JP2006265057A - フッ素循環方式による七フッ化ヨウ素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 混合部を簡略化でき、流量及び発熱反応の制御により安定した七フッ化ヨウ素の製造を可能とする。機器の腐食を大幅に低減し、フッ素ガスの廃棄量を低減し、漏洩を防止して安全性を高める。
【解決手段】 フッ素ガスと予めガス化した五フッ化ヨウ素ガスを混合し、両者の反応温度以上の温度に加熱した反応器20に導入して反応させ、反応生成物である七フッ化ヨウ素を冷却捕集し、未反応の五フッ化ヨウ素を冷却捕集して原料として再使用すると共に、未反応のフッ素ガスを原料としてコンプレッサ50で循環供給することにより七フッ化ヨウ素を製造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、一方の原料であるフッ素ガスの廃棄を抑えるため、フッ素ガスを循環供給するとともに、他方の原料である五フッ化ヨウ素をガス化させ、両者をガスの状態で混合し反応させるようにした七フッ化ヨウ素を製造する方法に関するものである。
七フッ化ヨウ素は、酸化されたフッ素化ハロゲン化合物であり、固体ウラン化合物の除去などに用いられている。例えば、原子力プラント内で固体ウラン化合物が生成され配管内などに多量に滞留していると、解体時の作業員の被ばくの問題が生じ、放射性廃棄物の取り扱い上においても制約が生じる。そこで、配管内に七フッ化ヨウ素を導入し、固体ウラン化合物をUF6 (六フッ化ウラン)ガスに転換して除去している。
七フッ化ヨウ素の製造では、原料としてフッ素ガスと五フッ化ヨウ素を用いる。従来技術では、フッ素ガス気流中に、五フッ化ヨウ素を液滴の状態として蒸発器で加え蒸発し、両者の反応温度以上の温度に加熱された反応器に導入して反応させる方法が採用されている(特許文献1参照)。つまり従来技術は、気体(フッ素)−液体(五フッ化ヨウ素)反応による製造方法である。
この製造方法では、反応器前部にある蒸発器にフッ素ガスの気流を作り、液体のフッ化ヨウ素を滴下するが、この時の滴下液量の制御が複雑で非常に難しい。また、五フッ化ヨウ素は、蒸発器で液体から気体へ状態変化を起こし、気体の外周部でのみフッ素と反応する。ところが、この状態変化の制御が難しいため、反応による発熱の制御が蒸発器から反応器にわたり複雑なものとなる。
また、この製造方法では、未反応の五フッ化ヨウ素は冷却回収され、再度原料として供給されるが、フッ素ガスについては処理され廃棄されている。
特開2000−159505号公報
本発明が解決しようとする課題は、上記のような従来技術では、蒸発器が複雑化し制御が難しい点、安定した製造が難しい点、廃棄物量が多い点などである。
本発明は、フッ素ガスと予めガス化した五フッ化ヨウ素ガスを合流し、両者の反応温度以上の温度に加熱した反応器に導入して反応させ、反応生成物である七フッ化ヨウ素を冷却捕集し、未反応の五フッ化ヨウ素を冷却捕集して原料として再使用すると共に、未反応のフッ素ガスを原料としてコンプレッサで循環供給することを特徴とするフッ素循環方式による七フッ化ヨウ素の製造方法である。ここで、五フッ化ヨウ素のボンベを加温してガス化させ、加温した配管ラインを通して五フッ化ヨウ素をガス化したままの状態で反応器入口部に導き、フッ素ガスと合流させて混合し、大気圧以下の反応器内に導入するのが好ましい。また、反応器入口部における五フッ化ヨウ素とフッ素ガスの混合については、フッ素ガスを反応器入口部に供給し、その後フッ素ガスの供給を一旦停止した上で、反応器入口部のフッ素ガスの圧力よりも高い圧力で五フッ化ヨウ素を供給することで行うのが好ましい。
本発明は、気体(フッ素)−気体(五フッ化ヨウ素)反応による方法であるので、混合部を簡略化できるし、混合させる原料が共に気体状態であるので、圧力により安定した流量の制御が可能となり、発熱反応を容易に制御することができる。また、フッ素ガスと五フッ化ヨウ素ガスの反応は等モル反応であり、反応器内部では気体の体積が減少するためコンプレッサなどを用いなくても効率よく連続的に原料を供給することができる。これらの結果、安定した七フッ化ヨウ素の製造が可能となる。
