JP2009025111A - 磁気センサ用エンコーダ、軸受用密封装置、及び車輪支持用軸受ユニット - Google Patents

磁気センサ用エンコーダ、軸受用密封装置、及び車輪支持用軸受ユニット Download PDF

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Abstract

【課題】長期に亘って安定して磁極体をスリンガへ固定可能で、軸受の回転状態を一定の精度で長期に亘って計測可能な軸受に対するセンサ機構を提供する。
【解決手段】一対の軌道輪と複数の転動体を具備した軸受装置の回転状態を計測する磁気センサ用エンコーダ6であって、軸方向に延出する円筒状を成し、回転する一方の軌道輪に固定されるスリンガ固定部42、及びスリンガ固定部に連続するとともに、所定角度で円板状に延出するスリンガ円板部44で成る環状のステンレス磁性材製のスリンガ4と、スリンガ円板部の軸方向の一側面44sに設けられ、所定の磁性材で成る磁極体62とを備えて構成されており、磁極体は、その周方向に沿って多極に着磁された磁極面62sを有する環状を成し、スリンガ円板部の一側面に取り付けられているとともに、その内周部62aが全周に亘ってスリンガで被覆され、一方の軌道輪8と接触しない構造を成している。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種機械装置の回転軸を回転自在に支持する軸受(例えば、自動車の車輪を支持するためのハブユニット軸受(車輪支持用軸受ユニット)等の軸受装置など)において、当該軸受の回転状態(例えば、回転輪の回転速度、回転方向、あるいは回転角度など)を計測するための磁気センサ機構の改良に関する。
従来から、各種の軸受が回転自在に支持する回転軸を適正な状態で回転させるべく、その回転状態を計測するため、かかる軸受に対して所定のセンサ機構を設けた構成が知られている。このようなセンサ機構としては、例えば、軸受の回転体(回転輪、転動体及び保持器など)に所定の磁性材を多極着磁して成る磁極体(エンコーダ)を取り付け、当該エンコーダが回転する際に生じる磁気状態の変化を、ハウジングや静止輪などに固定された磁気センサで検知することで、かかる軸受の回転状態を計測する磁気センサ機構がある。
この場合、エンコーダは、軸受の使用条件や使用目的などに応じて回転体の任意の部位に対して取り付けられるが、一例として、車輪支持用軸受ユニットの場合、ユニット内部を外部から遮蔽して密封状態(気密状態、及び液密状態)に保つための密封装置(パックシールやスリンガなど)にエンコーダを取り付け、密封機構とセンサ機構とを複合させてコンパクト化を図った構成が実用されている。特許文献1には、パッケージ構造のシール材の回転部材(パックシールのスリンガ)に多極着磁された磁極体を取り付け、かかるスリンガをエンコーダとして構成した車輪支持用軸受ユニットの密封装置が一例として開示されており、図3(a)には、その具体的な構成が例示されている。
図3(a)に示すように、かかる密封装置(パックシール)3は、所定の間隔を空けて対向して配置されたスリンガ32及び芯金(以下、シール芯金という)34と、これらの間に介在するシール36で構成されている。この場合、スリンガ32及びシール芯金34は、いずれも断面形状が略L字状を成す環状に構成されており、シール36は、当該シール芯金34に連結されるとともに、当該スリンガ32に摺接する複数のリップ部(シールリップ)36lを設けて構成されている。
そして、エンコーダ5は、かかるスリンガ32に対し、所定の磁性材(一例として、磁性ゴム)を周方向に沿って多極に着磁して成る磁極体52が取り付けられた構造を成している。この場合、磁極体52は、環状を成す平板状に形成され、スリンガ32の円板部32aに加硫接着されており、その際、シールリップ36lが摺接する面とは軸方向に対して反対側(軸受の外側)の円板部32aの側面(以下、接着面という)32sに当該磁極体52が位置付けられている。
図3(a)に示す構成において、スリンガ32の円板部32aの内径は、回転輪(一例として、内輪)7の外径寸法と略同一寸法に設定されているとともに、磁極体52の内径は、当該円板部32aの内径寸法、及び内輪7の外径寸法よりも僅かに大きな寸法に設定されている。このため、エンコーダ5が取り付けられた状態において、エンコーダ5(磁極体52)の内周部52aは、内輪7の外周部7aと接触せず、その近傍に位置する。なお、密封装置は、軸受(車輪支持用軸受ユニット)の使用条件や使用目的などに応じて、図3(a)に示すようなパッケージ構造体ではなく、図3(b)に示すようなスリンガ構造体として構成され、その際、磁極体52の内径を円板部32aの内径寸法、及び内輪7の外径寸法と略同一寸法に設定し、エンコーダ5(磁極体52)の内周部52aを内輪7の外周部7aと接触させる場合もある。
これにより、内輪7の回転に伴ってエンコーダ5(磁極体52が加硫接着されたスリンガ32)を回転させ、当該エンコーダ5から生じる磁気の状態を内輪7の回転に伴って変化させることができる。すなわち、かかる磁気状態の変化を軸受外部(図3(a)の右方)に配設された磁気センサ(例えば、図示しないホールICなど)で検知し、単位時間当たりのエンコーダ5(内輪7)の位置や角度などの変動量を演算処理することで、当該内輪7、すなわち車輪支持用軸受ユニットの回転速度を計測することが可能となる。
