JP2009030567A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】不必要なエネルギ消費を抑制しつつ、DPFにおいてPMを確実に捕集することを目的とする。
【解決手段】排気通路10に排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ13を備える内燃機関1の排気浄化装置において、フィルタ13より上流側の排気通路10に設けられ稼動時には粒子状物質を帯電させることにより凝集させる凝集手段22と、凝集手段22の稼動を制御する制御装置9と、を備え、制御手段9は、粒子状物質の粒子径に応じて凝集手段22の稼働を制御する。
【選択図】図1
【解決手段】排気通路10に排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ13を備える内燃機関1の排気浄化装置において、フィルタ13より上流側の排気通路10に設けられ稼動時には粒子状物質を帯電させることにより凝集させる凝集手段22と、凝集手段22の稼動を制御する制御装置9と、を備え、制御手段9は、粒子状物質の粒子径に応じて凝集手段22の稼働を制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の排気中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集するための装置に関し、特に、捕集効率を高めるための技術に関する。
ディーゼルエンジン等の排気に含まれるPMを捕集する装置として、DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)が知られている。
このDPFは、排気通路に介装したフィルタにPMを捕集するものであるため、PMの捕集量が増加するほど排気の流路断面積が小さくなり、排気圧力が上昇してしまう。そこで、排気圧力が所定圧に達したら捕集したPMを燃焼除去してフィルタ機能を再生する、いわゆる再生処理が行われる。再生処理中は排気温度を上昇させるための燃料噴射量増量や噴射時期遅角により、燃費が悪化する。
ところで、PMの捕集効率を向上させるためにフィルタのメッシュを密にすると、粒子径の大きなPMによりフィルタが目詰まりを起こし易くなるので、再生処理の頻度が増加し、燃費が悪化してしまうという問題がある。
一方、フィルタのメッシュを粗にすると、再生処理頻度を抑制することはできるが、捕集効率が低下してしまうという問題がある。
これらの問題を解決するための技術として、DPFの上流側に放電装置を設け、コロナ放電を行うことによってPMを凝集させ、凝集により大きくなったPMをDPFで捕集する装置が特許文献1に開示されている。これによれば、フィルタの目詰まりによる再生処理頻度の増加を抑制しつつ、高い捕集効率を実現できる。
特開2006−29267号公報
ところで、発明者らは、機関から排出されるPMの粒子径は機関運転状態によって変化するという特性を見出した。すなわち、機関運転状態によっては、放電により凝集させなくてもフィルタに捕集される程度の粒子径のPMが排出される場合もある。
しかしながら、特許文献1に開示された装置では、機関運転状態によるPMの粒子径の変化を考慮しておらず、機関運転中は機関運転状態によらず放電を行っている。したがって、PMを凝集させる必要がない場合にまで放電によってエネルギーを消費していることとなる。
そこで本発明では、不必要なエネルギ消費を抑制しつつ、DPFにおいてPMを確実に捕集することを目的とする。
本発明の内燃機関の排気浄化装置は、排気通路に排気中の粒子状物質を捕集するフィルタを備える内燃機関の排気浄化装置において、フィルタの上流側排気通路に設けられ稼動時には粒子状物質を帯電させることにより凝集させる凝集手段と、凝集手段の稼動を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、粒子状物質の粒子径に応じて凝集手段の稼働を制御する。
本発明によれば、内燃機関の運転状態に応じて粒子径が変化するという粒子状物質の特性に応じて、凝集手段の稼動を制御することができる。したがって、例えば、凝集させないとフィルタに捕集されない程度の粒子径の場合には凝集手段を稼動させ、凝集手段を稼動させる必要がない程度の粒子径の場合には凝集手段を稼動させないようにすることで、不必要なエネルギ消費を抑制しつつフィルタの捕集効率を向上させることができる。
