JP2016053160A - フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性に優れ、かつ、環境に優しい透明なフィルムを提供する。【解決手段】本発明のフィルムは、水溶性ポリマー、表面に水酸基を有する金属酸化物ナノ粒子および水を混合した分散液を溶媒キャスト法により成形することにより得られる。【選択図】図1
Description
本発明は、ポリマーと金属ナノ粒子とから構成される透明なフィルムに関する。
金属や金属酸化物などのナノメートルサイズからなるナノ粒子は、マイクロメートルサイズの粒子と比較して著しく大きな比表面積を有するため、新しい機能の発現が期待されている。そこで、近年、ポリマーにナノ粒子を分散させるポリマーナノハイブリッドが広く研究されている。ポリマーナノハイブリッドは、両者を溶融状態で直接ブレンドする簡便で工業的な方法を利用して調製できる。しかし、ナノ粒子は粒子間で凝集が起こりやすく、ナノ粒子を一次粒子としてポリマーに均一分散させることは極めて難しい。
例えば、ガラスビーズとポリマーをエチルアルコールでブレンドすることにより、フィルムを形成する方法が開示されている(非特許文献1)。
Shoichiro Yano, Polymer, 1994, 5565−5570
しかしながら、非特許文献1では、粒径が20〜40μmのガラスビーズが用いられており、フィルムの透明性は十分ではない。また、ガラスビーズとポリマーをブレンドするために有機溶媒が用いられており、環境負荷の低減が求められている。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、透明性に優れ、かつ、環境に優しい透明なフィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るフィルムは、水溶性ポリマー、表面に水酸基を有する金属酸化物ナノ粒子および水を混合した分散液を溶媒キャスト法により成形したことを特徴とする。
前記水溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、デンプン、キトサンおよびコンニャクグルコマンナンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記金属酸化物ナノ粒子は、SiO2、TiO2およびZrO2からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記水溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロースであって、前記金属酸化物ナノ粒子は、SiO2であり、前記水溶性ポリマーと前記金属酸化物ナノ粒子との重量比は、50:50〜20:80であることが好ましい。
さらに、前記水溶性ポリマーは、ポリ−N−ビニルアセトアミドであって、前記金属酸化物ナノ粒子は、SiO2であり、前記水溶性ポリマーと前記金属酸化物ナノ粒子との重量比は、99:1〜30:70であることが好ましい。
また、前記水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールであって、前記金属酸化物ナノ粒子は、SiO2であり、前記水溶性ポリマーと前記金属酸化物ナノ粒子との重量比は、70:30〜30:70であることが好ましい。
また本発明に係るフィルムの製造方法は、水溶性ポリマー、表面に水酸基を有する金属酸化物ナノ粒子および水を混合した分散液を溶媒キャスト法により成形することを特徴する。
本発明に係るフィルムは、ポリマーに金属ナノ粒子が均一に配置されており、高い透明性を有する。また、有機溶媒が用いられず、環境に優しい。
本発明に係るフィルムは、水溶性ポリマー、表面に水酸基を有する金属酸化物ナノ粒子および水を混合した分散液を用いて、溶媒キャスト法により成形される。
水溶性ポリマーは、金属酸化物ナノ粒子の表面に配置されている水酸基と水素結合を形成することが可能な官能基を有していることが好ましい。このような官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミド基が挙げられる。特に、ポリマーを構成するモノマー構造に、水素結合を形成することが可能な官能基が存在することが好ましい。具体的に、水溶性ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、デンプン、キトサン、コンニャクグルコマンナンが挙げられる。これらの水溶性ポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水溶性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、例えば、1.0×104〜1.0×106である。
