JP2009023621A - 車両用サスペンション装置 - Google Patents

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Wataru Ikukoshi
渉 生越
Yusuke Kageyama
雄介 影山
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Abstract

【課題】車両の加減速時ピッチング挙動の抑制と、突起乗り上げ時の振動低減とを実現し得るサスペンションジオメトリを持った車両用サスペンション装置を提供する。
【解決手段】アクスル部材1Lよりも上方で車体および部材1L間に延在するA型アッパーアーム部材2と、部材1Lよりも下方で車体および部材1L間に延在する第1ロアリンク部材3、第2ロアリンク部材4、および第3ロアリンク部材5とで部材1Lを車体に上下方向変位可能に懸架する。部材3の車体側取り付け点3aを部材4,5の車体側取り付け点4a,5aよりも車両前方に位置させ、且つ、部材3の車体側取り付け点3aをアクスル部材側取り付け点3bよりも下方に位置させる。また、部材3の車体側取り付け点3aを、部材4のアクスル部材側取り付け点4bよりも上方に位置させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、車輪を車体に対して上下方向変位可能(サスペンションストローク可能)に懸架するための車両用サスペンション装置、特に、前輪を車体に対し懸架するフロントサスペンション装置として有用な車両用サスペンション装置に関するものである。
車両用サスペンション装置としては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが知られている。
この車両用サスペンション装置は、車両の旋回走行中にタイヤを介して路面から車輪に横力が作用するとき、ホイールアライメントがトーイン方向に変化するようなサスペンションジオメトリを提供するリンク配置となしたものである。
かかる従来の車両用サスペンション装置にあっては、車両の旋回走行中に発生する横力でホイールアライメントがトーイン方向に変化することにより、車両の旋回操縦安定性を向上させることができる。
特開2005−225382号公報
しかし、車両用サスペンション装置に要求される特性は上記のような車両の旋回操縦安定性のみに非ず、車両の加減速時におけるピッチング挙動の抑制や、車輪の突起乗り上げ時における振動低減や、旋回走行時におけるローリング挙動の抑制をも実現可能な特性を持ったサスペンション装置であるのが好ましい。
ところで前記した従来のサスペンション装置では、前記したとおり車両の旋回操縦安定性を向上させることができるも、車両の加減速時におけるピッチング挙動の抑制や、車輪の突起乗り上げ時における振動低減や、旋回走行時におけるローリング挙動の抑制は、これらを実現し得るものでなかった。
本発明は、上記の実情に鑑み、少なくとも車両の加減速時におけるピッチング挙動の抑制と、突起乗り上げ時における振動低減とを実現し得るサスペンションジオメトリを持った車両用サスペンション装置を提案することを目的とする。
この目的のため、本発明による車両用サスペンション装置は、請求項1に記載のごとくに構成する。
まず本発明の前提となるサスペンション装置は、
車輪を回転自在に支持する軸部を有したアクスル部材を、該アクスル部材から車幅方向内方へ延在する複数のリンクにより車両上下方向へ変位可能な態様で車体に懸架するものである。
本発明は、かかる車両用サスペンション装置を成す前記複数のリンクとして、
前記軸部よりも上方で車体およびアクスル部材間に延在するアッパーアーム部材と、
前記軸部よりも下方で車体およびアクスル部材間に延在する3個の第1ロアリンク部材、第2ロアリンク部材、および第3ロアリンク部材とを設け、
前記第1ロアリンク部材の車体側取り付け点を、他の前記第2、第3ロアリンク部材の車体側取り付け点よりも車両前方に位置させ、且つ、
前記第1ロアリンク部材の車体側取り付け点を、該第1ロアリンク部材のアクスル部材側取り付け点よりも下方で、前記第2ロアリンク部材のアクスル部材側取り付け点よりも上方に位置させた構成に特徴づけられる。
かかる本発明の車両用サスペンション装置においては、
