JP2009020920A - 磁気記録媒体用多結晶シリコン基板および磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】充分な耐衝撃性・耐熱性と、低いフライングハイトを実現可能な優れた表面平坦性を備えた安価な磁気記録媒体用の多結晶Si基板を提供すること。
【解決手段】結晶加工時における研磨速度が相対的に速い{100}面及び/又は研磨速度が相対的に遅い{111}面の基板面の総面積(S0)に占める割合を適当な範囲となるようにする。具体的には、多結晶Si基板の主面に現れる個々の結晶粒の結晶面のうち、{100}結晶面の総面積(S{100})を、基板面の総面積(S0)の10%以上50%未満とする。このような結晶面選択を行うと、研磨速度の結晶面指数依存性に起因して生じる「段差」の程度が軽減され、平坦・平滑な基板面を得ることが可能となる。また、{111}結晶面の総面積(S{111})が基板面の総面積(S0)に占める割合が30〜90%としても、同様の効果を得ることができる。
【選択図】図3
【解決手段】結晶加工時における研磨速度が相対的に速い{100}面及び/又は研磨速度が相対的に遅い{111}面の基板面の総面積(S0)に占める割合を適当な範囲となるようにする。具体的には、多結晶Si基板の主面に現れる個々の結晶粒の結晶面のうち、{100}結晶面の総面積(S{100})を、基板面の総面積(S0)の10%以上50%未満とする。このような結晶面選択を行うと、研磨速度の結晶面指数依存性に起因して生じる「段差」の程度が軽減され、平坦・平滑な基板面を得ることが可能となる。また、{111}結晶面の総面積(S{111})が基板面の総面積(S0)に占める割合が30〜90%としても、同様の効果を得ることができる。
【選択図】図3
Description
本発明はハードディスクドライブ等の磁気記録媒体の製造に用いられるシリコン基板に関する。
情報記録の技術分野において、文字や画像あるいは楽曲といった情報を磁気的に読み込み・書き出しする手段であるハードディスク装置は、パーソナルコンピュータをはじめとする電子機器の一次外部記録装置や内蔵型記録手段として必須のものとなっている。このようなハードディスク装置には磁気記録媒体としてのハードディスクが内蔵されているが、従来のハードディスクでは、ディスク表面に磁気情報を水平に書き込むいわゆる「面内磁気記録方式(水平磁気記録方式)」が採用されていた。
図1(A)は、水平磁気記録方式のハードディスクの一般的な積層構造を説明するための断面概略図で、非磁性基板1上に、スパッタリング法で成膜されたCr系下地層2、磁気記録層3および保護膜としてのカーボン層4が順次積層され、このカーボン層4の表面に液体潤滑剤を塗布して形成された液体潤滑層5が形成されている(例えば、特許文献1参照)。そして、磁気記録層3は、CoCr,CoCrTa,CoCrPt等の一軸結晶磁気異方性のCo合金であり、このCo合金の結晶粒がディスク面と水平に磁化されて情報が記録されることとなる。なお、磁気記録層3中の矢印は磁化方向を示している。
しかしながら、このような水平磁気記録方式では、記録密度を高めるために個々の記録ビットのサイズを小さくすると、隣接した記録ビットのN極同士およびS極同士が反発し合って境界領域が磁気的に不鮮明になるので、高記録密度化のためには磁気記録層の厚みを薄くして結晶粒のサイズを小さくする必要がある。結晶粒の微細化(小体積化)と記録ビットの微小化が進むと熱エネルギによって結晶粒の磁化方向が乱されてデータが消失するという「熱揺らぎ」の現象が生じることが指摘され、高記録密度化には限界があるとされるようになった。つまり、KuV/kBT比が小さいと熱揺らぎの影響が深刻になる。ここで、Kuは記録層の結晶磁気異方性エネルギ、Vは記録ビットの体積、kBはボルツマン定数、Tは絶対温度(K)である。
このような問題に鑑みて検討されるようになったのが「垂直磁気記録方式」である。この記録方式では、磁気記録層はディスク表面と垂直に磁化されるため、N極とS極が交互に束ねられてビット配置され、磁区のN極とS極は隣接しあって相互に磁化を強めることとなる結果、磁化状態(磁気記録)の安定性が高くなる。つまり、垂直に磁化方向が記録される場合には、記録ビットの反磁界が低減されるので、水平磁気記録方式と比較すると、記録層の厚みをそれほど小さくする必要はない。このため、記録層厚を厚くして垂直方向を大きくとれば、全体としてKuV/kBT比が大きくなって「熱揺らぎ」の影響を小さくすることが可能である。
