JP2009020088A - 免疫測定法 - Google Patents

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幸司 小林
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孝之 岡
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Abstract

【課題】再現性に優れ、高感度な免疫測定を行うことが可能な免疫測定法を提供する。
【解決手段】標的物質と、前期標的物質に特異的に結合する抗体が結合した磁性粒子からなる磁性粒子標識抗体とを含有する混合液を調整する工程、前記混合液を、展開方向に対して、前記抗体に特異的に結合する抗原性物質が固定化された捕捉部位1と、前記抗体に特異的に結合する二次抗体が固定化された捕捉部位2とをこの順に有する免疫クロマト担体に展開する工程、及び、前期混合液を展開した後の免疫クロマト担体の前記捕捉部位1の磁性量と、前記捕捉部位2の磁性量とを測定する工程を有し、下記式(1)で表される検量値を用いて検量を行う免疫測定法。
【数1】
Figure 2009020088

【選択図】なし

Description

本発明は、再現性に優れ、高感度な免疫測定を行うことが可能な免疫測定法に関する。
近年、ダイオキシン類、PCB類等の環境汚染物質による環境汚染が深刻化し、人体及び生体への影響が懸念されている。これまで、これらの環境汚染物質の検出方法としては、ガス・クロマトグラフ質量分析法(GC−MS法)を中心とした分析法が用いられてきた。GC−MS法は、公定分析法として用いられており、感度、精度共、優れた方法ではあるが、特殊な装置を必要とするために、分析コストが高く、分析手順も煩雑である等の問題点があった。
このような問題に対して、GC−MS法よりも簡便な方法として、ダイオキシン類等の環境汚染物質に対する抗体を用いるELISA法を用いた測定が一般的に行われている。
しかしながら、ELISA法は、定量性に優れ、高感度であるという特徴を有するものの、通常、サンプルの検出に特殊な機器を必要とし、このような機器を必要としない場合であっても、検出するまでの時間が1時間以上かかるという欠点があった。
従って、これらの欠点を補うため、高感度で検出時間が短く、操作が簡単な免疫クロマト法が近年注目されている。
免疫クロマト法では、通常、少なくとも2種類の抗体を利用したサンドイッチ法が採用されている。すなわち、金属コロイドや着色粒子を支持体として、アイソトープ、酵素、蛍光物質等で標識された抗体を含む試薬と測定試料とを反応させ、測定試料中に含まれる抗原と標識抗体とを結合し、これをもう一つの抗体が固定化されたクロマト担体に流すことにより、クロマト担体中に抗原を捕捉し、捕捉された抗原を標識をもとに分析するというものである。
しかしながら、サンドイッチ法では最低2種類の抗原決定基を必要とするため、被験物質がダイオキシン類やPCB類のような低分子物質の場合には、タンパク質等の高分子物質とは異なりサンドイッチ法を適用することは困難であった。通常、このような低分子物質を検出する際には、標的物質と抗原性が同じか又は類似のハプテン等の低分子物質をクロマト担体に固定化し、被験試料中の標的物質の量に応じて競合的に標識抗体の捕捉量の変化を捉える競合法が用いられている(特許文献1、2及び3)。
このような免疫クロマト法等に供するための支持体として、磁性粒子が注目されている。磁性粒子は、以前からラジオイムノアッセイ等において磁性により効率よく簡便にB/F分離を行うための支持体としての利用が提案されていたが、磁性粒子の磁性量を標識とすることにより、他の標識物質で標識せずに分析を行うことができる等の利点があるとされる。
しかしながら、実際に磁性粒子を免疫クロマト法に用いると、磁性粒子がクロマト担体中に滞留してしまったり、展開させる側のクロマト先端部位付近に不均一に残留してしまったりする等、金属コロイドや着色粒子に比べてクロマト展開性が大きく劣ったり、再現性が悪くなったりするという問題があった。
特開2001−124771号公報 特開2004−138550号公報 特開2005−214670号公報
本発明は、上記現状に鑑み、再現性に優れ、高感度な免疫測定を行うことが可能な免疫測定法を提供することを目的とする。
本発明は、標的物質と、前期標的物質に特異的に結合する抗体が結合した磁性粒子からなる磁性粒子標識抗体とを含有する混合液を調整する工程、前記混合液を、展開方向に対して、前記抗体に特異的に結合する抗原性物質が固定化された捕捉部位1と、前記抗体に特異的に結合する二次抗体が固定化された捕捉部位2とをこの順に有する免疫クロマト担体に展開する工程、及び、前期混合液を展開した後の免疫クロマト担体の前記捕捉部位1の磁性量と、前記捕捉部位2の磁性量とを測定する工程を有し、下記式(1)で表される検量値を用いて検量を行う免疫測定法である。
以下に本発明を詳述する。
Figure 2009020088
本発明者らは、鋭意検討した結果、標的物質と、該標的物質に特異的に結合する抗体が結合した磁性粒子からなる磁性粒子標識抗体とを含有する混合液を用いて、前記混合液を、前記抗体に特異的に結合する抗原性物質が固定化された捕捉部位1と、前記抗体に特異的に結合する二次抗体が固定化された捕捉部位2とを展開方向に対してこの順に有する免疫クロマト担体に展開した後、該捕捉部位1及び捕捉部位2の磁性量を測定し、下記式(1)で表される検量値を用いて検量を行うことによって、再現性に優れた免疫測定を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
Figure 2009020088