アッパーアーム部材との共働でアクスル部材を車体に懸架する第1ロアリンク部材、第2ロアリンク部材、および第3ロアリンク部材間に以下の相関関係を持たせたため、
つまり、第1ロアリンク部材の車体側取り付け点を、第2、第3ロアリンク部材の車体側取り付け点よりも車両前方に位置させ、且つ、
第1ロアリンク部材の車体側取り付け点を、第1ロアリンク部材のアクスル部材側取り付け点よりも下方に位置させたため、
車両制動時に車体前部が沈み込むノーズダイブ現象に伴うサスペンションストローク中におけるアクスル部材(車輪)の瞬間回転中心が、第1ロアリンク部材の上記車体側取り付け点位置に起因して高くされることとなり、当該アクスル部材(車輪)の瞬間回転中心と、車輪のタイヤ接地点とを結ぶ線が路面となす角度として定義されるアンチダイブ角が大きくなる。
このアンチダイブ角は、車両制動時のノーズダイブ現象に抵抗する用をなし、上記のようにアンチダイブ角を大きくし得る本発明の車両用サスペンション装置は、車両制動時のノーズダイブ現象を効果的に抑制して、車両の減速時ピッチング挙動の抑制を実現することができる。
本発明においては更に、かかる作用効果を達成するため第1ロアリンク部材の車体側取り付け点を上記したごとく第1ロアリンク部材のアクスル部材側取り付け点よりも下方に位置させるが、第2ロアリンク部材のアクスル部材側取り付け点よりも上方に位置させたため、
車輪が突起に乗り上げ時におけるサスペンションストロークに伴うアクスル部材(車輪)の軌跡が車両後方への変位を伴ったものとなり、当該軌跡の後傾化により突起に乗り上げ時の振動低減を図って、乗り心地の向上を実現することができる。
以下、本発明の実施例を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例になる車両用サスペンション装置の全体を示し、1Lは、左車輪用のアクスル部材、1Rは、右車輪用のアクスル部材である。
アクスル部材1L,1Rはそれぞれ、対応する左右輪を回転自在に支持する軸部(図示せず)を有し、該アクスル部材1L,1Rから車幅方向内方へ延在する複数のリンクにより車体(図示せず)に対し、車両上下方向へ変位可能(サスペンションストローク可能)に懸架する。
以下に、上記複数のリンクを詳述すると共に、これらリンクによるアクスル部材1L,1Rの懸架構造を詳述する。
上記複数のリンクは、
アクスル部材1L,1Rの前記車輪支持軸部よりも上方にあって、車体およびアクスル部材1L,1R間に延在するアッパーアーム部材2と、
アクスル部材1L,1Rの前記車輪支持軸部よりも下方にあって、車体およびアクスル部材1L,1R間に延在する3個の第1ロアリンク部材3、第2ロアリンク部材4、および第3ロアリンク部材5とから成るものとする。
アッパーアーム部材2はA型アームとし、二股基端2a,2bが車両前後方向に位置するよう、また、先端2cが車幅方向外方に指向するよう配置する。
アッパーアーム部材2の二股基端2a,2bはそれぞれ弾性ブッシュを介して車体に上下方向揺動可能に取り付け、アッパーアーム部材2の車体側取り付け点を提供するものとする。
アッパーアーム部材2の先端2cは、アクスル部材1L,1Rから上方に延在させて設けた屈曲ロッド6の上端にジョイントを介し連節し、これらアッパーアーム部材2の先端2cと屈曲ロッド6の上端との間の連節点がアッパーアーム部材2のアクスル部材側取り付け点となる。
第1ロアリンク部材3は、前記したとおりアクスル部材1L,1Rから車幅方向内方へ延在させるが、このとき車両前方へも延在するよう指向させる。
そして、第1ロアリンク部材3の延在方向先端3aは、弾性ブッシュを介して車体に対し上下方向揺動可能に取り付け、車体側取り付け点を提供するものとする。
第1ロアリンク部材3の反対側における端部3bは、アクスル部材1L,1Rから下方に延在させて設けたロッド7の先端にジョイントを介し連節し、これら第1ロアリンク部材3の端部3bとロッド7の先端との間の連節点が第1ロアリンク部材3のアクスル部材側取り付け点となる。
第2ロアリンク部材4を、前記したとおりアクスル部材1L,1Rから車幅方向内方へ延在させるが、その延在方向先端4aは、弾性ブッシュを介して車体に対し上下方向揺動可能に取り付け、車体側取り付け点を提供するものとする。
