JP2002126925A - ツイストドリル - Google Patents

ツイストドリル

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JP2002126925A
JP2002126925A JP2000325833A JP2000325833A JP2002126925A JP 2002126925 A JP2002126925 A JP 2002126925A JP 2000325833 A JP2000325833 A JP 2000325833A JP 2000325833 A JP2000325833 A JP 2000325833A JP 2002126925 A JP2002126925 A JP 2002126925A
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drill
chisel
axis
cutting edge
drill body
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JP2000325833A
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Takashi Masuda
敬 増田
Taichi Aoki
太一 青木
Hiroshi Ikeuchi
寛 池内
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MMC Kobelco Tool Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステンレス鋼のような難削材に穴明け加工を
行うドリルにおいて、長寿命化を図る。 【解決手段】 ドリル本体1先端側の切刃部2の外周
に、このドリル本体1の中心軸線O回りにねじれる一対
の切屑排出溝3,3が形成されるとともに、これらの切
屑排出溝3,3のドリル回転方向T側を向く壁面3aの
先端側稜線部には、外周側に向かうに従いドリル本体1
後端側に向けて傾斜する一対の切刃5,5が軸線Oに関
して互いに対称に形成されてなるツイストドリルにおい
て、切刃部2の心厚Wをドリル径Dに対して0.1〜
0.25Dの範囲内とするとともに、ドリル本体1先端
の軸線O上にはチゼル8を形成し、軸線O方向先端側か
ら見て切刃5に直交する方向におけるこのチゼル8の長
さLを、心厚Wに対して0.3〜0.7Wの範囲内とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にステンレス鋼
などの難削材に穴明け加工を行うのに用いて好適なツイ
ストドリルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼材の中でもステンレス鋼は、加工硬化
性が大きく、また粘くて靱性が高いため切刃に溶着を生
じ易く、しかも熱伝導率が低くて切削部分の熱が逃げに
くいなど、被削性が悪い難削材とされている。このた
め、従来よりこのようなステンレス鋼に穴明け加工を行
うツイストドリルにおいては、そのドリル本体先端側の
切刃部の心厚Wをできるだけ大きくして剛性を確保する
一方、このドリル本体先端の中心軸線上に形成されるチ
ゼルは、その長さLを上記心厚Wに対して十分に小さく
して、スラスト荷重を低減するとともに食い付き性を向
上させることが技術常識とされており、例えば実公昭6
0−40259号公報には、心厚Wをドリル径Dに対し
て0.2D以上とするとともにチゼルの長さLを0〜
0.3mmとしたツイストドリルが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
の発明者らがこのようなツイストドリルによってステン
レス鋼の穴明け加工試験を行ったところ、特にそのドリ
ル寿命に関しては必ずしも良好な結果が得られないこと
が判明した。すなわち、ドリル本体の心厚Wを大きくす
ると、ドリル本体の剛性は確保されるものの、切屑排出
溝の断面積は小さくなってしまい、そのような切屑排出
溝を通して粘くて靱性の高いステンレス鋼の切屑が排出
されると、切屑の擦過による抵抗の増加によってドリル
本体に却って大きな荷重が作用して折損が生じたりする
おそれがある。また、チゼルの長さLについても、これ
を心厚Wに対して小さくしすぎたり、特に上記公報に記
載のもののように0mmとしたりすると、このチゼルの周
辺のドリル本体先端が鋭く尖った形状となるため、加工
穴数が少ないうちはスラスト荷重の低減や食い付き性の
