JP2009026707A - 電池ケース及び封口板を備える電池 - Google Patents

電池ケース及び封口板を備える電池 Download PDF

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Abstract

【課題】封口板全体の厚肉化を防止しつつ封口板の位置決め不良や溶接不良の発生を未然に防止し得る封口板と該封口板を備える電池を提供すること。
【解決手段】本発明により提供される電池は、電極体ユニットを収容するケースの開口部を塞ぐ封口板20を備える。封口板20の裏面側には該封口板20がケース開口部の所定位置に装着された状態で該ケース開口部の内方に入り込む嵌合凸部24が形成されている。そして、この封口板20は、上記嵌合凸部24のケース開口部周縁に接する外周部分25,27の少なくとも一部分27Aが該嵌合凸部24のケース開口部周縁に接していない内方部分28よりも肉厚となるように、プレス加工による増肉成形されたものであることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、電極体ユニットを収容するケースと封口板を備える電池に関する。詳しくは、当該電池ケースの本体と封口板(蓋部材)とのシール(封口)構造と封口板の形状に関する。
種々の電池、例えばリチウムイオン電池等のリチウム二次電池、ニッケル水素二次電池のような化学電池或いは電気二重層キャパシタのような物理電池が電気を駆動源とする車両、パソコンその他の電気製品等に搭載される電源として利用される。かかる電池の典型的な一形態として、所定の電極体ユニット及び電解質が典型的には金属製であるケース(筐体)の内部に密閉された形式の電池が挙げられる。
この種の電池に用いられる電池ケースとしては種々の形状があり得るが、例えば車載用の電池としては限られたスペースに効率よく多数の電池を整然と配列させ得る形状が好ましく、その典型例として捲回型や積層型のような扁平形状の電極体ユニットを収容する当該電極体ユニット形状に対応した扁平な矩形状の角形ケースが挙げられる。
この種の電池は、所定の電極体ユニットをケース(ケース本体)に収容した後、該ケースの開口部(即ち電極体ユニットを収容するための収容口をいう。以下同じ。)に所定の封口板(即ち当該ケース開口部を塞ぐ蓋部材をいう。以下同じ。)を装着し、次いで該開口部の周縁に封口板を溶接して該ケース開口部を封口(シール)することによって構築される。なお、関連従来技術として特許文献1には、角形ケース本体のケース開口部周縁に封口板を効率よく溶接する技術が記載されている。また、特許文献2には、電池ケース開口部の封口に使用する封口板として、薄膜に形成した安全弁の近傍に突部を形成した構造の封口板が記載されている。
特開2004−195490号公報 特開2006−351234号公報
車載用電池のような比較的大型サイズの電池の封口板の裏面側(ケース開口部に装着された際にケース内側を向く面側をいう。以下同じ。)には、所定の溶接強度の確保や位置決めのし易さ等を目的として、ケース本体開口部の内方に入り込む部分(以下「嵌合凸部」という。)が形成されているところ(例えば特許文献1に図示される封口板参照)、電池の軽量化や製造コスト減等の観点からは封口板自体をより薄型化することが望ましく、その場合には当然に上記嵌合凸部の肉厚も薄くなる傾向にある。
一方、例えば車載用の扁平形状電極体ユニットを備える電池(リチウム二次電池等)では、従来の一般的な用途(例えばモバイル用)の電池と比較して開口部の周縁距離が長く、従ってケース本体と封口板との溶接距離も長くなる。かかる溶接距離が長くなると、封口板の嵌合時の位置決め不良やレーザ光漏れによる溶接不良を起こす確率が高くなる。特に、薄型封口板を使用する場合には嵌合凸部も肉薄であるためにケース開口部周縁と封口板嵌合凸部とが重なる部分(即ち嵌合段差)が小さくなる結果、上記位置決め不良や溶接不良を起こす確率はより高くなる。
従って、位置決め不良、延いては溶接不良の発生頻度を減らし或いは十分な溶接強度を確保するための一方策として、かかる嵌合凸部の厚み(即ち裏面側における封口板の本体部(基体)底面と嵌合凸部の頂面までの段差)を増すこと、換言すれば封口板をケース開口部に装着した際に当該嵌合凸部とケース本体(開口部周縁の周壁部)との重なり部分(即ち嵌合段差)を大きくすることが挙げられる。
