JP2009026746A - プロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】アークの不安定によりフリッカが発生することを抑制し、また、フリッカが発生しても直ちにアークを安定させることができ、目的の発光状態を維持することができる放電発光型の光源装置を備えるプロジェクタを提供すること。
【解決手段】半サイクル期間中の後半期間により多くのエネルギーが投じられることにより温度上昇の効果が上げる。このために、補修モードにおいて、矩形波に三角形状の波形を重畳させた重畳波の波形の傾斜を通常モードに比してより急峻なものとする。つまり、補修モードでは、第1供給エネルギーと第2供給エネルギーとの差を通常モードでの差より大きなものとしている。これにより、温度上昇効果をさらに高めることができる。
【選択図】図7
【解決手段】半サイクル期間中の後半期間により多くのエネルギーが投じられることにより温度上昇の効果が上げる。このために、補修モードにおいて、矩形波に三角形状の波形を重畳させた重畳波の波形の傾斜を通常モードに比してより急峻なものとする。つまり、補修モードでは、第1供給エネルギーと第2供給エネルギーとの差を通常モードでの差より大きなものとしている。これにより、温度上昇効果をさらに高めることができる。
【選択図】図7
Description
本発明は、一対の電極を有する放電発光型の光源装置を組み込んだプロジェクタに関する。
例えば、プロジェクタに用いる光源ランプ用の放電灯点灯装置として、制御回路とフリッカ検出手段とを備え、フリッカ検出時に高電力モードで動作するものがある(特許文献1参照)。この放電灯点灯装置では、電極等の温度を適正に保って突起の形成を促進することにより、アーク起点の位置を安定させてフリッカの発生を抑制する。
また、同様の放電ランプ装置として、アーク異常を検出する検出手段と、検出結果に基づいて駆動手段を制御する制御手段とを備えるものがある(特許文献2参照)。この放電ランプ装置では、アーク異常が検出されたら例えば周波数を高くすることで、電極の温度を調整し、電極上に安定した放電場所を形成し、熱電子の経路を安定させ、アーク異常の発生を抑制する。
同様の放電灯点灯装置として、フリッカ発生の検出時等において、高電力モードで動作し、電極等の温度を適性に保つものがある(特許文献3参照)。この場合、一対の電極のうち温度が低下した電極のみ温度を上昇させることもでき、温度を適正に保って突起の形成を促進し、アーク起点の位置を安定させてフリッカの発生を抑制する。
その他、ランプへの供給電圧等の検出結果に基づいて、極性反転の周波数を段階的に調整することによって電極の温度低下を抑制し、アークジャンプの発生を防止するものがある(特許文献4参照)。
また、駆動波形のデューティ比や放電電流を変化させることによって、突起が成長し過ぎたら強制的に突起を磨耗させてアーク長を一定に保つものがある(特許文献5参照)。
しかしながら、発光管の点灯時間が増すと、電極上の突起において微小な凹凸が発生し、それに伴い突起が変形し、フリッカやアークジャンプが発生する。
なお、特許文献1〜4に開示の技術によれば、放電ランプの電極やバルブ内の温度を適正に保ち突起を成長させることはできるが、突起の変形に起因するアークの移動や変形が抑制できないことから、光源装置より後段の光学系の光の入射状態が変化して、投射像の色ムラや輝度低下を生じさせる。
また、特許文献5に開示の技術では、突起の成長途中における突起表面の凹凸によるフリッカやアークジャンプの発生を抑制することができない。
そこで、本発明は、電極の突起形状の変形が発生しても、これを解消してフリッカやアークを安定させることができ、目的の発光状態を維持することができる放電発光型の光源装置を備えるプロジェクタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るプロジェクタは、(a)相互間の放電により発光を行う第1電極及び第2電極を有する発光管と、(b)第1電極と第2電極との間に交流電流を供給するとともに、第1電極及び第2電極のうち一方の電極が陽極である陽極期間中に供給される総供給エネルギーのうち、陽極期間の前半期間に供給される第1供給エネルギーが陽極期間の後半期間に供給される第2供給エネルギー以下となるように電流波形の制御を行う通常モードと、第2供給エネルギーを前記第1供給エネルギーよりも大きくするとともに、第2供給エネルギーから前記第1供給エネルギーを引いた差を、通常モードにおける第2供給エネルギーから第1供給エネルギーを引いた通常値よりも大きくさせる補修モードとで動作可能な駆動装置とを備え、(c)上記駆動装置が、補修モードにおいて、第1電極及び第2電極のうち少なくとも一方の電極の温度を通常モード時の少なくとも一方の電極の温度よりも高めることによって少なくとも一方の電極の先端部の表面層を溶かす。
上記プロジェクタでは、駆動装置により、陽極期間中に供給される総供給エネルギーのうち、後半期間に供給される第2供給エネルギーが、前半期間に供給される第1供給エネルギー以上となるので、電極の温度上昇が可能となる。この際、特に、補修モードでの動作において、第1供給エネルギーと第2供給エネルギーとの供給量の差を、通常モードにおける第1供給エネルギーと第2供給エネルギーとの供給量の差の通常値よりも大きくさせるので、対象となる電極の本体部の効率的温度上昇が可能となり本体部等について補修を行うことができる。つまり、供給エネルギーの供給量に適切な差を設けることで、対象となる電極の十分な温度上昇と先端形状の補修とを図り、アークの不安定によりフリッカが発生することを抑制し、また、フリッカが発生しても直ちにアークを安定させることができる。なお、以上において、「供給エネルギー」とは、一定時間内の消費電力の累積値である。つまり、「陽極期間中に供給される総供給エネルギー」とは、一方の電極が陽極として働く時間内での消費電力の累積値を言う。
また、上記プロジェクタでは、駆動装置が、補修モードにおいて、少なくとも一方の電極の温度を通常モード時の当該電極の温度よりも高めることによって当該電極のうち少なくとも先端部の表面層を溶かす。これにより、補修モードでの動作中に、電極の先端に存在する突起状の先端部を完全に溶かさない程度に加熱して電極異常の原因となっている先端部の表面の凹凸を溶かすことができる。これにより、先端部が滑らかな状態に維持され、フリッカやアークジャンプが定常的に生じすることを防止できる。さらに、先端部の先端を起点とした放電が持続されることにより、電極に形成された先端部の突起位置やその形状が比較的長期間安定し、チラツキ、照度低下等の発生が抑えられるとともに比較的長期間に亘って照度を維持することができる。
また、本発明の具体的な態様として、駆動装置が、補修モード中の陽極期間における総供給エネルギーを、通常モード中の陽極期間における総供給エネルギー以上となるように制御を行う。これにより、一方の電極について補修を行う補修モードにおいて必要十分なエネルギーを得ることができる。
また、本発明の具体的な態様として、駆動装置が、少なくとも補修モードにおける陽極期間中での電流値の絶対値が単調増大となるように制御を行う。これにより、第1供給エネルギーを第2供給エネルギー以下となるような電流波形の制御を比較的簡易に行うことができる。
また、本発明の具体的な態様として、駆動装置が、少なくとも補修モードにおける陽極期間中での電流波形を矩形波に三角形状の波形を重畳させた重畳波に制御する。これにより、所望な状態の第1供給エネルギーと第2供給エネルギーの配分による電流波形の制御を比較的簡易かつ正確に行うことができる。なお、ここで、三角形状の波形とは、上昇している部分の傾斜と下降している部分の傾斜が等しいものに限らず、例えば、立ち上がりと立下がりの傾斜が大きく異なる波形も含むものとする。
また、本発明の具体的な態様として、駆動装置が、補修モードにおいて、重畳波のピーク波形の勾配を通常モードにおける勾配に比して変化させる。これにより、通常モードから補修モードへの変換を比較的簡易に行える。
また、本発明の具体的な態様として、駆動装置が、通常モードにおける電流波形を矩形波に制御する。これにより、例えば、通常モードでは電流波形を矩形波とし、補修モード電流波形を重畳波とすることで通常モードと補修モードとを簡易に切り替えて制御することができる。
また、本発明の具体的な態様として、駆動装置が、補修モードにおいて、周波数を通常モードにおける周波数に比して変化させる。これにより、例えば、補修モードにおいて周波数を通常モードにおける周波数より低くすることで、さらに温度上昇を高めることができる。
