JP2009030090A - 金属粉末複合材等とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ナノサイズの微細炭素繊維による網目状の被膜を金属粉末表面に有することを特徴とする金属粉末複合材であり、例えば、ナノサイズの微細炭素繊維が平均繊維径1nm〜160nm、アスペクト比5以上の表面が酸化処理されたカーボンナノチューブないしカーボンナノファイバーであって、平均一次粒径が0.1μm〜100μmの金属粉末表面に分散されており、該金属粉末複合材を焼結してなる金属複合材、該金属複合材を基材表面に積層してなる金属積層複合材は機械的強度および導電性、熱伝導性に優れている。
【選択図】図1
Description
(1)ナノサイズの微細炭素繊維による網目状の被膜を金属粉末表面に有することを特徴とする金属粉末複合材。
(2)ナノサイズの微細炭素繊維が、平均繊維径1nm〜160nm、アスペクト比5以上であって表面が酸化処理されたカーボンナノチューブないしカーボンナノファイバーである請求項1に記載する金属粉末複合材。
(3)金属粉末複合材に含まれる微細炭素繊維の量が0.05〜15.0質量%である請求項1または請求項2に記載する金属粉末複合材。
(4)金属粉末の平均一次粒径が0.1μm〜100μmである請求項1〜請求項3の何れかに記載する金属粉末複合材。
(5)金属粉末がAL粉末、AL合金粉末、Mg合金粉末、Ti合金粉末、Cu粉末、Cu合金粉末、Ni合金粉末、Cr合金粉末、Fe合金粉末である請求項1〜請求項3の何れかに記載する金属粉末複合材。
(6)請求項1〜請求項5の何れかに記載する金属粉末複合材を粉末から成型固化してなる金属複合材。
(7)請求項6の金属複合材を基材表面に積層してなる金属積層複合材。
(8)基材が、AL、AL合金、Mg合金、Ti合金、Cu、Cu合金、Ni合金、Cr合金、Fe合金である請求項7に記載する金属積層複合材。
(9)表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維を溶剤、水から選ばれた一つ以上の分散媒に分散させてなり、金属粉末表面に微細炭素繊維の網目状被覆を形成するのに用いる金属粉末複合材用分散液。
(10)表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維を溶剤、水から選ばれた一つ以上の分散媒に分散させてなる分散液に結着剤を添加してなり、金属粉末表面に微細炭素繊維の網目状被覆を形成するのに用いる金属粉末複合材用コーティング組成物。
(11)微細炭素繊維の酸性懸濁液に酸化剤を添加し、酸処理して微細炭素繊維の表面を親水化した後に該微細炭素繊維を濾過分離して回収し、この微細炭素繊維を溶媒と混合して金属粉末複合材用分散液を製造する方法。
(12)表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維の分散液に結着剤を加えて金属粉末複合材用コーティング組成物を製造する方法。
(13)表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維の分散液に金属粉末を加え、均一に混合した後に乾燥させて、金属粉末表面に微細炭素繊維からなる網目状の被覆を有する金属粉末複合材を製造する方法。
(14)表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維の分散液に結着剤を加えてなるコーティング組成物に金属粉末を加え、あるいは上記分散液に結着剤と金属粉末を加え、均一に混合した後に乾燥させて、金属粉末表面に微細炭素繊維からなる網目状の被覆を有する金属粉末複合材を製造する方法。
(15)表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維の分散液に結着剤を加えてなるコーティング組成物に金属粉末を加え、あるいは上記分散液に結着剤と金属粉末を加え、均一に混合した後に乾燥させて、金属粉末表面に微細炭素繊維からなる網目状の被覆を有する金属粉末複合材を形成し、該金属粉末複合材の焼結を行って金属複合材を製造する方法、あるいは該金属粉末複合材をCIP、HIPまたはこれらの組み合わせによって成型固化して金属複合材を製造する方法。