しかしながら、封口板の嵌合凸部の肉厚を増大させることは当該封口板の大型化(肉厚化)につながり、材料費や加工費の増大に因る製造コスト高を招くため好ましくない。即ち、低コストの封口板を使用するという経済上の観点からは、できるだけ肉厚の薄い封口板を使用することが好ましい。
そこで本発明は、上記車載用電池のように比較的溶接距離の長い封口板とケースとを備える電池の溶接に関する従来の問題点を解決すべく創出されたものであり、製造コスト増大を引き起こす封口板全体の厚肉化を防止しつつ封口板の位置決め不良や溶接不良の発生を未然に防止し得る封口板と該封口板を備える電池の提供を目的とする。また、そのような封口板を備える電池の製造方法の提供を他の目的とする。
本発明によって提供される電池は、電極体ユニットと、該電極体ユニットの形状に対応する形状のケースと、該ケースにおける前記電極体ユニットを収容する開口部を塞ぐ封口板とを備える電池である。
本発明によって提供される電池では、上記封口板の裏面側には該封口板が上記ケース開口部の所定位置に装着された状態で該ケース開口部の内方に入り込む嵌合凸部が形成されている。そして、この封口板は、上記嵌合凸部のケース開口部周縁に接する外周部分の少なくとも一部分が該嵌合凸部のケース開口部周縁に接していない内方部分よりも肉厚となるように、プレス加工による増肉成形されたものであることを特徴とする。
なお、本明細書において「電池」とは、所定の電気エネルギーを取り出し得る蓄電装置をいい、特定の蓄電機構(電極体や電解質の構成)に限定されない。リチウム二次電池、ニッケル水素二次電池その他の二次電池或いは電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(即ち物理電池)は、ここでいう電池に包含される典型例である。
また、本明細書において「電極体ユニット」とは、少なくとも一つずつの正極及び負極を含み、電池(蓄電装置)の主体を成す構造体をいう。
また、本明細書において上記「ケース」とは、ここで開示される電池を構成する一部材であって電極体ユニット及び電解質を収容し、所定の開口部(即ち電極体ユニット収容口)を有する電池用筐体をいう。
上記構成の本発明の電池では、封口板の嵌合凸部の外周部分(即ち上記ケース開口部を構成するケース周壁の内面と接する部分)の一部がプレス加工により増肉成形されている。このことによって、封口板全体にわたる厚肉化を行うことなく、位置決め精度の向上や溶接強度の向上に資する嵌合凸部外周部分の少なくとも一部分の厚みを上記内方部分よりも厚くすることができる。即ち、本発明によると、ここで開示される封口板を使用することによって、封口板の製造材料(例えばアルミニウム材、ステンレス鋼材)の使用量を増大させることなく、位置決め不良や溶接不良の発生頻度を低減させることができる。
従って、本発明によると、製造コストの増大や重量増(即ち原材料の使用量の増大)を来すことなく上記嵌合段差を大きくし、高精度の位置決め延いては高い溶接強度(電池ケースの耐圧強度向上)が保証された高信頼性の電池を提供することができる。
従って、本発明は他の側面としてここで開示される特徴を備えた封口板を使用することを特徴とする電池の製造方法を提供する。
ここで開示される電池の好ましい一態様では、上記嵌合凸部外周部分の少なくとも一部分の増肉は、該一部分に隣接する嵌合凸部内方部分の少なくとも一部分が上記プレス加工で減肉成形されることにより実現されていることを特徴とする。
このような隣接部分のプレス減肉を行うことにより、嵌合凸部外周部分の所望する部分を容易に厚肉にする(増肉成形する)ことができる。従って、本発明は他の側面として、上記増肉成形部分に隣接する嵌合凸部内方部分の少なくとも一部分がプレス加工で減肉成形された封口板を使用することを特徴とする電池の製造方法を提供する。
また、ここで開示される電池の好ましい他の一態様では、上記電極体ユニットとして扁平形状の電極体ユニットが用いられ、上記ケースは該電極体ユニットを収容し得る開口部の周縁が一対のケース長辺部と一対のケース短辺部とから構成された矩形状のケース(典型的にはアルミニウムやその合金等の金属製ケース)であり、ここで上記増肉成形部分は、嵌合凸部外周部分のうちのケース長辺部に対向する長辺側の少なくとも一部分に形成されていることを特徴とする。