本発明の免疫測定法を用いた免疫クロマト法による測定方法の一例を説明するためを図1に示す。図1は検査装置の上面図であり、図2は横断面図である。
図1、2に示すように、検査装置7は、サンプルパッド3、吸収パッド4、免疫クロマト担体5及び薄膜6からなり、細長い形状の薄膜6の上面に、サンプルパッド3、吸収パッド4及び免疫クロマト担体5の全部又は一部が接着している。また、捕捉部位1及び捕捉部位2は、免疫クロマト担体5に固定化されている。
また、薄膜6の一端には、サンプルパッドの一端側が接着されており、サンプルパッドの他端側は、その全面が薄膜6に接着している免疫クロマト担体5の一端側の上面に被さった状態で免疫クロマト担体5と接触している。更に、薄膜6の他端側には、吸収パッド4の一端側が接着されており、この吸収パッド4の他端側は、免疫クロマト担体5の他端側の上面に被さった状態で免疫クロマト担体5と接触している。
本発明の免疫測定法では、捕捉部位1には、混合液中の抗体に特異的に結合する抗原性物質が固定化されている。捕捉部位2には、混合液中の抗体に特異的に結合する二次抗体が固定化されている。
標的物質と、該標的物質に特異的に結合する抗体が結合した磁性粒子からなる磁性粒子標識抗体とを含有する混合液をサンプルパッド3に滴下すると、混合液は、免疫クロマト担体5中に展開される。
混合液中では、標的物質と磁性粒子標識抗体とが結合するが、過剰な磁性粒子標識抗体は、捕捉部位1において捕捉される。更に、捕捉部位1において捕捉されなかった磁性粒子標識抗体は、捕捉部位2において捕捉される。すなわち、混合液中で標的物質と結合したために捕捉部位1において捕捉されなかった磁性粒子標識抗体が、捕捉部位2において捕捉される。このように混合液を展開した後、従来公知の方法を用いて、捕捉部位1の磁性量と、捕捉部位2の磁性量とを測定する。
本発明の免疫測定法は、標的物質と、前期標的物質に特異的に結合する抗体が結合した磁性粒子からなる磁性粒子標識抗体とを含有する混合液を調整する工程を有する。
上記標的物質としては特に限定されないが、競合反応を原理とする免疫測定法では低分子物質等が好ましい。なかでも、ダイオキシン類、PCB類等の環境関連低分子物質等が好ましい。
上記標的物質は、大気、土壌、湖水、海水等に含有される。そのため、上記標的物質を含有する被検物質として大気、土壌、湖水、海水等を用いることができる。
上記被検物質は、上記標的物質の性質に応じて、従来公知の前処理を行ってもよい。
上記前処理としては特に限定されず、例えば、希釈処理、クリーン・アップ、濾過処理、濃縮処理等が挙げられる。
上記磁性粒子標識抗体は、上記標的物質に特異的に結合する抗体が結合した磁性粒子からなる。
上記磁性粒子は、その磁性量を標識とする標識物質としての役割を担う。
上記磁性粒子は、有機高分子物質と、該有機高分子物質中に分散した磁性体とからなる。
上記有機高分子物質は、上記磁性粒子のマトリックスとしての役割を有する。
上記有機高分子物質としては、スチレン系モノマーに由来するセグメントを有する共重合体、すなわち、ポリスチレン系樹脂であることが好ましい。スチレン系モノマーに由来するセグメントを有することにより、上記磁性粒子の水系媒体中における分散性が向上する。
上記スチレン系モノマーとしては特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等、又は、二官能性のジビニルベンゼン等が挙げられる。これらのスチレン系モノマーは単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記スチレン系モノマーに由来するセグメントの含有量の好ましい下限は60重量%である。60重量%未満であると、得られる上記磁性粒子の水系媒体中での分散性が劣ることがある。
上記有機高分子物質は、スチレン系モノマーに由来するセグメントのほかに、反応性官能基を含有するビニルモノマーに由来するセグメントを有していてもよい。反応性官能基を含有するビニルモノマーに由来するセグメントを有することにより、該反応性官能基を介して抗原や抗体を容易に結合することができる。
上記反応性官能基を含有するビニルモノマーの反応性官能基としては、抗原や抗体等を共有結合により結合可能なものであれば特に限定されず、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、トリエチルアンモニウム基、ジメチルアミノ基、スルホン酸基等が挙げられる。このような反応性官能基を含有するビニルモノマーとしては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、グリシジル(メタ)アクリレート、トリエチルアンモニウム(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの反応性官能基を含有するビニルモノマーは単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記共重合体は、その他のビニルモノマーに由来するセグメントを有していてもよい。
その他のビニルモノマーとしては特に限定されず、例えば、塩化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。これら単量体は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記共重合体は、架橋性モノマーに由来するセグメントを有していてもよく、これらのセグメントにより架橋が施されていてもよい。
上記架橋性モノマーとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体等が挙げられる。これら架橋性単量体は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記磁性体は、上記有機高分子物質中に分散している。