(16)表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維の分散液に結着剤を加えてなるコーティング組成物に金属粉末を加え、あるいは上記分散液に結着剤と金属粉末を加え、均一に混合した後乾燥させて、金属粉末表面に微細炭素繊維からなる網目状の被覆を有する金属粉末複合材を形成し、該金属粉末複合材を焼結して金属複合材を製造し、該金属複合材を非酸化性雰囲気下で溶融または半溶融状態にして基材表面に積層し、金属積層複合材を製造する方法。
本発明の金属粉末複合材は、ナノサイズの微細炭素繊維による網目状の被膜を金属粉末表面に有することを特徴とするものである。ナノサイズの微細炭素繊維とは平均繊維径1nm〜500nmおよびアスペクト比5以上の炭素繊維を云い、例えば、上記平均繊維径およびアスペクト比のカーボンナノチューブないしカーボンナノファイバーである。具体的には、例えば、平均繊維径1nm〜160nm、アスペクト比5以上であって表面が酸化処理されたカーボンナノチューブないしカーボンナノファイバーが好適に用いられる。
〔実施例1〕
(1)CNF分散液の調製
微細炭素繊維として中空構造のカーボンナノファイバー(CNF:平均繊維径20nm)を硝酸と硫酸の混合液に1重量部:5重量部:15重量部の割合で混合し、過熱して表面酸化処理を行った。得られた溶液を濾過し、数回水洗を行って残留する酸を洗い流した。その後、乾燥して粉末化し、その粉末をジメチルアセトアミドに溶解させてCNF分散液を得た。
結着剤としてエチルセルロースを用い、上記CNFのジメチルアセトアミド分散液に該結着剤を固形分比で1:1となるように混合してコーティング組成物を調製した。次いで、金属粉末として平均一次粒径1.5μmのアルミニウム粉末(AL粉末)を用い、上記コーティング組成物にAL粉末を加えて分散させ、均一混合した後に、乾燥して網目状被膜を有するAL粉末複合材を得た。また比較例として、同サイズで水溶性でない、修飾基をもたないカーボンナノフィバーを通常のエタノール中にAL粉末と共に超音波で分散し、溶媒を気化して飛ばした複合粉末を作成した。
上記製造工程で得たCNF網目状被膜を有する金属粉末複合材の顕微鏡写真を図1および図2に示した。比較対照として、CNF網目状被膜を形成しない原料のAL粉末写真を図3および図4に示した。AL粉末原料の写真(図3および図4)と比較すると、本発明のAL粉末複合材粉末には、図1および図2に示すように、AL粉末表面に均一な網目状被膜が形成されていることがわかる。一方、比較例で作成した金属粉末の表面には図3および図4に示すようにカーボンナノファイバーが親水化されていないため、分散液とならず、その結果CNFの網目状被膜が形成されなかった。
(4)金属複合材の製造
表1に示す平均一次粒径(1.5μm、17μm、26μm、90μm)のAL粉末を用い、表1に示す分散媒、結着材、CNF量に従い、実施例1と同様にして粉末表面にCNF網目状被膜を設けたAL金属粉末複合材を調製した。なお、試料No.6、試料No.7は結着材を使用しなかった。これを焼結処理してAL基複合材を製造した。この複合材の物性を表1に示した。焼結は、AL金属粉末複合材を所定の温度で加熱処理して結着材が含まれるサンプルに対しては酸化気化除去した後、所定重量を秤量して超硬型にセットし、真空中にて加圧し、パルス電流を加えて昇温、保持して、SPSプラズマ焼結を行った。実施した焼結条件は、真密度が得られやすく、型の損傷、CNTの熱影響が軽度な480℃〜500℃の温度範囲に10分以上保持し、400〜500MPaの加圧で行った。なお、この条件以外でも、真空雰囲気のカーボン型にて600℃近い高温で100MPA程度の低圧条件で製造することができる。本発明試料No.4、No.8、No.9のAL金属組織の顕微鏡写真を図5〜図7に示す。
平均一次粒径(1.5μm、26μm)のAL粉末を用い、カーボンナノフィバーの繊維径が10nm、160nmのものを用いて表面を親水化処理せずに分散媒に入れた以外は実施例2と同様に焼結処理してAL金属材を製造した。このAL金属組織の顕微鏡写真を図8、図9に示す。
平均一次粒径(1.5μm)のAL粉末を用い、カーボンナノフィバーの繊維径が10nmのものを用いて表面の親水化処理を行い、カーボンナノファイバーの添加量を18wt%として分散媒に入れた以外は実施例2と同様に焼結処理してAL金属材を製造した。このAL金属組織の顕微鏡写真を図10に示す。
平均一次粒径(120μm)のAL粉末を用い、カーボンナノフィバーの繊維径が10nmのものを用いて表面の親水化処理を行い、カーボンナノファイバーの添加量を15wt%として分散媒に入れた以外は実施例2と同様に焼結処理してAL金属材を製造した。
