JP2009025427A - 多層フィルム及び発光デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】光素子からの光を外界へ効率良く取り出すことができる多層フィルム及びこの多層フィルムを用いる発光デバイスを提供すること。
【解決手段】樹脂製透明フィルム部102と、前記樹脂製透明フィルム部102の一方の面に形成されている凹凸部101と、前記樹脂製透明フィルム部102の他方の面に形成され、極性基で変性され、共役ジエン重合体を環化反応させることにより得られる共役ジエン重合体環化物であって、不飽和結合減少率が50%以上である共役ジエン重合体環化物又は極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂からなる接着樹脂層103とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、多層フィルム、特に集光機能または光拡散機能を有する多層フィルム及びこの多層フィルムを備える発光デバイスに関するものである。
発光素子、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、適宜「有機EL素子」という。)の断面構成を図3に示す。図3に示すように、有機エレクトロルミネッセンス素子10は、平面状の透明基板11と、陽極(透明電極)である第一電極層12と、発光層13と、陰極(金属電極)である第二電極層14とから構成されている。
発光層13で発生した光Lは第一電極層12を介して図中の上方向に射出される。一般的に、発光層13で発生した光を、透明基板11から有機エレクトロルミネッセンス素子10の外部、即ち通常、大気中へ射出できる効率(光取出し効率)は20%以下である。光取出し効率を向上させることは、発光デバイス、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子の開発の大きな課題である。光取出し効率を向上させるために、光取出し機能を有するフィルムを透明基板上に設ける構成が一例として挙げられる。このような素子表面輝度の向上を図り照明光率を向上させる構成は、例えば特許文献1、2、3、4、5に提案されている。
特許文献1、特許文献2では、脂環式オレフィン樹脂を用いた集光フィルムはフィルムの光学特性に優れることが記載されている。特許文献3には、ガラス基板と集光フィルムを貼り合わせる際に、粘着剤、接着剤又は光硬化接着剤を用いることが好ましく、粘着剤を用いるのが実際的であると記載されている。さらに、ガラス基板、接着樹脂、集光フィルムのそれぞれの材料の屈折率の差が0.2以内、好ましくは0.1以内を推奨している。特許文献4ではガラス基板上に紫外線硬化型接着剤を用いて封止フィルムを接着させる技術が開示されている。特許文献5では、紫外線硬化型接着剤の欠点を改良すべく、G線(436nm)による光硬化型接着剤を用い、有機EL素子を封止する技術が開示されている。
特開平9−323354号公報 特開2000−75102号公報 特開2005−310769号公報 特開2001−357973号公報 特開2004−231938号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2には、ガラス基板に集光フィルムを貼り合わせる際の接着技術、接着樹脂に関しては、何ら記載されていない。例えば、接着樹脂の屈折率が異なると界面反射により光取出し効率の低下が起きてしまう。
また、特許文献3には、ガラス基板と集光フィルムを貼り合わせる際の具体的な構成、手順は、一切記載されていない。粘着剤による貼り合わせの場合、貼り合わせ界面での完全な脱気ができない場合がある。有機EL素子の光取出し用途では界面に存在する微細な空隙による界面反射により取り出し効率の低下が起きる可能性が高い。また、粘着剤による貼り合わせは高温高湿状態での信頼性の劣る可能性が高い。
特許文献4に開示されているように紫外線硬化型接着剤を用いた場合、有機EL素子自体が光劣化することが一般的に知られている。
特許文献5では、G線を6000mj/cm照射後、さらにアニール処理として80℃で1時間の硬化処理を行っている。通常、有機EL素子は熱劣化を起こしやすい。このため、有機EL素子へのダメージにつながってしまう。
このように、特許文献1〜5に提案された構成では、発光効率を高める手段としては、発光効率の高い材料の開発に注力されており、光を有効に正面方向に取り出す技術の検討には不十分である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、発光素子からの光を外界へ効率良く取り出すことができる多層フィルム及びこの多層フィルムを用いる発光デバイスを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、樹脂製透明フィルム部と、樹脂製透明フィルム部の一方の面に形成されている凹凸部と、樹脂製透明フィルム部の他方の面に形成され、極性基で変性され、共役ジエン重合体を環化反応させることにより得られる共役ジエン重合体環化物であって、不飽和結合減少率が50%以上である共役ジエン重合体環化物又は極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂からなる接着樹脂層と、を有することを特徴とする多層フィルムを提供できる。
また、本発明の好ましい態様によれば、樹脂製透明フィルム部は、波長400nm〜700nmにおける全光線透過率が88%以上である脂環式オレフィンからなることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、極性基は、酸無水物基及び/又はエポキシ基からなることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、接着樹脂層の厚みは0.1μm〜50μmであることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、樹脂製透明フィルム部と凹凸部とは、屈折率が1.50〜1.56である同一部材により一体的に形成されていることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、樹脂製透明フィルム部と凹凸部とは、同一部材により一体的に形成され、脂環式オレフィン樹脂からなることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、樹脂製透明フィルム部と凹凸部とは異なる部材で形成され、凹凸部は、屈折率が1.50〜1.58の光硬化樹脂からなることが望ましい。
また、他の本発明によれば、樹脂製透明フィルム部と、透明フィルム部の一方の面に形成されている凹凸部と、樹脂製透明フィルムの他方の面に形成され、極性基で変性され、共役ジエン重合体を環化反応させることにより得られる共役ジエン重合体環化物であって、不飽和結合減少率が50%以上である共役ジエン重合体環化物又は極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂からなる接着樹脂層と、接着樹脂層と貼り合わされるガラス基板と、ガラス基板の接着樹脂層と貼り合わされた面と反対側の面に設けられている発光素子と、を有することを特徴とする発光デバイスを提供できる。
本発明に係る多層フィルムは、発光素子からの光を外界へ効率良く取り出すことができるという効果を奏する。また、本発明に係る発光デバイスは、発光素子からの光を外界へ効率良く取り出すことができ、効率良く光を供給できるという効果を奏する。
以下に、本発明に係る多層フィルム及び発光デバイスの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
1.発光デバイス
図1は、本発明に係る多層フィルムを備える発光デバイス100の概略構成を示している。
