JP2009024079A - バイオガス生成システム - Google Patents

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Abstract

【課題】有機性廃棄物からバイオガスを生成するとともにこれに含まれる硫化水素を吸着除去法によって連続的に、かつ高いレベルで除去することのできるバイオガス生成システムを提供し、吸着剤から脱着された高濃度の硫化水素ガスを、産業廃棄物を生じることなく除害する。
【解決手段】有機性廃棄物を嫌気性発酵させてバイオガスを発生させるメタン発酵槽56と、前記バイオガスに含まれる硫化水素を多孔質吸着剤に吸着させて除去する吸着工程、および吸着した前記硫化水素を再生ガスで脱着させて排出する再生工程を繰り返してこれを精製するガス精製装置21とを有するバイオガス生成システムにおいて、前記嫌気性発酵前または後の有機性廃棄物を生物処理する一つまたは複数の生物反応槽を更に備えるとともに、前記脱着した硫化水素を含有する排出ガスを前記生物反応槽の少なくとも一つに直接または間接に導入することを特徴とするバイオガス生成システム。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機性廃棄物を嫌気性発酵させてバイオガスを生成するとともに、これに含まれる硫化水素を除去して精製するバイオガス生成システムに関する。
近年、化石燃料の燃焼によって発生する二酸化炭素が地球温暖化の要因の一つとして問題となっており、またこれに関連してエネルギー問題が重要視されつつある。そこで下水汚泥や屎尿、畜糞、農業廃棄物、食品廃棄物等の有機性廃棄物(以下、本発明では「汚泥」または「廃棄物」という場合がある。)を嫌気性菌により発酵させた際に発生するバイオガスを、燃料ガスや発電用ガスタービン駆動用ガス、燃料電池用原料ガス等に高度利用することが注目されている。典型的なバイオガスは60〜70%のメタンと、30〜40%の二酸化炭素を主成分とし、さらに窒素や酸素、硫化水素、水蒸気などをそれぞれ微量に含んでいる。
従来のバイオガス生成システムの構成を示すブロック図を図5および図6に示す。実線は液体または固体の流れを、点線は気体の流れを示している。
図5は、汚水から分離した汚泥をメタン発酵させてバイオガスを得るとともに、汚水を浄化して系外に放流する水処理施設を備えるバイオガス生成システム100のブロック図である。
汚泥を含む汚水は、最初沈殿池51で初沈汚泥を沈殿させた後、曝気槽52に送られる。曝気槽52ではブロワー53から取り込まれた外部空気のエアレーションによって汚水を曝気および攪拌し、好気性の微生物の生物反応によって汚水中の有機汚泥を分解する。増殖した好気性微生物は活性汚泥となり沈殿してゆく。このように活性汚泥により汚水を浄化する水処理方法を活性汚泥処理という。曝気槽52は多段構成とし、好気性/嫌気性または負荷条件など繁殖環境の異なる微生物を各段に分散して与える場合もある。活性汚泥処理された汚水(処理水)は、最終沈殿池54で終沈汚泥を沈殿分離させ、その上澄みが系外に放流される。沈殿した汚泥は、返送汚泥経路55によって曝気槽52に戻され、さらに活性汚泥処理が繰り返される。
一方、終沈汚泥は、初沈汚泥とともにメタン発酵槽56に送られ、嫌気性微生物で消化処理がなされてバイオガスの原ガスが生成される。原ガスに多量に含まれる硫化水素は、脱硫塔57にて、後述する種々の方法で脱硫処理が施されて精製される。精製バイオガスはガスホルダ58でメタンガス成分を貯留される。
ガスホルダ58に貯留されたメタンガス成分は流量調整されて、発電機などのガス消費機器で、主としてエネルギーとして使用される。
メタン発酵槽56で汚泥を消化処理して生じる消化液は窒素分を多く含むことから、消化液貯槽60に蓄えられたのち肥料などに利用されるか、または埋め立てられるなどして処理される。
なお、曝気槽52に蓄えられた汚水には水溶性のアンモニア性窒素が大量に含まれていることから、これを好気性条件下で硝酸性窒素に変える硝化菌や、硝酸性窒素を嫌気性条件下で窒素ガスに変える脱窒菌などの作用によって無害化し、さらに最終沈殿池54から排出される処理水は、消毒設備にて固形塩素などで消毒してから放流されることが一般的である。
図6は、水処理施設をもたず、畜糞等の固形有機性廃棄物をメタン発酵させてバイオガスを得るバイオガス生成システム101のブロック図である。
汚泥はそのままメタン発酵槽56にて嫌気性発酵処理がなされてバイオガスの原ガスが生成される。原ガスは上記と同様に脱硫塔57で脱硫精製され、ガスホルダ58でメタンガス成分を貯留するとともに流量調整したのちに発電機などの消費機器で使用される。またメタン発酵槽56で生じた消化液についても、消化液貯槽60に蓄えられたのちに汚泥処理される。
ここで、バイオガスに含まれる微量成分のうち窒素、酸素および水は、バイオガスをエネルギー使用する際に大きな問題となるものではないが、硫化水素については固体燃料電池や発電タービン等の腐食原因となり、また燃焼すると硫黄酸化物(SOx)が生じることから、高いレベルでバイオガスから除去することが求められている。
上記脱硫塔57にてバイオガスから硫化水素を除去するために従来一般的に用いられている方法としては、(I)酸化鉄や水酸化鉄などの剤と硫化水素とを化学反応させる乾式脱硫法(例えば下記特許文献1を参照)、(II)処理水や高圧水と接触させて硫化水素を溶解除去する湿式脱硫法(例えば下記特許文献2,3を参照)、(III)微生物の充填材や、硫黄酸化細菌を含む活性汚泥等を利用して硫化水素を硫酸に酸化して除去する生物脱硫法(例えば下記特許文献4,5を参照)、(IV)ゼオライトや活性炭などの多孔質吸着剤の吸着サイトに硫化水素を物理吸着させる吸着除去法(例えば天然ガスの脱硫に関する下記特許文献6、および圧力スイング式での脱硫に関する非特許文献1を参照)を挙げることができる。
上記(I)の乾式脱硫法では、一般に剤は産業廃棄物として使い捨てられるため、高コストであるとともに循環型エネルギー利用というバイオマスの思想に反する。また剤の入れ替えの際に、硫化水素を吸着した剤が空気に曝されると発火等の事故が起きる可能性があり、安全性の面からも問題がある。
上記(II)の湿式脱硫法は安価で実施することができるが、硫化水素を含む水が大量に生じてしまうことからその後処理が高コストであり、また水とバイオガスとの気液接触効率が高くないためバイオガス中の硫化水素が十分に除去できないまま消費機器に導入されてしまうという問題がある。
上記(III)の生物脱硫法は、生物膜(バイオフィルム)の肥大化によってバイオガス(原ガス)の流路が閉塞する虞があるとともに、充填材や活性汚泥とバイオガスとの接触効率が高くないため、処理時間がかかるとともに、やはり硫化水素の除去効率が高くないという問題がある。
これに対し、上記(IV)の吸着除去法であれば、吸着剤に物理吸着した硫化水素を脱着させることで吸着剤を再生できるため吸着剤を産業廃棄物として使い捨てることがない。また何よりも多孔質吸着剤は比表面積が極めて大きいため、硫化水素を気液接触によって除去する上記(II)や(III)の方法と比較して、より高いレベルで硫化水素を除去可能であるという利点がある。
特開2003−277779号公報 特開2005−239991号公報 特開2006−95512号公報 特開平2−26615号公報 特開2004−135579号公報 特公昭52−49001号公報 M.Bulow,W.Luts,M.Suckow、「The mutual transformation of hydrogen sulphide and carbonyl sulphide and its role for gas desulphurization process with zeolitic molecular sieve sorbents」、Studies in Surface Science and Catalysis、(オランダ)、Elsevier Science社、1998年、Vol.120、p.301−345
上記(IV)の吸着除去法によってバイオガスを脱硫精製するにあたっては、大別すると、常温で多孔質吸着剤に吸着させた硫化水素を加熱条件下で脱着させる熱スイング吸着(TSA)式と、高圧で吸着させた硫化水素を低圧条件下で脱着させる圧力スイング吸着(PSA)式とが知られている。いずれの方式の場合も、(a)ガス精製装置に導入したバイオガスを吸着剤に接触させて硫化水素成分をこれに吸着させる吸着工程と、(b)バイオガスの導入を停止して、窒素ガスなどの再生ガスで吸着剤をパージして硫化水素ガスを脱着させ、ガス精製装置から排出する再生工程と、を交互に繰り返すことでバイオガスを脱硫精製することができる。