特開2001−141069号公報
ところで、例えば、車輪支持用軸受ユニットなどは、そのユニットが外部の泥水や塵埃にさらされる過酷な環境下で使用される。このため、かかるユニットには、上述したような密封装置(パックシール3やスリンガ32)が設けられており、これにより、ユニット内部への異物(泥水や塵埃など)の侵入が防止されているとともに、ユニット内部から外部への潤滑剤(グリースや潤滑油など)の漏洩が防止されている。
図3(a)に示すようなパックシール3を設けた場合、当該パックシール3は継続的にユニット外部の泥水などにさらされることとなり、エンコーダ5(スリンガ32)の固定部分である内輪7の外周部7aに当該泥水が掛かりやすく、鋼製などの内輪7には、その外周部7aに錆が生じやすい。そして、内輪7の外周部分が発錆(すなわち、酸化)した場合、鋼の成分である鉄はアルカリ金属の一種であるため、当該外周部分に付着した泥水などの水分をアルカリ性に変化させることとなる。かかる変化自体は比較的穏やかに進行するが、磁極体52をスリンガ32に取り付けるための加硫接着剤はアルカリに弱く、アルカリ性に傾いた水分がスリンガ32と磁極体52との接着部分に入り込むと、当該加硫接着剤の接着力が低下し、その程度によっては当該磁極体52がスリンガ32から剥がれてしまう虞がある。
ここで、図3(b)に示す構造、すなわち、当該スリンガ32の円板部32aの内径、及び磁極体52の内径を内輪7の外径寸法と略同一寸法に設定し、磁極体52の内周部52aを内輪7の外周部7aと接触させた構成のエンコーダ5(スリンガ32)に対し、当該エンコーダ5(スリンガ32)の固定部分である内輪7の外周部7aに塩水を噴霧する試験(塩水噴霧試験)、すなわち流水によらない腐食試験を行い、スリンガ32と磁極体52との接着状態(剥離状態)を検証した。この結果、かかる密封機構、及びセンサ機構の構造上、アルカリ性に傾いた水分がスリンガ32と磁極体52との接着部分に留まりやすく、スリンガ32からの磁極体52の剥離を誘発しやすいことが判明した。
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的は、長期に亘って安定して磁極体をスリンガへ固定することが可能で、軸受の回転状態(例えば、回転輪の回転速度、回転方向、あるいは回転角度など)を一定の精度で長期に亘って計測可能な軸受に対するセンサ機構を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明に係る磁気センサ用エンコーダは、相対回転可能に対向配置された少なくとも一対の軌道輪と、当該軌道輪間へ転動可能に組み込まれた複数の転動体を具備した軸受装置の回転状態を計測する。かかる磁気センサ用エンコーダは、軸方向に延出する円筒状を成し、回転する一方の軌道輪に固定されるスリンガ固定部、及び当該スリンガ固定部に連続するとともに、当該スリンガ固定部に対して所定の角度で円板状に延出するスリンガ円板部で成る環状のステンレス磁性材製のスリンガと、当該スリンガ円板部の軸方向の一側面に設けられ、所定の磁性材で成る磁極体とを備えて構成されている。そして、前記磁極体は、その周方向に沿って多極に着磁された磁極面を有する環状を成し、前記スリンガ円板部の一側面に取り付けられているとともに、その内周部が全周に亘って前記スリンガで被覆され、前記一方の軌道輪と接触しない構造を成している。
この場合、磁気センサ用エンコーダは、2つのスリンガをスリンガ円板部同士が相互に当接するとともに、各スリンガ固定部が軸方向の反対方向へそれぞれ延出するように、当該2つのスリンガを前記スリンガ円板部の延出端で相互に連結させ、前記磁極体を一方のスリンガの前記スリンガ円板部の一側面に加硫接着させて取り付けられた構造を成せばよい。
また、上述した目的を達成するために、本発明に係る軸受用密封装置は、相対回転可能に対向配置された少なくとも一対の軌道輪と、当該軌道輪間へ転動可能に組み込まれた複数の転動体を具備した軸受装置の内部を気密並びに液密に保つために、上述したいずれかの磁気センサ用エンコーダ、芯金及びシールが組み合わされた構造を成している。かかる軸受用密封装置において、芯金は、軸方向に延出する円筒状を成し、前記他方の軌道輪に固定される芯金固定部、及び当該芯金固定部の一方側の延出端に連続するとともに、当該芯金固定部に対して所定の角度で円板状に延出する芯金円板部で構成され、シールは、所定の間隔を空けて対向配置された前記磁気センサ用エンコーダと芯金との間に介在され、当該芯金に連結されるとともに、磁気センサ用エンコーダの前記磁極体取付面とは軸方向に対して反対側の面に摺接している。
さらに、上述した目的を達成するために、本発明に係る車輪支持用軸受ユニットは、車体構成部材に固定される静止輪、及び車輪構成部材が固定されて当該車輪構成部材とともに回転する回転輪を相対回転可能に対向配置して成る少なくとも一対の軌道輪と、当該静止輪と回転輪にそれぞれ形成されて相互に対向する軌道面間へ転動可能に組み込まれた複数の転動体とを具備しており、その内部を密封するために、上述したいずれかの磁気センサ用エンコーダ、あるいは軸受用密封装置が前記静止輪と回転輪の間に介在するように設けられている。