図1に示すように、発光デバイス100は、樹脂製透明フィルム部102と、透明フィルム部の一方の面に形成されている凹凸部101と、樹脂製透明フィルム部102の他方の面に形成されている接着樹脂層103と、接着樹脂層103と貼り合わされるガラス基板104と、ガラス基板104の接着樹脂層103と貼り合わされた面と反対側の面に設けられている発光素子106とから構成されている。発光素子106として有機EL素子を用いている。発光素子106が有機EL素子の場合は、封止部105により、封止されている。しかしながら、これに限られず、発光素子106としては、例えば無機EL素子、発光ダイオード(LED)等の光を供給する全ての発光素子を用いることができる。樹脂製透明フィルム部102と、凹凸部101と、接着樹脂層103とにより多層フィルムを構成する。
1−1.凹凸部
まず、凹凸部101について、説明する。凹凸部101は、樹脂製透明フィルム部102の片側の面(光Lが射出する面)に形成されている。凹凸部101は、集光機能または光拡散機能等の利用目的に合わせた機能を有している。凹凸部101は、図1、図2では鋸歯形状としているが、光学機能を有する形状であれば、ゾーンプレート形状、矩形の凹凸形状等のように表面形状は特に限定されない。
また、凹凸部101は、表面形状に限られず、例えば特開2003−59641号公報の表面に微小錐状レンズアレイを形成する構造、特開2004−47298号公報の略半球状の微小レンズアレイを形成する構造とすることもできる。また、光拡散機能を発揮させたい場合は、液晶バックライトに使用するストライプ構造の拡散シート(例えば、商品名ルミスルー、住友化学社製)などの構成を採用しても良い。
樹脂製透明フィルム部102上に作製する凹凸部101は、屈折率が1.50〜1.58であり、樹脂製透明フィルム部と同一部材(同一材料)で一体的に形成されていることが好ましい。凹凸部101を樹脂製透明フィルム部と同一部材で一体的に形成する方法は、特に限定されない。例えば、樹脂製透明フィルム部102を、凹凸形状を有する金型に対して加熱圧着することで樹脂製透明フィルム部102の片面に凹凸形状を転写する方法、凹凸形状を有する金型と平面金型の間に溶融押し出しによりフィルム化する方法、凹凸形状を有する金型に樹脂を射出成型する方法などがある。
また、図2に示すように、樹脂製透明フィルム部102と凹凸部201とを異なる部材(材料)で形成することもできる。樹脂製透明フィルム102上に作製する凹凸部201が樹脂製透明フィルム部102と異なる部材(材料)からなる場合、前記凹凸部は、屈折率が1.50〜1.58の光硬化性樹脂からなることが好ましい。屈折率が1.50〜1.58の光硬化性樹脂としては、例えば、東洋合成社製、ナノインプリント樹脂PAK−02が挙げられる。また、前記凹凸部を構成する材料として光硬化性樹脂を用いる場合、光硬化性樹脂の他に、凹凸部の屈折率を調整する目的で無機微粒子を添加してもよい。また、樹脂製透明フィルム102上に作製する凹凸部201が樹脂製透明フィルム部102と異なる部材(材料)からなる場合、樹脂製透明フィルム部101を構成する樹脂材料の屈折率差と、凹凸部201を構成する樹脂材料の屈折率との差が0.1以内(凹凸部201の屈折率のほうを大きくする)とすることが好ましい。
この場合、脂環式構造を有するアクリル型光硬化型樹脂または光カチオン重合型エポキシ硬化型樹脂などをコーティングし、金型で形状を形成しながら、光照射して凹凸部分を透明樹脂上に形成する方法などにより樹脂製透明フィルム102の表面に凹凸部201を形成することができる。
1−2.樹脂製透明フィルム部
樹脂製透明フィルム部102は、波長400nm〜700nmにおける全光線透過率が好ましくは88%以上、より好ましくは90%以上である熱可塑性樹脂のフィルムである。そして、樹脂製透明フィルム部102は、屈折率1.50〜1.58を有するフィルムが好ましい。前記全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠して、市販の濁度計を用いて測定することができる。なお、前記光線透過率は、厚み100μmのフィルムとしたときの値である。
このような条件を満足する樹脂としては、脂環式オレフィン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂が挙げられるが、光線透過率、透湿度共に優れる点で脂環式オレフィン樹脂が好ましい。
脂環式オレフィン樹脂とは、鎖状または環状の、モノオレフィンまたは共役若しくは非共役のジオレフィンの重合体であって、分子内に脂環式構造を有する樹脂を表す。脂環式構造は、芳香族環構造の水素化などにより重合後に形成されたものであってもよい。
脂環式オレフィン樹脂の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体が耐熱性、機械強度の点からより好ましい。
ノルボルネン系重合体(1)としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこのノルボルネン系モノマーに対して開環共重合可能な他のモノマーとの開環共重合体、およびこれら開環共重合体の水素化物、ならびにノルボルネン系モノマーの付加重合体、およびノルボルネン系モノマーとこのノルボルネン系モノマーに対して共重合可能な他のモノマーとの付加共重合体等を挙げることができる。これら重合体および共重合体の中でも、得られる樹脂製透明フィルム部の耐熱性、機械的強度の観点からすると、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体の水素化物が特に好ましい。
ノルボルネン系モノマーとしては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(慣用名:ノルボルネン)およびその誘導体(環に置換基を有するもの、以下、同じ。)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)およびその誘導体、7,8-ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3-エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)およびその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12, 5.17,10]ドデカ-3-エン(慣用名:テトラシクロドデセン)およびその誘導体等を挙げることができる。
前記置換基としては、例えば炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、イミド基、スルホニル基、フェニル基、ビフェニル基、ホルミル基、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基等を挙げることができ、前記ノルボルネン系モノマーは、これら置換基を一種有していてもよく、二種以上有していてもよい。
これら置換基を有するノルボルネン系モノマーとしては、8-メチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチリデン-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチリデン-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メトキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチル-8-メトキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]-3-ドデセン、8-シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-ジエチルアミノテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、N-メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-カルボキシイミド、8-フェニルスルホニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-ベンゾイルオキシ-8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-(ビフェニル)-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-カルボキシアルデヒド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-カルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-カルボン酸無水物等を挙げることができる。