JP2009023896A - 七フッ化ヨウ素の製造法 - Google Patents

七フッ化ヨウ素の製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】 工業的規模の七フッ化ヨウ素の製造において、ヨウ素とフッ素を原料として反応器に投入し、容易にかつ連続的に単一の反応器で効率的、安定的に製造する方法を提供する。
【解決手段】 ヨウ素とフッ素を原料として反応器に投入する際に、局所的な反応を抑制する為に、予め七フッ化ヨウ素が存在している反応器に、フッ素含有ガスとヨウ素含有ガスをそれぞれ供給し、反応器中のガスを循環混合させながら反応させることを特徴とする、七フッ化ヨウ素の製造方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フッ素化剤、あるいは電子産業または原子力産業におけるエッチング、クリーニングガスとして有用な七フッ化ヨウ素の製造法に関するものである。
従来、七フッ化ヨウ素(IF)の製造法としては、加熱した五フッ化ヨウ素(IF)の液中にフッ素(F)ガスを吹き込み、フッ素ガスに同伴された五フッ化ヨウ素を280〜290℃の反応ゾーンを通過させることにより七フッ化ヨウ素を得る方法が知られている(非特許文献1)。また、反応器の前段に設置された気化器を用い、フッ素ガス気流中で五フッ化ヨウ素またはヨウ素(I)を蒸発、混合した後、該混合ガスを両者が反応する温度に加熱した反応器に導入させることにより、七フッ化ヨウ素に転化せしめる方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1には、蒸発器を使用せずに直接反応器に原料とフッ素を投入した場合、導入口付近が赤熱して反応を続けること出来ないと記載されている。一方、五フッ化ヨウ素の製造法として、予め製造した五フッ化ヨウ素液中に固体のヨウ素を分散させた後、20〜30℃に冷却しながらフッ素ガスを吹き込んで五フッ化ヨウ素を製造する方法が提案されている(特許文献2)。上述のように、従来の七フッ化ヨウ素製造法では、予めヨウ素とフッ素から五フッ化ヨウ素を合成し、次にこれとフッ素を反応せしめる2段反応、もしくは、フッ素ガス気流中で五フッ化ヨウ素またはヨウ素を蒸発混合した後、該混合ガスを反応器に導入させることにより、七フッ化ヨウ素に転化せしめるという複雑な操作が必要である。
特開平2−39443号公報 ドイツ特許第2035521号 Ind.Eng.Chem.,42,1383(1950)
ヨウ素とフッ素は、ハロゲン単体で活性な物質であり、取り扱いにも注意を必要とするが、両者とも工業的規模で安全に取り扱えるので、ヨウ素とフッ素を直接反応器に投入し、しかも1段の反応で七フッ化ヨウ素を製造できれば、工業的に極めて有用である。
本発明は、工業規模の七フッ化ヨウ素の製造において、ヨウ素とフッ素を反応器に直接投入し、容易にかつ連続的に1段反応で効率的、安定的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、七フッ化ヨウ素存在下で、気体状のヨウ素とフッ素を連続的に供給し、気相反応により七フッ化ヨウ素を単一の反応器で連続的に効率よく製造できることを見出し、本発明に到ったものである。
ヨウ素とフッ素の直接反応はきわめて激しく反応し、膨大な発熱を発生させるため、従来法のような外部循環装置を有していないピストンフロー形式の反応器では、小規模な反応器でさえ、すぐに赤熱状態に至り反応器は破壊される。しかし、発生する熱量を冷却された多量の循環ガスもしくは撹拌混合ガスで瞬時に希釈すれば、反応温度を一定に保つことができる。
また、ヨウ素とフッ素との反応(1)式とヨウ素と七フッ化ヨウ素の反応(2)式を比較すると後者の反応は前者の反応に比べ、ヨウ素1モル当たりの反応熱が小さいため、比較的穏和に進行する。さらに、連続供給されるヨウ素ガスは循環ガスもしくは撹拌混合ガス中の七フッ化ヨウ素と(2)式にしたがって反応し、(3)式のフッ素との反応によって速やかに七フッ化ヨウ素に転化されるので、反応ガス中には五フッ化ヨウ素はほとんど存在せず、選択的に七フッ化ヨウ素を得ることができる。