本発明の軸受に対するセンサ機構によれば、スリンガと磁性体との接着部分を回転輪と非接触状態に保つことで、長期に亘って安定して磁極体をスリンガへ固定することができる。これにより、かかるセンサ機構を用いることで、軸受の回転状態(例えば、回転輪の回転速度、回転方向、あるいは回転角度など)を一定の精度で長期に亘って計測することができる。
以下、本発明の軸受回転状態計測センサ用エンコーダ、軸受用密封装置、及び車輪支持用軸受ユニットについて、添付図面を参照して説明する。なお、本発明に係るセンサ機構は、各種の軸受装置の回転状態を計測するために適用することができるが、ここでは、自動車の車輪を支持するためのハブユニット軸受(車輪支持用軸受ユニット(以下、単に軸受ユニットという))の回転状態を計測するために、かかるセンサ機構が用いられている場合を一例として想定する。
かかる軸受ユニットには、相対回転可能に対向配置された少なくとも一対の軌道輪(一例として、静止輪と回転輪(図示しない))、当該軌道輪間へ転動可能に組み込まれた複数の転動体が具備されており、必要に応じて当該転動体を1つずつ回転自在に保持する保持器を軌道輪間へ組み込んで構成される。
この場合、軸受ユニットは、自動車の駆動輪(前置エンジン後輪駆動(FR)車及び後置エンジン後輪駆動(RR)車の後輪、前置エンジン前輪駆動(FF)車の前輪、並びに四輪駆動(4WD)車の全輪)を支持するハブユニット軸受として構成してもよいし、自動車の従動輪(FR車及びRR車の前輪、FF車の後輪)を支持するハブユニット軸受として構成してもよい。
なお、軸受ユニットの型式(タイプ)は特に限定されず、例えば、静止輪には、図示しない車体構成部材(例えば、懸架装置のナックル)に固定されるフランジが一体成形などにより設けられていてもよいし、回転輪には、図示しない車輪構成部材(例えば、ディスクホイール)が固定されるハブフランジが一体成形などにより設けられていてもよい。また、回転輪は、第1の内輪(一例として、自動車の車体内方寄り(インボード側)の内輪)と第2の内輪(一例として、自動車の車体外方寄り(アウトボード側)の内輪)の分割構成であってもよいし、ハブと内輪構成体で構成されていてもよい。なお、ハブは、静止輪のアウトボード側の軌道面と対向する軌道面が形成されるとともに、前記ハブフランジが設けられた略円筒状の回転部材のことを指し、内輪構成体は、静止輪のインボード側の軌道面と対向する軌道面が形成され、ハブに外嵌されて当該ハブとともに回転する回転部材のことを指す。
また、転動体は、軸受ユニットの使用条件や使用目的などに応じて、玉、あるいは、円錐ころ、円筒ころ及び球面ころなどの各種のころを任意に選択して用いればよい。なお、保持器によって転動体を回転自在に保持する構成とする場合、前記転動体の種類に応じて任意のタイプの保持器を適用すればよい。例えば、転動体が玉である場合、波型や冠型などのタイプを適用することができ、転動体が各種のころ(円錐ころ、円筒ころ及び球面ころなど)である場合、もみ抜き型、くし型及びかご型などのタイプを適用することができる。
ここで、径方向に対する外方部材(外方軌道輪)と内方部材(内方軌道輪)のうち、どちらを回転輪とするかは特に限定されず、軸受ユニットの使用条件や使用目的などに応じて任意に設定すればよい。
また、上述したいずれの軸受ユニットにおいても、静止輪は、車体構成部材(例えば、懸架装置のナックル(図示しない))に固定されて静止状態に維持されるのに対し、回転輪は、車輪構成部材(例えば、ディスクホイール(図示しない))が固定されて当該車輪構成部材とともに回転している。
図1(a)には、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ用エンコーダ(以下、エンコーダという)6が示されており、当該エンコーダ6は、相対回転可能に対向配置された一対の軌道輪と、当該軌道輪間へ転動可能に組み込まれた複数の転動体(図示しない)を具備した軸受ユニット(ハブユニット軸受)の回転状態を計測する磁気検知式のセンサ(図示しない)の被検出体として構成されている。
エンコーダ6には、それぞれ所定の磁性材で成るスリンガ4と磁極体62とが備えられており、当該スリンガ4は、軸方向(図1(a)の左右方向)に延出する円筒状を成し、回転する一方の軌道輪(一例として、内輪8)に固定される固定部(以下、スリンガ固定部という)42、及び当該スリンガ固定部42に連続するとともに、当該スリンガ固定部42に対して所定の角度(一例として、略直角)で円板状に延出する円板部(以下、スリンガ円板部という)44で成るステンレス磁性材を環状に成形して構成されている。また、磁極体62は、後述する所定の磁性材を環状に成形して構成され、スリンガ円板部44aの軸方向の一側面(図1(a)の右側の面(以下、接着面という)44s)に設けられている。
図1(a)に示す構成において、エンコーダ6は、2つのスリンガ4a,4bをスリンガ円板部44a,44b同士が相互に背中合わせで当接するとともに、各スリンガ固定部42a,42bが軸方向の反対側(同図の右側及び左側)へそれぞれ延出するように、当該2つのスリンガ4a,4bをスリンガ円板部44a,44bの延出端(同図の上端)で相互に連結させ、磁極体62を一方のスリンガ4aの接着面44sに加硫接着させた構造を成している。