これらノルボルネン系モノマーは、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なモノマーとしては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の炭素数4〜20、好ましくは炭素数4〜10の単環の環状オレフィンモノマーまたは環状ジオレフィンモノマーを例示することができる。前記ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なモノマーは、単独でもよく、二種以上を併用してもよい。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体及びノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能な他のモノマーとの開環共重合体は、モノマーを公知の開環重合触媒の存在下に溶媒中または無溶媒で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0.01〜5MPaの重合圧力で重合することにより得ることができる。重合反応用溶媒は生成する重合体を溶解し、かつ重合反応を阻害しない溶媒であれば限定なく使用されうる。
ノルボルネン系モノマーとこれと付加共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、炭素数4〜20のモノ環状オレフィン又は環状共役ジエン、1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン及びそれらの誘導体などの炭素数5〜20の非共役ジエン、ビニルシクロヘキセンなどのビニルシクロアルケン、ビニルシクロヘキサンなどのビニルシクロアルカンなどのビニル脂環式炭化水素化合物、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−オクテン及びこれらの誘導体などの炭素数2〜20のα−オレフィンなどが挙げられる。これらモノマーの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。これらのモノマーは1種単独で、又は2種以上を併せて用いることができる。ノルボルネン系モノマーと付加共重合可能な他のモノマーは、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記ノルボルネン系モノマーの付加重合体およびノルボルネン系モノマーとこれと付加共重合可能な他のモノマーとの付加共重合体は、モノマーを公知の付加重合触媒の存在下に溶媒中で−50℃〜100℃の重合温度、0.01〜5MPaの重合圧力で重合することにより得ることができる。重合反応用溶媒は、上記の開環重合と同様の溶媒が使用される。
ノルボルネン系モノマーとこれに対して共重合可能な他のモノマーとを共重合するに当っては、得られる付加共重合体中のノルボルネン系モノマーに由来する構造単位と、共重合可能な他のモノマーに由来する構造単位との割合が、質量比で、50:50〜99:1、好ましくは70:30〜97:3の範囲となるよう、各モノマーの使用量が選択される。
単環の環状オレフィン系重合体(2)としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環を有する環状オレフィン系モノマーの付加重合体を挙げることができる。
環状共役ジエン系重合体(3)としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、クロロプレン等の共役ジエン系モノマーの付加重合体又は共役ジエン系モノマーとスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物との付加共重合体;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系モノマーの1,2-または1,4-付加重合体;およびこれらの水素化物を挙げることができる。
前記ビニル脂環式炭化水素重合体(4)としては、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン等のビニル脂環式炭化水素系モノマーの重合体およびその水素化物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素系モノマーを重合してなる重合体に含まれる芳香環部分を水素化してなる水素化物;ビニル脂環式炭化水素系モノマーまたはビニル芳香族炭化水素系モノマーとこれらビニル芳香族炭化水素系モノマーに対して共重合可能な他のモノマーとのランダム共重合体またはブロック共重合体等の共重合体の芳香環の水素化物;等を挙げることができる。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロックまたはそれ以上のマルチブロック、傾斜ブロック共重合体等を挙げることもできる。
本発明において、脂環式オレフィン樹脂として、水素化物を用いる場合における水素化方法は、特段の制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
水素化物を得るには、重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、通常-10〜+250℃、好ましくは0〜200℃の反応系に水素を、0.01〜10MPa、好ましくは0.05〜8MPaの圧力で導入して、0.1〜50時間反応させる。水素化率は、通常50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上である。水素化率が大きいほど、重合体の流動性や耐熱性に優れる。
1−3.接着樹脂層
次に、接着樹脂層103について説明する。接着樹脂層103は、樹脂製透明フィルム部102の光Lを射出する側の面と反対側の面に形成されている。そして、接着樹脂層103は、極性基で変性され、共役ジエン重合体を環化反応させることにより得られる共役ジエン重合体環化物であって、前記共役ジエン重合体中の不飽和結合に対する前記共役ジエン重合体環化物中に存在する不飽和結合の減少率が50%以上である共役ジエン重合体環化物又は極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂からなる。そして、極性基は、酸無水物基及び/又はエポキシ基からなることが望ましい。
接着樹脂層103の屈折率は1.50〜1.58、好ましくは1.51〜1.54であることが望ましい。また、接着樹脂層103の厚みは0.1μm〜50μm、好ましくは2〜15μm、さらに好ましくは3〜8μmであることが望ましい。そして、接着樹脂層103は、樹脂製透明フィルム部102の凹凸部101が形成された面と反対側の面にプレコートされている。
また、発光素子106の光を取り出す側とは反対側の面に形成されている封止部105として、接着樹脂層103と同一の構成のものを用いることもできる。この構成により、ガラス基板104の封止時に応力の偏りを低減できる。また、ガラス基板104の両面を接着樹脂層で封止することで強度を向上できる。
上述したように接着樹脂層103は、極性基で変性された不飽和結合減少率が50%以上である共役ジエン重合体環化物、又は極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂を好適例として挙げることができる。
1−3−1.共役ジエン重合体環化物
この発明に用いる共役ジエン重合体環化物は、共役ジエン重合体を、酸触媒の存在化に環化反応させて得られる。共役ジエン重合体としては、共役ジエン単量体の単独重合体及び共重合体並びに共役ジエン単量体とこれと共重合可能な単量体との共重合体を使用することができる。
共役ジエン単量体は、特に限定されず、その具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。
