成する。
第6−10工程において、支持梁4と受光部3の露出面をSiN膜で覆って、SiNからなる保護膜25を形成する。この状態が図30の(a)である。
第6−11工程において、受光部3に相当する領域の上面に赤外線吸収膜13を形成したのち、XeFガスを用いたシリコン基板1の等方性エッチングを行って、支持梁4と受光部3の下方に空隙10を形成する。これにより、支持梁4と受光部3とが、シリコン基板から分離される。この状態が図30の(b)である。
これにより、受光部3よりも厚みが薄く、かつ上側に曲面形状が形成された支持梁4を備える赤外線検出素子を得ることができる。よって、支持梁の幅方向断面における角部への応力の集中を緩和することができるので、支持梁の破壊を効果的に防止でき、破壊に強い赤外線検出素子を得ることができる。また、支持梁4の厚みを薄くすることが可能となるので、支持梁の熱抵抗を高めて、温度検出の感度を向上させることができる。
また、エッチングストッパとして作用するアルミ層15を、受光部3に相当する領域内にアルミ配線8aを形成する際に、一緒に形成することができるので、アルミ層15を設けるために別途マスクを設けることや、そのための工程などを追加する必要がない。また、サーモパイルを構成するP型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7の真上に位置する第2絶縁膜12Aの形状を保ったままで、支持梁の幅方向断面における角部が面取りされた支持梁を形成することができる。
上記した実施形態では、断面視において略矩形形状となる支持梁の幅方向断面における角部のうちの少なくともひとつの角部が面取りされて、曲面形状や面取り形状とされた場合を例に挙げて説明をしたが、支持梁に作用する応力を緩和することのできる形状であれば、支持梁の断面形状は適宜変更可能である。
例えば、幅方向断面の形状が凹凸形状である支持梁としても良い。
具体的には、図31の(a)に示すように、支持梁の幅方向断面の4つの角の内の3つに曲面形状を形成した支持梁100Aとすることや、断面視においてL字形状の支持梁100Bと、U字形状の支持梁100Cとすることや、幅方向における中央部の上下部にそれぞれ窪みのある形状の支持梁100Dとしても良い。
幅方向断面の形状が凹凸形状である支持梁は、断面視において矩形形状の支持梁よりも、曲げ応力に対して剛性の高い支持梁とすることができる。特に、硬質と軟質の材料とから構成される支持梁の場合、硬質の材料が位置する領域に凹凸形状を設けると、曲げ応力に対する剛性を一層向上させることができる。
よって、断面形状が凹凸形状であることによる曲げ剛性に強いという特性と、幅方向断面の角部に応力緩和部が形成されていることによる応力の集中を緩和して亀裂が生じにくいという特性の2つの特性を備えた支持梁とすることができる。
また、支持梁内に設けられるP型ポリシリコン6とN型ポリシリコン7の断面形状も、例えば図28に示したような断面視において略正方形の形状に限定されるものではなく、図31の(b)に示すように、矩形形状のポリシリコン101Aとすることや、L字形状のポリシリコン101Aとすること、そして支持梁の外周形状に合わせた形状のポリシリコン101C,101Dなど、適宜選択可能である。
かかる場合、ポリシリコンは硬質の材料であるので、曲げ応力に対して強い支持梁とすることが可能である。
特に、図31の(c)に示すように、支持梁100A乃至100Dの底部102A乃至102Dを構成する第1酸化膜が、硬質のSiNから構成されるようにした上で、ポリシリコン101A乃至101D自体の形状を、支持梁100A乃至100Dの底部側の形状に合わせると、より一層、曲げに強い支持梁とすることが可能である。
上記した第1実施例では、シリコン基板1のエッチングを、XeFガスを用いて行う場合を例に挙げて説明をしたが、ヒドラジンやTMAHなどのアルカリ性の溶液を用いて、結晶異方性エッチングを行うようにしても良い。
この場合、上記した第2実施例の場合のように、第1絶縁膜11の下側にエッチング犠牲層を設けることで、図25の(b)に示すような逆ピラミッド型の空隙10が形成される。
第1実施例にかかる赤外線検出素子を説明する説明図である。 第1実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第1実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第1実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第1実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第1実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第1実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第1実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 支持梁の変形例を説明する説明図である。 