JP2007182359A - アンモニアの回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃水中から再利用可能な状態で純度よくアンモニアを高い回収率で回収でき、かつ、廃水の種類に限定されず回収することのできるアンモニアの回収方法を提供する。
【解決手段】アンモニア及び/又はアンモニウムイオンを含有する廃水を導入した反応槽1内のヘッドスペースガスを減圧吸引して廃水中からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを揮散させるアンモニア揮散工程と、アンモニア揮散工程で揮散したアンモニアガスを液化するアンモニア液化工程とを備えた。好ましくは、アンモニア揮散工程において、ヘッドスペースガスを5kPa以下まで減圧吸引する。
【選択図】図1
【解決手段】アンモニア及び/又はアンモニウムイオンを含有する廃水を導入した反応槽1内のヘッドスペースガスを減圧吸引して廃水中からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを揮散させるアンモニア揮散工程と、アンモニア揮散工程で揮散したアンモニアガスを液化するアンモニア液化工程とを備えた。好ましくは、アンモニア揮散工程において、ヘッドスペースガスを5kPa以下まで減圧吸引する。
【選択図】図1
Description
本発明は、廃水中からアンモニアを回収する方法に関する。
従来、廃水中からアンモニアをアンモニアガスとして除去する方法としては、アンモニアを含む廃水中に水酸化ナトリウムなどの薬剤を添加してアルカリ性とした後、加温しながら散気管などで空気曝気して、アンモニアと空気を接触させ、空気をキャリアガスとしてストリッピングする方法が一般的となっている(例えば、特許文献1を参照)。しかし、このストリッピングする方法では、空気を接触させ、空気をキャリアガスとして用いて、アンモニアガスを揮散させる方法であるため、ストリッピングガス中のアンモニアは、大量の空気と水蒸気で希釈され、この希薄アンモニアガスを有効に回収して利用する方法が無かった。
また、廃水中から一旦除去したアンモニアガスを捕集して回収し、回収したアンモニアを水素と窒素に分解して水素を燃料電池に供給して電気エネルギーに変換し再利用する方法が開示されている(特許文献2)。しかし、ここで開示されている方法は、アンモニアと空気を接触させ、廃水を加熱などして、空気をキャリアガスとしてストリッピングする方法であるので、前記の方法と同様に大量の空気と水蒸気で希釈されてしまい、この希薄アンモニアガスからアンモニアを有効に利用することができない。
なお、希薄アンモニアガスの捕集方法として、例えば、アンモニアを硫酸などの酸に吸収させて捕集する方法も知られているが、アンモニア吸収液から再びアンモニアガスを分離しなければならず、また、この希薄アンモニアガスを沸点以下まで冷却して液体アンモニアとして分離して回収しようとしても大量の空気と水蒸気のため経済的に液体アンモニアとして分離回収できないという問題があった。さらに、ゼオライトなどの吸着剤でこの希薄アンモニアガスを吸着して除去する方法も知られており、この方法によれば、アンモニアガスを吸着剤に濃縮できるが、等温吸着平衡の関係から気相中のアンモニアガス濃度が薄いほど気相中からのアンモニア吸着除去率が低下するためアンモニア回収率が低下してしまうという問題があった。併せて、ゼオライトの性質上、アンモニアとゼオライトの吸着が化学吸着に近く、アンモニアを加熱脱着させるために多大なエネルギーを加えても実用的な回収率が得られず、また同時に水蒸気もアンモニア以上の平衡量でゼオライトに吸着しているため大量の水蒸気も脱着されてしまい、このアンモニアガスと大量の水蒸気を効率よく経済的に分離しなければならないという問題があった。
このように、従来、廃水中からアンモニアを経済的に回収して、この回収したアンモニアを利用する方法がないという問題があった。
特開平5−138156号公報
特開2005−21743号公報
そこで、本発明は、廃水中から再利用可能な状態で純度よくアンモニアを高い回収率で回収でき、かつ、廃水の種類に限定されず回収することのできるアンモニアの回収方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1記載のアンモニアの回収方法は、アンモニア及び/又はアンモニウムイオンを含有する廃水を導入した密閉容器内のヘッドスペースガスを減圧吸引して該廃水中からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを揮散させるアンモニア揮散工程と、このアンモニア揮散工程で揮散したアンモニアガスを液化するアンモニア液化工程とを有することを特徴とする。
