JP2009024901A - 排気システム - Google Patents

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【課題】レンジフードで捕集できなかった調理排気を厨房スペースにおいて捕集することによって、調理排気が厨房スペースの外に流れ出すのを防ぐと共に、より効果的に調理排気を排気する。
【解決手段】排気ファン及び給気ファンを備え、給気ファンによる給気流によって誘導された調理排気が排気ファンにより吸引されるように構成されたレンジフード30が、加熱調理器31の上方に設置された厨房スペースにおける排気システム1であって、厨房スペースと、隣接するスペースとの境界に沿って天井に設けられた、天井から下方へ突出する下方突出部と、厨房スペース内の天井に設けられた、厨房スペース内の空気を吸引する天井吸込口20と、天井吸込口20で吸引された空気を給気ファンへ導くためのダクト21と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、厨房の調理排気を排気する排気システムに関する。
調理時には煙や水蒸気、臭いなど(以下、「調理排気」という)が発生するが、この調理排気が室内に充満しないようにするため、調理排気を効率よく捕集し、屋外に排出する必要がある。
例えば、特許文献1には、レンジフードの周囲から下向きに吹出す空気でエアーカーテンを形成することにより、調理排気をレンジフードに誘導して捕集する構成が開示されている。
特許第3083384号公報
しかし、特許文献1に記載の実験結果によれば、この構成ではレンジフードにおいて調理排気を90%程度捕集することができるものの、完全に捕集することはできない。
本発明は、このような課題に対して、レンジフードにおいて捕集できなかった調理排気を厨房スペースにおいて捕集することによって、調理排気の厨房スペースの外への流出を防止すると共に、より効果的に調理排気を排気することができる排気システムを提供することを目的とする。
第1の発明は、排気ファン及び給気ファンを備え、前記給気ファンによる給気流によって誘導された調理排気が前記排気ファンにより吸引されるように構成されたレンジフードが、加熱調理器の上方に設置された厨房スペースにおける排気システムであって、
前記厨房スペースと、隣接するスペースとの境界に沿って天井に設けられた、前記天井から下方へ突出する下方突出部と、
前記厨房スペース内の天井に設けられた、前記厨房スペース内の空気を吸引する天井吸込口と、
前記天井吸込口で吸引された空気を前記給気ファンへ導くためのダクトと、
を備えることを特徴とする排気システムである。
第2の発明は、前記天井吸込口は、前記厨房スペース内の天井の、前記下方突起部に沿った位置に設けられていることを特徴とする第1の発明に記載の排気システムである。
第3の発明は、前記天井吸込口は、前記下方突起部のうち前記天井との高低差が最小である部分に沿って設けられていることを特徴とする第2の発明に記載の排気システムである。
第4の発明は、前記下方突起部は垂れ壁、高低差のある天井の段差部、又は、天井に据付けられた戸棚の少なくとも何れかを含むことを特徴とする第1〜3の発明のうち何れかに記載の排気システムである。
第5の発明は、前記下方突起部の前記天井との高低差が、10cm以上であることを特徴とする第1〜4の発明のうち何れかに記載の排気システムである。
本発明によれば、レンジフードで捕集できなかった調理排気を厨房スペースにおいて捕集することによって、調理排気の厨房の外への流出を防止すると共に、より効果的に調理排気を排気することができる排気システムを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態である排気システム1が適用された住戸の厨房と居間食堂の部分の平面図である。図2は、図1における厨房の内側から見た厨房スペース及びその周辺部分を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、排気システム1は、垂れ壁11、天井吸込口20、レンジフード30等を備える。
