JP2009019152A - 伝熱プリプレグ及びその製造方法とこれを用いた伝熱プリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のプリント配線板の場合、その伝熱性を高めた場合、折り曲げると割れやすくなると言った柔軟性が低下しやすく、柔軟性を高めようとすると熱伝導率を高めることが困難になるという課題があった。
【解決手段】プリント配線板の製造に用いるプリプレグとして、ガラス繊維12を必要最小限の半硬化樹脂体13で覆った後、更にその表面に伝熱性の優れたコンポジット体14を形成することで、その熱伝導性を高めても割れにくい伝熱プリント配線板26を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】プリント配線板の製造に用いるプリプレグとして、ガラス繊維12を必要最小限の半硬化樹脂体13で覆った後、更にその表面に伝熱性の優れたコンポジット体14を形成することで、その熱伝導性を高めても割れにくい伝熱プリント配線板26を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、放熱が要求されるパワー系半導体、及び高機能半導体等の各種電子部品を高密度化に実装する際に用いられる伝熱プリプレグ及びその製造方法とこれを用いた伝熱プリント配線板に関するものである。
従来、電子部品実装用のプリント配線板としては、ガラスエポキシ樹脂からなるプリプレグと銅箔とからなる部材を、複数枚積層、一体化し、硬化したものが用いられている。更に機器の小型化、高性能化に伴い、電子部品の発熱が課題となることも多く、放熱性(あるいは伝熱性)を有するプリント配線板が求められる。次に伝熱プリント配線板について説明する。
例えば熱伝導性を高めた結晶性エポキシ樹脂を用いて、熱伝導性を高めるものが提案されている。図10を用いてその一例を説明する。すなわち図10(A)(B)は、共にメソゲン基を有する結晶性ポリマーを、磁場を用いて配向させ、熱伝導率を高くしようとする様子を説明する断面図である(例えば特許文献1参照)。
図10(A)(B)において、複数個の磁石1(例えば磁場発生手段としての永久磁石)の間には、矢印2で示した磁力線が発生している。そしてこの矢印2で示した磁力線の間に、金型3の中にセットした樹脂4(例えば硬化する前の液体状態の結晶性エポキシ樹脂)を置き、この磁場の中で樹脂4を熱硬化させる。図10(A)は樹脂4に対して垂直な方向に磁場をかける様子を、図10(B)は平行な方向の磁場をかける様子を示す。
しかし元々磁化されにくい結晶性エポキシを配向させるためには、磁束密度5〜10テラスの高磁場中で、温度150〜170℃に加熱した金型3の内部で、10分〜1時間硬化させる等の特殊な処理が必要になる。またこうして形成した結晶性エポキシ樹脂は、熱伝導性や物理強度(例えば曲げ強度)に異方性を有している可能性がある。その結果、こうした結晶性エポキシ樹脂を用いて作製したプリプレグやプリント配線板は、方向依存性(あるいは異方性)を有してしまうため、柔軟性が低下する(例えば耐折り曲げ性が低下する、あるいは曲げると割れやすい)という課題が発生しやすい。
一方、従来からプリプレグの熱伝導率を高めるために、無機質充填材を高密度に添加することが提案されていた。しかし無機質充填材を高密度に添加したシート状のプリプレグは、硬くて曲がりにくく、捲回しただけで割れることもある。また、熱伝導率の低いガラス繊維に対する無機質充填材の量を増やすためにはガラス織布を薄くする必要があり、強度が低下する。
そしてこのように硬くて曲がりにくいプリプレグを積層、硬化してなるプリント配線板自体も、曲げると折れやすくなる。そのため、こうしたプリント配線板に電子部品を機械実装する際あるいは実装後のプリント配線板の機器への装着時に、課題が発生する可能性がある。
こうした課題に対して、熱伝導性と取り扱い性(例えば、プリプレグシートの作業性、耐折り曲げ性)の両方を改善しようとする提案がなされていた。
図11は、折り曲げ性を改善した従来の伝熱プリプレグの一例を示す断面図であり、例えば特許文献2で提案されたものである。図11において、従来の伝熱プリプレグ5は、ガラス繊維6、熱硬化性樹脂層(内層部分)7、無機質充填材添加熱硬化性樹脂層(外層部分)8から構成されている。ここで無機質は、外層部分を構成する無機質充填材添加熱硬化性樹脂層8の熱伝導率を高めるために添加したものである。そして図11に示すように、無機質充填材添加熱硬化性樹脂層8は、従来の伝熱プリプレグ5の外層部分を構成し、ガラス繊維6を覆う部分(いわゆる内層部分)は、無機質充填材を含まない熱硬化性樹脂層7とする。無機質充填材が含浸しないガラス繊維6の層が存在することによって、ガラス繊維6の剛性が増加することなく(あるいはガラス繊維6の柔軟性を保つことで)、シート状の従来の伝熱プリプレグ5の折り曲げ性(あるいは柔軟性)を高めるものである。
しかし図11に示した構成では、従来のプリプレグ5の厚み方向での熱伝導性が阻害されてしまう可能性がある。これはガラス繊維6や熱硬化性樹脂層7の熱伝導率が、外層部分の無機質充填材添加熱硬化性樹脂層8に比べて、熱伝導率が低いためである。
