JP2009029855A - ダイレクトライティング用コロイドゲル材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水溶媒もしくは有機溶媒もしくはそれらの混合溶媒である溶媒、無機粒子、高分子分散剤、および前記溶媒に可溶な第二高分子物質を含有してなるコロイドゲル材料であって、前記無機粒子の平均粒子径が粉体において500nm未満であり、前記溶媒中の前記無機粒子の固体濃度が20vol%以上であり、前記第二高分子物質の個数濃度が前記無機粒子の個数濃度より高く、且つ前記第二高分子物質の前記溶媒中の平均サイズが10nm以上であるダイレクトライティング用コロイドゲル材料。
【選択図】図1
Description
アドバンスド・マテリアル(Advanced Material), Vol.14 (2002) pp.1279 アドバンスド・マテリアル(Advanced Material), Vol.15 (2003) pp.1639
金属塩の添加はゲル化には有効であるが、KやZnはセラミックスの焼成温度でも容易に除去されるものではない。
本発明は、水溶媒だけでなく有機溶媒でも粒子同士の凝集に基づくゲル化を生じ、且つゲル化剤の除去が容易な、ダイレクトライティング用コロイドゲル材料およびダイレクトライティング方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
(1)水溶媒もしくは有機溶媒もしくはそれらの混合溶媒である溶媒、無機粒子、高分子分散剤、および前記溶媒に可溶な第二高分子物質を含有してなるコロイドゲル材料であって、前記無機粒子の平均粒子径が粉体において500nm未満であり、前記溶媒中の前記無機粒子の固体濃度が20vol%以上であり、前記第二高分子物質の個数濃度が前記無機粒子の個数濃度より高く、且つ前記第二高分子物質の前記溶媒中の平均サイズが10nm以上であることを特徴とするダイレクトライティング用コロイドゲル材料、
(2)前記溶媒が水溶媒であり、前記第二高分子物質が、ポリビニルアルコール(PVA)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース塩、およびポリビニルブチラール(PVB)からなる群から選ばれる一つまたはそれらの混合物であることを特徴とする(1)項記載のコロイドゲル材料、
(3)前記溶媒が有機溶媒であり、前記第二高分子物質が、ポリビニルブチラール(PVB)であることを特徴とする(1)項記載のコロイドゲル材料、
(4)前記無機粒子がFe、Cu、Ni、Al、Au、Ag、Pt、およびPdからなる群から選ばれた金属粒子であること特徴とする(1)項記載のコロイドゲル材料、
(5)前記無機粒子が、SiO2、MnO2、ZrO2、TiO2、SnO2、10CaO6PO42H2O、Fe3O4、Fe2O3、Al2O3、ZnO、CuO、BaTiO3、PZT、Y2O3、Si3N4、AlN、SiC、TiC、MgB2、およびZrB2からなる群から選ばれたセラミックスの粒子であることを特徴とする(1)項記載のコロイドゲル材料、
(6)前記高分子分散剤が、重量平均分子量5,000〜100,000であり、前記無機粒子の質量に対して5mass%未満添加されることを特徴とする(1)項記載のコロイドゲル材料、
(7)溶媒中に高分子分散剤の吸着によって無機粒子が分散したコロイド溶液に、第二高分子物質を添加して得られたことを特徴とする(1)記載のコロイドゲル材料、
(8)前記コロイドゲル材料が可塑剤を前記第二高分子物質の添加量に対し50mass%以上含むことを特徴とする(1)項記載のコロイドゲル材料、
(9)降伏応力10Pa以上であって、ノズル通過時に流動性があり、ノズル通過後に大気中においてゲル化することを特徴とする(1)項に記載のコロイドゲル材料、
(10)ノズル通過時に流動性があり、ノズル通過後に液体中においてゲル化するコロイドゲル材料であって、前記液体が前記溶媒と混和でき、且つコロイドゲル中の前記第二高分子物質が不溶な液体であることを特徴とする(1)項に記載のコロイドゲル材料、
(11)溶媒が水、第二高分子物質がポリビニルアルコールである(10)項記載のコロイドゲル材料を用い、エタノールまたは水/エタノール混合液中で、ノズルからの押出しすることを特徴とすることを特徴とするダイレクトライティング方法、および
(12)溶媒がエタノール、第二高分子物質がポリビニルブチラールである(10)項記載のコロイドゲル材料を用い、水または水/エタノール混合液中で、ノズルからの押出しすることを特徴とするダイレクトライティング方法
を提供するものである。
また、「コロイドゲル材料」とは、上記コロイドゲルを形成し得る材料であり、ひずみ速度の増加とともに見かけ粘度が減少し、ひずみから解放すると再びゲル化する、ずり流動化流動を有するものを意味する。
また、本発明において「ダイレクトライティング」マスクや成形型を使わずに、ノズルからのコロイドゲル材料の押出しによって、直接的に基材上に2次元、または、3次元パターンの構造体を作製することをいう。
また、本発明において、「個数濃度」とは、「溶媒1リットルあたりの個数」をいう。