第2ロアリンク部材4の反対側における端部4bは、アクスル部材1L,1Rから下方に延在させて設けたロッド8の先端にジョイントを介し連節し、これら第2ロアリンク部材4の端部4bとロッド8の先端との連節点が第2ロアリンク部材4のアクスル部材側取り付け点となる。
第3ロアリンク部材5を、前記したとおりアクスル部材1L,1Rから車幅方向内方へ延在させるが、その延在方向先端5aは、弾性ブッシュを介して車体に対し上下方向揺動可能に取り付け、車体側取り付け点を提供するものとする。
第3ロアリンク部材5の反対側における端部5bは、アクスル部材1L,1Rから前方および下方に延在させて設けたロッド9の先端にジョイントを介し連節し、これら第3ロアリンク部材5の端部5bとロッド9の先端との連節点が第3ロアリンク部材5のアクスル部材側取り付け点となる。
なお、前輪用サスペンション装置として用いる場合、第3ロアリンク部材5は転舵用として用い、その先端5aは上記弾性ブッシュに代えジョイントを介しラックなどの操舵メンバに連節し、該操舵メンバを介して車体に対し上下方向揺動可能に取り付けることとなる。
上記のサスペンションリンク構造によりアクスル部材1L,1Rは、これらに回転自在に支持した左右輪と共に車両上下方向へストローク可能に懸架され、当該ストローク方向においてアクスル部材1L,1R(左右輪)を車体に弾支するためのサスペンションスプリング10を、車体とサスペンションリンク構造との間に架設する。
ところで本実施例においては特に、第1ロアリンク部材3を前記したごとくアクスル部材1L,1Rから車幅方向内方および車両前方へ延在させることにより、第1ロアリンク部材3の車体側取り付け点3aを図2,3にも明示するごとく、他の第2、第3ロアリンク部材4,5の車体側取り付け点4a,5aよりも車両前方に位置させる。
また、第1ロアリンク部材3の車体側取り付け点3aを図2,3に明示するごとく、第1ロアリンク部材3のアクスル部材側取り付け点3bよりも下方で、第2ロアリンク部材4のアクスル部材側取り付け点4bよりも上方に位置させる。
そして第2ロアリンク部材4は図4に明示するごとく、アクスル部材側取り付け点4bを車体側取り付け点4aよりも上方に位置させる。
また、第2ロアリンク部材4のアクスル部材側取り付け点4bを図1〜3に示すごとく、アクスル部材1L,1Rの車輪支持軸部の中心軸線よりも車両前方に位置させ、
アッパーアーム部材2のアクスル部材側取り付け点2cを図2,3,5に示すごとく、アクスル部材1L,1Rの車輪支持軸部の中心軸線よりも車両後方に位置させる。
更に第1ロアリンク部材3の車体側取り付け点3aを図2〜4に示すごとく、車両上下方向において第2ロアリンク部材4の車体側取り付け点4aと、アクスル部材1L,1Rの車輪支持軸部の中心軸線との間に位置させ、且つ、該車輪支持軸部の中心軸線よりも車両前方に位置させる。
第3ロアリンク部材5のアクスル部材側取り付け点5bを図2,3に示すごとく、第1、第2ロアリンク部材3,4のアクスル部材側取り付け点3b,4bよりも車両前方に位置させる。
第3ロアリンク部材5のアクスル部材側取り付け点5bを図4に明示するごとく、第1、第2ロアリンク部材3,4のアクスル部材側取り付け点3b,4bよりも車幅方向外方に位置させる。
また車両上方から見て第1ロアリンク部材3の延長線および第2ロアリンク部材4の延長線により形成されるロアリンクの仮想ピボット点が図5に示すごとく、アクスル部材1L,1Rの車輪支持軸部の中心軸線よりも車両前方に位置するよう第1ロアリンク部材3および第2ロアリンク部材4を延在させる。
なおアッパーアーム部材2の2カ所における車体側取り付け点2a,2bは図4に示すごとく、アッパーアーム部材2のアクスル部材側取り付け点2cよりも下方に位置させ、
アッパーアーム部材2の2カ所における車体側取り付け点2a,2bは図4に示すごとく、車両前方の車体側取り付け点2aを、車両後方の車体側取り付け点2bよりも上方に位置させる。
また第2ロアリンク部材4は図2,3に示すごとく、アクスル部材側取り付け点4bを車体側取り付け点4aよりも車両前方に位置させる。
そして、車両前方から見て第1ロアリンク部材3の延長線および第2ロアリンク部材4の延長線により形成されるロアリンクの仮想ピボット点がアッパーアーム部材2のアクスル部材側取り付け点2cよりも車幅方向外方に位置するよう第1ロアリンク部材3および第2ロアリンク部材4を延在させる。
