JP2010262691A - 磁気記録用シリコン基板の製造方法 - Google Patents

磁気記録用シリコン基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決課題】 加工プロセスや磁気記録層の成膜プロセスを複雑なものとすることがなく、表面平坦性に優れ、しかも熱伝導率が単結晶や多結晶のバルク基板と変わらない磁気記録媒体用Si基板を提供する。
【解決手段】 粗研磨(S6)後のシリコン多結晶基板表面にAl,Co,Cr,Cu,Mo,Nb,Ni,Ta,Ti,V,WおよびZrからなる群より選択される1種または2種以上の金属を含む基底層を形成し(S7)、該基底層上に、シリコンを含む層を少なくとも1層含む上位層を形成したのち(S8−1,S8−2,S8−3)、シリサイド化もしくはシリコン合金化(S9)し、該膜を研磨等の精密研磨(S10)して基板の平坦性を高めることとした。これにより、多結晶粒の結晶方位の違いや結晶粒界の存在には影響を受けずに平坦で平滑な表面を得ることができ、かつバルクSi基板とほぼ同等な耐熱性と熱伝導率を得ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気記録用に用いられる多結晶シリコン基板の製造方法に関する。
情報記録の技術分野において、ハードディスク装置はパーソナルコンピュータを初めとする電子機器の一次外部記録装置として必須のものとなっている。ハードディスク装置には磁気記録媒体としてハードディスクが内蔵されているが、従来のハードディスクでは、ディスク表面に磁気情報を水平に書き込むいわゆる「面内磁気記録方式(水平磁気記録方式)」が採用されていた。
図4(A)は、水平磁気記録方式のハードディスクの一般的な積層構造を説明するための断面概略図で、非磁性基板101上に、スパッタリング法で成膜されたCr系下地層102、磁気記録層103および保護膜としてのカーボン層104が順次積層され、このカーボン層104の表面に液体潤滑剤を塗布して形成された液体潤滑層105が形成されている(例えば、特許文献1参照)。そして、磁気記録層103は、CoCr,CoCrTa,CoCrPt等の一軸結晶磁気異方性のCo合金であり、このCo合金の結晶粒がディスク面と水平に磁化されて情報が記録されることとなる。なお、磁気記録層103中の矢印は磁化方向を示している。
しかしながら、このような水平磁気記録方式では、記録密度を高めるために個々の記録ビットのサイズを小さくすると、隣接した記録ビットのN極同士およびS極同士が反発し合って境界領域が磁気的に不鮮明になるので、高記録密度化のためには磁気記録層の厚みを薄くして結晶粒のサイズを小さくする必要がある。結晶粒の微細化(小体積化)と記録ビットの微小化が進むと、熱エネルギーによって結晶粒の磁化方向が乱されてデータが消失するという「熱揺らぎ」の現象が生じることが指摘され、高記録密度化には限界があるとされるようになった。つまり、KuV/kT比が小さいと熱揺らぎの影響が深刻になる。ここで、Kuは記録層の結晶磁気異方性エネルギー、Vは記録ビットの体積、kはボルツマン定数、Tは絶対温度(K)である。
このような問題に鑑みて検討されるようになったのが、「垂直磁気記録方式」である。この記録方式では、磁気記録層はディスク表面と垂直に磁化されるので、N極とS極が交互に束ねられてビット配置され、磁区のN極とS極とは隣接しあって相互に磁化を強めることとなる結果、磁化状態(磁気記録)の安定性が高くなる。つまり、垂直に磁化方向が記録される場合には、記録ビットの反磁界が低減されるので、水平磁気記録方式と比較すると、記録層の厚みをそれほど小さくする必要はない。このため、記録層厚を厚くして垂直方向を大きくとれば、全体としてKuV/kT比が大きくなって「熱揺らぎ」の影響を小さくすることが可能である。
上述のように、垂直磁気記録方式は、反磁場の軽減とKuV値を確保できるので、「熱揺らぎ」による磁化不安定性が低減され、記録密度の限界を大幅に拡大することが可能となる磁気記録方式であり、超高密度記録を実現する方式として実用化がなされている。
図4(B)は、軟磁性裏打ち層の上に垂直磁気記録のための記録層を設けた「垂直二層式磁気記録媒体」としてのハードディスクの基本的な層構造を説明するための断面概略図で、非磁性基板111上に、軟磁性裏打ち層112、磁気記録層113、保護層114、潤滑層115が順次積層されている。ここで、軟磁性裏打ち層112には、パーマロイやCoZrTaアモルファス等が典型的に用いられる。また、磁気記録層113としては、CoCrPt系合金、CoPt系合金、PtCo層とPdとCoの超薄膜を交互に数層積層させた多層膜等が用いられる。なお、磁気記録層113中の矢印は磁化方向を示している。