上記磁性体としては特に限定されないが、残留磁気がない超常磁性を有するものが好適である。残留磁気があると自己凝集しやすくなり、クロマト展開性が劣ることがある。
上記超常磁性を有する磁性体としては特に限定されず、例えば、四三酸化鉄(Fe)、γ−三酸化二鉄(γ−Fe)等の各種フェライト類;鉄、マンガン、コバルト等の金属又はこれらの合金等が挙げられる。なかでもフェライト類が好適であり、なかでも四三酸化鉄(Fe)が好適である。
このような磁性体としては、Fe2+とFe3+とを1:2の割合で含む混合液を塩基性の溶液に滴下することでFeが得られる共沈反応法により調製したもの等を用いることができる。また、フェリコロイドHC−50(タイホー工業社製)、HX―20(シグマハイケミカル社製)等の市販品も用いることができる。
上記有機高分子物質中における磁性体の分散径の好ましい下限は1nm、好ましい上限は30nmである。1nm未満であると、磁性体の製造自体が困難であることに加え、磁性体の磁性応答特性が減少し、標識として用いたときの感度が低下することがある。30nmを超えると、残留磁気を生じやすくなり、自己凝集しやすくなることに加え、磁性体が磁性粒子の表面に露出しやすくなることがある。より好ましい下限は5nm、より好ましい上限は20nmである。
上記磁性粒子中における磁性体の含有量の好ましい下限は50重量%、好ましい上限は80重量%である。50重量%未満であると、磁性量が低く、極微量の測定対象成分を分析する際に検出が困難となり、80重量%を超えると、自己凝集しやすくなったり、磁性粒子全体の重量が大きくなり過ぎたりしてクロマト展開性が劣ることがある。より好ましい下限は60重量%、より好ましい上限は70重量%である。
磁性体を50〜80重量%含有する磁性粒子は、例えば、製造過程で得られる磁性粒子分散液のうち、ネオジム磁石を用いて1分間で磁石に引き寄せられる磁性体含有率が高い分画を、磁性粒子として分取することができる。
なお、磁性体含有率が80重量%を超える粒子が生成した場合、磁性体凝集塊になり重合器壁面等に付着するため、混入することはない。
上記磁性粒子は、平均粒子径の好ましい下限が50nm、好ましい上限が500nmである。50nm未満であると、媒体中に懸濁させたときの分散安定性が悪くなって自己凝集しやすくなり、500nmを超えると、クロマト担体の孔を通過しにくくなり、クロマト展開性が劣ることがある。より好ましい下限は100nm、より好ましい上限は400nmである。
上記磁性粒子は、粒子径のCV値が50%未満であることが好ましい。50%以上であると、粒子径の大きい粒子がクロマト担体の孔を通過しにくくなり、クロマト担体中に残存することがある。
上記磁性粒子は、上記有機高分子物質を構成する炭素元素と上記磁性体を構成する金属元素との構成比率の絶対偏差の好ましい上限が0.3である。
なお、本明細書において絶対偏差とは、上記有機高分子物質を構成する炭素元素と、磁性体を構成する金属元素の同期発光を測定し、粒子毎の炭素元素と金属元素との混在比率のバラツキから算出したその測定データの分散状態を示す偏差値であって、磁性粒子の磁性体含有量のバラツキを示すパラメータである。上記絶対偏差の数値が小さいほど磁性体含有量のバラツキが小さく、すなわち、磁性粒子の均一性が高く、大きいほど磁性体含有量のバラツキが大きい、すなわち、磁性粒子の均一性が低いことを示す。
上記絶対偏差が0.3を超えると、免疫測定法に利用した場合に、測定再現性や定量性が低くなり測定精度が悪化することがあり、得られる測定データの信頼性が低くなる。より好ましい上限は0.27、更に好ましい上限は0.25、特に好ましい上限は0.20である。
上記磁性粒子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、マイクロサスペンジョン重合法、ミニエマルジョン重合法、分散重合法等を応用した方法が挙げられる。なかでも、粒子径の小さな粒子を容易に製造することができることから、ミニエマルジョン重合法を応用した方法が好適である。
具体的には、有機溶媒中に磁性体を分散させた磁性体分散液と、モノマー、重合開始剤、及び、共界面活性剤を含有するモノマー溶液とを混合してモノマー混合液を調製する工程1、前記モノマー混合液を、界面活性剤を溶解させた水系媒体に滴下し、微分散させることにより、不均一なモノマー液滴が形成したミニエマルジョン溶液を調製する工程2、前記モノマー液滴を重合させ、磁性粒子分散液を調製する工程3、及び、前記磁性粒子分散液から、磁気分離法により磁性体含有率が50〜80重量%の粒子を分画し、回収する工程4を有する磁性粒子の製造方法が挙げられる。以下、ミニエマルジョン重合法を応用した上記磁性粒子の製造方法を詳しく説明する。
上記磁性粒子の製造方法では、まず、有機溶媒中に磁性体を分散させた磁性体分散液と、モノマー、重合開始剤、及び、共界面活性剤を含有するモノマー溶液とを混合してモノマー混合液を調製する工程1を行う。
このように、いったん磁性体分散液を調製し、これをモノマーと混合してモノマー混合液を調製することにより、磁性体が上記有機高分子材料からなるマトリックス中に上述の分散径で微分散し、かつ、上述の絶対偏差の値を達成した磁性体の含有量が均一な磁性粒子を得ることができる。
上記磁性体分散液に用いる有機溶媒としては、磁性体の分散性に優れ、磁性体を溶解してしまったりせず、かつ、モノマーと混合可能なものであれば特に限定されない。