上述のように、垂直磁気記録方式は、反磁場の軽減とKuV値を確保できるため、「熱揺らぎ」による磁化不安定性が低減され、記録密度の限界を大幅に拡大することが可能となる磁気記録方式であることから、超高密度記録を実現する方式として期待されている。
図1(B)は、軟磁性裏打ち層の上に垂直磁気記録のための記録層を設けた「垂直二層式磁気記録媒体」としてのハードディスクの基本的な層構造を説明するための断面概略図で、非磁性基板11上に、軟磁性裏打ち層12、磁気記録層13、保護層14、潤滑層15が順次積層されている。ここで、軟磁性裏打ち層12には、パーマロイやCoZrTaアモルファスなどが典型的に用いられる。また、磁気記録層13としては、CoCrPt系合金、CoPt系合金、PtCo層とPdとCoの超薄膜を交互に数層積層させた多層膜、PtFeあるいは、SmCoアモルフアス膜などが用いられる。なお、磁気記録層13中の矢印は磁化方向を示している。
図1(B)に示したように、垂直磁気記録方式のハードディスクでは、磁気記録層13の下地として軟磁性裏打ち層12が設けられ、その磁気的性質は「軟磁性」であり、層厚みは概ね100nm〜200nm程度とされる。この軟磁性裏打ち層12は、書き込み磁場の増大効果と磁気記録膜の反磁場低減を図るためのもので、磁気記録層13からの磁束の通り道であるとともに、記録ヘッドからの書き込み用磁束の通り道として機能する。つまり、軟磁性裏打ち層12は、永久磁石磁気回路における鉄ヨークと同様の役割を果たす。このため、書き込み時における磁気的飽和の回避を目的として、磁気記録層13の層厚に比較して厚く層厚設定される必要がある。
図1(A)に示したような水平磁気記録方式は、その熱揺らぎ等による記録限界から、100G〜150Gbit/平方インチの記録密度を境として、図1(B)に示したような垂直磁気記録方式に順次切り替わりつつある。なお、垂直磁気記録方式での記録限界がどの程度であるかは現時点では定かではないが、500Gbit/平方インチ以上であることは確実視されており、一説では、1000Gbit/平方インチ程度の高記録密度が達成可能であるとされている。このような高記録密度が達成できると、2.5インチHDDプラッタ当り600〜700Gバイトの記録容量が得られることになる。
ところで、HDD用の磁気記録媒体用基板には、一般に、3.5インチ径の基板としてAl合金基板が、2.5インチ径の基板としてガラス基板が使用されている。特に、ノートブックパソコンのようなモバイル用途では、HDDが外部からの衝撃を頻繁に受けるため、これらに搭載される2.5インチHDDでは、磁気ヘッドの「面打ち」により記録メディアや基板が傷ついたり、データが破壊される可能性が高いことから、磁気記録媒体用基板として硬度の高いガラス基板が使用されるようになった。
モバイル機器が小型化されると、それに内蔵される磁気記録媒体用基板にはより高い耐衝撃性が求められることとなる。2インチ径以下の小口径基板用途の殆どはモバイル用途であるため、2.5インチ径の基板以上に、高い耐衝撃性が求められる。また、モバイル機器の小型化は必然的に、搭載部品の小型化と薄型化を要求するところとなり、2.5インチ径基板の標準厚が0.635mmであるのに対し、例えば1インチ径基板の標準厚みは0.382mmとされている。このような事情を背景として、ヤング率が高く薄板でも十分な強度が得られ、しかも磁気記録媒体の製造プロセスと相性のよい基板が求められている。
ガラス基板は主にアモルファス強化ガラスで0.382mm厚の1インチ径基板が実用化されているものの、これ以上の薄板化は容易ではない。また、ガラス基板は絶縁体であるため、磁性膜をスパッタ成膜する工程において基板がチャージアップを生じやすいという問題がある。実用上はスパッタ工程で基板の掴み換えを行うことで量産化を可能としているが、ガラス基板の使用を難しいものにしている要因の1つである。
次世代記録膜としてFePtなどが検討されているが、高保磁力化するためには600℃前後の高温熱処理が必要とされる。そこで、熱処理温度の低減が検討されてはいるが、それでも400℃以上の熱処理が必要であり、この温度は、現在使用されているガラス基板の使用に耐え得る温度を超えており、Al基板もこのような高温での処理に耐え得ない。
ガラス基板やAl基板以外にも、サファイアガラス基板、SiC基板、エンジニアリングプラスティック基板、カーボン基板などの代替基板が提案されたが、強度、加工性、コスト、表面平滑性、成膜親和性などの観点からは、小口径基板の代替基板としては何れも不十分であるというのが実情である。
このような事情を背景として、本発明者らは、シリコン(Si)の単結晶基板をHDD記録膜基板として使用することを既に提唱している(例えば、特許文献2参照)。