また、本発明で用いられるゲル化剤として用いられる第二高分子物質は、500℃程度以下で十分に除去することができる。
また、可塑剤を添加することにより、バインダーのガラス転移温度を室温付近にまで制御可能であり、このことで、室温乾燥中での圧縮応力の緩和が可能である。
また、本発明により、水やエタノールのような安全な溶媒だけの組み合わせのみで、液体中のダイレクトライティングが可能となる。また、オイル等を使わなくとも良く、ノズルの詰まりを防止することができる。
このコロイドゲルのレオロジー特性は、ずり流動化流動、すなわちせん断速度(ひずみ速度)の増加とともに見かけ粘度が低下するものであり、ダイレクトライティングに好適であった。
金属粒子は有機溶媒中での分散が好ましい。
前記可塑剤が、フタル酸ジブチル、またはポリエチレングリコールが好ましい。
可塑剤の添加量は、高分子バインダーの添加量に対し50〜100mass%であることが好ましく、さらに好ましくは60〜80mass%であり、最も好ましくは80mass%程度である。
第二高分子物質の添加により得られるコロイドゲルの降伏応力は好ましくは10Pa以上、さらに好ましくは50〜500Paのゲルであり、例えば、マイクロノズルからの押出しによって、大気中でコロイド構造体を直接的に基材上に形成するダイレクトライティングが可能である。
すなわち、上記溶媒(以下、「コロイドゲル溶媒」ともいう)と混和でき、且つコロイドゲル中の第二高分子物質が不溶な溶液中(以下、「溶液2」ともいう)で直描できる。コロイドゲル溶媒は溶液2へ拡散するが、第二高分子物質は不溶なため析出するため、コロイドゲルの溶液2中での乾燥が可能になる。この乾燥速度は大気中より安定に制御できるため、ノズル詰まりが生じることはなく、安定な直描を可能にする。この組み合わせとして、コロイドゲル溶媒が水、第二高分子物質がポリビニルアルコール、溶液2がエタノールもしくは水/エタノール混合、コロイドゲル溶媒がエタノール、第二高分子物質がポリビニルブチラール、溶液2が水もしくは水/エタノール混合液が好ましい。
本発明において、「コロイド構造体」とはコロイドゲル材料がマイクロノズル等の押し出しによって流動化した後、再ゲル化したことにより得られる2次元もしくは3次元パターンの造形物をいう。
また、ダイレクトライティングされる基材としては、シリコン等の半導体、石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス等のガラス、アルミナ、ジルコニア等の多結晶セラミックス、銅、ステンレス鋼等の金属などが挙げられる。
比表面積13.2m2/g(換算粒子径77nm)の8molY2O3−ZrO2(8YSZ、東ソー TZ−8YS)を無機粒子として用いた。溶媒として、特級エタノール(99.5%)を用いた。高分子分散剤として、分子量10,000のポリエチレンイミン(PEI、日本触媒(株) SP−200)を用いた。第二高分子物質として高分子バインダーである重量平均分子量約63,000のポリビニルブチラール(PVB、電気化学工業(株) デンカブチラール#3000−K)を用いた。可塑剤として、フタル酸ジブチル(和光純薬(株) 特級)を用いた。エタノール、無機粒子の粉体量の1.5mass%に相当する量のPEI、所定の体積分率となる無機粒子の粉体試料(38vol%)をボールミリング処理することにより、コロイド溶液を得た。続いて、高速回転羽根式の攪拌機を用いて攪拌しつつ、ポリビニルブチラール(無機粒子の粉体量の3mass%)およびフタル酸ブチル(無機粒子の粉体量の2.4mass%)を溶解させ、コロイドゲルを作製した。コロイドゲルは試験に使われるまで、密閉容器の中、室温下で保存された。
表1、2に、このコロイドゲル調製条件を示す。
なお、平均粒子表面間距離は、まず無機粒子の平均粒子径を、日機装(株)マイクロトラック粒度分布分析計で計測し、この平均粒子径と体積濃度(30vol%)を用いて(1)より算出し、平均第二高分子サイズは、日機装(株)ナノトラック粒度分布分析計により測定した。
回転式粘度計(Thermo Electron Co.製Viscotester550)を用い、温度25℃において、せん断速度(Gp)0〜300s−1間で、見かけ粘度を測定した。実施例1のコロイド溶液、並びにコロイドゲルを試験した。図1に、見かけ粘度−せん断速度(ひずみ速度)の関係を示す。図中の二つの特性は、いずれも見かけ粘度がせん断速度の増加に対して低下している。より大きなひずみが加わることにより、粒子凝集構造が崩壊し、個々の粒子がより流動化することに起因する。第二高分子物質の添加により、見かけ粘度が二桁以上増加しており、個々の粒子間に大きな凝集力が誘起されたと示唆される。
回転式粘度計(Thermo Electron Co.製Viscotester550)を用い、温度25℃において、せん断速度(Gp) 0〜300s−1間で、せん断応力(τ)を測定した。次のCassonの式のフィッティングから、降伏応力を見積もった。
マイクロノズル(内径200μm)を用いて、調製したコロイドゲルを約1mm/minの速度で、ガラスからなる素材の基材上に押出し、直描性能を目視観察した。
