JP2015054896A - 粉体組成物及びその製造方法、分散液、並びにコーティング組成物 - Google Patents

粉体組成物及びその製造方法、分散液、並びにコーティング組成物 Download PDF

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健敏 臼井
健太郎 白石
Kentaro Shiraishi
健太郎 白石
伊豆 典哉
Noriya Izu
伊豆  典哉
申 ウソク
Usoku Shin
申  ウソク
伊藤 敏雄
Toshio Ito
敏雄 伊藤
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Takafumi Akamatsu
貴文 赤松
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Abstract

【課題】可視光の透過率が高く、赤外線に対する高い遮蔽性を有する粉体組成物及びその製造方法を提供すると共に、粉体組成物の分散安定性の高い分散液、並びに粉体組成物の分散安定性が高く、成膜性に優れた赤外線遮蔽作用を有するコーティング組成物を提供することを目的とする。【解決手段】アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を含むコア部と、高分子を含むシェル部と、を有する、平均粒径が20nm以上1000nm以下のコアシェル型微粒子と、亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物と、を含み、該亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の走査型電子顕微鏡画像面積比率が、前記コアシェル型微粒子及び前記亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の総面積100%に対して、50%以下である、粉体組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、粉体組成物及びその製造方法、分散液、並びにコーティング組成物に関する。
近年、窓ガラスや太陽電池用のフロントガラスにおいて、太陽光線の中で不必要な波長領域の光をカットしてエネルギーロスの削減に取り組む試みが行われている。例えば、太陽電池は特定波長領域の光を吸収して電気に変換する光電変換素子よりなるが、電気に変換できない光は熱に変わり素子の温度上昇を引き起こす。素子の温度が上昇すると光電変換効率が低下し、エネルギーロスを引き起こす。これを改良する取り組みとして、光電変換に関与する波長の光は透過して、光電変換に関与しない波長、特に赤外線領域の光を太陽電池用のフロントガラスで遮蔽する検討が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
アルミニウムドープ酸化亜鉛に赤外線遮蔽作用が有ることは既に知られている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)が、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を水や有機溶媒等に安定に分散することが課題である。
一方で、酸化亜鉛の微粒子を水や有機溶媒等に安定に分散できる技術として、コアシェル型の酸化亜鉛粒子を用いる方法が研究されている(例えば、特許文献4参照。)。さらに、本技術をアルミニウムドープ酸化亜鉛粒子に適用した研究が実施されている(例えば、非特許文献1参照。)。
特開平9−162435号公報 特開平8−253317号公報 特開2006−182599号公報 特開2009−184885号公報
伊豆典哉ら,日本セラミックス協会 2012年 年会公演予行集P69
しかしながら、コアシェル型のアルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を分散したコーティング組成物を成膜する場合、微粒子間に働く凝集力が小さいために、構造粘性を発現しにくく、ダレや皺等によって膜厚バラツキが大きい、平滑性の劣ったコーティング膜が形成されるという課題を有し、改良が求められている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、可視光の透過率が高く、赤外線に対する高い遮蔽性を有する粉体組成物及びその製造方法を提供すると共に、該粉体組成物を含む分散液、並びに前記粉体組成物を含み、赤外線遮蔽作用を有するコーティング組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のコアシェル型微粒子と特定の板状物質を特定比率で含有する粉体組成物により、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を含むコア部と、高分子を含むシェル部と、を有する、平均粒径が20nm以上1000nm以下のコアシェル型微粒子と、
亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物と、を含み、
該亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の走査型電子顕微鏡画像面積比率が、前記コアシェル型微粒子及び前記亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の総面積100%に対して、50%以下である、粉体組成物。
〔2〕
亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の走査型電子顕微鏡画像面積比率が、前記コアシェル型微粒子及び前記亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の総面積100%に対して、0.1%以上50%以下である、前項〔1〕に記載の粉体組成物。
〔3〕
前記高分子が、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリエチレングリコールの1種又は2種以上が架橋した高分子;並びに多価アルコールと、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールの1種又は2種以上と、が架橋した高分子からなる群より選択される1種以上を含む、前項〔1〕又は〔2〕に記載の粉体組成物。
〔4〕
前項〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の粉体組成物が分散媒中に分散した、分散液。
〔5〕
前記分散媒が、水、モノアルコール系分散媒、及びジアルコール系分散媒からなる群より選択される1種以上の分散媒を含む、前項〔4〕に記載の分散液。
〔6〕
前項〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の粉体組成物又は〔4〕又は〔5〕に記載の分散液を含有する、コーティング組成物。
〔7〕
アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を含むコア部と、高分子を含むシェル部と、を有する、平均粒径が20nm以上1000nm以下のコアシェル型微粒子と、亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物と、がアルコール系溶剤に分散した原料分散液を得る工程1と、
前記原料分散液から溶出物を含むアルコール系溶剤を除去し、亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の比率を減少させる工程2と、を有する、粉体組成物の製造方法。
本発明によれば、可視光の透過率が高く、赤外線に対する高い遮蔽性を有する粉体組成物及びその製造方法を提供することができると共に、該粉体組成物を含む分散液、並びに前記粉体組成物を含み、赤外線遮蔽作用を有するコーティング組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔粉体組成物〕
本実施形態に係る粉体組成物は、
アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を含むコア部と、高分子を含むシェル部と、を有する、平均粒径が20nm以上1000nm以下のコアシェル型微粒子と、
亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物(以下、「LDH」ともいう。)と、を含み、
該亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の走査型電子顕微鏡画像面積比率が、前記コアシェル型微粒子及び前記亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の総面積100%に対して、50%以下である。
本実施形態に係る粉体組成物は、可視光の透過率が高く、赤外線に対する高い遮蔽性を有する。さらに、本実施形態に係る粉体組成物は、分散安定性が高いため、より安定な分散液を得ることができ、さらに、より安定で成膜性にも優れる赤外線遮蔽作用を有するコーティング組成物を得ることもできる。
〔コアシェル型微粒子〕
本実施形態に係る粉体組成物は、コアシェル型微粒子を含む。コアシェル型微粒子は、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を含むコア部の表面に高分子を含むシェル部が形成した微粒子であり、平均粒径が20nm以上1000nm以下である。
(コア部:アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子)
コア部に含まれるアルミニウムドープ酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛とアルミニウムが固溶体を形成した粒子(一次粒子)である。安定なコアシェル型微粒子を得るためには、コア部としては該一次粒子が略球状に凝集して二次粒子を形成していることが好ましい。
コア部におけるアルミニウムの含有量は、亜鉛とアルミニウムの総量100mol%に対して、0.3mol%以上2.5mol%以下が好ましく、0.5mol%以上2.3mol%以下がより好ましく、0.7mol%以上2.1mol%以下がさらに好ましい。アルミニウムの含有量が上記範囲内であることにより、赤外線遮蔽性がより高くなる傾向にある。なお、アルミニウムの含有量は、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(STEM−EDX)により求めることができる。
(シェル部:高分子)