Si単結晶基板は広くLSI製造用基板として用いられ、表面平滑性、環境安定性、信頼性等に優れているのはもちろんのこと、剛性もガラス基板と比較して高いため、HDD基板に適している。加えて、絶縁性のガラス基板とは異なり半導体用であり、通常はp型もしくはn型のドーパントが含まれていることが多いために、ある程度の導電性をもつ。したがって、スパッタ成膜時におけるチャージアップもある程度は軽減され、金属膜の直接スパッタ成膜やバイアススパッタも可能である。さらに、熱伝導性も良好であるため、基板加熱も容易で、スパッタ成膜工程との相性は極めて良好である。しかも、Si基板の結晶純度は非常に高く、加工後の基板表面は安定で経時変化も無視できるという利点がある。
しかしながら、LSI等の素子製造用の「半導体グレード」のSi単結晶は一般に高価である。事実、近年の太陽電池の普及による需要増加に伴い、「半導体グレード」のSi単結晶の価格も高騰している。単結晶Si基板を磁気記録媒体用基板として用いることを考えた場合には、口径が大きくなるとガラス基板やAl基板に比較して原料コスト面で劣るという深刻な問題がある。
コストダウン対策のひとつとして、多結晶Si基板の使用が考えられるが、この場合には下記のような問題が生じる。すなわち、垂直磁気記録方式の記録媒体(磁気ディスク)の記録密度を向上させた場合には、当該磁気ディスク表面を浮上する磁気ヘッドの浮上高さ(フライングハイト)は低くなるが、これを実現するには、磁気記録媒体用基板のこれまで以上の高い平坦性・平滑性が求められる。しかし、クロロシランを水素化させることで得られる多結晶シリコンは、個々の結晶粒ごとに結晶方位が異なり、その結果、個々の結晶粒ごとに研磨速度やエッチング速度が異なるため、CMP研磨等で平滑な面を得ることが難しい。
特開平5−143972号公報
特開2005−108407号公報
本発明はかかる問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、充分な耐衝撃性・耐熱性を有し、加工プロセスや磁気記録層の成膜プロセスを複雑なものとすることがなく、低いフライングハイトを実現可能な優れた表面平坦性を有し、しかも安価な磁気記録媒体用の多結晶Si基板を提供することにある。
上述の課題を解決するために、第1の発明に係る磁気記録媒体用シリコン基板は、{100}結晶面の総面積(S{100})が基板面の総面積(S0)に占める割合が10%以上、50%未満であることを特徴とする。
また、第2の発明に係る磁気記録媒体用多結晶シリコン基板は、{111}結晶面の総面積(S{111})が基板面の総面積(S0)に占める割合が30%以上、90%以下であることを特徴とする。
本発明の磁気記録媒体用多結晶シリコン基板は、その主面上に10nm以上2000nm以下の膜厚の酸化膜を備えていること、また、ウェビネスとマイクロウェビネスの2乗平均値が何れも0.3nm以下であることが好ましい。
このような多結晶シリコン基板は、0.01mm/min以上1mm/min以下の凝固速度で一方向凝固させて育成されたインゴットから切り出して得ることができる。
このような多結晶シリコン基板上に磁気記録層を備えることにより、本発明の磁気記録媒体が得られる。
本発明の磁気記録媒体用多結晶シリコン基板は、結晶加工時における研磨速度が相対的に速い{100}面及び/又は研磨速度が相対的に遅い{111}面の、基板面の総面積(S0)に占める割合を適当な範囲となるようにしたので、研磨速度の結晶面指数依存性に起因して生じる「段差」の程度が軽減され、平坦・平滑な基板面を得ることが可能となる。
そして、基板面が平坦・平滑化される結果、これを用いて製造される磁気記録媒体の低いフライングハイトが実現される。また、多結晶Si結晶という材料の特性上、充分な耐衝撃性と耐熱性を有すること、加工プロセスや磁気記録層の成膜プロセスを複雑なものとすることがないことが担保され、しかも安価な磁気記録媒体用の多結晶Si基板として利用することができる。
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
[多結晶シリコン基板の諸特性および結晶面]:本発明の磁気記録媒体用多結晶シリコン基板の純度は、いわゆる「半導体グレード」(一般には、その純度は「11ナイン」(99.999999999%)以上である)のものである必要はなく、概ね「太陽電池グレード」のものでよい。太陽電池グレードの多結晶Siの純度は、一般的には「6ナイン」(99.9999%)以上であるが、本発明では「3ナイン」(99.9%)までは許容でき、好ましくは「5ナイン」(99.999%)以上である。