特開2004−225054号公報
特開平3−17134号公報
このように従来のプリント配線板の場合、プリント配線板の熱伝導率を高めようとすると、折り曲げると割れやすくなると言った柔軟性が低下しやすく、柔軟性を高めようとすると熱伝導率を高めることが困難になるという課題があった。
そこで本発明は、プリプレグを構成するガラス織布に着目し、プリント配線板の熱伝導率を高めながらも、その柔軟性を保てるプリプレグを提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明は、硬化後の熱伝導率が0.5W/(m・K)以上20W/(m・K)以下となる伝熱プリプレグであって、この伝熱プリプレグは、ガラス織布または不織布と、その一部を露出するように含浸した第2の半硬化または硬化樹脂体と、これらを覆うコンポジット体とからなり、前記コンポジット体は、第1の半硬化樹脂と、この樹脂中に分散した無機フィラーとからなる伝熱プリプレグとするものである。
本発明の伝熱プリプレグ及びその製造方法とこれを用いた伝熱プリント配線板によれば、プリプレグの厚み方向における伝熱性に影響を与えるガラス織布部分を含浸する半硬化樹脂体の厚みを最小限とし、更には積極的にガラス繊維の一部を半硬化樹脂体の外側に露出させる(あるいは凹凸状に突出させる)ようにすることで、コンポジット体による伝熱性を高めることになる。その結果、熱伝導率の低いガラス織布または不織布の厚みを最小限とし、更にはガラス織布または不織布の開口部(例えばガラス織布の隙間部分)をも介した厚み方向の熱伝導率を高めることができる。従って、無機質充填材が比較的低い密度でも厚み方向の高熱伝導化を実現できるためプリプレグの柔軟性を確保できる。
これにより、シート状でのプリプレグ自体での取り扱い性、更にはこのプリプレグシートを積層、硬化して作製したプリント配線板の機械的強度を高められる(例えば、曲げても割れにくい)。ガラス織布は、基板作製時のプレス成形の圧力で、ガラス繊維の束が変形するため開口部が激減する。プリプレグ形成前にガラス織布の少なくとも一部を樹脂によって固定(あるいは樹脂を半硬化、あるいは硬化させる)することで、プレス成形時に開口部を確保したまま基板を作製できる。
そして本発明の伝熱プリプレグを用いて作製した伝熱プリント配線板を用いることで、半導体の温度が低減し、熱対策が容易になる。また、電子部品等を高密度実装することができ、液晶テレビやプラズマTV、各種電子機器の小型化、高性能化が可能となる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における伝熱プリプレグについて説明する。
以下、本発明の実施の形態1における伝熱プリプレグについて説明する。
図1は、実施の形態1における伝熱プリプレグの断面図である。
まず図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1における伝熱プリプレグの断面図である。図1において、11は伝熱プリプレグ、12はガラス繊維、13は半硬化樹脂体、14はコンポジット体である。
図1に示すように、伝熱プリプレグ11は、その中央部にガラス繊維12からなるガラス織布もしくは不織布が形成され、その一部を半硬化樹脂体13で覆っている。
なお半硬化樹脂体13で、ガラス繊維12を覆う場合、必要最小限の樹脂量でガラス繊維12を覆うことが望ましい。そしてガラス繊維12の一部を、半硬化樹脂体13から積極的に露出させ、あるいは半硬化樹脂体13の表面にガラス繊維12の一部を凹凸状に突出させる(なお半硬化樹脂体13の表面に凹凸状に突出したガラス繊維12の表面は、半硬化樹脂体13の薄い皮膜で覆われていても良い。必要最小限の半硬化樹脂体13で、ガラス繊維12を覆うことで、ガラス繊維12が切れにくく、傷付きにくくなるため、その取扱いが容易となる)。
そして、ガラス繊維12が露出した(あるいは半硬化樹脂体13の表面にガラス繊維12に起因する凹凸が発生した)表面を、コンポジット体14で覆っている。
次に図2〜図3を用いて更に詳しく説明する。
図2は、ガラス織布を半硬化樹脂で覆う様子を説明する断面図及び上面図である。図2において、15はガラス織布、16は露出部である。
図2(A)と(B)は、それぞれガラス織布15の断面図と上面図である。図2(A)に示すように、ガラス織布15は、ガラス繊維12から構成している。図2(B)において、ガラス織布15は、ガラス繊維12が縦横に織られたものであることを示す。
次に、このガラス織布15の一部を、半硬化樹脂体13に含浸させる。図2(C)は、ガラス織布15の一部を、半硬化樹脂体13に含浸させた様子を説明する断面図である。図2(C)において、ガラス織布15の一部は、半硬化樹脂体13から露出し、露出部16を構成する。なお露出部16において半硬化樹脂体13から露出したガラス繊維12の表面は、半硬化樹脂体13で覆われていても良い。これは露出部16に露出したガラス繊維12の表面の半硬化樹脂体13を部分的に除去することは、コストアップする可能性があるためである。
