JP2009023920A - 口腔用抗菌剤及び口腔用組成物 - Google Patents

口腔用抗菌剤及び口腔用組成物 Download PDF

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慶太 染矢
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Takahisa Nakane
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Abstract

【解決手段】 8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドを有効成分とする口腔用抗菌剤。
【効果】本発明の口腔用抗菌剤は、口腔内細菌、特にアクチノマイセス・ビスコサス、ストレプトコッカス・ムタンスといった歯周病関連菌及びう蝕原因菌に対する抗菌活性に優れ、天然物由来であることから人体に対しても安全であり、この口腔用抗菌剤を配合した口腔用組成物は、う蝕や各種歯周病などの口腔疾患の予防又は治療に有効で、効果的な口腔衛生を可能とし得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、う蝕原因菌、歯周病関連菌といった口腔内細菌に対する抗菌性に優れた天然物由来の口腔用抗菌剤及びそれを含有する口腔用組成物に関する。
従来、口腔用抗菌剤としては、クロルヘキシジン、セチルピリジニウムクロライド等が用いられているが、これら薬剤は口腔内の菌叢への影響などが心配されている。
一方、抗菌剤を含有する口腔用組成物は、毎日使用するものであるため、人体への安全性が高いものが求められていることから、天然物由来、例えば植物精油成分を抗菌剤として利用する研究が盛んに行われている。具体的には、う蝕原因菌に対する抗菌剤として、特許文献1(特開昭59−175410号公報)には、ヒバ、カシア、クミン、レモン等の天然精油、ヒノキチオール、シンナミックアルデヒド等の天然精油成分、クレジルアセテート、シクラメンアルデヒド等の合成香料などが提案されている。しかし、これら抗菌剤の口腔内細菌への抗菌力は十分満足できるものではなかった。
このように口腔用抗菌剤としては天然物由来のものが安全性面から好適であるが、従来の天然物由来の抗菌剤の抗菌力は満足できるものではなく、う蝕原因菌、歯周病関連菌といった口腔内細菌に対してより高い抗菌力を持ち、口腔用組成物に好適に配合できる新たな天然物由来の抗菌剤の開発が望まれる。
特開昭59−175410号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、口腔内細菌、特に口腔内に存在するう蝕原因菌及び歯周病関連菌に対する優れた抗菌力を有する天然物由来の口腔用抗菌剤及びこれを配合した口腔用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、イチイ科、カヤ属のチャボガヤから採取した葉などの植物原料の抽出物から分画等により精製、単離することができる後述する構造式で示される8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドが、歯周病関連菌、う蝕原因菌といった口腔内細菌、特にアクチノマイセス・ビスコサス(Actinomyces viscosus)、ストレプトコッカス・ムタンス(Streptococcus mutans)に対して高い抗菌活性を発揮し、しかも、天然物(植物抽出物)由来であることから人体に対して安全であり、口腔用抗菌剤の有効成分として有効であること、更に、この口腔用抗菌剤を口腔用の製剤、特に口腔用組成物などに配合することにより、う蝕又は歯周病の予防又は治療に有用であることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、下記の口腔用抗菌剤及び口腔用組成物を提供する。
[I] 8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドを有効成分とする口腔用抗菌剤。
[II] 上記[I]に記載の口腔用抗菌剤を含有してなることを特徴とする口腔用組成物。
本発明の口腔用抗菌剤は、口腔内細菌、特にアクチノマイセス・ビスコサス、ストレプトコッカス・ムタンスといった歯周病関連菌及びう蝕原因菌に対する抗菌活性に優れ、天然物由来であることから人体に対しても安全であり、この口腔用抗菌剤を配合した口腔用組成物は、う蝕や各種歯周病などの口腔疾患の予防又は治療に有効で、効果的な口腔衛生を可能とし得る。
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の口腔用抗菌剤は、下記構造式で示される、8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッド(正式名;8(17),12ゼット,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッド(8(17),12Z,14−labdatrien−19−oic acid)、別名;エリオチノイックアシッド(Elliotinoic acid))を有効成分とする。
Figure 2009023920
上記有効成分である8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドは、この成分を含む植物原料、具体的にはイチイ科、カヤ属のチャボガヤ(学名;Torreya ucifera var randicans)等の植物から採取した葉、茎、根、果実(種子)、樹皮、木部等の植物部位を溶媒抽出することにより得られる抽出物を分画するなどして精製することで、単離することができる成分である。