多結晶Siの純度の好ましい値を「5ナイン」と設定するのは、これよりも低純度であると、粒界に結晶中の不純物が析出して基板強度を低下させるおそれがあるためである。なお、基板強度等の観点からは多結晶Siの純度は高いほど好ましいが、高純度とするにつれて原料コストは増大する。したがって、精々、「8ナイン」(99.999999%)〜「9ナイン」(99.9999999%)程度でよい。
不純物としては、Li、K、Na等のアルカリ金属、および、CaやMg等のアルカリ土類金属などのようにSiと反応して珪化物を形成する金属の濃度は低いことが望ましい。具体的には、これらの各不純物元素は1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下である。さらに研磨中に酸化還元電位の関係で、シリコン基板に穴を開けてしまう原因となるFe,Ni,Cuなどの遷移金属の濃度も低いことが望ましい。具体的には、これらの各不純物元素濃度は1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下である。
シリコン基板の電気抵抗は、面積抵抗で0.01Ω/cm以上100Ω/cm以下が好ましく、より好ましくは0.1Ω/cm以上50Ω/cm以下である。この抵抗値は、シリコン結晶中に含まれるB、P、N、As、Sn等のドーパント量で決まることとなる。結晶中に含まれるドーパント量は、ドナー不純物とアクセプタ不純物の合計として、概ね1022atoms/cm3以下であればよい。結晶中に含まれるドーパント量が多すぎると、結晶中に「抵抗縞」が生じ、基板の表面を平滑に研磨できなくなる。一方、ドーパント量が少なすぎると、結晶は高抵抗となり、磁性膜形成のためのスパッタリング工程などにおいてバイアス電流が流れ難く、成膜が困難となるなどの問題が生じる。
多結晶シリコン基板は「多結晶」であるから、その表面には種々の結晶面が現れることとなるが、本発明においては、結晶加工時における研磨速度が相対的に速い{100}面及び/又は研磨速度が相対的に遅い{111}面の、基板面の総面積(S0)に占める割合を適当な範囲とする観点から、基板表面に現れる個々の結晶粒の結晶面に下記のような条件が設けられる。ここで、{100}面とは(100)面と等価な結晶面を、{111}面とは(111)面と等価な結晶面を意味する。
その第1は、研磨速度が速い{100}面の割合を適当な範囲とすることで研磨後の基板面を平滑化・平坦化するものであって、多結晶シリコン基板の表面に現れる個々の結晶粒の結晶面のうち、{100}結晶面の総面積(S{100})を基板面の総面積(S0)の10%以上、50%未満とする。{100}面の比率が50%以上の場合には、研磨速度が速い{100}面と研磨速度が遅い{111}面との間での研磨速度の差に起因する「段差」によって、シリコン基板面の平滑性・平坦性の低下が顕著となる。なお、面内での結晶方位の割合(比率)の測定は、ポールフイギャ法またはEPMA-EBSP法などの手法で行うことができる。
その第2は、研磨速度が遅い{111}面の割合を適当な範囲とすることで研磨後の基板面を平滑化・平坦化するものであって、多結晶シリコン基板の表面に現れる個々の結晶粒の結晶面のうち、{111}結晶面の総面積(S{111})を基板面の総面積(S0)の30%以上、90%以下とする。{111}面の比率が30%未満若しくは90%を超える場合には、研磨速度が遅い{111}面と研磨速度が速い{100}面との間での研磨速度の差に起因する「段差」によって、シリコン基板面の平滑性・平坦性の低下が顕著となる。
なお、多結晶シリコン基板面に現れる面指数は、{100}面と{111}面以外には、主として、{110}面や{112}面といった低指数面である。
[多結晶シリコンインゴットの育成法]:本発明で用いられる多結晶シリコン基板を製造するためのインゴットは、例えば、以下のようにして育成される。溶解炉中にシリコンと反応しない材質のルツボ(例えば、石英ガラス製ルツボやカーボン製ルツボや窒化珪素製ルツボなど)に原料となる金属珪素を入れ、不活性雰囲気中(アルゴンや窒素など)または真空中で、ルツボを珪素の融点(約1420℃)以上で且つ1600℃以下の温度に保持して金属珪素を溶解し、0.01mm/min〜1mm/min程度(好ましくは、0.05mm/min〜0.8mm/min)の凝固速度で一方向凝固させる。
凝固速度が0.01mm/min未満の場合には、{111}面(および{100}面)以外の結晶面({112}面等)の割合が増える傾向を示すため、適正な結晶面比率を維持することが困難となることに加え、結晶性長時間が長くなり、製造コストが高くなる。また、凝固速度が1mm/minを超える場合には、{100}面の比率が高くなり易く、この場合も、適正な結晶面比率を維持するという観点からは好ましくない。安定的に望ましい多結晶シリコン基板を得るためには、一方向凝固の速度は0.05mm/min乃至0.8mm/minであることが好ましい。