別の捉え方をすると、エンコーダ6は、2つのスリンガ固定部42a,42bと2つのスリンガ円板部44a,44bで構成されており、内輪8の外径寸法と略同一寸法の内径を成して、軸方向へスリンガ固定部42aが円筒状に延出され、当該スリンガ固定部42aの延出端(図1(a)の左端部)から、拡径方向(同図の上方向)へ略直角に所定寸法(径)でスリンガ円板部44aが円板状に延出されている。さらに、スリンガ円板部44aの延出端(図1(a)の上端)に連続するとともに、当該延出端から折り返して当該スリンガ円板部44aと同一寸法(径)で、これに沿ってスリンガ円板部44bが円板状に延出され、当該スリンガ円板部44bの延出端(同図の下端)から、略直角に所定寸法(長さ)でスリンガ固定部42bが円筒状に延出されている。
すなわち、このように連結された2つのスリンガ4a,4bによってエンコーダ6の芯金体(スリンガ4)が構成され、当該芯金体は、同一の内径寸法に設定されたスリンガ固定部42a,42bと、これらのスリンガ固定部42a,42bの境界部分から拡径方向へ、略直角に同一の外径寸法を成してそれぞれ延出されたスリンガ円板部44a,44bにより構成されている。そして、かかる芯金体(スリンガ4)の一部を成すスリンガ円板部44aの接着面44sに、環状を成す磁極体62が加硫接着されることでエンコーダ6が構成されている。
なお、スリンガ固定部42a,42bの延出寸法(長さ(図1(a)の左右方向の距離))、及びスリンガ円板部44a,44bの延出寸法(径(同図の上下方向の距離))は、エンコーダ6が組み付けられる内輪8の大きさなどに応じて任意に設定すればよいため、ここでは特に限定しない。一例として、図1(a)には、スリンガ固定部42bの延出寸法をスリンガ固定部42aの延出寸法よりも大きく設定した芯金体(スリンガ4)の構成例が示されている。
また、スリンガ4は、その内径寸法(具体的には、スリンガ固定部42a,42bの内径寸法)に対し、内輪8へ固定する際の固定代(例えば、嵌合代)を設けて構成しておくことが好ましい。すなわち、スリンガ4は、スリンガ固定部42a,42bの内径寸法を内輪8の外径寸法(具体的には、内輪8がスリンガ固定部42a,42bと当接する外周面8aの径寸法)よりも、当該固定代の分だけ小さな寸法に設定して構成することが好ましい。なお、スリンガ4のスリンガ固定部42a,42bに設定する固定代は、内輪8の大きさなどに応じて任意に設定すればよい。
また、スリンガ固定部42aとスリンガ円板部44aとが成す角度、及びスリンガ固定部42bとスリンガ円板部44bとが成す角度も同様に特に限定されない。例えば、これらの角度を鈍角あるいは鋭角に設定した構成であってもよい。加えて、スリンガ円板部44a,44bは、図1(a)に示すように相互に当接させた構成としてもよいし、所定の空隙を設けて対向させた構成であってもよい。
さらに、スリンガ4の形成は、形成するスリンガ4の大きさや形状などに応じて任意の方法で行えばよく、その方法は特に限定されない。例えば、ステンレス磁性材で成る板状部材を円形に打ち抜き、当該円板状部材の中心部を内輪8の外径寸法と略同一寸法で穿孔するとともに、当該環状部材に対してプレスによる折り曲げ加工などを施すことでスリンガ4を形成してもよいし、それぞれ別個に断面の輪郭形状が略L字状に成形した2つのスリンガ4a,4bを接着や溶接などにより接合することでスリンガ4を形成してもよい。
その際、スリンガ4a,4b(スリンガ円板部44a,44b)の連結部分4cの形状、及びスリンガ固定部42a,42bとスリンガ円板部44a,44bの連続部分の形状、並びにスリンガ固定部42a,42bの端部42t,42uの形状は、図1(a)に示す構成には限定されない。例えば、連結部分4cには、面取り(いわゆるR状加工やC状加工)を施してもよいし、当該面取りを施すことなく、これらを連結させた構成(断面視矩形状)としてもよい。同様に、前記連続部分(その内径側と外径側)、並びに端部42t,42u(その内径側と外径側)には、必要に応じて面取り(いわゆるR状加工やC状加工)を施せばよい。
磁極体62は、その周方向に沿って多極に(一例として、複数のN極とS極とが交互に)着磁された磁極面を有する環状を成し、スリンガ円板部44の接着面44sに取り付けられている(一例として、加硫接着されている)とともに、その内周部62aが全周に亘ってスリンガ4(4a)で被覆され、内輪8と接触しない構造を成している。以下、その具体的な構成について説明する。
なお、磁極体62は、少なくともスリンガ円板部44aの接着面44へ接着される面とは反対側の面(以下、外表面という)62sの周方向に沿って多数の磁極が並んでいる限り、その構成は特に限定されない。例えば、磁性材として磁性ゴム(いわゆるボンド磁石)やプラスチック磁石を適用し、これらを環状に成形してN極とS極とが周方向へ交互に連続して並ぶように着磁させた構成であってもよいし、多数の板状の永久磁石をN極とS極とが周方向へ交互に連続して並ぶように環状に配設して磁極面が形成された構成であってよい。