シェル部に含まれる高分子としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリエチレングリコールの1種又は2種以上が架橋した高分子;並びに多価アルコールと、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリエチレングリコールの1種又は2種以上とが相互に架橋した高分子等が挙げられる。このような高分子を用いることにより、分散安定性がより優れる傾向にある。なお、高分子は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ここで多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオベンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。このなかでも、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましく、ジエチレングリコールがより好ましい。このような多価アルコールを用いることにより、コアシェル型微粒子の安定性がより向上する傾向にある。
コアシェル型微粒子に占めるシェル部の含有量は、2質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましく、6質量%以上12質量%以下がさらに好ましい。シェル部の含有量が上記範囲内であることにより、分散安定性と赤外線遮蔽効果がより優れる傾向にある。シェル部の含有量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
コアシェル型微粒子の平均粒径は、20nm以上1000nm以下であり、30nm以上500nm以下が好ましく、50nm以上200nm以下がより好ましい。平均粒径が20nm以上であることにより、コアシェル型微粒子の分散安定性がより向上する。また、平均粒径が1000nm以下であることにより、分散液中又はコーティング組成物中でコアシェル型微粒子が沈降し難くなる上、平滑性に優れた塗膜が得られ易い。コアシェル型微粒子の平均粒径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物〕
本実施形態に係る粉体組成物は、亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物を含む。「亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物」とは、亜鉛の水酸化物中にアルミニウムが固溶した陽イオン性の複水酸化物が、陰イオンを含有する層間水を介して多層に積層した板状物質をいう。
ここで陰イオンとしては、特に限定されないが、例えば、炭酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン等が挙げられる。このなかでも、炭酸イオンが好ましい。このような陰イオンを用いることにより、生成するLDHの安定性がより高くなる傾向にある。
LDHの大きさは、1000nm以下が好ましく、30nm以上500nm以下がより好ましく、50nm以上200nm以下がさらに好ましい。LDHの大きさが上記範囲内であることにより、分散液中又はコーティング液中でコアシェル型微粒子が沈降し難くなる上、平滑性に優れた塗膜が得られ易い傾向にある。尚、LDHの大きさは、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔走査型電子顕微鏡画像面積比率〕
「走査型電子顕微鏡画像面積比率」とは、本実施形態に係る粉体組成物の走査型電子顕微鏡画像における、コアシェル型微粒子の面積とLDHの面積の比率をいう。LDHの走査型電子顕微鏡画像面積比率は、コアシェル型微粒子及びLDHの総面積100%に対して、50%以下であり、0.1%以上50%以下が好ましく、0.1%以上20%以下がより好ましく、0.2%以上10%以下がさらに好ましく、0.5%以上5%以下がよりさらに好ましい。LDHの走査型電子顕微鏡画像面積比率が50%以下であることにより、可視光の透過率が高く、赤外線に対する遮蔽性が高い粉体組成物を得ることができる。LDHの走査型電子顕微鏡画像面積比率が0.1%以上であることにより、成膜性に優れた赤外線遮蔽作用を有するコーティング組成物が得られ易い傾向にある。尚、LDHの走査型電子顕微鏡画像面積比率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔粉体組成物の製造方法〕
粉体組成物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、コアシェル型微粒子とLDHとを同時に製造する方法、及びコアシェル型微粒子とLDHと別々に製造した後、混合する方法が挙げられる。このなかでも、コアシェル型微粒子とLDHとを同時に製造する方法が好ましい。このような製造方法を採用することにより、より均質な粉体組成物が得られ、生産性がより高くなる傾向にある。
以下、コアシェル型微粒子とLDHとを同時に製造する方法について説明する。本実施形態に係るコアシェル型微粒子とLDHとを同時に製造する、粉体組成物の製造方法は、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を含むコア部と、高分子を含むシェル部と、を有する、平均粒径が20nm以上1000nm以下のコアシェル型微粒子と、LDHと、を含有する原料組成物をアルコール系溶剤に分散混合して原料分散液を得る工程1と、原料分散液から溶出物を含むアルコール系溶剤を除去し、LDHの比率を減少させる工程2と、を有する。
〔工程1〕
工程1は、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を含むコア部と、高分子を含むシェル部と、を有する、平均粒径が20nm以上1000nm以下のコアシェル型微粒子と、LDHと、がアルコール系溶剤に分散した原料分散液を得る工程である。工程1では、特に限定されないが、例えば、亜鉛の塩とアルミニウムの塩とシェル部の材料となる高分子を多価アルコール系有機溶媒に溶解する工程1−1と、アルミドープ酸化亜鉛の一次粒子を合成、凝集して二次粒子化してコアシェル型微粒子を製造すると同時にLDHを製造する工程1−2とを行なうことにより、コアシェル型微粒子と、LDHと、がアルコール系溶剤に分散した原料分散液を得ることができる。