図2(A)および(B)は、本発明における、多結晶シリコンインゴットの製造装置例の概要を説明するための断面概略図で、図2(A)は原料をルツボにチャージした状態を、図2(B)はインゴット育成途中の状態を、図示している。原料である金属珪素21はルツボ22にチャージされた状態で台座23の上にセットされ、ルツボ22がグラファイト材24にカバーされた状態で誘導加熱コイル25等の加熱手段によって金属珪素21の溶解が行われる。
なお、この図に示した誘導加熱コイル25は、加熱条件を独立に制御可能な3つの領域(25A、25B、25C)に分割されており、ルツボ22の上部になるに従って温度が高くなるように加熱制御される。符号26は台座23の支持部であり、符号27A乃至Cはシリコンの一方向凝固のための水冷用の冷却菅である。
先ず、金属珪素21の熔け残りが生じないように、珪素の融点1420℃より約200℃高い1600℃で熔解し、一定時間保持する。そして、金属珪素21に含まれていた不純物をシリコン融液の上部に濃縮させるために、シリコンの熔解相(21A)と固化した相(21B)の界面(固液界面)の近傍のシリコン融液温度を制御する。具体的には、温度が1450℃となるルツボ位置より上部のルツボ温度を、1600℃迄の範囲(例えば、1550〜1600℃)で、段階的に温度勾配をもたせる。
一方向凝固の開始は、冷却管27A乃至Cに冷却水を流すことから始まる。その際、垂直方向にシリコンの凝固が進行するように、ルツボ22の中心部と周辺部のシリコン融液の温度差が50℃以内になるように、水冷水量が調節される。台座23に組み込まれた冷却管27Aが3分割(27A1、27A2、27A3)されているのはこのためであり、ルツボ22の中心部と周辺部の冷却状態が独立に制御される。このような温度制御の下で、凝固速度が0.01〜1.0mm/minとなるようにルツボ22位置を徐々に下げてシリコンを一方向凝固させてインゴットを得る。
[多結晶シリコン基板の製造プロセス]:図3は、本発明の磁気記録媒体用多結晶Si基板の製造プロセスの一例を説明するためのフローチャートである。先ず、Si基板をコア抜きして取得するための多結晶Siウェハを準備する(S101)。この多結晶Siウェハは、上述の手法で得られたシリコンインゴットを所定厚さにワイヤソー等で切断して得られる。
この多結晶Siウェハをラップして厚みを調節してからコア抜きする(S102)。コア抜きするSi基板の直径は概ね65mm以下で21mm以上のものとなる。このコア抜き加工には、ダイヤモンド砥石によるカップ切断、超音波切断、ブラスト加工、ウォータージェット処理、固体レーザなど種々の方法があるが、加工速度の確保や切り代量の削減、口径の切り替え容易性、治具製作や後加工の容易性などの理由から、固体レーザによるレーザコア抜きが望ましい。固体レーザはパワー密度が高くビームを絞れるため、溶断残渣(ドロス)の発生が少なく加工面が相対的にきれいなためである。この場合のレーザ光源としては、Nd−YAGレーザやYb−YAGレーザなどを挙げることができる。
コア抜きして得られたSi基板に、芯取および内外端面処理を施し(S103)、さらに、エッチングを施して加工ダメージ層を除去し(S104)、その後の研磨でチッピング等が生じないように端面研磨加工を施す(S105)。
このようにして得られたSi基板に、研磨を施して表面を平坦化する(S106〜S107)。単結晶Si基板の表面平滑化は、コロイダルシリカなどのスラリによる多段CMP研磨により行われるのが一般的である。また、一般的な多結晶シリコンでは、結晶粒毎の結晶方位がランダムであるため、単結晶Si基板と同様の条件でCMP研磨を行うと、結晶粒毎に研磨速度が異なることに起因して良好な表面平滑性を得ることが困難である。
上述のとおり、多結晶シリコン基板面には、{100}面と{111}面以外にも、(110)面や(112)面といった低指数面が現れており、それぞれに研磨速度が異なる。このため、従来の多段CMP研磨の条件では、多結晶シリコン基板の表面を平滑に研磨することは困難である。そこで、CMP研磨の「ケミカル性」を抑制して、研磨速度の結晶面指数依存性に起因して生じる研磨面の「段差」の顕在化を抑えることが好ましい。例えば、CMPスラリ中のpHを4以上9以下に調節して多段CMP処理(研磨粒子を変化させて2回以上行う処理)を行う。