また、本発明の具体的な態様として、プロジェクタが、第1電極及び第2電極の少なくとも一方の動作が異常である電極異常を検出する検出装置をさらに備え、駆動装置が、電極異常が検出された時に、補修モードで動作を行う。これにより、検出装置により検出された電極異常に対応して補修モードで動作を行うことができ、例えば、電極異常が生じる原因となっている一方の電極のみ温度を上昇させることができる。なお、以上において、「電極異常」とは、両電極間でアークが安定せずフリッカやアークジャンプが生じている状態を意味するものとする。
また、本発明の具体的な態様として、駆動装置が、定期的に補修モードでの動作を行う。これにより、アークが不安定となる前に、予め電極の本体部について補修を行うことができ、フリッカ等の発生を予防・抑制することができる。なお、ここで、「定期的に補修モードでの動作を行う」とは、ランプ点灯中の一定時間(例えば、5分〜1時間)経過するごとに補修モードでの動作を行う場合や、または、ランプ点灯直後・消灯直前といった特定のタイミングにおいて補修モードでの動作を行う場合を言うものとする。
また、本発明の具体的な態様として、プロジェクタが、(a)発光管からの照明光によって照明される光変調装置と、(b)光変調装置を経た像光を投射する投射光学系とをさらに備える。これにより、チラツキ、照度低下、色ムラ等が少なく照度が比較的長期間安定して維持される発光管を備える光源装置によって光変調装置を照明することで、高品位の画像を投射できるプロジェクタを提供することができる。
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの構造等について説明する。
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの構造等について説明する。
図1は、第1実施形態に係るプロジェクタの構造を説明するための概念図である。本実施形態におけるプロジェクタ200は、光源装置100と、照明光学系20と、色分離光学系30と、液晶ライトバルブ40a,40b,40cと、クロスダイクロイックプリズム50と、投射レンズ60とを備える。
上記プロジェクタ200において、光源装置100は、光源ユニット10と、光源駆動装置70とを備え、照明光学系20等を介して液晶ライトバルブ40a,40b,40cを照明するための照明光を発生する。
図2は、光源装置100の構造を概念的に説明する断面図である。光源装置100において、光源ユニット10は、放電発光型の発光管1と、楕円型の主反射鏡であるリフレクタ2と、球面状の副反射鏡である副鏡3とを備える。光源駆動装置70は、詳細は後述するが、光源ユニット10に交流電流を供給して所望の状態に発光させるための電気回路である。
光源ユニット10において、発光管1は、中央部が球状に膨出した透光性の石英ガラス管から構成され、照明用の光を放射する本体部分11と、この本体部分11の両端を通る軸線に沿って延びる第1封止部13及び第2封止部14とを備える。
本体部分11内に形成される放電空間12には、タングステン製の第1電極15の先端部分と、同様にタングステン製の第2電極16の先端部分とが所定距離で離間配置されており、希ガス、金属ハロゲン化合物等を含む放電媒体であるガスが封入されている。この本体部分11の両端に延びる第1封止部13、第2封止部14の内部には、本体部分11に設けた第1電極15及び第2電極16の根元部分に対し電気的に接続されるモリブデン製の金属箔17a,17bが挿入され、第1封止部13、第2封止部14は、それ自体或いはガラス材料等で周囲から封止されている。これらの金属箔17a,17bに接続されたリード線18a,18bに光源駆動装置70により交流電圧を印加すると、一対の第1電極15、第2電極16間でアーク放電が生じ、本体部分11が高輝度で発光する。ここで、図2から明らかなように、リフレクタ2は、第1電極15側に配置され、副鏡3は、リフレクタ2に対向して第2電極16側に配置される。したがって、第1電極15は、本体部分11を挟んで副鏡3と反対側にあることになる。
発光管1の本体部分11のうち光束射出前方側の略半分は、副鏡3によって覆われている。この副鏡3は、石英ガラス製の一体成形品であり、発光管1の本体部分11から前方に放射された光束を本体部分11に戻す副反射部3aと、この副反射部3aの根元部を支持した状態で第2封止部14の周囲に固定される支持部3bとを備える。支持部3bは、第2封止部14を挿通させるとともに、副反射部3aを本体部分11に対してアライメントした状態で保持している。
リフレクタ2は、結晶化ガラスや石英ガラス製の一体成形品であり、発光管1の第1封止部13が挿通される首状部2aと、この首状部2aから拡がる楕円曲面状の主反射部2bとを備える。首状部2aは、第1封止部13を挿通させるとともに、主反射部2bを本体部分11に対してアライメントした状態で保持している。
発光管1は、主反射部2bの光軸に対応するシステム光軸OAに沿って配置されるとともに、本体部分11内の第1電極15及び第2電極16間の発光中心Oが主反射部2bの楕円曲面の第1焦点F1位置と一致するように配置される。発光管1を点灯した場合、本体部分11から放射された光束は主反射部2bで反射され、或いは副反射部3aでの反射を経て主反射部2bでさらに反射され、楕円曲面の第2焦点F2位置に収束する光束となる。つまり、リフレクタ2及び副鏡3は、システム光軸OAに対して略軸対称な反射曲面を有し、一対の第1電極15、第2電極16は、その軸心である電極軸をシステム光軸OAと略一致させるように配置されている。
図3は、発光管1内に封入された第1電極15及び第2電極16の先端部分の拡大図である。第1電極15及び第2電極16は、先端部15a,16aと、本体部15b,16bと、コイル部15c,16cと、芯棒15d,16dとを備える。第1電極15及び第2電極16の先端部分は、芯棒15d,16dにタングステンを巻き付け、これを加熱・溶融することにより形成される。この際、巻き付けられたタングステンのうち溶融されなかった残りの部分がコイル部15c,16cとなる。第1電極15及び第2電極16の先端側に塊状の本体部15b,16bを設けることで、熱容量を大きくすることができる。なお、第1電極15、第2電極16の作製段階、或いは本体部分11中に封入後の仕上げ工程時には、第1電極15、第2電極16に放電等の処理を行って、両本体部15b,16bの先端部間に所望のサイズの突起である先端部15a,16aを形成することができる。第1電極15及び第2電極16の先端部15a,16aは、発光管1の点灯時における放電の電極間距離を定めるものとなり、発光管1の動作状態に影響を与える。また、第1電極15及び第2電極16の先端部15a,16aは、発光管1の点灯時に放電により主として電子の衝突を受ける部分となる。
これにより、例えば、図4(a)に示すように、第1電極15及び第2電極16の先端部15a,16aの表面には、使用の継続によって微小な凹凸61が発生する。このような微小な凹凸61は、発光管1の点灯時間の経過に伴って発生する。先端部15a,16aに発生した凹凸61は、先端部15a,16aの形状を変化させ、放電の起点の移動が連続的に起こるフリッカや、当初の放電起点位置から放電起点が完全に移動するアークジャンプの原因となる。すなわち、図示の例では、第1電極15側において先端部15aに複数の凹凸61が形成されており、第1電極15が陰極となる際に、先端部15aの頂部と凹凸61の頂部との間で輝点が不規則に移動し、フリッカやアークジャンプが発生する。フリッカはチラツキを発生させ、アークジャンプは照度低下を発生させる。また、発光管1の点灯時間がさらに長くなる場合、両本体部15b,16bのうち先端部15a,16aの周囲にある先端側領域15g,16gの表面も加熱や放電によって徐々に荒らされる。これにより、例えば、図4(b)に示すように、先端部15a,16a周辺に延在する先端側領域15g,16gの表面(図4(b)の場合先端側領域15gの表面)に微小な凹凸61が形成されることがある。このような状態を放置すると、形成された凹凸61の起伏量が徐々に増大する。この場合、アークの移動や変形により光源装置100より後段の光学系の光の入射状態が変化して、照明光量の低下や照度ムラが生じて、投射像の色ムラや輝度低下を生じさせる。