亜鉛の塩としては、特に限定されないが、例えば、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛等のカルボン酸亜鉛及びその水和物、並びに硝酸亜鉛及びその水和物が挙げられる。このなかでも、酢酸亜鉛及びその水和物が好ましい。このような、亜鉛の塩を用いることにより、溶媒への溶解性がより高くなる傾向にある。
また、アルミニウムの塩としては、特に限定されないが、例えば、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム等のカルボン酸アルミニウム及びその水和物、並びに硝酸アルミニウム及びその水和物が挙げられる。このなかでも、硝酸アルミニウム及びその水和物が好ましい。このような、アルミニウムの塩を用いることにより、溶媒への溶解性がより高くなる傾向にある。
シェル部の材料となる高分子としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリエチレングリコールの1種又は2種以上が架橋した高分子;並びに多価アルコールと、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリエチレングリコールの1種又は2種以上とが相互に架橋した高分子等が挙げられる。高分子は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、多価アルコール系有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオベンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。このなかでも、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましく、ジエチレングリコールがより好ましい。このような多価アルコールを用いることにより、得られるコアシェル型微粒子の安定性がより向上する傾向にある。なお、多価アルコール系有機溶媒は、高分子と反応してシェル部に一部取り込まれる場合がある。
亜鉛の塩及びアルミニウムの塩の合計使用量は、0.02mol/L以上0.2mol/L以下が好ましく、0.022mol/L以上0.15mol/L以下がより好ましく、0.025mol/L以上0.1mol/L以下がさらに好ましい。合計使用量が0.02mol/L以上0.2mol/L以下であることにより、製造安定性と生産性の両立の観点から好ましい。また、アルミニウムの塩の使用量は、亜鉛の塩とアルミニウムの塩の合計使用量100mol%に対して、0.5mol%以上20mol%以下が好ましく、0.7mol%以上15mol%以下がより好ましく、0.9mol%以上10mol%以下がさらに好ましい。アルミニウムの塩の使用量が0.5mol%以上20mol%以下であることにより、収率がより高くなる傾向にある。
シェル部の材料となる高分子の使用量は、50g/L以上200g/L以下が好ましく、70g/L以上170g/L以下がより好ましく、100g/L以上150g/L以下がさらに好ましい。高分子の使用量が50g/L以上200g/L以下であることにより、製造安定性とコアシェル型微粒子の高い収率の観点で好ましい。
工程1−1の溶解工程においては、特に限定されないが、例えば、多価アルコール系有機溶媒にシェル部の材料となる高分子を室温〜80℃程度の温度範囲で溶解した後、80℃〜120℃程度の温度範囲で亜鉛の塩とアルミニウムの塩を添加し、混合し、溶解して、混合液を得る。
工程1−2においては、特に限定されないが、例えば、工程1−1で得た混合液を150℃以上200℃未満の温度で10分〜120分程度の時間で加熱及び還流して、コアシェル型微粒子を製造すると同時にLDHを得る。このような工程1−2を経ることにより、製造安定性とコアシェル型微粒子の高い収率が得られ好ましい。加熱温度は、150℃以上180℃以下の温度が好ましい。このような加熱温度とすることにより、可視光領域の光に対する透明性がより高くなる傾向にある。
コアシェル型微粒子の生成メカニズムは、以下のように考えられる。
1.シェル部の材料となる高分子が均一に溶解している多価アルコール系有機溶媒中にアルミニウムドープ酸化亜鉛の一次粒子が核生成する。
2.一次粒子が略球状に凝集し、二次粒子が生成する。
3.二次粒子の表面でアルミニウムドープ酸化亜鉛が触媒として働き、シェル部の材料となる高分子及び/又は多価アルコール系有機溶媒が、架橋反応を起こし、高分子を含む強固なシェル部が形成される。
4.シェル部が十分に架橋して強固になるとアルミニウムドープ酸化亜鉛の1次粒子はさらに凝集することができなくなり、コアシェル型微粒子の粒径が決まる。
〔工程2〕
工程2は、原料分散液から溶出物を含むアルコール系溶剤を除去し、LDHの比率を減少させるための洗浄工程である。ここで、「溶出物」とは、未反応原料、反応溶媒、一部のLDHをいう。
工程2原料分散液の洗浄工程においては、特に限定されないが、例えば、工程1−2で得た反応液を冷却した後、洗浄溶剤を加え遠心分離し、上澄み除去を2回〜5回程度繰返すことで行われる。
洗浄溶剤としては、特に限定されないが、例えば、水又はアルコール系溶剤が好ましい。アルコール系溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールが好ましく、エタノールがより好ましい。このような洗浄溶剤を用いることにより、洗浄性とアルコール系溶剤の除去性(低沸点)により優れる傾向にある。