図4(B)に示したように、垂直磁気記録方式のハードディスクでは、磁気記録層113の下地として軟磁性裏打ち層112が設けられ、その磁気的性質は「軟磁性」であり、層厚みは概ね100nm〜200nm程度とされる。この軟磁性裏打ち層112は、書き込み磁場の増大効果と磁気記録膜の反磁場低減を図るためのもので、磁気記録層113からの磁束の通り道であるとともに、記録ヘッドからの書き込み用磁束の通り道として機能する。つまり、軟磁性裏打ち層112は、永久磁石磁気回路における鉄ヨークと同様の役割を果たす。このため、書き込み時における磁気的飽和の回避を目的として、磁気記録層113の層厚に比較して厚く層厚設定される必要がある。
図4(A)に示したような水平磁気記録方式は、その熱揺らぎ等による記録限界から、100G〜150Gbit/平方インチの記録密度を境として、図4(B)に示したような垂直磁気記録方式に順次切り替わりつつあり、既に主流の方式として定着している。なお、垂直磁気記録方式での記録限界がどの程度であるかは現時点では定かではないが、500Gbit/平方インチ以上であることは確実視されており、一説では、1000Gbit/平方インチ程度の高記録密度が達成可能であるとされている。このような高記録密度が達成できると、2.5インチHDプラッタ当り600〜700Gバイトの記録容量が得られることになる。
ところで、HDD用の磁気記録媒体用基板には、一般に、3.5インチ径の基板としてAl合金基板が、2.5インチ径の基板としてガラス基板が使用されている。特に、ノートブックパソコンのようなモバイル用途では、HDDが外部からの衝撃を頻繁に受けるので、これらに搭載される2.5インチHDDでは、磁気ヘッドの「面打ち」により記録メディアや基板が傷ついたり、データが破壊される可能性が高いことから、磁気記録媒体用基板として硬度が高いガラス基板が使用されるようになった。
また連続記録媒体による現在の垂直磁気記録により記録密度の向上を継続できるが、1000Gbit/平方インチ前後の高記録密度以上を達成するには、垂直磁気記録をベースに更に新しい技術を導入する必要があると考えられている。これは、メディアS/N比、熱的安定性、書き込み性の要求を全て満たすには、現状の連続媒体による垂直磁気記録では困難と考えられているからである。
新規な技術として、メディアの微細加工によって、例えば、ガラス基板121上に軟磁性裏打ち層122を形成し、その上に磁性層の畝123を異径同心円状に形成し、畝と畝の間の溝に非磁性材料124を充填した構造とする方式(図5に示すディスクリートトラックメディアやビットパターンドメディア)と熱アシスト磁気記録方式(図6(A))が考えられている。
例えば、メディア微細加工のビットパターンドメディアでは現在のLSI微細加工の線幅より更に微細な加工(1000Gbit/inchの記録密度では、25nmピッチで20nm径程度のドット加工)が要求される。基板全面に微細加工を施し、ほとんど全ての領域を健全でかつ一定の寸法誤差範囲に抑え、かつ健全な磁気特性を保持する必要がある。技術的難易度が高く、工程コスト面で量産を成り立たせるには容易ではない。
一方、図6に示す熱アシスト磁気記録では、書き込み時に、レーザー131からの光を微細に集光し(例えば20nm径以下)、該集光部の磁性層132を短時間に昇温して、直後に保磁力が低下した昇温部133に、書き込み用コイル134で信号書き込みを行う。ここで記録密度向上のためには光の回折限界以下まで加熱スポットを縮小する必要がある。
そこで磁気ヘッド139と図示しない近接場光学素子とを集積して、低浮上でヘッドを浮上させながら、近接場光を利用して微細領域に光を集光し、発生する熱と磁場を同期させて書き込むことが必須となる。しかしながら、磁気ヘッド139と近接場光学素子との複合ヘッド開発の難易度が非常に高いという問題がある。なお、図6(A)では、読み取り用に、磁気ヘッド139に隣接して2枚のシールド136を空隙を開けて配置し、該空隙に検出素子として配線137を施したGMR素子138を配置している。
また、磁気記録層の材料としては高結晶磁気異方性のFePtやSmCoが候補材料の1つとして考えられているが、これらの材料は、従来のCoCrPt系とは成膜条件が大きく異なり、成膜には高温度での成膜が必要である。
また、書込み時における記録膜の急速な温度上昇と、書込み後の迅速な放熱をバランスさせる必要がある。そのため、基板や記録膜を含めた記録媒体全体の熱バランスに対する熱設計が必要である。
いずれの方式で磁気記録密度の限界を克服するにしても、技術難易度と量産化の課題には非常に大きな壁がある。
熱アシスト磁気記録の次世代記録層材料としてFePt等が検討されているが、高保磁力化するには600℃前後の高温熱処理が必要とされる。そこで、熱処理温度の低減が検討されてはいるが、それでも400℃以上の熱処理が必要である。この温度は、現在使用されているアモルファスガラス基板の使用に耐え得る温度を超えており、軟化してしまう。また、NiPアモルファス膜をめっきで成膜したAl基板もこのような高温での処理に耐え得ない。NiPはこのような高温では結晶化してしまい、折角平滑化した表面特性が大幅に低下してしまう。したがって熱アシスト磁気記録膜では、耐熱性と熱伝導性を両立できる基板が必要である。
ガラス基板やAl基板以外で、サファイアガラス基板、SiC基板カーボン基板等が考えられるが、強度、加工性、コスト、表面平滑性、成膜親和性、熱伝導性等の観点から両立しない項目があるため、何れも不充分である。