上記のように本発明では、発熱反応を容易に制御できるため、機器の腐食を大幅に低減することができる。また、未反応のフッ素ガスを循環再供給するため有効利用が可能となり、フッ素ガスの廃棄量を低減でき、処理する薬剤などの廃棄物量を低減できる。更に、気体による供給方法であるから、設備内を大気圧以下で運転を行うことで、漏洩を防止し安全性を高めることができる。
本発明では、フッ素ガスと五フッ化ヨウ素ガスを混合する。五フッ化ヨウ素は、そのボンベを加温することでガス化させ、加温した配管ラインを通して五フッ化ヨウ素をガス化したままの状態で反応器入口部に導き、フッ素ガスと合流させて混合する。そして、フッ素ガスと五フッ化ヨウ素ガスを、大気圧以下で且つ両者の反応温度以上の温度に加熱した反応器に導入して反応させる。反応生成物である七フッ化ヨウ素を冷却捕集し、未反応の五フッ化ヨウ素は冷却捕集して原料として再使用する。また、未反応のフッ素ガスは原料としてコンプレッサで循環再供給する。
本発明方法を実施するための製造設備の概略を図1に示す。図中、実線は製造ラインを表し、破線は回収・排気ラインを表している。
原料は五フッ化ヨウ素(IF5 )とフッ素ガス(F2 )である。それらはボンベに充填されて設置される。IF5ボンベ10は、その上部・下部・底部に電気ヒータ(マントルヒータ)12が装着されており、IF5供給用流量調節弁14及びIF5バッファタンク16を介して反応器20の入口部に接続される。図示していないが、このIF5ボンベ10から反応器20に至るIF5配管は、電気ヒータを装着して加温できるようになっている。F2ボンベ30は、F2供給用流量調節弁32及びF2バッファタンク34を介して反応器20の入口部に接続される。このようにして、原料である五フッ化ヨウ素ガス(IF5 )とフッ素ガス(F2 )は、反応器20の入口部で合流する。
反応器20の出口側にはIF5コールドトラップ40が接続され、更に入口電動弁42を介してIF7コールドトラップ44が接続され、出口電動弁46及びF2循環用流量調節弁48を介して循環用コンプレッサ50に接続され、F2バッファタンク34に戻される。
IF5コールドトラップ40は、弁60を介してIF5回収ボンベ62に接続される。またIF7コールドトラップ44の入口電動弁42の入口側には、弁64を介してIF7回収ボンベ66に接続される。
循環用コンプレッサ50とF2バッファタンク34の間から、弁68を介してブースタポンプ70、ケミカルトラップ72、ロータリポンプ74が接続され、排気される。
ここで反応器20は、腐食防止などの観点から例えばニッケルで製作され、その他の機器はステンレス鋼などで製作される。配管や弁などには、モネル、ニッケル、ステンレス鋼などを用いる。
IF5ボンベ10は電気ヒータ12により93〜97℃程度に加温され、それによって五フッ化ヨウ素はガス化する。五フッ化ヨウ素ガスの流量は、IF5バッファタンク16の入口側のIF5供給用流量調節弁14によって、例えば50〜80g/分程度に圧力制御される。なお、IF5バッファタンク16は、IF5ボンベ10からの五フッ化ヨウ素ガス発生量は必ずしも一定ではないので、それによる圧力変動を反応器20に生じさせないために設けている。フッ素ガスについては、例えばF2バッファタンク34の入口側のF2供給用流量調節弁32によって供給流量を約4.5g/分に、循環用コンプレッサ50の入口側のF2循環用流量調節弁48で循環流量を約2.5g/分に流量制御される。F2バッファタンク34も、F2ボンベ30から供給されるフッ素と循環されるフッ素に圧力差があるため圧力変動が生じるので、この圧力変動を反応器20に生じさせないために設けている。
反応器20は、ヒータ加熱により約230℃を維持するように自動温度制御する。図2に示すように、配管を合流することにより、五フッ化ヨウ素ガスとフッ素ガスを反応器20の入口部で合流・混合させる。合流・混合方法は、フッ素ガスの供給を先に行い、後から五フッ化ヨウ素ガスを供給するように行う。五フッ化ヨウ素供給前は、一度フッ素の供給を停止する。その後、設備内のフッ素の圧力より五フッ化ヨウ素の発生圧力を約20hpa高く設定し供給を開始する。供給開始後、七フッ化ヨウ素が生成されると、フッ素量が減少し圧力が下がる。その状態になった後、フッ素の連続供給を行う。