しかし、従来の吸着除去法においては、再生ガスとともに排出される高濃度の硫化水素については酸化鉄などの使い捨ての剤を用いた乾式脱硫法によって除害されるのが現状であり、バイオガスを生成してさらに脱硫精製するバイオガス生成システムの系全体としては、産業廃棄物の十分な削減は未だ達成されていないといえる。
本発明は、有機性廃棄物からバイオガスを生成するとともにこれに含まれる硫化水素を吸着除去法によって連続的に、かつ高いレベルで除去することのできるバイオガス生成システムを提供するとともに、かかる吸着除去法を実現する場合に生じる、吸着剤から脱着された高濃度の硫化水素ガスを、産業廃棄物を生じることなく除害するという固有の課題を解決することを目的としてなされたものである。本発明のその他の目的は以下の説明より明らかとなろう。
本発明は、有機性廃棄物の嫌気性発酵によって得られたバイオガスの原ガスを脱硫精製するにあたっては高い除去レベルと処理速度の観点から多孔質吸着剤を用いた吸着除去を行い、一方、吸着剤から脱着した高濃度の硫化水素については時間をかけて十分に除害処理を施してから系外に排出すればよいことから、産業廃棄物を生じない生物脱硫法を用いて除害処理を行うという技術思想に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、
(1)固形有機性廃棄物または汚水に含まれる有機性廃棄物を嫌気性発酵させてバイオガスと消化液を生成するメタン発酵槽と、
前記バイオガスに含まれる硫化水素を多孔質吸着剤に吸着させて除去する吸着工程、および吸着した前記硫化水素を再生ガスで脱着させて排出する再生工程を繰り返して、前記バイオガスを精製するガス精製装置と、を有するバイオガス生成システムにおいて、
前記汚水または消化液を生物処理する一つまたは複数の生物反応槽を更に備えるとともに、
前記脱着した硫化水素を含有する排出ガスを、前記生物反応槽の少なくとも一つに直接または間接に導入することを特徴とするバイオガス生成システム;
(2)排出ガスが導入される生物反応槽が、
前記汚水を好気性条件下で活性汚泥処理する曝気槽、
前記汚水または消化液に含まれるアンモニア性窒素を好気性条件下で硝化菌によって硝酸性窒素に変える硝化槽、または
前記汚水または消化液に含まれる硫化水素を好気性条件下で硫黄酸化細菌によって脱硫する生物脱硫槽
である上記(1)に記載のバイオガス生成システム;
(3)排出ガスが導入される生物反応槽が、
硝酸性窒素を嫌気性条件下で脱窒菌によって窒素ガスに変える脱窒槽である上記(2)に記載のバイオガス生成システム;
(4)排出ガスが導入される生物反応槽と、前記ガス精製装置との間に、排出ガスを貯留するバッファタンクを備える上記(1)から(3)のいずれかに記載のバイオガス生成システム;
(5)ガス精製装置が、前記硫化水素の脱着を加熱条件下で行う熱スイング吸着(TSA)式である上記(1)から(4)のいずれかに記載のバイオガス生成システム;
を要旨とする。
また本発明においては、さらに具体的な態様として、
(6)有機性廃棄物を嫌気性発酵させてバイオガスを発生させるメタン発酵槽と、
前記バイオガスに含まれる硫化水素を吸着剤に吸着させて除去する吸着工程と、吸着した前記硫化水素を再生ガスで脱着させて排出する再生工程と、を繰り返して前記バイオガスを精製するガス精製装置と、を備え、
前記脱着した硫化水素を含有する排出ガスを、前記メタン発酵槽に導入することを特徴とするバイオガス生成システム;
によっても上記本発明の目的を達成することができる。
なお上記(1)において、ガス精製装置から排出された排出ガスを生物反応槽に直接に導入するとは、ガス精製装置と生物反応槽とを連通する配管等を通じて排出ガスを生物反応槽に通気することを意味するものである。また排出ガスを生物反応槽に間接に導入するとは、排出ガスをガス容器等に一旦貯留してから生物反応槽に送る場合や、生物反応槽の内部に蓄えられた処理液などの処理媒体の一部または全部を外部に一旦抜き出し、排出ガスと接触させて硫化水素を取り込ませた当該処理媒体を生物反応槽に戻す場合を意味するものである。
本発明のバイオガス生成システムによれば、従来の湿式脱硫法や生物脱硫法による精製方法と比較して、高い除去レベルでかつ迅速にバイオガスの精製が可能であり、また発生したバイオガスがガス消費機器に至るまでの流路が生物膜の肥大化によって閉塞することがないため、ガス消費機器の腐食や硫黄酸化物の発生を良好に防止しつつ、十分な精製バイオガスの生成量を確保することができる。また硫化水素を物理吸着した多孔質吸着剤を再生ガスによって再生して硫化水素を脱着させることにより多孔質吸着剤の繰り返しの使用が可能となるため、従来の乾式脱硫法のように産業廃棄物を生じることがない。
さらに本発明によれば、多孔質吸着剤から脱着した高濃度の硫化水素を生物反応槽に導入してその処理媒体と接触させることで、産業廃棄物を生むことなく硫化水素の生物処理による無害化が図られる。
これにより、従来の生物脱硫法のようにバイオガスの原ガス(以下、原ガスと略記する場合がある。)を直に生物処理する場合は除去レベルや処理速度の面で問題が生じ、十分な純度および生成量のバイオガスを得ることが困難であったところ、本発明によれば、原ガスについては吸着除去法によって高レベルかつ迅速に脱硫処理して精製バイオガスの量を十分に確保しつつ、吸着剤から脱着した硫化水素については十分な時間をかけて生物処理により除害することができる。
すなわち、原ガスの脱硫精製に際して従来の吸着除去法と生物脱硫法とを単に組み合わせるのではなく、原ガスに対して吸着除去法を先んじて行った後に、脱着した硫化水素ガスに生物脱硫を相乗的に施すという本発明により、初めて上記課題を解決することが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態にかかるバイオガス生成システム10の構成を示すブロック図である。
本実施形態のバイオガス生成システム10は、汚水に含まれる汚泥をメタン発酵槽56で嫌気性発酵させてバイオガスの原ガスを生成し、これをガス精製装置21で脱硫精製するとともに、ガス精製装置21から脱着した硫化水素(脱離硫化水素ガス)を、ブロワー53を介して曝気槽52に導入して除害するシステムである。
またバイオガス生成システム10は、汚水より初沈汚泥を沈殿させる最初沈殿池51、終沈汚泥を沈殿させる最終沈殿池54、精製したバイオガスを貯留するガスホルダ58、および汚泥をメタン発酵槽56で嫌気性発酵して生じる消化液を貯留する消化液貯槽60を任意で備えてもよい。
ガスホルダ58に貯留された精製バイオガスは発電機などのガス消費機器でエネルギー消費することができる。最終沈殿池54より汚水(処理水)の上澄液は系外に放流され、また消化液貯槽60に貯留された消化液には汚泥処理が施される。
ガス消費機器としては、例示の発電機59のほか、ガスエンジン、がスタービン、または溶融炭酸塩型(MCFC)もしくは固体酸化物型(SOFC)などの燃料電池を挙げることができる。
バイオガス生成システム10は、図5に示す従来のバイオガス生成システム100に対し、(I)メタン発酵槽56で生成された原ガスを多孔質吸着剤で脱硫精製するガス精製装置21を備え、また(II)ガス精製装置21から排気された排出ガスを外部空気とともにブロワー53によって曝気槽52に直接に導入することを特徴とする。その他の共通する構成要素については説明を省略する。
<(I)ガス精製装置について>
ガス精製装置21は、具体的にはゼオライトや活性炭などの多孔質吸着剤(以下、吸着剤という場合がある。)が充填された吸着塔と、吸着塔に原ガスを導入し、硫化水素が吸着除去されて精製されたバイオガスを導出してガスホルダ58に送る吸着ラインと、硫化水素を物理吸着した吸着剤に窒素ガスなどの再生ガスを通気してこれをガスパージし、脱着した硫化水素をブロワー53に送る再生ラインと、バイオガスや再生ガスの流路(ライン)を具体的に構成する配管類と、ガス精製装置21内の各ガスの流路を吸着ラインと再生ラインとに切り替えるバルブと、を備えている。具体的なガス精製装置21の構成は後述する。
ガス精製装置21では、熱スイング吸着(TSA)式または圧力スイング吸着(PSA)式によって吸着剤の吸着能力を経時的に変化させつつ、原ガスの脱硫精製と、吸着剤の再生とを繰り返す。
すなわち吸着工程においては、低温(常温)または高圧条件下で吸着ラインを開放して吸着剤と原ガスとを接触させることで硫化水素ガス成分を吸着剤に良好に吸着させ、再生工程では逆に高温または低圧条件下で再生ラインを開放して再生ガスによるガスパージをすることで吸着剤から硫化水素ガスを脱着させる。
このうち、本実施形態に用いるガス精製装置21では、特に硫化水素の除去効率が高く、1サイクルの吸着工程によって精製処理可能なバイオガスの量が多いという観点からTSA式の吸着塔を好適に用いることができる。
<(II)排出ガスの曝気槽への導入について>
本実施形態のバイオガス生成システム10の第二の特徴として、吸着剤から脱着した硫化水素(脱離硫化水素ガス)と再生ガスとが混合した排出ガスを、再生ライン(図1では図示せず)を通じてブロワー53に送り、外部空気とともに曝気槽52に吹き込んでエアレーションを行っている。