本実施形態の光源装置100では、先端部15a,16aの形状変化を補修するため、定期的に第1電極15、第2電極16への供給エネルギーを調整する補修モードでの点灯動作が行われる。つまり、この補修モードでは、例えば、図4(a)に示すような本体部15bの先端部15aに微小すなわち浅い凹凸61が形成され始めた劣化の初期段階で、陽極期間の前半期間に供給される第1供給エネルギーと陽極期間の後半期間に供給される第2供給エネルギーとの差を通常モードの時の差よりも増加させることで、先端部15a,16aの表面層を一時的に加熱し溶かす。その後、先端部15a,16aが過剰に溶融される前に点灯駆動を通常モードに戻して先端部15a,16aの温度を元の温度まで低下させることにより、その表面層を平滑化した状態に維持させる。これにより、先端部15a,16aを完全に溶かさない程度に加熱して先端部15a,16a上の凹凸61を除去することができるので、フリッカやアークジャンプの発生を防止できる。
上記のような補修モードによる平滑化処理を定期的に行うことによって、先端部15a,16aが滑らかな状態に維持され、先端部15a,16aの先端を起点とした放電が持続されるので、フリッカやアークジャンプが定常的に生じることを防止でき、後述する投射像の色ムラや輝度低下を比較的長期間に亘って抑えることができる。さらに先端部15a,16aの先端を起点とした放電が持続されることにより、先端側領域15g,16gに凹凸が発生しにくくなると推測される。
図1に戻って、照明光学系20は、光源光の光束方向を平行化する光平行化手段である平行化レンズ22と、光を分割して重畳するためのインテグレータ光学系を構成する第1フライアイレンズ23a及び第2フライアイレンズ23bと、光の偏光方向を揃える偏光変換素子24と、第1フライアイレンズ23a、第2フライアイレンズ23bを経た光を重畳させる重畳レンズ25と、光の光路を折り曲げるミラー26とを備え、これらにより均一化された略白色の照明光を形成する。照明光学系20において、平行化レンズ22は、光源ユニット10から射出された照明光の光束方向を略平行に変換する。第1フライアイレンズ23a及び第2フライアイレンズ23bは、それぞれマトリクス状に配置された複数の要素レンズからなり、第1フライアイレンズ23aを構成する要素レンズによって平行化レンズ22を経た光を分割して個別に集光し、第2フライアイレンズ23bを構成する要素レンズによって第1フライアイレンズ23aからの分割光束を適当な発散角にして射出させる。偏光変換素子24は、PBS、ミラー、位相差板等を一組の要素とするアレイで形成されており、第1フライアイレンズ23aにより分割された各部分光束の偏光方向を一方向の直線偏光に揃える役割を有する。重畳レンズ25は、偏光変換素子24を経た照明光を全体として適宜収束させて、後段の各色の光変調装置である液晶ライトバルブ40a,40b,40cの被照明領域に対する重畳照明を可能にする。
色分離光学系30は、第1ダイクロイックミラー31a及び第2ダイクロイックミラー31bと、反射ミラー32a,32b,32cと、3つのフィールドレンズ33a,33b,33cとを備え、照明光学系20により均一化された照明光を赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色に分離するとともに、各色光を後段の液晶ライトバルブ40a,40b,40cへ導く。より詳しく説明すると、まず、第1ダイクロイックミラー31aは、R、G、Bの3色のうちR光を透過させG光及びB光を反射する。また、第2ダイクロイックミラー31bは、G、Bの2色のうちG光を反射しB光を透過させる。次に、この色分離光学系30において、第1ダイクロイックミラー31aを透過したR光は、反射ミラー32aを経て入射角度を調節するためのフィールドレンズ33aに入射する。また、第1ダイクロイックミラー31aで反射され、さらに、第2ダイクロイックミラー31bでも反射されたG光は、入射角度を調節するためのフィールドレンズ33bに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー31bを通過したB光は、リレーレンズLL1,LL2及び反射ミラー32b,32cを経て入射角度を調節するためのフィールドレンズ33cに入射する。
液晶ライトバルブ40a,40b,40cは、入射した照明光の空間的強度分布を変調する非発光型の光変調装置であり、色分離光学系30から射出された各色光に対応してそれぞれ照明される3つの液晶パネル41a,41b,41cと、各液晶パネル41a,41b,41cの入射側にそれぞれ配置される3つの第1偏光フィルタ42a,42b,42cと、各液晶パネル41a,41b,41cの射出側にそれぞれ配置される3つの第2偏光フィルタ43a,43b,43cとを備える。第1ダイクロイックミラー31aを透過したR光は、フィールドレンズ33a等を介して液晶ライトバルブ40aに入射し、液晶ライトバルブ40aの液晶パネル41aを照明する。第1ダイクロイックミラー31a及び第2ダイクロイックミラー31bの双方で反射されたG光は、フィールドレンズ33b等を介して液晶ライトバルブ40bに入射し、液晶ライトバルブ40bの液晶パネル41bを照明する。第1ダイクロイックミラー31aで反射され、第2ダイクロイックミラー31bを透過したB光は、フィールドレンズ33c等を介して液晶ライトバルブ40cに入射し、液晶ライトバルブ40cの液晶パネル41cを照明する。各液晶パネル41a〜41cは、入射した照明光の偏光方向の空間的強度分布を変調し、各液晶パネル41a〜41cにそれぞれ入射した3色の光は、各液晶パネル41a〜41cに電気的信号として入力された駆動信号或いは画像信号に応じて、画素単位で偏光状態を調節される。この際、第1偏光フィルタ42a〜42cによって、各液晶パネル41a〜41cに入射する照明光の偏光方向が調整されるとともに、第2偏光フィルタ43a〜43cによって、各液晶パネル41a〜41cから射出される変調光から所定の偏光方向の変調光が取り出される。以上により、各液晶ライトバルブ40a,40b,40cは、それぞれに対応する各色の像光を形成する。
クロスダイクロイックプリズム50は、各液晶ライトバルブ40a,40b,40cからの各色の像光を合成する。より詳しく説明すると、クロスダイクロイックプリズム50は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、X字状に交差する一対の第1誘電体多層膜51a、第2誘電体多層膜51bが形成されている。一方の第1誘電体多層膜51aは、R光を反射し、他方の第2誘電体多層膜51bは、B光を反射する。クロスダイクロイックプリズム50は、液晶ライトバルブ40aからのR光を第1誘電体多層膜51aで反射して進行方向右側に射出させ、液晶ライトバルブ40bからのG光を第1誘電体多層膜51a、第2誘電体多層膜51bを介して直進・射出させ、液晶ライトバルブ40cからのB光を第2誘電体多層膜51bで反射して進行方向左側に射出させる。このようにして、クロスダイクロイックプリズム50によりR光、G光及びB光が合成され、カラー画像による画像光である合成光が形成される。
投射レンズ60は、投射光学系であり、クロスダイクロイックプリズム50を経て形成された合成光による画像光を所望の拡大率で拡大してスクリーン(不図示)上にカラーの画像を投射する。
図5は、図1及び図2に示す光源ユニット10を動作させる光源駆動装置70の構成を模式的に示すブロック図である。光源駆動装置70は、図2等に示す一対の第1電極15、第2電極16間で放電を行うための交流電流を発生させるとともに、第1電極15、第2電極16に対する交流電流の供給状態を制御する。光源駆動装置70は、点灯装置70aと、制御装置70bと、DC/DCコンバータ70cとを備える。ここで、点灯装置70aと制御装置70bとは、発光管1に電力を供給するための駆動装置を構成する。なお、ここでは、一例として、光源駆動装置70が、外部電源を使用する場合について説明する。つまり、光源駆動装置70は、AC/DCコンバータ81に接続されており、AC/DCコンバータ81は、商用電源90に接続されている。AC/DCコンバータ81は、商用電源90から供給される交流電流を直流に変換する。
点灯装置70aは、図2の光源ユニット10を点灯駆動させる回路部分である。点灯装置70aにより、光源駆動装置70の出力の周波数、デューティ比、正負の電圧比、波形等が調整され、任意の波形、例えば重畳波が出力される。本実施形態において重畳波として、矩形波に三角形状の波形を重畳させた波形をひとつの例として説明する。また以降三角形状の波形を三角波という。