次に図3を用いて、ガラス織布15を必要最小限の半硬化樹脂体13で覆う様子を説明する。
図3は、ガラス繊維12を必要最小限の半硬化樹脂体13で覆う様子を説明する断面図である。図3において、17は部材、18は槽、19は設備、20は矢印である。
図3において、設備19は、プリプレグの製造設備の一部(例えば、ロール等の回転部分)を模式的に示すものである。槽18の中には、半硬化樹脂体13を形成する部材、例えばエポキシ樹脂やその硬化剤等を、所定の溶剤(例えばメチルエチルケトン、シクロペンタノン等)に溶解した状態でセットしている。
まずガラス織布15として、厚み20ミクロンのものを用意した。そして図3に示すように、ガラス織布15を、設備19にセットし、矢印20aに示す方向に送り、槽18にセットした部材17を含浸させる。そして設備19を、矢印20bに回しながら、ガラス織布15に含浸させる部材17(半硬化樹脂体13を形成する部材としては、例えば、エポキシ樹脂に硬化剤や希釈用溶剤を添加したものを使うことができる)の含浸量を必要最小限に調整する。そして乾燥機等(図示していない)の中を矢印20cのように流して部材17から溶剤成分を除去する。更に加熱等により部材17に含まれる樹脂成分を半硬化状態(本硬化の前の状態、いわゆるBステージ状態)とし、半硬化樹脂体13とする。こうして、ガラス織布15に連続的に半硬化樹脂体13を含浸させる。なおこの状態で、ガラス織布15を固定する樹脂を硬化させても良い(あるいは硬化樹脂体としても良い)。このようにガラス織布15を積極的にエポキシ樹脂等で硬化(あるいは半硬化)させることで、後述する図4(A)等における積層時に、ガラス織布15が広がる(あるいは開口率が低下する)ことを防止できる。なおこれらの製造方法はこれに限定されるものではない。
その後、この上に、コンポジット体14を塗布等によって形成し、最後に図1に示した伝熱プリプレグ11を作製する。
次にコンポジット体14の形成方法について説明する。まず図3の槽18に、コンポジット体14を構成する部材17をセットする。そして図2(C)に示したガラス織布15と、その一部を含浸する半硬化樹脂体13の表面に、コンポジット体14を塗布、形成する。この場合も、図3の設備19を調整する(例えば、2本のローラーに挟まれたギャップ部分を調整する)ことができる。その後、加熱等によりコンポジット体14から溶剤成分等を除去し、半硬化状態(本硬化前の状態、いわゆるBステージ状態)とする。なお伝熱プリプレグ11の製造方法としては、図3に示したようなディップ式の塗工装置以外に、ダイコータ、コンマコータ、リバースコータ、キスコータ等の各種市販のコータ(塗工装置)を用いることができる。
次に、コンポジット体14について説明する。コンポジット体14は、伝熱プリプレグ11が硬化後に熱伝導率が0.5W/(m・K)以上、20W/(m・K)以下となる材料を選ぶことが望ましい。硬化後の熱伝導率が0.5W/(m・K)未満の場合、熱伝導の効果が得られにくい場合がある。また熱伝導率が20W/(m・K)を越える材料は高価であり、取り扱いが難しい場合がある。
ここで硬化後に0.5W/(m・K)以上、20W/(m・K)以下を実現するには、少なくともコンポジット体14として、樹脂とこの樹脂中に分散した無機フィラーとから構成することが望ましい。
そしてこの樹脂としてはエポキシ樹脂を、無機フィラーとしてはアルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、炭素、酸化マグネシウム、ジルコン珪酸塩から選ばれた少なくとも1種類以上からなる無機フィラーとすることができる。
更には、樹脂をエポキシ樹脂とゴム樹脂の混合物、あるいはエポキシ樹脂と熱可塑性樹脂の混合物とすることもできる。なおエポキシ樹脂等を硬化させるための硬化剤等を必要に応じて添加することは言うまでもない。
なおこれら樹脂を半硬化状態とすることで、伝熱プリプレグ11の表面に形成したコンポジット体14となる。
なおガラス繊維12を必要最小限で覆う半硬化樹脂体13を、第2の樹脂体とすることができる。第2の樹脂体は、エポキシ樹脂とすることができる。また第2の樹脂体は、半硬化状態であっても良いが、硬化状態としても良い。硬化状態とすることで、伝熱プリプレグ11の積層時に、ガラス繊維12がずれにくくできる(あるいは広がりにくくできる)。
またコンポジット体14を構成する樹脂を、第1の樹脂体とすることができる。なお伝熱プリプレグ11を構成するコンポジット体14においては、第1の樹脂体は、半硬化状態とすることが望ましい。これは複数枚の伝熱プリプレグ11を積層、硬化し、一体化するためである。
なお第1の樹脂体と、第2の樹脂体を同じものとしても良い。
次に、図4〜図5を用いて、伝熱プリント配線板の製造方法の一例について説明する。
図4(A)(B)は、共に伝熱プリプレグ11の表面に銅箔を固定(あるいは一体化)する方法の一例を説明する断面図である。図4(A)(B)において、21はプレス、22は銅箔、23は積層体である。