+7F→2IF (ΔH = −460kcal/mol) (1)
+5IF→7IF (ΔH = −257kcal/mol) (2)
7IF+7F→7IF (ΔH = −203kcal/mol) (3)
ヨウ素と七フッ化ヨウ素の反応が加わることにより、ヨウ素とフッ素の反応より、はるかに穏和に反応を進行させることが出来ることを見出し、本発明に到ったものである。
すなわち、本発明は、七フッ化ヨウ素が存在している反応器に、フッ素含有ガスとヨウ素含有ガスをそれぞれ供給し、反応器中のガスを循環混合させながら反応させることを特徴とする七フッ化ヨウ素の製造方法を提供するものである。さらには、七フッ化ヨウ素及びフッ素が存在している反応器に、フッ素含有ガスとヨウ素含有ガスをそれぞれ供給し、反応器中のガスを循環混合させながら反応させることを特徴とする七フッ化ヨウ素の製造方法を提供するものである。または、反応器内の循環混合ガス中の七フッ化ヨウ素の濃度が1vol%以上98vol%以下、フッ素の濃度が2vol%以上98vol%以下であることを特徴とする七フッ化ヨウ素の製造方法を提供するものである。
本発明の方法によれば、フッ素とヨウ素から七フッ化ヨウ素を製造する際に、予め七フッ化ヨウ素を共存させることで、局所的な反応を抑制し、穏和な状態で七フッ化ヨウ素を製造することができる。
以下、本発明を更に詳述する。
本発明に使用される装置は、反応器内の循環混合ガス中に気体状のヨウ素とフッ素を連続的に反応器に供給でき、反応器内のガスを取り出せる構造であればよく、反応器には自然放熱もしくは強制冷却機能を有する、内部循環式もしくは外部循環式の反応器が使用できる。反応器の材料は、ニッケル、モネル、インコネル、ハステロイ、アルミニウム、銅、鉄等が使用できるが、高温部は、ニッケル、モネル等が望ましい。
フッ素ガスは、循環ガスで速やかに希釈できるように、供給と同時に内部の循環ガスで希釈される場所に添加することが望ましい。使用するフッ素ガスは、フッ化水素やCF、O等の室温ではフッ素と反応しない化合物が混入していても良く、またN、Ar等の不活性ガスで希釈しても良く、使用するフッ素ガスの純度が2vol%以上であれば良い。また、原料供給前および原料供給時における循環混合ガス中のフッ素濃度は、2vol%未満でも七フッ化ヨウ素を合成することは可能であるが、七フッ化ヨウ素を効率的に合成するためには、2vol%以上が望ましい。また、七フッ化ヨウ素混合による反応の穏和効果を得るためには、フッ素濃度は98vol%以下が望ましい。
七フッ化ヨウ素を選択的に得るためには、フッ素の供給流量は、ヨウ素の供給流量の7倍以上が必要である。7倍未満では、不純物である五フッ化ヨウ素が生成する。
原料供給前および原料供給時における循環混合ガス中の七フッ化ヨウ素は、ごく少量でも効果が見られるが、連続的に製造を行うためには、1vol%以上が望ましい。また、循環混合ガス中のフッ素濃度が2vol%以上が望ましいことから、循環混合ガス中の七フッ化ヨウ素の濃度は98vol%以下にすることが望ましい。
ヨウ素は、加熱、気化し直接的に反応器に供給する。ヨウ素単独でも供給できるが、N、Ar等のキャリアーガスを使用するとさらに容易に供給できる。
キャリアーガス濃度が高すぎるとき、上記に示す循環混合ガス中のフッ素濃度、七フッ化ヨウ素濃度を好ましい条件に維持できなくなる。このため、キャリアーガス中のヨウ素濃度は、0.5vol%以上であることが望まれる。キャリアーガスを使用しない場合、反応器に供給されるヨウ素は、瞬時に反応により消費される。
ガス循環による希釈効果を得るために循環流量は、ヨウ素流量に対して60〜200,000倍、好ましくは、1,000〜100,000倍で行う。
内部循環式もしくは外部循環式の反応器中でのガス滞在時間は、30秒以上あれば良いが、純度の高い七フッ化ヨウ素を得るためには2分以上が望ましい。
反応温度は、100℃〜350℃であればよいが、低温では反応が遅く、高温では七フッ化ヨウ素が解離するため、純度の高い七フッ化ヨウ素を得るためには150〜320℃に保持することが望ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