変形例に係る支持梁の製造方法を説明する説明図である。 変形例に係る支持梁の製造方法を説明する説明図である。 赤外線検出素子の製造方法の変形例を説明する説明図である。 赤外線検出素子の製造方法の変形例を説明する説明図である。 赤外線検出素子の製造方法の変形例を説明する説明図である。 赤外線検出素子の製造方法の変形例を説明する説明図である。 赤外線検出素子の製造方法の変形例を説明する説明図である。 赤外線検出素子の製造方法の変形例を説明する説明図である。 赤外線検出素子の製造方法の変形例を説明する説明図である。 第2実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第2実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第2実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第2実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第2実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第2実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第2実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第2実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法の変形例を説明する説明図である。 第2実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法の変形例を説明する説明図である。 変形例に係る支持梁の製造方法を説明する説明図である。 第3実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 第2実施例にかかる赤外線検出素子の製造方法を説明する説明図である。 支持梁の変形例を説明する説明図である。 従来例に係る赤外線検出素子を説明する説明図である。
符号の説明
1 シリコン基板
2 基枠
3 受光部
4 支持梁
5 エッチングスリット
6 P型ポリシリコン
7 N型ポリシリコン
8 アルミ配線
9 コンタクト
10 空隙
11 第1絶縁膜(底部)
12 第2絶縁膜
13 赤外線吸収膜
14 エッチングストッパ
15 アルミ層
21 マスク膜
21a 開口部
22 熱酸化膜
25 保護膜
30 エッチング犠牲層
A 赤外線検出素子

Claims (16)

  1. 基板から分離された受光部と、
    前記受光部と前記基板とを接続し、前記受光部を支持する支持梁と
    を備える赤外線検出素子であって、
    前記支持梁の幅方向断面における角部のうちの少なくともひとつを、面取り形状または曲面形状にして応力緩和部とした
    ことを特徴とする赤外線検出素子。
  2. 前記支持梁は少なくともひとつの屈曲部を有し、
    前記屈曲部では、前記支持梁の屈曲方向における内側に位置する角部のうちの少なくともひとつに、前記応力緩和部が形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の赤外線検出素子。
  3. 前記支持梁は、硬質と軟質の材料を積層させて形成されており、
    前記応力緩和部は、前記支持梁の幅方向断面の図心位置を基準として、前記硬質の材料が位置する側にある角部に形成されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の赤外線検出素子。
  4. 前記支持梁の幅方向断面の形状は凹凸形状を有している
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れか一項に記載の赤外線検出素子。
  5. 基板から分離された受光部と、前記受光部と前記基板とを接続し、前記受光部を支持する支持梁とを備え、前記支持梁の底部の幅方向における両角部を、面取り形状または曲面形状にして応力緩和部とした赤外線検出素子の製造方法であって、
    (a)前記基板の前記支持梁に対応する領域に、底部の幅方向における両角部を面取り形状または曲面形状にした凹部を形成する工程と、
    (b)前記基板と前記凹部の上面の全面に亘って絶縁膜を設ける工程と、
    (c)前記受光部に対応する領域と前記支持梁に対応する領域とを区画するエッチングスリットを、前記絶縁膜を貫通させて形成する工程と、
    (d)前記エッチングスリットを通じた前記基板の一部の除去により、前記支持梁に対応する領域と前記受光部に対応する領域とを前記基板から離間させて、前記支持梁の底部の幅方向における両角部に応力緩和部が形成された赤外線検出素子を得る工程とからなる
    ことを特徴とする赤外線検出素子の製造方法。