上記の構成になる本実施例の車両用サスペンション装置は、以下の作用効果を奏することができる。
本実施例においては前記したとおり、第1ロアリンク部材3の車体側取り付け点3aを図2,3に明示するごとく、第2、第3ロアリンク部材4,5の車体側取り付け点4a,5aよりも車両前方に位置させ、且つ、
第1ロアリンク部材3の車体側取り付け点3aを図2,3に明示するごとく、第1ロアリンク部材3のアクスル部材側取り付け点3bよりも下方に位置させたため、
車両制動時に車体前部が沈み込むノーズダイブ現象に伴うサスペンションストローク中におけるアクスル部材1L,1R(車輪)の瞬間回転中心O1が図2に示すごとく、第1ロアリンク部材3の車体側取り付け点3aの上記位置に起因して高くされることとなる。
このため、当該アクスル部材1L,1R(車輪)の瞬間回転中心O1と、車輪のタイヤ接地点とを結ぶ線が路面となす角度として定義されるアンチダイブ角θが、瞬間回転中心O1の上昇分だけ大きくなる。
このアンチダイブ角θは、車両制動時のノーズダイブ現象に抵抗する用をなし、上記のようにアンチダイブ角θを大きくし得る本実施例の車両用サスペンション装置は、車両制動時のノーズダイブ現象を効果的に抑制して、車両の減速時ピッチング挙動の抑制を実現することができる。
また本実施例においては、上記ノーズダイブ抑制効果を達成するため第1ロアリンク部材3の車体側取り付け点3aを上記したごとく第1ロアリンク部材3のアクスル部材側取り付け点3bよりも下方に位置させるが、図2,3に明示するごとく第2ロアリンク部材4のアクスル部材側取り付け点4bよりも上方に位置させたため、
車輪が突起に乗り上げ時におけるサスペンションストロークに伴うアクスル部材1L,1R(車輪)の接地点軌跡が、図3に一点鎖線αで示すごとく車両後方への変位を伴ったものとなり、当該接地点軌跡の後傾化により突起に乗り上げ時の振動低減を図って乗り心地の向上を実現することができる。
ところで、接地点軌跡の上記後傾化を図るために上記のごとく第1ロアリンク部材3の車体側取り付け点3aを第2ロアリンク部材4のアクスル部材側取り付け点4bよりも上方に位置させる場合、旋回走行時におけるサスペンションストロークに伴う車体ロール瞬間回転中心が高くなって旋回走行時のジャッキアップ現象を生じ易くなる傾向となり、これにより車両の旋回操縦安定性が阻害される傾向となる。
しかして本実施例では、左車輪用のサスペンション装置を示す図4から明らかなごとく、第2ロアリンク部材4のアクスル部材側取り付け点4bを車体側取り付け点4aよりも上方に位置させるため、
旋回走行時におけるサスペンションストロークに伴う車体ロール瞬間回転中心O2のレベル低下が促されることとなり、車体ロール瞬間回転中心O2が上記のごとくに高くなる傾向を抑制することができ、結果的に、旋回走行時のジャッキアップ現象が生じ易くなるという上記の問題、そして、上記旋回走行時のジャッキアップ現象で車両の旋回操縦安定性が阻害されるという上記の問題を回避することができる。
更に本実施例においては、第2ロアリンク部材4のアクスル部材側取り付け点4bを図1〜3に示すごとく、アクスル部材1L,1Rの車輪支持軸部の中心軸線よりも車両前方に位置させ、
アッパーアーム部材2のアクスル部材側取り付け点2cを図2,3,5に示すごとく、アクスル部材1L,1Rの車輪支持軸部の中心軸線よりも車両後方に位置させたため、
アクスル部材1L,1R(車輪)のキャスター角が大きくなって操縦安定性を高めることができると共に、キャンバー剛性が小さくなってロードノイズの低減を図ることができる。
また本実施例においては、第1ロアリンク部材3の車体側取り付け点3aを図2〜4に示すごとく、車両上下方向において第2ロアリンク部材4の車体側取り付け点4aと、アクスル部材1L,1Rの車輪支持軸部の中心軸線との間に位置させ、且つ、該車輪支持軸部の中心軸線よりも車両前方に位置させたため、
路面から車輪に入力された横力を第1ロアリンク部材3および第2ロアリンク4の双方で分担させて、横力リンク分担率を第1ロアリンク部材3と第2ロアリンク部材4とに割り付けることができる。
従って、第1ロアリンク部材3の車体側取り付け点3aにおける弾性ブッシュを低剛性化させることができ、その分、車両の乗り心地を向上させることが可能となる。