制御装置70bは、例えば、マイクロプロセッサ等から構成され、点灯装置70aを駆動制御する。そして、制御装置70bは、電源であるDC/DCコンバータ70cにて生成された適切な駆動電圧により駆動される。
この制御装置70bは、光源ユニット10の種々の動作を可能にする制御機能を有する。具体的には、制御装置70bに設けた電力変動制御部74が、点灯開始時に点灯装置70aを動作させて光源ユニット10に放電による発光を開始させるとともに、その後の起動時に点灯装置70aの制御によって光源ユニット10を定電流の交流で駆動し、さらにその後の安定動作時に点灯装置70aの制御によって光源ユニット10を定電力の交流で駆動する。以上のようにして光源ユニット10の点灯が開始されると、タイマ78により、点灯開始時からの経過時間の計測が行われる。
本実施形態では、制御装置70bが、フリッカの発生を抑制するために、定期的に通常モードから補修モードに切り替わって動作する。すなわち、制御装置70bに設けた補修動作制御部75は、タイマ78により計測される経過時間に基づいて、一定時間経過する毎に光源ユニット10に供給する供給エネルギーの調整を行う。
図6は、光源駆動装置170の動作例を説明するフローチャートである。
以下、図6のフローチャートを参照して補修モードにおける動作について詳細に説明する。
制御装置70bは、点灯スイッチの動作を検出して処理を開始する。
まず、制御装置70bは、点灯装置70aを動作させて光源ユニット10の発光管1に対し放電を開始させる(ステップS11)。
次に、制御装置70bは、電力変動制御部74を介して点灯装置70aを適宜動作させ、光源ユニット10の発光管1を一定の状態の電流で発光させる(ステップS12)。これにより、光源ユニット10の発光の輝度が徐々に上昇し、光源ユニット10の発光輝度を目標値まで高めることができる。
その後、制御装置70bは、光源ユニット10の発光管1への供給電力が目標値に達したことを検出した段階で、電力変動制御部74を介して点灯装置70aを適宜動作させ、発光管1に定電力を供給する安定動作すなわち通常モードでの動作に切り替える(ステップS13)。これにより、光源ユニット10の発光管1を目標とする輝度で発光させることができる。また、この際、制御装置70bは、発光管1による点灯時間を測定するためにタイマ78を動作させる。
次に、制御装置70bは、タイマ78により点灯開始から一定時間(例えば10分)が経過したか否かを判定する(ステップS14)。タイマ78によって計測される一定時間は、通常モードでの駆動波形や発光管1のパラメータを考慮して、先端部15a,16aに発生する凹凸61が補修モードで溶融できる範囲であり、事前にシミュレーションや実験などによって設定される。
タイマ78が一定時間経過したと判定した場合、制御装置70bは、補修動作制御部75を介して点灯装置70aを適宜動作させ、発光管1内に封入された第1電極15、第2電極16の先端部15a,16aを補修する。つまり、制御装置70bの補修動作制御部75が第1電極15、第2電極16への電流波形を調節する補修モードで所定期間だけ動作する(ステップS15)。補修モードにおいて、補修動作制御部75は、第1電極15及び第2電極16に与えられる電流波形を、陽極期間の前半期間に供給される第1供給エネルギーと陽極期間の後半期間に供給される第2供給エネルギーとの差が、通常モードの際の第1供給エネルギーと第2供給エネルギーとの差よりも増加された電流波形となるように、点灯装置70aを介して電流波形を制御し、所定期間その波形で発光管1を駆動する。図7(a)を参照して具体的に説明すると、補修動作制御部75は、先端部15a,16aが過剰に溶融されずに先端部15a,16aに発生した凹凸61が溶融される程度の所定期間、例えば1サイクル〜100サイクル程度に亘って、通常モードにおける三角波と比較してより急峻な勾配を有する三角波を矩形波に重畳させる。なお、三角波を重畳させた重畳波の形状や制御等についてより詳しくは図7(a)を参照して後述する。補修モードでの所定期間の駆動が終了すると、制御装置70bは発光管1の駆動を通常モードに戻し(ステップS13)、タイマ78により通常モード復帰から一定時間(例えば10分)が経過したか否かを判定する(ステップS14)。以後、消灯するまでこれらの動作が繰り返される。なお、補修モードでの動作において、電流値の重畳させる三角波の勾配を変化させるだけでなく、これに併せて点灯装置70aの交流出力の供給エネルギーを増大させる等の調整をすることも可能である。以上のような動作を達成するため、電力変動制御部74は、制御プログラムにしたがって、点灯装置70aの動作を管理し、点灯装置70aから図2の光源ユニット10のリード線18a,18bに供給される駆動電圧及び駆動電流を制御する。例えば、点灯装置70aを制御して出力電圧を調整することによって、電流の振幅、出力の周波数、波形等を調整することができる。
一方、ステップS14で一定時間が経過していなかった場合、制御装置70bは、通常モードでの動作を維持するとともに、消灯の信号を検出したか否かを検出する(ステップS18)。消灯の信号を検出しなかった場合、ステップS13に戻って発光管1に一定の状態の電力を供給する通常モードの動作を維持する。一方、消灯の信号を検出した場合、発光管1への電力供給を停止して、発光管1の発光を停止させる。
以下、図6のフローチャートを参照して補修モードにおける動作について詳細に説明する。
制御装置70bは、点灯スイッチの動作を検出して処理を開始する。
まず、制御装置70bは、点灯装置70aを動作させて光源ユニット10の発光管1に対し放電を開始させる(ステップS11)。
次に、制御装置70bは、電力変動制御部74を介して点灯装置70aを適宜動作させ、光源ユニット10の発光管1を一定の状態の電流で発光させる(ステップS12)。これにより、光源ユニット10の発光の輝度が徐々に上昇し、光源ユニット10の発光輝度を目標値まで高めることができる。
その後、制御装置70bは、光源ユニット10の発光管1への供給電力が目標値に達したことを検出した段階で、電力変動制御部74を介して点灯装置70aを適宜動作させ、発光管1に定電力を供給する安定動作すなわち通常モードでの動作に切り替える(ステップS13)。これにより、光源ユニット10の発光管1を目標とする輝度で発光させることができる。また、この際、制御装置70bは、発光管1による点灯時間を測定するためにタイマ78を動作させる。
次に、制御装置70bは、タイマ78により点灯開始から一定時間(例えば10分)が経過したか否かを判定する(ステップS14)。タイマ78によって計測される一定時間は、通常モードでの駆動波形や発光管1のパラメータを考慮して、先端部15a,16aに発生する凹凸61が補修モードで溶融できる範囲であり、事前にシミュレーションや実験などによって設定される。
タイマ78が一定時間経過したと判定した場合、制御装置70bは、補修動作制御部75を介して点灯装置70aを適宜動作させ、発光管1内に封入された第1電極15、第2電極16の先端部15a,16aを補修する。つまり、制御装置70bの補修動作制御部75が第1電極15、第2電極16への電流波形を調節する補修モードで所定期間だけ動作する(ステップS15)。補修モードにおいて、補修動作制御部75は、第1電極15及び第2電極16に与えられる電流波形を、陽極期間の前半期間に供給される第1供給エネルギーと陽極期間の後半期間に供給される第2供給エネルギーとの差が、通常モードの際の第1供給エネルギーと第2供給エネルギーとの差よりも増加された電流波形となるように、点灯装置70aを介して電流波形を制御し、所定期間その波形で発光管1を駆動する。図7(a)を参照して具体的に説明すると、補修動作制御部75は、先端部15a,16aが過剰に溶融されずに先端部15a,16aに発生した凹凸61が溶融される程度の所定期間、例えば1サイクル〜100サイクル程度に亘って、通常モードにおける三角波と比較してより急峻な勾配を有する三角波を矩形波に重畳させる。なお、三角波を重畳させた重畳波の形状や制御等についてより詳しくは図7(a)を参照して後述する。補修モードでの所定期間の駆動が終了すると、制御装置70bは発光管1の駆動を通常モードに戻し(ステップS13)、タイマ78により通常モード復帰から一定時間(例えば10分)が経過したか否かを判定する(ステップS14)。以後、消灯するまでこれらの動作が繰り返される。なお、補修モードでの動作において、電流値の重畳させる三角波の勾配を変化させるだけでなく、これに併せて点灯装置70aの交流出力の供給エネルギーを増大させる等の調整をすることも可能である。以上のような動作を達成するため、電力変動制御部74は、制御プログラムにしたがって、点灯装置70aの動作を管理し、点灯装置70aから図2の光源ユニット10のリード線18a,18bに供給される駆動電圧及び駆動電流を制御する。例えば、点灯装置70aを制御して出力電圧を調整することによって、電流の振幅、出力の周波数、波形等を調整することができる。