工程2において、水による洗浄とアルコールによる洗浄を制御することで、LDHの除去率を制御することができる。即ち、水及び/又は水に溶解する炭酸がLDHの層間に挿入されるとLDHはアルコール系溶剤に溶解しにくくなり、遠心分離後の上澄み除去でLDHは除去されにくくなると考えられる。一方で、水及び/又は水に溶解する炭酸がLDHの層間に挿入されなければ、LDHはアルコール系溶剤に溶解しやすいため、遠心分離後の上澄み除去でLDHは除去されると考えられる。例えば、反応液に加える最初の洗浄溶剤として水を使用し、2度目以降の洗浄液としてアルコール系溶剤を使用することで、未反応原料残存料が少なく、LDHの除去率を制御し易くなる傾向にある。
〔分散液〕
本実施形態に係る分散液は、粉体組成物が分散媒に分散したものである。ここで用いられる分散媒としては、特に限定されないが、例えば、水、モノアルコール系分散媒、及びジアルコール系分散媒等の親水性分散媒が挙げられる。このような分散媒を用いることにより、コアシェル型微粒子の分散安定性がより良好となる傾向にある。なお、分散媒は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
モノアルコール系分散媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、エチルカルビトール等が挙げられる。
ジアルコール系分散媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
なお、上記洗浄溶剤をそのまま分散媒として用いることもできる。
〔コーティング組成物〕
本実施形態に係る粉体組成物又は分散液は、赤外線遮蔽作用を有するコーティング組成物の材料として用いることができる。本実施形態に係るコーティング組成物は、上記粉体組成物又は上記分散液を含有する。コーティング組成物は、水系組成物でもよいし、有機溶剤系組成物でもよい。このなかでも、水系組成物が好ましい。これにより、粉体組成物の分散安定性が良好に保たれる傾向にある。
水系組成物に含まれ得る添加剤としては、特に限定されないが、例えば、水溶性高分子、重合体エマルジョン粒子、コロイダルシリカ、及び結着材等が挙げられる。なお、添加剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
水溶性高分子としては、特に限定されないが、例えば、水溶性ポリオール、水溶性ポリオールと水溶性メラミンとの組み合わせ、水溶性ポリイソシアネートとの組み合わせ等が挙げられる。水溶性ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等が挙げられる。
重合体エマルジョン粒子としては、特に限定されないが、例えば、官能基含有ビニル単量体とビニル基含有加水分解性ケイ素化合物とその他のビニル単量体とを水と乳化剤の存在下に重合して得られる重合体エマルジョン粒子が挙げられる。
官能基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、水酸基含有ビニル単量体、カルボキシル基含有ビニル単量体、アミド基含有ビニル単量体、アミノ基含有ビニル単量体、エーテル基含有ビニル単量体が挙げられる。
ビニル基含有加水分解性ケイ素化合物としては、特に限定されないが、例えば、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリn−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル等のビニル重合性基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
その他のビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体が挙げられる。
乳化剤としては、特に限定されないが、、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸等の酸性乳化剤;酸性乳化剤のアルカリ金属(Li、Na、K等)塩、酸性乳化剤のアンモニウム塩、脂肪酸石鹸等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレート等の四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等のノニオン型界面活性剤が挙げられる。
コロイダルシリカとしては、特に限定されないが、例えば、ゾル−ゲル法で調製したもの、及び市販品を使用することができる。ゾル−ゲル法で調製する場合には、WernerStober et al;J.Colloidand Interface Sci.,26, 62−69(1968)、RickeyD.Badley et al;Lang muir 6, 792−801 (1990)、色材協会誌,61 [9] 488−493(1988)等を参照できる。市販品としては、特に限定されないが、例えば、日産化学工業(株)製スノーテックス(商標)−O、スノーテックス−OS、スノーテックス−OL、スノーテックス−OUP、スノーテックス−UP、スノーテックス−PS−SO、スノーテックス−20、スノーテックス−30、スノーテックス−C、スノーテックス−C30、スノーテックス−CM40、スノーテックス−N、スノーテックス−N30、スノーテックス−K、スノーテックス−XL、スノーテックス−YL、スノーテックス−ZL、スノーテックスPS−M、スノーテックスPS−L、スノーテックス−PS−S、旭電化工業(株)製アデライト(商標)AT−20Q、アデライトAT−20、アデライトAT−30、アデライトAT−20N、アデライトAT−30N、アデライトAT−20A、アデライトAT−30A、アデライトAT−40、アデライトAT−50クラリアントジャパン(株)製クレボゾール(商標)20H12、クレボゾール30CAL25、クレボゾール30R9、クレボゾール30R50、クレボゾール50R50等が挙げられる。