そして、第3ロアリンク部材5のアクスル部材側取り付け点5bを図2,3に示すごとく、第1、第2ロアリンク部材3,4のアクスル部材側取り付け点3b,4bよりも車両前方に位置させたため、
アクスル部材1L,1Rに操舵輪である前輪を回転自在に支持した場合において、操舵系の要部を成すナックルアームを長くすることができ、これによりステアリング剛性の向上を実現することができる。
また、第3ロアリンク部材5のアクスル部材側取り付け点5bを図4に明示するごとく、第1、第2ロアリンク部材3,4のアクスル部材側取り付け点3b,4bよりも車幅方向外方に位置させたため、
アッカーマン率を稼ぐことができ、車両の最小回転半径を小さくして小回り性能を向上させることができる。
更に、車両上方から見て第1ロアリンク部材3の延長線および第2ロアリンク部材4の延長線により形成されるロアリンクの仮想ピボット点が図5に示すごとく、アクスル部材1L,1Rの車輪支持軸部の中心軸線よりも車両前方に位置するよう第1ロアリンク部材3および第2ロアリンク部材4を延在させたため、
アクスル部材1L,1R(車輪)のキャスター角が大きくなって操縦安定性を高めることができると共に、キャンバー剛性が小さくなってロードノイズの低減を図ることができる。
更に本実施例では図4に示すごとく、アッパーアーム部材2の2カ所における車体側取り付け点2a,2bを、アッパーアーム部材2のアクスル部材側取り付け点2cよりも下方に位置させ、
アッパーアーム部材2の2カ所における車体側取り付け点2a,2bのうち、車両前方の車体側取り付け点2aを、車両後方の車体側取り付け点2bよりも上方に位置させたため、
図2に示すアンチダイブ角θが大きくなって、車両制動時のノーズダイブ現象を更に効果的に抑制し得て、車両の制動時ピッチング挙動の抑制を実現することができる。
また図2,3に示すごとく、第2ロアリンク部材4のアクスル部材側取り付け点4bを車体側取り付け点4aよりも車両前方に位置させたため、
路面から車輪に入力された横力に対する横力コンプライアンスを大きくすることができると共に、路面から車輪に入力された前後力に対する前後力コンプライアンスを小さくすることができ、大きな横力コンプライアンスステアにより車両の挙動制御が容易であると共に、小さな前後力コンプライアンスにより加減速時における車両挙動の安定化を実現することができる。
そして、車両前方から見て第1ロアリンク部材3の延長線および第2ロアリンク部材4の延長線により形成されるロアリンクの仮想ピボット点がアッパーアーム部材2のアクスル部材側取り付け点2cよりも車幅方向外方に位置するよう第1ロアリンク部材3および第2ロアリンク部材4を延在させたため、
アクスル部材1L,1R(車輪)のスクラブ半径を小さくすることができると共に、キングピンオフセット量が小さくなってタイヤ上下入力に対する車体上下振動を小さくすることができる。
本発明の一実施例になる車両用サスペンション装置を、左車輪の上方から見て示す全体斜視図である。 同実施例の車両用サスペンション装置を車両の左側方から見て、アンチダイブ角の発生状況を示す側面図である。 同実施例の車両用サスペンション装置を車両の左側方から見て、車輪の突起乗り上げ時における接地点軌跡を示す、図2と同様な側面図である。 同実施例の車両用サスペンション装置を車両の前方から見て、旋回走行時における車体ロールの瞬間回転中心を示す正面図である。 同実施例の車両用サスペンション装置を車両の上方から見て示す平面図である。
符号の説明
1L 左車輪用アクスル部材
1R 右車輪用アクスル部材
2 アッパーアーム部材
2a,2b 車体側取り付け点
2c アクスル部材側取り付け点
3 第1ロアリンク部材
3a 車体側取り付け点
3b アクスル部材側取り付け点
4 第2ロアリンク部材
4a 車体側取り付け点
4b アクスル部材側取り付け点
5 第3ロアリンク部材
5a 車体側取り付け点
5b アクスル部材側取り付け点
6 屈曲ロッド
7 第1ロアリンク部材連節ロッド
8 第2ロアリンク部材連節ロッド
9 第3ロアリンク部材連節ロッド
10 サスペンションスプリング

Claims (10)

  1. 車輪を回転自在に支持する軸部を有したアクスル部材を、該アクスル部材から車幅方向内方へ延在する複数のリンクにより車両上下方向へ変位可能な態様で車体に懸架した車両用サスペンション装置において、
    前記複数のリンクとして、