向上が図られるものの、加工穴数が増えるに従い、硬化
性が大きくて熱が逃げにくいステンレス鋼によってこの
チゼル周辺の摩耗が促進されたり、場合によってはチゼ
ルを含めたドリル本体先端が欠けて損傷したりすること
もあり、スラスト荷重の増大や食い付き性の劣化を招く
のは勿論、求心性が著しく損なわれて使用に耐えなくな
り、早期にドリル寿命が尽きてしまうのである。
【0004】本発明は、このような背景の下になされた
もので、特にステンレス鋼のような難削材に穴明け加工
を行うドリルにおいて、長寿命化を図ることが可能なツ
イストドリルを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】ここで、本発明の発明者
は、上述した従来の技術常識に敢えて反して、これとは
逆に、ドリル本体の心厚Wを小さくするとともにチゼル
の長さLを長くしたツイストドリルによってステンレス
鋼への穴明け加工を試みたところ、上記従来のツイスト
ドリルを大幅に上回る長い寿命を得ることができるとい
う知見を得るに至った。本発明は、このような知見に基
づき上記課題を解決するものであって、ドリル本体先端
側の切刃部の外周に、このドリル本体の中心軸線回りに
ねじれる一対の切屑排出溝が形成されるとともに、これ
らの切屑排出溝のドリル回転方向側を向く壁面の先端側
稜線部には、外周側に向かうに従いドリル本体後端側に
向けて傾斜する一対の切刃が上記軸線に関して互いに対
称に形成されてなるツイストドリルにおいて、上記切刃
部の心厚Wをドリル径Dに対して0.1〜0.25Dの
範囲内とするとともに、上記ドリル本体先端の上記軸線
上にはチゼルを形成し、上記軸線方向先端側から見て上
記切刃に直交する方向におけるこのチゼルの長さ(以
下、単にチゼル長さと称する。)Lを、上記心厚Wに対
して0.3〜0.7Wの範囲内としたことを特徴とす
る。
【0006】しかるに、このように心厚Wが小さくてド
リル本体の剛性確保が難しいツイストドリルによって
も、難削材であるステンレス鋼への穴明け加工において
長寿命化が可能となるのは、心厚Wが小さくなることに
よって切屑排出時の抵抗が低減されることによるのは勿
論、一対の切刃がドリル本体の軸線に関して互いに対称
に形成されたツイストドリルでは、この軸線に対する径
方向への荷重が互いに相殺し合って平衡状態となるた
め、スラスト荷重に対して必要最小限の心厚Wさえ確保
されていれば、チゼル長さLを長くすることによってそ
の摩耗や損傷を防止して求心性を維持することにより、
上記径方向への荷重の平衡状態を長期に亙って安定的に
保持することができて折損等のおそれが却って低減する
ためであると考えられる。すなわち、チゼル長さLが
0.3Wを下回るほど短いと、チゼル周辺の摩耗や損傷
が防止されずに早期に求心性が失われ、これに伴い径方
向の荷重の平衡状態が損なわれ、ドリルの損傷が著しく
増大し、早期に寿命に至る一方、逆に0.7Wを上回る
ほど長いと、スラスト荷重が大きくなって上述のような
小さな心厚Wではこれに耐えきれなくなってしまう。ま
た、心厚Wが0.25Dを上回ると切屑排出時の抵抗が
増大してドリル本体に作用するねじれの荷重が大きくな
る一方、0.1Dを下回るほど小さいとドリル本体の絶
対的剛性が確保できずにスラスト荷重に耐えられなくな
り、いずれの場合もドリル本体に折損等の損傷が生じて
ドリル寿命が費えてしまう。
【0007】ここで、上記ドリル本体先端にシンニング
を施すことにより、上記切刃の内周端に、チゼルに交差
するシンニング刃を軸線方向先端側から見て凹曲線状に
形成すれば、このシンニングによって画成されるチップ
ポケットの容積を大きくすることができてシンニング刃
によって生成された切屑の詰まりを防ぎ、この切屑詰ま
りによるチゼル周辺の摩耗や損傷を一層確実に防止する
とともに求心性を確保することができる。ただし、軸線
方向先端側から見て、このシンニング刃の両端を結ぶ直
線とこの直線に平行な該シンニング刃の接線との間の距
離αは、ドリル径Dに対して0.01D以下とされると
ともに、上記直線と上記切刃とがなす交差角θは15〜
40°の範囲内とされるのが望ましく、上記距離αが
0.01Dより大きかったり、交差角θが15°よりも
小さかったりすると、シンニング刃の全長が長くなって
該シンニング刃により生成される切屑の量も多くなるの
で求心性が損なわれるおそれがある一方、この交差角θ
が40°よりも大きくても上記チップポケットが小さく
なるため、切屑詰まりが生じやすくなって摩耗や損傷が
生じ易くなるおそれがある。なお、このうち上記交差角
θは20〜30°の範囲内とされるのがより望ましい。