さらに、CMP研磨の「ケミカル性」を抑制して結晶面による研磨速度の差異を抑えるために、マスキング剤として、過酸化水素(H2O2)・過硫酸塩等の酸化剤を入れると、研磨面の平滑性を向上させることができるとの知見が得られている。これは、研磨中にマスキング剤が基板表面に薄い酸化膜を形成するため、多結晶シリコンの結晶粒毎の研磨速度の相違が相対的に弱められるためであると考えられる。
このような研磨のスラリとして用いる研磨剤は、コロイダルシリカが好ましく、平均粒径5〜80nmのものを使用するとよい。また、研磨圧は、1段研磨(S106)は5〜20kg/cm2の研磨圧で、2段研磨(S107)やそれ以降の研磨は研磨圧を1〜10kg/cm2で行うことが好ましい。
研磨工程(S107)に続き、スクラブ洗浄(S108)、RCA洗浄(S109)を行って基板表面を清浄化する。その後、当該基板表面を光学検査(S110)して、梱包、出荷される(S111)。そして、このようにして得られた多結晶Si基板上に軟磁性裏打層、磁気記録層等を順次積層させると、図1(B)に図示したような積層構造の磁気記録媒体を得ることができる。なお、磁気記録層の形成に先立ち、上述の多結晶Si基板上に酸化膜を形成させておき、この酸化膜上に磁気記録層を設けるようにしてもよい。この点については後述する。
このようにして得られた多結晶Si基板は、ウェビネスとマイクロウェビネスの2乗平均値が何れも0.3nm以下となり、ハードディスク用の基板として充分な表面特性を得ることができる。なお、これらの表面特性は、湾曲度(ウェビネス)をPhase Shifter社製のOpti-Flatで、マイクロウェビネスをZygo社製の光学計測器で、平滑性(ラフネス)をDigital Instrument社製のAFM装置で測定した。そして、このような多結晶Si基板上に、軟磁性材料及び記録材料をメッキやスパッタにより積層させて磁気記録媒体とする。
[酸化膜付き多結晶シリコン基板]:本発明者らの検討によれば、上述の研磨で用いたCMPスラリ中に、マスキング剤として、過酸化水素(H2O2)、過硫酸、過硫酸塩等の酸化剤を0.1〜10質量%入れると、研磨面の平滑性を向上させることができるとの知見が得られている。これは、研磨中にマスキング剤が基板表面に薄い酸化膜を形成するため、多結晶シリコンの結晶粒毎の研磨速度の相違が相対的に弱められるためであると考えられる。従って、上述のような結晶面方位を適当に制御した多結晶Si基板の表面に、酸化膜を積極的に設けておくことは、平坦・平滑な基板面を得る上で有効であると考えられる。
つまり、平坦・平滑な多結晶Si基板を得る上では、研磨工程に先立ち予め酸化膜(例えば、膜厚100nm以上)を多結晶Si基板表面に設けておき、この酸化膜をpHが7以上11以下に調節したスラリを用いてCMP処理(2段研磨)して、平坦・平滑な酸化膜付き多結晶Si基板を得るという態様も有効な手法である。例えば、図3の1段研磨(S106)と2段研磨(S107)との間に、新たに、酸化膜形成工程を設けるといった態様が有る。このような場合の研磨後の酸化膜厚は、当該酸化膜上に磁性材料からなる膜を形成することを考えて、例えば、10nm以上2000nm以下とする。
また、このような酸化膜形成は、当該SiO2膜付けにより薄板の強度が増すこと及びSiO2膜はアモルファスであるために特定方向への僻開性がないといったことにより、基板としての強度や耐衝撃性を向上させることができるという利点もある。
このような酸化膜の成膜方法としては、数種類の方法が考えられるが、経済性等を考慮すると、下記の3種類が適当であると考えている。その第1は、大気中または水蒸気中あるいは酸化雰囲気中で多結晶Si基板を800℃〜1200℃で熱処理して熱酸化膜を成膜する方法である。第2は、シリコーン系材料やオルガノシリカを多結晶Si基板表面に被膜し、これを熱処理して酸化膜とする方法である。そして、第3は、スパッタリング等の蒸着による方法である。
これらの方法のうち、第2の方法は、スピンコートのような方法で容易に平滑薄膜が得られ、当該薄膜を適度な温度で熱処理して有機成分を気散させることにより、酸化膜を得ることができるという利点がある。具体的には、シリコーン系材料やオルガノシリカを含有する液剤を多結晶Si基板表面に塗布して平滑な薄膜とした後、この薄膜を適度な温度で熱処理して有機成分を気散させることでSiO2膜を得る。
このような手法で酸化膜を形成する場合の材料としては、シラン化合物(特にアルコキシシラン)を加水分解・縮合した加水分解縮合物等(例えば、Honeywell製アキュフローT−27やアライドシグナル製のアキュグラスP−5Sなど)が例示される。これらを液剤としてスピンコートにより100nm以上の厚さで基板面内に均一塗布し、その後大気中で50℃から200℃以下で溶媒を蒸発させる。次に、大気中または不活性ガス雰囲気中で200℃以上800℃以下の加熱処理(0.1〜6hr)によりSiO2膜または有機シリカ膜とする。
