JP2009019249A - 取鍋の漏鋼防止方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 取鍋に収容された溶鋼が二次精錬中や鋳造中などに取鍋鉄皮を融解して漏洩することを、確実に且つ安価に防止することのできる、取鍋の漏鋼防止方法を提供する。
【解決手段】 本発明の取鍋の漏鋼防止方法は、溶鋼7を収容した取鍋1の鉄皮2の温度を赤外線放射温度計5で測定し、測定した温度または測定した温度上昇速度が予め設定したそれぞれの閾値以上である場合には、警報を発報するとともに取鍋内の溶鋼上に存在するスラグ8に耐火物溶出抑制剤11を添加する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、取鍋に施工された耐火物の損耗などに起因して、取鍋内の溶鋼が二次精錬中や鋳造中などに取鍋鉄皮を融解して漏洩することを防止する方法に関するものである。
転炉や電気炉で溶製された溶鋼は、取鍋に出鋼されて次工程の連続鋳造工程に搬送され、連続鋳造工程で鋳造される。連続鋳造工程の前に脱ガス精錬や脱硫精錬などの二次精錬を実施する場合には、取鍋をそれらの二次精錬設備に搬送し、取鍋に収容された溶鋼に対して二次精錬が行われる。
このようにして使用される取鍋は、その表面を鉄皮とし、この鉄皮の内側に耐火物が施工された構造となっている。この耐火物は、通常、永久張り耐火物(「永久煉瓦」或いは「パーマ煉瓦」とも呼ぶ)と内張り耐火物(「ワーク煉瓦」或いは「ウェア煉瓦」とも呼ぶ)との2層で構成されていて、永久張り耐火物が鉄皮側に施工され、溶鋼と直接接触する部位に内張り耐火物が施工されている。従って、内張り耐火物は、溶鋼との接触による機械的な損耗、溶鋼に混在するスラグによる浸蝕、及び急激な温度変化によるスポーリングなどによって損耗し、内張り耐火物の残存厚みが所定の厚みとなった時点で解体され、再度、内張り耐火物が施工される。この場合、永久張り耐火物は、割れなどによる損傷がない限り、原則的には張り替えず、そのまま使用される。このようにして、取鍋は繰り返して使用される。尚、永久張り耐火物は基本的には溶鋼と直接接触しないので、一般的に、内張り耐火物に比べて耐火性、耐浸蝕性などの特性に劣る耐火物が使用されている。
省資源や耐火物コスト削減などの目的のために、近年、内張り耐火物の残存厚みが薄くなるまで使用回数を延ばすことが一般的となっている。また近年、溶鋼の清浄化のために、取鍋内のスラグに金属AlやCaOなどを含有するスラグ改質剤を添加することが行われており、スラグ改質剤と反応したスラグが取鍋内壁に付着して、内張り耐火物の残存厚みを正確に把握できない状況になっている。この付着物は溶鋼の温度域では、溶融状態或いは半溶融状態となり、耐火物としての機能は有していない。
このような状況下、内張り耐火物の損耗により、永久張り耐火物が露出したことに気付かずに、その取鍋を使用することが発生する。この場合、前述したように永久張り耐火物は内張り耐火物に比べて耐火物としての特性が劣り、溶鋼或いはスラグと直接接触した永久張り耐火物は溶損し、やがて取鍋の鉄皮も溶鋼と直接接触することで融解し、最悪の場合、取鍋の側壁から溶鋼が流出するというトラブルが発生する。溶鋼の流出した場所に機械設備などが設置されていた場合には、機械設備も破損され、重大なトラブルになる。
そこで、取鍋などの容器内に収容された溶融金属の漏洩を予知する技術が幾つか提案されている。例えば特許文献1には、溶銑を受銑するための受銑容器の鉄皮表面または鉄皮と耐火物との間、若しく耐火物の内部に測温用光ファイバーを敷設し、この光ファイバーに光パルスを入力して戻ってくる光パルスの散乱光に基づき、温度変化の発生を検出すると同時に、この温度変化の発生場所を特定することで、受銑容器からの溶銑の漏洩を防止する方法が提案されている。しかしながら、この方法は、溶融金属を収容する容器に光ファイバーを隈なく配置する必要があり、そのために作業負荷が高いという問題があり、また、計測装置自体の設備費が高いという問題もある。