結着材としては、特に限定されないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の加水分解性基を有する金属化合物が挙げられる。
水系組成物に用いる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、モノアルコール系溶媒、ジアルコール系溶媒等の親水性溶媒が挙げられる。モノアルコール系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、エチルカルビトール等が挙げられる。ジアルコール系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等を挙げられる。
コーティング組成物は、塗工後に飛散する溶媒成分とコーティング膜を形成する固形分に分けられる。粉体組成物の含有量は、固形分基準で、5質量%以上70質量%以下が好ましく、10質量%以上50質量%以下がより好ましく、15質量%以上40質量%以下がさらに好ましい。粉体組成物の含有量が上記範囲内であることにより、赤外線遮蔽性能とコーティング膜の強度を両立できる観点より好ましい。
コーティング組成物中の固形分の比率は、1質量%以上70質量%以下が好ましく、2質量%以上50質量%以下がより好ましく、5質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。コーティング組成物中の固形分の比率が上記範囲内であることにより、コーティング膜の平滑性がより向上する傾向にある。
コーティング組成物を塗工する場合、コーティング膜の膜厚は、1μm以上50μm以下が好ましく、2μm以上30μm以下がより好ましく、5μm以上20μm以下がさらに好ましい。コーティング膜の膜厚が上記範囲内であることにより、赤外線遮蔽性能により優れ、平滑性により優れるコーティング膜が得られる傾向にある。
以下の実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。実施例及び比較例において、各種の物性は下記の方法で測定した。
(1)コアシェル型微粒子の平均粒径
粉体組成物の走査型電子顕微鏡(Jeol Ltd製、製品名JSM−6335FM)画像からランダムに選んだ50個のコアシェル型微粒子の粒径を測定し、その平均値をコアシェル型微粒子の平均粒径とした。
(2)コアシェル型微粒子中のアルミニウムの含有量
粉体組成物の走査型電子顕微鏡(Jeol Ltd製、製品名JEM2010F)画像からランダムに選んだ5箇個のコアシェル型微粒子に対して、エネルギー分散型X線分析(NORAN社製、UTW type)を行い、亜鉛とアルミニウムとのmol比率をそれぞれ求め、その平均値をアルミニウムの含有率とした。
(3)LDHの大きさ
粉体組成物の走査型電子顕微鏡(Jeol Ltd製、製品名JSM−6335FM)画像からランダムに選んだ50箇所のLDHの長さを測定し、その平均値をLDHの大きさとした。なお、LDHは不定形であり、1つのLDHでも長さが場所によってばらばらであるため、LDHの大きさの測定は複数個のLDHの長さを計50箇所測定することにより行った。
(4)LDHの走査型電子顕微鏡画像面積比率
粉体組成物の走査型電子顕微鏡(Jeol Ltd製、製品名JSM−6335FM)画像中のコアシェル型微粒子の面積とLDHの面積を求め、コアシェル型微粒子の面積とLDHの面積の和に対するLDHの面積を百分率として表した値をLDHの比率とした。
(5)可視光透過性
拡散反射型粉末UV−VISスペクトル測定装置(JASCO社製、製品名V−670)を用い、粉体組成物を0.5mm厚のセルに詰めて、550nmにおける透過率を測定し、可視光透過率の指標とした。
(6)赤外線遮蔽性
(5)と同様にして、粉体組成物の2000nmにおける透過率を測定し、赤外線遮蔽性の指標とした。
(7)分散安定性
粉体組成物0.5質量部をエタノール9.5質量部に分散し、室温で1ヶ月静置した後、沈殿の生成状態を観察した。沈殿物が見られない、又は一部沈殿物が見られた場合でも、軽く攪拌することで容易に分散した場合は、分散安定性は○と評価した。一方で、撹拌しても再分散しない場合は、分散安定性を×と評価した。
(8)層状複水酸化物の確認
粉体組成物の粉末X線解析(Rigaku社製、製品名RINT2100V/PC)を行いLDHに特有のピーク(2θ=11度)を確認した。さらに粉体組成物の熱重量示差熱分析(BrukerAXS社製、製品名TG−DTA2010SA)を行い、180度付近にLDHに特有の吸熱ピークを確認した。粉末X線解析及び熱重量示差熱分析においてLDHであることが確認できたものを○と評価した。一方で、LDHであることが確認できなかったものを×と評価した。
(9)平滑性
粉体組成物0.5質量部をエタノール9.5質量部に分散した後、400メッシュのフィルターでろ過した。その後、ろ過後の溶液と分子量1000のポリビニルアルコール0.3質量部を含有する水溶液10.7質量部とを混合し、超音波振動で10分間攪拌し、コーティング組成物を得た。コーティング組成物を白板ガラス上にバーコーターでドライ膜厚2μmとなる様に塗工した。目視にて、塗工膜の平滑性があると確認できたものを○と評価した。一方で、塗工膜の平滑性があることが確認できなかったものを×と評価した。