反応器20の入口部で合流・混合したフッ素・五フッ化ヨウ素を、約230℃に加熱制御された大気圧以下の反応器20内に導入すると、フッ素(気体)と五フッ化ヨウ素(気体)の接触部分にて反応が生じ、七フッ化ヨウ素(気体)が生成される。ヒータによる反応器20の加熱は、フッ素ガスと五フッ化ヨウ素ガスとの反応を促すために行われるものである。外部から与える熱が高ければ、反応による発熱量が多くなる。そこで、反応器20のヒータ温度を一定に制御することで、発熱を抑えている。
反応器20の出口側から流出するガスは、未反応の五フッ化ヨウ素ガス、製品の七フッ化ヨウ素ガス、及び未反応のフッ素ガスであり、それぞれのガスが異なる温度で液化することを利用して以下のように分離・回収する。五フッ化ヨウ素はIF5コールドトラップ40で冷却捕集され、七フッ化ヨウ素はIF7コールドトラップ44で冷却捕集され、フッ素ガスは循環用コンプレッサ50によってF2バッファタンク34に戻される。IF5コールドトラップ40に溜まった五フッ化ヨウ素は、IF5回収ボンベ62へ移送(回収)される。IF7コールドトラップ44に溜まった七フッ化ヨウ素は、冷却から加熱に切り替えることでガス化させ、IF7回収ボンベ66へ移送(回収)する。
排気系は、(1)ボンベ交換時の排気、(2)1日の製造終了後のフッ素の排気の2つの使用方法がある。大気放出するガスは、(1)については真空排気・窒素パージを主とし空気又は窒素を放出する。(2)においては、フッ素を処理剤により吸着させて排気を行い、大気への放出は行わない。ここでは、処理剤として活性アルミナ(Al2 3 )を用いている。フッ素は空気と接触するとフッ化水素(HF)を発生する。大気に放出する場合、排気ガス中に含まれるHF量に制限があり、規定値以下にするために吸着処理を行っている。
本発明方法では、原料の五フッ化ヨウ素を予めガス化することにより、生成時の反応圧力が設定圧力に対して±50hpaで推移し、安定した制御が可能である。また生成時における過度の反応を抑制し、反応器温度の変動を極力抑えることができる。そのため、約800時間運転後も腐食現象は確認されていない。
本発明ではフッ素ガスを循環使用するため、フッ素ガスの使用量はワンススルーの廃棄方式に比べ時間当たり約1/3となった。また、廃棄するフッ素ガス量もワンススルーの廃棄方式に比べ1日当たり約1/10に低減できた。
本発明で用いる七フッ化ヨウ素製造設備の概略図。 反応器の説明図。
符号の説明
10 IF5ボンベ
20 反応器
30 F2ボンベ
40 IF5コールドトラップ
44 IF7コールドトラップ
50 循環用コンプレッサ
62 IF5回収ボンベ
66 IF7回収ボンベ

Claims (3)

  1. フッ素ガスと予めガス化した五フッ化ヨウ素ガスを合流し、両者の反応温度以上の温度に加熱した反応器に導入して反応させ、反応生成物である七フッ化ヨウ素を冷却捕集し、未反応の五フッ化ヨウ素を冷却捕集して原料として再使用すると共に、未反応のフッ素ガスを原料としてコンプレッサで循環供給することを特徴とするフッ素循環方式による七フッ化ヨウ素の製造方法。
  2. 五フッ化ヨウ素のボンベを加温してガス化させ、加温した配管ラインを通して五フッ化ヨウ素をガス化したままの状態で反応器入口部に導き、フッ素ガスと合流させて混合し、大気圧以下の反応器内に導入する請求項1記載のフッ素循環方式による七フッ化ヨウ素の製造方法。
  3. 反応器入口部における五フッ化ヨウ素とフッ素ガスの混合については、フッ素ガスを反応器入口部に供給し、その後フッ素ガスの供給を一旦停止した上で、反応器入口部のフッ素ガスの圧力よりも高い圧力で五フッ化ヨウ素を供給するように行う請求項2記載のフッ素循環方式による七フッ化ヨウ素の製造方法。
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