本発明のバイオガス生成システムは、かかる排出ガスを、汚水または消化液を生物処理する生物反応槽に直接または間接に導入することを特徴とするものであり、本実施形態は生物反応槽の一例として汚水を生物処理する曝気槽52を挙げたものといえる。
曝気槽52は、上述のように外部空気のエアレーションをすることで、硫黄酸化細菌などの好気性微生物の生物反応を促し、汚水を活性汚泥処理する生物反応槽のひとつである。
ここで、硫黄酸化細菌は硫化水素ガス(HS)を硫黄(S)や硫酸(HSO)に変える脱硫菌として働くことが知られている。すなわち曝気槽52に硫化水素を高濃度で含む排出ガスを通気することで、硫化水素ガスは徐々に硫黄や硫酸に酸化されて無害化される。
かかる生物反応による無害化は多孔質吸着剤による硫化水素の吸着に比べると一般に処理時間を長く要するが、曝気槽52中の汚水(処理水)との気液接触時間やエアレーション回数を多くとることにより、高濃度で脱着された硫化水素を系外に排出可能なレベルに除害することができる。またかかる生物反応により、硫化水素固有の臭気を脱臭することができる。
また曝気槽52においては、上記硫黄酸化細菌と、好気性の硝化菌とを共存させてもよい。また曝気槽52の前段または後段には、生物反応槽の他の例として、汚水中の硫化水素を好気性条件下で硫黄酸化細菌によって脱硫する生物脱硫槽や、汚水に溶解したアンモニア性窒素を好気性条件下で硝化菌によって硝酸性窒素に変える硝化槽(いずれも図示せず)などを直列に設けてもよく、かかる場合、ガス精製装置21から送られた硫化水素ガスを生物脱硫槽や硝化槽に導入して生物処理してもよい。
ただし、ガス精製装置21から排出される硫化水素ガスの量が過大である場合には、汚水(処理水)が酸性側にシフトすることを防止するため、曝気槽52には別途小型のタンクを設置して、pH調整剤としてアルカリ度の高い消化液を貯留しておくとよい。すなわち、曝気槽52にはpHセンサーを設置し、導入される硫化水素ガスの量に応じてpH調整剤を加えて生物反応を行うとよい。
本実施形態のバイオガス生成システム10では、ガス精製装置21から排気された排出ガスを曝気槽52に直接導入する構成としているが、本発明ではこのほか、排出ガスを曝気槽52などの生物反応槽に間接に導入してもよい。本実施形態について具体的にいえば、ガス精製装置21とブロワー53との間にバッファタンク(図2を参照)を設け、排出ガスを一旦バッファタンクに貯留してから曝気槽52に通気させてもよい。また曝気槽52内の汚水(処理液)の一部を導出して気液接触塔(図示せず)内で噴霧し、排出ガスと向流に気液接触させることで処理液中に硫化水素を溶解させてもよい。硫化水素を取り込んだ処理液を気液接触塔から曝気槽52に還流することで、排出ガスを直接にまたはバッファタンクを介して間接に曝気槽52に吹き込む場合と同様に、硫化水素を生物反応によって脱臭および除害することができる。
なお、上述のようにガス精製装置21とブロワー53との間にバッファタンクを設けることにより、多孔質吸着剤の再生工程の間に高濃度の硫化水素ガスが曝気槽52に急激に流入しないよう排出ガスの流量や硫化水素濃度を安定化することができる。
下水処理場に本実施形態のガス精製装置21と、ガス消費機器としてのガスタービンを設置し、硫化水素を含む被処理ガスは下水処理場のメタン発酵槽のバイオガスを分取してバイオガス生成システム10の実証試験を行なった。
分取されたバイオガスの成分は、飽和水分(外気温20℃)と硫化水素500ppmを微量成分として含み、主成分の含有比率はメタン60%、二酸化炭素40%であった。
なお、再生ガスにはNを用い、再生温度は200℃とし、ガス精製装置21には後述する図7に系統図を示す2系統のTSA式の切替式除去装置を用いた。
ガス精製装置21の再生ガス出口部に設けた硫化水素検知器からの濃度情報に基づき、再生ガス出口部の硫化水素濃度が低下して1ppmに達したら再生処理を停止し、吸着工程に移るように設定した。
60日間の連続実験を行なった結果、精製バイオガス中の硫化水素濃度は、実験期間中常時1ppm以下であり、吸着剤の吸着量の減少や不純物の付着等は認められなかった。
また、ガス消費機器としてガスタービンを用いたところ、硫黄酸化物等によるガスタービン翼の腐食も認められなかった。
曝気槽52に導入した脱離硫化水素ガスは微生物により硫黄や硫酸に酸化された。なお処理水pHに大きな変化はなく、脱離した硫化水素を既設の曝気槽52に導入して無害化することで、従来の鉄系吸着剤を使った脱硫処理に比べて大幅に処理コストを低減することが可能となった。
図2は、本発明の第二の実施形態にかかるバイオガス生成システム11の構成を示すブロック図である。本実施形態のバイオガス生成システム11は、汚水に含まれる汚泥をメタン発酵槽56で嫌気性発酵させてバイオガスの原ガスと消化液とを生成し、消化液については消化液貯槽60で貯留しつつその一部を生物処理槽22で生物処理し、原ガスについてはガス精製装置21で脱硫精製するとともに、ガス精製装置21から排出される脱離硫化水素ガスを、バッファタンク23で流量調整した上で、ブロワー61を介して生物処理槽22に導入して除害するシステムである。
すなわち本実施形態のバイオガス生成システム11は、脱離硫化水素を含む排出ガスを導入して除害する生物反応槽として、消化液を生物処理する生物処理槽22を挙げたものである。
またバイオガス生成システム11は、汚泥を沈殿させる最初沈殿池51および最終沈殿池54、汚水を活性汚泥処理する曝気槽52、曝気槽52に空気を吹き込んでエアレーションを行うためのブロワー53、および精製されたバイオガスを貯留するガスホルダ58を任意で備えてもよい。ガスホルダ58で貯留された精製バイオガスは流量調整されて発電機などのガス消費機器で消費することができる。
すなわち本実施形態のバイオガス生成システム11は、図1にブロック図を示す第一実施形態のバイオガス生成システム10に対して、(I)メタン発酵槽56で汚泥を消化処理して生じる消化液を蓄える消化液貯槽60から当該消化液の一部を抜き出して、これに大量に含まれるアンモニア性窒素を脱窒する生物処理槽22と、(II)脱離硫化水素ガスを含む排出ガスを一旦貯留するバッファタンク23と、(III)排出ガスを任意で外部空気とともに生物処理槽22に通気するブロワー61と、を備えることを特徴とする。
生物処理槽22は、硫化水素を含む排出ガスが直接または間接に導入される生物反応槽の一例である。本実施形態では生物処理槽22においてアンモニア性窒素の脱窒を行っている。
メタン発酵した有機性汚泥と水とが混合した消化液を脱窒するにあたっては、生物処理槽22にて、好気性の硝化菌によってアンモニア性窒素(NH)を硝酸性窒素(NO)に変え、続けて嫌気性の脱窒菌によって硝酸性窒素を窒素ガス(N)に変えておこなうとよい。この場合、生物処理槽22は内部を少なくとも二段に仕切り、前段には硝化菌を繁殖させるとともにブロワー61によって外部空気を取り込み、後段には脱窒菌を繁殖させて嫌気性条件下で生物反応を行うとよい。生物処理槽22で硝化脱窒処理が行われた消化液は、図示のように汚泥処理へとまわされるか、または消化液貯槽60に返送されてもよい。
このほか生物処理槽22としては、消化液に含まれる硫化水素を好気性条件下で硫黄酸化細菌によって脱硫する生物脱硫槽や、微生物が付着しやすい担体によって汚水を生物膜法で脱硫および脱窒する塔型等のリアクタを設けてもよい。
本実施形態のバイオガス生成システム11は、排出ガスを生物処理槽22に導入するにあたり、バッファタンク23に一旦貯留して硫化水素ガスの流量を調整してから生物処理槽22に通気している。すなわち本実施形態においては、排出ガスが間接に生物反応槽のひとつに導入されている。
生物処理槽22に排出ガスを導入することにより、これに含まれる硫化水素が硫黄や硫酸に酸化されて無害化され、また脱臭される。
一般に、好気性菌/嫌気性菌を問わず、微生物による生物処理を行う場合、分解物の量に応じた生物化学的酸素要求量(BOD)が必要とされる。
ここで、脱窒菌の一種である硫黄脱窒菌に硫化水素ガスを与えると、これをBODの代わりに消費することで硝酸性窒素を窒素ガスに変える生物反応が行われることが本発明者らの知見によって明らかとなっている。したがって本実施形態のようにガス精製装置21で脱着した高濃度の脱離硫化水素ガスを生物処理槽22に導入するに際し、これを脱窒槽に直接導入することにより、脱窒槽に供給するBODを低減し、場合によってはこれを不要とすることができる。このほか、生物処理槽22の内部を直列多段に構成し、前段を好気性の硝化槽、後段を嫌気性の脱窒槽とした場合において、脱離硫化水素ガスを前段の硝化槽に導入した場合、消化液に含まれるBODが前段の硝化槽で使い尽くされたとしても、十分な量の脱離硫化水素ガスを生物処理槽22に供給することにより、硫黄脱窒菌による生物脱窒処理を活発に行うことができる。すなわち、脱離硫化水素ガスの一部は前段の硝化槽に取り込まれて硫黄または硫酸に酸化されて除害されるものの、排出ガスの流量を所定以上とすることで硝化槽を通過してこれが脱窒槽に供給され、硫黄脱窒菌のBOD代替エネルギーとして硫化水素を有効に利用することができる。