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1はディーゼルエンジン本体、2は各気筒の燃料噴射弁、3は高圧の燃料を蓄える蓄圧室を有する燃料噴射装置(コモンレール式燃料噴射装置)、4は吸気コレクタ、5は吸気通路、10は排気通路、9は目標再生温度の設定や再生処理時の昇温制御等、種々の制御を行うコントロールユニット、14はディーゼルエンジン本体1の駆動力を駆動軸に伝達する変速機である。なお、変速機14は有段変速機、無段変速機のいずれであっても構わない。
燃料噴射弁2には、コモンレール式燃料噴射装置3によって高圧燃料が供給される。また、各燃料噴射弁2は制御手段としてのコントロールユニット(ECU)9からの噴射信号に応じて開閉動作し、高圧燃料を気筒内に噴射する。
ディーゼルエンジン本体1の各吸気ポートに接続する吸気コレクタ4には、吸気通路5が接続し、吸気通路5には、上流側からの過給のための可変ノズル式ターボチャージャ6のコンプレッサ6a、加圧されて高温となった空気を冷却するインタークーラ7、吸気量を制御する吸気絞弁8を配置する。また、排気通路10には、その上流側から、可変ノズル式ターボチャージャ6のタービン6b、排気中の未燃焼成分を酸化処理する酸化触媒11、排気中の粒子状物質(PM)の粒子径を拡大するためのPM粒子径拡大装置22(凝集手段)、PMを補集するフィルタとしてのパティキュレートフィルタ(DPF)13を順次配置する。
また、排気通路10のタービン6bの上流から分岐して吸気コレクタ4に接続するEGR通路15を設け、このEGR通路15にはEGR弁16を設置し、運転条件に応じて吸気中に還流する排気量を制御する。
ECU9には、エンジン回転数を検出するクランク角センサ17、アクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ18、また排気通路10のPM粒子径拡大装置22とDPF13との間の排気圧力を検出する排気圧センサ19、DPF13の下流の排気圧力を検出する排気圧センサ12、DPF13の下流の排気空燃比を検出する排気空燃比センサ20、DPF13のベッド温度を検出する温度センサ21、からの各検出信号が入力される。そして、これら検出信号に基づいて可変ノズル式ターボチャージャ6の可変ノズルベーンの開度を制御するための信号、EGR弁16の開度を制御するための信号、吸気絞弁8の開度を制御するための信号、さらには、PM堆積量検知手段としてDPF13内のPM堆積量、燃料噴射弁2による燃料噴射量を制御するための信号、DPF再生制御開始時期判定手段としてDPF13の再生時期を判断し、昇温手段として再生のための排気温度上昇に必要な燃料供給をする燃料噴射弁2を作動させるための信号等をそれぞれ演算し、出力する。
図2はPM粒子径拡大装置22の概略構成図である。この装置の構成は、特開2006−29267号公報に開示されているPM凝集装置と同様であり、排気通路10に介装する金属性のハウジング24と、先端部がハウジング24の内部に臨むように配置する放電極25と、放電極25に高電圧を印加する高電圧電源26と、放電極25より下流側に配置する金属メッシュ27とからなる。なお、ハウジング24はアース接続されている。
上記のような構成のPM粒径拡大装置22では、高電圧電源26により放電極25に高電圧を印加することにより、ハウジング24と放電極25との間にコロナ放電場を形成する。そして、排気がコロナ放電場を通過する際に、排気中のPMがコロナ放電により発生した空気イオンと結合して電荷を帯び、この帯電したPM同士が凝集してPMの粒径が拡大する。粒径が拡大したPMは、クーロン力により下流側の金属メッシュ27に引き付けられるが、金属メッシュ27を介して電子を放出することにより金属メッシュ27を通過してPM粒径拡大装置を通過する。
図3は、ECU9が実行する排気浄化装置についての制御ルーチンを表すフローチャートである。
ステップS1では、運転状態としてクランク角センサ17の検出値(エンジン回転数)及びアクセル開度センサ18の検出値(エンジントルク)を読み込む。
ステップS2では、PM排出量を算出し、演算結果をメモリする。また、DPF13の上流側と下流側との差圧(DPF前後差圧)を検出し、これをメモリする。PM排出量の算出は、ステップS1で読み込んだ運転状態を用いて図13に示すPM排出量マップを検索する。図13は縦軸がエンジントルク、横軸がエンジン回転数であり、エンジン回転数が高いほど、またエンジントルクが大きいほどPM排出量が多くなっている。DPF前後差圧は、圧力センサ12、19の検出値の差をとる。
ステップS3では、ゼロPM粒子径拡大装置22を稼働するか否かを、PM粒子径拡大制御フラグele−coに基づいて確認する。ele−co=1の場合は後述するPM粒子径拡大制御のフローチャートを実行する。ele−co=0の場合はステップS4に進む。