図1(a)に示す構成において、磁極体62は、その内径がスリンガ4aの内径寸法よりもスリンガ固定部42aの厚さ(同図の上下方向の距離)に相当する寸法だけ大きな寸法に設定され、その外径がスリンガ4aの外径寸法(すなわち、スリンガ円板部44aの延出寸法(径))と略同一寸法に設定されるとともに、その厚さ(同図の左右方向の距離)がスリンガ固定部42aの延出寸法(長さ)と略同一寸法に設定された環状を成している。このような構成により、磁極体62は、外表面62sがスリンガ固定部42aの端部42tと略面一となるとともに、外周部62bがスリンガ4a,4b(スリンガ円板部44a,44b)の連結部分4cと略面一となり、さらに内周部62aがスリンガ固定部42aとスリンガ円板部44aの連続部分に密着する。
なお、磁極体62の外表面62sとスリンガ固定部42aの端部42tとは、必ずしも面一となるように構成しなくともよく、図1(b)に示す本実施形態の第1変形例のように、端部42tを外表面62sよりも凸出させた構成(外表面62sを端部42tよりも凹ませた構成)であってもよい。また、磁極体62の外周部62bとスリンガ4a,4b(スリンガ円板部44a,44b)の連結部分4cとは、必ずしも面一となるように構成しなくともよく、図1(b)に示す本実施形態の第1変形例のように、連結部分4cを外周部62bよりも凸出させた構成(外周部62bを連結部分4cよりも凹ませた構成)であってもよい。
また、スリンガ4は、上述した本実施形態(図1(a))、及びその第1変形例(同図(b))のように、2つのスリンガ4a,4bを連結して一体化させた芯金体構造には限定されず、例えば、同図(c)に示す本実施形態の第2変形例のように、単独のスリンガ固定部42とスリンガ円板部44とを相互に連続させた芯金構造としてもよい。
図1(c)には、スリンガ固定部42、スリンガ円板部44、並びに折り返し部46の3部分で構成され、当該スリンガ固定部42とスリンガ円板部44とを折り返し部46を介して連続させたスリンガ4の構造が示されている。この場合、スリンガ固定部42は、内輪8(図1(a))の外径寸法と略同一寸法の内径を成して、軸方向へ円筒状に延出し、折り返し部46は、当該スリンガ固定部42の延出端(同図(c)の右端)に連続するとともに、当該延出端から凸曲状に折り返して所定寸法(長さ)だけ略円筒状に延出しており、さらに、スリンガ円板部44は、当該折り返し部46の延出端(同図の左端)から、略直角に所定寸法(径)だけ円板状に延出し、スリンガ4が構成されている。
なお、スリンガ固定部42の延出寸法(長さ(図1(c)の左右方向の距離))、スリンガ円板部44の延出寸法(径(同図の上下方向の距離))、並びに折り返し部46の延出寸法(長さ(同図の左右方向の距離))は、エンコーダ6が組み付けられる内輪8(図1(a))の大きさ、並びにスリンガ4に取り付けられる(一例として、加硫接着される)磁極体62の大きさなどに応じて任意に設定すればよいため、ここでは特に限定しない。
また、スリンガ4は、その内径寸法(具体的には、スリンガ固定部42の内径寸法)に対し、内輪8(図1(a))へ固定する際の固定代(例えば、嵌合代)を設けて構成しておくことが好ましい。すなわち、スリンガ4は、スリンガ固定部42の内径寸法を内輪8の外径寸法(具体的には、内輪8がスリンガ固定部42と当接する外周面8aの径寸法)よりも、当該固定代の分だけ小さな寸法に設定して構成することが好ましい。なお、スリンガ4のスリンガ固定部42に設定する固定代は、内輪8の大きさなどに応じて任意に設定すればよい。
また、折り返し部46とスリンガ円板部44とが成す角度も同様に特に限定されない。例えば、前記角度を鈍角あるいは鋭角に設定した構成としてもよい。
さらに、スリンガ4の形成は、形成するスリンガ4の大きさや形状などに応じて任意の方法で行えばよく、その方法は特に限定されない。例えば、ステンレス磁性材で成る板状部材を円形に打ち抜き、当該円板状部材の中心部を内輪8の外径寸法と略同一寸法で穿孔するとともに、当該環状部材に対してプレスによる折り曲げ加工などを施すことでスリンガ4を形成してもよいし、それぞれ別個に成形したスリンガ固定部42、スリンガ円板部44及び折り返し部46を接着や溶接などにより接合することでスリンガ4を形成してもよい。
その際、スリンガ固定部42の端部42tの形状、スリンガ円板部44の外周面44oの形状、並びに折り返し部46の形状は、図1(c)に示す構成には限定されない。例えば、端部42t及び外周面44oには、必要に応じて面取り(いわゆるR状加工やC状加工)を施してもよいし、折り返し部46をスリンガ固定部42に沿って当接するように折り返した構成としてもよい。
磁極体62は、その周方向に沿って多極に(一例として、複数のN極とS極とが交互に)着磁された磁極面を有する環状を成し、その内径が折り返し部46の外径寸法と略同一寸法に設定され、その外径がスリンガ円板部44の延出寸法(径)と略同一寸法に設定されるとともに、その厚さ(図1(c)の左右方向の距離)が折り返し部46の延出寸法(長さ)よりも小さな寸法に設定されている。そして、スリンガ円板部44の接着面44sに取り付けられている(一例として、加硫接着されている)とともに、その内周部62aが全周に亘ってスリンガ4(具体的には、折り返し部46)で被覆され、内輪8(図1(a))と接触しない構造を成している。