これらの単量体は、単独で使用しても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
共役ジエン単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、2,4−ジブロモスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン等の鎖状オレフィン単量体;シクロペンテン、2−ノルボルネン等の環状オレフィン単量体;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等の非共役ジエン単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等のその他の(メタ)アクリル酸誘導体;等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリ・・・」の表現は、「アクリ・・・」及び「メタクリ・・・」の化合物または置換基を意味する。
これらの単量体は、単独で使用しても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
共役ジエン重合体の具体例としては、天然ゴム、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体等の共役ジエンの単独重合体又は共重合体;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、イソプレン−イソブチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体等の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、等の共役ジエンとこれと共重合可能な単量体との共重合体を挙げることができる。中でも、天然ゴム、ポリイソプレン、及びスチレン−イソプレンブロック共重合体が好ましく、ポリイソプレン及びスチレン−イソプレンブロック共重合体がより好ましい。
共役ジエンとこれと共重合可能な単量体との共重合体における共役ジエン単量体単位の含有量は、この発明の効果を損なわない範囲で適宜選択されるが、通常、40モル%以上、好ましくは60モル%以上、更に好ましくは80モル%以上である。中でも、実質的に共役ジエン単量体単位のみからなるものが好ましい。共役ジエン単量体単位の含有量が少なすぎると、適切な範囲の不飽和結合減少率を得ることが困難になる恐れがある。
共役ジエン重合体環化物が芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の環化物である場合、環化物中の芳香族ビニル単量体単位含量は、特に限定されないが、通常、1〜90質量%、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
共役ジエン重合体の重合方法は常法に従えばよく、例えば、チタン等を触媒成分として含むチーグラー系重合触媒、アルキルリチウム重合触媒又はラジカル重合触媒等の適切な触媒を用いて、溶液重合又は乳化重合により行われる。
この発明で用いる共役ジエン重合体環化物は、前記の共役ジエン重合体を、酸触媒の存在下に環化反応させて得られる。
環化反応に用いる酸触媒としては、公知のものが使用できる。その具体例としては、硫酸;フルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、炭素数2〜18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、これらの無水物及びアルキルエステル等の有機スルホン酸化合物;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、エチルアンモニウムクロリド、臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、六塩化タングステン、塩化鉄等のルイス酸;等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。中でも、有機スルホン酸化合物が好ましく、p−トルエンスルホン酸やキシレンスルホン酸がより好ましい。
酸触媒の使用量は、共役ジエン重合体100質量部当たり、通常、0.05〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.3〜2質量部である。
環化反応は、通常、共役ジエン重合体を炭化水素溶媒中に溶解して行なう。
炭化水素溶媒としては、環化反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素;等が挙げられる。これらの炭化水素溶媒の沸点は、70℃以上であることが好ましい。
共役ジエン重合体の重合反応に用いる溶媒と環化反応に用いる溶媒とは、同一種であってもよい。この場合は、重合反応が終了した重合反応液に環化反応用の酸触媒を添加して、重合反応に引き続いて環化反応を行なうことができる。
炭化水素溶媒の使用量は、共役ジエン重合体の固形分濃度が、通常、5〜60質量%、好ましくは20〜40質量%となる範囲である。
環化反応は、加圧、減圧及び大気圧のいずれの圧力下でも行なうことができるが、操作の簡便性の点から大気圧下で行なうことが望ましい。環化反応を、乾燥気流下、特に乾燥窒素や乾燥アルゴンの雰囲気下で行なうと水分によって引き起こされる副反応を抑えることができる。
環化反応における、反応温度や反応時間は、特に限定されない。反応温度は、通常、50〜150℃、好ましくは70〜110℃であり、反応時間は、通常、0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間である。
環化反応を行った後、常法により、酸触媒を不活性化し、酸触媒残渣を除去し、次いで炭化水素系溶媒を除去して、固形状の共役ジエン重合体環化物を得ることができる。
共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率は、50%以上、好ましくは63%〜85%である。共役ジエン重合体の不飽和結合減少率を上記範囲とすることにより、共役ジエン重合体環化物が脆くなることを防ぎ、製造を容易にすると共に、製造時にゲル化の進行を抑え、透明性が向上し多くの用途に使用できる。また、不飽和結合減少率が50%を超えると、接着性が発現するので、この性質を活用することもできる。
ここで不飽和結合減少率は、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部位において、不飽和結合が環化反応によって減少した程度を表す指標であり、以下のようにして求められる数値である。すなわち、プロトンNMR(H−NMR)分析により、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部分において、全プロトンのピーク面積に対する二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積の比率を、環化反応前後について、それぞれ求め、その減少率を計算する。
いま、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部位において、環化反応前の全プロトンピーク面積をSBT,二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSBU,環化反応後の全プロトンピーク面積をSAT,二重結合に直接結合したプロトンピークのピーク面積をSAUとすると環化反応前の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SB)は、SB=SBU/SBTとして、環化反応後の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SA)は、SA=SAU/SATとして表される。従って、不飽和結合減少率は、
不飽和結合減少率(%)=100×(SB−SA)/SB
として求められる。
1−3−2.脂環式オレフィン樹脂