ステップS4では、DPF再生が必要であるか否かの判定を、再生要求フラグregに基づいて行う。reg=1の場合は、後述する再生モードのフローチャートを実行する。reg=0の場合は、ステップS5に進む。
ステップS5では、劣化防止モードであるか否かの判定を、劣化防止モードフラグrecに基づいて行う。rec=1の場合は、後述する劣化防止モードのフローチャートを実行する。rec=0の場合は、ステップS6に進む。
ステップS6では、PM粒子径を拡大する必要があるか否かの判定を、DPF前後差圧を閾値PM1と比較することにより行う。
ここで、閾値PM1について説明する。
図17は、DPF13のPM捕集効率とDPF13の通気抵抗との関係を示す図であり、縦軸はPM捕集効率、横軸はDPF13へのPM流入量である。PM流入量はDPF13の通気抵抗の大きさを表すパラメータであり、PM流入量が多いほど通気抵抗が高くなる。
図17に示すように、PM捕集効率はDPF13へのPM流入量が少ない場合には低く、PM流入量が増加するとともにPM捕集効率も高くなり、所定のPM捕集効率に達したら、PM流入量によらずほぼ一定値となる。
そこで、十分なPM捕集効率が確保されていない場合にのみ、粒子径拡大制御を実行することとする。この場合、実行するか否かの判定はPM流入量により行うことになり、このPM流入量は、エンジン1の運転状態等に基づいて算出することができる。
ところで、DPF13の通気抵抗を表すパラメータとしてDPF前後差圧を用いることもできる。DPF13内のPM堆積量が多くなるほどDPF13内の流路断面積が小さくなるので、DPF13の通気抵抗は高くなり、DPF前後差圧が大きくなる。そして、DPF前後差圧は圧力センサ12、19の検出値から容易に算出することができる。
そこで、本実施形態ではDPF前後差圧を通気抵抗の大きさを表すパラメータとして用い、十分なPM捕集効率を発揮することができる場合のDPF前後差圧を、閾値PM1として設定する。また、閾値PM1はエンジンの運転状態、つまりエンジン回転数及びエンジントルクによって異なるので、ステップS1で読み込んだエンジン回転数及びエンジントルクを用いて図16に示すマップを検索することによって設定する。図16は縦軸がエンジントルク、横軸がエンジン回転数であり、エンジン回転数が高くなるほど、またエンジントルクが高くなるほど閾値PM1が大きくなっている。
フローチャートの説明に戻る。判定の結果、閾値PM1より小さい場合は、後述するPM粒子径拡大制御を実行するためのフローチャートを実行する。閾値PM1より大きい場合はステップS7に進む。
ステップS7では、再生時期になったか否の判定を、DPF前後差圧と閾値PM2とを比較することにより行う。閾値PM2は、再生処理が必要な程度にDPF13内にPMが堆積したときのDPF前後差圧であり、DPF13の容量等に応じて定まる。なお、閾値PM2はエンジンの運転状態により異なるので、ステップS1で読み込んだエンジン回転数及びエンジントルクを用いて図15に示すマップを検索することによって設定する。なお、図15は縦軸がエンジントルク、横軸がエンジン回転数であり、エンジン回転数が高くなるほど、またエンジントルクが高くなるほど閾値PM2が大きくなっている。
判定の結果、DPF前後差圧が閾値PM2より大きい場合には、DPF13が再生時期になっているため、図8に示すフローチャートのステップS601で再生要求フラグreg=1とする。閾値PM2より小さい場合には、リターンして上記フローチャートを繰り返す。
図4は、PM粒子径拡大制御のルーチンを表すフローチャートである。
ステップS101では、ステップS5と同様に、DPF前後差圧と閾値PM1との比較を再度行い、閾値PM1の方が小さい場合はステップS105に進んでPM粒子径拡大制御フラグele−co=0とする。閾値PM1の方が大きい場合はステップS102に進む。
ステップS102では、排出されるPMの粒子径を、以下の手順により求める。
まず、運転状態に基づいて、図9に示すマップからベース粒子径Rを求める。図9は例えば排気λ=1のときにエンジン1から排出されるPMの粒子径と、エンジン回転数及びエンジントルクとの関係を表すマップであり、エンジントルクが大きくなるほどPMの粒子径が大きくなっている。なお、PMの粒子径はエンジン回転数に対する感度が非常に小さいので、エンジントルクのみに基づいてPMの粒子径を求めてもよい。