本構成の扁平形状電池では、上記増肉成形部分がケース長辺部に形成されている。これにより、特に封口板装着時における装着ずれにより位置決め不良がケース短辺部よりも発生し易い扁平矩形状ケースの長辺部側における封口板と開口部周縁との嵌合段差を大きくし、ケース長辺部側の位置決めを高精度に行うことができる。従って、本発明によると、製造コストの増大や重量増(即ち原材料の使用量の増大)を来すことなく高精度の位置決めと高い溶接強度が保証された高信頼性の扁平形状の電池(典型的には捲回型や積層型の電極体ユニットを備えるリチウムイオン電池等の二次電池)を提供することができる。
また、本発明によって提供される扁平形状電池の好ましい形態として、上記増肉成形部分が嵌合凸部外周部分の長辺側の両端部に形成されていることを特徴とするものが挙げられる。或いはまた、上記増肉成形部分が嵌合凸部外周部分の長辺側の中央部に形成されていることを特徴とするものが挙げられる。
このように長辺側の全域に増肉成形部分を形成することに代えて、その一部分(上記両端部或いは中央部:後述する試験例参照)にのみプレス加工によって増肉形成部分を形成することによって、容易に高精度の位置決めと高い溶接強度が保証された高信頼性の扁平形状の電池を提供することができる。
また、本発明によって提供される扁平形状電池の特に好ましい形態として、上記増肉成形部分が嵌合凸部外周部分のうちの上記ケース短辺部に対向する短辺側には形成されていないことを特徴とするものが挙げられる。
ケース短辺部側は、封口板の装着(嵌合)時においてケース開口部周縁と嵌合凸部表面(側面)とが強く擦れ合って所謂「かじり」を発生させ易い部位である。かじりの発生は電極体ユニット及び電解質を収容したケース内に当該かじりに由来する脱落粉(即ち、かじり粉)を混入させる可能性があり、斯かるかじり粉(例えば金属製ケース由来の金属粉)の電池内部への混入は内部短絡等の原因ともなるため好ましくない。
そこで、ケース短辺部に対向する封口板短辺部側に増肉成形部分を形成しないこと(即ち嵌合段差を大きくさせないこと)によって、かじりの発生頻度を増大させることなく、ケース長辺部に対向する長辺部側に形成した増肉成形部分によって高精度の位置決めと高い溶接強度を実現することができる。
従って、本発明は他の側面としてここで開示されるいずれかの特徴を備えた封口板を使用することを特徴とする、扁平形状電池の製造方法を提供する。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、使用する封口板や電池ケースの形状、材質)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、プレス加工条件、封口板と電池ケースとを溶接する手段、電極体ユニットや電解質の構成、電池構築のための種々のプロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明の電池(好ましくは扁平形状の電池)は、上述のとおり、封口板(具体的には裏面側の嵌合凸部)の形状(増肉成形部分)と、それに関連したケース開口部の封口(シール)構造によって特徴付けられる電池であり、電解質や電極体ユニットの種類や構成に限定されない。本発明により提供される電池としては、その典型的な例としてリチウムイオン電池その他のリチウム二次電池、ニッケル水素二次電池、電気二重層キャパシタ等が挙げられるがこれらに限定されない。
用いられる電池ケース及び封口板の材質は特に限定されないが、本発明の目的から金属製のケース及び封口板が適当である。例えば、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等の鉄材やアルミニウム又はその合金製のケース及び封口板に対して本発明を好適に適用することができる。また、ケース及び封口板の形状やサイズは特に限定されないが、ケース開口部の形状が矩形状、特にケース長辺部の長さとケース短辺部の長さとが著しく異なる扁平形状のケースと電極体を備える電池に対して好適に本発明を適用し得る。
以下、車載用組電池に装備される単電池を構成するリチウム二次電池(リチウムイオン電池)を例にして本発明の好適な一実施形態を詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る扁平な矩形状の電池(リチウムイオン電池)10の外形を示す斜視図である。図示されるように、本実施形態に係る電池(以下「角形電池」ともいう。)10は、金属製(例えばアルミ製)の矩形状ケース(以下「角形ケース」ともいう。)30と封口板20とを備える。角形ケース30はケース開口部31からみて対向する一対の長辺部(幅広面)32と、対向する一対の短辺部(狭小面)36と、図示されていない底面とから構成される直方体形状の筐体であり、一方の面(底面と対向する面)は周縁が上記一対の長辺部32と一対の短辺部36とから成る矩形状の開口部31を構成している。この開口部31よりケース内部に所定の電極体ユニット及び電解質を収容することができる。