熱アシスト磁気記録の次世代記録膜としてFePtなどが検討されているが、高保磁力化するには600℃前後の高温熱処理が必要とされる。そこで、熱処理温度の低減が検討されてはいるが、それでも400℃以上の熱処理が必要である。この温度は、現在使用されているアモルファスガラス基板の使用に耐え得る温度を超えており、軟化してしまう。また、NiPアモルファス膜をめっきで成膜したAl基板もこのような高温での処理に耐え得ない。NiPはこのような高温では結晶化してしまい、折角平滑化した表面特性が大幅に低下してしまう。したがって、熱アシスト磁気記録方式では、耐熱性と熱伝導性を両立できる基板が必要である。
ガラス基板やAl基板以外で、サファイアガラス基板、SiC基板、カーボン基板などが考えられるが、強度、加工性、コスト、表面平滑性、成膜親和性、熱伝導性などの観点から両立しない項目があるため、何れも不十分である。
特開平5−143972号公報 特開2005−108407号公報
このような事情を背景として、本発明者らは、シリコン(Si)の単結晶基板をHDD記録膜基板として使用することを既に提唱している(例えば、特許文献2参照)。
シリコン単結晶基板は広くLSI製造用基板として用いられ、表面平滑性、環境安定性、信頼性等に優れているのはもちろんのこと、剛性もガラス基板と比較して高いため、HD基板に適している。加えて、絶縁性のガラス基板とは異なり半導体導電性であり、通常はp型もしくはn型のドーパントが含まれていることが多いために、ある程度の導電性をもつ。したがって、スパッタ成膜時におけるチャージアップもある程度は軽減され、金属膜の直接スパッタ成膜やバイアススパッタも可能である。さらに、熱伝導性も良好で耐熱性も高いため、高温までの基板加熱も容易で、スパッタ成膜工程との相性は極めて良好である。しかも、シリコン基板の結晶純度は非常に高く、加工後の基板表面は安定で経時変化も無視できるという利点がある。
ただし、径48mm以上の記録用基板を対象とした場合、原料単結晶シリコンウェハが高価であるため基板が高くなることが唯一の欠点である。
また、本発明者らは、シリコン(Si)の多結晶基板をHDD記録膜基板として使用することも提唱している。原料となる多結晶シリコンは純度に応じて多様な選択が可能であり、基板のコストパフォーマンスに優れている。
多結晶基板をそのまま使用するものと、表面にシリコンの熱酸化膜を成膜し該膜を平坦化・平滑化するものを出願している。前者は単結晶を多結晶に置き換えるだけのため構成が単純であるが、基板強度や研磨面の欠陥において、単結晶基板との比較で相対的に劣る。後者の強度は単結晶基板以上が得られ、またシリコン酸化膜がアモルファスであるため、研磨後の表面特性も優れたものが得られる。ただし、表面に熱伝導度が低いシリコン酸化膜があるため、基板表面からの垂直方向の熱伝導性が低下する。熱アシスト磁気記録では、書き込み時に与えた熱の放熱設計に影響の出る可能性がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、径48mm以上の磁気記録用基板に対して、シリコン多結晶基板の熱伝導特性をほとんど損ねることなく、表面平坦性と平滑性に優れ、しかもコストパフォーマンスが高く磁気記録媒体用多結晶シリコン基板と記録媒体の製造方法を提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明の磁気記録媒体用シリコン基板の製造方法の1つの側面は、シリコン多結晶磁気記録用基板上に、シリコンとシリサイドまたは合金を形成可能な元素を成膜し、その後シリコンと該膜とを同時に積層または交互に積層後、最表面がシリコン膜になるように積層して、熱処理後、該シリサイド膜もしくはシリコン合金膜を平均粗さRaが0.5nm以下となるように平滑に研磨することを特徴とする。
本発明の多結晶シリコン基板の直径は例えば48mm以上であり、上記シリサイド膜またはシリコン合金膜の厚みは50nm以上3μm以下であることが好ましく、より好ましい下限は、100nm、より好ましい上限は、1000nmである。該膜は高温耐性に優れ、500℃以上の加熱でも何らの変化も示さない。シリサイド膜またはシリコン合金膜の表面を研磨することにより平滑な表面が得られ、ハードディスク基板として供することが可能となる。
上部シリサイド膜もしくはシリコン合金膜の熱伝導率は、基板のシリコンの熱伝導率(145W/mK)と比較し3割〜7割程度であり、該シリコン基板上に磁気記録層を設けることで、熱伝導性と耐熱性に優れた熱アシスト磁気記録などの磁気記録媒体を得ることができる。もちろん、通常の垂直磁気記録やビットパターンド磁気記録用の基板として用いることも可能である。