金属酸化物ナノ粒子は、通常公知のゾル−ゲル法によって製造可能な粒子である。表面の水酸基は未修飾であり、水分散性である。平均粒径は、特に限定されないが、例えば、10nm〜300nmである。
具体的に、金属酸化物ナノ粒子としては、SiO2、TiO2、ZrO2が挙げられる。これらの金属酸化物ナノ粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、ヒドロキシプロピルセルロースとSiO2粒子の組み合わせでは、ヒドロキシプロピルセルロースとSiO2粒子の重量比は、50:50〜20:80であることが好ましい。また、ポリ−N−ビニルアセトアミドとSiO2粒子の組み合わせでは、ポリ−N−ビニルアセトアミドとSiO2粒子の重量比は、99:1〜30:70であることが好ましい。また、ポリビニルアルコールとSiO2粒子の組み合わせでは、ポリビニルアルコールとSiO2粒子の重量比は、70:30〜30:70であることが好ましい。重量比をこの範囲に設定することにより、高い透明性を有するフィルムを得ることができる。
また、本発明のフィルムは、透明フィルムであることが好ましい。フィルムの透明性は高いほど好ましく、例えば、紫外可視スペクトルにおける波長400nmの透過率が、80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上であり、更に好ましくは90%以上である。
本発明に係るフィルムの製造方法は、水溶性ポリマー、表面に水酸基を有する金属酸化物ナノ粒子および水を混合した分散液を溶媒キャスト法により成形することを特徴する。より具体的には、水溶性ポリマー、表面に水酸基を有する金属酸化物ナノ粒子および水を混合した分散液を調製する工程と、調製した分散液から溶媒キャスト法により水を蒸発させる工程とを含むことが好ましい。本発明に係るフィルムの製造方法は、特に透明フィルムを作製する場合に好適である。
ここで溶媒キャスト法とは、ポリマー等の溶質を溶媒に溶解させて均一な溶液または分散液を調製し、その後、溶媒を揮散させることによって薄膜を得る方法である。
分散液を調製する際に、水溶性ポリマー、金属酸化物ナノ粒子および水を混合させる順序は特に限定されない。例えば、水溶性ポリマーを水に溶解させた後、ポリマー水溶液に金属酸化物ナノ粒子を添加してもよく、金属酸化物ナノ粒子を水に分散させた後、ナノ粒子分散液に水溶性ポリマーを添加してもよい。
分散液の固形分濃度は、2〜10重量%が好ましく、5〜10重量%がより好ましい。固形分濃度が10重量%を超えると、分散液の粘度が高くなり、取り扱いが困難となる傾向にある。一方、固形分濃度が少なくなるほど膜厚の調整が困難となる傾向にある。
分散液は、通常公知の攪拌方法で調製可能である。例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、超音波分散機等が用いられる。
溶媒キャスト法において、分散液は、常温常圧で所定の形状を維持したまま静置される。なお、水を99重量%以上蒸発させた後、フィルム中に残存する水を完全に除去するために、乾燥機を用いてフィルムを乾燥させてもよい。
本発明に係るフィルムは、水溶性ポリマー、表面に水酸基を有する金属酸化物ナノ粒子および水を混合した分散液を溶媒キャスト法により成形することにより得られる。水溶性ポリマーと金属酸化物ナノ粒子とが相互作用することで、金属酸化物ナノ粒子が凝集することなく均一に分散する。また、溶媒キャスト法により成形することで、金属酸化物ナノ粒子が均一に分散した状態を維持しながらフィルムが形成され、透明性に優れる。さらに、水溶性ポリマーおよび金属酸化物ナノ粒子を水に溶解又は分散させるため、環境面においても優れる。
このような本発明のフィルムは、水溶性ポリマー、表面に水酸基を有する金属酸化物ナノ粒子および水を混合した分散液を溶媒キャスト法により成形することで、分散液から水が除去されることにより形成されるため、好ましくは、水溶性ポリマーと、表面に水酸基を有する金属酸化物ナノ粒子とから構成される。なお、本発明のフィルムは、必要に応じて分散剤や帯電防止剤、可塑剤、染料・顔料などの各種添加剤を含んでいてもよく、その含有量はフィルム全体の10%未満であることが好ましい。また、本発明のフィルムは、わずかな水分を含んでいてもよく、その含有量はフィルム全体の1%未満であることが好ましい。
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
ヒドロキシプロピルセルロース(重量平均分子量1.0×105)とSiO2粒子水分散液(扶桑化学工業社製(PL−1−SL)、粒径12.3nm、濃度20.1重量%)の固形分総量が3gになるように調製し、固形分濃度が10重量%になるようイオン交換水を添加した後、攪拌した。具体的に、ヒドロキシプロピルセルロースとSiO2粒子の重量比が、100/0、90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、40/60、30/70、20/80、10/90、0/100である、11の試料(分散液)を作製した。各試料を直径85mmのポリスチレン製ペトリ皿に入れ、常温常圧で水を蒸発させた。得られた各フィルムの厚さは300μm〜350μmであった。