ケース内に収容される電極体ユニットは、典型的な車載用組電池に装備される単電池を構成するのに一般に用いられる電極体ユニットと同様でよく特に限定されない。本実施形態では、予め適当な正極用活物質層が形成された長尺状の正極集電体(アルミ箔)と、予め適当な負極用活物質層が形成された長尺状の負極集電体(銅箔)とを、長尺状のセパレータ(例えば多孔質ポリオレフィン系樹脂製シート)とともに捲回し扁平形状に成形して成る捲回電極体ユニットが収容される。なお、本発明は電極体ユニット(正負極集電体やセパレータの材質、活物質層の組成等)の構成により特徴付けられるものではないため、電極体ユニットの詳細な説明は省略する。
また、電極体ユニットとともにケース内に収容する電解質としては、従来のリチウム二次電池で使用されるものと同様でよく、その内容は特に制限されない。例えば、適当な非水電解液(例えばLiPF等のリチウム塩を適当量含むジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒のような非水電解液)を好適に使用することができる。本発明は電解質の構成により特徴付けられるものではないため、電解質の詳細な説明は省略する。
図1に示すように、電極体ユニット及び電解質を収容した後にケース開口部31を塞ぐ封口板20が該ケース開口部31上に装着される。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る封口板20は、ケースの底面と同一のサイズ・形状であってケース開口部31上に配置されて角形ケース30の一面を構成する矩形プレート状の本体部(基体)22と、その本体部22の裏面側に形成された凸部24であって封口板20をケース開口部に装着した際にケース開口部の内方に入り込む嵌合凸部24とから構成される。
また、図1に示すように、封口板20には外部接続用の正極端子12と負極端子14とが設けられており、それら端子12,14の一部は封口板20の表面側に突出している。正極端子12及び負極端子14は、それぞれ、ケース内部に収容された電極体ユニットの正極集電体及び負極集電体と電気的に接続される。
次に封口板20の裏面側について図2〜図4を参照しつつ詳細に説明する。図2は、封口板20の裏面側を示す平面図である。
図2に示すように、嵌合凸部24は大まかにいってケース開口部31周縁(周壁の内壁面)に接する外周部分25,27とそれよりも内側(中央側)の内方部分28とから構成されている。図3に示すように、この嵌合凸部24の表面(頂面)は、本体部22(裏面)から所定の高さ(例えばこの種の電池で0.5〜1mm)に設定されており、後述する増肉成形部27A及び減肉成形部28A(図4)を除いて全体にフラットに形成されている。
図2に示すように、嵌合凸部24の外周部分は、ケース長辺部32に対向する部分(以下「凸部長辺部」という。)27と、ケース短辺部36に対向する部分(以下「凸部短辺部」という。)25とから構成されている。
そして図示されるように、一対の凸部長辺部27それぞれの両端部分には、本実施形態に係る増肉成形部分27A(一辺当たり2箇所の合計4箇所)が形成されている。また、当該増肉成形部分27Aに隣接する内方部分28には、本実施形態に係る減肉成形部分28A(合計2箇所)が形成されている。
図4に示すように、本実施形態に係る増肉成形部分27Aは、隣接する内方部分28Aをプレス加工により減肉すると同時に当該減肉成形部分28Aに隣接する両方の凸部長辺部27が増肉されて形成された部分である。この増肉成形及び減肉成形処理は従来のプレス加工によって容易に形成することができる。概略すれば、予め所定の形状に成形された薄板状の封口板(即ち増肉・減肉成形前の嵌合凸部と本体部とから成る。)20を増肉用金型にセットし、所定形状のパンチで嵌合凸部内方部分28の一部28Aをプレスする。これにより当該プレスされた部分28Aが減肉される。このとき、当該プレスと金型の間であって当該プレスされた内方部分28Aに隣接する外周部分27Aの上方に所定の空隙を設けておくことによって、封口板20の構成部分の一部が当該空隙に進入するようにプレス成形され、結果、当該外周部分の一部27Aの厚み(嵌合段差)が増した増肉成形部分27Aが形成される。なお、かかるプレス加工法(増肉法)自体は、従来の増肉プレス加工法と同様に行えばよくこれ以上の詳細な説明は省略する。