容積2.3Lのステンレス製容器に和光純薬製のヨウ素1.5kgを充填し、Nパージでステンレス容器内を置換した後、ステンレス製容器を138℃に加熱した。反応器は、Ni製で容積4L(径120mm、長さ400mm)、撹拌機付の内部循環式反応器を使用した。反応器へフッ素、ヨウ素を供給する前に、予め、反応器ヒーターを230℃にした。内部のガス温度も230℃を示した。反応開始前に、撹拌器を900rpmで回転させ、空塔線速0.25m/sec(内部循環流量73.5SLM)の状態でガス循環を行った。反応開始前の反応器内のガス組成は、七フッ化ヨウ素を30vol%、フッ素を30vol%、Nを40vol%にして、全圧を0.88MPaにした。ヨウ素の供給方法は、ステンレス容器中の液体ヨウ素にNガスを13sccmの流量で吹き込ませて、ヨウ素の飽和蒸気圧分をNガス中に混合させて反応器に供給した。Nとヨウ素の混合ガス中のヨウ素濃度は27.7vol%であった。フッ素は、45sccmの流量で、ヨウ素供給口とは、別の場所から供給した。フッ素、ヨウ素を供給後に反応器内の圧力が反応開始前と同じ圧力を保つように、供給口とは別の場所に設けた反応器出口からガスを抜き出した。
フッ素、ヨウ素の供給開始から120min、240min後に、反応器出口ガスをフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)、分光光度計(UV)により分析した。その結果、いずれの時間においても、七フッ化ヨウ素 30vol%、五フッ化ヨウ素 0.5vol%、フッ素 29.8vol%、N 39.7vol%であった。
また、反応時の反応器内部のガス温度は徐々に上がり、20minで一定となった。そのときの反応器内部のガス温度は、235℃であり、反応前に比べると5℃温度が上昇した。
ガス流量以外は、実施例1と同様の方法で実施した。ガスの供給流量は、Nとヨウ素の混合ガスを18sccm、フッ素を55sccmであり、Nとヨウ素の混合ガス中のヨウ素濃度は、27.7vol%で行った。
フッ素、ヨウ素の供給開始から120min、240min後に、反応器出口ガスを分析した。その結果、120min後、240min後ともに、七フッ化ヨウ素 23.1vol%、五フッ化ヨウ素 0.1vol%、フッ素 46.7vol%、N 30.1vol%であった。
また、反応時の反応器内部のガス温度は徐々に上がり、20minで一定となった。そのときの反応器内部のガス温度は、235℃であり、反応前に比べると5℃温度が上昇した。
ガス流量以外は、実施例1と同様の方法で実施した。ガスの供給流量は、Nとヨウ素の混合ガスを18sccm、フッ素を40sccmであり、Nとヨウ素の混合ガス中のヨウ素濃度は、27.7vol%で行った。
フッ素、ヨウ素の供給開始から120min、240min後に、反応器出口ガスを分析した。その結果、120min後、240min後ともに、七フッ化ヨウ素 32.2vol%、五フッ化ヨウ素 1.6vol%、フッ素 20.7vol%、N 45.5vol%であった。
また、反応時の反応器内部のガス温度は徐々に上がり、20minで一定となった。そのときの反応器内部のガス温度は、235℃であり、反応前に比べると5℃温度が上昇した。
反応開始時の反応器内のガス組成、ガス流量以外は、実施例1と同様の方法で実施した。反応開始時のガス組成は、七フッ化ヨウ素を1.5vol%、フッ素を2.5vol%、Nを96vol%、にした。ガスの供給流量は、Nとヨウ素の混合ガスを95sccm、フッ素を55sccmであり、Nとヨウ素の混合ガス中のヨウ素濃度は、5vol%で行った。
フッ素、ヨウ素の供給開始から120min、240min後に、反応器出口ガスを分析した。その結果、120min後は、七フッ化ヨウ素 8.0vol%、五フッ化ヨウ素 0.3vol%、フッ素 15.7vol%、N 76.0vol%であった。240min後は、七フッ化ヨウ素 7.9vol%、五フッ化ヨウ素 0.4vol%、フッ素 15.8vol%、N 75.9vol%であった。
また、反応時の反応器内部のガス温度は、10minまでは上がり、その後は下がり、30minで一定となった。10min後の反応器内部のガス温度は、245℃であり、30min後では240℃であった。