まず図4(A)に示すように、半硬化樹脂体13を表面に形成した伝熱プリプレグ11の一面以上に銅箔22をセットする。そして、プレス21を、矢印20に示すように動かし、伝熱プリプレグ11の一面以上に銅箔22を貼り付ける。なお図4(A)(B)において、プレス21にセットする金型等は図示していない。そしてこれら部材17を所定温度で加圧一体化する。その後、図4(B)に示すようにプレス21を矢印20の方向に引き離す。こうして銅箔22を伝熱プリプレグ11の一面以上に固定し、積層体23とする。このようにして接着剤等を用いずに銅箔22を伝熱プリプレグ11の上に固定することで、出来上がった積層体23の高伝熱化を実現する。
次に積層体23の一面以上に固定した銅箔22を所定形状にパターニングする。なおパターニングの工程(フォトレジストの塗布、露光、現像、銅箔22のエッチング、フォトレジストの除去工程等)は図示していない(省略している)。
次に図5(A)〜(C)を用いて、積層体23を積層し、4層の伝熱プリント配線板を作製する様子を説明する。
図5(A)〜(C)は、共に多層(例えば4層)プリント配線板を作製する様子を断面で説明する模式図である。図5(A)〜(C)において、24は孔、25は銅メッキ部、26は伝熱プリント配線板である。
まず図5(A)に示すように、少なくともその一面以上に、銅箔22を所定パターン形状に加工した積層体23を用意する。そしてこの積層体23を挟むように、伝熱プリプレグ11をセットする。更に伝熱プリプレグ11の外側に、銅箔22をセットする。なお市販の銅箔22を用いる場合、その粗面側を伝熱プリプレグ11側にセットすることで、銅箔22と伝熱プリプレグ11との接着力(例えば、アンカー効果や投錨効果)を高められる。そしてこの状態でプレス装置(図示していない)を用いて、これら部材17を加圧、加熱、一体化する。このプレス時に加熱することで、伝熱プリプレグ11の表面に形成した半硬化状態のコンポジット体14が軟化し、伝熱シート11上に固定した銅箔22のパターンの埋め込み(あるいはパターンによる段差の埋め込み)や、銅箔22との密着力を高める効果が得られる。また接着剤を用いることなく、銅箔22を固定する効果も得られる。こうして積層体23を作製する。
次にこの積層体23の所定位置に孔24を形成し、図5(B)の状態とする。図5(B)において、孔24はドリルやレーザ等(共に図示していない)で形成したものである。
その後、孔24の内壁等に銅メッキを行い、図5(C)の状態とする。図5(C)に示すようにして、銅メッキ部25によって、内層や表層に形成した銅箔22の間の層間接続を行う。次にソルダーレジスト(図示していない)等を形成することで、伝熱プリント配線板26となる。
(実施の形態2)
次に実施の形態2として、ガラス織布15の開口率を増加させ、伝熱プリプレグ11の厚み方向での熱伝導を高める場合について説明する。
次に実施の形態2として、ガラス織布15の開口率を増加させ、伝熱プリプレグ11の厚み方向での熱伝導を高める場合について説明する。
図6は、開口率を増加させたガラス織布15を説明する図である。図6(A)(B)は、それぞれ開口率を高めたガラス織布15の断面図と上面図である。
図6(B)において、ガラス繊維12a、12bは、ガラス織布15を構成する横糸、縦糸に相当する。ここでガラス繊維12a、12bは共に複数本のガラス繊維12を束ねたものからなる。27は開口部である。開口部27は、ガラス繊維12a、12bの無い部分(図6(B)の長方形、あるいは四角形で図示した部分)であるが、開口部27は、図示した形状に限定する必要はない。なお図6(A)の矢印20で示した部分が、図6(B)の開口部27に相当する。
実施の形態2では、ガラス織布15に、図6(A)(B)に示すように積極的に開口部27を形成する。
なおガラス織布15における開口率は、25%以上50%以下が望ましい。開口率が25%未満の場合、伝熱プリプレグ11の厚み方向の熱伝導性(つまり開口部27を介した熱伝導)に影響を与える場合がある。また開口率が50%を超えた場合、伝熱プリプレグ11の引張り強度に影響を与える可能性がある。
ここで開口率とは、スクリーン印刷等に使われるスクリーンにおいて、オープニング率とも呼ばれる割合に相当する。この開口率は、ガラス織布15を投影した場合における、全体に対する開口部27の面積割合を百分率(単位は%)で表示したものである。
ガラス織布15(あるいはガラス不織布、なおガラス不織布は図示していない)の厚みは、10ミクロン以上300ミクロン以下が望ましい。ガラス織布15(ガラス不織布も含む)の厚みが10ミクロン未満の場合、伝熱プリプレグ11(あるいは伝熱プリプレグ11を硬化してなる伝熱プリント配線板26)の機械強度(例えば引張り強度等)に影響を与える可能性がある。ガラス織布15(あるいはガラス不織布)の厚みが300ミクロンを越えた場合、伝熱プリプレグ11の厚みが増加してしまうため、取り扱い性(例えば、捲回しにくい等)に影響を与える場合がある。
なおガラス織布15の代わりにガラス不織布を用いることで、その開口率を上げられるため、伝熱プリプレグ11の伝熱性を高められる。またガラス織布15を用いることで、伝熱プリプレグ11のXY方向での強度を上げる効果が得られるため、その寸法安定性、機械強度を高める効果が得られる。