本発明の請求項2記載のアンモニアの回収方法は、請求項1において、前記アンモニア揮散工程において、ヘッドスペースガスを5kPa以下まで減圧吸引することを特徴とする。
本発明の請求項3記載のアンモニアの回収方法は、請求項1又は2記載において、前記廃水を中和し、含有するアンモニア及び/又はアンモニウムイオンのモル量に対して約当量のアルカリを加えてから密閉容器内に導入する廃水導入工程を有することを特徴とする。
本発明の請求項4記載のアンモニアの回収方法は、請求項1又は2において、前記密閉容器内で前記廃水を中和し、含有するアンモニア及び/又はアンモニウムイオンのモル量に対して約当量のアルカリを加える廃水調整工程を有することを特徴とする。
本発明の請求項5記載のアンモニアの回収方法は、請求項1又は2において、前記アンモニア揮散工程において、pHを9〜11に維持するようにアルカリを加えながらヘッドスペースガスを減圧吸引することを特徴とする。
本発明の請求項6記載のアンモニアの回収方法は、請求項1〜5のいずれか1項において、前記アンモニア揮散工程において、前記密閉容器のヘッドスペースガス出口においてヘッドスペースガスを冷却することを特徴とする。
本発明の請求項7記載のアンモニアの回収方法は、請求項1〜6のいずれか1項において、前記アンモニア揮散工程において、前記密閉容器内の廃水を加温することを特徴とする。
本発明の請求項8記載のアンモニアの回収方法は、請求項1〜7のいずれか1項において、前記アンモニア液化工程において、アンモニアガスを加圧装置により所定圧力まで加圧してアンモニアガスを液化させることを特徴とする。
本発明のアンモニアの回収方法によれば、廃水中から再利用可能な状態で純度よくアンモニアを高い回収率で回収でき、かつ、廃水の種類に限定されずアンモニアを回収することができる。
以下、本発明のアンモニアの回収方法の実施形態について説明する。
図1は、本発明のアンモニアの回収方法に用いられる装置の一例を示す概略図である。なお、本発明のアンモニアの回収方法に用いられる装置の構成は、本実施形態に限定されず、より経済的にアンモニアを回収することができるように種々変更可能である。
図1において、1は廃水を処理する密閉容器としての反応槽であり、この反応槽1の上部の出口には還流冷却器2、その下流には真空ポンプ3、冷却トラップ管4、バッファータンク5、コンプレッサー6、凝縮器7、圧力容器8が順に接続している。
還流冷却器2の冷媒温度は反応槽1内部の廃水温度との差が大きいほど効率よく水蒸気が分離される。冷却トラップ管4は還流冷却器2で除去し切れなかった水分を除去する目的で設けられるが、還流冷却器2の能力によっては冷却トラップ管4を省略してもよい。また、バッファータンク5についても、コンプレッサー6の能力によっては省略可能である。
さらに、アンモニアの液化は、温度と圧力で決定されるので、常温であっても所定の液化圧力があれば、冷却を必要としない。したがって、コンプレッサー6の能力によっては、凝縮器7による冷却を省略してもよい。あるいは、加圧せずに液体アンモニアの沸点以下まで冷却しても液体アンモニアとして回収できるので、凝縮器7の能力によっては、コンプレッサー6を省略してもよい。
また、反応槽1の内部には、投げ込みヒーター9とサーモスタット10が取り付けられている。投げ込みヒーター9は反応槽1の底部に取り付けられ、導入された廃水を底部から加温するように構成されている。そして、サーモスタット10でヒーター9の通電が制御され、廃水の温度制御が可能に構成されている。また、反応槽1には真空計11が設置されるとともに、反応槽1の外壁面は断熱材12で覆われている。
また、還流冷却器2と真空ポンプ3との間には三方弁13aが設けられ、三方弁13aの一方はストップバルブ14aに接続している。同様に、冷却トラップ管4とバッファータンク5との間には三方弁13bとストップバルブ14b、バッファータンク5とコンプレッサー6との間には三方弁13cとストップバルブ14cが設けられている。コンプレッサー6と凝縮器7との間の配管は分岐しており、分岐した先にはストップバルブ14dが設けられている。凝縮器7と圧力容器8との間にはストップバルブ14eが設けられ、さらに圧力容器8には開放弁15を経由してストップバルブ14fが設けられ、圧力計16が設置されている。また、反応槽1の真空計11の先にはストップバルブ14gが設けられている。
また、冷却トラップ管4、凝縮器7、圧力容器8には、それぞれ冷媒ジャケット17a、17b、17cが設けられている。