このように嵌合凸部24の凸部長辺部27の一部が増肉成形され、他の外周部分よりも肉厚(典型的には、増肉成形されていない他の嵌合凸部24外周部分との比較において1.2〜3倍程度、典型的には1.5〜2倍程度)となったことにより、その部分において上記嵌合段差を大きく確保することができ、ケース開口部31に封口板20を装着した際の位置決めをより正確に行うことができる。かかる位置決めの精度向上によって所定の位置に正しく溶接を行うことが容易となり、溶接強度の向上(具体的には溶接不良の発生率の低減)を実現することができる(後述する試験例参照)。また、増肉成形部分27Aをプレス加工(ここでは減肉成形部分28Aの形成と引き替え)によって形成しているため、封口板20それ自体の材料増量や肉厚化を伴わない。従って、コストの増大を防止しつつ上記溶接強度の向上(溶接不良発生率低減)等を好適に実現することができる。
而して、このような増肉成形部分27Aを設けた嵌合凸部24をケース開口部31内に挿入しつつ当該開口部31上に封口板20(本体部22)を配置する。このとき、本実施形態に係る封口板20には、凸部短辺部25側に過剰に肉厚な増肉成形部分が形成されていないため、封口板20装着時にかじりが発生するのを防止することができる。
そして、封口板20とケース開口部31の周壁(ケース長辺部32及び短辺部36)との境界をレーザ溶接することにより、ケース30の封口が行われる。なお、溶接の技法自体は、従来の電池ケースと封口板とを溶接する場合に用いる手段(例えばYAGレーザ、COレーザ等を熱源とするレーザ溶接)と同様でよく、特に本発明を特徴付けるものではないので詳細な説明は省略する。
以上、本発明の好適な一実施形態を図1〜図4を参照しつつ説明したが、本発明を上述した形状の封口板に限定することを意図したものではない。
図示するような矩形状の扁平な電池ケース10に本発明を適用する場合には、本実施形態のように、嵌合凸部の外周部分の長辺側(凸部長辺部)の両端部に増肉成形部分27Aを設けてもよいし、或いは長辺側の全域にわたって増肉成形部分を設けてもよい。
或いは、第2の実施形態として図5及び図6に示すような位置に増肉成形部分47Aを設けてもよい。即ち、図示されるように、第2の実施形態に係る封口板40では、上記実施形態の封口板20と同様、矩形プレート状の本体部(基体)42と、その本体部42の裏面側に形成された嵌合凸部44とから構成される。
図5に示すように、嵌合凸部44の外周部分は、凸部長辺部47と、凸部短辺部45とから構成されている。そして一対の凸部長辺部47それぞれの中央部分には、本実施形態に係る増肉成形部分47A(一辺当たり1箇所の合計2箇所)が形成されている。また、当該増肉成形部分47Aに隣接する内方部分48には、本実施形態に係る減肉成形部分48A(1箇所)が形成されている。
図6に示すように、本実施形態に係る増肉成形部分47Aも上記第1の実施形態と同様、隣接する内方部分48Aをプレス加工により減肉すると同時に当該減肉成形部分48Aに隣接する両方の凸部長辺部47が増肉されて形成された部分である。
このように長辺部47の中央寄りに増肉成形部分47Aを設けた場合も、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。即ち、当該部位において嵌合段差を大きく確保することができ、ケース開口部31に封口板40を装着した際の位置決めをより正確に行うことができるので、かかる位置決めの精度向上によって所定の位置に正しく溶接を行うことが容易となり、溶接強度の向上(具体的には溶接不良の発生率の低減)を実現することができる。また、増肉成形部分47Aをプレス加工(ここでは減肉成形部分48Aの形成と引き替え)によって形成しているため、封口板40それ自体の材料増量や肉厚化を伴わず、コストの増大を防止しつつ上記溶接強度の向上(溶接不良発生率低減)等を好適に実現することができる。
以下、本発明に関する試験例につき説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