脂環式オレフィン樹脂としては、1−2.樹脂製透明フィルム部において、好ましい樹脂として挙げている脂環式オレフィン樹脂と同じものが挙げられる。
1−3−3.極性基で変性された、共役ジエン重合体環化物又は脂環式オレフィン樹脂
本発明において、接着樹脂層として用いる樹脂は、極性基で変性された、共役ジエン重合体環化物(以下において、変性共役ジエン重合体環化物と略称することがある。)又は脂環式オレフィン樹脂(以下において、変性脂環式オレフィン樹脂と略称することがある。)である。
極性基としては、酸無水物基、エポキシ基、カルボキシル基、酸アミド基、カルボキシアミド基、水酸基が挙げられ、好ましくは酸無水物基及び/又はエポキシ基が望ましい。なお、本発明において、変性共役ジエン重合体環化物又は変性脂環式オレフィン樹脂中の極性基は1種類だけでもよく、2種類以上含有していてもよい。
酸無水物基としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アコニット酸などが共役ジエン重合体環化物又は脂環式オレフィン樹脂に付加した構造の基が挙げられ、無水マレイン酸が共役ジエン重合体環化物又は脂環式オレフィン樹脂に付加した構造の基が反応性、経済性の点で好ましい。
変性共役ジエン重合体環化物を得る方法としては、(1)共役ジエン重合体環化物に極性基含有ビニル化合物を付加反応させる方法;(2)極性基を含有する共役ジエン重合体を上述の方法で環化させる方法;(3)極性基を含有しない共役ジエン重合体に極性基を含有するビニル化合物を付加反応させた後、環化反応させて得る方法、及び(4)前記(2)又は(3)の方法で得たものにさらに極性基含有ビニル化合物を付加反応させる方法等が挙げられる。中でも、不飽和結合減少率をより調整しやすい点からは、前記(1)の方法が好ましい。
変性脂環式オレフィン樹脂を得る方法としては、樹脂がノルボルネン系重合体である場合、(i)ノルボルネン系モノマーとして極性基を有するものを用い、必要に応じて、これと共重合可能な化合物と共に常法に従って重合反応を行うことにより得る方法;(ii)極性基を有しないノルボルネン系重合体に、ラジカル開始剤の存在下で、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物などを用いて、グラフト反応させて極性基を導入することにより得る方法;(iii)目的とする極性基と置換しやすいエステル基などの極性基を含有するモノマーを共重合成分として共重合した後、このエステル基などを目的とする極性基と置換することにより得る方法が挙げられる。
変性共役ジエン重合体環化物又は変性脂環式オレフィン樹脂中の極性基の含有量は、特に制限されないが、通常0.1〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%の範囲である。なお、極性基の含有量は、変性共役ジエン重合体環化物又は変性脂環式オレフィン樹脂の分子に結合している極性基の分子量相当量を1モルとしている。極性基の含有量は、滴定法により算出する方法やH−NMRの測定値より算出する方法など公知の方法により測定できる。
1−4.ガラス基板
ガラス基板104は、発光素子106を搭載することができて透明である限り、この発光素子106を設置する機器における発光素子106周辺の状況に応じて適宜の素材により、適宜の形状に形成されることができる。ガラス基板の屈折率は、1.50〜1.56が好ましい。
ガラス基板104としては、ガラス等の無機材料に限られない。例えば、脂環式オレフィン樹脂、ポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート等の透明な合成樹脂で形成された板状体、フィルム、シート等を挙げることができる。
また、ガラス基板は、異なる材質又は同じ材質で形成された複数層からなる積層構造を有していても良い。
1−5.発光素子
この発明に係る発光素子105は、上述したように、有機EL素子、無機EL素子、LED等の光を供給する素子を広く用いることができる。
樹脂製透明フィルム部102に接着樹脂層103を積層する方法に格別な制限はなく、例えば接着剤用の樹脂を用いて、溶液キャスト法や溶融押し出し法によればよい。接着樹脂層103の膜厚をできるだけ均一にできる点で溶液キャスト法を採用することが好ましい。
樹脂製透明フィルム部102に接着樹脂層103を溶液キャスト法で形成する場合に用いる溶剤としては、エチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;トルエン、キシレン、ターシャリーブチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカリン、テトラリンなどの芳香族炭化水素類の水素添加物(但し、脂肪族性の炭素-炭素二重結合を有しないもの);等が挙げられる。なかでも、樹脂製透明フィルム部表面のダメージの原因となる樹脂製透明フィルム部表面の過剰溶解がなく、光学特性の劣化が抑制され、また固体撮像素子表面と接着樹脂層との接着性低下を生じにくいことから、エーテル類;ケトン類又はエステル類と芳香族炭化水素類又はその水素添加物との組み合わせ;が好ましい。
上述したように、多層フィルムの接着樹脂層103の厚みは0.1〜50μm、好ましくは2〜15μm、より好ましくは3〜8μmである。接着樹脂層103の厚みは、接着機能を果たす限りにおいて薄い方がよい。
接着樹脂層の厚みは、以下の方法により測定する。まず、樹脂製透明フィルムの厚みを、膜厚測定器(例えば、TOYO SEIKI社製、THICKNESS meter B−1)を用いて、任意の5点を測定し、その平均値を求める。次に、接着樹脂層を塗工・乾燥後の積層フィルム(樹脂製透明フィルム+接着樹脂層)の膜厚を樹脂製透明フィルムの厚みを測定したときと同じ要領で測定し、平均値を求める。そして、積層フィルムの厚みの平均値から樹脂製透明フィルムの厚みの平均値を引いた値を接着樹脂層の厚みとする。
本発明においては、樹脂製透明フィルム部102を加えた多層フィルム全体の厚みは40〜600μm、好ましくは60〜300μm、より好ましくは80〜200μmである。多層フィルムは薄くなるほど光線透過率は高くなるが、強度や透湿性が低下するので上記範囲にすることが好ましい。
本発明においては、多層フィルム中の残留溶剤量は多層フィルムの全重量に対して5重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。多層フィルム中の残留溶剤量が多いと、封止後の発光素子表面の封止層の光線透過率が低下したり、封止層の熱膨張率の増大により発光素子表面にひずみが出たりするおそれがある。なお、多層フィルム中の残留溶剤量は、多層フィルムを、接着樹脂層を形成したものとは異なる溶剤を用いて溶解させて得られた溶液を用いたガスクロマトグラフィーによって、接着樹脂層を形成するのに用いた溶剤を内部標準として測定することができる。
本発明に用いる樹脂製透明フィルム部、凹凸部および接着樹脂層には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の配合剤を含んでいてもよい。他の配合剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填剤、中和剤、滑剤、可塑剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の配合剤が挙げられる。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の記載における「部」および「%」は特に断りのない限り質量基準である。
各種の物性等の測定、評価は以下のように行った。
(1)共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率:
不飽和結合減少率は、下記(i)及び(ii)の文献に記載された方法を参考にしてプロトンNMRの測定結果に基づいて、後述する計算式により求めた。
(i)M.a.Golub and J.Heller.Can.J.Chem,41,937(1963)
(ii)Y.Tanaka and H.Sato,J.Poiym.Sci:Poiy.Chem.Ed.,17,3027(1979)