  6. 前記凹部を形成する工程では、前記基板の等方性エッチングにより前記凹部を形成することを特徴とする請求項5に記載の赤外線検出素子の製造方法。
  7. 前記凹部を形成する工程では、前記基板の異方性エッチングにより前記凹部を形成することを特徴とする請求項5に記載の赤外線検出素子の製造方法。
  8. 前記凹部を形成する工程は、
    (a1)前記基板の前記支持梁に対応する領域に熱酸化を行って酸化膜を生成する工程と、
    (a2)生成した酸化膜の除去により前記凹部を形成する工程と
    より構成されることを特徴とする請求項5に記載の赤外線検出素子の製造方法。
  9. 前記凹部を形成する工程では、前記基板の前記支持梁の幅方向における両側部に対応する領域に熱酸化を行って酸化膜を生成することで、前記凹部を形成する
    ことを特徴とする請求項5に記載の赤外線検出素子。
  10. 基板から分離された受光部と、前記受光部と前記基板とを接続し、前記受光部を支持する支持梁とを備え、前記支持梁の底部の幅方向における両角部を、面取り形状または曲面形状にして応力緩和部とした赤外線検出素子の製造方法であって、
    (a)前記基板上にエッチング犠牲層を形成する工程と、
    (b)前記エッチング犠牲層の前記支持梁に対応する領域に、底部の幅方向における両角部を面取り形状または曲面形状にした凹部を形成する工程と、
    (c)前記エッチング犠牲層と前記凹部の上面の全面に亘って絶縁膜を設ける工程と、
    (d)前記受光部に対応する領域と前記支持梁に対応する領域とを区画するエッチングスリットを、前記絶縁膜を貫通させて形成する工程と、
    (e)前記エッチングスリットを通じた前記基板の一部と前記エッチング犠牲層の除去により、前記支持梁に対応する領域と前記受光部に対応する領域とを前記基板から離間させて、前記支持梁の底部の幅方向における両角部に応力緩和部が形成された赤外線検出素子を得る工程とからなる
    ことを特徴とする赤外線検出素子の製造方法。
  11. 前記凹部を形成する工程では、前記エッチング犠牲層の等方性エッチングにより前記凹部を形成する
    ことを特徴とする請求項10に記載の赤外線検出素子の製造方法。
  12. 前記凹部を形成する工程は、
    (b1)前記エッチング犠牲層の前記支持梁に対応する領域に熱酸化を行って酸化膜を生成する工程と、
    (b2)生成した酸化膜の除去により前記凹部を形成する工程と
    より構成されることを特徴とする請求項10に記載の赤外線検出素子の製造方法。
  13. 前記凹部を形成する工程では、前記基板の前記支持梁の幅方向における両側部に対応する領域に熱酸化を行って酸化膜を生成することで、前記凹部を形成する
    ことを特徴とする請求項10に記載の赤外線検出素子の製造方法。
  14. 前記凹部を形成する工程は、
    (b1)前記基板上に形成された前記エッチング犠牲層において、前記支持梁に対応する領域を除去して前記基板を露出させる工程と、
    (b2)エッチング犠牲層を、前記基板と前記エッチング犠牲層の上面の全面に亘って再度設けて、前記凹部を形成する工程と
    より構成されることを特徴とする請求項10に記載の赤外線検出素子の製造方法。
  15. 前記(e)工程のあとに、
    (f)前記絶縁膜の上面のうちの前記支持梁に対応する領域の等方性エッチングを行う工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の赤外線検出素子の製造方法。
  16. 基板から分離された受光部と、前記受光部と前記基板とを接続し、前記受光部を支持する支持梁とを備え、前記支持梁の底部の幅方向における両角部を、面取り形状または曲面形状にして応力緩和部とした赤外線検出素子の製造方法であって、
    (a)前記基板上にエッチング犠牲層を形成する工程と、
    (b)前記エッチング犠牲層の上面に第1絶縁膜を設ける工程と、
    (d)前記第1絶縁膜の前記支持梁に対応する領域にエッチングストッパを形成する工程
    と、
    (f)前記第1絶縁膜と前記エッチングストッパの上面の全面に亘って第2絶縁膜を設ける工程と、
    (g)前記第1絶縁膜の前記支持梁に対応する領域のエッチングにより前記エッチングストッパを露出させる工程と、
    (h)前記エッチングストッパを除去する工程と、
    (i)前記受光部に対応する領域と前記支持梁に対応する領域とを区画するエッチングスリットを、前記第1絶縁と第2絶縁膜とを貫通させて形成する工程と、
    (j)前記エッチングスリットを通じた前記基板の一部と前記エッチング犠牲層の除去により、前記支持梁に対応する領域と前記受光部に対応する領域とを前記基板から離間させて、前記支持梁の上部に前記応力緩和部が形成された赤外線検出素子を得る工程とからなる
    ことを特徴とする赤外線素子の製造方法。
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