このような有機溶媒としては、ブタノールや脂肪族炭化水素系溶媒を含有するものが好適である。上記脂肪族炭化水素系溶媒としては、磁性体の分散性に特に優れることから、炭素数5〜20の直鎖又は分岐のものが好適であり、炭素数5〜7の直鎖又は分岐のものがより好適である。具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソブタン、イソペンタン等が挙げられる。これらの脂肪族炭化水素系溶媒は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記有機溶媒中における上記脂肪族炭化水素系溶媒の含有量としては、80重量%以上であることが好ましい。80重量%未満であると、充分に磁性体を分散させることができず、ひいては得られる磁性粒子中における磁性体の分散径が大きくなったり、磁性体の含有量のバラツキが大きくなったりすることがある。
上記有機溶媒の含有量としては、磁性体に対して好ましい下限が20重量%、好ましい上限が500重量%である。20重量%未満であると、充分に磁性体を分散できないことがあり、500重量%を超えると、重合工程後に残存溶媒の除去が必要となり操作が煩雑となることがある。より好ましい下限は30重量%、より好ましい上限は300重量%である。なお、沸点が高い有機溶媒を用いる場合には、より少ない量を用いることが好ましい。
上記重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチルブタンニトリル)、1,1’−アゾビス−(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド等のアゾ(アゾビスニトリル)タイプの開始剤、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過硫酸塩(例えば過硫酸アンモニウム)、過酸エステル(例えばt−ブチルペルオクテート、α−クミルペルオキシピバレート及びt−ブチルペルオクテート)等の過酸化物タイプのラジカル系重合開始剤等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、モノマー混合物液滴の分散液の調製時に添加してもよいし、調整後に別に添加してもよい。
上記重合開始剤の含有量としては特に限定されないが、モノマー100重量部に対して好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が30重量部である。
上記共界面活性剤としては、ミニエマルジョン重合において一般的に用いられているものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサデカン、スクアラン、シクロオクタン等のC〜C30の直鎖、分岐鎖、環状アルカン類;ステアリルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等のC〜C30アルキルアクリレート;セチルアルコール等のC〜C30アルキルアルコール;ドデシルメルカプタン等のC〜C30アルキルチオール;ポリウレタン、ポリエステル、ポリスチレン等のポリマー類;長鎖脂肪族又は芳香族カルボン酸類、長鎖脂肪族又は芳香族カルボン酸エステル類、長鎖脂肪族又は芳香族アミン類、ケトン類、ハロゲン化アルカン類、シラン類、シロキサン類、イソシアネート類等が挙げられる。なかでも、炭素数が12以上のアルカン類が好適であり、なかでも炭素数12〜20のアルカン類がより好適である。これらの共界面活性剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記共界面活性剤の含有量としては特に限定されないが、モノマー100重量部に対して好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が50重量部である。
上記磁性体分散液とモノマーとを混合してモノマー混合液を調製する際には、必要に応じて後述するような界面活性剤を用いてもよい。
上記磁性粒子の製造方法では、次いで、上記モノマー混合液を、界面活性剤を溶解させた水系媒体に滴下し、微分散させることにより、不均一なモノマー液滴が形成したミニエマルジョン溶液を調製する工程2を行う。
上記水系媒体としては特に限定されず、通常は蒸留水やイオン交換水等が用いられる。
上記界面活性剤としては特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも用いることができる。なかでも、アニオン性界面活性剤が好適である。
上記アニオン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ドデシルベンゼンスルホネート、デシルベンゼンスルホネート、ウンデシルベンゼンスルホネート、トリデシルベンゼンスルホネート、ノニルベンゼンスルホネート及びこれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等が挙げられる。
上記カチオン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、セチルトリメチルアンモニウムプロミド、塩化ヘキサデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
上記ノニオン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール等が挙げられる。また、上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、Triton X−100、X−114、X−305、N−101(以上、ユニオンカーバイド社製)、Tween 20、40、60、80、85(以上、アイ・シー・アイ社製)、Brij 35、58、76、98(以上、アイ・シー・アイ社製)、Nonidet P−40(シェル社製)、Igepol CO530、CO630、CO720、CO730(ローヌ・プーラン社製)等の市販のものを用いることができる。これらのなかでは、アニオン性界面活性剤が好ましい。