また、特許文献2には、混銑車に搭載された炉体の鉄皮温度を測定し、予め設定した閾値と測温値とを比較して、混銑車を継続使用するか、或いは混銑車の内張り耐火物の補修を行うか、を決定する技術が開示されている。しかしながら、鉄皮温度が閾値を越えた場合にも、溶銑の漏洩を防止するための対策を実施せずに受銑した溶銑に対して通常と変らぬ操業を行っており、この間に溶銑の漏洩が発生する恐れがあり、溶銑の漏洩防止を目的とした技術とはいえない。
特開平8−35007号公報 特開2001−192719号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、取鍋に収容された溶鋼が二次精錬中や鋳造中などに取鍋鉄皮を融解して漏洩することを、確実に且つ安価に防止することのできる、取鍋の漏鋼防止方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る取鍋の漏鋼防止方法は、溶鋼を収容した取鍋の鉄皮の温度を赤外線放射温度計で測定し、測定した温度または測定した温度上昇速度が予め設定したそれぞれの閾値以上である場合には、警報を発報するとともに取鍋内の溶鋼上に存在するスラグに耐火物溶出抑制剤を添加することを特徴とするものである。
第2の発明に係る取鍋の漏鋼防止方法は、溶鋼を収容した取鍋の鉄皮の温度を赤外線放射温度計で測定し、測定した温度または測定した温度上昇速度が、予め設定したそれぞれの第1の閾値以上で第2の閾値未満の場合には、警報を発報するとともに取鍋内の溶鋼上に存在するスラグに耐火物溶出抑制剤を添加し、更に取鍋の鉄皮を点検して、鉄皮に赤熱のない場合にはそのまま使用し、鉄皮に赤熱のある場合には溶鋼の処理を中止して取鍋から溶鋼を排出し、第2の閾値以上の場合には、警報を発報するとともに取鍋内の溶鋼上に存在するスラグに耐火物溶出抑制剤を添加した後に溶鋼の処理を中止して取鍋から溶鋼を排出することを特徴とするものである。
本発明によれば、溶鋼を収容した取鍋の鉄皮を赤外線放射温度計で測定し、測定した温度または温度上昇速度が予め設定した閾値以上の場合には、警報を発報するとともに取鍋内のスラグに耐火物溶出抑制剤を添加して取鍋耐火物の溶損を抑え、且つ、その時点で溶鋼の処理を中止することができるので、取鍋からの溶鋼の漏洩を未然に防止することができる。また、鉄皮温度から内張り耐火物の残存厚みが間接的に把握できるので、内張り耐火物の使用回数を永久張りの露出直前にまで延ばすことができ、内張り耐火物の残存厚みを目視で確認した従来の場合に比較して大幅に耐火物コストを低減することができる。このように、本発明により工業上有益な効果がもたらされる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1及び図2は、本発明の実施の形態例を示す図であって、図1は、取鍋と赤外線放射温度計との位置関係を示す概略平面図、図2は、図1のX−X’破線の断面による概略図である。
図1及び図2において、取鍋1は、外殻を鉄皮2とし、その内側に耐火物層3が施工されて構成されている。耐火物層3は、永久張り耐火物(図示せず)と内張り耐火物(図示せず)との2層で施工され、鉄皮側に永久張り耐火物が施工され、溶鋼7と接触する側に内張り耐火物が施工されている。永久張り耐火物及び内張り耐火物としては、特段の耐火物を使用する必要はなく、永久張り耐火物としては、ろう石質耐火物や粘土質耐火物、永久張り耐火物としては、高アルミナ質耐火物、マグネシア質耐火物、マグネシア−ドロマイト質耐火物などの慣用の耐火物を使用すればよい。また、その形態は、定形耐火物であっても不定形耐火物であっても、どちらでも構わない。
本発明では、取鍋1に溶鋼7が収容された状態のときに、取鍋1の鉄皮2の温度を赤外線放射温度計5で測定し、温度測定値に基づいて取鍋1からの溶鋼7の漏洩を防止する。鉄皮2の温度を測定する時期は、取鍋1が溶鋼7を受鋼した以降なら何時でも構わないが、溶鋼7を受鋼してから長時間経過した時点で測定すると、漏鋼対策が間に合わないこともあり得るので、受鋼後なるべく早い時期に測定することが好ましい。この観点から、図1及び図2では、転炉或いは電気炉から出鋼された溶鋼7を最初に二次精錬するための取鍋精錬設備で溶鋼7を処理している間に、鉄皮2の温度を測定する例で示している。