ヒドロキシプロピルセルロース(重量平均分子量1.0×105)とSiO2粒子水分散液(扶桑化学工業社製(PL−1−SL)、粒径12.3nm、濃度20.1重量%)の固形分総量が3gになるように調製し、固形分濃度が10重量%になるようイオン交換水を添加した後、攪拌した。具体的に、ヒドロキシプロピルセルロースとSiO2粒子の重量比が、100/0、90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、40/60、30/70、20/80、10/90、0/100である、11の試料(分散液)を作製した。各試料を直径85mmのポリスチレン製ペトリ皿に入れ、常温常圧で水を蒸発させた。得られた各フィルムの厚さは300μm〜350μmであった。
(実施例2)
ポリ−N−ビニルアセトアミド(重量平均分子量5.0×105)とSiO2粒子水分散液(扶桑化学工業社製(PL−1−SL)、粒径12.3nm、濃度20.1重量%)の固形分総量が3gになるように調製し、固形分濃度が10重量%になるようイオン交換水を添加した後、攪拌した。具体的に、ポリ−N−ビニルアセトアミドとSiO2粒子の重量比が、100/0、90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、40/60、30/70、20/80、10/90、0/100である、11の試料(分散液)を作製した。各試料を直径85mmのポリスチレン製ペトリ皿に入れ、常温常圧で水を蒸発させた。得られた各フィルムの厚さは300μm〜350μmであった。
ポリ−N−ビニルアセトアミド(重量平均分子量5.0×105)とSiO2粒子水分散液(扶桑化学工業社製(PL−1−SL)、粒径12.3nm、濃度20.1重量%)の固形分総量が3gになるように調製し、固形分濃度が10重量%になるようイオン交換水を添加した後、攪拌した。具体的に、ポリ−N−ビニルアセトアミドとSiO2粒子の重量比が、100/0、90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、40/60、30/70、20/80、10/90、0/100である、11の試料(分散液)を作製した。各試料を直径85mmのポリスチレン製ペトリ皿に入れ、常温常圧で水を蒸発させた。得られた各フィルムの厚さは300μm〜350μmであった。
(実施例3)
ポリ−N−ビニルアセトアミド(重量平均分子量5.0×105)とSiO2粒子水分散液(扶桑化学工業社製(PL−1−SL)、粒径12.3nm、濃度20.1重量%)の固形分総量が3gになるように調製し、固形分濃度が2重量%になるようイオン交換水を添加した後、攪拌した。具体的に、ポリ−N−ビニルアセトアミドとSiO2粒子の重量比が、100/0、90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、40/60、30/70、20/80、10/90、0/100である、11の試料(分散液)を作製した。各試料を直径85mmのポリスチレン製ペトリ皿に入れ、常温常圧で水を蒸発させた。得られた各フィルムの厚さは300μm〜350μmであった。
ポリ−N−ビニルアセトアミド(重量平均分子量5.0×105)とSiO2粒子水分散液(扶桑化学工業社製(PL−1−SL)、粒径12.3nm、濃度20.1重量%)の固形分総量が3gになるように調製し、固形分濃度が2重量%になるようイオン交換水を添加した後、攪拌した。具体的に、ポリ−N−ビニルアセトアミドとSiO2粒子の重量比が、100/0、90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、40/60、30/70、20/80、10/90、0/100である、11の試料(分散液)を作製した。各試料を直径85mmのポリスチレン製ペトリ皿に入れ、常温常圧で水を蒸発させた。得られた各フィルムの厚さは300μm〜350μmであった。
(実施例4)
ポリビニルアルコール(重量平均分子量1.5×104)とSiO2粒子水分散液(扶桑化学工業社製(PL−1−SL)、粒径12.3nm、濃度20.1重量%)の固形分総量が3gになるように調製し、固形分濃度が10重量%になるようイオン交換水を添加した後、攪拌した。具体的に、ポリビニルアルコールとSiO2粒子の重量比が、100/0、90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、40/60、30/70、20/80、10/90、0/100である、11の試料(分散液)を作製した。各試料を直径85mmのポリスチレン製ペトリ皿に入れ、常温常圧で水を蒸発させた。得られた各フィルムの厚さは300μm〜350μmであった。