アンモニアを回収する場合には、アンモニア揮散工程において、反応槽1内のヘッドスペースガスを減圧吸引して、廃水中からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを揮散させる。そして、このアンモニア揮散工程で揮散したアンモニアガスを、アンモニア液化工程において液化する。
アンモニア揮散工程においては、アンモニア及び/又はアンモニウムイオンを効率よく揮散させるために、真空ポンプ3でヘッドスペースガスを5kPa以下まで減圧吸引するのが好ましい。
なお、アンモニア揮散工程に先立って廃水導入工程を設け、廃水を中和し、含有するアンモニア及び/又はアンモニウムイオンのモル量に対して約当量のアルカリを加えてから密閉容器内に導入するようにしてもよい。あるいは、廃水導入工程に代わりに廃水調整工程を設け、反応槽1内で廃水を中和し、含有するアンモニア及び/又はアンモニウムイオンのモル量に対して約当量のアルカリを加えるようにしてもよい。さらに、アンモニア揮散工程において、pHを9〜11に維持するようにアルカリを加えながらヘッドスペースガスを減圧吸引するようにしてもよい。このように、廃水をアルカリ性とすることによって、アンモニウムイオンがアンモニアとして遊離し、効率よくアンモニア及び/又はアンモニウムイオンが揮散する。また、アンモニア揮散工程において、反応槽1内の廃水を投げ込みヒーター9により加温することにより、効率よくアンモニア及び/又はアンモニウムイオンが揮散する。
また、アンモニア揮散工程において、反応槽1のヘッドスペースガス出口において、還流冷却管2によってヘッドスペースガスを冷却する。この操作によって、アンモニアガスと同時に吸引されるミストや水蒸気などの不純物が反応槽1内に戻り、アンモニアガスの純度が向上する。さらに、アンモニア液化工程において、アンモニアガスをコンプレッサー6により所定圧力まで加圧して、凝縮器7でアンモニアガスを液化させる。この操作によって、ヘッドスペースガス中の空気ガスなどの不純物が分離され、高純度のアンモニアが圧力容器8に回収される。
なお、常圧でも沸騰、還流冷却させればアンモニアを回収できるが、アンモニア回収のためのエネルギー効率が悪い。これに対して、本発明の減圧アンモニアストリッピングによれば、減圧、還流冷却させることによって水蒸気とアンモニアを分離して効率よくアンモニアを回収できる。
また、減圧時、反応槽1内の廃水を攪拌機で攪拌してもよい。なお、反応層1の下部に設けた投げ込みヒーター9の加熱による熱対流によっても攪拌される。さらに、突沸防止用にSUSボールなどを加えてもよい。
また、ヒートポンプを用いて、反応層1内の加熱と、還流冷却器2、冷却トラップ4、凝縮器7、圧力容器8などの冷却を行うように構成してもよい。あるいは、回収したアンモニアを冷媒とした冷却装置を用いて還流冷却器2、冷却トラップ4、凝縮器7、圧力容器8などの冷却を行い、冷却で熱交換後のアンモニアガスをコンプレッサー圧縮し、圧縮ガスの熱を反応槽1内の廃水の加温用に使用するように構成してもよい。
以下、具体的な実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
LED産業から排出されたアンモニアを82g/リットル含有する酸性硫酸アンモニウム廃水25リットルを約10モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和し、その後この廃水中に含有するアンモニアのモル量に対して約10モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液をやや過剰に加えて均一に混合した。このときのアルカリ硫酸アンモニウム廃水の液量は約40リットルでアンモニア濃度は51g/リットルであった。このアルカリ硫酸アンモニウム廃水を全容量約52リットルの反応槽1に全量導入した。
その後、反応槽1を密閉した。密閉後の反応槽1内のアルカリ硫酸アンモニウム廃水とのヘッドスペース容積は、約12リットルであった。還流冷却器2に0℃冷媒を流し、アルカリ硫酸アンモニウム廃水を投げ込みヒーター9とサーモスタット10で40℃に加熱制御しながら、真空ポンプ3で徐々に2kPaまで減圧してヘッドスペースガスを排気した。そして、真空ポンプ3から排気されたヘッドスペースガス中のアンモニアガスから、0℃冷媒による冷却トラップ管4で更に水分を除いた。
その後、約10リットルのバッファータンク5を経由したヘッドスペースガスをコンプレッサー6により加圧し、0℃冷媒による凝縮器7に通して液化し、同じく0℃冷媒により冷却された耐圧容器8に液化アンモニアとして回収した。0℃、0.68MPaで液化しないアンモニア以外の空気ガスなどの不純物を、耐圧容器8に取り付けられた0.68MPaの開放弁15から排出した。
