JP2009023055A - ドリル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本ドリルは、一対のシンニング面14、15により各切刃の軸芯部分に各シンニング刃6a、7aが形成されており、一対のシンニング面14、15の径方向におけるオーバーラップ量Aをドリル径の略5%に設定すると共に、各シンニング刃6a、7a間に、長さが0mm以上0.2mm以下のチゼルエッジを設けているので、高能率加工を行っても、切屑を各切屑排出溝からスムーズに排出することができ、しかも、刃先部分に作用するスラスト荷重を低減させることができ、ひいては、加工精度を低下させることなく、工具折損等の不具合も低減されて工具寿命を長くすることができる。
【選択図】図3
Description
これにより、高能率加工を行っても、切屑を各切屑排出溝からスムーズに排出することができ、しかも、刃先部分に作用するスラスト荷重を低減させることができるので、加工精度が低下することなく、工具折損等の不具合も低減されて工具寿命を長くすることができる。
なお、本発明のドリルの各種態様およびそれらの作用については、以下の(発明の態様)の項において詳しく説明する。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。なお、各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付して、必要に応じて他の項を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施の形態等に参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要件を付加した態様も、また、各項の態様から構成要件を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項乃至(4)項の各々が、請求項1乃至4の各々に相当する。
従って、(1)項のドリルでは、高能率加工を行っても、切屑を各切屑排出溝からスムーズに排出することができ、しかも、刃先部分に作用するスラスト荷重を低減させることができる。これにより、加工穴の精度が低下されることなく、工具折損等の不具合も低減されて工具寿命を長くすることができる。
従って、(2)項のドリルでは、各シンニング面の軸方向に対する傾斜角度を従来のN型シンニングよりも小さく設定し、25°〜32°の範囲内で設定しているので、切屑がさらにスムーズに切屑排出溝に導かれるようになる。
従って、(3)項のドリルでは、ウェブの幅を従来のウェブ幅よりも大きく設定しているので、刃先部分の強度を確保することができ、また、各シンニング刃の周方向の角度は、各切刃が延びる方向を基準として、155°〜165°の範囲内で設定されており、従来のN型シンニングよりも大きく設定されているので、さらに切屑排出性が向上される。
従って、(4)項のドリルでは、ドリル先端の正面視において、各切刃が延びる方向の外周部分に設けた各ガイドパッドの始端部と、各切刃が延びる方向と直交する方向の外周部分に設けた各ガイドパッドの始端部との間の軸方向の距離が0.3mm〜0.4mmの範囲内で設定され、従来のN型シンニングより短く設定されているので、各切刃が延びる方向の外周部分に設けた各ガイドパッドが加工穴の内周面に当接してから各切刃が延びる方向と直交する方向の外周部分に設けられた各ガイドパッドが加工穴の内周面に当接するまでの時間が従来のN型シンニングより短縮されるため、従来のN型シンニングよりもドリル先端の振れを低減できその直進性が向上される。
本発明の実施の形態に係るドリルは、図1及び図2に示すうに、ドリル本体1の外周面に、回転軸を中心に対称で、回転軸周りをねじれ方向に延びる一対の切屑排出溝2、3が形成される。
各切屑排出溝2、3は、図1に示すように、底部が湾曲状で繋がる略U字状に形成され、ドリル先端の正面視において略1/4の範囲に形成されており、回転軸を介して対称に一対形成されている。
図1及び図3に示すように、ドリル先端には、各切屑排出溝2、3の回転方向の各壁面と、各先端第1逃げ面(先端逃げ面)4、5との交差稜線に各切刃6、7が形成される。また、各先端第1逃げ面4、5の各切屑排出溝2、3側とは反対側に交差稜線22、23を介して各先端第2逃げ面8、9が形成されている。これら先端第2逃げ面8、9に油供給孔10がそれぞれ形成されている。
なお、図4に示すように、先端第1逃げ面4と先端第2逃げ面8との間の交差稜線22と、先端第1逃げ面5と先端第2逃げ面9との間の交差稜線23とは、平行でその間隔が後述するチゼルエッジ24の長さに相当する。
図1及び図3に示すように、本ドリルの各シンニング面14、15は、回転軸付近で径方向に互いにオーバラップしており、該オーバーラップ量Aはドリル径の5%±0.05mmに設定される。例えば、ドリル径が11mmである場合には、オーバーラップ量Aが0.5〜0.6mmの範囲内で設定される。
なお、本ドリルのオーバーラップ量Aは、従来のN型シンニングに比べてドリル径11mmの場合、略0.3mm程度大きいことになる。
なお、本ドリルの各シンニング面14、15の傾斜角度Bは、最も好ましい形態が採用されると、従来のN型シンニングに比べて、略8°程度小さいことになる。
さらに、図1に示すように、本ドリルの各シンニング刃6a、7aの周方向の角度Cは、各切刃6、7が延びる方向を基準として、155°〜165°に設定されており、最も好ましい形態として160°±2°で設定される。