尚、取鍋精錬設備には、溶鋼7を加熱するための電極、取鍋1の上部に設置される、取鍋内の溶鋼7をシールするための上蓋、溶鋼7を攪拌するべく溶鋼7に攪拌用ガスを吹き込むためのインジェクションランス、更には、取鍋内に成分調整用の合金鉄やCaO系脱硫剤などを添加するためのシュート、ホッパーなどからなる原材料投入装置が設置されているが、図1及び図2では、耐火物溶出抑制剤11を収容するためのホッパー9及びホッパー9に収容された耐火物溶出抑制剤11を取鍋内に投入するためのシュート10のみを示し、それ以外の装置は、全て省略している。
転炉或いは電気炉で精錬された溶鋼7を取鍋1で受鋼し、溶鋼7を収容した取鍋1をクレーンまたは搬送台車などの適宜の設備を用いて、転炉或いは電気炉の炉下から搬出し、搬出した後に取鍋精錬設備への搬送台車4に積載する。次いで、取鍋1を積載した搬送台車4をレール6の上で移動させ、取鍋精錬設備の所定の位置で停止させる。所定の位置に停止させた状態で、溶鋼7に、脱硫処理、加熱処理、成分調整処理などの二次精錬を実施する。所定の位置で停止した搬送台車4の周囲には、複数の赤外線放射温度計5が設置されていて、取鍋精錬設備における二次精錬の処理中に、取鍋1の鉄皮2の円周方向及び高さ方向のほぼ全体の温度を測定できるようになっている。この場合、取鍋1が搬送台車4に積載されて取鍋精錬設備の所定の位置で停止すると、赤外線放射温度計5による温度測定が自動的に開始されるようになっている。赤外線放射温度計5としては、二次元の温度測定が可能であることから赤外線カメラが好適である。
図1では、4基の赤外線放射温度計5が取鍋1の周囲に設置されているが、取鍋1と赤外線放射温度計5との設置間隔などを調整することで、3基の赤外線放射温度計5を配置するのみでも、取鍋1の円周方向及び高さ方向のほぼ全体の温度を測定することができる。赤外線放射温度計5が2基のみの場合でも、理論上は鉄皮2の全ての面を測定可能であるが、鉄皮2の一部の部位は円の接線方向からの測定になり、測定精度が低下することから、赤外線放射温度計5は3基以上とすることが好ましい。
各赤外線放射温度計5で測定されたデータは、演算部(図示せず)及び表示部(図示せず)に送られる。演算部では、取鍋1の各部位の時間毎の温度測定値から、各部位の温度上昇速度を演算できるように構成されている。表示部では、測定した温度分布画像を取鍋1の位置別に表示するとともに、各部位の温度上昇速度を表示するように構成されている。演算部には、温度及び温度上昇速度の閾値が予め設定されていて、測定した温度または測定した温度上昇速度が閾値以上になった場合には、警報を発するよう、警報装置(図示せず)に信号を出力する。これを受け、警報装置から警報が発せられる。また、演算部は、測定したデータを個々の取鍋毎に保存し、個々の取鍋毎に温度履歴をグラフ化できるようになっている。また更に、測定した温度または測定した温度上昇速度が閾値以上になった場合には、耐火物溶出抑制剤11を取鍋内に投入するべく、シュート10に設けられた電磁式切出装置(図示せず)に信号を出力する。これを受け、シュート10から所定量の耐火物溶出抑制剤11が取鍋内のスラグ8に添加されるようになっている。シュート10は収縮及び旋回が可能であり、取鍋内の全ての位置に耐火物溶出抑制剤11を添加可能に構成されている。
取鍋内に耐火物溶出抑制剤11が添加されたなら、(1)警報を発した温度或いは温度上昇速度の表示位置を含めてその近傍の鉄皮2を目視で点検し、赤熱している鉄皮2が観察された場合には、漏鋼の恐れがあることから二次精錬処理を中止して取鍋1から溶鋼7を排出させ、一方、赤熱している鉄皮2が観察されない場合には、当該溶鋼の鋳造までは漏鋼の恐れがないとしてそのまま二次精錬処理を続け、連続鋳造などの鋳造工程まで通常の処理を続ける、或いは、(2)二次精錬処理を中止して取鍋1から溶鋼7を排出させるなどの対策を実施する。ここで、「赤熱」とは、目視観察で鉄皮2が赤く見える状態をいう。