上記界面活性剤としては、上記モノマーと重合可能な反応基を有する反応性界面活性剤も用いることができる。上記反応基としては、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基が好適である。
このような反応性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、特開平9−279073号公報等に記載されるものが挙げられる。具体的には、上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル(アリルベンゼン)スルホン酸塩、ラウリルスチレンスルホン酸塩、ステアリル(アリルベンゼン)スルホン酸塩、ステアリルスチレンスルホン酸塩等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類又はそれらのポリエチレンオキサイド付加物類;ラウリルアリルスルホ琥珀酸エステル、ラウリルビニルスルホ琥珀酸エステル、ステアリルアリルスルホ琥珀酸エステル、ステアリルビニルスルホ琥珀酸エステル等のアルキルスルホ琥珀酸エステル類又はそれらのポリエチレンオキサイド付加物類;(メタ)アクリル酸ラウリルスルホン酸塩、オレイルスルホン酸塩等のアルキル又はアルケニルスルホン酸塩類、(メタ)アクリル酸ステアリル硫酸塩、オレイル硫酸塩等のアルキル又はアルケニル硫酸塩類又はそれらのポリエチレンオキサイド付加物類等が挙げられる。
上記カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリアリルアンモニウムクロライド、ステアリルトリアリルアンモニウムクロライド、ジステアリルジアリルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類等が挙げられる。
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールオクチル(アリルフェニル)エーテル、ポリエチレングリコールノニル(アリルフェニル)エーテル、ポリエチレングリコールオレイルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキル又はアルケニルフェニルエーテル類;モノステアリル酸モノアリルグリセリル、ジステアリン酸モノアリルグリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル類又はそれらのポリエチレンオキサイド付加物類;モノステアリン酸モノアリルソルビタン、トリステアリン酸モノアリルソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類又はそれらのポリエチレンオキサイド付加物類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のポリエチレンオキサイドエステル類等が挙げられる。
上記反応性界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤であるアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)、Antox−MS−60、RA−1000シリーズ、Antox−MS−2N(日本乳化剤社製)、アデカリアソープSE−10N(旭電化工業社製)、テラムルS−180A(花王社製)、エレミノールJS−2(三洋化成工業社製);カチオン性界面活性剤であるRF―751(日本乳化剤社製);ノニオン性界面活性剤であるアデカリアソープNE−10(旭電化工業社製)、ブレンマーPE−200、ブレンマーPE−350、ブレンマーPE−400(日本油脂社製)等の市販品が挙げられる。
これらの界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記界面活性剤の含有量としては、モノマー100重量部に対し好ましい下限は0.01重量部、好ましい上限が5重量部であり、より好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は30重量部である。
上記モノマー混合液からなる液滴を微分散させる方法としては特に限定されず、例えば、界面活性剤を含有する水系媒体中に上記モノマー混合液を加え、高い剪断力を発生させる剪断混合装置によって乳化させる方法等の従来公知の方法を用いることができる。
上記剪断混合装置としては特に限定されず、例えば、ピストンホモジナイザー、マイクロ流動化装置(例えば、Microfluidizer(みずほ工業社製))、超音波分散機等が挙げられる。なかでも、プローブ式の超音波分散機が好適に用いられる。
微分散させる際に超音波分散機を用いる場合、超音波出力の好ましい下限は5W、好ましい上限は200Wである。5W未満であると、分散力不足により大きな液滴が生じ、次工程の重合反応が困難となることがあり、200Wを超えると、所望の磁性粒子が得られないことがある。
また、超音波の照射時間としては、超音波出力にもよるが、10〜30秒の範囲で行うことが好ましい。
ここで、完全に均一なモノマー液滴を形成させる、一般的なミニエマルジョン重合法の場合、高含有率の磁性粒子を得ることができない。
本明細書において、不均一とは、液滴が均一になる前に分散工程を止めることであって、磁気分離法により回収する磁性粒子については、粒子径や磁性体含有量は粒子毎に不均一ということではない。不均一になる条件は、数値化することは難しいが、超音波ホモジナイザーの出力が低く、かつ、処理時間が短い条件で実現できている。