垂れ壁11は、厨房スペース内で発生して上昇した調理排気を天井付近で滞留させるためのものであり、天井から例えば100mm以上下っている。例えば、図1の例では、垂れ壁11は厨房と居間食堂との間の出入口開口部13の上部の天井に設けられている。なお、厨房スペースと居間食堂との間を仕切る壁16がない場合には、厨房スペースと居間食堂の境界部分全体に沿って垂れ壁11を設けるものとする。ただし、図1の場合、厨房と居間食堂との間のカウンター開口部14の上部に吊り戸棚12が設けられており、この吊り戸棚12は、調理排気を厨房スペース内の天井付近に滞留させる役割を有するので、この部分には垂れ壁11は不要である。また、居間食堂の天井が厨房スペースの天井よりも低く、天井部分に段差が存在する場合にも、この段差が垂れ壁11と同様の役割を有する。要するに、これら垂れ壁11、吊り戸棚12、天井段差など、厨房スペースの天井から下向きに突起する部分があれば、調理排気を厨房スペース内の天井付近に滞留させる役割を有することとなり、これらが本発明の「下方突起部」に相当し、本発明では、これら何れかの「下方突起部」が、厨房スペースと居間食堂との境界部全体に沿って存在していればよい。
天井吸込口20は、垂れ壁11によって、厨房スペース内の天井付近に滞留した調理排気を吸引するものである。天井吸込口20は、厨房スペースを取り囲む垂れ壁11、吊り戸棚12等の「下方突起部」のうち天井との高低差が最も小さい部分が垂れ壁11の部分である場合、厨房スペース内の天井に垂れ壁11に沿うように設けられる。また、天井吸込口20から天井ダクト21を介して、レンジフード30内に備えられた給気ファン42が調理排気を吸引し、吸引された調理排気は給気部40から吹き出される。
図3は、加熱調理器31の上方に設けられたレンジフード30の構成の一例を示す斜視図である。また、図4は、図3に示される構成の鉛直方向断面図である。
レンジフード30は、排気ファン52及び給気ファン42を備え、給気ファン42により給気部40から吹出された給気流によって、フード排気部50へ誘導された調理排気が排気ファン52により吸引されるように構成されたものであり、例えば、図3、図4に示す構成を有する。
図3及び図4に示すように、レンジフード30は、加熱調理器31の上方に設けられ、加熱調理器31での加熱調理によって生じる調理排気を捕集する。レンジフード30の捕集面は、加熱調理器のトップパネルと同程度の面積を有するものであるのが好ましい。
給気部40は、給気ファン42により、上記のように天井吸込口20から吸引された調理排気をレンジフード30内側の調理者に近い側から下方に向けてエアーカーテンを形成するように吹出す。
フード排気部50は、排気ファン52によりレンジフード30において捕集された調理排気と給気部40から吹出された調理排気とを吸引し室外へ排気する。その際、給気部40から下向きに吹出された調理排気は排気ファン52により、図4に破線で示すように上向きに向きを変えて吸引され、この上向きの流れが、加熱調理器31で生じた調理排気をフード排気部50へ誘導する役割を持つ。これにより、加熱調理器31で生じた調理排気は効率的にレンジフード30で捕集されるが、全ての調理排気をレンジフード30で捕集することは難しく、一部の調理排気はレンジフード30で捕集されずに、厨房スペース内へ流れ出ることになる。
なお、レンジフード30、給気部40及びフード排気部50は、図3及び図4に示された構成に限らず、給気ファン42による給気流によって誘導された調理排気が排気ファン52により吸引される構成のものであればよい。
以下、本実施形態において、レンジフード30で捕集されなかった調理排気の動きについて説明する。
加熱調理器31が使用される際に発生する調理排気は、室温よりは温度が高いので、レンジフード30で捕集されなかった調理排気は上方へ移動し、天井付近に沿って拡散しようとする。この調理排気は、垂れ壁11や吊り戸棚12により堰き止められ、天井付近に滞留する。
こうして滞留した調理排気は、天井吸込口20により吸引され、上記のように、天井ダクト21を介して搬送されて給気部40から吹出される。
ところで、上述の排気システム1を用いることによる調理排気の排出効率の向上を確認するため、排気システム1を用いないモデルAと排気システム1を用いたモデルBの2つのモデルについてシミュレーションを行ったので、その内容と結果について説明する。
本シミュレーションは、下記の条件設定のもと、空間平均乱流モデル(標準スマゴリンスキーモデルを用いたラージエディシミュレーション)を用いて行った。移流項の離散化には二次中心差分を適用した。このモデルでは、気流の流れ等を三次元的にシミュレーションすることができる。
まず、シミュレーションに用いた厨房スペースのモデルについて説明する。