一方、ステップS14で一定時間が経過していなかった場合、制御装置70bは、通常モードでの動作を維持するとともに、消灯の信号を検出したか否かを検出する(ステップS18)。消灯の信号を検出しなかった場合、ステップS13に戻って発光管1に一定の状態の電力を供給する通常モードの動作を維持する。一方、消灯の信号を検出した場合、発光管1への電力供給を停止して、発光管1の発光を停止させる。
以上説明した光源装置100では、駆動装置である光源駆動装置70が、定期的に補修モードで動作する。この補修モードにおいて、光源駆動装置70は、第1電極15、第2電極16のうち少なくとも一方について、その陽極期間中に供給される総供給エネルギーのうち、1回の陽極期間である半サイクル期間において、半サイクル期間の後半期間に供給される第2供給エネルギーと半サイクル期間の前半期間に供給される第1供給エネルギーとの差が、通常モードの際の第2供給エネルギーと第1供給エネルギーとの差よりも大きくするように供給エネルギーの供給状態を変化させる。より具体的には、通常モードから補修モードへの切り替えにおいて、電流波形の形状を、時間とともに単調増大する三角波を矩形波に重畳する。あるいは、通常モード及び補修モードの電流波形が伴に矩形波に三角波を重畳した重畳波であった場合は、補修モードの矩形波に重畳される三角波の頂部の山形の部分を形成しているピーク波形の勾配を、通常モードのときに比べてより急峻で一定の勾配を有するものとなるように制御する。この補修モードでの動作により、先端部15a,16a表面の凹凸61を必要十分なだけ溶かすことができ、先端部15a,16aが初期形状から変形しにくくなる。これにより、先端部15a,16aの先端を起点とした放電が比較的長期間安定し持続されるので、チラツキ、照度低下等の発生を比較的長期間に亘って抑えることができる。
図7(a)は、本実施形態の光源駆動装置70の動作波形を示すグラフである。ここで、横軸は時間を示し、縦軸は供給電流値を示す。供給電流値の調整即ち光源駆動装置70の動作波形である電流波形の調整は、図5に示す制御装置70bの制御により制御されている。電流波形は、通常モード及び補修モードのいずれにおいても、矩形波に三角波を重畳した重畳波形である。図7(a)に示される本実施形態の重畳波の形状についてさらに詳述する。通常モード期間及び補修モード期間における重畳波は、極性反転時の所定の電流値を初期値としてその陽極期間中経過時間と伴に電流値の絶対値が単調に増加する波形である。また、通常モード期間及び補修モード期間における重畳波は、陽極期間中における増加率は一定、つまり陽極期間中に増加する電流値を示す斜線であるピーク波形は直線である。さらに、通常モード期間t1及び通常モード期間t3内における陽極期間中のピーク波形の勾配は一定であり、補修モード期間t2内における陽極期間中のピーク波形の勾配は一定である。しかし、補修モード期間t2内における陽極期間中のピーク波形の勾配は、通常モード期間t1及び通常モード期間t3内における陽極期間中のピーク波形の勾配よりも大きい。これにより、補修モードにおいて、第1電極15、第2電極16の先端部15a,16aの温度を、通常モードにおける第1電極15、第2電極16の先端部15a,16aの温度よりも上昇させることができる。補修モード期間t2は、供給されるエネルギー量や発光管1のパラメータを考慮して、先端部15a,16aに発生した凹凸61を溶融しながらも先端部15a,16a自体を過剰に溶融しない期間であり、事前にシミュレーションや実験などによって設定される。
以下、通常モードと補修モードとに対応する重畳波の形状について図8を用いて説明することにより、本実施形態に係る温度上昇について説明する。図8は、図7(a)の一部を拡大したものであり、特に、通常モードと補修モードとを比較して説明するため通常モードから補修モードへ切り替わる部分を取り出した図である。図中電流波形NM及び電流波形RMは、1サイクル期間T0のうち、第1電極15が陽極期間となる半サイクル期間T1における電流波形である。電流波形NMは、通常モードにおける半サイクル期間の電流波形を示し、電流波形RMは、補修モードにおける半サイクル期間の電流波形を示す。第1電極15への陽極期間中の供給エネルギーとは、第1電極15が陽極として働く時間における消費電力の累積値をいう。ここで、電流波形NM及び電流波形RMと、時間軸とで囲まれた部分の面積は、それぞれ第1電極15の陽極期間である半サイクル期間中に供給される総供給エネルギーに対応する。さらに、半サイクル期間をそれぞれ前半と後半とに分け(図中点線)、前半期間H1に供給されるエネルギーを第1供給エネルギー、後半期間H2に供給されるエネルギーを第2供給エネルギーとする。図8において示すように、通常モードでの第1供給エネルギーは、領域Aの面積が対応し、第2供給エネルギーは、領域Bの面積が対応する。同様に、補修モードでの第1供給エネルギーは、領域Cの面積が対応し、第2供給エネルギーは、領域Dの面積が対応する。
以上において、まず、図8から明らかなように、通常モードでは、領域Aの面積aが領域Bの面積b以下となっている。また、同様に、補修モードにおいても、領域Cの面積cが領域Dの面積d以下となっている。つまり、いずれのモードにおいても第1供給エネルギーが第2供給エネルギー以下となるように電流波形の制御がなされている。従って、この場合、半サイクル期間中の後半期間により多くのエネルギーが投じられる。これにより、発光管1の交流駆動波形の極性反転直前において、図3等に示した第1電極15、第2電極16の先端部15a,16a等の温度を効率的に上昇させることができ、極性反転直後の第1電極15、第2電極16の先端部15a,16a等の温度低下がなくフリッカの発生を防止できる。さらに、補修モードにおいて、先端部15a,16aに発生した凹凸61を溶かすのに必要十分な温度上昇をさせるために、矩形波に重畳させる三角波の傾斜を通常モードに比してより急峻なものとする。これを供給エネルギーの観点から説明すると、通常モードにおける領域Aの面積aと領域Bの面積bとの差よりも補修モードにおける領域Cの面積cと領域Dの面積dとの差のほうが大きいものとしている。つまり、補修モードでは、第1供給エネルギーと第2供給エネルギーとの差d−cを通常モードでの差b−aよりも大きなものとしている。補修モードでのピーク波形の勾配を通常モードでのピーク波形の勾配よりも急峻なものとすることで、通常モードの電流波形NMでの陽極期間中の総供給エネルギーと補修モードの電流波形RMでの陽極期間中の総供給エネルギーとの差を極力抑えながら、通常モードの陽極期間である半サイクル期間T1中よりも、補修モードの陽極期間である半サイクル期間T1中の方が第1電極15、第2電極16の先端部15a,16aの温度を上昇させることができる。これにより、通常モードでの動作時と補修モードでの動作時とで照度変動を発生させること無く、第1電極15、第2電極16の先端部15a,16aに発生した凹凸61を溶融するのに必要となる温度上昇を行うことができる。
なお、以上の説明では、図7(a)等を用いて、電流形状が矩形波に三角波を重畳させた場合について説明したが、温度上昇効果を得るには、上述したように第1供給エネルギーと第2供給エネルギーとの差をより大きなものとすることにより得られるため、同様の効果を得ることができるものであれば矩形波に重畳させる波形は三角波に限らず他の種々の形状とすることも可能である。つまり、上述した補修モードにおいて、領域Cの面積cと領域Dの面積dとの差が補修モードにおいて先端部15a,16aに発生した凹凸61を溶融させる温度上昇に必要なだけ通常モードにおける領域Aの面積aと領域Bの面積bとの差よりも大きくなるような電流形状を形成することにより図3等に示した第1電極15、第2電極16の先端部15a,16aを所望の温度まで上昇させることができる。
図7(b)は、光源駆動装置70の動作波形の他の一例を示すグラフである。図7(b)の例では、通常モード期間t1及び通常モード期間t3において、電流波形が矩形波となるように制御されており、補修モード期間t2においてのみ矩形波に三角波を重畳させた重畳波としている。