共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部位において、
環化反応前の全プロトンピーク面積をSBT、
二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSBU、
環化反応後の全プロトンピーク面積をSAT、
二重結合に直接結合したプロトンピークのピーク面積をSAUとそれぞれする。このとき、環化反応前の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SB)は、
SB=SBU/SBT
環化反応後の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SA)は、
SA=SAU/SAT
となる。
従って、不飽和結合減少率は下記式により求められる。
不飽和結合減少率(%)=100×(SB−SA)/SB
(2)全光線透過率:
全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠して、濁度計(日本電色工業製 ヘイズメーターNDH2000)により測定した。
(3)重量平均分子量:
重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析による標準ポリスチレン換算値で示した。
(4)極性基の含有量:
酸無水物基の含有量は、フーリエ変換赤外吸収スペクトル分析により酸無水物基のピーク強度(1760〜1780cm−1)を測定して、検量線法により酸無水物基の含有量を求めた。
また、エポキシ基の含有量はH−NMRにより測定し、それぞれ官能基由来のプロトンの比率より含有量を求めた。
(5)屈折率:
シリコンウエハ上に樹脂ワニスを均一コート後、乾燥したフィルム(膜厚2〜4μm)を作製した。このフィルムをエリプソメーター(アルバック社製 ESM−1型)で測定し、屈折率を求めた。
(6)接着樹脂層の厚み
樹脂製透明フィルムの厚みを、膜厚測定器(例えば、TOYO SEIKI社製、THICKNESS meter B−1)を用いて、任意の5点を測定し、その平均値を求めた。次に、接着樹脂層を塗工・乾燥後の積層フィルム(樹脂製透明フィルム+接着樹脂層)の膜厚を樹脂製透明フィルムの厚みを測定したときと同じ要領で測定し、平均値を求めた。そして、積層フィルムの厚みの平均値から樹脂製透明フィルムの厚みの平均値を引いた値を接着樹脂層の厚みとした。
次に、接着樹脂層103の製造例を説明する。
(接着樹脂層・製造例1)
攪拌機、温度計、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えた耐圧反応器に、10mm角に裁断したポリイソプレン(シス−1,4結合単位73%、トランス−1,4結合単位22%、3,4−結合単位5%、重量平均分子量174,000)300質量部を、トルエン700質量部とともに仕込んだ。反応器内を窒素置換した後、85℃に加温して攪拌下でポリイソプレンをトルエンに完全に溶解した。その後に、水分量が150ppm以下になるようにトルエン中で還流脱水して得られたp−トルエンスルホン酸2.4質量部を投入し、85℃で環化反応を行った。4時間反応させた後、炭酸ナトリウム0.83質量部を含む25%炭酸ナトリウム水溶液を投入して反応を停止した。85℃で、イオン交換水300質量部を用いた洗浄を3回繰り返して、反応系中の触媒残渣を除去し、重合体環化物の溶液を得た。
得られた重合体環化物の溶液に、重合体環化物に対して、100ppmに相当する量のフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を添加した後、溶液中のトルエンの一部を留去し、さらに真空乾燥を行って、トルエンを除去して、共役ジエン重合体環化物(B1)を得た。共役ジエン重合体環化物(B1)の不飽和結合減少率、重量平均分子量、を測定した。その測定結果を表1に示す。
得られた共役ジエン重合体環化物(B1)100質量部に対して、キシレン10質量部、無水マレイン酸10質量部を添加し、窒素雰囲気下、160℃で4時間付加反応を行った。反応液中のキシレンを留去しながらバス温度180℃で1時間反応を行った。120℃に冷却した後、共役ジエン重合体環化物(B1)に対して、300ppmに相当する量のフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を添加した後、30分間攪拌した。さらに真空乾燥を行なって、キシレンおよび未反応の無水マレイン酸を除去して、無水マレイン酸で変性された変性共役ジエン重合体環化物(B2)を得た。これらについて、不飽和結合減少率、重量平均分子量、極性基含有量、及び屈折率を測定した。その測定結果を表1に示す。なお、変性共役ジエン重合体環化物(B2)の極性基含有量は6.8モル%であった。
(接着樹脂層・製造例2)
p−トルエンスルホン酸の使用量を2.25質量部に変更し、環化反応後に添加する炭酸ナトリウムの量を0.78質量部に変更する以外は、製造例1と同様にして、共役ジエン重合体環化物(B3)を得た。そして、この共役ジエン重合体環化物(B3)について不飽和結合減少率、重量平均分子量、を測定した。その測定結果を表1に示す。
得られた共役ジエン重合体環化物(B3)100質量部に対して、キシレン20質量部、無水マレイン酸10質量部を添加し、窒素雰囲気下、120℃で0.5時間付加反応を行った。反応終了後、反応液にトルエン300質量部を添加、室温攪拌して均一溶液とした。この樹脂溶液を5倍量のアセトン中に滴下し、樹脂を凝固回収及び真空乾燥して、無水マレイン酸で変性された変性共役ジエン重合体環化物(B4)を得た。得られた変性共役ジエン重合体環化物(B4)について、不飽和結合減少率、重量平均分子量、極性基含有量、及び屈折率を測定した。その測定結果を表1に示す。なお、変性共役ジエン重合体環化物(B4)の極性基含有量は7.0モル%であった。
(接着樹脂層・製造例3)
p−トルエンスルホン酸の使用量を3.2質量部に、反応時間を7時間に変更し、環化反応後に添加する炭酸ナトリウムの量を1.11質量部に変更する以外は、製造例1と同様にして、共役ジエン重合体環化物(B5)を得た。得られた共役ジエン重合体環化物(B5)について、不飽和結合減少率、重量平均分子量、を測定した。その測定結果を表1に示す。
得られた共役ジエン重合体環化物(B5)100質量部に対して、キシレン10質量部、無水マレイン酸10質量部を添加し、製造例1と同一条件で無水マレイン酸変性を行って、無水マレイン酸で変性された変性共役ジエン重合体環化物(B6)を得た。得られた変性共役ジエン重合体環化物(B6)について、不飽和結合減少率、重量平均分子量、極性基含有量、及び屈折率を測定した。その測定結果を表1に示す。なお、変性共役ジエン重合体環化物(B6)の極性基含有量は6.6モル%であった。
(接着樹脂層・製造例4)
製造例3で得た共役ジエン重合体環化物(B5)100質量部に対してt-ブチルベンゼン10質量部、アリルグリシジルエーテル10質量部を添加し、150℃で1時間攪拌した。反応終了後、トルエン300質量部を加え、室温攪拌して均一溶液とした。この樹脂溶液を5倍量のアセトン中に滴下し、樹脂を凝固回収及び真空乾燥して、エポキシ変性された変性共役ジエン重合体環化物(B7)を得た。得られた変性共役ジエン重合体環化物(B7)について、不飽和結合減少率、重量平均分子量、極性基含有量、及び屈折率を測定した。その測定結果を表1に示す。なお、変性共役ジエン重合体環化物(B7)の極性含有量は2.3モル%であった。
(接着樹脂層・製造例5)