図5は、モデルA(本発明の排気システム1を用いていない厨房スペースのモデル)を示す図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)のX矢視図、図5(c)は図5(b)のY矢視図である。また、図5(d)、(e)は、吊り戸棚12とレンジフード30と出入口開口部13が設けられた仕切り壁16に囲まれた厨房スペースの寸法を示す図であり、同図(d)は厨房の流し台33と加熱調理器31等の寸法を示す平面図、同図(e)は吊り戸棚12及びレンジフード30等の寸法を示す正面図である。さらに、図6は、図5で示された従来の厨房スペースを示す斜視図である。
なお、図5(d)、(e)に示す厨房スペースの寸法は、家庭用のシステムキッチンにおいて一般的なものである。また、調理者から見て背面側及び右側の面は全面壁とし、加熱調理器31の背面は壁17とした。
また、モデルAの厨房スペースは、出入口開口部13(幅700mm、高さ2200mm)とカウンター開口部14(幅1650mm、高さ550mm)において開放されている。さらに、レンジフード30は、加熱調理器31の上方750mmに設置され、調理排気を捕集するレンジフードの下面は幅750mm、奥行き550mmである。
図7(a)〜(e)及び図8は、モデルB(本発明の排気システム1を用いた厨房スペースのモデル)を示す図であり、モデルAについての図5(a)〜(e)及び図6に対応している。
図7及び図8に示す通り、モデルBの厨房スペースは、モデルAの厨房スペースと同様の構成となっているが、モデルBにおいては、さらに、出入口開口部13の全幅にわたって、その上部の天井に高さ100mmの垂れ壁11が設けられると共に、この垂れ壁11に沿った厨房スペース内の天井部分に幅50mm、長さ800mmの天井吸込口20が設けられ、天井吸込口20において吸引された調理排気を給気部40に供給する天井ダクト21が設けられている。
以上のモデルA,Bを用いて、調理排気の動きをシミュレーションした。このシミュレーションにおいては、水を十分に満たした鍋を2つ加熱調理器31において、鍋から100℃の水蒸気を発生させる場合を条件として設定した。この水蒸気の流れの様子をシミュレーションすることにより、レンジフード30によって捕集されなかった調理排気が、排気システム1がある場合とない場合とでどのように流れるかを検討した。
なお、モデルA及びモデルBにおいてフード排気部50で吸引する空気量は350m/時とし、モデルBにおいて天井吸込口20で吸引し給気部40で吹出す空気量は、50m/時とした。
<シミュレーション1>
まず、モデルAについてシミュレーションを行った。図9及び図10は、水蒸気の発生開始時からその50秒後まで10秒毎の水蒸気の分布状態を厨房の内側(図9)及び外側(図10)から見た斜視図である。
図9及び図10に示されるように、水蒸気発生開始から20秒後にはレンジフード30で捕集されなかった水蒸気が厨房スペースの天井付近に沿って流れ、30秒後には出入口開口部13の上部から厨房スペースの外に流出している。さらに、50秒後には厨房スペースの外に流出した水蒸気が、居間食堂の天井付近に広がっている。
以上より、モデルA(従来の排気システム)では、レンジフード30によって捕集できなかった調理排気の多くの部分が厨房スペースの外に流出することが分かる。
<シミュレーション2>
次に、モデルBについてシミュレーションを行った。図11及び図12は、水蒸気の発生開始時からその50秒後まで10秒毎の水蒸気の分布状態を厨房の内側(図11)及び外側(図12)から見た斜視図である。
図11及び図12に示されるように、水蒸気発生開始から20秒後にはレンジフード30で捕集されなかった水蒸気が厨房スペースの天井付近に沿って流れている。そして、30秒後には水蒸気は出入口開口部13付近に到達するが、出入口開口部13の上部に設けられた垂れ壁11によって堰き止められ、垂れ壁11に沿って設けられた天井吸込口20により吸引されている。また、40秒後及び50秒後においても、水蒸気が垂れ壁11によって厨房スペースの外に流出しないように堰き止められ、天井吸込口20により吸引されている。
以上より、排気システム1によれば、レンジフード30によって捕集できなかった調理排気であっても、垂れ壁11によって厨房スペースの外に流出しないように堰き止められ、この堰き止められて垂れ壁11付近に滞留する調理排気が天井吸込口20より吸引されることが分かる。
以上の通り、本実施形態の排気システム1によれば、レンジフード30で捕集できなかった調理排気を厨房スペースに設けた天井吸込口20で捕集してレンジフード30に戻すことによって、調理排気の厨房スペースの外への流出を防止することができる。