本発明の磁気記録媒体用シリコン基板の製造方法の1つの側面は、純度99.99%以上の多結晶シリコン基板の主面を精密研削か研磨する工程(S7)、該主面上に金属膜を形成する工程(S8)、該金属膜付き基板を加熱し、シリサイド化もしくは合金化する工程(S9)、および、該シリサイド膜を平滑化する仕上げ研磨工程(S10)を備える。上記の金属膜形成工程(S8)は、該多結晶シリコン基板の主面にCVDもしくはPVDにより成膜することにより実行される。シリサイド化若しくは合金化の熱処理工程(S9)は、真空もしくは不活性ガス雰囲気中で抵抗加熱、赤外線加熱や誘導加熱などにより実行される。また、上記膜の研磨工程(S10)は、CMP処理を施して基板のラフネスの2乗平均値を0.5nm以下とするように実行される。
該研磨基板上に適切に記録膜を成膜することにより、磁気記録媒体とする。
本発明により、多結晶シリコン基板の良好な熱伝導特性を損ねることなく、表面平坦性平滑性に優れ、コストパフォーマンスが高く、高温耐性に優れた磁気記録媒体用シリコン基板を製造でき、さらに該磁気記録媒体用シリコン基板を用いた磁気記録媒体を提供することが可能となる。
本発明の工程をしめすフローチャートである。 本発明の実施例9の結果を示すもので、多結晶Si基板上にTiシリサイド膜を付け研磨した基板の、(a)AFM測定によるラフネスの観察結果、および、(b)マイクロウェビネスの観察結果である。 本発明にかかる製造工程で形成される各層の関係を示す模式的断面図である。 (A)は水平磁気記録方式のハードディスクの一般的な積層構造を説明するための断面概略図、(B)は軟磁性裏打ち層の上に垂直磁気記録のための記録層を設けた「垂直二層式磁気記録媒体」としてのハードディスクの基本的な層構造を説明するための断面概略図である。 本発明が対象とする次世代記録方式の(A)ディスクリートトラック記録媒体の一態様を示す模式図である。 本発明が対象とする熱アシスト磁気記録方式における(A)装置構成の模式図、および、(B)昇温、放熱過程での保持力の変化を示すグラフである。
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の磁気記録媒体用Si基板の製造プロセスの一例を説明するためのフローチャートである。先ず、ハードディスク用シリコン基板をコア抜きして取得するため、多結晶シリコンウェハを準備する(S1)。該多結晶シリコンウェハ純度は高い方がよいが、いわゆる「半導体グレード」(一般には、その純度は「11ナイン」(99.999999999%)以上である)のものである必要はなく、概ね「太陽電池グレード」のものでよい。太陽電池グレードの多結晶シリコンウェハの純度は、一般的には「8ナイン」(99.999999%)程度であるが、本発明では、「4ナイン」(99.99%)までは許容できる。本発明の磁気記録用基板用途では、多結晶シリコンを基本的に構造材料として使用するため、太陽電池用途と異なりボロン(B)や燐(P)などのドーパント量の制御をする必要はない。また、原料多結晶シリコンウェハ中に含有される不溶不純物(窒化珪素SiNxや炭化珪素SiCなど)は少ない方が望ましいが、シリサイド膜や合金膜で上部が被覆されるので、実用上は問題とならない。
多結晶シリコンウェハの形状は矩形でも円板状でもよい(S1)。なお、太陽電池用多結晶シリコンウェハの一般的な形状は矩形であるので、実施例のプロセス例ではこの形状の多結晶シリコンウェハを用いた例を示している。なお、多結晶シリコンウェハ自体の強度や耐衝撃性の観点から、多結晶粒の平均グレインサイズは1mm以上15mm以下とすることが望ましいが、本発明では上部がシリサイド膜で被覆されて強度が向上するので、もっと小さい粒が混在していても許容できる。
コア抜き加工(S2)には、ダイヤモンド砥石によるカップ切断、超音波切断、ブラスト加工、ウォータージェット処理など種々の方法があるが、加工速度の確保、切り代量の削減、口径の切り替え容易性、治具製作や後加工の容易性などから、レーザーコア抜きが望ましく、特に固体レーザーによる加工が望ましい。固体レーザーはパワー密度が高くビームを絞れるので、溶断残渣(ドロス)の発生が少なく加工面が相対的にきれいであるためである。この場合のレーザー光源としては、Nd−YAGレーザーやYb−YAGレーザーなどを挙げることができ、基本波である第一高調波、グリーンレーザーと呼ばれる第二高調波、またはブルーレーザーと呼ばれる第三高調波を用いたパルス波を用いて加工することができる。
コア抜きして得られたシリコン基板に、芯取および内外端面芯取りを施し(S3)、調厚のため研削またはラップ加工(S4)を行った後、その後の研磨でチッピング等が生じないように端面研磨加工を施す(S5)。
このようにして得られたシリコン基板に、粗研磨または精密研削(S6)を施して表面を概ね平坦化する。本発明では、この表面平坦化のための粗研磨加工を、中性もしくはアルカリ性スラリを用いたCMP加工か、微粒ダイヤモンド固定砥粒(例えば、#4000番以上)による延性領域での精密研削加工をする。延性領域で研削加工するのは、加工劣化層を低減するためである。