したがって本実施形態の場合、生物処理槽22に送られる硫化水素ガスの濃度は100ppm〜数千ppm程度と高濃度であることが好ましく、かかる高濃度の硫化水素ガスを導入するにあたっては脱離硫化水素ガスの濃度や流量を安定化するためのバッファタンク23をガス精製装置21と生物処理槽22との間に備えることが更に好ましい。
多量の硫化水素を供給することで生物処理槽22のpHが酸性側に過剰にシフトする虞がある場合は、上記曝気槽52と同様にpHセンサーを生物処理槽22に設置するとともにpH調整剤を貯留した小型タンクを別途設けるとよい。
なお、本実施形態のバイオガス生成システム11の場合も、生物処理槽22の処理液の一部を外部に導出して脱離硫化水素ガスと気液接触させたのちに、これを生物処理槽22に還流する方式としてもよい。
工場排水流入の影響でバイオガス中の硫化水素濃度が2000ppmと高い下水処理場に、ガス精製装置21と、ガスホルダ58と、精製ガスの消費機器としてガスタービンを設置して、バイオガス生成システム11の実証試験を行った。バイオガスは、硫化水素濃度が上記高濃度であるほか、第一実施形態の実証試験と同様のものを用いた。
生物処理槽にはpHセンサーを設置して、pHが6以下になったら消化液を導入するよう設定し、その他の実験の条件は第一実施形態と同様に運転を行なった。
60日間の連続実験を行なった結果、硫化水素濃度が2000ppmの場合においても精製バイオガス中の硫化水素濃度は実験期間中常時1ppm以下であり、吸着剤の吸着量の減少や不純物の付着等は認められなかった。また、硫黄酸化物等によるガスタービン翼の腐食も認められなかった。生物処理槽22に導入した脱離硫化水素は、pH調整剤として消化液を添加することにより微生物の作用により安定に硫黄や硫酸に酸化された。
図3は、本発明の第三の実施形態にかかるバイオガス生成システム12の構成を示すブロック図である。本実施形態のバイオガス生成システム12は、汚水の水処理施設をもたず、畜糞等の固形有機性廃棄物をそのままメタン発酵させて原ガスを得るものであって、図6にブロック図を示す従来のバイオガス生成システム101に対して、(I)多孔質吸着剤で硫化水素の吸着と脱着とを連続的に繰り返すガス精製装置21と、(II)消化液貯槽60から消化液の一部を抜き出して硝化脱窒処理する生物処理槽22と、(III)脱離硫化水素ガスを含む排出ガスを必要に応じて外部空気とともに生物処理槽22に取り込むブロワー61と、を備えることを特徴とする。
ガス精製装置21、生物処理槽22およびブロワー61は上記第一および第二実施形態と共通するため繰り返しの説明は省略するが、汚水の水処理を伴わない本実施形態の場合も、ガス精製装置21で生じた脱離硫化水素ガスを、汚水または消化液を生物処理する生物反応槽の一例としての生物処理槽22に直接または間接に導入することで、所要の時間をかけて除害および脱臭することができる。さらに生物処理槽22が嫌気性の脱窒槽の場合については、硫化水素をBODに代替して用いることができる。
ガス精製装置21と生物処理槽22との間には、バッファタンク23(図2を参照)を設けて高濃度の硫化水素ガスの流量および濃度を安定化させることも好適である。
牛糞のメタン発酵プラントにガス精製装置21を設置し、ガス消費機器としてガスエンジンを用いて本実施形態のバイオガス生成システム12の実証試験を行った。ガス精製装置21は、第一実施形態の実証試験と同様のものを用いた。バイオガスの組成は、微量成分として水分飽和(外気温20℃)と硫化水素2500ppmを含むほか、主成分の比率をメタン65%、二酸化炭素35%とした。
ガス精製装置21から再生ガスを用いて脱離した硫化水素は、別途設置した生物処理槽22のブロワー61の空気吸引用部に導入して生物処理に導入し、酸化処理を行なった。
60日間の連続実験を行なった結果、硫化水素濃度が2000ppmの場合においても精製バイオガス中の硫化水素濃度は実験期間中常時1ppm以下であり、吸着剤の吸着量の減少や不純物の付着等は認められなかった。また、硫黄酸化物等によるガスタービン翼の腐食も認められなかった。生物処理槽22に導入した脱離硫化水素は、pH調整剤として消化液を添加することにより微生物の作用により安定に硫黄や硫酸に酸化された。
ここで、第二および第三の実施形態にかかるバイオガス生成システム11,12においては、脱離硫化水素ガスの導入先を生物処理槽22からメタン発酵槽56に換えてもよい。すなわち、メタン発酵槽56は有機性廃棄物(汚泥)の嫌気性発酵を行うという点で上記脱窒槽と共通することから、窒素ガスなどの再生ガスと硫化水素との混合ガスであるガス精製装置21の排出ガスをメタン発酵槽56に直接または間接に導入することで、硫化水素の除害および脱臭を図ることができる。またブロワーよってメタン発酵槽56に排出ガスを吹き込む場合に外部空気の混入が避けられない場合は、嫌気性菌の発酵環境を損なわないよう、有機性廃棄物(汚泥)を避け、メタン発酵槽56の壁面や管路などに対して吹きつけを行うとよい。
[ガス精製装置の具体的な構成について]
上記第一から第三の実施形態に用いるガス精製装置21の具体的な構成や吸着条件などについて、以下図面および実施例を用いて詳述する。
図7はガス精製装置21の系統図であり、当該装置を用いることで、硫化水素を含有するバイオガスの原ガス(被処理ガス)RAより、二系統の吸着ラインA,Bを交互に切り替えて当該硫化水素を除去し、精製バイオガス(精製ガス)RFを得ることができる。被処理ガスRAは流量制御装置(マスフローコントローラー:MFC)44により所定の流量に制御されて被処理ガス供給管32から矢印方向に供給される。また吸着ラインA,Bには、多孔質吸着剤としてゼオライトが充填された吸着塔39a,39bがそれぞれ設けられており、ゼオライトと被処理ガスRAとを接触させることでこれに含まれる硫化水素を吸着除去することができる。
ただし本発明においては、少なくとも二系統の吸着ラインが並列に設けられている限り、系統数は三ライン以上としてもよく、各系統に複数の吸着塔が直列に配設されていてもよい。
<硫化カルボニルについて>
ここで、バイオガスのように大量の二酸化炭素を含有する被処理ガスは、以下の理由によりその脱硫が困難であることが知られている。
硫化水素は、触媒存在下で二酸化炭素と共存すると以下の反応式(1)により硫化カルボニルが容易に生成する。硫化カルボニルもまたバイオガスをエネルギー使用する際に装置等の腐食の原因となり、また人体にも有害であるうえ、化学的に安定な物質であって反応除去または吸着除去をすることが容易ではないため、バイオガス中の硫化水素については、硫化カルボニルに変換することなく、硫化水素のままで除去することが好ましい。
(化1)
S+CO→COS+HO (1)
しかし、天然ガスのように二酸化炭素の含有率が低い場合とは異なり、二酸化炭素をパーセントオーダー、特にバイオガスのように30〜40%程度も含有する被処理ガスの場合、上記反応式(1)の生起確率が飛躍的に増加し、吸着剤によって硫化水素を飽和状態(破過状態)まで吸着する前に硫化カルボニルが吸着剤より漏出する虞がある。さらに、硫化水素の吸着剤であるゼオライトや活性炭は触媒反応性もまた高いため、吸着剤としてのみならず上記反応式(1)を引き起こす触媒としても作用する。
したがって本実施形態で用いるガス精製装置21では、ゼオライトの吸着サイトに予め特定のガスを吸着させておくことにより、上記反応式(1)で示される硫化カルボニルを生成する触媒反応性を抑制することができるという知見に基づき、硫化水素に対する吸着能力を高く維持しつつも触媒反応性を抑制したゼオライトを吸着剤に用いることにより、硫化水素の破過時間と硫化カルボニルの生成時間とをバランスさせ、吸着塔の破過時間の最大化を図っている。
したがってかかるゼオライトを、並列に設けられた複数系統の吸着塔にそれぞれ充填し、硫化水素の吸着除去と、ゼオライトの再生とを交互に切り替えて運転することにより、硫化水素および硫化カルボニルが漏出することなく長時間にわたって、被処理ガスの精製を連続的に実施することができる。
またガス精製装置21においては、ゼオライトの再生処理にあたり、VSA方式やPSA方式に比べ吸着した硫化水素をより完全に脱着することのできるTSA(Thermal Swing Adsorption)方式を採用することで、吸着塔の切替時間を長く取り、次工程における硫化水素の吸着除去をより高いレベルで行うことを可能としている。
<ゼオライトについて>