この場合、植物原料は植物全体でも一部であってもよいが、特に葉部が好ましく使用できる。抽出物としては、生又は乾燥した植物原料をそのまま、あるいは粉砕物とし、公知の方法で抽出すればよく、具体的には抽出溶媒中に上記植物原料を室温下で浸漬したり、抽出溶媒を用いて加熱下で1〜2時間加熱還流して抽出を行う方法などを好適に採用し得る。
抽出溶媒としては、通常の植物抽出に用いられる極性又は非極性溶媒を使用でき、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール等の低級アルコール、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和炭化水素、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトン、石油エーテル、水、酸溶液、アルカリ溶液などを使用することができ、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
また、抽出残渣に必要により上記抽出処理を再度施して抽出液を得、これを先の抽出液と併せてもよく、この場合、抽出溶媒として先の溶媒とは異なる溶媒を使用してもよい。また、得られた抽出物を必要に応じて別の溶媒で更に抽出処理することもできる。
得られた溶媒抽出液は、濾過あるいは遠心分離により固形物を除去したり、あるいは溶媒を留去してある程度濃縮、又は減圧乾燥や凍結乾燥するなどして乾燥させてもよく、必要により粉末等に調製することもでき、これらを溶媒抽出物として用いることができる。
更に、上記溶媒抽出物は、通常の精製法、例えば向流分配法、液体クロマトグラフィー等を用いて精製することができ、これにより、8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドを含むオレオレジンや精油などの液状分画物を得ることができ、これは乾燥させて結晶にしてもよい。更に、この分画物の精製により、8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドを単離することができる。
本発明の口腔用抗菌剤においては、8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドとして、上記のような単離品を用いることができるが、単離品の代わりに8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドを含む上記植物の溶媒抽出物や、この溶媒抽出物の分画物であるオレオレジン、精油等の分画物を使用してもよく、その形状も特に制限はなく、液状、固体状等とすることができる。
なお、分画物は、通常、抽出溶媒を留去して使用に供されるが、エタノールなどの非毒性溶媒を用いた場合は、抽出液をそのまま配合することもできる。また、抽出液を活性炭などで後処理することは差し支えない。更に、溶媒を留去、乾燥させた後、再度適宜な溶媒に再溶解させて所望の濃度に調整して使用することもできる。
8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドは、合成品又は半合成品を使用することもできる。なお、合成品又は半合成品は、上記分画物や単離品などと同様に乾燥させて粉末等の固形状で使用しても、水やエタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の溶媒に溶解させて所望の濃度に調整して使用してもよい。
本発明の抗菌剤は、そのまま又は水やエタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の希釈剤に希釈するなどして、口腔用組成物、義歯安定剤、食品、医薬品などの口腔用の製剤に配合することができる。この場合、本発明の口腔用抗菌剤の添加量は、製剤の形態、使用方法等に応じて適宜調整されるが、8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドの含有量が製剤全体の0.0001〜0.5%(質量%、以下同様。)、特に0.001〜0.3%、とりわけ0.002〜0.1%となる範囲が好ましく、含有量が0.0001%未満ではその配合効果が十分に発揮されない場合があり、0.5%を超えると使用感を損なう場合がある。
更に、本発明の上記8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドを有効成分とする抗菌剤は、その他の既存の抗菌剤を併用することで、より強い口腔細菌抗菌効果を発揮させることが可能である。
ここで、他の抗菌剤としては、従来から公知の口腔用の合成又は天然物由来の抗菌剤、を使用でき、例えばα−ビサボノール、イソプロピルメチルフェノール、クロロヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロロカルバニリドなどを挙げることができる。
上記他の抗菌剤の配合量は、8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドと他の抗菌剤との配合割合が質量比で50:1〜1:50、特に20:1〜1:20となる範囲が好ましい。
本発明の口腔用抗菌剤は、特に口腔用組成物に好適に配合できる。この場合、口腔用組成物は、練歯磨、液状歯磨、液体歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤、洗口剤、チューインガム、口腔用パスタ、口腔用軟膏、うがい用錠剤、咀嚼錠、口腔用スプレー、キャンディ等の各種剤型を包含する。
ここで、口腔用組成物には、その剤型に応じ、上記抗菌剤に加えて任意成分としてその他の公知の添加剤を配合することができる。歯磨類の場合は、例えば研磨剤、粘結剤、粘稠剤、界面活性剤、甘味剤、防腐剤、着色剤、上記以外の各種有効成分などを配合し得、これら成分を水と混合して製造することができる。