すなわち、垂れ壁11及び吊り戸棚12によって厨房スペースの天井付近の周囲を取り囲むことにより、レンジフード30で捕集できなかった調理排気が厨房の外への流出を防止することができる。さらに、天井吸込口20により、垂れ壁11及び吊り戸棚12によって堰き止められ厨房スペース上方に滞留した調理排気を吸引することができる。
また、天井吸込口20において吸引された調理排気を給気部40から吹出すことにより、加熱調理器31上方にエアーカーテンを形成し、より多くの調理排気をレンジフードに誘導することができる。
さらに、天井吸込口20及びフード排気部50において吸引された調理排気を室外へ排出すると、その空気量を補うために室外から空気が流入するが、この空気の流入の際に生じる風切音が煩わしく、また冬季や夏季には外気が室内に流入することにより冷暖房効率が低下するなどの問題が生ずる。これに対して、本実施形態の排気システム1では、天井吸込口20において吸引された調理排気をレンジフード30内で吹出すことにより、この空気量に相当する外気の室内への流入を削減することができ、これにより上記の問題を軽減することができる。
なお、以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
集合住宅において本発明の一実施形態である排気システム1を用いたある住戸の厨房と居間食堂の部分の平面図である。 厨房の内側から見た厨房スペース及びその周辺部分を示す斜視図である。 加熱調理器31の上方に設けられたレンジフード30の構成の一例を示す斜視図である。 レンジフード30の構成の一例を示す鉛直方向断面図である。 排気システム1を用いていない従来の厨房スペース及びその周辺部分を示す図である。 排気システム1を用いていない従来の厨房スペース及びその周辺部分を示す斜視図である。 排気システム1を用いた厨房スペース及びその周辺部分を示す図である。 排気システム1を用いた厨房スペース及びその周辺部分を示す斜視図である。 排気システム1を用いていない場合の水蒸気の発生開始時からその50秒後まで10秒毎の水蒸気の分布状態について、厨房の内側から見た結果を示す斜視図である。 排気システム1を用いていない場合の水蒸気の発生開始時からその50秒後まで10秒毎の水蒸気の分布状態について、厨房の外側から見た結果を示す斜視図である。 排気システム1を用いた場合の水蒸気の発生開始時からその50秒後まで10秒毎の水蒸気の分布状態について、厨房の内側から見た結果を示す斜視図である。 排気システム1を用いた場合の水蒸気の発生開始時からその50秒後まで10秒毎の水蒸気の分布状態について、厨房の外側から見た結果を示す斜視図である。
符号の説明
1 排気システム
11 垂れ壁
12 吊り戸棚
13 出入口開口部
14 カウンター開口部
16 仕切り壁
20 天井吸込口
21 天井ダクト
30 レンジフード
31 加熱調理器
33 流し台
40 給気部
42 給気ファン
50 フード排気部
52 排気ファン

Claims (5)

  1. 排気ファン及び給気ファンを備え、前記給気ファンによる給気流によって誘導された調理排気が前記排気ファンにより吸引されるように構成されたレンジフードが、加熱調理器の上方に設置された厨房スペースにおける排気システムであって、
    前記厨房スペースと、隣接するスペースとの境界に沿って天井に設けられた、前記天井から下方へ突出する下方突出部と、
    前記厨房スペース内の天井に設けられた、前記厨房スペース内の空気を吸引する天井吸込口と、
    前記天井吸込口で吸引された空気を前記給気ファンへ導くためのダクトと、
    を備えることを特徴とする排気システム。
  2. 前記天井吸込口は、前記厨房スペース内の天井の、前記下方突起部に沿った位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の排気システム。
  3. 前記天井吸込口は、前記下方突起部のうち前記天井との高低差が最小である部分に沿って設けられていることを特徴とする請求項2記載の排気システム。
  4. 前記下方突起部は垂れ壁、高低差のある天井の段差部、又は、天井に据付けられた戸棚の少なくとも何れかを含むことを特徴とする請求項1〜3のうち何れかに記載の排気システム。
  5. 前記下方突起部の前記天井との高低差が、10cm以上であることを特徴とする請求項1〜4のうち何れかに記載の排気システム。
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