吸着塔39a,39bに充填されるゼオライトとは、分子サイズの細孔を多数もつ結晶性のアルミノ珪酸塩の総称であり、狭義には珪素とアルミニウムとが酸素を共有したTO四面体(T=Si,Al)が結合して三次元ネットワークの骨格をなし、細孔(吸着サイト)に交換可能な陽イオンが存在して他の分子を吸着可能な物質を意味する。また近年では上記T原子としてリン(P),ガリウム(Ga)などのIIB,IVb、Vb族元素を含む物質や、AlPOなど陽イオンを含まないゼオライト類縁化合物も合成されており、本発明ではゼオライトおよびゼオライト類縁化合物を総称してゼオライトとよぶ。
ゼオライトには結晶構造型の相違により、いわゆるA型、X型、Y型、ZSM−5型、B型、P型、T型、L型、Ω型、モルデナイト型、ペンタシル型、フェリエライト型、など様々な種類が存在する。本実施形態のガス精製装置21においては、硫化水素の吸着量が大きく破過時間を長く確保できるという観点から、A型(国際ゼオライト学会が制定した3文字コード名:LTA)、X型(同:FAU)またはフェリエライト型(同:FER)が特に好適に用いられる。
またゼオライトは、1種または2種以上のイオン種を担持しており、その組成は下式(2)の一般式で表される。ただし下式(2)は3種の陽イオン種を担持するゼオライトに関する一般式であり、陽イオン種が1種、2種または4種以上の場合については容易に類推が可能であろう。
(化2)
aAk+・bBl+・cCm+・(SiO12(AlO12 (2)
上式(2)で、A、BおよびCは陽イオン種を、k、lおよびmはそれぞれの価数を、a、bおよびcはそれぞれの含有量であり、a×k+b×l+c×m=12である。このとき、各陽イオン種(例えば陽イオン種A)のゼオライト中含有率は、下式(3)で表すことができる。
イオン種としては、各種金属やNHなどの陽イオンが代表的であり、このうちガス精製装置21においては特にカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)などの第2族元素(周期表の第2族元素、旧2A族元素)の二価イオンが、ゼオライトの触媒反応性を抑制する効果にもっとも優れるため好適である。ゼオライトの担持するイオン種として第2族元素のイオンが好ましいことは、後述する実施例2により明らかとなる。
ガス精製装置21に用いるゼオライトに陽イオン種として含有される第2族元素のイオン(以下、第2族イオンという。)の含有率は70%以上、好ましくはなるべく100%に近いことが好ましい。かかる含有率で第2族イオンを含むゼオライトが好適に用いられることは、後述する実施例3により明らかとなる。
(数1)
陽イオン種Aのゼオライト中含有率
=当該陽イオン原子数×価数/ゼオライト骨格中のアルミ原子数
=a×k/12 (3)
化学合成されたゼオライトは一般に粉体として提供されることから、これを吸着剤として用いる際には直径や高さ(以下、径という。)が0.5〜3.0mm程度の球状または柱状などの形状の粒子に成形することが好ましい。また特に上記範囲より選択された径を均一に有するゼオライトを用いることにより、吸着塔39a,39bにゼオライトを層状に充填した場合にも、被処理ガスの圧力損失を低減しつつ、被処理ガスとゼオライトとの接触面積を十分に得ることができる。
ゼオライトの成形に用いるバインダー種としては、アルミナ系、シリカ系、または粘土系が一般的であるところ、このうちアルミナ系バインダー種はゼオライトの触媒活性を促進する可能性があることから、ガス精製装置21に用いるゼオライトにはシリカ系または粘土系が好適に用いられる。
また上記ゼオライトを1種、または2種以上を混合、積層もしくは他の吸着塔に充填して用いることができる。
<触媒反応抑制剤について>
ガス精製装置21では、吸着剤として用いるゼオライトの触媒活性を抑制し、硫化水素を飽和状態まで吸着させる間に上式(1)に基づく硫化カルボニルの生成を抑えることを特徴とする。
触媒反応抑制剤としては、ゼオライトの吸着サイトに吸着されることでその触媒活性を抑制することのできる材料、具体的には水またはアンモニアを用いることができる。このうち特に精製ガスRFに混合しても問題を生じる虞が低く、また精製ガスRFから容易に除去可能であって、かつ入手性、安全性に優れる観点から、水(水蒸気)が好適である。
本発明者らの検討によれば、ゼオライトの吸着活性と触媒活性とは正の相関があり、フレッシュなゼオライトに対して水やアンモニアなどの触媒反応抑制剤を吸着させることで硫化水素に対する吸着活性を落としつつ、硫化カルボニルを生成する触媒活性も抑制することができる。
ゼオライトに対して触媒反応抑制剤を極微量だけ吸着させた場合、硫化水素の飽和吸着力はほとんど低下しない代わりに、硫化カルボニルが上式(1)に基づいて高い頻度で変わらず生成されるため、バイオガスのように二酸化炭素を大量に含む処理ガスを精製する場合、ゼオライトが硫化水素によって破過する前に硫化カルボニルが吸着塔より漏出することとなる。
これに対し、ゼオライトに対して触媒反応抑制剤を大量に吸着させた場合は、硫化カルボニルの生起確率を大幅に低下させることができる反面、硫化水素の吸着可能時間が過少となって吸着ラインA,Bの切り替え頻度が高くなる。一方、TSA方式によってゼオライトを再生するためには所定の冷却時間が必要であるため、破過時間が所定以下となった場合は再生工程がこれに間に合わず、その結果、不完全な再生と吸着ラインA,Bの切り替えとを繰り返すことで徐々に吸着可能時間が短くなり遂には被処理ガスの連続的な精製処理が不可能となるか、または吸着ラインの数を増やす必要がある。
したがって本発明においては、被処理ガスに含有される二酸化炭素と硫化水素との反応生起確率、すなわち各濃度に応じて、ゼオライトに予め吸着させておく触媒反応抑制剤の吸着量を適切に保持することが好ましい。硫化水素の吸着処理中に(a)触媒反応抑制剤がゼオライトから脱着したり、または(b)被処理ガスに触媒反応抑制剤が含有されていてゼオライトへの吸着量が漸増したりすると、それぞれ、ゼオライトの触媒活性が改善して硫化カルボニルの生成および吸着塔からの漏出が促進されたり(aの場合)、硫化水素の吸着可能時間が漸減して破過時間が短くなったり(bの場合)するためである。
以下、触媒反応抑制剤に水を用いる場合を例にとり説明を行う。
本発明の硫化水素除去方法においては、吸着剤に用いるゼオライトの質量に対し0.2〜3.3wt%の比率で水分を吸着させるとよい。かかる質量比でゼオライトに水分を含有させることが好適であることは、後述する実施例1および2により明らかとなる。また、ゼオライトの触媒活性がその細孔の大小や多寡ではなく吸着サイトに担持されている陽イオン種の種類と量に依存するという知見から、上記水分含有比率はゼオライトの結晶構造型に依存しないことが本発明者らの検討により明らかとなっている。
ゼオライトに水分を含有させる具体的な方法は特に限定されず、例えば吸着剤製造後の乾燥処理の際にゼオライト含水量を調整することも可能であるし、乾燥品を吸着塔39a,39bに充填した後に含水・加熱再生を行うことにより調整することもできる。例えば後者の場合、吸着塔39a,39bに充填されたゼオライトに飽和状態まで水蒸気を通気して吸着させ、これを所定の加熱温度にて十分にガスパージすることで、当該加熱温度に応じた水分を再現性よくゼオライトに吸着させることができる。
<被処理ガスについて>
被処理ガスとしては、上述のように有機性廃棄物を嫌気性発酵してなるバイオガスの原ガスを供給する。ガス精製装置21にて好適に精製処理されるバイオガスの組成は、原料および発生条件により異なるが、微量成分として1〜10000ppmの硫化水素のほか窒素、酸素および飽和水蒸気を含み、かかる微量成分を除く主成分メタンが40〜95%、副成分二酸化炭素が60〜5%の混合比であることが一般的である。
被処理ガスは、ゼオライトに流通される前に脱水処理が施されることが好ましい。特にバイオガスには飽和水蒸気が含有していることが一般的であるため、これを脱硫するに際しては、脱水剤と接触させたり、冷却および/または加圧したりして脱水するとよい。これにより、被処理ガスの通気中にもゼオライト質量に対する水分の好適な含有比率を維持することができる。脱水剤との接触により被処理ガスを脱水する前者の場合、被処理ガスを常温、例えば10乃至50℃の範囲とすることができ簡便である。
脱水剤としてはシリカゲルや活性アルミナが一般的であるが、活性アルミナは上式(1)に対する触媒となりうるため、本発明においてはシリカゲルを用いることが好ましい。脱水剤は、吸着塔39a,39bの内部においてゼオライトの上流側に層状に充填してもよく、また吸着塔39a,39bとは別の脱水槽を設けて吸着塔39a,39bの上流側に接続してもよい。
脱水剤による脱水効率を向上し、被処理ガスをより高いレベルで脱水する観点から、被処理ガスは2乃至10気圧、具体的には600[kPaG]程度に加圧するとよい。被処理ガスRAの加圧は、図7においてMFC44の前段または後段に圧縮機(図示せず)を接続して行う。