冷却管、窒素ガス導入管、同圧滴下ロートを備えた反応器に脂環式構造を有する樹脂である6−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレンの開環重合体の水素添加物(Tg=140℃、水素添加率100%、Mn=約28000、以下、適宜「水添MTD樹脂」と記す)201質量部、無水マレイン酸6.37質量部、t-ブチルベンゼン470.4部を入れ、窒素ガス雰囲気下、135℃に加熱して樹脂を均一に溶解した。この樹脂溶液にジクミルパーオキサイド1.76質量部をシクロヘキサノン33.4質量部に溶解した均一溶液を135℃に反応液温度を保ちながら2時間かけて分割滴下した。さらに、反応温度135℃で3時間反応を継続した後、反応液を室温まで冷却した。この反応液にトルエン2000部を加え、均一希釈溶液とした。イソプロピルアルコール7000部、アセトン2000部の混合溶液中に、前記均一希釈溶液を滴下し、樹脂を凝固させた。得られた樹脂をろ別後、105℃で12時間真空乾燥してマレイン酸変性水添MTD樹脂(M−1)を得た。得られたマレイン酸変性水添MTD樹脂について、重量平均分子量、極性基含有量、及び屈折率を測定した。その測定結果を表1に示す。なお、得られたマレイン酸変性水添MTD樹脂(M−1)の極性基含有量は6モル%であった。
(接着樹脂層・製造例6)
製造例5で使用した水添MTD樹脂50質量部、アリルグリシジルエーテル10質量部、ジクミルパーオキシド1.5質量部、シクロヘキサン200質量部をオートクレーブ中にて150℃、3時間反応を行った後、得られた反応液をアセトン500質量部中に注ぎ、反応生成物を凝固した。得られた樹脂をろ別後、105℃で12時間真空乾燥し、エポキシ変性水添MTD樹脂(E−1)を得た。得られたエポキシ変性水添MTD樹脂(E−1)について、重量平均分子量、極性基含有量、及び屈折率を測定した。なお、得られたエポキシ変性水添MTD樹脂(E−1)の極性基含有量は6.6モル%であった。
Figure 2009025427
(基準発光デバイスの製造)
ガラス基板(0.7mm、ダウコーニング社製)上に陽極である透明電極のITOをDCスパッタリングにより膜厚が200nmとなるように形成する。該透明電極上に発光層を構成する材料としてN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(以下、TPDと略記する)、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(以下、DPVBiと略記する)、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、Alqと略記する)を用い、真空蒸着法により、TPD層の膜厚が60nm、DPVBiの膜厚が40nm、Alqの膜厚が20nmとなるようにこの順に形成する。Alq層上に陰極としてマグネシウムと銀との混合物を真空蒸着法により膜厚が150nmとなるように形成する。さらにアルミニウム層を真空蒸着法により膜厚が100nmとなるようし、発光素子を作製した。
ガラス基板上の発光素子を箱型ガラス封止容器(内側に酸素水分吸収シート)を用い、エポキシ樹脂で完全に封止して、発光デバイスを作製した。これらの操作は酸素および水分を完全に排除したグローブボックス中で行なった。この発光デバイス(S1)の光取出し面から射出される光をPrometric社製の輝度計にて測定し、発光輝度100cd/cmになるように電流値を設定し、基準発光デバイスとした。光取出し効率は、この測定値を基準として、各多層フィルムを基準発光デバイスの光取り出しガラス面に設置した際の発光輝度の測定値とを比較した値である。光取出し効率は、値が大きいほど効率が向上していることを意味する。
(実施例1)
底辺の長さ20μm、高さ10μmのピラミッド構造をフィルム表面に転写できるように設計された金型に脂環式オレフィンポリマーの一種であるノルボルネン重合体(商品名:ゼオノア1600、ガラス転移温度(Tg)160℃、屈折率1.53、波長400〜700nmにおける全光線透過率92%、日本ゼオン社製)を射出成形によって凹凸フィルムを作製した。凹凸フィルムの厚みは200μmである。このフィルムの裏面(凹凸面が形成されている面とは反対側の面)に製造例1で合成した変性共役ジエン重合体環化物(B2)のトルエン溶液(固形成分濃度20質量%)をブレードを用い均一塗工後、乾燥して接着樹脂層の厚みが6μmの多層フィルム(F1)を作製した。
次いで、基準発光デバイスの光取り出しガラス基板面をシランカップリング剤処理し、この面に多層フィルム(F1)の接着樹脂層を合わせて、真空ラミネーター(三機製作所製)を用い、真空引き30秒、接着温度60℃、接着圧0.2MPa、接着時間180秒で接着した。光取出しガラス面に泡を噛むことなく多層フィルム(F1)を接着して発光デバイス(D1)を作製した。作製した発光デバイス(D1)の輝度を上記方法で測定し、輝度を比較した。結果を表2に示す。表2から明らかなように、光取出し効率が大幅に向上した。
(実施例2)
実施例1の条件で使用した変性共役ジエン重合体環化物(B2)の代わりに変性共役ジエン重合体環化物(B4)を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、多層フィルム(F2)を製造した。次いで、多層フィルム(F1)の代わりに多層フィルム(F2)を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、多層フィルム(F2)を着装した発光デバイス(D2)を作製した。作製した発光デバイス(D2)の輝度を表2に示す。表2から明らかなように、光取出し効率が大幅に向上した。
(実施例3)
実施例1の条件で使用した変性共役ジエン重合体環化物(B2)の代わりに変性共役ジエン重合体環化物(B6)を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、多層フィルム(F3)を製造した。次いで、多層フィルム(F1)の代わりに多層フィルム(F3)を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、多層フィルム(F3)を着装した発光デバイス(D3)を作製した。作製した発光デバイス(D3)の輝度を表2に示す。表2から明らかなように、光取出し効率が大幅に向上した。
(実施例4)
実施例1の条件で使用した変性共役ジエン重合体環化物(B2)の代わりに変性共役ジエン重合体環化物(B7)を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、多層フィルム(F4)を製造した。次いで、多層フィルム(F1)の代わりに多層フィルム(F4)を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、多層フィルム(F4)を着装した発光デバイス(D4)を作製した。作製した発光デバイス(D4)の輝度を表2に示す。表2から明らかなように、光取出し効率が大幅に向上した。
(実施例5)
実施例1の条件で使用した変性共役ジエン重合体環化物(B2)の代わりにマレイン酸変性水添MTD樹脂(M−1)を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、多層フィルム(F5)を製造した。次いで、実施例1の貼り合わせにおいて接着温度を60℃から80℃とした他は、実施例1と同様の操作を行い、多層フィルム(F5)を着装した発光デバイス(D5)を作製した。作製した発光デバイス(D5)の輝度を表2に示す。表2から明らかなように、光取出し効率が大幅に向上した。
(実施例6)
実施例1の条件で使用した変性共役ジエン重合体環化物(B2)の代わりにエポキシ変性水添MTD樹脂(E−1)を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、多層フィルム(F6)を製造した。次いで、多層フィルム(F5)の代わりに多層フィルム(F6)を用いた他は、実施例5と同様の操作を行い、多層フィルム(F6)を着装した発光デバイス(D6)を作製した。作製した発光デバイス(D6)の輝度を表2に示す。表2から明らかなように、光取出し効率が大幅に向上した。
(実施例7)
特開2000−75102号公報に記載されている実施例6の製造方法を用いて凹凸フィルムを作製した。底辺の長さ20μm、深さ10μmの逆ピラミッド形状の繰り返し連続して有する型に、光硬化型樹脂塗料をローラを用いて塗布した。次いで、光硬化型樹脂塗料を塗布した型とノルボルネン重合体フィルム(ZF−16−100、オプテス社製、厚み100μm、屈折率1.53)をラミネーターで貼り合わせ、樹脂フィルム側から紫外線を照射して光硬化型樹脂塗料を硬化させて、その後これを型から離型させることにより、本願実施例1と同形状の凹凸パターンを作製したフィルムを作製した。なお、前記光硬化型樹脂塗料は、光硬化性樹脂(東洋合成社製、PAK−02、屈折率1.51)に微細ジルコニア微粒子(住友大阪セメント社製、屈折率2.19)を加えて屈折率を1.54としたものを用いた。