反応開始時の反応器内のガス組成、ガス流量以外は、実施例1と同様の方法で実施した。反応開始時のガス組成は、七フッ化ヨウ素を50vol%、フッ素を2vol%、Nを48vol%、にした。ガスの供給流量は、Nとヨウ素の混合ガスを10sccm、フッ素を45sccmであり、Nとヨウ素の混合ガス中のヨウ素濃度は、50vol%で行った。
フッ素、ヨウ素の供給開始から120min、240min後に、反応器出口ガスを分析した。その結果、120min、240min後は、七フッ化ヨウ素 39.9vol%、五フッ化ヨウ素 0.1vol%、フッ素 40.2vol%、N 19.8vol%であった。
また、反応時の反応器内部のガス温度は、開始から5minまでは上がり、その後は一定となった。5min後の反応器内部のガス温度は、233℃であり、温度上昇は3℃であった。
反応開始時の反応器内のガス組成、ガス流量以外は、実施例1と同様の方法で実施した。反応開始時のガス組成は、七フッ化ヨウ素を2vol%、フッ素を50vol%、Nを48vol%、にした。ガスの供給流量は、Nとヨウ素の混合ガスを10sccm、フッ素を45sccmであり、Nとヨウ素の混合ガス中のヨウ素濃度は、50vol%で行った。
フッ素、ヨウ素の供給開始から120min、240min後に、反応器出口ガスを分析した。その結果、120min、240min後は、七フッ化ヨウ素 39.9vol%、五フッ化ヨウ素 0.1vol%、フッ素 40.2vol%、N 19.8vol%であった。
また、反応時の反応器内部のガス温度は、開始から10minまでは上がり、その後は下がり、30minで一定となった。10min後の反応器内部のガス温度は、245℃であり、30min後の反応器内部のガス温度は233℃であった。
反応開始時の反応器内のガス組成、ガス流量以外は、実施例1と同様の方法で実施した。反応開始時のガス組成は、七フッ化ヨウ素を50vol%、Nを50vol%、にした。ガスの供給流量は、Nとヨウ素の混合ガスを10sccm、フッ素を45sccmであり、Nとヨウ素の混合ガス中のヨウ素濃度は、50vol%で行った。
フッ素、ヨウ素の供給開始から60min、120min、240min後に、反応器出口ガスを分析した。その結果、60min後は、七フッ化ヨウ素 41.7vol%、五フッ化ヨウ素 1.8vol%、フッ素 20.7vol%、N 35.8vol%であった。また、120min、240min後は、七フッ化ヨウ素 39.9vol%、五フッ化ヨウ素 0.1vol%、フッ素 40.2vol%、N 19.8vol%であった。
また、反応時の反応器内部のガス温度は、開始から5minまでは上がり、その後は一定となった。5min後の反応器内部のガス温度は、233℃であり、温度上昇は3℃であった。
反応開始時の反応器内のガス組成、ガス流量以外は、実施例1と同様の方法で実施した。反応開始時のガス組成は、七フッ化ヨウ素 0.8vol%、フッ素を7.2vol%、Nを92vol%、にした。ガスの供給流量は、Nとヨウ素の混合ガスを95sccm、フッ素を55sccmであり、Nとヨウ素の混合ガス中のヨウ素濃度は、5vol%で行った。
フッ素、ヨウ素の供給開始から120min、240min後の反応器出口ガスの分析値は、七フッ化ヨウ素 7vol%、五フッ化ヨウ素 1vol%、フッ素 12.2vol%、N 79.8vol%であった。
また、反応時の反応器内部のガス温度は、開始から20minまでは上がり、その後は一定となった。20min後の反応器内部のガス温度は、235℃であり、温度上昇は5℃であった。
反応開始時の反応器内のガス組成、ガス流量以外は、実施例1と同様の方法で実施した。反応開始時のガス組成は、七フッ化ヨウ素 0.8vol%、Nを99.2vol%にした。ガスの供給流量は、Nとヨウ素の混合ガスを95sccm、フッ素を55sccmであり、Nとヨウ素の混合ガス中のヨウ素濃度は、5vol%で行った。
フッ素、ヨウ素の供給開始から10min後の反応器出口ガスの分析値は、七フッ化ヨウ素 4.2vol%、五フッ化ヨウ素 1vol%、フッ素 8.2vol%、N 86.6vol%であった。また、120min、240min後の反応器出口ガスの分析値は、七フッ化ヨウ素 7vol%、五フッ化ヨウ素 1vol%、フッ素 12.2vol%、N 79.8vol%であった。