カーボンナノフィバーを含有しないものを比較例として示した。
尚、比較例16〜17に見られるように熱伝導率はアルミの粒径が小さくなる程、小さくなったが、これは粉末表面の酸化膜による影響と示唆される。
Claims (16)
- ナノサイズの微細炭素繊維による網目状の被膜を金属粉末表面に有することを特徴とする金属粉末複合材。
- ナノサイズの微細炭素繊維が、平均繊維径1nm〜160nm、アスペクト比5以上であって表面が酸化処理されたカーボンナノチューブないしカーボンナノファイバーである請求項1に記載する金属粉末複合材。
- 金属粉末複合材に含まれる微細炭素繊維の量が0.05〜15.0質量%である請求項1または請求項2に記載する金属粉末複合材。
- 金属粉末の平均一次粒径が0.1μm〜100μmである請求項1〜請求項3の何れかに記載する金属粉末複合材。
- 金属粉末がAL粉末、AL合金粉末、Mg合金粉末、Ti合金粉末、Cu粉末、Cu合金粉末、Ni合金粉末、Cr合金粉末、Fe合金粉末である請求項1〜請求項3の何れかに記載する金属粉末複合材。
- 請求項1〜請求項5の何れかに記載する金属粉末複合材を粉末から成型固化してなる金属複合材。
- 請求項6の金属複合材を基材表面に積層してなる金属積層複合材。
- 基材が、AL、AL合金、Mg合金、Ti合金、Cu、Cu合金、Ni合金、Cr合金、Fe合金である請求項7に記載する金属積層複合材。
- 表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維を溶剤、水から選ばれた一つ以上の分散媒に分散させてなり、金属粉末表面に微細炭素繊維の網目状被覆を形成するのに用いる金属粉末複合材用分散液。
- 表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維を溶剤、水から選ばれた一つ以上の分散媒に分散させてなる分散液に結着剤を添加してなり、金属粉末表面に微細炭素繊維の網目状被覆を形成するのに用いる金属粉末複合材用コーティング組成物。
- 微細炭素繊維の酸性懸濁液に酸化剤を添加し、酸処理して微細炭素繊維の表面を親水化した後に該微細炭素繊維を濾過分離して回収、乾燥させた微細炭素繊維を溶媒と混合して金属粉末複合材用分散液を製造する方法。
- 表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維の分散液に結着剤を加えて金属粉末複合材用コーティング組成物を製造する方法。
- 表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維の分散液に金属粉末を加え、均一に混合した後に乾燥させて、金属粉末表面に微細炭素繊維からなる網目状の被覆を有する金属粉末複合材を製造する方法。
- 表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維の分散液に結着剤を加えてなるコーティング組成物に金属粉末を加え、あるいは上記分散液に結着剤と金属粉末を加え、均一に混合した後に乾燥させて、金属粉末表面に微細炭素繊維からなる網目状の被覆を有する金属粉末複合材を製造する方法。
- 表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維の分散液に結着剤を加えてなるコーティング組成物に金属粉末を加え、あるいは上記分散液に結着剤と金属粉末を加え、均一に混合した後に乾燥させて、金属粉末表面に微細炭素繊維からなる網目状の被覆を有する金属粉末複合材を形成し、該金属粉末複合材の焼結を行って金属複合材を製造する方法、あるいは該金属粉末複合材をCIP、HIPまたはこれらの組み合わせによって成型固化して金属複合材を製造する方法。
- 表面を酸処理して親水化した微細炭素繊維の分散液に結着剤を加えてなるコーティング組成物に金属粉末を加え、あるいは上記分散液に結着剤と金属粉末を加え、均一に混合した後乾燥させて、金属粉末表面に微細炭素繊維からなる網目状の被覆を有する金属粉末複合材を形成し、該金属粉末複合材を焼結して金属複合材を製造し、該金属複合材を非酸化性雰囲気下で溶融または半溶融状態にして基材表面に積層し、金属積層複合材を製造する方法。
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