また、上記軸線方向先端側から見て、このシンニング刃
の少なくとも内周端側の部分は、上記心厚Wに対して
0.3W以下の半径の円弧状に形成するのが望ましく、
これによりチゼルとシンニング刃との交点における交差
角を大きくしてチゼル周辺の強度を向上させ、損傷等を
より一層確実に防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】図1ないし図3は、本発明の一実
施形態を示すものである。本実施形態においてドリル本
体1はハイス等の硬質材料により外形略円柱状に形成さ
れていて、このドリル本体1の先端側は切刃部2とさ
れ、この切刃部2の外周には、当該ドリル本体1の中心
軸線O回りに後端側に向かうに従い穴明け加工時のドリ
ル回転方向Tの後方側にねじれる一対の切屑排出溝3,
3が、上記軸線Oに関して互いに対称に形成されてい
る。なお、この切屑排出溝3が側面視に上記軸線Oに対
してなすねじれ角は、本実施形態では30〜40°の範
囲内とされている。そして、これらの切屑排出溝3,3
のドリル回転方向T側を向く壁面3a,3aの先端側稜
線部、すなわち該壁面3aとドリル本体1の先端逃げ面
4との交差稜線部には、図2に示すように外周側に向か
うに従い所定の先端角をもってドリル本体1後端側に傾
斜する切刃5がそれぞれ形成されており、従ってこれら
の切刃5,5もまた軸線Oに関して互いに対称に、すな
わち軸線O方向先端側から見て図1および図3に示すよ
うに互いに平行に形成されることとなる。
【0009】ここで、ドリル本体1先端には、上記切刃
5の内周端側においてこのドリル本体1先端が切り欠か
れてシンニングが施されることにより、切屑排出溝3に
対して凹んで先端逃げ面4,4に開口するシンニング部
6がそれぞれ形成されており、このシンニング部6と、
各切刃5のドリル回転方向T後方側に連なる先端逃げ面
4との交差稜線部には、該切刃5の内周端に連なるよう
にシンニング刃7がそれぞれ形成されていて、これらの
シンニング刃7,7の間に、ドリル本体1先端における
軸線O上においてチゼル8が画成されている。このチゼ
ル8は、両切刃5,5のドリル回転方向T後方に連なる
上記先端逃げ面4,4同士の交差稜線部であって、軸線
Oに対しては直交し、かつ本実施形態では該軸線O方向
先端側から見て両切刃5,5の内周側への延長線に対し
て鈍角に交差する方向に延びるように形成されている。
そして、上記切刃部2における心厚Wは当該ツイストド
リルのドリル径(上記切刃5の外径)Dに対して0.1
〜0.25Dの範囲内とされるとともに、軸線O方向先
端側から見て切刃5,5に直交する方向における上記チ
ゼル8の長さ、すなわちチゼル長さLは、この心厚Wに
対して0.3〜0.7Wの範囲内とされている。
【0010】また、本実施形態では、軸線O方向先端側
から見て、上記シンニング刃7はドリル回転方向Tの後
方側に凹む凹曲線状に形成されており、このうち特に該
シンニング刃7の内周端A側の部分P、すなわちこのシ
ンニング刃7とチゼル8との交点周辺の部分は、上記心
厚Wに対して0.3W以下の半径Rの円弧状に形成され
ている。一方、この内周端側部分Pよりも外周側のシン
ニング刃7の外周端B側の部分Q、すなわちシンニング
刃7と切刃5との交点周辺の部分は、同じく軸線O方向
先端側から見て上記内周端側部分Pに滑らかに連なり、
特に本実施形態では上記半径Rよりも大きな曲率半径
で、しかも外周端B側に向かうに従いこの曲率半径が漸
次大きくなる凹曲線状に形成されている。ただし、この
シンニング刃7の外周端側部分Qは上記半径Rよりも大
きな半径の円弧状とされていてもよく、また場合によっ
ては直線状とされていてもよい。
【0011】さらに、本実施形態ではこのシンニング刃
7は、やはり軸線O方向先端側から見て、当該シンニン
グ刃7の両端、すなわち上記内外周端A,Bを結ぶ直線
Mとこの直線Mに平行な該シンニング刃7の接線Nとの
間の距離αが、上記ドリル径Dに対して0.01D以下
とされるとともに、上記直線Mと上記切刃5とがなす交
差角θが15〜40°の範囲内、より望ましくは20〜
30°の範囲内とされるように形成されている。ただ
し、シンニング刃7は凹曲線状であって、上記接線Nは
上記直線Mよりもドリル回転方向Tの後方側に位置する
こととなるため、上記距離αは0となることはない。な
お、切屑排出溝3に対して凹むように形成された上記シ
ンニング部6は、シンニングを施さなかったとした場合
の切屑排出溝3からの凹み量が上記内周端Aにおいて最
も大きく、かつ図2に示すようにこの内周端Aからドリ