サイズが150mm(長辺部)×30mm(短辺部)×100mm(高さ)であり、厚みが全周にわたって1mmであるアルミニウム製の角形ケースを用意した(図1参照)。また、サイズが150mm(長辺部)×30mm(短辺部)であり、厚みが3mm(具体的には、本体部の厚さが2.5mm、嵌合凸部厚さが0.5mm)であるアルミニウム製の封口板を用意した。本試験例では、嵌合凸部の形状が相互に異なる以下の計4種類の封口板を使用した。
第1に実施例1として上述の第1実施形態、即ち図2〜図4に示す嵌合凸部24を有する封口板20を使用した。具体的には、凸部長辺部27の両端部に増肉成形部分27Aを設けた封口板20を使用した。この封口板20の段差(即ち本体部22から嵌合凸部24の頂面までの高さ)は、増肉成形部分27Aにおいて0.9mmであり、その他の部分は0.5mmである。
第2に実施例2として上述の第2実施形態、即ち図5〜図6に示す嵌合凸部44を有する封口板40を使用した。具体的には、凸部長辺部47の中央部に増肉成形部分47Aを設けた封口板40を使用した。この封口板40の段差(即ち本体部42から嵌合凸部44の頂面までの高さ)は、増肉成形部分47Aにおいて0.9mmであり、その他の部分は0.5mmである。
第3に比較例1として図7〜図8に示す嵌合凸部64を有する封口板60を使用した。具体的には、図7に示すように、嵌合凸部64の外周部分は、凸部長辺部67と、凸部短辺部65とから構成されている。そして一対の凸部短辺部65それぞれの中央部分には、増肉成形部分65A(一辺当たり1箇所の合計2箇所)が形成されている。また、当該増肉成形部分65Aに隣接する内方部分68には、減肉成形部分68Aが形成されている。図8に示すように、比較例1の増肉成形部分65Aも上記第1及び第2の実施形態(実施例1,2)と同様、隣接する内方部分68Aをプレス加工により減肉すると同時に当該減肉成形部分68Aに隣接する両方の凸部短辺部65が増肉されて形成された部分である。この封口板60の段差(即ち本体部62から嵌合凸部64の頂面までの高さ)は、増肉成形部分65Aにおいて0.9mmであり、その他の部分は0.5mmである。
第4に比較例2として図9に示す嵌合凸部84を有する封口板80を使用した。具体的には、凸部長辺部87及び凸部短辺部85のいずれにも増肉成形部分を設けていない(即ちプレス増肉加工を施していない)封口板80を使用した。この封口板80の段差(即ち本体部82から嵌合凸部84の頂面までの高さ)は、外周部分85,87及び内方部分88の全域にわたって0.5mmである(図3が参考になる。)。
而して、これら4種類の封口板を用いて装着時のかじりの発生の有無ならびにレーザ溶接後の耐圧強度を調べた。なお、本試験例は本発明を特徴付ける封口板による角形ケース開口部の封口(シール)構造に関する試験例であり、かかる試験目的に関して電極体ユニット及び電解質は不要であるため、ケース内にはこれら電池構成物は収容していない。
Figure 2009026707
<かじりの発生の有無>
先ず、角形ケースの開口部の長辺部中央部分を外方向に撓ませつつケース開口部の長辺部間の間隔を広げておき、嵌合凸部をケース開口部内に挿入しつつ当該開口部上に封口板を装着した。装着工程完了後、角形ケース内に落下したかじり粉の有無を目視にて確認した。封口板毎に計10回の装着操作を行った。結果を表1に示す。
表に示すように、実施例1、実施例2及び比較例2ではかじり粉の発生は計10回の装着操作において全く認められなかった(表中の○)。他方、比較例1では計10回の装着操作において常にかじり粉の発生が認められた(表中の×)。
<耐圧強度>
上記装着した封口板と角形ケースをレーザ溶接した。具体的には、封口板を所定位置に装着した角形ケース(図1参照)をXYZステージに固定し、ケースと封口板の境界部分に全周にわたってレーザ(例えばYAGパルスレーザとCWレーザとのハイブリッドレーザ)を照射し、溶接を行った。次いで、封口板に穴を開けてオイル(シリコンオイル等)をケース内に注入していき、溶接部分に亀裂が生じる(即ち注入したオイルが漏出する)までの限界内部圧力(即ち注入した油圧)を測定した。実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2についてそれぞれ計10個の溶接ケースについて上記耐圧強度試験を行い、平均値を求めた。結果を表1に示す。