このような構成により、磁極体62は、外表面62sが折り返し部46よりも凹んだ状態となるとともに、外周部62bがスリンガ円板部44の外周面44oと略面一となり、さらに内周部62aが折り返し部46とスリンガ円板部44の連続部分に密着する。
なお、磁極体62は、外表面62sを折り返し部46の端部46tと面一となるように構成してもよいし、外周部62bをスリンガ円板部44の外周面44oよりも凹ませた構成(外周面44oを外周部62bよりも凸出させた構成)であってもよい。
上述した本発明の第1実施形態(図1(a))、その第1変形例(同図(b))及び第2変形例(同図(c))に係るエンコーダ6は、いずれも内輪8の外周面8aにスリンガ固定部42(42a,42b)を当接させた状態で固定(例えば、嵌合や接着など)され、当該内輪8とともに回転する。そして、かかるエンコーダ6に取り付けられた磁極体62の磁極面である外表面62sと対向(正対)するように、センサ(一例として、ホールIC(図示しない)など)を配設する。
センサ(ホールIC)とエンコーダ6をこのように位置付けた場合、内輪8が回転すると、これとともにエンコーダ6も回転し、ホールICに対する磁極(N極及びS極)の位置が交互に連続して変化する。このとき、ホールICを通過する磁束が連続的に変化し、かかる変化を当該ホールICにより検知することで、エンコーダ6(すなわち、内輪8)の位置や角度などを検出することができる。
そして、ホールICが検知した磁束の変化を回路基板によって電気信号に変換するとともに、当該電気信号(データ)を信号処理部(図示しない)に送信し、当該信号処理部において、単位時間当たりのエンコーダ6の位置や角度などの変動量を演算処理することで、当該エンコーダ6が固定された内輪8の回転状態(例えば、回転速度、回転方向、あるいは回転角度など)、すなわち軸受ユニットの回転状態を計測することが可能となる。
その際、本発明の第1実施形態(図1(a))、その第1変形例(同図(b))及び第2変形例(同図(c))によれば、エンコーダ6は、磁極体62の内周部62aが全周に亘ってスリンガ固定部42aとスリンガ円板部44aの連続部分(同図(a),(b))、あるいは、折り返し部46とスリンガ円板部44の連続部分(同図(c))に密着した状態で、スリンガ円板部44(44a)の接着面44sに加硫接着されているため、スリンガ4(具体的には、スリンガ固定部42a(同図(a),(b))、あるいは折り返し部46(同図(c))で被覆され、内輪8(図1(a))と直接接触することがない。
したがって、エンコーダ6の固定部分である内輪8の外周面8aに軸受外部などから水分が付着し、当該外周面8aが発錆(酸化)した場合であっても、アルカリ性に傾いた水分がスリンガ4(4a)と磁極体62との接着部分へ浸入することを有効に防止することができる。この結果、スリンガ4(4a)と磁極体62とを接着させている加硫接着剤の接着力を低下させることなく、長期に亘って強固に維持させることができる。これにより、長期に亘って安定して磁極体62をスリンガ4(4a)へ固定することができるとともに、かかるエンコーダ6を用いることで、軸受ユニットの回転状態(例えば、回転輪の回転速度、回転方向、あるいは回転角度など)を一定の精度で長期に亘って計測することができる。
また、本発明の第1実施形態(図1(a))、その第1変形例(同図(b))においては、エンコーダ6の径方向への突出部分が2つのスリンガ円板部44a,44bを当接させた二重構造となるため、当該突出部分の厚さ(同図(a),(b)の左右方向の距離)を容易に増大させることができる。したがって、エンコーダ6を内輪8の外周面8aに当接した状態で圧入して固定(例えば、嵌合や接着など)した場合、当該エンコーダ6の姿勢が安定し、その固定力(嵌合力や接着力)を増加させることができ、長期に亘って強固にエンコーダ6を内輪8に対して固定することができる。結果として、内輪8の回転に伴うエンコーダ6の回転時において、当該エンコーダ6に対するクリープの発生が有効に防止され、軸受ユニットの回転状態を一定の精度で長期に亘って計測することができる。
なお、上述した本発明の第1実施形態(図1(a))、その第1変形例(同図(b))及び第2変形例(同図(c))に係るエンコーダ6は、センサ(ホールICなど(図示しない))の被検出体として構成されているのみならず、軸受ユニットの密封装置(いわゆるスリンガ)としても構成され、当該軸受ユニットの内部を外部から遮蔽して密封状態(気密状態、及び液密状態)に保つ機能も併せ持つ。
このような密封装置としての機能を考慮すれば、エンコーダは、上述した第1実施形態(図1(a))、第1変形例(同図(b))及び第2変形例(同図(c))のようなスリンガ構造体(エンコーダ6)であってもよいが、図2に示すようなパッケージ構造(いわゆるパックシール)とすることがより好ましい。図2には、エンコーダ6をこのようなパッケージ構造とした構成例を本発明の第2実施形態として示している。
図2に示す構成において、密封装置(以下、パックシールという)10は、エンコーダ6、芯金12及びシール14が組み合わされた構造を成している。