図7(c)は、光源駆動装置70の動作波形のさらに別の一例を示すグラフである。図7(a)、図7(b)の例では、補修モード期間t2において、図3等に示した第1電極15、第2電極16の双方について、陽極期間の前半期間に供給される第1供給エネルギーと陽極期間の後半期間に供給される第2供給エネルギーとの差を通常モードの時の差よりも増加させているが、図7(c)の例では、一対の第1電極15、第2電極16のうちいずれか一方の電極が陽極期間となるときにのみ、陽極期間の前半期間に供給される第1供給エネルギーと陽極期間の後半期間に供給される第2供給エネルギーとの差を通常モードの時の差よりも増加させている。この場合、1回の補修モード期間t2において、一対の第1電極15、第2電極16の一方のみに対して先端部の温度を通常モード期間の温度よりも上昇を生じさせることができる。なお、図7(c)の場合、通常モード期間t1において矩形波で発光管1を駆動し、補修モード期間t2において、一対の第1電極15、第2電極16のうち、第1電極15の陽極期間のみ矩形波に三角波を重畳させた重畳波に変える場合のみを示しているが、通常モード期間t3後の補修モード期間t2(不図示)においては、第2電極16の陽極期間のみ矩形波に三角波を重畳させた重畳波に変える。なお、補修モードにおいて、一対の第1電極15、第2電極16のうち、どちらの波形形状を重畳波とするかは適宜選択可能であり、第1電極15のみを補修する補修モードと第2電極16を補修する補修モードとを通常モードを介して交互に行う必要はない。通常モードでの駆動波形や発光管1のパラメータを考慮して、先端部15a,16aに発生する凹凸61が補修モードで溶融できる範囲で、第1電極15のみを補修する補修モードと第2電極16を補修する補修モードと適宜行なうように順番を設定することができる。
図7(d)は、光源駆動装置70の動作波形のさらに別の一例を示すグラフである。図7(d)の例では、補修モード期間t2において、さらに周波数を変化させている。より具体的には、補修モード期間t2の周波数を通常モード期間t1及び通常モード期間t3の周波数よりも小さくしている。これにより、補修モード期間t2における半サイクル期間が通常モード期間t1及び通常モード期間t3における半サイクル期間よりも長くなるので、各電極の温度上昇について、最高温度をより高くすることができる。これにより、補修モード期間t2を短くすることができる。
図7(e)は、光源駆動装置70の動作波形のさらに別の一例を示すグラフである。図7(e)の例は、図7(a)の変形例であり、図7(e)の場合、さらに温度上昇の効果を得るために補修モード中の半サイクル期間(対象とする電極の陽極期間)における総供給エネルギーを、通常モード中の半サイクル期間(同上)における総供給エネルギー以上となるように制御を行っている。つまり、図8の場合において、領域Cの面積cと領域Dの面積dとの和c+dが、領域Aの面積aと領域Bの面積bとの和a+b以上となるようにする。これにより、温度上昇をさらに効率よく行うことができる。これにより、補修モード期間t2を短くすることができる。
なお、この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
まず、本実施形態では、定期的に補修モードでの動作を行うために、ランプ点灯中の一定時間(10分)経過するごとに補修モードでの動作を行うものとしているが、定期的に補修モードでの動作を行うものとしては、これに限らず、ランプ点灯直後・消灯直前といった特定のタイミングにおいて補修モードでの動作を行うものとしてもよい。また、これらを併せて行うものとしてもよい。
〔第2実施形態〕
第1実施形態におけるプロジェクタ200では、一定時間経過毎に補修モードでの動作を行ったが、第2実施形態では、電極異常を検出する検出装置により電極異常が検出された異常時に、補修モードで動作を行う。つまり、本実施形態では、先端部15a,16aの表面に微小な凹凸が発生しフリッカやアークジャンプが検出された時点で、第1電極15、第2電極16のうちフリッカやアークジャンプの原因となる凹凸が発生した電極に対応する一方の電極の陽極期間の前半期間に供給される第1供給エネルギーと陽極期間の後半期間に供給される第2供給エネルギーとの差を通常モードの時の差よりも増加させる補修モードでの点灯動作が行われる。
第1実施形態におけるプロジェクタ200では、一定時間経過毎に補修モードでの動作を行ったが、第2実施形態では、電極異常を検出する検出装置により電極異常が検出された異常時に、補修モードで動作を行う。つまり、本実施形態では、先端部15a,16aの表面に微小な凹凸が発生しフリッカやアークジャンプが検出された時点で、第1電極15、第2電極16のうちフリッカやアークジャンプの原因となる凹凸が発生した電極に対応する一方の電極の陽極期間の前半期間に供給される第1供給エネルギーと陽極期間の後半期間に供給される第2供給エネルギーとの差を通常モードの時の差よりも増加させる補修モードでの点灯動作が行われる。
なお、本実施形態に係るプロジェクタは、光源駆動装置の一部の構成を除いて第1実施形態のプロジェクタ200と同等の構成であるから、本実施形態におけるプロジェクタの構成については、図1等に示すプロジェクタ200を適宜援用するものとし、光源駆動装置を除いて、図示及び説明を省略する。
図9は、本実施形態に係る光源駆動装置170等の構成を模式的に示すブロック図である。なお、ここで、図5に示した符号と同一のものについては、説明を省略する。光源駆動装置170は、光源駆動装置70と同様に点灯装置70a等のほかに、フリッカ・センサ70fを備える。
フリッカ・センサ70fは、フォトダイオード、増幅器、トリガ回路等からなる検出装置であり、第1電極15及び第2電極16間のアーク強度のノイズ状の変化を例えば光検出信号の乱れとして検出する。フリッカ・センサ70fは、光源ユニット10や照明光学系20内の適所に配置されており、制御装置70bの制御下で動作する。つまり、制御装置70bは、フリッカ・センサ70fの検出出力と、フリッカ又はアークジャンプが発生した時点で第1電極15及び第2電極16のいずれが陰極又は負電極であるかを監視しており、フリッカが検出された場合、第1電極15及び第2電極16のうちいずれの電極の先端部に凹凸が発生したのかを特定することができる。
安定動作時すなわち通常モードでの動作時において、本実施形態では、図9に示すフリッカ・センサ70fによってフリッカが検出されると、制御装置70bの補修動作制御部75は、フリッカの発生を抑える補修モードでの動作に切り替わる。特に、本実施形態では、補修動作制御部75は、第1電極15及び第2電極16のうちフリッカ・センサ70fによってフリッカ等が検出されたときに陰極であった電極を特定し、この電極に対して所定期間だけ陽極期間中のピーク波形の勾配を増加させる。
以下、本実施形態における補修モードにおける動作について詳細に説明する。補修動作制御部75は、フリッカ等の検出によって開始した補修モードにおいて、第1電極15及び第2電極16のうちフリッカ等が検出されたときに陰極であった電極の陽極期間中のピーク波形の勾配を点灯装置70aを介して一時的に増大させることにより、対応する電極の先端部15a又は先端部16aの表面層を一旦、加熱し凹凸61を溶融することができる。具体的に説明すると、補修動作制御部75は、第1電極15、第2電極16のうちフリッカ等が検出されたときに陰極であった電極に対して、その電極の陽極期間中の電流値のピーク波形の勾配を例えば1サイクル〜100サイクル程度に亘って所定量だけ通常モードにおける電流値のピーク波形の勾配に比較して増加させる。補修モードにける動作を所定期間維持した後、フリッカ等が検出されたときに陰極であった電極に対する電流値のピーク波形の勾配を補修モードによる動作前の通常モードの勾配に戻す。
図10は、光源駆動装置170の動作例を説明するフローチャートである。
以下、図10のフローチャートを参照して補修モードにおける動作について詳細に説明する。
制御装置70bは、点灯スイッチの動作を検出して処理を開始する。
まず、制御装置70bは、点灯装置70aを動作させて光源ユニット10の発光管1に対し放電を開始させる(ステップS111)。
次に、制御装置70bは、電力変動制御部74を介して点灯装置70aを適宜動作させ、光源ユニット10の発光管1を一定の状態の電流で発光させる(ステップS112)。