また、反応時の反応器内部のガス温度は、開始から20minまでは上がり、その後は一定となった。20min後の反応器内部のガス温度は、235℃であり、温度上昇は5℃であった。
反応開始時の反応器内のガス組成、ガス流量以外は、実施例1と同様の方法で実施した。反応開始時のガス組成は、七フッ化ヨウ素を97vol%、フッ素を3vol%にした。ガスの供給流量は、Nとヨウ素の混合ガスを10sccm、フッ素を45sccmであり、Nとヨウ素の混合ガス中のヨウ素濃度は、50vol%で行った。
反応時の反応器内部の温度は、150minまでにゆっくりと上昇し、一定となった。このときの温度は232℃であった。フッ素、ヨウ素の供給開始から120min、240min後に、反応器出口ガスを分析した。その結果、120min後は、七フッ化ヨウ素 44.9vol%、五フッ化ヨウ素 0.6vol%、フッ素 38.2vol%、N 16.3vol%であった。240min後は、七フッ化ヨウ素 39.9vol%、五フッ化ヨウ素 0.1vol%、フッ素 40.2vol%、N 19.8vol%であった。
反応器は、実施例1の反応器において循環装置として撹拌機を取り外し、外部循環ポンプを取り付けることにより外部循環式反応器として使用した。外部循環ポンプによる循環ガス流量は73.5SLMにした。反応器ヒーター温度、反応開始前ガス組成、全圧、ガス供給方法、ガス流量は実施例1と同じ条件で実施した。反応開始前の反応器内部ガス温度は、230℃であった。
フッ素、ヨウ素の供給開始から120min、240min後に、反応器出口ガスを分析した。その結果、120min後は、七フッ化ヨウ素 29.7vol%、五フッ化ヨウ素 0.5vol%、フッ素 29.9vol%、N 39.9vol%であった。240min後は、七フッ化ヨウ素 29.9vol%、五フッ化ヨウ素 0.6vol%、フッ素 29.1vol%、N 40.4vol%であった。
また、反応時の反応器内部のガス温度は徐々に上がり、25minで一定となった。そのときの反応器内部のガス温度は、236℃であり、反応前に比べると6℃温度が上昇した。
[比較例1]
容積2.3Lのステンレス製容器に和光純薬製のヨウ素1.5kgを充填し、Nパージでステンレス容器内を置換した後、ステンレス製容器を138℃に加熱した。反応器は、Ni製で容積4L(径120mm、長さ400mm)、撹拌機、循環ポンプ等のガス循環装置は付いておらず、ピストンフロー形式のものを使用した。反応器へフッ素、ヨウ素を供給する前に、予め、反応器ヒーター温度を230℃に設定した。反応器内部ガス温度は、230℃に到達した。反応開始前のガス組成は、フッ素を30vol%、Nを70vol%にして、全圧を0.88MPaにした。ヨウ素の供給方法は、ステンレス容器中の液体ヨウ素にNガスを26sccmの流量で吹き込ませて、ヨウ素の飽和蒸気圧分をNガス中に混合させて反応器に供給した。Nとヨウ素の混合気中のヨウ素濃度は16.1vol%であった。
フッ素は、45sccmの流量で、ヨウ素供給口とは、別の場所から供給した。原料供給後に反応器内の圧力が一定となるように、供給口とは別の場所に設けた反応器出口からガスを抜き出した。
反応開始と共に反応器入口付近の温度は急上昇した。60min後には、450℃まで温度が上昇したため、原料供給を停止した。

Claims (3)

  1. 七フッ化ヨウ素が存在している反応器に、フッ素含有ガスとヨウ素含有ガスをそれぞれ供給し、反応器中のガスを循環混合させながら反応させることを特徴とする七フッ化ヨウ素の製造方法。
  2. 七フッ化ヨウ素及びフッ素が存在している反応器に、フッ素含有ガスとヨウ素含有ガスをそれぞれ供給し、反応器中のガスを循環混合させながら反応させることを特徴とする七フッ化ヨウ素の製造方法。
  3. 反応器内の循環混合ガス中の七フッ化ヨウ素の濃度が1vol%以上98vol%以下、フッ素の濃度が2vol%以上98vol%以下である請求項2記載の七フッ化ヨウ素の製造方法。
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