形成される酸化膜の厚みは、シリコーン系材料やオルガノシリカの種類、或いは塗布時のスピンコート条件などによるが、概ね100nm以上2000nm以下になる。液剤の塗布によるものであるため、図3の1段研磨(S106)と2段研磨(S107)との間に酸化膜形成工程を設けた態様の場合、1段研磨(S106)における平坦性が一定程度以下(例えば、粒間段差が10nm以下で、ウェビネスWaが概ね2.0nm以下)であれば、スピンコートすることによりSi基板表面に残された段差や結晶粒界部分は遮蔽され、平坦に塗布がなされる。
以下では、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
結晶の純度および含有不純物(ドーパント)の異なる7種類の多結晶Si塊を準備し、溶解炉で直径180mmφの石英ガラス製ルツボの中に原料の多結晶Si塊を入れる。不活性雰囲気で約1420℃に保持した状態で、0.01mm/min以上、2mm/min未満の速度で凝固させて多結晶シリコンインゴットを得た。これらのインゴット育成条件を、実施例1乃至6及び比較例1として表1に示す。
得られた多結晶シリコンインゴットを切断・ラップして多結晶Siウェハを得た(S101)後、レーザ加工機(YAGレーザ、波長1064nm)により、外径60mm、内径20mmの多結晶基板をコア抜き(S102)し、各条件に付き6枚の多結晶Si基板を得た。
これらの多結晶Si基板に、芯取・内外端面処理(S103)、エッチング(S104)、端面研磨(S105)を施し、基板の主面に1段研磨加工(S106)を施した。この1段研磨加工は、両面研磨機を用いて1回6枚ずつ行い、表面平坦性を確保するために、pH8のコロイダルシリカ(平均径30nm)のスラリを用いて20分研磨した。研磨後の粒間段差を光学検査機(Zygo)で調べたところ、概ね2nm程度であった。なお、結晶面方位の面内割合の測定は、EPMA-EBSP法で行った(表2参照)。
実施例1乃至3の試料については、1段研磨終了後の基板をスクラブ洗浄後、仕上げ用の細かい粒径のコロイダルシリカ(pH値8、粒径15nm)を用いて、基板面を20分間2段研磨(S107)して、微小欠陥のない平滑な研磨面を得た。
実施例4の試料については、1段研磨終了後の基板をスクラブ洗浄後、大気中1000℃で空気を1リットル/時の流量で流しながら、1時間の熱酸化処理を実行した。形成された酸化膜の膜厚をエリプソーメータで測ったところ、1000nmであった。この酸化膜付き多結晶Si基板を、仕上げ用の細かい粒径のコロイダルシリカ(pH値10、粒径15nm)を用いて、酸化膜面を20分間2段研磨(S107)して、微小欠陥のない平滑な研磨面を得た。
実施例5の試料については、1段研磨終了後の基板をスクラブ洗浄後、スピンコータでオルガノシリカ(東京応化製 T-2-Si-58000-SG)を塗布した。この基板を、400℃で30分間大気中で加熱して酸化膜を形成した。この酸化膜の厚みを膜厚検査機で測定したところ約500nmで、基板面内での膜厚分布も均一であった。この酸化膜付き多結晶Si基板を、仕上げ用の細かい粒径のコロイダルシリカ(pH値10、粒径15nm)を用いて、酸化膜面を20分間2段研磨(S107)して、微小欠陥のない平滑な研磨面を得た。
実施例6の試料については、1段研磨終了後の基板をスクラブ洗浄後、スピンコータでオルガノシリカ(Honeywell製アキュフローT−27)を塗布した。この基板を250℃で30分間大気中で加熱して酸化膜を形成した。この酸化膜の厚みを膜厚検査機で測定したところ約2000nmで、基板面内での膜厚分布も均一であった。この酸化膜付き多結晶Si基板を、仕上げ用の細かい粒径のコロイダルシリカ(pH値10、粒径15nm)を用いて、酸化膜面を20分間2段研磨(S107)して、微小欠陥のない平滑な研磨面を得た。
これら実施例1乃至6の多結晶Si基板を、スクラブ洗浄(S108)で残留コロイダルシリカを除去した後に精密洗浄(RCA洗浄:S109))を行い、研磨面の湾曲度(ウェビネス)をPhase Shifter社製のOpti-Flatで、マイクロウェビネスをZygo社製の光学計測器で、そして、平滑性(ラフネス)をDigital Instrument社製のAFM装置で測定した(S110)。
このようにして得られた評価結果(Ra:ラフネス、Wa:ウェビネス、μ−Wa:マイクロウェビネス)を表2に纏めている。この結果から分かるように、各実施例の研磨後の多結晶Si基板の表面特性は良好で、結晶粒ごとに結晶面方位が異なることに起因する段差は、一切観察されなかった。