更に伝熱プリプレグ11をXY方向に縮みにくくすることで、伝熱プリプレグ11のZ方向(厚み方向)を伸びにくくすることができる。この結果、プリント配線板のZ方向の信頼性(例えば、スルーホール部分の接続信頼性)を高める効果が得られる。これはZ方向の熱膨張が抑えられるためである。
またガラス織布15(ガラス不織布も含む)の開口率を高めることで、伝熱プリプレグ11のレーザやドリルによるビア孔の加工性を高める効果も得られる。
なお伝熱プリプレグ11の厚みは、20ミクロン以上500ミクロン未満が望ましい。伝熱プリプレグ11の厚みが20ミクロン未満の場合、伝熱プリプレグ11(あるいは伝熱プリプレグ11を硬化してなる伝熱プリント配線板26)の機械強度(例えば引張り強度等)に影響を与える可能性がある。また厚みが500ミクロンを超えた場合、取り扱い性(例えば、捲回しにくい等)に影響を与える場合がある。
図7は、開口率の高いガラス織布15に半硬化樹脂体13を形成した様子を説明する図である。図7(A)(B)は、それぞれ半硬化樹脂体13を形成した状態のガラス織布15の断面図と上面図である。
図7に示すように、開口率の高いガラス織布15の一部を、図3で説明したようにして半硬化樹脂体13で覆う。ここで必要最小限の半硬化樹脂体13を用いることで、図7(A)の矢印20aに示すように、その一部に半硬化樹脂体13が無い部分(いわゆる孔24の部分)を形成できる。
図7(B)は、開口部27の一部を半硬化樹脂体13で覆った様子を示す上面図である。図7(B)の孔24は、開口部27を埋める半硬化樹脂体13の無い部分を示す。必要に応じて、ガラス織布15に形成した開口部27全てに孔24を形成しても良い。この場合、図3で示す塗工工程において、設備19で示したロール間のギャップを狭くする、あるいは圧縮空気を吹き付ける等で対応できる。次に、図8を用いて、開口部27に形成した孔24を、コンポジット体14で埋める様子を説明する。
図8は、開口率の高いガラス織布15を用いて作製した伝熱プリプレグ11を説明する図である。図8(A)(B)は、それぞれ開口率の高いガラス織布15を用いて作製した伝熱プリプレグ11の断面図と上面図である。図8に示すように、開口部27に形成した孔24を、コンポジット体14で埋めることで、出来上がった伝熱プリプレグ11の厚み方向の伝熱性を高めることができる。なお開口部27を埋める半硬化樹脂体13の厚みを薄くすることでも、出来上がった伝熱プリプレグ11の厚み方向の伝熱性を高めることができることは言うまでもない。
このように、実施の形態2で説明する伝熱プリプレグ11は、ガラス繊維12に開口部27を積極的に形成し、この開口部27を用いて伝熱プリプレグ11の厚み方向での熱伝導率を高めることになる。
なおガラス織布15の厚みより、コンポジット体14の厚み相当分、伝熱プリプレグ11の厚みの方を厚くすることが望ましい。これは伝熱プリプレグ11の方を、ガラス織布15の厚みより厚くすることで、上付き樹脂(いわゆる、ガラス織布15の表面を覆う余分な半硬化樹脂体13)とするためである。そしてこのコンポジット体14からなる上付き樹脂を一定量確保することで、図5(A)(B)における内層パターンとなる銅箔22の厚みの吸収効果が得られる。この厚み吸収効果によって、図5(C)に示す伝熱プリント配線板26の表面に、凹凸が発生しにくくなる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3として、実施の形態1や2で用いた半硬化樹脂体13やコンポジット体14を構成する部材17について説明する。
次に、実施の形態3として、実施の形態1や2で用いた半硬化樹脂体13やコンポジット体14を構成する部材17について説明する。
コンポジット体14としては、エポキシ樹脂を主体とする熱硬化性樹脂に、熱伝導性を高める無機フィラー、伝熱プリント配線板26の柔軟性(あるいは割れにくさ)を高めるために、ゴム樹脂等を添加したものを使うことができる。
まず、ゴム樹脂を添加する場合について説明する。ここで、ゴム樹脂としては、NBR(ニトリルゴム)等を用いることができる。
ニトリルゴム(NBR)以外にも、ゴム樹脂としては水素化ニトリルゴム(HNBR)、ふっ素ゴム(FKM、FFKM)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(VMQ、FVMQ)、ウレタンゴム(AU、EU)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ノルボルネンゴム(NOR)、熱可塑性エラストマー(TPE)等から一つ以上を選ぶことができる。
またこれらのゴム樹脂は、微粒子状で添加しても良い。微粒子状で添加することで、少ない添加量で、機械的強度を向上させる効果が得られる。これは微粒子で添加することで、エポキシ樹脂とゴム樹脂との界面が増加するためと考えられる。なおゴム樹脂の粒径は0.1ミクロン以上10ミクロン以下(望ましくは1ミクロン以下)が望ましい。粒径が0.1ミクロン未満のゴム樹脂は特殊で高価な場合がある。また粒径が10ミクロンを超えると、伝熱プリプレグ11の薄層化に影響を与える場合がある。