その後、制御装置70bは、光源ユニット10の発光管1への供給電力が目標値に達したことを検出した段階で、電力変動制御部74を介して点灯装置70aを適宜動作させ、発光管1に定電力を供給する安定動作すなわち通常モードでの動作に切り替える(ステップS113)。
次に、制御装置70bは、フリッカ・センサ70fの出力を判定して第1電極15、第2電極16間のアークに輝度変動すなわちフリッカやアークジャンプが生じたか否かを検出し、フリッカ等が検出されたときに陰極であった電極を特定する(ステップS114)。
フリッカ等を検出した場合、制御装置70bは、補修動作制御部75を介して点灯装置70aを適宜動作させ、発光管1内に封入された第1電極15、第2電極16のうちフリッカ等が検出されたときに陰極であった電極の先端部を補修するように、制御装置70bの補修動作制御部75が第1電極15、第2電極16への供給電流量を調節する補修モードで所定期間だけ動作する(ステップS115)。フリッカ等が検出されたときに陰極であった電極が第1電極15であった場合を例として具体的に説明する。補修モードにおいて、補修動作制御部75は、第1電極15、第2電極16のうちフリッカ等が検出されたときに陰極であった第1電極15のみに対して、その陽極期間の前半期間に供給される第1供給エネルギーと陽極期間の後半期間に供給される第2供給エネルギーとの差が、通常モードの際の第1供給エネルギーと第2供給エネルギーとの差より増加させる。補修モードでの発光管1の駆動は、電極の本体部15bの先端部15aの表面層は徐々に加熱され凹凸61が溶融される所定期間維持される。なお、ステップS115において、補修モードで所定期間だけ動作した後、再び通常モードでの動作に切り替わり(ステップS113)、制御装置70bは、再びフリッカ等の検出があったか否かを判定する(ステップS114)。以後、消灯するまでこの動作を繰り返す。
一方、ステップS114でフリッカ等を検出しなかった場合、制御装置70bは、通常モードでの動作を維持するとともに、消灯の信号を検出したか否かを検出する(ステップS118)。消灯の信号を検出しなかった場合、ステップS113に戻って発光管1に定電力を供給する通常モードの動作を維持する。一方、消灯の信号を検出した場合、発光管1への電力供給を停止して、発光管1の発光を停止させる。
以下、図10のフローチャートを参照して補修モードにおける動作について詳細に説明する。
制御装置70bは、点灯スイッチの動作を検出して処理を開始する。
まず、制御装置70bは、点灯装置70aを動作させて光源ユニット10の発光管1に対し放電を開始させる(ステップS111)。
次に、制御装置70bは、電力変動制御部74を介して点灯装置70aを適宜動作させ、光源ユニット10の発光管1を一定の状態の電流で発光させる(ステップS112)。
その後、制御装置70bは、光源ユニット10の発光管1への供給電力が目標値に達したことを検出した段階で、電力変動制御部74を介して点灯装置70aを適宜動作させ、発光管1に定電力を供給する安定動作すなわち通常モードでの動作に切り替える(ステップS113)。
次に、制御装置70bは、フリッカ・センサ70fの出力を判定して第1電極15、第2電極16間のアークに輝度変動すなわちフリッカやアークジャンプが生じたか否かを検出し、フリッカ等が検出されたときに陰極であった電極を特定する(ステップS114)。
フリッカ等を検出した場合、制御装置70bは、補修動作制御部75を介して点灯装置70aを適宜動作させ、発光管1内に封入された第1電極15、第2電極16のうちフリッカ等が検出されたときに陰極であった電極の先端部を補修するように、制御装置70bの補修動作制御部75が第1電極15、第2電極16への供給電流量を調節する補修モードで所定期間だけ動作する(ステップS115)。フリッカ等が検出されたときに陰極であった電極が第1電極15であった場合を例として具体的に説明する。補修モードにおいて、補修動作制御部75は、第1電極15、第2電極16のうちフリッカ等が検出されたときに陰極であった第1電極15のみに対して、その陽極期間の前半期間に供給される第1供給エネルギーと陽極期間の後半期間に供給される第2供給エネルギーとの差が、通常モードの際の第1供給エネルギーと第2供給エネルギーとの差より増加させる。補修モードでの発光管1の駆動は、電極の本体部15bの先端部15aの表面層は徐々に加熱され凹凸61が溶融される所定期間維持される。なお、ステップS115において、補修モードで所定期間だけ動作した後、再び通常モードでの動作に切り替わり(ステップS113)、制御装置70bは、再びフリッカ等の検出があったか否かを判定する(ステップS114)。以後、消灯するまでこの動作を繰り返す。
一方、ステップS114でフリッカ等を検出しなかった場合、制御装置70bは、通常モードでの動作を維持するとともに、消灯の信号を検出したか否かを検出する(ステップS118)。消灯の信号を検出しなかった場合、ステップS113に戻って発光管1に定電力を供給する通常モードの動作を維持する。一方、消灯の信号を検出した場合、発光管1への電力供給を停止して、発光管1の発光を停止させる。
図11(a)〜図11(c)は、本実施形態に係る動作波形を示すためのグラフである。図11(a)は、フリッカ・センサ70fの出力を示すグラフであり、図11(b)は、補修モードの動作タイミングを示すグラフである。また、図11(c)は、光源駆動装置170の動作波形の一例を示すグラフである。ここで、横軸は時間を示し、縦軸はそれぞれフリッカ検出出力、補修モードのオン・オフ及び供給電流値を示す。図11(c)のグラフの場合では、通常モード及び補修モードのいずれにおいても、矩形波に三角波を重畳させた重畳波の波形形状をなしており、半サイクル期間ごとにおいて、電流値の絶対値が時間とともに増大するすなわち単調増大なものとなっている。
以下、図11(a)〜図11(c)を用いて、フリッカ・センサ70fでの検出によりフリッカ等が生じたと判断された場合について説明する。図11(a)に示す場合、フリッカ・センサ70fの出力は、第1電極15が陰極のときにノイズ状の信号として検出される。すなわち、第1電極15の先端部15aの表面が荒らされて、表面に微小な凹凸61が形成されると、アークにフリッカ又はアークジャンプを生じさせる。この場合、図11(b)に示すように、制御装置70bは、点灯装置70a等に対して、これらを補修モードで動作させるための補修モード信号を出力する。この補修モード信号は、第1電極15、第2電極16に供給される交流の例えば2サイクル分の長さに維持される。以上のような動作に応じて、図11(c)に示すように、電流波形が、通常モードに対応する通常モード期間t1あるいは通常モード期間t3においては、第1電極15が陽極・陰極いずれの時も矩形波に重畳される三角波の波形の勾配は略一定なものであるのに対し、補修モードに対応する補修モード期間t2においては、第1電極15が陽極の時のみ矩形波に重畳する三角波の勾配が通常モードの時の勾配より急峻なものとなる。これにより、補修モードにおいて、第1電極15側のみをより急速な温度上昇を生ぜしめることができる。つまり、異常が生じた第1電極15についてのみ、その先端部15aの補修が行われる。
なお、以上の説明において、図11(a)では、第1電極15が陰極であったときにフリッカが生じた場合について説明しているが、第2電極16が陰極であったときにフリッカ・センサ70fでノイズ状の信号が検出される場合もある。フリッカ・センサ70fでノイズ状の信号が検出されたときに第2電極16が陰極であった場合は、補修モードにおいて第2電極16のみに対して、その陽極期間の前半期間に供給される第1供給エネルギーと陽極期間の後半期間に供給される第2供給エネルギーとの差を、通常モードの際の第1供給エネルギーと第2供給エネルギーとの差より増加させる。
これにより、第1電極15、第2電極16間の放電におけるフリッカやアークジャンプが定常的に生じることを防止でき、図1に示すプロジェクタ200による投射像の色ムラや輝度低下を比較的長期間に亘って抑えることができる。また、以上の例では、補修モード信号を2サイクル分の長さとしたが、補修モード期間は、供給されるエネルギー量や発光管1のパラメータを考慮して、先端部15a,16aに発生した凹凸61を溶融しながらも先端部15a,16a自体を過剰に溶融しない期間を、事前にシミュレーションや実験などによって設定することができる。
以上説明した光源駆動装置170において、フリッカ・センサ70fは、フォトダイオード等によって照度変動を検出するものに限らず、第1電極15及び第2電極16間に流れる電流のリップル等をモニタするものとできる。