    前記軸部よりも上方で車体およびアクスル部材間に延在するアッパーアーム部材と、
    前記軸部よりも下方で車体およびアクスル部材間に延在する3個の第1ロアリンク部材、第2ロアリンク部材、および第3ロアリンク部材とを設け、
    前記第1ロアリンク部材の車体側取り付け点を、他の前記第2、第3ロアリンク部材の車体側取り付け点よりも車両前方に位置させ、且つ、
    前記第1ロアリンク部材の車体側取り付け点を、該第1ロアリンク部材のアクスル部材側取り付け点よりも下方で、前記第2ロアリンク部材のアクスル部材側取り付け点よりも上方に位置させたことを特徴とする車両用サスペンション装置。
  2. 請求項1に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記第2ロアリンク部材は、アクスル部材側取り付け点を車体側取り付け点よりも上方に位置させたものであることを特徴とする車両用サスペンション装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記第2ロアリンク部材のアクスル部材側取り付け点を前記軸部の中心軸線よりも車両前方に位置させ、
    前記アッパーアーム部材のアクスル部材側取り付け点を前記軸部の中心軸線よりも車両後方に位置させたことを特徴とする車両用サスペンション装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記第1ロアリンク部材の車体側取り付け点を、車両上下方向において前記第2ロアリンク部材の車体側取り付け点と前記軸部の中心軸線との間に位置させ、且つ、該軸部の中心軸線よりも車両前方に位置させたことを特徴とする車両用サスペンション装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記第3ロアリンク部材のアクスル部材側取り付け点を、他の第1、第2ロアリンク部材のアクスル部材側取り付け点よりも車両前方に位置させたことを特徴とする車両用サスペンション装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記第3ロアリンク部材のアクスル部材側取り付け点を、他の第1、第2ロアリンク部材のアクスル部材側取り付け点よりも車幅方向外方に位置させたことを特徴とする車両用サスペンション装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用サスペンション装置において、
    車両上方から見て前記第1ロアリンク部材の延長線および前記第2ロアリンク部材の延長線により形成されるロアリンクの仮想ピボット点が前記軸部の中心軸線よりも車両前方に位置するよう第1ロアリンク部材および第2ロアリンク部材を延在させたことを特徴とする車両用サスペンション装置。
  8. 前記アッパーアーム部材が、車両前後方向に離間した2カ所で車体側に取り付けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記アッパーアーム部材の2カ所における車体側取り付け点を、該アッパーアーム部材のアクスル部材側取り付け点よりも下方に位置させ、
    前記アッパーアーム部材の2カ所における車体側取り付け点は、車両前方の車体側取り付け点を車両後方の車体側取り付け点よりも上方に位置させたことを特徴とする車両用サスペンション装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記第2ロアリンク部材は、アクスル部材側取り付け点を車体側取り付け点よりも車両前方に位置させたものであることを特徴とする車両用サスペンション装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両用サスペンション装置において、
    車両前方から見て前記第1ロアリンク部材の延長線および前記第2ロアリンク部材の延長線により形成されるロアリンクの仮想ピボット点が前記アッパーアーム部材のアクスル部材側取り付け点よりも車幅方向外方に位置するよう第1ロアリンク部材および第2ロアリンク部材を延在させたことを特徴とする車両用サスペンション装置。
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