次に熱可塑性樹脂を添加する場合について説明する。ゴム樹脂の代わりに、熱可塑性樹脂を添加しても良い。例えばコンポジット体14として、エポキシ樹脂を主体とする熱硬化性樹脂に、熱伝導性を高めるための無機フィラー、プリント配線板としての成形性を高めるために、熱可塑性樹脂を添加することができる。なお熱可塑性樹脂のTg(Tgはガラス転移温度)は130℃以下の熱可塑性樹脂を添加したものを使うことができる。また半導体の使用上限温度が125℃であるため、125℃を超える必要が無い。そのためTgを125℃以下(バラツキを考慮すると130℃以下)とすることで、それ以下の温度でプリント配線板に一定の柔軟性(あるいは丈夫さ、耐衝撃性)を与えられる。なおプリント配線板(あるいは伝熱プリプレグ11)の長期の保存性を考えた場合、熱可塑性樹脂のTgは50℃以上にすることも可能である。
なおゴム樹脂同様に熱可塑性樹脂も、微粒子状態として、エポキシ樹脂等にて添加しても良い。こうすることで、少量でも機械的強度の改善効果が得られる。またゴム樹脂、熱可塑性樹脂の併用、更には他の微粒子系の樹脂(例えば、コアシェル構造の微粒子、あるいはアクリレート系共重合体、PMMA等の微粒子)を添加しても、同様な機械的強度の改善効果が得られる。
更に熱可塑性樹脂の一種であるアクリル系樹脂を微粒子形状とし、これを効力緩和剤、複合材料強化材の用途のため添加することもできる。この場合も、その粒径は0.1ミクロン以上10ミクロン以下(望ましくは5ミクロン以下、更には1ミクロン以下)が望ましい。粒径が0.1ミクロン未満のものは、エポキシ樹脂中への分散が難しい場合がある。また粒径が10ミクロンを超えると、伝熱性や成形性に影響を与える場合がある。なおアクリル系の樹脂は、熱可塑性の樹脂である。また熱可塑性の樹脂を、微粒子状態で添加する場合、これら樹脂の添加量を減らすことができる。これは、微粒子で添加することで、主成分となるエポキシ樹脂等との界面が増加するためである。
なおこれらゴム樹脂、熱可塑性樹脂、あるいはこれらの微粒子の添加による柔軟性の改善は、エポキシ樹脂の硬化後(例えば、伝熱プリント配線板26の状態)のみならず、エポキシ樹脂の半硬化状態(例えば、伝熱プリプレグ11の状態)でも発現できる。その結果、伝熱プリプレグ11の柔軟性を大幅に改善できる。
また発明者らの実験では、これらゴム樹脂、熱可塑性樹脂、あるいはこれらの微粒子の添加によって、柔軟性の改善のみならず、耐白化性(白化とは、例えばガラス繊維12と、半硬化樹脂体13や硬化済の樹脂部分との剥離を言う)を高める効果も得られることが判った。これは、無機フィラーを添加したことによるガラス繊維12と樹脂部分との接着力への影響や熱膨張係数の変化に対して、添加したゴム樹脂、熱可塑性樹脂、あるいはこれら樹脂材料を添加することで接着強化あるいは応力緩和等の効力があったためと思われる。その結果、実施の形態2等で提案する伝熱プリプレグ11を複数枚積層、硬化する場合に、例え積層条件等に色々な変動が発生した場合であっても白化の抑制効果が得られる。
なおエポキシ樹脂の内、60重量%以上100重量%以下を結晶性エポキシ樹脂とすることで、樹脂部分での熱伝導率を高めることができる。結晶性エポキシ樹脂の、エポキシ樹脂全体に占める割合が60重量%未満の場合、結晶性エポキシ樹脂の添加効果が得られない場合がある。またエポキシ樹脂全てを(あるいは100重量%を)結晶性エポキシとすることで、熱伝導を高められる。また硬化後の結晶性エポキシ樹脂は、場合によっては割れやすくなる場合があるが、ゴム樹脂や熱可塑性樹脂等を添加することで、割れにくくできる。なおこれらを微粒子として添加することで、熱伝導に対する影響を抑えられる。
(化1)は、結晶性エポキシ樹脂の一例を示す構造式である。
(化1)において、結晶性エポキシ樹脂の構造式におけるXは、S(硫黄)もしくはO(酸素)、C(炭素)、なし(短結合)である。またR1、R2、R3、R4はCH3、H、t−Bu等である。またR1〜R4は同じであっても良い。
(化2)は、結晶性エポキシ樹脂の硬化に用いる硬化剤の構造図である。
(化2)の構造式においてXは、S(硫黄)、O(酸素)もしくは短結合である。(化1)の主剤と、(化2)の硬化剤を混合し、重合させたものも結晶性エポキシ樹脂と呼んでもよい。
なお主剤と硬化剤の割合は、エポキシ当量から計算する。また硬化剤として(化2)以外の硬化剤を使っても良い。なお結晶性エポキシ樹脂としては、以下の(化3)〜(化8)に示したものも使うことができる。
(化3)〜(化8)は、共に結晶性エポキシ樹脂の一例を示す構造図である。このような結晶性エポキシ樹脂は、融点が50〜121℃程度で、更に溶解粘度も低い(例えば、150℃における粘度は6〜20mPa・s)ため、無機フィラーを混合、分散させやすい効果が得られる。なおこれら結晶性エポキシ樹脂の重合度は20以下(更に10以下、望ましくは5以下)が適当である。重合度が20より大きい場合、分子が大きくなりすぎて結晶化しにくくなる場合がある。