ここで、耐火物溶出抑制剤11としては、高アルミナ質煉瓦、マグネシア質煉瓦、マグネシア−クロム質煉瓦などの廃煉瓦をシュート10によって添加できるサイズまで破砕したものが好適である。これら組成の煉瓦は、スラグ8に添加されると、スラグ8を冷却することによってスラグ8の固化を促進するだけではなく、スラグ8の融点を高めてスラグ8の固化を促進させる。取鍋1の耐火物層3は、スラグ8が固化することによってスラグ8による侵食が少なくなり、損耗速度が抑制される。また、耐火物層3のうちの内張り耐火物は、通常、高アルミナ質煉瓦やマグネシア質煉瓦で施工されており、上記組成の廃煉瓦をスラグ8に添加することにより、スラグ中のAl23 濃度或いはMgO濃度が飽和濃度に近くなり、耐火物層3のスラグ8への溶出が抑制される。
つまり、高アルミナ質煉瓦、マグネシア質煉瓦、マグネシア−クロム質煉瓦などの廃煉瓦からなる耐火物溶出抑制剤11をスラグ8に添加することにより、スラグ8が固化するとともにスラグ8のAl23 濃度或いはMgO濃度が飽和濃度に近くなり、これらによって耐火物層3のスラグ8による溶損が抑制され、耐火物層3の溶損に伴う溶鋼7の漏洩が防止される。また、固化したスラグ8が耐火物層3に付着することにより、耐火物としての機能も発揮する。尚、取鍋1の耐火物層3で最も溶損の激しい箇所はスラグ8との接触部位であり、漏鋼の原因の大半はスラグ8との接触部位の溶損に起因しており、従って、スラグ8に耐火物溶出抑制剤11を投入することにより、漏鋼の大半が抑制される。
この場合、温度及び温度上昇速度に、それぞれ異なる閾値を2つ設置し、低い方の閾値(「第1の閾値」という)を注意喚起のための温度とし、高い方の閾値(「第2の閾値」という)を取鍋精錬設備における処理中止のための温度としてもよい。
つまり、第1の閾値以上で第2の閾値未満の場合には、警報を発報するとともに取鍋内のスラグ8に耐火物溶出抑制剤11を添加した上で、警報を発した温度或いは温度上昇速度の表示位置を含めてその近傍の鉄皮2を目視で点検し、赤熱している鉄皮2が観察された場合には、漏鋼の恐れがあることから処理を中止して取鍋1から溶鋼7を排出させる。一方、赤熱している鉄皮2が観察されない場合には、当該溶鋼の鋳造までは漏鋼の恐れがないとしてそのまま処理を続け、連続鋳造などの鋳造工程まで通常の処理を続けることとする。但し、この取鍋1をそのまま続けて使用することは危険であるので、鋳造後、当該取鍋1の耐火物層3を点検し、永久張り耐火物の露出が確認された場合には、内張り耐火物の解体・修理に回し、永久張り耐火物の露出が確認されない場合には続けて使用するなどとする。
第2の閾値以上の場合には、漏鋼の恐れが高いことから、警報を発報するとともに取鍋内のスラグ8に耐火物溶出抑制剤11を添加した上で二次精錬を中止し、二次精錬中止後、直ちに取鍋1から溶鋼7を排出させることとする。但し、転炉からの出鋼時に転炉内のスラグが取鍋1の外周に付着し、このスラグによって鉄皮2の温度が上昇することもあり、この場合には漏鋼の恐れはないので、測定した温度或いは温度上昇速度が第2の閾値以上の場合であっても、直ちに二次精錬を中止するのではなく、第2の閾値を越えた部位を含めてその近傍の鉄皮2を目視で点検し、スラグ付着の有無を確認することが好ましい。スラグ付着がない場合には、耐火物層3の溶損によって鉄皮2の温度が上昇していると判定し、前述のように溶鋼7の二次精錬処理を中止し、一方、鉄皮2の赤熱もなくスラグ付着によって温度が上昇したと判定される場合には、溶鋼7の処理をそのまま継続する。
温度及び温度上昇速度の閾値は、温度及び温度上昇速度ともに、耐火物層3の厚み、特に永久張り耐火物の厚みや、永久張り耐火物と鉄皮2との間に断熱シートなどの断熱材の施工の有無に基づいて設定する。永久張り耐火物が厚い場合や断熱材が施工された場合には、鉄皮2の温度は上昇しにくく、閾値は相対的に低くなるからである。本発明者等の経験からは、温度の閾値の最大値は450℃程度、最小値は350℃程度であることを確認している。閾値を450℃よりも高くすると、漏鋼対策が間に合わない場合が発生し、一方、閾値を350℃よりも低くすると、内張り耐火物の原単位が増加してコスト増を招くことから好ましくない。鉄皮2の温度上昇速度は、耐火物層3が正常の場合には0.2℃/分程度以下であるので、温度上昇速度の閾値の最大値は0.8℃/分程度、最小値は0.4℃/分程度とすればよい。