本発明が対象とするシリコン基板は多結晶であるために、結晶粒毎に結晶方位が異なる。通常の「粗研磨」(S6)を行うと、結晶粒毎に研磨速度が異なることに起因して、粒毎に段差を生じ、良好な表面平坦性を得られなくなる。このため、中性近傍からアルカリ性領域(pH7〜10)のスラリを用い、機械研磨の比率が高いCMP研磨を行って、できるだけ粒間段差を抑制する(例えば10nm以下)。pH10を超えると化学研磨比率が高くなり、結晶方位の異なる粒間段差が大きくなり過ぎる。pH7以下では機械研磨主体となり、研磨速度が遅くなり過ぎる。粗研磨スラリには、例えば、セリアやコロイダルシリカが用いられ、平均粒径は30nm〜100nmである。粗研磨加工では研磨速度が重要であるので、仕上げ研磨工程(S10)より高めの100〜150g/cmの研磨圧に設定し、5分〜3時間程度研磨する。この粗研磨の工程は、多結晶シリコン基板の厚みムラや表面段差を概ね除去するためのもので、シリコン基板表面の平坦性が確保できればよく、微小キズなどは存在していても構わない。また、精密研削を行ってもよい。精密研削では研磨加工ほどの平滑面は得られないが、固定砥粒(例えば#4000以上のダイヤモンド砥粒)であるので更に研削速度が速く、平坦性やウェビネスも良好である。ダイヤモンド砥粒が微細であるので、研削加工溝高が20〜50nm程度となり、平滑性は次段階の仕上げ研磨加工(S10)で確保できる。
前記粗研磨工程(S6)の後、以下に述べる金属Z1を含む基底層の形成に先立ち、基板の逆スパッタを行って、該基板表面の自然酸化膜の除去を行ってもよい。
続いて、図3に示すように、粗研磨後のシリコン基板表面2に金属Z1を含む基底層4を形成する(S7)。用いる金属Z1は、加熱してシリコン基板と反応してシリサイドか合金を形成するものであればよく、例えば遷移金属のAl,Co,Cr,Cu,Mo,Nb,Ni,Ta,Ti,V,W,Zrなどが挙げられる。また、AlやAuなどは、Siと反応してシリサイドを生成しないが、Siと相対的に低い温度で反応して、Al−Si、Au−Si合金層となる。
この他、Au,Ir,Os,Pd,Pt,Re,Rh,Ruなど貴金属系のシリサイドも存在するが、ターゲット価格が高い点が実用上の難点となる。金属Z1を含む基底層の形成はスパッタ法などによるPVDで行うことができるが、金属種によってはCVD法を用いることも可能である。PVD法は薄膜製造では大変一般的な手法で、工程安全面の問題はほとんどない。
PVD法には、スパッタ法、イオンプレーティング法、蒸着法(レーザデポジッション法を含む)などがあるが、成膜速度が相対的に速いマグネトロンスパッタ法やイオンプレーティング法が適している。
前記基底層4の厚さとしては特に限定されないが、通常、1nm〜100nmである。次工程(S108)において基板のシリコンと反応してシリサイドまたは合金が生成することにより膜の密着性が向上する。
本発明では、上記金属膜を基底層4として、その上にシリコンを含む層を少なくとも1層含む上位層6を形成する工程を含む。本明細書において、シリコンを含む層は、全構成元素の総原子数に対して、シリコン原子を10原子%以上100原子%以下含み、かつ上記金属膜の形成工程において列挙した遷移金属を不可避不純物として含む場合を除いて、実質的に含まない層である。シリコンを含む層の材料としては、シリサイドまたは合金を形成しうるものであれば特に限定されず、例えば、シリコン単体等が挙げられる。
上位層6は、第1の態様として、前記基底層4上に、シリコンを含む材料および金属Z2を含む材料(但し、Z2は、Al,Co,Cr,Cu,Mo,Nb,Ni,Ta,Ti,V,WおよびZrからなる群より選択される1種または2種以上の金属である)を交互に積層することにより形成することができる。交互に積層することにより、次工程の熱処理で拡散が容易になり、また組成制御が容易となる。交互に積層する場合は、各膜厚は薄い方が次工程の熱処理温度、時間が軽減できる。各層の膜厚はシリサイドまたは合金の原子比になるように選択すれば良く、シリコンを含む層、金属Z2を含む層の1層あたりの層厚は、好ましくは、1nm〜100nmである。
上位層6は、第2の態様として、前記基底層4上に、前記シリコンを含む材料および金属Z2を含む材料を同時に積層することにより形成することができる。ここで「同時に積層する」とは、シリコンを含む材料および金属Z2を含む材料を別々に同時並行で基底層上に作用させることのみならず、シリコンおよび金属Z2を含む複合材料を基底層上に作用させることも含まれる。同時に積層することにより、積層時間の短縮が図れ、低コストであるという利点がある。
上位層6の形成に用いる金属Z2の元素は、基底層4形成に用いる金属Z1の元素と同じであっても異なっていてもよい。また、金属Z2の元素は、上位層における各層で異なっていてもよい。
上記第1および第2の態様の上位層6は、金属Z2とシリコンの各原料ソース、たとえば、シリコンターゲットと各種金属ターゲットを用いてマグネトロンスパッタ等により形成することができる。
上記第2の態様の上位層6は、金属Z2およびシリコンを含む複合原料ソース、たとえば、複合材料のターゲットを用いてマグネトロンスパッタ等により形成することができる。複合材料におけるシリコンと金属Z2との組成比(Si/Z2)は、生成されるシリサイドまたは合金の原子比あれば良く、成膜率を勘案し、例えばSi(Z2)2の場合、原子比で1.8〜2.2であることが好ましい。