なお結晶性エポキシ樹脂を用いた場合、ここに添加する熱可塑性樹脂にフェニル基を有したものを用いることで、その熱伝導率と機械的強度の両方を向上させることができる。次に、熱可塑性樹脂にフェニル基を有したものを添加する効果について説明する。
結晶性エポキシ樹脂(フェニル基を有するものが望ましい)に、同じフェニル基を有した熱可塑性樹脂を添加することで、結晶性エポキシの結晶性を保持しながら、その柔軟性を高めることができる。ここでフェニル基を有した熱可塑性樹脂としては、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PES(ポリエーテルスルホン)等のフェニル基を主鎖に含んだ熱可塑性樹脂を用いることができる。こうした熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂に添加しても、熱伝導性に影響を与えにくい。またこうした熱可塑性樹脂を添加することで、出来上がった伝熱プリント配線板26の強度(例えば割れにくさ)を高める効果が得られる。
次にゴム樹脂や、熱可塑性樹脂等と、エポキシ樹脂の比率について説明する。全樹脂に対して、ゴム樹脂や熱可塑性樹脂のいずれか一方だけの添加量は、1重量%以上10重量%以下の範囲内とすることが望ましい。ゴム樹脂や熱可塑性樹脂のいずれか一方だけの添加量が、全樹脂に対して1重量%未満の場合、添加効果が得られない場合がある。またゴム樹脂や熱可塑性樹脂のいずれか一方だけの添加量が、10重量%を超えると、エポキシ樹脂の割合が低下するため、出来上がった伝熱プリント配線板26の熱伝導率が影響を受ける可能性がある。
なおこれら部材を、微粒子として添加することで、添加量を減らすことができる。この場合、ゴム樹脂や熱可塑性樹脂のいずれか一方だけの添加量の加減を、0.5重量%以上とすることができる。0.5重量%未満の場合、微粒子として添加してもその効果が得られない場合がある。なおゴム樹脂と、熱可塑性樹脂の両方を組み合わせることも可能である。
なお無機フィラーと全樹脂(ここで全樹脂とは、ゴム樹脂や熱可塑性樹脂、結晶性エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、硬化剤等の合計の意味である)の比率において、無機フィラーは50〜95体積%(つまり残りの全樹脂は50〜5体積%)の範囲内が望ましい。無機フィラーの割合が50体積%未満の場合、出来上がった伝熱プリント配線板26の熱伝導率が低下する場合がある。また無機フィラーの割合が95体積%より大きくなると、プリント配線板としての積層性、孔加工性等に影響を与える場合がある。
また無機フィラーの平均粒径は、0.01μm以上50μm以下の範囲が望ましい。平均粒径が小さいほど比表面積が増えるため、放熱面積が増え、放射効率が高まるが、平均粒径が0.01μm以下になると、比表面積が大きくなり、コンポジット体14の混練が難しくなる。また50μmを超えると、ガラス織布15に形成した開口部27への充填が難しくなる。
なお無機フィラーの充填率を増加するために、異なる粒度分布を有する複数種の無機フィラーを選び、これらを混合して使用しても良い。
次に実施の形態3として、実施の形態1〜2で作製した伝熱プリント配線板26の測定結果の一例について説明する。
(実施の形態4)
実施の形態4では、実施の形態1〜3で作製した伝熱プリント配線板26の特性等について測定した結果の一例を説明する。
実施の形態4では、実施の形態1〜3で作製した伝熱プリント配線板26の特性等について測定した結果の一例を説明する。
(実験1)
実験1としてガラス織布15の開口率と、熱伝導の関係について調べた結果を、表1、表2に示す。表1は従来のガラス織布15(IPC名称2116、縦糸60本/インチ、横糸58本/インチ、フィラメントE225、フィラメント直径約7ミクロン、フィラメント数約200本)に対して、樹脂分比率(単位は体積%)を変化させて作製したプリプレグの硬化後の熱伝導率の測定結果の一例である。
実験1としてガラス織布15の開口率と、熱伝導の関係について調べた結果を、表1、表2に示す。表1は従来のガラス織布15(IPC名称2116、縦糸60本/インチ、横糸58本/インチ、フィラメントE225、フィラメント直径約7ミクロン、フィラメント数約200本)に対して、樹脂分比率(単位は体積%)を変化させて作製したプリプレグの硬化後の熱伝導率の測定結果の一例である。
表1より、従来のガラス織布15を用いた場合、ガラス織布15を覆う半硬化樹脂体13の樹脂分比率を高くするほど、出来上がった(あるいは硬化後の)プリプレグの熱伝導率が高くなることが判る。
表2は、実施の形態で用いたガラス織布15を用いた場合の熱伝導率の測定結果の一例である。表2は、従来のガラス織布15(IPC名称2116)が、プレス時にずれないように第2の半硬化樹脂(Bステージ状態のエポキシ樹脂を使用した)で固定したものを用いた。なおガラス織布15を浸漬する第2の樹脂は、必要最小限とし、ガラス織布15の一部が表面に露出するように(あるいはガラス織布15の織り目からなる凹凸が表面に残るように)した。こうすることで、第2の樹脂の薄層化と、積層時のガラス織布15の広がりによる開口率の減少を防止した。