次に、空気過剰率に基づいて、図10のテーブルから粒子径係数Kを求める。エンジン回転数及びエンジントルクが同一であっても、図11に示すように空気過剰率が異なるとPMの粒子径は異なる。そこで、ベース粒子径を空気過剰率に応じて補正するための粒子径係数Kを求める。
そして、ベース粒径Rと粒子径係数Kとの積をエンジン1から排出されるPMの粒子径とする。
ステップS103では、PM粒子径拡大装置22の放電量又は印加電圧を設定する。具体的には、エンジン1の運転状態から図12のマップを用いて設定する。図12は放電量又は印加電圧をエンジン回転数及びエンジントルクに割り付けたマップであり、エンジントルクが小さいほど放電量又は印加電圧が小さくなっている。なお、図9と同様にエンジン回転数に対する感度が非常に小さいので、エンジントルクのみに基づいて設定してもよい。
なお、図12において、エンジントルクが十分に大きい領域では、放電量又は印加電圧をゼロにしてもよい。すなわち、PMの粒子径が、DPF13のPM捕集効率が低くてもDPF13に確実に捕集される程度に大きい場合には、PM粒子径拡大装置22を稼働させないようにしてもよい。
ステップS104では、ステップS103で設定した放電量又は印加電圧でPM粒子径拡大装置22を稼働させる。
上記の制御によれば、DPF前後差圧が閾値PM1になるまではPM粒子径拡大装置22を稼働させ、閾値PM1に達したらステップS105でPM粒子径拡大制御フラグele−co=0としてPM粒子径拡大制御が終了する。
図5は、DPF13の再生処理の制御ルーチンを表すフローチャートである。
ステップS201では、DPF13に堆積しているPM量に応じて、排気λを目標値に制御する。ここでは、吸気絞弁8の開度を調節することにより目標の排気λの制御を行う。つまり、PM堆積量に応じた排気λを実現するための吸入空気量目標値を設定し、この吸入空気量目標値となるように吸気絞弁8の開度を調節する。
吸入空気量目標値は、図14に示すようなマップを用いて設定する。図14は、縦軸がエンジントルク、横軸がエンジン回転数である。そして、排気λの目標値に応じてマップ変更するものである。例えば、目標値がλ=1の場合には図14中に実線で示したようなマップであり、目標値がλ=1.5の場合には、図14中に破線で示したようなマップに切り替る。
なお、DPF再生温度として高温を要しない場合には、ポスト噴射を用いずに、吸気絞弁8の開度調整もしくは噴射時期リタード、またはこれらの併用で目標温度に到達させることもできる。
ステップS202では、DPF13の温度が目標温度範囲の上限値T1を超えたか否かを判定する。超えていない場合にはステップS203に進む。超えている場合はステップS209に進み、ポスト噴射量を運転状態に応じた単位噴射量だけ減量する。運転状態に応じた単位噴射量は、例えば図18に示すようなマップを用いて設定する。図18は単位噴射量をエンジントルク及びエンジン回転数に割り付けたマップであり、低回転・低トルクほど噴射量は少なく、高回転・高トルク領域ほど噴射量は多くなっている。また、ポスト噴射量が変動することで排気λが目標値から外れることを防止するために、吸気絞弁8によって吸気量を調整してベッド温度の変化を抑制しつつ排気λを達成する。
ステップS203では、DPF13の温度が目標温度範囲の下限値T2を下回っているか否かを判定する。下回っていない場合はステップS204に進む。下回っている場合はステップS208に進み、ポスト噴射量を運転状態に応じた単位噴射量だけ増量する。ここでの単位噴射量は、ステップS209と同様の方法で設定する。
ステップS204では、オリフィスの流量式を変形した式(1)を利用してDPF13の仮想断面積S2を算出し、これをPMが堆積していない状態のDPF13の断面積Sintと比較する。
S2=Q/(2×ΔP/ρ)1/2 ・・・(1)
S2:仮想断面積、Q:ガス流量、ΔP:DPF前後差圧、ρ:密度
なお、ガス流量はエンジン回転数及びエンジンの排気量から算出することができ、密度ρは排気λ、燃料噴射量及びガス流量から算出することができる。
S2:仮想断面積、Q:ガス流量、ΔP:DPF前後差圧、ρ:密度
なお、ガス流量はエンジン回転数及びエンジンの排気量から算出することができ、密度ρは排気λ、燃料噴射量及びガス流量から算出することができる。
比較の結果、仮想断面積S2が断面積Sintと等しければ、ステップS205へ進み、等しくなければリターンする。
これは、PMが堆積して流路が塞がれることによって上昇していた排気圧力が、再生時にPMが燃焼除去されることで低下する様子を、仮想断面積を用いて推定し、再生処理を終了してよいか否かを判定するものである。
ステップ205ではポスト噴射を停止してDPF13の加熱を停止する。