図3に、大気中にマイクロノズルから押しだしたときに得られたコロイド構造体(再ゲル化構造体)を示す。再ゲル化構造体の径はマイクロノズルの径とほぼ同じであった。図中、縦、横のバーはそれぞれ200μmを示す。
図4は、ステンレス鋼からなる素材の凹凸表面上に描画して作製した(乾燥後)コロイド構造体である。再ゲル化と同時に、溶媒(エタノール)の乾燥により、より強度が増すため、凹凸表面を自己支持した構造体が得られた。
図5は、このエタノール系コロイドゲルを、水中で直描したものを取り出してSEM観察したものである。コロイド構造体を白矢印で示す。エタノール中では高分子バインダー(PVB)は可溶であるが、水中では不溶である。一方、エタノールは水と混和するため、エタノールは水中へ浸透圧差によって拡散する。この二つの性質を利用することにより、溶媒中乾燥によって、ノズル詰まりが生じないコロイド構造体の作製が可能になった。
アルミナ(TMDAR、大明科学製、平均粒子径200nm)を無機粒子として用いた。溶媒として、超純水を用いた。分散剤として、分子量8,000のポリアクリル酸アンモニウム塩(PAA、中京油脂製、セルナD305)を用いた。第二高分子物質として、分子量約100,000のポリビニルアルコール(PVA)を用いた。
超純粋水に無機粒子の粉体量の0.8mass%に相当する量のPAAを溶解させて分散溶媒を調合した。続いて、アルミナ製ボールミルポット(容量1000ml、内径105mm)にアルミナボールと前記の分散液を投入した後、所定の体積率となる無機粒子の粉体試料(35vol%)を投入して回転数約40rpmで24hボールミリング処理した。ボールミリング後、高速回転羽根式の攪拌機を用いて攪拌しつつ、スラリー中にPVA(粉体量の3mass%)を溶解させた。
Claims (12)
- 水溶媒もしくは有機溶媒もしくはそれらの混合溶媒である溶媒、無機粒子、高分子分散剤、および前記溶媒に可溶な第二高分子物質を含有してなるコロイドゲル材料であって、前記無機粒子の平均粒子径が粉体において500nm未満であり、前記溶媒中の前記無機粒子の固体濃度が20vol%以上であり、前記第二高分子物質の個数濃度が前記無機粒子の個数濃度より高く、且つ前記第二高分子物質の前記溶媒中の平均サイズが10nm以上であることを特徴とするダイレクトライティング用コロイドゲル材料。
- 前記溶媒が水溶媒であり、前記第二高分子物質が、ポリビニルアルコール(PVA)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース塩、およびポリビニルブチラール(PVB)からなる群から選ばれる一つまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載のコロイドゲル材料。
- 前記溶媒が有機溶媒であり、前記第二高分子物質が、ポリビニルブチラール(PVB)であることを特徴とする請求項1記載のコロイドゲル材料。
- 前記無機粒子がFe、Cu、Ni、Al、Au、Ag、Pt、およびPdからなる群から選ばれた金属粒子であること特徴とする請求項1記載のコロイドゲル材料。
- 前記無機粒子が、SiO2、MnO2、ZrO2、TiO2、SnO2、10CaO6PO42H2O、Fe3O4、Fe2O3、Al2O3、ZnO、CuO、BaTiO3、PZT、Y2O3、Si3N4、AlN、SiC、TiC、MgB2、およびZrB2からなる群から選ばれたセラミックスの粒子であることを特徴とする請求項1記載のコロイドゲル材料。
- 前記高分子分散剤が、重量平均分子量5,000〜100,000であり、前記無機粒子の質量に対して5mass%未満添加されることを特徴とする請求項1記載のコロイドゲル材料。
- 溶媒中に高分子分散剤の吸着によって無機粒子が分散したコロイド溶液に、第二高分子物質を添加して得られたことを特徴とする請求項1記載のコロイドゲル材料。
- 前記コロイドゲル材料が可塑剤を前記第二高分子物質の添加量に対し50mass%以上含むことを特徴とする請求項1記載のコロイドゲル材料。
- 降伏応力10Pa以上であって、ノズル通過時に流動性があり、ノズル通過後に大気中においてゲル化することを特徴とする請求項1に記載のコロイドゲル材料。
- ノズル通過時に流動性があり、ノズル通過後に液体中においてゲル化するコロイドゲル材料であって、前記液体が前記溶媒と混和でき、且つコロイドゲル中の前記第二高分子物質が不溶な液体であることを特徴とする請求項1に記載のコロイドゲル材料。
- 溶媒が水、第二高分子物質がポリビニルアルコールである請求項10記載のコロイドゲル材料を用い、エタノールまたは水/エタノール混合液中で、ノズルからの押出しすることを特徴とすることを特徴とするダイレクトライティング方法。
- 溶媒がエタノール、第二高分子物質がポリビニルブチラールである請求項10記載のコロイドゲル材料を用い、水または水/エタノール混合液中で、ノズルからの押出しすることを特徴とするダイレクトライティング方法。
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