研磨剤としては、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第2リン酸カルシウム2水和物及び無水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、合成樹脂系研磨剤等が好適に用いられる(配合量は通常、組成物全体に対して練歯磨では10〜50%、液状歯磨では0〜30%が好ましい。)。
粘稠剤としては、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット等(配合量は通常、組成物全体の5〜50%)、粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ガーボポール、グアガム、モンモリロナイト、ゼラチン等が挙げられる(配合量は通常、組成物全体の0.1〜5%)。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を配合し得、具体的にはラウリル硫酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、N−アシルサルコシネート、N−アシルグルタメート、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−アシルタウレート、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プルロニック、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等が挙げられる(配合量は通常、組成物全体の0〜10%、特に0.01〜5%)。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられる。
各種有効成分としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニム、フッ化第1スズ、モノフルオロリン酸ナトリウムなどのフッ化物、リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アスコルビン酸、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸及びその塩類、塩化ナトリウム、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、酢酸dl−トコフェロール、アズレン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、ジヒドロコレステロール、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナなどの抽出物等が挙げられる。
香料としては、l−メントール、カルボン、アネトール、リモネン等のテルペン類又はその誘導体等、着色剤としては、青色1号、黄色4号、二酸化チタン、酸化アルミナ等が例示される。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
なお、これら任意成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
以下、実験例、実施例及び比較例、配合例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において配合量はいずれも質量%である。
〔実験例1〕
8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドの調製方法
原料植物としてイチイ科、カヤ属のチャボガヤを使用し、下記方法でチャボガヤから抽出・精製し、成分決定することで、8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドを得た。
乾燥したチャボガヤの葉2.1kgを粉砕した後、メタノール(和光純薬製、試薬特級)10Lを用いて50〜60℃で2時間加熱還流抽出し、メタノール抽出物(乾燥質量233.53g)を得た。得られたメタノール抽出物を2等分し、半分量のメタノール抽出物に酢酸エチル(和光純薬製、試薬特級)と蒸留水(各1L)を加え、分液ロートにて室温で5分振った後に、静置した。2層に分離したことを確認した後、水層を取り除き、酢酸エチル層を回収した。本操作を残りの半分量のメタノール抽出物にも同様に繰り返し、2回の操作を合わせた酢酸エチル層(酢酸エチル抽出物;乾燥後質量76.66g)を得た。
得られた酢酸エチル層を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてクロロホルム−メタノール(100:0〜0:100のグラジエント)にて溶出し、分画物1から分画物11を得た。得られた11分画物のうち最初の分画物1(乾燥質量30.95g)を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてヘキサン−酢酸エチル(90:10〜0:100のグラジエント)にて溶出し、分画物1−1から分画物1−9を得た。このうちの分画物1−4、分画物1−5について結晶化、HPLC分取(日本分光 PU−1580,UV−1575、カラム;KANTO Mightysil RP−8 GP 250−20、移動層;アセトニトリル:蒸留水=80:20(容量比)、流速8mL/min、検出UV210nm、温度;室温。最初のピーク(0〜10分程度に出現)に着目して分取)を繰り返して精製し、乾燥させた(サンプル1)。なお、すべての分画物から得られたサンプル1の総量は、乾燥後質量3242.4mgであった(原料のチャボガヤ総量に対して0.154%)。
成分の構造解析