エンコーダ6は、2つのスリンガ4a,4b(スリンガ円板部44a,44b)を連結させた構成(図1(a),(b))としてもよいし、スリンガ固定部42とスリンガ円板部44とを折り返し部46を介して連続させた構成(同図(c))であってもよい。一例として、図2には、2つのスリンガ4a,4b(スリンガ円板部44a,44b)を連結させたエンコーダ6の構成を示している。
また、芯金12は、軸方向(図2の左右方向)に延出する円筒状を成し、静止輪(一例として、外輪(図示しない))に固定される固定部(以下、芯金固定部という)12a、及び当該芯金固定部12aの延出端(同図の左端部)に連続するとともに、当該芯金固定部12aに対して所定の角度で円板状に延出する円板部(以下、芯金円板部という)12bで構成されている。
図2には、芯金固定部12aが軸方向に所定の長さで延出した円筒状に形成され、芯金円板部12bが芯金固定部12aに対して略直角に所定の長さで、当該芯金固定部12aの一方側の延出端(同図の左端)に連続して縮径方向(同図の下方向)へ延出した円板状(円環の平板状)に形成された芯金12の構成を示している。すなわち、この場合、芯金12は、縦断面形状が略L字状を成すように構成されており、静止輪に圧入して固定(例えば、嵌合や接着など)され、常時静止状態に維持される構造を成している。
なお、芯金固定部12aの延出寸法(長さ(図2の左右方向の距離))、及び芯金円板部12bの延出寸法(径(同図の上下方向の距離))は、芯金12が組み合わされるエンコーダ6やシール14の大きさなどに応じて任意に設定すればよいため、ここでは特に限定しない。一例として、図2には、芯金固定部12aの延出寸法をエンコーダ6のスリンガ固定部42a,42b単体の延出寸法よりも大きく、これらの延出寸法合計よりも小さな寸法に設定するとともに、芯金円板部12bの延出寸法を当該エンコーダ6のスリンガ円板部44a,44bの延出寸法と略同一寸法に設定した芯金12の構成例が示されている。
その際、芯金12は、その外径寸法(具体的には、芯金固定部12aの外径寸法)に対し、静止輪(外輪)へ固定する際の固定代(例えば、嵌合代)を設けて構成することが好ましい。すなわち、芯金12は、芯金固定部12aの外径寸法を静止輪(外輪)の内径寸法(具体的には、静止輪が芯金固定部12aと当接する面の径寸法)よりも、当該固定代の分だけ大きな寸法に設定して構成することが好ましい。なお、芯金12の芯金固定部12aに設定する固定代は、静止輪(外輪)の大きさなどに応じて任意に設定すればよい。
また、芯金固定部12aと芯金円板部12bとが成す角度は特に限定されず、パックシール10の使用条件などに応じて任意に設定すればよく、当該角度を鈍角あるいは鋭角に設定した構成であってもよい。
さらに、芯金12の材質及び形成方法も特に限定されず、例えば、芯金12を所定の金属板製(鋼板製)とし、当該金属製の板状部材を円形に打ち抜き、当該円板状部材の中心部を内輪8(図1(a))の外径寸法よりも大きな寸法で穿孔するとともに、当該環状部材に対してプレスによる折り曲げ加工などを施すことで芯金12を形成してもよいし、それぞれ別個に成形した芯金固定部12aと芯金円板部12bを接着や溶接などにより接合することで芯金12を形成してもよい。その際、芯金固定部12aの端部の形状、芯金円板部12bの端部の形状は、図2に示す構成には限定されず、必要に応じて面取り(いわゆるR状加工やC状加工)を施した構成としてもよい。
また、シール14は、所定の間隔を空けて対向配置されたエンコーダ6と芯金12との間に介在され、当該芯金12に連結されるとともに、当該エンコーダ6(スリンガ円板部44(44b))の接着面44sとは軸方向に対して反対側の側面、及びスリンガ固定部42(42b)の外周面(以下、これらをまとめて摺接面4sという)に摺接する構造を成している。図2に示す構成においては、一例として、シール14が芯金12の芯金固定部12a及び芯金円板部12b(具体的には、これらの内側の面(同図の下面及び右面))に連結され、複数(例えば、3つ)のリップ14lをエンコーダ6(具体的には、スリンガ4(4b)のスリンガ円板部44(44b)とスリンガ固定部42(42b))へ向けて延出するように設けた構造を成している。
なお、シール14の材料は、エンコーダ6(スリンガ4(4a,4b))や芯金12の材質などに応じて、各種の弾性材(例えば、ゴムやプラスチックなどの樹脂材)を任意に選択して適用すればよい。また、シール14に設けるリップ14lの数や形状も図2に示す構成には限定されず、例えば、シール14に対して2つのリップ14lを設けた構成としてもよいし、4つ以上のリップ14lを設けた構成としてもよい。さらに、芯金12とシール14(各種の弾性材)との連結は、接着(加硫接着)、かしめ、コーティング、射出成形など、各種の方法を任意に選択して行えばよい。
そして、かかるシール14のリップ14lがエンコーダ6(具体的には、スリンガ4(4b)の摺接面4s)と当接(摺接)するように、当該シール14が連結された芯金12とエンコーダ6とを断面の輪郭形状が略矩形状となるように組み合わせて、密封装置(パックシール)10が構成されている。