そして、ステップS206で再生モードフラグregをゼロにして、ステップS207で劣化防止モードフラグrecを立ててリターンする。
なお、ステップS204では、再生処理を開始してからの経過時間が、確実に再生処理が終了する時間として予め設定した時間を超えたか否かを判定し、超えた場合にはステップS205に進むようにしてもよい。
図6は、劣化防止モード時に実行する制御ルーチンを表すフローチャートである。
再生モードを終了して急激に排気λを大きくすると、仮にDPF13内にPMの燃え残りがあった場合にはDPF13内でPMが急激に燃焼し、この燃焼熱によってDPF13が劣化するおそれがある。この燃焼熱による劣化を防止するためのモードが劣化防止モードである。
ステップS301では、温度センサ21の検出信号を読み込んでDPF13のベッド温度を検知する。
ステップS302では、排気λを所定の値、例えばλ≦1.4に制御する。制御方法は、図5のステップS201と同様に、目標排気λを実現するための目標吸入空気量を求めて吸気絞弁8の開度を制御してもよいし、排気空燃比センサ20の出力に基づいて、フィードバック制御によって所定の排気λを実現するようにしてもよい。
ステップS303では、DPF13のベッド温度が所定の温度T4より低いか否かの判定を行う。温度T4は、PMの急激な燃焼が開始するおそれのない温度を設定する。判定の結果、温度T4より低ければステップS304に進み、高ければリターンする。
ステップS304ではステップS302で開始したλ制御を停止する。これは、温度T4より低い温度であれば、酸素濃度が大気並みになっても、PMが一気に燃焼することによるDPF13の劣化を回避することができるからである。
ステップS305では、劣化防止モードが終了したので、劣化防止モードフラグrecをゼロにする。
図7は、PM粒子径拡大制御を実行するためのフラグを立てるフローチャートであり、ステップS401でPM粒子径拡大制御フラグele−co=1とする。
上述したように、本実施形態では、再生処理直後のようにDPF13のPM捕集効率が低い状態では、PM粒子径拡大装置22を稼働させることによってPMをDPF13に捕集され易い状態にし、PM捕集効率が確保された状態ではPM粒子径拡大装置22を稼働させないことにより、不必要な電力消費を抑制している。
なお、本実施形態では、凝集手段として排気通路中にコロナ放電による放電場を形成するPM粒子径拡大装置22を用いて説明したが、これに限られるわけではない。例えば図19に示すように、ハウジング24の内部に所定間隔をもって絶縁体28a、28bを配置し、高電圧電源26により絶縁体28a、28b間に電位差をつくることによって、絶縁体28a、28bの間を通過する排気中のPMを帯電させて、静電効果によりPM同士を凝集させるような装置であってもよい。
また、図3のステップS6の判定を行わずに、再生処理後の一定期間はPM粒子径拡大装置22を稼動させるようにすることで、演算を簡略化することができる。この場合、再生処理後の一定期間は、通気抵抗が高まるまでに要するまでの期間であり、使用するDPF13の仕様ごとに予め測定等することによって設定する。
以上により本実施形態では、次のような効果を得ることができる。
(1)排気通路10にDPF13を備えるエンジン1において、DPF13より上流側の排気通路に設けたPM粒子径拡大装置22と、これを制御するECU9と、を備え、ECU9は、PMの粒子径に応じてPM粒子径拡大装置22の稼働を制御するので、エンジン1の運転状態に応じて変化するPM粒子径に応じたPM粒子径拡大装置22の制御が可能となる。
(2)PMの粒子径が閾値PM1よりも小さい場合にPM粒子径拡大装置22を稼働させるので、不必要なエネルギ消費を抑制しつつ、効率よくPMを捕集することができる。
(3)エンジン1から排出されたPMの粒子径が小さいほど放電量を大きくするので、粒子径が小さいほど帯電する確率が高まり、かつ帯電する電荷も大きくなる。これによりPMは凝集し易くなるので、エンジン1から排出されたときには小径のPMであっても、短時間で粒子径を拡大させて、DPF13に捕集され易くすることができる。
(4)ECU9は、閾値PM1をDPF13の通気抵抗に基づいて設定し、通気抵抗が低いほど閾値PM1を大きく設定するので、DPF再生処理直後のようにDPF13の通気抵抗が低く、比較的大きな粒径のPMもDPF13を通過するおそれのある場合に、比較的大きな粒径のPMについても凝集させることとなる。これにより、DPF13でPMを確実に捕集することができる。