また本発明においては、硫化水素を除去するためのゼオライト、水分を除去するための脱水剤のほか、他の不純物を除去するための第三の吸着剤を、脱水剤とゼオライトとの間、または脱水剤の上流側に設けてもよい。かかる第三の吸着剤は、吸着塔39bまたは39aの内部にゼオライトともに充填してもよく、他の吸着槽を被処理ガス供給管32または吸着ラインA,Bの途中に設けてもよい。
<吸着工程について>
図7で、吸着ラインAにより被処理ガスRAの精製を行う場合、バルブV1,V7,V9,V10のみを開放し、バルブV2,V3,V4,V5,V6,V8を閉止しておく。かかる状態で、配管32および34aを通じて吸着塔39aに導入された被処理ガスRAは、吸着塔39aに充填されたゼオライトを流通することでこれと接触し、含有している硫化水素が除去されて精製ガスとなり配管36aを通じて吸着塔39aより導出される。
バルブV1,V2は吸着塔39a,39bのそれぞれに対し被処理ガスRAの一次側に設けられた開閉弁であり、バルブV7,V8は同じく二次側に設けられた開閉弁であって、吸着ラインA,Bをそれぞれ開閉制御するものである。
バルブV1乃至V10の開閉操作は手動で行ってもよいが、その一部または全部を自動弁とし、その開閉は切替制御装置47を主たる構成とする切替手段によって自動的に行ってもよい。図1では、一点鎖線で表される制御信号ライン49によってバルブV1乃至V8と処理装置48とを接続し、所定のタイミングに従ってこれらのバルブを開閉することで吸着ラインAとBとを切り替える。
バルブV9は精製ガスRFを系外にある燃焼装置や燃料電池などの精製ガス使用装置(図示せず)に向けて送出するための開閉弁であり、バルブV7,V8の下流側に精製ガス回収管38を介して連通している。またバルブV10は圧力調整弁であり、吸着ラインAとBとの切り替えを円滑化するとともに逆流などが生じないようライン内を均圧化する。ただし、被処理ガスRAおよび再生用ガスRVがともに大気圧の場合は、かかる均圧化は不要である。
吸着ラインAによる硫化水素の吸着除去工程を所定時間行った後、吸着塔39aが破過する前に、バルブV2を開放し、同時にまたはこれに次いでバルブV1を閉止し、被処理ガスRAの導入経路を吸着ラインBへと切り替える。このとき、バルブV2の開放とともにバルブV8を開放し、またバルブV1の閉止とともにバルブV7を閉止する。以降は、配管32および34bを通じて吸着塔39bに導入された被処理ガスRAは、吸着塔39bで脱硫精製されたのち、配管36bを通じて精製ガスとして導出される。
かかる切り替えのタイミングは、例えば以下のいずれかの方法に基づいて決定することができる。
(ア)被処理ガスRAの単位時間あたりの流量およびこれに含有する硫化水素の濃度と、ゼオライトの吸着能力および充填量とから求められる被処理ガスRAの通気可能時間に所定の安全率を乗じた切替時間を予め求め、これにしたがってバルブの上記切り替えを行う方法。通気可能時間は、吸着等温線や破過吸着等温線に基づいて求めることができる。
(イ)吸着塔39a,39bに充填されたゼオライトの内部に、硫化水素の到達を視覚的に検知することのできる破過検知剤を埋設し、ゼオライトの破過のタイミングが近づいていること、すなわち吸着ラインを切り替えるべきタイミングが訪れたことを検知する方法。破過検知剤には硫化水素との反応により変色する薬剤を用い、またかかる変色を外部より観察できるよう吸着塔39a,39bには検知窓を設けるとよい。
(ウ)吸着塔39a,39bの二次側に分析計または検知器を連設し、硫化水素が精製ガスに混入したことを迅速に検知してバルブの上記切り替えを行う方法。この場合、精製ガスへの硫化水素の混入、すなわち吸着塔39a,39bの破過が既に生じたことが検知された際に、当該混入した硫化水素がバルブV7,V8を経由して系外に排出されることのないよう、分析計または検知器とバルブV7,V8との間にはそれぞれバックアップ用のゼオライトを設けるとよい。
(エ)後述する再生工程の完了をもって、吸着ラインAとBを切り替える方法。すなわち吸着塔39aまたは39bに充填されたゼオライトがガスパージにより完全に再生された場合に、吸着工程にある吸着塔39bまたは39aに残存する吸着性能の多寡によらず吸着ラインを切り替えることとしてもよい。
上記吸着工程によれば、吸着後の被処理ガスRA中の硫化水素の濃度を1ppm以下まで低減することができる。
<再生工程について>
吸着ラインBによる硫化水素の吸着除去が行われている間に、吸着塔39aに充填されたゼオライトをTSA方式により再生する。すなわちガス精製装置21は、硫化水素を吸着したゼオライトに加熱された再生用ガスRVを通気するか、またはゼオライトをヒーター等により加熱しつつ常温または加熱された再生用ガスRVを通気してガスパージする加熱再生手段を備えている。
メタンガスを主成分とするバイオガスを被処理ガスRAとする場合、再生工程時のガス組成がメタンの爆発範囲に入らぬよう、再生用ガスRVには、高純度の窒素やアルゴンなどの不活性ガスを用いることが好ましいが、このほか圧縮空気から圧力スイング(PSA)法によって抽出した窒素ガスを用いてもよい。
ゼオライトと再生用ガスRVとの接触温度は、ゼオライトの種類によっても相違するが、100〜300℃程度とするとよい。このように、常温など相対的に低い温度で行う硫化水素の除去工程と、相対的に高い温度に加熱して行う脱着再生工程とを交互に繰り返すTSA方式により、ゼオライトを吸着と再生に交互に供しつつ繰り返し使用することができる。
加熱下でのガスパージにより高温となったゼオライトを冷却する場合には、窒素ガスなどの不活性ガスのほか、精製済みの精製ガスRFを用いることもできる。したがって図7に示すガス精製装置21の系統図において、バルブV10の下流に三方弁を設け、その二次側の一方を精製ガス使用装置と、他方をMFC46と接続する構成としてもよい。
なお、ゼオライトの好適な加熱再生条件については、後述の予備実験および実施例1より明らかとなる。
再生用ガスRVはMFC46により所定の流量に保たれながら再生用ガス供給管40を通じて吸着ラインAに送られる。すなわちバルブV5を開放してバルブV6とV7を閉止することで再生用ガスRVは吸着塔39aへと導入される。さらにバルブV3を開放してバルブV1とV4を閉止することで、吸着塔39aに充填されたゼオライトと再生用ガスRVとが接触し、吸着されていた硫化水素を脱着することでゼオライトがガスパージされる。また脱着した硫化水素を含む再生用ガスRVは排気ガス(排出ガス)EXとなって、配管42を通じて系外へ排出され、除害装置(図示せず)などへと送られる。
吸着塔39aの再生処理が完了した場合、硫化水素の吸着ラインをBからAに直ちに切り替えてもよく、また吸着塔39bが上記(ア)〜(ウ)などの方法で決定される所定の切り替えタイミングに達するまで再生用ガスRVを吸着塔39aに通気しつづけてもよい。さらにはバルブV5を閉止して再生用ガスRVの系内への導入を停止し、吸着塔39aを待機状態としてもよい。
<次工程について>
吸着ラインBでの吸着処理工程が終了した場合、バルブV2を閉止してV1を開放することで、被処理ガスRAの導入経路を再び吸着ラインAとすることができる。この場合、吸着塔39aによる硫化水素の除去を開始すると同時に、またはこれに続けて、今度は吸着塔39bの再生を行うことで、さらに被処理ガスRAの連続精製処理が継続可能となる。具体的には、バルブV2,V8,V5,V3を閉止し、バルブV1,V7,V6,V4を開放することで、吸着塔39aには被処理ガスRAを導入して硫化水素の除去を行い、吸着塔39bには再生用ガスRVを導入してこれに充填されたゼオライトのガスパージを行う。
以降は、上記各工程を順次繰り返すことで、吸着ラインAまたはBにより被処理ガスRAの長時間にわたる連続的な硫化水素除去処理を継続することができる。
なお吸着塔39aの再生は、必ずしも充填されたゼオライトが完全に再生されるまで行うことを要するものではない。すなわち直前の吸着工程において吸着した硫化水素に相当する量の硫化水素が直後の再生工程において脱着されるかぎり、吸着塔39aの破過時間が漸減することはなく、したがって吸着ラインA,Bの切り替えによって理論的には永続的に被処理ガスRAの精製処理を継続することができる。
本発明においては、バルブV1,V2,V7およびV8を同時に開放し、バルブV3乃至V6を閉止して吸着ラインAおよびBにより同時に硫化水素の除去処理を行い、その後、バルブV1,V2,V7,V8を閉止し、バルブV3乃至V6を開放することで吸着ラインAおよびBを同時に再生することもできる。
[予備実験]
図8に系統図を示す再生試験装置70を用い、CaA型ゼオライトの再生温度と含水量との関係を評価して最適含水状態を決定する試験を行った。評価試験は以下のように行った。