なお、パックシール10は、図2に示す構成には特に限定されず、例えば、シールを2つの分割構成とし、一方をエンコーダ6に連結するとともに、他方を芯金12に連結させ、エンコーダ6に連結したシールを芯金12に摺接させるとともに、芯金12に連結したシールをエンコーダ6(摺接面4s)に摺接させる構成としてもよい。
このように本実施形態によれば、パックシール10をエンコーダ6、芯金12及びシール14が組み合わされた構造とすることで、上述した第1実施形態(図1(a))、第1変形例(同図(b))及び第2変形例(同図(c))と同様のセンサ機構を構築することができ、軸受ユニットの回転状態(例えば、回転輪の回転速度、回転方向、あるいは回転角度など)を一定の精度で長期に亘って計測することができる。加えて、軸受ユニットの内部を外部から遮蔽して密封状態(気密状態、及び液密状態)に維持する効果(すなわち密封効果)を格段に向上させることができる。
以上、上述した第1実施形態(図1(a))、第1変形例(同図(b))及び第2変形例(同図(c))、並びに第2実施形態(図2)に係るセンサ機構及び密封機構を軸受ユニットに対して適用することで、当該軸受ユニットを長期に亘って良好な潤滑状態に保ち、一定の精度で安定して回転させ続けることが可能となるだけでなく、その回転状態を一定の精度で長期に亘って計測することが可能となる。
本発明に係るエンコーダの構成を示す図であって、(a)は、第1実施形態に係るエンコーダの構成を示す断面図、(b)は、第1変形例に係るエンコーダの構成を示す断面図、(c)は、第2変形例に係るエンコーダの構成を示す断面図。 本発明の第2実施形態に係るパッケージシールの構成を示す断面図。 従来のエンコーダの構成を示す図であって、(a)は、パッケージシール構造のエンコーダの構成を示す断面図、(b)は、スリンガ構造のエンコーダの構成を示す断面図。
符号の説明
4(4a,4b) スリンガ
6 エンコーダ
8 内輪
42(42a,42b) スリンガ固定部
44(44a,44b) スリンガ円板部
44s 接着面
62 磁極体
62a 磁極体内周部
62s 磁極体外表面(磁極面)

Claims (4)

  1. 相対回転可能に対向配置された少なくとも一対の軌道輪と、当該軌道輪間へ転動可能に組み込まれた複数の転動体を具備した軸受装置の回転状態を計測する磁気センサ用エンコーダであって、
    当該磁気センサ用エンコーダは、軸方向に延出する円筒状を成し、回転する一方の軌道輪に固定されるスリンガ固定部、及び当該スリンガ固定部に連続するとともに、当該スリンガ固定部に対して所定の角度で円板状に延出するスリンガ円板部で成る環状のステンレス磁性材製のスリンガと、当該スリンガ円板部の軸方向の一側面に設けられ、所定の磁性材で成る磁極体とを備えて構成されており、
    前記磁極体は、その周方向に沿って多極に着磁された磁極面を有する環状を成し、前記スリンガ円板部の一側面に取り付けられているとともに、その内周部が全周に亘って前記スリンガで被覆され、前記一方の軌道輪と接触しない構造を成していることを特徴とする磁気センサ用エンコーダ。
  2. 2つのスリンガをスリンガ円板部同士が相互に当接するとともに、各スリンガ固定部が軸方向の反対方向へそれぞれ延出するように、当該2つのスリンガを前記スリンガ円板部の延出端で相互に連結させ、前記磁極体を一方のスリンガの前記スリンガ円板部の一側面に加硫接着させて取り付けられた構造を成すことを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ用エンコーダ。
  3. 相対回転可能に対向配置された少なくとも一対の軌道輪と、当該軌道輪間へ転動可能に組み込まれた複数の転動体を具備した軸受装置の内部を気密並びに液密に保つために、請求項1又は2に記載の磁気センサ用エンコーダ、芯金及びシールが組み合わされた構造を成す軸受用密封装置であって、
    芯金は、軸方向に延出する円筒状を成し、前記他方の軌道輪に固定される芯金固定部、及び当該芯金固定部の一方側の延出端に連続するとともに、当該芯金固定部に対して所定の角度で円板状に延出する芯金円板部で構成され、
    シールは、所定の間隔を空けて対向配置された前記磁気センサ用エンコーダと芯金との間に介在され、当該芯金に連結されるとともに、磁気センサ用エンコーダの前記磁極体取付面とは軸方向に対して反対側の面に摺接していることを特徴とする軸受用密封装置。
  4. 車体構成部材に固定される静止輪、及び車輪構成部材が固定されて当該車輪構成部材とともに回転する回転輪を相対回転可能に対向配置して成る少なくとも一対の軌道輪と、当該静止輪と回転輪にそれぞれ形成されて相互に対向する軌道面間へ転動可能に組み込まれた複数の転動体とを具備した車輪支持用軸受ユニットであって、その内部を密封するために、請求項1又は2に記載の磁気センサ用エンコーダ、あるいは請求項3に記載の軸受用密封装置が前記静止輪と回転輪の間に介在するように設けられていることを特徴とする車輪支持用軸受ユニット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015078887A (ja) * 2013-10-16 2015-04-23 Ntn株式会社 磁気エンコーダ装置および回転検出装置

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