減圧を開始してから2時間で回収操作を止め、反応槽1内に残留していた廃水中のアンモニア濃度を測定した。その結果、廃水中のアンモニアは1.7g/リットルまで除去され減少していた。還流冷却器2を通過したヘッドスペースガスを更に冷却トラップ管4で除湿操作を行ったが殆ど除湿されていなかった。また、耐圧容器8中に重量で約2000g、容積で約1.4リットルの液体アンモニアが回収され、水分を1.4%含んでいた。また、耐圧容器8の開放弁から排出されたガスをテドラーバッグに捕集してガス量を測定した。その結果、常圧で約10リットル排出されており、そのガス成分は微量のアンモニアガスを含む空気ガスであった。
以上のように、本発明によるアンモニアの回収方法によりLED産業から排出された酸性硫酸アンモニウム廃水中に含有していたアンモニアは廃水中から約97%の割合で除去され、この除去されたアンモニアの99%以上を液体アンモニアとして純度よく回収できた。
シリコン関連産業から排出されたフッ化アンモニウム廃液に塩化第一鉄溶液などの凝集剤を加えて水酸化カルシウムで凝集中和し、フッ素をフッ化カルシウムとして除いた脱水濾液35リットルと、脱水濾液中に含有するアンモニアのモル量に対して約10モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液をやや過剰に加えて均一に混合した。このアルカリ廃水の液量は約38リットルでアンモニア濃度は14g/リットルであった。
この廃水を反応槽1に全量導入して密閉し、密閉後の反応槽1内におけるヘッドスペース容積が約14リットルであったこと以外、実施例1と全く同様の操作条件でアンモニアの回収を行った。
その後、反応槽1内に残留していた廃水中のアンモニア濃度を測定した。廃水中のアンモニアは1.1g/リットルまで除去され減少していた。また、冷却トラップ管4でも殆ど除湿されていなかった。耐圧容器8中に重量で約500g、容積で約0.35リットルの液体アンモニアが回収され、水分を1.5%含んでいた。また、耐圧容器8の開放弁から排出されたガス量は、常圧で約2.5リットルであった。そのガス成分は、実施例1同様に微量のアンモニアガスを含む空気ガスであった。
シリコン関連産業から排出されたフッ化アンモニウム廃液中に含有していたアンモニアは、実施例1と同様、廃水中から約92%の割合で除去され、この除去されたアンモニアの99%以上を液体アンモニアとして純度よく回収できた。
1 反応槽(密閉容器)
Claims (8)
- アンモニア及び/又はアンモニウムイオンを含有する廃水を導入した密閉容器内のヘッドスペースガスを減圧吸引して該廃水中からアンモニア及び/又はアンモニウムイオンを揮散させるアンモニア揮散工程と、このアンモニア揮散工程で揮散したアンモニアガスを液化するアンモニア液化工程とを有することを特徴とするアンモニアの回収方法。
- 前記アンモニア揮散工程において、ヘッドスペースガスを5kPa以下まで減圧吸引することを特徴とする請求項1記載のアンモニアの回収方法。
- 前記廃水を中和し、含有するアンモニア及び/又はアンモニウムイオンのモル量に対して約当量のアルカリを加えてから密閉容器内に導入する廃水導入工程を有することを特徴とする請求項1又は2記載のアンモニアの回収方法。
- 前記密閉容器内で前記廃水を中和し、含有するアンモニア及び/又はアンモニウムイオンのモル量に対して約当量のアルカリを加える廃水調整工程を有することを特徴とする請求項1又は2記載のアンモニアの回収方法。
- 前記アンモニア揮散工程において、pHを9〜11に維持するようにアルカリを加えながらヘッドスペースガスを減圧吸引することを特徴とする請求項1又は2記載のアンモニアの回収方法。
- 前記アンモニア揮散工程において、前記密閉容器のヘッドスペースガス出口においてヘッドスペースガスを冷却することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のアンモニアの回収方法。
- 前記アンモニア揮散工程において、前記密閉容器内の廃水を加温することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のアンモニアの回収方法。
- 前記アンモニア液化工程において、アンモニアガスを加圧装置により所定圧力まで加圧してアンモニアガスを液化させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のアンモニアの回収方法。
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