(5)通気抵抗が低いほど放電量を大きくするので、PMがDPF13を通過し易い状況において、確実にPMを凝集させることができる。
(6)DPF13の通気抵抗を、DPF13の上流側の排気圧と下流側の排気圧との差圧、又はDPF13へのPM流入量により判断するので、通気抵抗を測定するために新たな装置を設ける必要がない。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
1 エンジン
2 燃料噴射弁
3 燃料噴射装置(コモンレール式燃料噴射装置)
4 吸気コレクタ
5 吸気通路
6 可変ノズル式ターボチャージャ
7 インタークーラ
8 吸気絞弁
9 コントロールユニット
10 排気通路
11 酸化触媒
12 排気圧センサ(下流側)
13 DPF
14 変速機
15 EGR通路
16 EGR弁
17 クランク角センサ
18 アクセル開度センサ
19 排気圧センサ(上流側)
20 排気空燃比センサ
21 温度センサ(下流側)
22 PM粒子径拡大装置
2 燃料噴射弁
3 燃料噴射装置(コモンレール式燃料噴射装置)
4 吸気コレクタ
5 吸気通路
6 可変ノズル式ターボチャージャ
7 インタークーラ
8 吸気絞弁
9 コントロールユニット
10 排気通路
11 酸化触媒
12 排気圧センサ(下流側)
13 DPF
14 変速機
15 EGR通路
16 EGR弁
17 クランク角センサ
18 アクセル開度センサ
19 排気圧センサ(上流側)
20 排気空燃比センサ
21 温度センサ(下流側)
22 PM粒子径拡大装置
Claims (10)
- 排気通路に排気中の粒子状物質を捕集するフィルタを備える内燃機関の排気浄化装置において、
前記フィルタの上流側排気通路に設けられ稼動時には前記粒子状物質を帯電させることにより凝集させる凝集手段と、
前記凝集手段の稼動を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、粒子状物質の粒子径に応じて前記凝集手段の稼働を制御することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記制御手段は、粒子状物質の粒子径が凝集手段稼動判定用閾値よりも小さい場合に前記凝集手段を稼働させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記凝集手段は、排気通路中に放電場を形成することによって、通過する粒子状物質を帯電させ、帯電した粒子状物質同士を凝集させることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記制御手段は、機関から排出された粒子状物質の粒子径が小さいほど放電量を大きくすることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記制御手段は、凝集手段稼動判定用閾値を前記フィルタの通気抵抗に基づいて設定し、通気抵抗が低いほど前記凝集手段稼動判定用閾値を大きく設定することを特徴とする請求項2または3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記制御手段は、前記通気抵抗が低いほど放電量を大きくすることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記制御手段は、前記フィルタの通気抵抗を、前記フィルタの上流側排気通路と下流側排気通路とでの差圧、又は機関運転状態とPM排出量との関係から得られる前記フィルタへのPM流入量により判断することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記制御手段は、機関運転負荷が大きいほど、又は筒内燃焼温度が高いほど前記PMの粒子径を大きく見積もることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記凝集手段は、前記排気通路内の所定区間に電位差を設けることによりPMを帯電させ、帯電したPMを静電効果で凝集させることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記制御手段は、予め設定した前記フィルタの再生処理後の一定期間を、前記粒子状物質の粒子径が凝集手段稼動判定用閾値よりも小さい場合とみなして、前記凝集手段を稼動することを特徴とする請求項2から8のいずれか一つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
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