上記第1および第2の態様の上位層6はまた、前記金属Z2およびシリコンの各原料ソース、ならびに、Z2とシリコンとを含む複合原料ソースを併用して形成することができる。各原料ソースと複合原料ソースとを併用することにより、安定した組成が得られるという利点がある。
前記シリコンを含む層は、最表面層8として積層されることが好ましい。次工程でシリサイドを形成可能な元素または合金を形成可能な元素が未反応のまま表面に露出しないようにするために、また、次工程で基板を保持する冶具と金属Z2が反応しないようにするためである。熱処理時の保持冶具との接触をSiとすることにより、Z2の選択性を向上することができる。シリコンを含む最表面層は、シリコン原子が50原子%以上であることが好ましく、更に好ましくは70原子%以上、特に好ましくは90原子%以上である。
最表面層の厚さとしては特に限定されないが、1nm〜100nmとすることが好ましい。1nm未満であると、未反応の金属Z2が最表面層に残存する場合があり、100nmを超える必要は無く、コストがかかるばかりか、隣接する金属Z2を含む層との合金化、あるいは、隣接する金属Z2のシリサイド化が充分に行われない可能性がある。
上記シリコンを含む層が最表面層であることは、熱処理前に断面をTEM等で観察することで確認できるが、破壊評価であるので、事前にダミー基板として積層する条件を決定する際に確認すればよい。上記最表面層は、熱処理後、残っていてもよいが必須ではなく、研磨後には残っていないことが望ましい。
上位層6の層厚は、本発明ではシリサイド化もしくは合金化後に表面の研磨加工により平滑化の仕上げ研磨を行う(S10)ので、ある程度の上位層の層厚が必要で、例えば300nm以上の成膜時膜厚が好ましい。シリサイド膜や合金膜の厚みは、厚ければ厚いほど研磨加工における加工マージンが取れ強度も増すので好ましいが、成膜に時間と費用がかかり過ぎるので、4μm以下の成膜でよい。
上位層6を形成した基板を、真空中もしくはArなどの不活性ガス中で加熱して、多結晶シリコン基板と、それに支持された基底層としての金属層と、その上部のシリコン材料を含む層と、金属Z2を含む層とを相互に反応させ、金属膜をシリサイド化もしくは合金化する(S9)。反応する温度は金属種により異なるが、概ね400℃〜1200℃の温度範囲で熱処理すればよい。熱処理温度のより好ましい下限は、600℃であり、より好ましい上限は、900℃である。加熱には抵抗加熱・赤外線加熱・誘導加熱など種々の方法があり、どの方法でも構わない。
熱処理は、上述したように最表面層8を形成した最後に行うことが一般的であるが、膜厚が厚い場合は、上位層を形成する過程において、複数回繰り返してもよい。すなわち、前記シリコンを含む層を積層する工程の少なくとも1つが、積層されたシリコンを含む膜を400℃以上1200以下で熱処理する段階を含んでいればよい。基板を保持する冶具と金属Z2が反応しないように表層をシリコン層とする方が好ましい。
得られたシリサイドやシリコン合金層8は強度と耐熱性に優れ、基本的に良好な電気伝導性と熱伝導性を有する。熱アシスト磁気記録などで基板に要求される耐熱性と熱伝導性を損なうことなく、膜の被膜により多結晶シリコン基板の強度を増大でき、信頼性を向上できる。
基板表面にシリサイド膜やシリコン合金膜を設けると、膜付けにより基板脆性の元となる粒界が被覆され、薄板の強度が増す。また、膜は微結晶なので、元の多結晶基板の粒結晶方位は関係なくなり、加工により表面平滑性の確保が容易になる。
金属膜をシリサイド化もしくは合金化後、該薄膜付き多結晶シリコン基板に仕上げの研磨を施す(S10)。該薄膜面の表面特性は粗研磨加工(S6)によりかなり向上しているので、仕上げの研磨加工により、比較的短時間で最終的なRa〜0.5nm以下の良好平滑面を得ることができる。
研磨加工後の膜厚は50nm以上、3μm以下でよい。50nm厚以下になるとシリサイド膜厚の面内分布により、下地基板面が露出する危険性がある。また、3μm厚以上になると金属膜成膜時間が長くなり、残留応力の影響で表面粗さが大きくなる傾向にあるので、望ましくない。
シリサイド膜もしくはシリコン合金膜の仕上げ研磨工程(S10)に用いる研磨用スラリは、一般的なものでよい。例えば、平均粒径が10乃至100nmのコロイダルシリカのスラリで、pH値を3〜10の領域として用いる。なお、pH調整は、塩酸、硫酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水などを添加することで行う。また、コロイダルシリカの濃度としては5〜50%程度とし、コロイダルシリカを分散させたスラリを用いて、5分〜3時間程度研磨し、所望の表面平滑度とする。仕上げ研磨(S10)は、キズのない良好な表面を得る必要があるので、粗研磨より低い30〜100g/cmの研磨面圧で行うことが好ましい。
もちろん仕上げ研磨工程(S10)でより良好な表面を得るために、2段階以上の仕上げ研磨を行ってもよい。