すなわち、飽和状態まで含水したCaA型ゼオライト1gを容器291に層状に充填し、外部よりヒーター63にて所定の再生温度に加熱しつつ、乾燥窒素を成分とする再生用ガスRVを脱着ガスとしてこれに十分に通気して、ゼオライトの質量が安定化するまで水分を脱着させた。
再生温度を100℃から350℃まで変化させながら同様の試験を行ってゼオライトの質量減少量を測定した。測定結果を表1に示す。各再生温度に対する含水率は、350℃加熱再生後のゼオライトの質量を基準(含水率:0[wt%])として示したものである。
ただし後述のように、350℃の加熱再生後のゼオライトは実質的に完全乾燥状態と認められるものであり、100℃乃至300℃の再生温度後の含水率の各数値は、乾燥状態のゼオライト質量を基準とする水分の質量と読み換えることができる。
Figure 2009024079
表1より、各再生温度で乾燥脱着ガスにより十分に水分を脱着させても、少なくとも再生温度を300℃以下とする限り、ゼオライトの保水力により所定量の水分が吸着されたまま残存することが分かった。またかかる保水力は加熱温度が低いほど強く、すなわち再生温度をコントロールすることでゼオライトに所望の量の水分を含有させることが可能となることが分かった。
[実施例1]
図9に系統図を示す破過試験装置71を用いて硫化水素を含有する被処理ガスRAの流通破過試験を行った。容器291は内容積17.3mlであり、これに上記予備実験と同様に100℃〜350℃でそれぞれ加熱再生され所定の含水率の水分を吸着したCaA型ゼオライト13gを層状に充填している。
被処理ガスRAとしては二酸化炭素50%、メタン50%、硫化水素500ppmの混合ガスを用い、これを200ml/minの流量で容器291に流通させた。なお、二酸化炭素とメタンの上記混合比は、硫化水素を除いたガス成分に対する比率である。
容器291の出口より排出される排気ガスEXの含有成分を、(株)島津製作所製のガスクロマトグラフィー(TCD)により6分間隔で測定した。
ゼオライトの含水率、すなわち加熱再生温度を変化させた場合の、硫化水素検知時間と、硫化カルボニル検知時間とをそれぞれ表2および図10に示す。硫化水素検知時間とは、被処理ガスRAより硫化水素が除去されずに容器291から漏出したことが検知されるまでの時間であり、すなわちゼオライトの破過時間を意味している。なお下表において、硫化カルボニル検知時間が空欄である実験番号1〜6の各ケースは、硫化水素検知時間よりも硫化カルボニル検知時間のほうが長いことを意味している。
Figure 2009024079
上記予備実験および実施例1より、ゼオライトの再生温度を高くしてその含水率を低く抑えることにより、ゼオライトの触媒作用が活性化し、硫化水素の破過以前に硫化カルボニルが発生する。表1,2をあわせると、含水率が0.7wt%より低い場合は硫化水素の破過以前に硫化カルボニルの発生が認められ、特に0.2wt%より低い場合は硫化カルボニル検知時間が顕著に短縮されるため好ましくない。
一方、再生温度を低くしてゼオライトの含水率を高くすると、ゼオライトの吸着性能が低下する。特に含水率が3.3wt%を上回ると破過時間が90分を下回り、また吸着性能の低下が著しいことが図10より分かる。また硫化水素の破過時間と硫化カルボニルの検知時間とをともに十分に長く確保するためには、特にゼオライトの含水率が0.7wt%〜1.5wt%となる加熱再生条件を設定することが好ましいといえる。
ゼオライトに予め吸着させるのに好適な上記含水率は、本発明に用いられるゼオライトの種別に拠らず共通である。一方、これを実現するための再生温度はゼオライト種によって変動する。CaA型ゼオライトについていえば、表2より、再生温度は175〜300℃、特に225〜275℃が好ましい。
[比較例1]
下表3に示す各種のゼオライト、および活性アルミナ、シリカゲル、活性炭を吸着剤に用いて、実施例1と同様に被処理ガスRAの流通破過試験をおこなった。ただし本比較例では、各吸着剤を十分に乾燥させた状態で容器291に充填している。すなわち本比較例は、触媒反応抑制剤としての水をゼオライト等の吸着剤に吸着させることなく被処理ガスRAと接触させた場合の破過時間を調べるものである。シリカゲルには富士シリシア製:フジシリカゲルA型、活性炭には日本エンバイロケミカルズ製:粒状白鷺炭(G2X)を使用した。
硫化水素検知時間と硫化カルボニル検知時間をそれぞれ下表3に示す。表中の空欄(−)は、硫化水素または硫化カルボニルのうち少なくとも他方の成分の検知時間よりも長いことを意味する。
Figure 2009024079
また、硫化水素または硫化カルボニルの少なくともいずれかの漏出がガスクロマトグラフィーにより検知されるまでの通気時間を硫化水素処理時間と定義し、結果を下表4に示す。
[実施例2]
比較例1と同種の吸着剤を用いて、予備実験と同様の最適含水状態決定試験、および実施例1と同様の流通破過試験を連続して行った。すなわち本実施例は、図8に示す再生試験装置70を用いて、それぞれのゼオライト種について最適含水状態を決定し、つづけて図9に示す破過試験装置71を用いて、かかる最適含水状態、すなわち最適反応制御状態における被処理ガスRAの流通破過試験を行ったものである。
硫化水素処理時間を下表4にあわせて示す。
なお本実施例のうち、吸着剤にCaA型ゼオライトを用いた結果は、すなわち実施例1における実験番号6に相当するものであり、その硫化水素処理時間は上表2を参照のとおり、硫化水素検知時間の204分である。
Figure 2009024079
表3、4に示す結果より、例えば吸着剤にCaA型ゼオライトを用いた場合、硫化カルボニルの生成反応に対するゼオライトの触媒反応性を触媒反応抑制剤である水によって制御していない比較例1においては、これを制御して硫化水素の破過時間と硫化カルボニルの検知時間とを最適にバランスさせた実施例2(実施例1)よりも硫化水素の吸着能力は高い(硫化水素検知時間:282分)が、上式(1)に従って、硫化水素の破過時間よりも僅かな時間で硫化カルボニルが生成された(硫化カルボニル検知時間:36分)ため、吸着剤のガス精製能力全体としては大幅に劣る結果(硫化水素処理時間:36分)となった。
同様の傾向は、MgA型ゼオライトについても顕著に認められ、乾燥状態のゼオライトでは硫化水素処理時間がわずか6分であるところ、最適含水状態に制御することによりこれを72分まで拡張することができた。またX型ゼオライトやフェリエライト型ゼオライトでも同様の傾向が認められ、さらにゼオライトの陽イオン種が第2族イオンである場合に特に本発明の効果を享受できることが分かる。具体的には、CaX型ゼオライトやCaフェリエライト型ゼオライトを吸着剤とした場合に、いずれも硫化水素処理時間を30分以上も拡張することができた。
かかる本発明の効果は吸着剤にゼオライトを用いた場合にのみ見られるものであり、活性アルミナ、シリカゲルまたは活性炭を用いた場合はそもそも硫化水素の吸着能力が乏しく、また硫化カルボニルの生成反応に対する触媒活性が高くないため、吸着剤の触媒活性を抑制していない無制御状態であっても、硫化水素検知時間が硫化カルボニル検知時間と同等以下であることから、触媒反応抑制剤によって硫化水素処理時間を拡張することができない。
換言すると、本発明に用いる硫化水素除去剤にはゼオライトを用いることが必要であり、また用いるゼオライト種としては、A型、X型およびフェリエライト型が好ましく、ゼオライトの陽イオン種としては、周期表の第2族元素の二価イオン、特にカルシウムイオンが望ましいといえる。
なお、CaA型ゼオライトを吸着剤に用いた実施例1において、再生温度を350℃とした場合(表2:実験番号9)の硫化水素検知時間と硫化カルボニル検知時間は、表3に示す比較例1の結果と同等であることから、両状態のゼオライトはともに完全乾燥状態であったことがわかる。したがって本発明においてゼオライトに吸着させる触媒反応抑制剤に水を用いる場合、乾燥状態のゼオライトの質量に対し、0.2乃至3.3重量%とすることが好ましく、0.7乃至1.5重量%とすることが特に好ましいといえる。かかる好適な含水率はCaA型の場合に限られるものではなく、実施例2で良好な結果を得たA型、X型、フェリエライト型ゼオライトにおいて、特に陽イオン種が第2族イオンである場合、有意な相違なく上記含水率範囲が好ましいことが本発明者らの検討により確認されている。
[実施例3]
陽イオン種として一価イオンと二価イオンをともに有するゼオライトにおいて、二価イオンの好適な含有率を知るため、NaA型ゼオライトのCa含有率を変化させてなるNaCaA型ゼオライトを調整し、これを吸着剤に用いて実施例2と同様の方法により被処理ガスRAの硫化水素流通破過試験を行った。すなわち硫化水素と硫化カルボニルの破過時間が同等となる最適含水状態にあるCaA型ゼオライトを容器291に充填し、バイオガスを模擬した被処理ガスRAをこれに通気してその破過を検知することにより硫化水素処理時間を測定した。実験結果を下表5および図11に示す。