実施例1において、凹凸フィルムの代わりに前記凹凸パターンを作製したフィルムを用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、多層フィルム(F7)を作製した。次いで、多層フィルム(F1)の代わりに多層フィルム(F7)を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、多層フィルム(F7)を着装した発光デバイス(D7)を作製した。作製した発光デバイスの(D7)の輝度を表2に示す。表2から明らかなように、光取出し効率が大幅に向上した。
(比較例1)
基準発光デバイスの光取り出しガラス面にUV硬化接着剤(ワードロック8130H、
共立化学社製)を塗り、製造例1で作製した凹凸フィルムを泡を噛まないように貼り合わせた後、高圧水銀灯を照射(照射量3000mJ/365nm)して凹凸フィルムを着装した発光デバイス(R1)を製造した。そして、製造例1と同様に発光輝度を測定した。結果を表2に示す。表2からもわかるように、発光輝度の向上、すなわち光取出し効率の向上が少ない。
(比較例2)
基準発光デバイスの光取り出しガラス面にUV硬化接着剤(UVZ−108E、ノガワケミカル社製)を塗り、製造例1で作製した凹凸フィルムを気泡を噛まないように貼り合わせた後、高圧水銀灯を照射(照射量3000mJ/365nm)して凹凸フィルムを仮着装した後、80℃で60分加熱して硬化を行い、発光デバイス(R2)を製造した。製造例1と同様に発光輝度を測定した。結果を表2に示す。表2からもわかるように、発光輝度の向上、すなわち光取出し効率の向上が少ない。
(比較例3)
基準発光デバイスの光取り出しガラス面に光学屈折液(屈折率1.53、カーギル社製)を塗り、次いで製造例1で作製した凹凸フィルムを泡を噛まないように貼り合わせて、発光デバイス(R3)を作製した。表2からもわかるように発光輝度の向上、すなわち光取出し効率の向上が少ない。また、接着されていないため、実用性がない。
(比較例4)
実施例1において、凹凸フィルムのかわりに、凹凸構造のない透明ノルボルネン樹脂フィルム(ZF−16−100、オプテス社製)を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、多層フィルム(RF1)を製作した。実施例1において、多層フィルム(F1)の代わりに、多層フィルム(RF1)を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い、多層フィルム(RF1)を着装した発光デバイス(R4)を作製した。実施例1で作製した発光デバイス(D1)の光取出し面に凹凸構造が無い構造で、他のフィルム材料構成は同一である。製造例1と同様に発光輝度を測定した。結果を表2に示す。表2からもわかるように、発光輝度は逆に低下している。
Figure 2009025427
以上説明したように、本発明では、例えば発光層を有する有機EL素子からの光を取り出す発光デバイスの表面に凹凸構造を設けている。そして、光集光(拡散)機能を付与する際、凹凸構造を有する樹脂製透明フィルム部の凹凸面の反対側の面に、予め特定の接着機能を有する接着樹脂層をコーティングした多層フィルムを得ることができる。この接着樹脂層を発光素子の光取出し基板面と合わせ、真空ラミネートすることで気泡を噛まず、しかも80℃以下の低温で接着できる。これにより、接着時の熱膨張率差を低く抑えることができ、発光デバイスの信頼性を向上できる。また、例えば有機EL素子に影響が無いほどの低温でしかも、集光性フィルムを接着樹脂層の厚みムラの起きない方法で均一に貼り合わせることができる。このため、有機EL素子の熱劣化を低減できる。
さらに凹凸フィルム樹脂材料に脂環構造含有オレフィン樹脂、接着樹脂材料に特定の極性基で変性された不飽和結合減少率が50%〜85%の共役ジエン重合体感化物または特定の極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂を用いることで、ガラス基板と接着樹脂層と凹凸フィルムの屈折率を同一化(例えば、屈折率差0.1以内)にすることができる。また、接着樹脂層を事前に均一膜厚に制御した多層フィルムにすることで接着界面のズレが少なく、優れた光学特性を発揮することができる。
加えて、発光素子から光を取り出す際、正面輝度を高めて、例えば有機EL素子を照明用途、LCDバックライト用途に用いた場合に適した集光用の多層フィルム及び発光デバイスを安価に提供できる。また、本発明の多層フィルムは、発光ダイオードのようなスポットライトの光を拡散させて、エリア照明に適した発光装置に用いる際の効果的、経済的な光拡散フィルムへの応用も可能である。
以上のように、本発明は、光集光機能または光拡散機能を有する透明凹凸フィルム(シート)およびこの機能性フィルムを装備した照明用発光装置、LCD用バックライト装置等に有用である。
本発明に係る発光デバイスの断面構成を示す図である。 本発明に係る発光デバイスの他の例の断面構成を示す図である。 従来の発光デバイスの断面構成を示す図である。
符号の説明
100 発光デバイス
101 凹凸部
102 樹脂製透明フィルム部
103 接着樹脂層
104 ガラス基板
105 封止部
106 発光素子

Claims (8)

  1. 樹脂製透明フィルム部と、
    前記樹脂製透明フィルム部の一方の面に形成されている凹凸部と、
    前記樹脂製透明フィルム部の他方の面に形成され、極性基で変性され、共役ジエン重合体を環化反応させることにより得られる共役ジエン重合体環化物であって、不飽和結合減少率が50%以上である共役ジエン重合体環化物又は極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂からなる接着樹脂層と、を有することを特徴とする多層フィルム。
  2. 前記樹脂製透明フィルム部は、波長400nm〜700nmにおける全光線透過率が88%以上である脂環式オレフィン樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記極性基は、酸無水物基及び/又はエポキシ基からなることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルム。
  4. 前記接着樹脂層の厚みは0.1μm〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルム。
  5. 前記樹脂製透明フィルム部と前記凹凸部とは、屈折率が1.50〜1.56である同一部材により一体的に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  6. 前記樹脂製透明フィルム部と前記凹凸部とは、同一部材により一体的に形成され、脂環式オレフィン樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  7. 前記樹脂製透明フィルム部と前記凹凸部とは異なる部材で形成され、
    前記凹凸部は、屈折率が1.50〜1.58の光硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  8. 樹脂製透明フィルム部と、
    前記樹脂製透明フィルム部の一方の面に形成されている凹凸部と、
    前記樹脂製透明フィルムの他方の面に形成され、極性基で変性され、共役ジエン重合体を環化反応させることにより得られる共役ジエン重合体環化物であって、不飽和結合減少率が50%以上の共役ジエン重合体環化物又は極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂からなる接着樹脂層と、
    前記接着樹脂層と貼り合わされるガラス基板と、
    前記ガラス基板の前記接着樹脂層と貼り合わされた面と反対側の面に設けられている発光素子と、を有することを特徴とする発光デバイス。
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