ポリビニルアルコール(重量平均分子量1.5×104)とSiO2粒子水分散液(扶桑化学工業社製(PL−1−SL)、粒径12.3nm、濃度20.1重量%)の固形分総量が3gになるように調製し、固形分濃度が10重量%になるようイオン交換水を添加した後、攪拌した。具体的に、ポリビニルアルコールとSiO2粒子の重量比が、100/0、90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、40/60、30/70、20/80、10/90、0/100である、11の試料(分散液)を作製した。各試料を直径85mmのポリスチレン製ペトリ皿に入れ、常温常圧で水を蒸発させた。得られた各フィルムの厚さは300μm〜350μmであった。
図1に、実施例1で作製した試料およびフィルムの紫外可視スペクトルにおける透過率(波長400nm)を示す。また、図2に、実施例2で作製した試料およびフィルムの紫外可視スペクトルにおける透過率(波長400nm)を示す。さらに、図3に、実施例3で作製した試料およびフィルムの紫外可視スペクトルにおける透過率(波長400nm)を示す。また、図4に、実施例4で作製した試料およびフィルムの紫外可視スペクトルにおける透過率(波長400nm)を示す。
図1に示すように、固形分濃度が10重量%のヒドロキシプロピルセルロースとSiO2粒子とからなる分散液は、透過率が76〜86%と、いずれも高い値を示した。また、当該分散液を用いて作製されたヒドロキシプロピルセルロースとSiO2粒子とからなるフィルムでは、SiO2粒子の含有量が0重量%から30重量へと増加するにつれて透過率が低下し、30重量%を超えると透過率が上昇することが分かった。そして、SiO2粒子の含有量が50重量%では透過率が90%以上と非常に高い値を示し、SiO2粒子の含有量をさらに増加させても、80重量%までは高い透過率を維持したままであることが分かった。しかし、ヒドロキシプロピルセルロースとSiO2粒子の重量比が10/90、つまりSiO2粒子の含有量が90重量%では透過率がやや低下した。これは、ヒドロキシプロピルセルロースの含有量が少なく、ポリマー鎖にSiO2粒子が多量に吸着して大きな凝集体が形成され、SiO2粒子マトリックス中でこの凝集体が沈澱沈降したためであると考えられる。
図2に示すように、固形分濃度が10重量%のポリ−N−ビニルアセトアミドとSiO2粒子とからなる分散液では、SiO2粒子の含有量が10重量%付近と70〜80重量%において、透過率が40〜60%と低いが、他の重量組成では80%付近といずれも高い値を示した。SiO2粒子の含有量が10重量%付近における白濁した分散液は、時間が経過するとともに白濁成分が極少量の沈殿物として沈降し、上澄み液は透明となった。SiO2粒子の含有量が70重量%では、透過率が低下するものの沈澱は生じないが、80〜90重量%においては白濁成分が沈澱物として沈降した。一方、当該分散液を用いて作製されたポリ−N−ビニルアセトアミドとSiO2粒子とからなるフィルムでは、SiO2粒子の含有量が0重量%のポリ−N−ビニルアセトアミドフィルムは透明であり、その透過率はほぼ100%と高い値を示し、SiO2粒子の含有量が70重量%までは徐々に低下するが90%以上の高い透過率を保持した。しかし、SiO2粒子の含有量が80〜90重量%では透過率は急激に低下することが分かった。これは、ヒドロキシプロピルセルロースの場合(図1)と同じく、ポリ−N−ビニルアセトアミドの含有量が少なく、ポリマー鎖にSiO2粒子が多量に吸着して大きな凝集体が形成されたためであると考えられる。また、ポリ−N−ビニルアセトアミドフィルムを含まないSiO2粒子の含有量が100重量%のフィルムは図1と同様に高い透過率を示す。
図3に示すように、固形分濃度が2重量%のポリ−N−ビニルアセトアミドとSiO2粒子とからなる分散液は、透過率が95%付近といずれも高い値を示した。また、当該分散液を用いて作製されたポリ−N−ビニルアセトアミドとSiO2粒子とからなるフィルムでは、SiO2粒子の含有量が80〜90重量%において、透過率が50%以下と低いが、他の重量組成では90%付近といずれも高い値を示した。また、ポリ−N−ビニルアセトアミドフィルムを含まないSiO2粒子の含有量が100重量%のフィルムは図1と同様に高い透過率を示す。