表に示すように、凸部長辺部側に増肉成形部分を形成した実施例1及び実施例2について特に高い耐圧強度を示した。他方、比較例1及び比較例2では耐圧強度は低かった。本試験例のような扁平な形状の矩形ケースを使用する場合には、封口板の凸部短辺部側に増肉成形部分を形成することは溶接強度の向上に関して効果が認められなかった。
上記試験例からも明らかなように、本発明によると、封口板とケース(本体)との高い溶接強度を実現することができる。このため、信頼性の高い電池(例えば扁平な形状の電極体ユニット及び電池ケースを備える矩形状(角形)の電池)を提供することができる。
また、本発明により提供される電池(特に好ましくはリチウムイオン電池等のリチウム二次電池やニッケル水素二次電池のような二次電池)は、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。従って、本発明によると、図10に模式的に示すように、本発明により提供される電池10(典型的には、単電池として当該電池10を複数直列に接続して構成される組電池即ち電池パック)を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)1を提供することができる。
一実施形態に係る扁平形状の電池(リチウムイオン電池)の外形を模式的に示す斜視図である。 一実施形態に係る電池を構成する封口板の裏面側構造を示す平面図である。 図1におけるIII−III線断面図である。 図1におけるIV−IV線断面図である。 他の一実施形態に係る封口板の裏面側構造を示す平面図である。 図5におけるVI−VI線断面図である。 他の一形態に係る封口板の裏面側構造を示す平面図である。 図7におけるVIII−VIII線断面図である。 他の一形態に係る封口板の裏面側構造を示す平面図である。 本発明の電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
符号の説明
1 車両(自動車)
10 電池(リチウムイオン電池)
20,40,60,80 封口板
22,42,62,82 本体部
24,44,64,84 嵌合凸部
25,45,65,85 凸部短辺部
27,47,67,87 凸部長辺部
27A,47A,65A 増肉成形部分
28,48,68,88 内方部分
28A,48A,68A 減肉成形部分
30 ケース(本体)
31 開口部
32 ケース長辺部
36 ケース短辺部

Claims (7)

  1. 電極体ユニットと、該電極体ユニットの形状に対応する形状のケースと、該ケースにおける前記電極体ユニットを収容する開口部を塞ぐ封口板とを備える電池であって、
    前記封口板の裏面側には、該封口板が前記ケース開口部の所定位置に装着された状態で該ケース開口部の内方に入り込む嵌合凸部が形成されており、
    前記封口板は、前記嵌合凸部の前記ケース開口部周縁に接する外周部分の少なくとも一部分が、該嵌合凸部の前記ケース開口部周縁に接していない内方部分よりも肉厚となるように、プレス加工による増肉成形されたものであることを特徴とする電池。
  2. 前記嵌合凸部外周部分の少なくとも一部分の増肉は、該一部分に隣接する前記嵌合凸部内方部分の少なくとも一部分が前記プレス加工で減肉成形されることにより実現されている、請求項1に記載の電池。
  3. 前記電極体ユニットとして扁平形状の電極体ユニットが用いられ、前記ケースは該電極体ユニットを収容し得る開口部の周縁が一対のケース長辺部と一対のケース短辺部とから構成された矩形状のケースであり、
    前記増肉成形部分は、前記嵌合凸部外周部分のうちの前記ケース長辺部に対向する長辺側の少なくとも一部分に形成されている、請求項1又は2に記載の電池。
  4. 前記増肉成形部分は、前記嵌合凸部外周部分の長辺側の両端部に形成されている、請求項3に記載の電池。
  5. 前記増肉成形部分は、前記嵌合凸部外周部分の長辺側の中央部に形成されている、請求項3に記載の電池。
  6. 前記増肉成形部分は、前記嵌合凸部外周部分のうちの前記ケース短辺部に対向する短辺側には形成されていない、請求項3〜5のいずれかに記載の電池。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の電池を備える車両。
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