ル本体1の後端外周側に向けて切れ上がるように上記凹
み量が漸次小さくなる凹溝状とされており、この図2に
示すように上記一対の切刃5,5に直交する方向から見
たドリル本体1の側面視において、上記凹溝状のシンニ
ング部6の溝底を連ねた直線Sと軸線Oとがなす角度、
いわゆるシンニング進入角βは、本実施形態では30〜
50°の範囲内に設定されている。
【0012】次に、このように構成された本発明の実施
形態のツイストドリルによってステンレス鋼材に穴明け
加工を行った場合の結果について、該実施形態の構成を
採らない比較例の結果と交えて説明する。まず、図4お
よび図5は、ドリル径Dが異なる2種類のツイストドリ
ルについて、それぞれ心厚Wは一定にしてチゼル8の長
さLを種々に変化させた場合の加工可能であった穴加工
数を比較したものであって、図4はドリル径Dが2.6
mmの場合を、また図5はドリル径Dが6.0mmの場合を
示してあり、各図の中央3つが本発明の実施形態に係わ
るチゼル8の長さLが0.3〜0.7Wのものであり、
両端の2つが比較例となるものである。なお、その他の
穴加工時の切削条件は次表1に示す通りで、実施形態お
よび比較例とも共通であり、またシンニング刃7の大き
さや形状は、後述する表2のドリル4に準ずるものとし
た。
【0013】
【表1】
【0014】しかるに、これら図4および図5の結果よ
り、ドリル径Dがいずれの場合であっても、比較例の2
つのドリルに対して本実施形態に係わる3つのドリルで
は長い寿命が得られており、特にチゼル長さLが0.2
Wと短い比較例のドリル、すなわちステンレス鋼穴明け
用に適しているとされていた従来のドリルと、チゼル長
さLが0.3Wとされた実施形態のドリルとでは、この
チゼル長さLが0.1Wしか違わないにも拘わらず、加
工可能であった穴加工数は本実施形態の方が大幅に上回
っている。なお、図5においてチゼル長さLが0.5W
と0.7Wの場合に穴加工数が1000個以上となって
いるのは、1000個の加工穴を形成した時点でもドリ
ル本体1に変化が認められなかったため、その時点で穴
明け加工を終了したことによる。
【0015】このように、上記構成のツイストドリルに
よれば、そのドリル本体1の切刃部2の心厚Wをドリル
径Dに対して0.1〜0.25Dと従来の技術常識より
小さくしても、チゼル長さLをこの心厚Wに対して0.
3〜0.7Wの範囲内とすることにより、ステンレス鋼
のような難削材に対してドリル寿命の向上を図ることが
でき、より経済的かつ効率的な穴明け加工を行うことが
可能となる。ちなみに、心厚Wが0.1〜0.25Dの
範囲外のツイストドリルでは、他の条件は上記実施形態
と同じでも、心厚Wが0.1D未満のものでは切刃部の
折損により、また心厚Wが0.25Dを上回るものでは
切屑排出溝への切屑詰まりにより、いずれも早期に寿命
が費えてしまい、上記実施形態のような長いドリル寿命
は得られなかった。
【0016】次に、ドリル本体1の先端に施されたシン
ニングの相違、すなわち上記距離αやシンニング刃7の
円弧状の内周端側部分Pの有無、およびその心厚Wに対
する半径Rの相違により、ドリル寿命がどのように変化
するかについて、これらを種々に変化させた7種類のド
リルで穴明け加工を行い、その結果を調べた。これを、
チゼル長さLが0.2Wと短くされるとともに、シンニ
ング刃が直線状に形成されることにより上記距離αが0
とされ、かつ円弧状の内周端側部分Pが存在しない従来
のドリルの寿命を1としたときの寿命比として、次表2
に示す。また、このときのドリル1〜7のドリル径Dお
よび心厚Wや穴明け加工時の切削条件は表3に示すとお
りである。ただし、これらのドリル1〜7も、表2、3
に示すように心厚Wが0.1〜0.25Dの範囲内であ
るとともにチゼル長さLが0.3〜0.7Wの範囲内で
あるという点では、本発明に係わるツイストドリルとし
て共通するものである。なお、このうちドリル1におい
て距離αが負の値となっているのは、シンニング刃7が
軸線O方向先端側から見てドリル回転方向Tに膨らむ凸
曲線状に形成されていて、上記接線Nが直線Mよりもこ
のドリル回転方向T側に位置しているためである。
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】しかるに、この表2の結果より、本発明に
係わるドリル1〜7によれば、上記従来のドリルに対し
ていずれも長寿命化が図られており、さらにシンニング
刃7が凸曲線とされたドリル1よりは凹曲線状とされた
ドリル2〜7の方が、またこうしてシンニング刃7が凹
曲線とされたドリル2〜7のうちでも上記距離αが0.