精製した結晶(サンプル1)をクロロホルム−d(和光純薬製;以下、CDCl3と略す。)に溶解後、プロトン核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance;以下、NMRと略す。)分析をプロトンNMR装置(日本電子製 JEOL α−500 NMR spectrometer;500MHz)にてテトラメチルシラン(和光純薬製;以下、TMSと略す。)を基準に、CDCl3を用いて測定した。結果は表1に示す通りであった。
また、質量分析(Mass Spectrometry;以下、MSと略す。)は質量分析計(JEOL HX110 mass spectrometer)を用いて測定した。
MSの結果より、サンプル1は分子量C20302を有する化合物と確認できた。プロトンNMR(以下、1H−NMR)より、δ=0.64ppm,δ=1.25ppm,δ=1.83ppmに3本のメチル基の存在が認められ、δ=1.83ppmは背が低く、低磁場にシフトしているのでメチンとロングレンチした二重結合上のメチル基とわかった。δ=4.49ppm,δ=4.85ppmのブロードシングレットからエキソメチレンの存在が確認できた。また、δ=5.08ppm,δ=5.17ppmのダブレットからビニル基のエキソメチレンの存在が確認でき、δ=6.80ppmのダブルダブレットはJ=17.5Hz,10.5Hzから、このエキソメチレンとシス・トランスでわれたシグナルとわかった。
同時に測定した13C−NMRより、シグナルが20本確認でき、ジテルペンと推測できた。δ=183.54ppmのシグナルからカルボキシル基の存在が確認できた。δ=100〜150ppmにシグナルが6本存在することから二重結合が3つ存在し、高磁場の13本のシグナルはアルカンのCとわかった。
また、直接結合している1Hと13Cの相関を確認するHMQC(Heteronuclear Multiple Quantum Coherence),2結合以上隔ててスピン結合している1Hと13Cの相関を確認するHMBC(Heteronuclear Multiple bond Coherence)の二次元NMRデータから、サンプル1の構造をラブダンタイプのジテルペンの19位にカルボキシル基が結合した8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッド(8(17),12,14−labdatrien−19−oic acid)と決定した。なお、NOE実験(Nuclear Overhauser Effect:核オーバーハウザー効果実験)の結果、12位の2重結合がシスと考えられたので、精製した結晶(サンプル1)は、下記構造式で示され、正式名8(17),12ゼット,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッド(8(17),12Z,14−labdatrien−19−oic acid)、別名 エリオチノイック アシッド(elliotinoic acid)であることが確認された。
Figure 2009023920
Figure 2009023920
抗菌力試験
試験サンプルとしては、実施例1として上記サンプル1、比較例1としてヒノキチオール(和光純薬製)を使用した。
各試験サンプルを、10%エタノール溶液(エタノール;99.5%和光純薬製、試薬特級)に調製後、下記に示す液体培地に溶解又は懸濁して、96穴プレート(SUMILON MS−8096F)に各ウエル100μLの希釈系列(最終濃度1,000ppm〜(2倍希釈系列)〜1.95ppm)を作製した。この培養液に予め定常状態まで(1昼夜)培養した下記の口腔細菌菌液を各1μL接種した。これを37℃、嫌気的条件(N2:80vol%,CO2:10vol%,H2:10vol%)で48時間培養後、目視により細菌の生育を判定した。データは細菌の生育が認められない最小濃度(最小発育阻止濃度;minimal inhibitory concentration;以下、MICと略す。)で示した。結果を表2に示す。
使用菌株及び液体培地組成:
使用菌株:
ストレプトコッカス・ムタンス(S.m.と略記。);
Streptococcus mutans ATCC 25175
アクチノマイセス・ビスコサス(A.v.と略記。);
Actinomyces viscosus ATCC 43146
培地組成:
トッド・ヘウィット・ブロス(ベクトン・ディッキンソン製 和光純薬販売)
3%
ヘミン(シグマ製) 3ppm
メナジオン(和光純薬製) 0.5ppm
残 蒸留水
計 100%
上記組成に調製後、オートクレーブ滅菌(121℃、20分間)したものを培地として供した。
表2の結果より、8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドは、代表的な天然物由来抗菌剤であるヒノキチオールと比較して、上記口腔内細菌に対して優れた抗菌力を有することが確認された。
Figure 2009023920
次に配合例を示す。
なお、以下に示す配合例で用いたチャボガヤ葉酢酸エチル抽出物は実験例1と同様な方法にて調製した酢酸エチル抽出物を供した。
〔配合例1〕練歯磨
炭酸カルシウム 50.00%
グリセリン 20.00
カラゲナン 0.50
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.00
ラウリン酸ジエタノールアミド 1.00
ショ糖モノラウレート 2.00
香料 1.00
サッカリン 0.10
イソプロピルメチルフェノール 0.10
8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッド 0.005
水 残
計 100.00%
〔配合例2〕練歯磨
第2リン酸カルシウム・2水和物 50.00%
グリセリン 20.00
カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.00
ラウリル硫酸ナトリウム 2.00
香料 1.00
サッカリンナトリウム 0.10
チャボガヤ葉酢酸エチル抽出物 1.25
(8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドとして0.05)
水 残
計 100.00%
〔配合例3〕練歯磨
水酸化アルミニウム 45.00%
ゲル化性シリカ 2.00
ソルビット 25.00
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.00
ラウリル硫酸ナトリウム 2.00
香料 1.00
サッカリンナトリウム 0.10
チャボガヤ葉酢酸エチル抽出物 0.05
(8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドとして0.002)
水 残
計 100.00%
〔配合例4〕練歯磨
沈降性シリカ 25.00%
グリセリン 25.00
ソルビット 25.00
ラウロイルポリグリセリンエステル 1.00
ポリオキシエチレン(40)ソルビタンモノラウレート 2.00
香料 1.00
サッカリンナトリウム 0.20
8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッド 0.01
水 残
計 100.00%
〔配合例5〕液状歯磨
水酸化アルミニウム 25.00%
グリセリン 40.00
ソルビット 15.00
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.20
プロピレングリコール 2.00
ラウリル硫酸ナトリウム 1.50
モノラウリン酸デカグリセリル 1.00
香料 1.00
サッカリンナトリウム 0.10
チャボガヤ葉酢酸エチル抽出物 1.25
(8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドとして0.05)
水 残
計 100.00%
〔配合例6〕液状歯磨
沈降性シリカ 20.00%
グリセリン 25.00
ソルビット 35.00
キサンタンガム 0.20
プロピレングリコール 2.00
ラウリル硫酸ナトリウム 1.50
モノラウリン酸デカグリセリル 2.00
香料 1.00
サッカリンナトリウム 0.10
8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッド 0.01
水 残
計 100.00%
〔配合例7〕口腔用パスタ
流動パラフィン 15.00%
セタノール 10.00
グリセリン 20.00
ポリオキシエチレン(40)ソルビタン脂肪酸エステル 5.00
香料 0.50
サッカリンナトリウム 0.10
チャボガヤ葉酢酸エチル抽出物 0.125
(8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドとして0.005)
水 残
計 100.00%
〔配合例8〕洗口液
エタノール 20.00%
香料 1.00
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.30
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.10
サッカリンナトリウム 0.05
8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッド 0.2
水 残
計 100.00%
〔配合例9〕うがい用錠剤
炭酸水素ナトリウム 54.00%
クエン酸 17.00
無水硫酸ナトリウム 13.70
第2リン酸ナトリウム 10.00
ポリエチレングリコール(400) 3.00
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.10
香料 2.00
オレイン酸 0.10
8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッド 0.10
計 100.00%
〔配合例10〕トローチ
ブドウ糖 35.00%
パラチノース 35.00
アラビアゴム 6.00
香料 1.00
8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッド 0.002
デキストラン 0.198
水 残
計 100.00%
〔配合例11〕キャンディ
砂糖 50.00%
水飴 33.00
クエン酸 2.00
香料 0.20
チャボガヤ葉酢酸エチル抽出物 0.25
(8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドとして0.01)
水 残
計 100.00%
〔配合例12〕チューインガム
砂糖 53.00%
ガムベース 20.00
グルコース 10.00
水飴 16.00
香料 0.50
8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッド 0.005
マンニトール 0.495
計 100.00%
〔配合例13〕チューインガム
砂糖 55.00%
ガムベース 20.00
コーンシロップ 12.00
水飴 12.30
香料 0.50
8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッド 0.002
デキストラン 0.198
計 100.00%

Claims (2)

  1. 8(17),12,14−ラブダトリエン−19−オイックアシッドを有効成分とする口腔用抗菌剤。
  2. 請求項1記載の口腔用抗菌剤を含有してなることを特徴とする口腔用組成物。
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