なお、この発明は、上記の第1及び第2実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
まず、光源装置100に組み込まれる光源ユニット10に用いるランプとしては、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等種々のものが考えられる。
また、上記実施形態の光源駆動装置170の動作例では、発光管1の駆動を補修モードで所定期間動作させた後、通常モードに戻して動作させていたが、発光管1を消灯させるまで発光管1の駆動を補修モードで動作させることもできる。
また、上記実施形態のプロジェクタ200では、光源装置100からの光を複数の部分光束に分割するため、一対の第1フライアイレンズ23a、第2フライアイレンズ23bを用いていたが、この発明は、このようなフライアイレンズすなわちレンズアレイを用いないプロジェクタにも適用可能である。さらに、第1フライアイレンズ23a、第2フライアイレンズ23bをロッドインテグレータに置き換えることもできる。
また、上記実施形態のプロジェクタ200では、光源装置100からの光を複数の部分光束に分割するため、一対の第1フライアイレンズ23a、第2フライアイレンズ23bを用いていたが、この発明は、このようなフライアイレンズすなわちレンズアレイを用いないプロジェクタにも適用可能である。さらに、第1フライアイレンズ23a、第2フライアイレンズ23bをロッドインテグレータに置き換えることもできる。
また、上記プロジェクタ200において、光源装置100からの光を特定方向の偏光とする偏光変換素子24を用いていたが、この発明は、このような偏光変換素子24を用いないプロジェクタにも適用可能である。
また、上記実施形態では、透過型のプロジェクタに本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型プロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含む液晶ライトバルブが光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、液晶ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味している。反射型プロジェクタの場合、液晶ライトバルブは液晶パネルのみによって構成することが可能であり、一対の偏光フィルタは不要である。なお、光変調装置は液晶パネル等に限られず、例えばマイクロミラーを用いた光変調装置であってもよい。
また、プロジェクタとしては、投射面を観察する方向から画像投射を行う前面プロジェクタと、投射面を観察する方向とは反対側から画像投射を行う背面プロジェクタとがあるが、図1に示すプロジェクタの構成は、いずれにも適用可能である。
また、上記実施形態では、3つの液晶パネル41a〜41cを用いたプロジェクタ200の例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの液晶パネルを用いたプロジェクタ、或いは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
また、上記実施形態では、色分離光学系30や液晶ライトバルブ40a,40b,40c等を用いて各色の光変調を行っているが、これらに代えて、例えば光源装置100及び照明光学系20によって照明されるカラーホイールと、マイクロミラーの画素によって構成されカラーホイールの透過光が照射されるデバイスとを組み合わせたものを用いることによって、カラーの光変調及び合成を行うこともできる。
1…発光管、2…リフレクタ、3…副鏡、10…光源ユニット、11…本体部分、12…放電空間、13…第1封止部、14…第2封止部、15…第1電極、16…第2電極、15a,16a…先端部、15b,16b…本体部、15c,16c…コイル部、15d,16d…芯棒、15g,16g…先端側領域、17a,17b…金属箔、18a,18b…リード線、20…照明光学系、22…平行化レンズ、23a…第1フライアイレンズ、23b…第2フライアイレンズ、24…偏光変換素子、25…重畳レンズ、30…色分離光学系、31a…第1ダイクロイックミラー、31b…第2ダイクロイックミラー、40a,40b,40c…液晶ライトバルブ、41a,41b,41c…液晶パネル、42a,42b,42c…第1偏光フィルタ、43a,43b,43c…第2偏光フィルタ、50…クロスダイクロイックプリズム、60…投射レンズ、70,170…光源駆動装置、70a…点灯装置、70b…制御装置、70c…DC/DCコンバータ、70f…フリッカ・センサ、74…電力変動制御部、75…補修動作制御部、78…タイマ、81…AC/DCコンバータ、100…光源装置、200…プロジェクタ、OA…システム光軸。
Claims (10)
- 相互間の放電により発光を行う第1電極及び第2電極を有する発光管と、
前記第1電極と前記第2電極との間に交流電流を供給するとともに、前記第1電極及び前記第2電極のうち一方の電極が陽極である陽極期間中に供給される総供給エネルギーのうち、前記陽極期間の前半期間に供給される第1供給エネルギーが前記陽極期間の後半期間に供給される第2供給エネルギー以下となるように電流波形の制御を行う通常モードと、前記第2供給エネルギーを前記第1供給エネルギーよりも大きくするとともに、前記第2供給エネルギーから前記第1供給エネルギーを引いた差を、前記通常モードにおける前記第2供給エネルギーから前記第1供給エネルギーを引いた通常値よりも大きくさせる補修モードとで動作可能な駆動装置と、を備え、
前記駆動装置は、前記補修モードにおいて、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくとも一方の電極の温度を前記通常モード時の前記少なくとも一方の電極の温度よりも高めることによって前記少なくとも一方の電極の先端部の表面層を溶かすことを特徴とするプロジェクタ。 - 前記駆動装置は、前記補修モード中の陽極期間における前記総供給エネルギーを、前記通常モード中の前記陽極期間における前記総供給エネルギー以上となるように制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。
- 前記駆動装置は、少なくとも前記補修モードにおける前記陽極期間中での電流値の絶対値が単調増大となるように制御を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロジェクタ。
- 前記駆動装置は、少なくとも前記補修モードにおける前記陽極期間中での前記電流波形を矩形波に三角形状の波形を重畳させた重畳波に制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
- 前記駆動装置は、前記補修モードにおいて、前記重畳波のピーク波形の勾配を前記通常モードにおける勾配に比して変化させることを特徴とする請求項4に記載のプロジェクタ。
- 前記駆動装置は、前記通常モードにおける前記電流波形を矩形波に制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
- 前記駆動装置は、前記補修モードにおいて、周波数を前記通常モードにおける周波数に比して変化させることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
- 前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方の動作が異常である電極異常を検出する検出装置をさらに備え、
前記駆動装置は、前記電極異常が検出された異常時に、前記補修モードで動作を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のプロジェクタ。 - 前記駆動装置は、定期的に前記補修モードでの動作を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
- 前記発光管からの照明光によって照明される光変調装置と、
前記光変調装置を経た像光を投射する投射光学系とをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
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