また、不均一なモノマー液滴とは、超音波分散処理の際、磁性体内包量によってモノマー液滴が、同じ超音波出力であっても液滴の分裂効率が変わることを利用し、系全体としては液滴径が均一に至るまでの不均一な状態で処理を終えることにより得られる。また、この方法により得られるモノマー液滴は、液滴径を均一にする場合よりも磁性体含有率の高い液滴になる。また、磁性粒子は、モノマー液滴が不均一な状態で重合後、磁気分離法により磁性体含有率が高く、かつ、均一性の高い分画を回収することにより得られる。
上記磁性粒子の製造方法においては、超音波出力や乳化時間を調整し、不均一な乳化状態で微分散処理を終了する。このように完全均一なモノマー液滴にしないことにより、磁性体含有率の高い磁性粒子を得ることができる。
上記磁性粒子の製造方法では、次いで、前記モノマー液滴を重合させ、磁性粒子分散液を調製する工程3を行う。
上記重合は、通常50〜95℃で5〜24時間程度加熱することにより行う。
上記磁性粒子の製造方法では、次いで、前記磁性粒子分散液から、磁気分離法により磁性体含有率が50〜80重量%の粒子を分画し、回収する工程4を行う。
上記分画の方法としては特に限定されず、例えば、遠心分離法、磁気分離法等の精製方法が挙げられる。これにより、所望の平均粒子径、磁性体分散径及び磁性体含有量を有するものを採取することができ、上記磁性粒子を得ることができる。
特に、精製方法のなかでも、磁気分離法が好適に用いられる。磁気分離の処理時間を短くすることで磁性体含有率の高い磁性粒子を回収することができる。
また、上記磁性粒子は、好ましくは平均粒子径が50〜500nmであり、かつ、磁性体の分散径が1〜30nmであることから、自己凝集を抑制することができ、上記磁性粒子を支持体として、抗原や抗体等を結合又は吸着させた免疫測定用粒子は、通常孔径が5〜20μmであるクロマト担体中を容易に展開(移動)することができる。更に、クロマト担体に非特異的に吸着することもないことから、クロマト展開性にも極めて優れる。
上記磁性粒子と、上記標的物質に特異的に結合する抗体とは、物理的結合等によって、結合されていることが好ましい。具体的には、例えば、静電結合、疎水結合又は配位結合等による結合が挙げられる。
上記標的物質に特異的に結合する抗体が結合した磁性粒子は、乾燥状態で保存されていることが好ましい。
上記乾燥状態で保存する方法としては特に限定されないが、上記標的物質に特異的に結合する抗体が結合した磁性粒子と、安定化剤と共存させ、真空乾燥させることが好ましい。
上記安定化剤としては特に限定されず、例えば、各種の糖、界面活性剤、グリセロール等の多価アルコール等が挙げられる。
上記混合液を調整する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の免疫測定法は、上記混合液を、展開方向に対して、捕捉部位1と、捕捉部位2とをこの順に有する免疫クロマト担体に展開する工程を有する。
上記免疫クロマト担体としては、毛細管現象を利用して上記標的物質に特異的に結合する抗体が移動可能な素材からなるものであれば特に限定されないが、メンブレンフィルター、ニトロセルロース、ガラス濾紙等の多孔質体が好適である。
後述するように、本発明の免疫測定法では、上記混合液の展開後、磁性量を測定することから、非磁性材料からなる担体を用いることが好ましい。
上記捕捉部位1は、上記抗体に特異的に結合する抗原性物質が固定化されている。
上記捕捉部位1では、上記抗原性物質によって、上記混合液中で標的物質と結合していない抗体が捕捉される。すなわち、上記抗体は、上記混合液中の標的物質と、上記捕捉部位1の抗原性物質とに対して、競合的に結合する。
上記抗原性物質としては、上記抗体に特異的に結合するものであれば特に限定されず、従来公知の抗原、ハプテン等が挙げられる。上記抗原性物質として、上記標的物質そのもの、又は、上記標的物質の類似物質を用いることもできる。
上記捕捉部位1おいて、上記抗原性物質を固定化する方法としては特に限定されず、例えば、上記抗原性物質を、牛血清アルブミン(BSA)等のキャリア蛋白に結合させることによって得られた蛋白結合抗原性物質を、従来公知の蛋白固定法等によって定着させる方法等が挙げられる。
上記捕捉部位2は、前記抗体に特異的に結合する二次抗体が固定化されている。
上記免疫クロマト担体は、展開方向に対して、捕捉部位1と、捕捉部位2とをこの順に有するため、上記捕捉部位2では、上記二次抗体によって、上記捕捉部位1において捕捉されなかった抗体が捕捉される。すなわち、上記捕捉部位2では、混合液中で標的物質と結合している抗体が捕捉される。
上記二次抗体としては特に限定されないが、例えば、抗マウスIgGウサギ抗体等が好適に用いられる。
上記捕捉部位2おいて、上記二次抗体を固定化する方法としては特に限定されず、例えば、二次抗体を緩衝液に溶解してなる溶液を塗布することによって定着させる方法等が挙げられる。
上記免疫クロマト担体は、複数の上記捕捉部位1と、複数の上記捕捉部位2とを有することが好ましい。すなわち、本発明の免疫測定法は、上記混合液を、展開方向に対して、複数の捕捉部位1と、複数の捕捉部位2とをこの順に有する免疫クロマト担体に展開する工程を有することが好ましい。このように、複数の捕捉部位1と、複数の捕捉部位2とを有する免疫クロマト担体を用いることによって、より再現性に優れ、より高感度な免疫測定を行うことが可能となる。
上記捕捉部位1及び捕捉部位2の幅は、磁気検出装置の検出部位の幅によって決定されるが、通常は、好ましい下限が0.5mm、好ましい上限が1.5mmである。
上記免疫クロマト担体は、サンプルパッドを有することが好ましい。
上記サンプルパッドは、上記混合液の展開速度や展開量を制御する役割を担う。上記サンプルパッドに上記混合液を滴下することによって、上記クロマト担体に上記混合液を展開することができる。