研磨工程(S10)に続き、スクラブ洗浄と精密洗浄(S11)を行って基板表面を清浄化する。その後、当該基板表面を光学検査(S12)して、梱包、出荷される(S13)。
このようにして得られた磁気記録用シリコン基板1は、ウェビネスとマイクロウェビネスの2乗平均値が何れも0.4nm以下となり、ハードディスク用の基板として充分な表面特性を得ることができる。
そして、このようにして得られたシリサイド膜もしくはシリコン合金膜付き多結晶シリコン基板上に、適宜磁気記録層を形成する。図6(B)に図示したような積層構造の垂直磁気記録媒体や、次世代の熱アシスト磁気記録用媒体を得ることができる。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
純度が「5ナイン」の多結晶シリコンウェハ(156mm角、厚み0.7mm)を準備し(S1)、この多結晶シリコンウェハから、レーザー加工機(YAGレーザー、波長1064nm)により、外径66mm、内径19mmのシリコン基板をコア抜きしてウェハ当たり4枚の基板を得た(S2)。これらの基板に、内外芯取り(S3)して外径65mm、内径20mmに加工し、調厚加工(S4)、端面研磨(S5)を施した。次いで、多結晶シリコン基板の主面に、粗研磨加工(S7)を施した。この粗研磨加工は両面研磨機を用い、pH8.5のコロイダルシリカ(平均粒径40nm)のスラリで、研磨面圧150g/cmで10分から180分間研磨し、最大で1500nm研磨した。この粗研磨後のシリコン基板主面の粒間段差を光学検査機(Zygo)で調べたところ、概ね5nm程度であった。
該粗研磨した基板に、マグネトロンスパッタ装置により、表1に示す各種金属膜を用いて先ず基底層を1nm〜100nm厚に成膜後、シリコンターゲットと各種金属ターゲットを用いて同時に上位層を1000nm〜4000nm厚に成膜した。最後にシリコンを最表面層として1nm〜100nm厚に成膜した(S8-1)。
該粗研磨した基板に、表2に示す各種金属膜を用いて先ず基底層を1nm〜100nm厚に成膜後、シリコンターゲットと各種金属ターゲットを用いて交互に上位層を1000nm〜4000nm厚に成膜し、最後にシリコンを最表面層として1nm〜100nm厚に成膜した(S8-2)。
該粗研磨した基板に、表3に示す各種金属膜を用いて先ず基底層を1nm〜100nm厚に成膜後、シリコンと各種金属の複合ターゲットを用いて上位層を1000nm〜4000nm厚に成膜し、最後にシリコンを最表面層として1nm〜100nm厚に成膜した(S8-3)。
金属膜の成膜前には基板の逆スパッタを行って、該基板表面の自然酸化膜の除去を行った上で、金属膜を成膜した。また、スパッタ成膜時に基板加熱は行わなかった。該金属膜付きSi基板を700TorrのArガス雰囲気中で、表1から表3に示した温度で30分保持し、金属膜のシリサイド化もしくは合金化を行った(S9)。
該シリサイド膜厚とシリサイド化の有無は蛍光X線と薄膜X線回折により測定した。面内膜厚分布は1%以下と小さく、膜厚均一性は良好であった。アルミニウム、銅の場合は合金に、その他の膜においてもシリサイドが生じていた。膜組成については、X線光電子分析(XPS分析)にて測定した。
続いて、仕上げ用の粒の細かいコロイダルシリカ(pH値10、粒径30nm)を用いて研磨圧50g/cmの研磨(S10)を行い、シリサイド膜の表面から50nm〜1000nm研磨して、微小欠陥の少ない平滑な研磨面を得た。
これらの膜付き多結晶シリコン基板を、スクラブ洗浄で残留コロイダルシリカを除去した後に精密洗浄(S11)を行い、該多結晶シリコン基板の表面特性を、光学検査(S12)により評価した。具体的には、研磨面のうねり(マイクロウェビネスをZygo社製の光学計測器で測定)、および、平滑性(ラフネス:Digital Instrument社製のAFM装置で測定)を評価した。
表1は、このようにして得られた実施例1乃至12の試料の評価結果(Ra:ラフネス、μ−Wa:マイクロウェビネス)を纏めたものである。なお、比較例として、膜付け無しで、およびAlを成膜、熱処理し、他の工程は同じように加工を行った試料の評価結果を同時に示した。
これらの表からわかるとおり、本発明の手法により得られた膜付き多結晶シリコン基板の表面は、全面に平坦かつ平滑で良好であった。比較例の多結晶シリコン面に見られるような、結晶粒分布を反映した段差は一切観察されなかった。
実施例は何れも、AFMのラフネスとZygo測定のマイクロ-ウェビネスの値が両立し、低い値を示している。一方、比較例では多結晶シリコン基板の結晶粒間段差が存在するので、粒内のラフネスは低いにも関わらず、段差の存在によりマイクロ-ウェビネスの値が非常に高くなっている。またAlを成膜、熱処理したものは膜剥がれを起こし、研磨できなかった。
図2は、実施例9の多結晶シリコン基板上にTiシリサイド膜を成膜し、次いでシリコンターゲットと各種金属ターゲットとを同時成膜したのち、最後に最表面層としてシリコンを積層し熱処理した基板に対して研磨を行った後の基板表面のAFM測定結果である。ラフネスが0.16nm,マイクロウェビネスが0.21nmである非常に平滑な値を示している。