本発明によれば、溶鋼7を収容した取鍋1の鉄皮2を赤外線放射温度計5で測定し、測定した温度または温度上昇速度が予め設定した閾値以上の場合には、警報を発報するとともに取鍋内のスラグ8に耐火物溶出抑制剤11を添加して取鍋1の耐火物層3の溶損を抑え、且つ、その時点で溶鋼7の処理を中止することができるので、取鍋1からの溶鋼7の漏洩を未然に防止することができる。また、鉄皮2の温度と内張り耐火物の残厚との相関に基づき、鉄皮温度から内張り耐火物の残存厚みが間接的に把握できるので、内張り耐火物の使用回数を永久張りの露出直前にまで延ばすことができ、従来に比較して大幅に耐火物コストを低減することができる。
尚、本発明は上記説明の範囲に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記説明では、取鍋精錬設備で取鍋1の鉄皮温度を測定しているが、転炉或いは電気炉の炉下に設けた搬送台車の上で測定してもよく、RH真空脱ガス装置などの脱ガス設備で測定してもよく、またクレーンでの搬送中に測定してもよい。また、赤外線放射温度計5を固定しているが、取鍋1の円周方向に旋回する架台に赤外線放射温度計5を設置し、赤外線放射温度計5を円周方向に旋回させながら測定するようにしてもよい。このようにすれば、2基の赤外線放射温度計であっても精度良く測定することができる。
前述した図1に示す位置関係に取鍋と赤外線放射温度計(赤外線カメラ)とを取鍋精錬設備に設置した本発明の実施例を説明する。取鍋容量は250トンであり、鉄皮温度の第1の閾値を350℃、第2の閾値を400℃に設定した。取鍋が取鍋精錬設備の所定の位置に搬入された時点で、赤外線放射温度計による測定が自動的に開始され、測定結果及び測定結果に基づく判定が自動的に出力されるようになっている。取鍋の内張り耐火物は高アルミナ質不定形耐火物とした。
鉄皮の測定温度が第1の閾値以上で第2の閾値未満の場合には、警報を発報するとともに取鍋内のスラグに高アルミナ質廃煉瓦からなる耐火物溶出抑制剤を約1トン添加した上で、警報を発した温度表示位置を含めてその近傍の鉄皮を目視で点検し、前述したように、赤熱しているか否かで溶鋼の運用を決定した。測定温度が第2の閾値以上の場合には、取鍋精錬設備における処理を中止し、取鍋内の溶鋼を別の空の取鍋に排出させた。排出した溶鋼は溶銑と混合し、再度転炉で精錬した。また、300℃以上350℃未満の温度が測定された取鍋は、鋳造後の点検を強化した。
その結果、取鍋からの溶鋼の漏洩は皆無であり、また、鉄皮温度と内張り耐火物の残存厚みとの相関関係から、永久張り耐火物が露出する直前まで取鍋を使用することが可能となり、残厚を目視で判定した従来に比べて取鍋の使用回数を約10回、比率にして約5%、延長させることができた。
本発明の実施の形態例を示す図で、取鍋と赤外線放射温度計との位置関係を示す概略平面図である。 図1のX−X’破線の断面による概略図である。
符号の説明
1 取鍋
2 鉄皮
3 耐火物層
4 搬送台車
5 赤外線放射温度計
6 レール
7 溶鋼
8 スラグ
9 ホッパー
10 シュート
11 耐火物溶出抑制剤

Claims (2)

  1. 溶鋼を収容した取鍋の鉄皮の温度を赤外線放射温度計で測定し、測定した温度または測定した温度上昇速度が予め設定したそれぞれの閾値以上である場合には、警報を発報するとともに取鍋内の溶鋼上に存在するスラグに耐火物溶出抑制剤を添加することを特徴とする、取鍋の漏鋼防止方法。
  2. 溶鋼を収容した取鍋の鉄皮の温度を赤外線放射温度計で測定し、測定した温度または測定した温度上昇速度が、予め設定したそれぞれの第1の閾値以上で第2の閾値未満の場合には、警報を発報するとともに取鍋内の溶鋼上に存在するスラグに耐火物溶出抑制剤を添加し、更に取鍋の鉄皮を点検して、鉄皮に赤熱のない場合にはそのまま使用し、鉄皮に赤熱のある場合には溶鋼の処理を中止して取鍋から溶鋼を排出し、第2の閾値以上の場合には、警報を発報するとともに取鍋内の溶鋼上に存在するスラグに耐火物溶出抑制剤を添加した後に溶鋼の処理を中止して取鍋から溶鋼を排出することを特徴とする、取鍋の漏鋼防止方法。
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