上記サンプルパッドとしては、上記混合液を適度な速度及び量で展開させることができるものであれば特に限定されず、従来公知のメンブランフィルター、ニトロセルロース、ガラス濾紙等の多孔質体からなるもの等を用いることができる。
上記クロマト担体は、吸収パッドを有することが好ましい。
上記吸収パッドは、展開された過剰の混合液を吸収する役割を担う。
上記吸収パッドとしては、展開した上記混合液を吸収することができるものであれば特に限定されず、従来公知のセルロースやコットン等の吸水性材料からなるものを用いることができる。
本発明の免疫測定法は、上記混合液を展開した後の免疫クロマト担体の上記捕捉部位1の磁性量と、上記捕捉部位2の磁性量とを測定する工程を有し、下記式(1)で表される検量値を用いて検量を行う。
Figure 2009020088
すなわち、各捕捉部位に捕捉された標識物質としての磁性粒子に由来する磁性量を測定する。これらの磁性量を用いて、上記式(1)で表される値を検量値として、検量線を作成する等の方法により検量を行うことによって、精度及び再現性に優れた免疫測定を行うことができる。
上記捕捉部位1の磁性量、又は、上記捕捉部位2の磁性量を測定する方法としては特に限定されず、従来公知のホールセンサ、GMRセンサ等の磁気センサ、磁気緩和測定等を用いる方法が挙げられる。
本発明によれば、再現性に優れ、高感度な免疫測定を行うことが可能な免疫測定法を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)磁性粒子の作製
磁性流体「フェリコロイドHC50(タイホー工業社製)」10.0g(磁性体5g含有)をインキュベーター中で80℃にて12時間乾燥し、濃縮された磁性流体7.0gを得た。得られた磁性流体にヘキサン3gを加えて、一晩放置し、磁性体を分散させて磁性体分散液を得た。
得られた磁性体分散液の全量に対して、スチレン10g、ヘキサデカン0.8g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.05gを加え、スターラーを用いて氷冷下で混合してモノマー混合液を得た。
次いで、水100gにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8gを溶解させた水溶液を、得られたモノマー混合液を加え、出力200Wのプローブ型の超音波ホモジナイザー(Sonifier model250、Branson社製)を用いて、氷冷下、出力目盛り5(70W)で2分間処理して、磁性体を含むモノマー混合液の液滴が水中に分散したミニエマルジョン溶液を調製した。
得られたミニエマルジョン溶液を窒素雰囲気下、80℃で、24時間重合することにより、磁性粒子分散液を得た。
次いで、得られた磁性粒子分散液のうち、ネオジム磁石を用いて1分間で磁石に引き寄せられる磁性体含有率が高い分画を、磁性粒子として分取した。
得られた磁性粒子について、動的光散乱光度計(Photal PAR−IIIS、大塚電子社製)を用いて動的光散乱法により粒子径を測定したところ、平均粒子径は263nmであった。また、得られた磁性粒子を水で希釈し、金属メッシュで支持したコロジオン膜上に沈着固定した後、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、磁性体の分散径を測定したところ、10〜25nmであった。更に、TG−DTA分析により磁性粒子中の磁性体含有量を測定したところ67重量%であった。
(2)免疫測定用粒子の作製
得られた磁性粒子5.0mgにエタノールを4mL加え、15000RPMにて20分間遠心分離後上清を除去した。前記操作を2回繰り返して分散液に存在する界面活性剤を除去した。続いて、脱イオン水を4mL加え、超音波で再分散後、15000RPMにて20分間遠心分離し上清を除去した。この遠心洗浄操作を2回繰り返した後、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)4mLを加え、15000RPMにて20分間遠心分離し上清を除去した。この遠心洗浄操作を2回繰り返した後、最後に0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)1mLを加え超音波で再分散した。
続いて、得られた磁性粒子に、抗PCBモノクローナル抗体を50μg加え、37℃恒温槽中で2時間攪拌した。次いで、1%BSA、0.01Mリン酸緩衝液(pH7.5)10mLを添加し、4℃の恒温槽で一昼夜撹拌し、ブロッキング処理を行った。その後、15000RPMにて20分間遠心分離を行い、未反応の抗体及びBSAを除去した。更に、1%BSA、0.01Mリン酸緩衝液(pH7.5)を10mL加え、超音波で再分散した後、遠心洗浄を1回行い、最後に、0.02Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)、1%NaCl、5%スクロース、3%カゼイン溶液を10mL加え、超音波で再分散した。
このPCB抗体を固定化した磁性粒子溶液を一定量ずつガラスバイアルに分注し、1昼夜真空乾燥した後、プラスチックス栓をして磁性粒子標識抗PCB抗体バイアルを作製した。
(3)PCB測定用イムノクロマトメンブレンの作製
ニトロセルロースメンブレン(SRHF P70、日本ミリポア社製)を幅20cm×長さ6cmに裁断し、その長さ方向上端より2cmの部位(捕捉部位1)に、PCBハプテンBSAを2.0mg/mLの濃度になるようにトリス塩酸緩衝液(10mM、pH7.4)に溶解した溶液を幅0.7mmの直線状に塗布した。また、長さ方向上端より3cmの部位(捕捉部位2)に、抗マウスIgGウサギ抗体を2.0mg/mLの濃度になるようにトリス塩酸緩衝液(10mM、pH7.4)に溶解した溶液を幅0.7mmの直線状に塗布した。
その後、37℃で2時間乾燥した後、シリカゲルデシケーター内で室温下にて乾燥し、PCB測定用イムノクロマトメンブレンを得た。