01D以下とされたドリル3〜7の方が、より長いドリ
ル寿命が得られている。また、こうして距離αが0.0
1D以下とされたもののうちでも、例えばドリル4とド
リル5とを比べると距離αが小さく、すなわち凹曲線状
に形成されたシンニング刃7のドリル回転方向T後方側
への凹み量が小さいドリル5の方が、僅かに長いドリル
寿命を得ている。
【0020】一方、このシンニング刃7の距離αが0.
005Dと等しくされたドリル3およびドリル5〜7を
比べると、このうちシンニング刃7の内周端側の部分P
に軸線O方向先端側から見て円弧状の部分が形成された
ドリル3,6,7ではその半径Rが小さくなるほどより
長いドリル寿命が得られており、特に半径Rが0.3W
以下とされたドリル6,7では、0.3Wを上回る半径
Rのドリル3の倍以上の寿命となり、しかもこの半径R
が小さいドリル6の方が寿命は長かった。ただし、この
円弧状の内周端側部分Pが形成されていないドリル5で
も、この内周端側部分Pを円弧状としてその半径Rを
0.3Wとしたドリル7とは同等かそれ以上の寿命を得
ることができた。なお、これらのドリル1〜7におい
て、軸線O方向先端側から見てシンニング刃7の両端と
なる交点A,Bを結ぶ直線Mと切刃5とがなす交差角θ
は、いずれも25°であった。
【0021】このように、上記構成のツイストドリルに
おいて、ドリル本体1の先端にシンニングを施して切刃
5の内周端にシンニング刃7を形成した場合には、軸線
O方向先端側から見て、このシンニング刃7を凹曲線状
に形成することにより、また上記距離αを0.01D以
下とするとともに上記交差角θを15〜40°の範囲
内、より望ましくは20〜30°の範囲内とすることに
より、さらには該シンニング刃7の少なくとも内周端側
部分Pを0.3W以下の半径Rの円弧状に形成すること
により、いずれの場合もドリル寿命の延長を図ることが
でき、しかもこれらの構成のうちの2つまたは3つすべ
てを組み合わせて採用することにより、さらに一層のド
リルの長寿命化を図ることが可能となる。また、特に上
記距離αおよび半径Rについては、これが小さいほどよ
り長寿命となる。なお、さらに上記交差角θについて
も、これが15〜40°の範囲内にあるものと、範囲外
にあるものとで比較をしたところ、交差角θが15°未
満のものでは、シンニング刃7の長さが長くなるのに伴
い該シンニング刃7により生成される切屑が多くなって
ドリルの求心性が損なわれる一方、交差角θが40°を
超えるものでは、シンニング部6によるチップポケット
が小さくなって切屑詰まりが生じることにより、ドリル
本体1の振れ回りが大きくなって損傷が生じ易くなり、
いずれの場合も交差角θが15〜40°の範囲内にある
ものに比べて短いドリル寿命となってしまった。さら
に、このうちでも特に交差角θが20〜30°の範囲内
にあるものでは、より長いドリル寿命を得ることができ
た。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来の技術常識に反してドリル本体の切刃部の心厚Wを
ドリル直径Dに対して0.1〜0.25Dの範囲内と小
さくするとともに、軸線方向先端側から見て切刃に直交
する方向のチゼル長さLを0.3〜0.7Wの範囲内と
大きくすることにより、ステンレス鋼のような難削材へ
の穴明け加工においても、切屑詰まりを防止して切屑排
出時の抵抗の増大を防ぐとともにチゼルの損傷を防いで
ドリルの求心性を確保し、ドリル寿命の延長を図ること
ができる。また、ドリル本体先端にシンニング刃を形成
することによって切刃の内周端にシンニング刃を形成
し、軸線方向先端側から見て、このシンニング刃を凹曲
線状に形成したり、シンニング刃の両端を通る直線と該
直線に平行なシンニング刃への接線との距離αを0.0
1D以下とするとともに上記直線が切刃に対してなす交
差角θを15〜40°の範囲内、より望ましくは20〜
30°の範囲内としたり、該シンニング刃の少なくとも
内周端側部分を0.3W以下の半径Rの円弧状に形成し
たりすることにより、一層長寿命なツイストドリルを提