なお、本ドリルの各シンニング刃6a、7aの角度Cは、最も好ましい形態が採用されると、従来のN型シンニングに比べて、略25°程度大きいことになる。
さらにまた、図3に示すように、本ドリルの一対のシンニング面14、15の形成により先端に向かって細くなったウェブ12の最小幅Dは、ドリル径の15%±0.05mmで設定される。例えば、ドリル径が11mmである場合には、ウェブ12の最小幅Dは1.6mm〜1.7mmの範囲内で設定される。
なお、本ドリル先端のウェブ12の幅Dは、従来のN型シンニングに比べてドリル径11mmの場合、略1.4mm程度大きいことになる。
さらにまた、本ドリルのリップハイトは、0.2mm以下に設定されており、従来のN型シンニングと同様に設定されている。
さらに、図4に示すように、本ドリル先端の刃先中心部には、交差稜線20と21との間に、先端第2逃げ面8と先端第2逃げ面9との間の交差稜線(チゼルエッジ)24が形成される。このチゼルエッジ24の長さ(交差稜線22と交差稜線23の間の間隔)Fは、0mm以上0.2mm以下に設定されており、最も好ましい形態として、0mm以上0.1mm以下に設定される。
なお、本ドリルのチゼルエッジ24の長さFは、最も好ましい形態が採用されると、従来のN型シンニングに比べて、略0.2mm程度小さいことになる。
また、チゼルエッジ24の長さFが0mmである場合は、チゼルエッジ24の部分が、先端第1逃げ面4及び5と、先端第2逃げ面8及び9とで構成される山形状の頂点となり、鋭利なものとなる。
各切刃6、7が延びる方向の外周部分に設けられた各ガイドパッド30、32の始端部は、それぞれ軸方向に対してその位置が略一致しており、一方、各切刃6、7が延びる方向と直交する方向の外周部分に設けられた各ガイドパッド31、33の始端部も、それぞれ軸方向に対してその位置が略一致している。
そして、図2に示すように、各切刃6、7が延びる方向の外周部分に設けられた各ガイドパッド30、32の始端部と、各切刃6、7が延びる方向と直交する方向の外周部分に設けられた各ガイドパッド31、33の始端部との間の軸方向の距離Gが0.3mm〜0.4mmの範囲内に設定されている。
なお、この距離Gは、従来のN型シンニングに比べて略0.9mm程度短いことになる。
これにより、本ドリルの各切刃6、7が延びる方向の外周部分に設けた各ガイドパッド30、32が加工穴の内周面に当接してから、各切刃6、7が延びる方向と直交する方向の外周部分に設けられた各ガイドパッド31、33が加工穴の内周面に当接するまでの時間が従来のN型シンニングよりも短縮されるために、ドリルの直進性が向上される。
スラスト荷重においては、本ドリルは、X型シンニングに比べて略60%低減されており、N型シンニングと比べると略10%低減されている。また、図5に示すように、直進性においては、本ドリルは、N型シンニングよりも優れ、直進性に優れているX型シンニングと略同等であることが解る。
また、本発明の実施の形態に係るドリルでは、各シンニング刃6a、7aの間に、長さFが0mm以上0.2mm以下のチゼルエッジ24を設け、且つ、ドリル本体の外周で、各切屑排出溝2、3の対向する壁部に沿って設けられたガイドパッド30〜33において、各切刃6、7が延びる方向の外周部分に設けられた各ガイドパッド30、32の始端部と、各切刃6、7が延びる方向と直交する方向の外周部分に設けられた各ガイドパッド31、33の始端部との間の軸方向の距離Gを0.3mm〜0.4mmの範囲内で設定しているので、ドリルの直進性を、X型シンニングと略同等まで向上させることができる。
切刃,6a、7a シンニング刃,12 ウェブ,14、15 シンニング面,24 チゼルエッジ,30〜33 ガイドパッド
Claims (4)
- ドリル本体の外周面に、回転軸を中心に対称で、回転軸周りをねじれ方向に延びる一対の切屑排出溝が形成されると共に、ドリル先端に、前記各切屑排出溝の回転方向の各壁面と各先端逃げ面との交差稜線に各切刃が形成され、前記各切屑排出溝のドリル先端の底部に、先端に向かって互いに近接するように傾斜する一対のシンニング面を形成することで、該各切刃の軸芯部分に各シンニング刃が形成されるドリルであって、
前記一対のシンニング面が径方向でオーバーラップする量をドリル径の略5%に設定すると共に、前記各シンニング刃間に、長さが0mm以上0.2mm以下のチゼルエッジを設けたことを特徴とするドリル。 - 前記各シンニング面の軸方向に対する傾斜角度を25°〜32°の範囲内で設定することを特徴とする請求項1に記載のドリル。
- ドリル先端のウェブの幅をドリル径の略15%に設定すると共に、前記各シンニング刃の周方向の角度を、各切刃が延びる方向を基準として、155°〜165°の範囲内に設定することを特徴とする請求項1または2に記載のドリル。
- 前記ドリル本体の外周に、外方に向かって突設されるガイドパッドを前記各切屑排出溝の対向する壁部に沿って設け、ドリル先端の正面視において、前記各切刃が延びる方向の外周部分に設けた各ガイドパッドの始端部と、前記各切刃が延びる方向と直交する方向の外周部分に設けた各ガイドパッドの始端部との間の軸方向の距離を0.3mm〜0.4mmの範囲内に設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のドリル。
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