(4)PCB測定用イムノクロマトデバイスの作製
得られたPCB測定用イムノクロマトメンブレンを幅5mmに裁断し、長さ方向上端に幅5mm×長さ20mmの吸水パッド(AP22、日本ミリポア社製)を、下端に幅5mm×長さ15mmのコンジュゲートパッド(グラスファイバー、日本ミリポア社製)を重ね、専用のカセットにセットし、固定してPCB測定用イムノクロマトデバイスを作製した。
(5)PCB濃度の測定
作製した磁性粒子標識抗PCB抗体バイアルとPCB測定用イムノクロマトデバイスを用いて、試験液中のPCB濃度を測定した。
磁性粒子標識抗PCB抗体バイアルに、1%NaCl、0.01%トリトンX−100、0.02Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を150μL添加した。次いで、PCBとして、カネクロール500(鐘淵化学工業製、KC500)をDMSOに表1に示すように既知量添加した試料15μLを前記バイアルに添加して、30秒程度良く撹拌したのち、混合液100μLをPCB測定用イムノクロマトデバイスの試料添加孔にピペットでゆっくりと添加した。
滴下から30分経過後、市販のGMRセンサ(差動磁界センサ、NVE社製)を用いて、イムノクロマトメンブレンの捕捉部位1及び捕捉部位2の磁性量を測定した。磁性量の測定は各濃度につき5回ずつ行った。
測定した捕捉部位1及び捕捉部位2の磁性量から下記式(1)で表される検量値を用いた場合の定量値を求めた。
Figure 2009020088
(実施例2)
PCB測定用イムノクロマトメンブレンの作製において、ニトロセルロースメンブレンの長さ方向上端より3cmの部位に加え、長さ方向上端より4cmの部位にも、抗マウスIgGウサギ抗体を2.0mg/mLの濃度になるようにトリス塩酸緩衝液(10mM、pH7.4)に溶解した溶液を幅0.7mmの直線状に塗布して捕捉部位2としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、捕捉部位1及び捕捉部位2の磁性量を測定し、測定した捕捉部位1及び捕捉部位2の磁性量から上記式(1)で表される検量値を用いた場合の定量値を求めた。
(比較例)
捕捉部位1のみの磁性量を測定し、これを検量値としたこと以外は、実施例と同様の方法によりの定量値を求めた。
(評価)
実施例1、2及び比較例について得られた定量値の平均値、標準偏差及び変動係数(%)を算出した。結果を表1(実施例1及び比較例)及び表2(実施例2)に示した。
なお、表2(実施例2)中、2本の捕捉部位2を区別するため、便宜上、ニトロセルロースメンブレンの長さ方向上端より3cmの部位に設けた捕捉部位を捕捉部位2とし、ニトロセルロースメンブレンの長さ方向上端より4cmの部位に設けた捕捉部位を捕捉部位3とした。
Figure 2009020088
Figure 2009020088
捕捉部位1の磁性量のみを検量した場合(比較例1)に比べて、捕捉部位1及び捕捉部位2の磁性量から上記式(1)で表される検量値を用いた場合(実施例1)には、日間再現性、同時再現性等の再現性が格段に向上することが判明した。
更に、捕捉部位2のラインを2本設けたイムノクロマトメンブレンを用いた場合(実施例2)では、捕捉部位2のラインを1本用いた場合と比較して、下記式(2)で表される4パラメータロジスティックモデルによる検量線を作成した。
Figure 2009020088
式(2)中、Yは検量値、XはPCB濃度、aは最大値、bはslope値、cはED50、dは最小値を示す。ここで、slope値は、検量線の傾きを表しており、この値が大きい程、測定の再現性が高いことを示す。ED50は感度を表し、この値が小さい程、測定の感度が高いことを示す。
得られた検量線を図3に示す。得られた検量線パラメータについて見ると、捕捉部位2のラインを1本用いた場合のslope値は0.920、ED50値は0.937であったが、捕捉部位2のラインを2本用いた場合のslope値は1.110、ED50値は0.710であった。このように、捕捉部位2のラインを2本用いた場合の方が、捕捉部位2のラインを1本用いた場合に比べて、slope値はより大きくなり、ED50値はより小さくなり、測定の再現性及び感度がより向上することが判明した。
本発明によれば、再現性に優れ、高感度な免疫測定を行うことが可能な免疫測定法を提供することができる。
本発明を用いた検査装置の一実施態様を示した図(上面図)である。 本発明を用いた検査装置の一実施態様を示した図(横断面図)である。 実施例1及び実施例2について作成した4パラメータロジスティックモデルによる検量線である。
符号の説明
1 捕捉部位1
2 捕捉部位2
3 サンプルパッド
4 吸収パッド
5 免疫クロマト担体
6 薄膜
7 検査装置

Claims (2)

  1. 標的物質と、前期標的物質に特異的に結合する抗体が結合した磁性粒子からなる磁性粒子標識抗体とを含有する混合液を調整する工程、
    前記混合液を、展開方向に対して、前記抗体に特異的に結合する抗原性物質が固定化された捕捉部位1と、前記抗体に特異的に結合する二次抗体が固定化された捕捉部位2とをこの順に有する免疫クロマト担体に展開する工程、及び、
    前期混合液を展開した後の免疫クロマト担体の前記捕捉部位1の磁性量と、前記捕捉部位2の磁性量とを測定する工程を有し、
    下記式(1)で表される検量値を用いて検量を行う
    ことを特徴とする免疫測定法。
    Figure 2009020088
  2. 免疫クロマト担体は、複数の捕捉部位1と複数の捕捉部位2とを有することを特徴とする請求項1記載の免疫測定法。
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