供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示すドリル本体1の軸
線O方向先端側から見た正面図である。
【図2】 図1に示す実施形態の切刃部2の先端部を切
刃5,5に直交する方向から見た側面図である。
【図3】 図1に示す実施形態の軸線O周辺を示す拡大
正面図である。
【図4】 ドリル径Dが2.6mmの場合のチゼル長さL
とドリル寿命との関係を示す図である。
【図5】 ドリル径Dが6.0mmの場合のチゼル長さL
とドリル寿命との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 ドリル本体 2 切刃部 3 切屑排出溝 5 切刃 6 シンニング部 7 シンニング刃 8 チゼル O ドリル本体1の中心軸線 T ドリル回転方向 D ドリル直径 W 心厚 L チゼル長さ A シンニング刃7の内周端 B シンニング刃7の外周端 P シンニング刃7の内周端側部分 Q シンニング刃7の外周端側部分 R 軸線O方向先端側から見たシンニング刃7の内周端
側部分Pの半径 M 軸線O方向先端側から見たシンニング刃7の両端
A,Bを結ぶ直線 N 軸線O方向先端側から見た直線Mに平行なシンニン
グ刃7の接線 α 軸線O方向先端側から見た直線Mと接線Nとの距離 θ 軸線O方向先端側から見た直線Mと切刃5との交差
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池内 寛 兵庫県明石市魚住町金ヶ崎西大池179−1 エムエムシーコベルコツール株式会社内 Fターム(参考) 3C037 AA02 BB13 DD03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドリル本体先端側の切刃部の外周に、こ
    のドリル本体の中心軸線回りにねじれる一対の切屑排出
    溝が形成されるとともに、これらの切屑排出溝のドリル
    回転方向側を向く壁面の先端側稜線部には、外周側に向
    かうに従いドリル本体後端側に向けて傾斜する一対の切
    刃が上記軸線に関して互いに対称に形成されてなるツイ
    ストドリルにおいて、上記切刃部の心厚Wがドリル径D
    に対して0.1〜0.25Dの範囲内とされるととも
    に、上記ドリル本体先端の上記軸線上にはチゼルが形成
    され、上記軸線方向先端側から見て上記切刃に直交する
    方向におけるこのチゼルの長さLが、上記心厚Wに対し
    て0.3〜0.7Wの範囲内とされていることを特徴と
    するツイストドリル。
  2. 【請求項2】 上記ドリル本体先端にシンニングが施さ
    れることにより、上記切刃の内周端には、上記チゼルに
    交差するシンニング刃が上記軸線方向先端側から見て凹
    曲線状に形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載のツイストドリル。
  3. 【請求項3】 上記軸線方向先端側から見て、上記シン
    ニング刃の両端を結ぶ直線とこの直線に平行な該シンニ
    ング刃の接線との間の距離αが、上記ドリル径Dに対し
    て0.01D以下とされるとともに、上記直線と上記切
    刃とがなす交差角θが15〜40°の範囲内とされてい
    ることを特徴とする請求項2に記載のツイストドリル。
  4. 【請求項4】 上記直線と上記切刃とがなす交差角θが
    20〜30°の範囲内とされていることを特徴とする請
    求項3に記載のツイストドリル。
  5. 【請求項5】 上記軸線方向先端側から見て、上記シン
    ニング刃の少なくとも内周端側の部分は、上記心厚Wに
    対して0.3W以下の半径の円弧状に形成されているこ
    とを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記
    載のツイストドリル。
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