表2に、実施例13,14,15として、実施例1,9および11の研磨量、基底層厚み、または、最表面層厚みのいずれか1つを変えて評価した結果を示したが、全面に平坦かつ平滑で良好であった。
表3に交互成膜した場合、表4に複合ターゲットを使用して成膜した場合の評価結果を示したが、全面に平坦かつ平滑で良好であった。
また、実施例2、実施例5、および、実施例9の研磨後の試料につき、熱伝導率を測定したが、シリコン多結晶基板のみの比較例(145W/mK)とあまり変わらず、137、141、134W/mKであった。シリコン多結晶基板表面にシリサイド膜を成膜したことによる熱伝導への影響はみられなかった。
本発明は、加工プロセスや膜の成膜プロセスを複雑なものとすることがなく、表面平坦性に優れ、しかも熱伝導率が単結晶や多結晶のバルクシリコン基板とあまり変わらない磁気記録媒体用シリコン基板を提供することを可能にする。
S1 多結晶Siウェハ S2 コア抜き
S3 内外芯取り S4 調厚加工(研削またはラップ加工)
S5 端面研磨 S6 粗研磨または精密研削
S7 基底層形成
S8−1 シリコン/金属同時成膜
S8−2 シリコン/金属交互積層
S8−3 シリコン/金属複合ターゲットによる成膜
S9 シリサイド化もしくは合金化
S10 仕上げ研磨 S11 スクラブ洗浄と精密洗浄
S12 光学検査 S13 梱包、出荷
1 磁気記録用シリコン基板
2 シリコン多結晶基板
4 基底層
6 上位層
8 最表面層
121 ガラス基板 122、112 軟磁性裏打ち層
123 磁性層 124 非磁性材料
131 レーザー 132 磁性層
133 昇温部 134 書き込みコイル
136 シールド 137 配線
138 GMR素子 139 磁気ヘッド
101、111 非磁性基板
102 Cr系下地層 103、113 磁気記録層
104、114 保護層 105、115 潤滑層

Claims (9)

  1. シリコン多結晶基板上に、シリコンとシリサイドまたは合金を形成可能な金属Z1(但し、Z1は、Al,Co,Cr,Cu,Mo,Nb,Ni,Ta,Ti,V,WおよびZrからなる群より選択される1種または2種以上の金属である)を含む基底層を積層する工程と、
    該基底層上に、シリコンを含む層を少なくとも1層含む上位層を形成する工程とを少なくとも含む磁気記録用シリコン基板の製造方法。
  2. 前記上位層を形成する工程が、前記基底層上に、シリコンを含む材料と金属Z2を含む材料(但し、Z2は、前記Z1と同じであっても異なっていてもよく、Al,Co,Cr,Cu,Mo,Nb,Ni,Ta,Ti,V,WおよびZrからなる群より選択される1種または2種以上の金属である)とを交互に積層する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録用シリコン基板の製造方法。
  3. 前記上位層を形成する工程が、前記基底層上に、シリコンを含む材料および金属Z2を含む材料(但し、Z2は、前記Z1と同じであっても異なっていてもよく、Al,Co,Cr,Cu,Mo,Nb,Ni,Ta,Ti,V,WおよびZrからなる群より選択される1種または2種以上の金属である)を同時に積層する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録用シリコン基板の製造方法。
  4. 前記上位層が、前記金属Z2とシリコンの各原料ソースを用いて形成されることを特徴とする請求項2または3に記載の磁気記録用シリコン基板の製造方法。
  5. 前記上位層が、前記金属Z2およびシリコンを含む複合原料ソースを用いて形成されることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録用シリコン基板の製造方法。
  6. 前記上位層が、前記金属Z2およびシリコンの各原料ソース、ならびに、Z2とシリコンとを含む複合原料ソースを併用して形成されることを特徴とする請求項2または3に記載の磁気記録用シリコン基板の製造方法。
  7. 前記シリコンを含む層はシリコン成分を50原子%以上含み、最表面層として積層されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の磁気記録用シリコン基板の製造方法。
  8. 前記シリコンを含む層を積層する工程の少なくとも1つが、積層されたシリコンを含む膜を400℃以上1200以下で熱処理する段階を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の磁気記録用シリコン基板の製造方法。
  9. 前記シリコンを含む層を積層する工程の少なくとも1つが、前記熱処理する工程の後に、該シリサイド膜もしくはシリコン合金膜を平均粗さRaが0.5nm以下となるように平滑に研磨する段階を含む請求項8に記載の磁気記録用シリコン基板の製造方法。
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