比較例1の試料は、溶解炉で直径100mmφの石英ガラス製のルツボに99.999%の多結晶Si塊を入れ、真空中で多結晶Si塊を約1500℃で溶解し、5mm/minの凝固速度で一方向凝固させてシリコンインゴットを得ている。多結晶Si基板の結晶面方位の面内割合の測定は、実施例同様に、ポールフイギャ法で行っている(表1および表2参照)。
インゴットから基板を作製するプロセスは概ね上述の実施例と同様であるが、2段研磨工程では、仕上げ用の細かい粒径のコロイダルシリカ(pH値10、粒径15nm)を用いて、基板面を20分間研磨している。なお、基板表面への酸化膜形成は行っていない。
表2に示した評価結果から明らかなように、ラフネス、ウェビネス、およびマイクロウェビネスは何れも、実施例の試料に比較して1桁以上高い値を示している。この結果から分かるように、本発明の多結晶Si基板の表面特性は極めて良好であることが確認できる。また、多結晶Si結晶という材料の特性上、充分な耐衝撃性と耐熱性を有すること、加工プロセスや磁気記録層の成膜プロセスを複雑なものとすることがないことが担保される。そして、この多結晶Si基板は、低いフライングハイトを実現可能な優れた表面平坦性を有し、しかも安価な磁気記録媒体用の多結晶Si基板として利用することができる。
実施例1および実施例4で得られた基板と比較例1の基板に、軟磁性裏打ち層と磁気記録層をスパッタリング法で成膜した。膜構成としては、上から、C(6nm)/CoPtTiO2(15nm)/Ru(30nm)/Pt(10nm)/CoZrNb−SUL(200nm)/基板である。また、磁気特性測定に用いた装置は協同電子製スピンスタンドであり、記録ヘッドには単磁極ヘッド(ALPS製)を用いている。また、測定条件は、回転数4200rpm、測定半径R=25mm、ヘッドと媒体の相対線速度11.0m/s、記録・イレーズ電流50mAである。
上述の構造の磁気記録媒体をスピンスタンドに設置してDCイレーズを実施した後、浮上高10nmのナノスライダーヘッドにより書き込みを行い再生信号の測定を行った結果、実施例1および4の基板を用いた磁気記録媒体は20HzでのS/N比の平均レベルが30dBであったのに対して、比較例1の基板を用いた磁気記録媒体では、基板の凹凸のために、ヘッドが衝突信号が入り、上手く測定できなかった。このことから、本発明の多結晶シリコン基板は平滑であり、磁気記録媒体にしたときに低周波域でのノイズが低いことがわかる。
本発明により、充分な耐衝撃性・耐熱性を有し、加工プロセスや磁気記録層の成膜プロセスを複雑なものとすることがなく、低いフライングハイトを実現可能な優れた表面平坦性を有し、しかも安価な磁気記録媒体用の多結晶Si基板が提供される。
1、11 非磁性基板
2 Cr系下地層
3、13 磁気記録層
4、14 保護層
5、15 潤滑層
12 軟磁性裏打ち層
21 金属珪素
22 ルツボ
23 台座
24 グラファイト材
25 誘導加熱コイル
26 台座の支持部
27A〜C 冷却菅
2 Cr系下地層
3、13 磁気記録層
4、14 保護層
5、15 潤滑層
12 軟磁性裏打ち層
21 金属珪素
22 ルツボ
23 台座
24 グラファイト材
25 誘導加熱コイル
26 台座の支持部
27A〜C 冷却菅
Claims (6)
- {100}結晶面の総面積(S{100})が基板面の総面積(S0)に占める割合が10%以上、50%未満であることを特徴とする磁気記録媒体用多結晶シリコン基板。
- {111}結晶面の総面積(S{111})が基板面の総面積(S0)に占める割合が30%以上、90%以下であることを特徴とする磁気記録媒体用多結晶シリコン基板。
- 前記多結晶シリコン基板の主面上に10nm以上2000nm以下の膜厚の酸化膜を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体用多結晶シリコン基板。
- ウェビネスとマイクロウェビネスの2乗平均値が何れも0.3nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の磁気記録媒体用多結晶シリコン基板。
- 前記多結晶シリコン基板は、0.01mm/min以上1mm/min以下の凝固速度で一方向凝固させて育成されたインゴットから切り出されたものである請求項1乃至4の何れか1項に記載の磁気記録媒体用多結晶シリコン基板。
- 請求項1乃至5の何れか1項に記載の多結晶シリコン基板上に磁気記録層を備えている磁気記録媒体。
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