(10)シェル部の含有量
コアシェル型微粒子を熱重量示差熱分析(BrukerAXS社製、製品名TG−DTA2010SA)を用いて空気下で800℃に加熱したときの質量減少を測定することによりコアシェル型微粒子中のシェル部の含有量を求めた。
〔参考例1〕
(コアシェル型微粒子とLDHの合成)
ジエチレングリコール(和光純薬製)に、ポリビニルピロリドン(シグマアルドリッチ製、重量平均分子量10,000)120g/Lを混合し、80℃で溶解した後、二酢酸亜鉛二水和物(和光純薬製)45mmol/L、及び三硝酸アルミニウム九水和物(シグマアルドリッチ製)5mmol/Lを加え、攪拌混合し、180℃に昇温した。これを180℃で28分間加熱還流し、その後、冷却し、コアシェル型微粒子とLDHを含有する反応液を得た。
(粉体組成物の製造方法)
反応液に、その約4倍量の水を混合し、暫く攪拌後、18000rpmで10分間遠心分離し上澄み液を除去した。再度同じ条件で洗浄、遠心分離、上澄み液除去を繰り返した後、水をエタノールに替えた以外は同じ条件で洗浄、遠心分離、上澄み液除去を行い、最後にエタノールを混ぜて、コアシェル型微粒子とLDHを含有する原料分散液を得た。この原料分散液を80℃で乾燥し、エタノールを完全に除去し、粉体組成物を得た。粉体組成物の粉末X線解析(Rigaku社製、製品名RINT2100V/PC)を行いLDHに特有のピーク(2θ=11度)を観察した。更に粉体組成物の熱重量示差熱分析(BrukerAXS社製、製品名TG−DTA2010SA)を行い、180度付近にLDHに特有の吸熱ピークを観察し、粉体組成物に含有する板状物質はLDHであった。粉体組成物中のLDHの比率は47%であり、その大きさは250nmであった。また、コアシェル型微粒子の粒径は61nmであった。
次に、粉体組成物0.5質量部をエタノール9.5質量部に分散し、室温で1ヶ月静置した後、沈殿の生成状態を観察したところ、一部沈殿物が見られたが、軽く攪拌することで容易に分散することが判り、分散安定性は高かった。
次に、粉体組成物0.5質量部をエタノール9.5質量部に分散した後、400メッシュのフィルターでろ過した後、分子量1000のポリビニルアルコール0.3質量部を含有する水溶液10.7質量部を混合し、超音波振動で10分間攪拌し、コーティング組成物を得た。コーティング組成物を白板ガラス上にバーコーターでドライ膜厚2μmとなる様に塗工したところ、平滑性の高いコーティング膜を得た。
〔参考例2〕
二酢酸亜鉛二水和物を49.75mmol/L、三硝酸アルミニウム九水和物を0.25mmol/Lに変更した以外は、参考例1と同様に粉体組成物を得た。得られた粉体組成物中のLDHの比率は0.5%であり、その大きさは110nmであり、コアシェル型微粒子の粒径は320nmであった。
〔参考例3〕
二酢酸亜鉛二水和物を49.5mmol/L、三硝酸アルミニウム九水和物を0.5mmol/Lに変更した以外は、参考例1と同様に粉体組成物を得た。得られた粉体組成物中のLDHの比率は11%であり、その大きさは140nmであり、コアシェル型微粒子の粒径は130nmであった。
〔参考例4〕
二酢酸亜鉛二水和物を49mmol/L、三硝酸アルミニウム九水和物を1mmol/Lに変更した以外は、参考例1と同様に粉体組成物を得た。得られた粉体組成物中のLDHの比率は27%であり、その大きさは180nmであり、コアシェル型微粒子の粒径は87nmであった。
〔参考例5〕
二酢酸亜鉛二水和物を47.5mmol/L、三硝酸アルミニウム九水和物を2.5mmol/Lに変更した以外は、参考例1と同様に粉体組成物を得た。得られた粉体組成物中のLDHの比率は29%であり、その大きさは270nmであり、コアシェル型微粒子の粒径は70nmであった。
〔参考例6〕
参考例1と同様にして反応液を得、得られた反応液に、その約4倍の容量の水を混合し、18000rpmで10分間遠心分離し上澄み液を除去した。次に水をエタノールに替えた以外は同じ条件で洗浄、遠心分離、上澄み液除去を2回繰り返し、最後にエタノールを混ぜて、コアシェル型微粒子とLDHを含有する分散液を得た。この分散液を80℃で乾燥し、エタノールを完全に除去し、粉体組成物を得た。粉体組成物中のLDHの比率は0.7%であった。反応液中には参考例1と同じ比率でLDHが含有していたと考えられることから、洗浄によりLDHの比率が減少したことが判った。エタノールでの洗浄タイミングによってLDHの比率が変わる理由は、正確には判っていないが、LDHの層間結合力が強くなる前に、エタノールで洗浄したことで、LDHがエタノールに溶解除去されたものと考えられる。
〔実施例1〕
ジエチレングリコール(和光純薬製)に、ポリビニルピロリドン(シグマアルドリッチ製、重量平均分子量55,000)120g/Lを混合し、80℃で溶解した後、二酢酸亜鉛二水和物(和光純薬製)45mmol/L、及び三硝酸アルミニウム九水和物(シグマアルドリッチ製)5mmol/Lを加え、120℃で40分間攪拌した。これを170℃で37分間加熱還流し、その後、冷却し、コアシェル型微粒子とLDHを含有する反応液を得た。
得られた反応液を参考例6と同様の方法で、洗浄、遠心分離、上澄み液除去を行い、粉体組成物を得た。得られた粉体組成物中のLDHの比率は0.7%であり、LDHの大きさは180nmであり、コアシェル型微粒子の粒径は65nmであった。更に、粉体組成物のSTEM−EDX測定結果から、微粒子に含まれるアルミニウムは、亜鉛の分布や酸素の分布と同様に、微粒子全体に満遍なく分布しており、固溶体を形成していることが判った。更に、コアシェル型微粒子中のアルミニウム量は1.5mol%であった。また、フーリエ変換赤外分光光度測定から1680cm-1のポリビニルピロリドン由来のピークが観察され、微粒子は高分子をシェルとするコアシェル型微粒子であった。粉体組成物の熱重量示差熱分析(BrukerAXS社製、製品名TG−DTA2010SA)を空気下、800℃までの条件で行い、そのときの重量減少から、コアシェル型微粒子のシェル部の割合は8.9%であった。更に粉体組成物の可視光透過率は76%であり、赤外線遮蔽性は18%であった。