Figure 2009024079
本実施例の結果より、ゼオライトのイオン交換サイトに含有される一価イオンと二価イオンとの比率によって硫化水素の処理可能時間が大きく変動することが分かった。またゼオライトの陽イオン種がカルシウムイオンなどの第2族元素のイオンの場合、かかる第2族元素の含有比率70%を境に、これ以上の含有比率の場合には硫化水素処理能力が飛躍的に向上することが分かった(図11を参照)。
また第2族元素の二価イオンの最適な含有率は極力100%に近いものであるが、実施例2のCaA型ゼオライトの流通破過試験の結果(表4を参照)と本実施例のCa含有率95%の結果が同等であり、またこれとCa含有率90%の結果との間に有意な差はない(図11を参照)ことから、一価イオンと二価イオンとが混合したゼオライトにおける二価イオンの好ましい含有率は90%以上、特に好ましくは95%以上である。
なお、二価イオンのかかる好適な含有率は、これをカルシウムイオンとするか、マグネシウムイオンやストロンチウムイオンとするか、またはこれらを混合するかによって変動するものではない。
[実施例4]
図7に系統図を示すガス精製装置21の吸着塔39a,39bに、1.0wt%の水分を吸着させたCaA型ゼオライトを吸着剤として充填し、TSA式による被処理ガスRAの繰り返し精製処理試験を行った。吸着塔39a,39bは内容積80[ml]であり、これに上記ゼオライトを層状に60g充填した。
吸着工程において通気する被処理ガスRAには、硫化水素500ppm、およびこれを除く成分比として二酸化炭素40%およびメタン60%を含有する乾燥混合ガスを用い、これをMFC44により2.0[l/min]の流量に制御して吸着ラインAまたはBに順次切り替えて供給した。
一方、吸着剤の再生工程では再生用ガスRVとして200℃に加熱したメタンガスをMFC46により500[ml/min]の流量に制御して、ゼオライトを再生中の吸着ラインAまたはBに供給した。CaA型ゼオライトに予め吸着させておく1.0wt%の水分量は、表1の結果より250℃の加熱再生に対応したものであり、これを下回る温度の再生用ガスRVや被処理ガスRAを通気することによっては、ゼオライトより水分が失われることはない。
吸着塔39aまたは39bの出口側における精製ガスRFの成分を(株)島津製作所製のガスクロマトグラフィー(TCD)により6分間隔で測定し、硫化水素または硫化カルボニルが検出された時点で吸着ラインを切り替え、当該吸着ラインを再生工程に移行させることとした。かかる吸着工程と再生工程とを吸着ラインA,Bについてそれぞれ40回ずつ繰り返し、各回において吸着工程を開始してから硫化水素または硫化カルボニルが検出されるまでの通気時間、すなわち被処理ガスRAの吸着可能時間(検知時間)を測定した。互いに切り替えて用いられる吸着ラインAまたはBのうち一方の吸着塔(吸着塔39a)の吸着可能時間の測定結果を図12に示す。
実験の結果から、吸着剤の再生工程と硫化水素の吸着工程とを繰り返しても検知時間は150分程度を維持しつづけ、触媒反応抑制剤として水を吸着させて触媒反応活性を制御したゼオライトは、連続運転によっても硫化水素除去性能が低下しないことが確認された。
また40回の連続運転の間、吸着塔39aの出口から硫化カルボニルは検知されなかった。この結果から触媒反応活性の制御状態も、連続運転によって失われるものではないことが分かった。
なお、図6の結果から、例えば100分や120分など、硫化水素の吸着可能時間内の所定の時間間隔によって吸着ラインAとBとを順次切り替えることで、きわめて長時間にわたり被処理ガスRAの精製を行うことができる。
[実施例5]
被処理ガスRAとして2000ppmの硫化水素を含み、主成分を約60%のメタンおよび約40%の二酸化炭素とするバイオガスを用いた以外は実施例4と同様の流通破過試験を行った。すなわち下水処理場などで生じる実際のバイオガスの精製処理を連続して行うことができるかどうかを検証する実験である。吸着塔39aの破過時間を下表6に示す。
Figure 2009024079
本実施例の結果より、触媒活性を制御したゼオライトを吸着剤に用いることで、バイオガスから硫化カルボニルの発生を伴わず硫化水素を除去できることが確認された。また繰り返し除去試験を行っても硫化水素の吸着可能時間は変わらず、吸着性能が維持されることがわかった。
[参考例について]
図4は、本発明の参考例にかかるバイオガス生成システム13の構成を示すブロック図である。バイオガス生成システム13は、図1に示すバイオガス生成システム10に対して、脱離硫化水素ガスを曝気槽52に導入するのではなく、ガスホルダ58から導出した余剰ガスとともに脱離硫化水素ガスを余剰ガス燃焼装置24によって燃焼処理することを特徴とするものである。
なお、バイオガスの原ガスには60%程度のメタンガスが主成分として存在しているため、高濃度といえども高々数百〜数千ppmの硫化水素ガスを余剰ガスによって燃焼処理しても、精製バイオガスの収率が極端に低下することはない。
硫化水素ガスを燃焼した場合、当然硫黄酸化物(SOx)が生じるため、アルカリ性溶液を用いた湿式の除去設備などは別途必要となるものの、脱離硫化水素ガスを簡易に無害化することができる。換言すると、硫黄酸化物のガス処理設備を既に有する有機性廃棄物の処理施設に対しては、メタン発酵槽56やガス精製装置21、ガスホルダ58および余剰ガス燃焼装置24を追加設置するだけで、高レベルで脱硫精製されたバイオガスを連続的に生成するバイオガス生成システムとなすことができる。
本発明の第一の実施形態にかかるバイオガス生成システム10の構成を示すブロック図である。 本発明の第二の実施形態にかかるバイオガス生成システム11の構成を示すブロック図である。 本発明の第三の実施形態にかかるバイオガス生成システム12の構成を示すブロック図である。 本発明の参考例にかかるバイオガス生成システム13の構成を示すブロック図である。 水処理施設を備える従来のバイオガス生成システム100のブロック図である。 固体汚泥をメタン発酵させてバイオガスを得る従来のバイオガス生成システム101のブロック図である。 ガス精製装置21の系統図である。 再生試験装置70の系統図である。 破過試験装置71の系統図である。 CaA型ゼオライトの再生温度と硫化水素処理能力との関係を示すグラフである(実施例1)。 NaCaA型ゼオライトのCa含有率と硫化水素処理能力との関係を示すグラフである(実施例3)。 硫化水素連続除去試験結果を示すグラフである(実施例4)。
符号の説明
10〜13 バイオガス生成システム
21 ガス精製装置
22 生物処理槽
23 バッファタンク
24 余剰ガス燃焼装置
39a,39b 吸着塔
51 最初沈殿池
52 曝気槽
53,61 ブロワー
54 最終沈殿池
56 メタン発酵槽
57 脱硫塔
58 ガスホルダ
60 消化液貯槽
A,B 吸着ライン
EX 排気ガス
RA 被処理ガス
RF 精製ガス
RV 再生用ガス
V1〜V10 バルブ

Claims (5)

  1. 固形有機性廃棄物または汚水に含まれる有機性廃棄物を嫌気性発酵させてバイオガスと消化液を生成するメタン発酵槽と、
    前記バイオガスに含まれる硫化水素を多孔質吸着剤に吸着させて除去する吸着工程、および吸着した前記硫化水素を再生ガスで脱着させて排出する再生工程を繰り返して、前記バイオガスを精製するガス精製装置と、を有するバイオガス生成システムにおいて、
    前記汚水または消化液を生物処理する一つまたは複数の生物反応槽を更に備えるとともに、
    前記脱着した硫化水素を含有する排出ガスを、前記生物反応槽の少なくとも一つに直接または間接に導入することを特徴とするバイオガス生成システム。
  2. 排出ガスが導入される生物反応槽が、
    前記汚水を好気性条件下で活性汚泥処理する曝気槽、
    前記汚水または消化液に含まれるアンモニア性窒素を好気性条件下で硝化菌によって硝酸性窒素に変える硝化槽、または
    前記汚水または消化液に含まれる硫化水素を好気性条件下で硫黄酸化細菌によって脱硫する生物脱硫槽
    である請求項1に記載のバイオガス生成システム。
  3. 排出ガスが導入される生物反応槽が、
    硝酸性窒素を嫌気性条件下で脱窒菌によって窒素ガスに変える脱窒槽である請求項2に記載のバイオガス生成システム。
  4. 排出ガスが導入される生物反応槽と、前記ガス精製装置との間に、排出ガスを貯留するバッファタンクを備える請求項1から3のいずれかに記載のバイオガス生成システム。
  5. ガス精製装置が、前記硫化水素の脱着を加熱条件下で行う熱スイング吸着(TSA)式である請求項1から4のいずれかに記載のバイオガス生成システム。
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