図4に示すように、固形分濃度が10重量%のポリビニルアルコールとSiO2粒子とからなる分散液では、SiO2粒子の含有量が0重量%において透過率が90%以上と高い値を示したが、SiO2粒子の含有量が10重量%になると透過率は急激に低下することが分かった。しかし、SiO2粒子の含有量の増加に伴い、分散液の透過率は徐々に回復し、SiO2粒子の含有量が50重量%以上では、透過率が80%以上と高い値を示した。一方、当該分散液を用いて作製されたポリビニルアルコールとSiO2粒子とからなるフィルムでは、SiO2粒子の含有量が10〜20重量%において透過率が40〜60%と低く、SiO2粒子の含有量が80〜90重量%では透過率はさらに低下するが、SiO2粒子の含有量が30〜70重量%では透過率が80%以上と高い値を示した。また、ポリビニルアルコールを含まないSiO2粒子の含有量が100重量%のフィルムは図1と同様に高い透過率を示す。
ヒドロキシプロピルセルロースの場合、SiO2粒子の含有量が少ないときには、SiO2粒子と吸着しない遊離ポリマーが分散液中に多く存在する。水が蒸発していく過程で、この遊離ポリマーが非晶相および液晶相を形成するため、透過率が低下するものと考えられる。一方、SiO2粒子の含有量が増加すると、ポリマー全体がSiO2粒子と吸着し、SiO2粒子がポリマーマトリックス内で安定的に均一に分散する。これにより、透過率が増加するものと考えられる。また、ポリ−N−ビニルアセトアミドの場合、本質的に非晶性であることからヒドロキシプロピルセルロースと異なり、2相分離することなく透明なフィルムを形成する。SiO2粒子の含有量が少ないときにはポリ−N−ビニルアセトアミドが吸着したSiO2粒子はポリ−N−ビニルアセトアミド相に均一に分散したと考えられる。SiO2粒子の含有量が多くなるとほとんど全てのポリマー鎖がSiO2粒子とランダムに吸着し、SiO2粒子がポリマーマトリックス内で安定的に均一に分散し、高い透過率が保持された。しかしながら、SiO2粒子の含有量がさらに増えてヒドロキシプロピルセルロースの場合90重量%、またポリ−N−ビニルアセトアミドの場合80〜90重量%で透過率が低下したのは、少ない含有量のポリマー鎖にSiO2粒子がより密度高く吸着し、大きな凝集体を形成した結果、それらが沈澱沈降したことによると考えられる。
以上より、水溶性ポリマーと金属酸化物ナノ粒子とを適切な割合で混合すると、水溶性ポリマーと金属酸化物ナノ粒子間で相互作用が発現し、金属酸化物ナノ粒子間で凝集することなく、均一に分散した状態で水が蒸発していくものと考えられる。その結果、高い透明性を有するフィルムが得られることが分かった。
Claims (7)
- 水溶性ポリマー、表面に水酸基を有する金属酸化物ナノ粒子および水を混合した分散液を溶媒キャスト法により成形したことを特徴とするフィルム。
- 前記水溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、デンプン、キトサンおよびコンニャクグルコマンナンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
- 前記金属酸化物ナノ粒子は、SiO2、TiO2およびZrO2からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム。
- 前記水溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロースであって、
前記金属酸化物ナノ粒子は、SiO2であり、
前記水溶性ポリマーと前記金属酸化物ナノ粒子との重量比は、50:50〜20:80であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルム。 - 前記水溶性ポリマーは、ポリ−N−ビニルアセトアミドであって、
前記金属酸化物ナノ粒子は、SiO2であり、
前記水溶性ポリマーと前記金属酸化物ナノ粒子との重量比は、99:1〜30:70であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルム。 - 前記水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールであって、
前記金属酸化物ナノ粒子は、SiO2であり、
前記水溶性ポリマーと前記金属酸化物ナノ粒子との重量比は、70:30〜30:70であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルム。 - 水溶性ポリマー、表面に水酸基を有する金属酸化物ナノ粒子および水を混合した分散液を溶媒キャスト法により成形することを特徴とするフィルムの製造方法。
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CN108395582A (zh) * | 2018-04-11 | 2018-08-14 | 河北农业大学 | 一种木薯淀粉-聚乙烯醇-壳聚糖复合薄膜及其制备方法 |
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