次に、粉体組成物0.5質量部をエタノール9.5質量部に分散した後、400メッシュのフィルターでろ過した後、分子量1000のポリビニルアルコール0.3質量部を含有する水溶液10.7質量部を混合し、超音波振動で10分間攪拌し、コーティング組成物を得た。コーティング組成物を白板ガラス上にバーコーターでドライ膜厚2μmとなる様に塗工したところ、少し膜厚斑は見られたが中程度の平滑性のコーティング膜が得られた。
〔実施例2〕
加熱還流条件を180℃、37分に変えた以外は実施例1と同様にして粉体組成物を得た。得られた粉体組成物のLDHの比率は0.1%未満であった。粉体組成物中のコアシェル型微粒子の粒径は67nmであり、粉体組成物の可視光透過率は69%であり、赤外線遮蔽性は22%であった。
〔実施例3〕
二酢酸亜鉛二水和物を22.5mmol/L、三硝酸アルミニウム九水和物を2.5mmol/Lに変更し、加熱還流時間を47分に変更した以外は、実施例1と同様にして粉体組成物を得た。
得られた粉体組成物中のLDHの比率は29%であり、その大きさは190nmであり、コアシェル型微粒子の粒径は68nmであった。粉体組成物の可視光透過率は72%であり、赤外線遮蔽性は24%であった。
〔比較例1〕
二酢酸亜鉛二水和物を50mmol/Lに変更し、三硝酸アルミニウム九水和物を使用しなかった以外は、参考例1と同様にして粉体組成物を得た。得られた粉体組成物はLDHを含有せず、コアシェル型微粒子は酸化亜鉛をコアとするコアシェル型微粒子であり、その粒径は350nmであり、粉体組成物の可視光透過率は78%であり、赤外線遮蔽性は58%であった。
次に、粉体組成物0.5質量部をエタノール9.5質量部に分散し、室温で1ヶ月静置したところ、沈殿物が見られた。攪拌して再分散を試みたが直ぐに沈殿が生じ、分散安定性が悪かった。
本発明の粉体組成物は、可視光の透過率が高く、赤外線に対する高い遮蔽性を有し、分散安定性が高く、成膜性に優れた赤外線遮蔽作用を有するコーティング組成物を提供することが可能であり、窓ガラスや太陽電池用のフロントガラスのコーティング用途に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を含むコア部と、高分子を含むシェル部と、を有する、平均粒径が20nm以上1000nm以下のコアシェル型微粒子と、
    亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物と、を含み、
    該亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の走査型電子顕微鏡画像面積比率が、前記コアシェル型微粒子及び前記亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の総面積100%に対して、50%以下である、粉体組成物。
  2. 亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の走査型電子顕微鏡画像面積比率が、前記コアシェル型微粒子及び前記亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の総面積100%に対して、0.1%以上50%以下である、請求項1に記載の粉体組成物。
  3. 前記高分子が、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリエチレングリコールの1種又は2種以上が架橋した高分子;並びに多価アルコールと、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールの1種又は2種以上と、が架橋した高分子からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1又は2に記載の粉体組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉体組成物が分散媒中に分散した、分散液。
  5. 前記分散媒が、水、モノアルコール系分散媒、及びジアルコール系分散媒からなる群より選択される1種以上の分散媒を含む、請求項4に記載の分散液。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉体組成物又は請求項4又は5に記載の分散液を含有する、コーティング組成物。
  7. アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子を含むコア部と、高分子を含むシェル部と、を有する、平均粒径が20nm以上1000nm以下のコアシェル型微粒子と、亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物と、がアルコール系溶剤に分散した原料分散液を得る工程1と、
    前記原料分散液から溶出物を含むアルコール系溶剤を除去し、亜鉛−アルミニウム層状複水酸化物の比率を減少させる工程2と、を有する、粉体組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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