表1と表2を比較すると、樹脂分比率が低い場合でも、高開口率のガラス織布15を用いることで、熱伝導率を高められることが判る。更に、樹脂分比率を50体積%から60体積%、70体積%、80体積%と高くすることで、熱伝導率を高くできることが判る。
これは本発明のガラス織布15(同じIPC名称の織り方であっても、使用するフィラメント直径を細くすることで、その分開口率を高めたもの)の場合、高開口率化の硬化が得られたものと思われる。
(実験2)
実験2として、伝熱プリプレグ11を用いた伝熱プリント配線板26の強度を測定した結果を示す。伝熱プリプレグ11を用いて伝熱プリント配線板26を作製する場合、プリント配線板として要求される一定の物理的強度(例えば、曲げに対する強度)が必要となる。これらの強度等の評価であるが、ガラス織布15にコンポジット体14を含浸させた状態で特性を評価すると、ガラス織布15の影響が大きく、伝熱プリプレグ11自体、あるいはこれを硬化してなる伝熱プリント配線板26の単体での特性(割れにくさ、欠けにくさ、耐力等)の評価が難しい場合がある。そこで実験1としてガラス織布15を用いない半硬化樹脂体13部分だけについて、積層、硬化し実験2として評価した。
実験2として、伝熱プリプレグ11を用いた伝熱プリント配線板26の強度を測定した結果を示す。伝熱プリプレグ11を用いて伝熱プリント配線板26を作製する場合、プリント配線板として要求される一定の物理的強度(例えば、曲げに対する強度)が必要となる。これらの強度等の評価であるが、ガラス織布15にコンポジット体14を含浸させた状態で特性を評価すると、ガラス織布15の影響が大きく、伝熱プリプレグ11自体、あるいはこれを硬化してなる伝熱プリント配線板26の単体での特性(割れにくさ、欠けにくさ、耐力等)の評価が難しい場合がある。そこで実験1としてガラス織布15を用いない半硬化樹脂体13部分だけについて、積層、硬化し実験2として評価した。
なおガラス織布15(不織布も含む)にコンポジット体14を含浸させ、半硬化樹脂体13とすることで、伝熱プリプレグ11やこれを硬化してなる伝熱プリント配線板26等が高強度化することは言うまでもない。
結晶性エポキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン製「YL6121H」、東都化学製「YSLV−80XY」、硬化剤として、4−4ジアミノビフェニルエーテル、4−4,ジハイドロキシビフェニルを選び、ここに熱可塑性樹脂やゴム樹脂を添加し、これを所定の溶剤に溶解しコンポジット体14とした。
図9は、曲げ強度の評価方法の一例を示す模式図である。図9において、28は治具である。図9において、治具28の間に伝熱プリント配線板26をセットし、矢印20で示す方向に治具28を用いて、伝熱プリント配線板26を曲げる。発明者らの実験では、従来品では1〜2mm曲げた時点で折れた(割れた)。一方、本発明の伝熱プリント配線板26では、4〜5mm曲げても折れなかった。なお試料サイズ(伝熱プリント配線板)は、40mm×4mm×t2mmである。
以上のようにして、硬化後の熱伝導率が0.5W/(m・K)以上20W/(m・K)以下となる伝熱プリプレグ11であって、この伝熱プリプレグ11は、ガラス織布15または不織布と、その一部を露出するように含浸した第2の半硬化樹脂体13(または硬化樹脂体)と、これらを覆うコンポジット体14とからなり、前記コンポジット体は、第1の半硬化樹脂と、この樹脂中に分散した無機フィラーとからなる伝熱プリプレグ11を提供することで、放熱性に優れた伝熱プリント配線板26を安価に提供できる。
硬化後の熱伝導率が0.5W/(m・K)以上20W/(m・K)以下となる伝熱プリプレグ11であって、この伝熱プリプレグ11は、ガラス織布15または不織布と、このガラス織布15または不織布からなる凹凸を表面に残すように含浸した第2の半硬化樹脂体13(または硬化樹脂体)と、これらを覆うコンポジット体14とからなり、前記コンポジット体は、第1の半硬化樹脂と、この樹脂中に分散した無機フィラーとからなる伝熱プリプレグ11を提供することで、放熱性に優れた伝熱プリント配線板26を安価に提供できる。
ガラス織布15または不織布は、結晶化ガラス繊維、石英ガラス繊維、強化ガラス繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維のいずれか一つ以上の繊維からなる伝熱プリプレグ11とすることで、ガラス織布15の開口率を高めた場合でも、その強度を保てる。
第2の樹脂は、半硬化状態または硬化状態のエポキシ樹脂である伝熱プリプレグ11を提供することで、積層によるガラス織布15の開口率への影響を防止できるため放熱性に優れた伝熱プリント配線板26を安価に提供できる。
コンポジット体14は、少なくとも半硬化状態のエポキシ樹脂と、その中に分散されたアルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、炭素、酸化マグネシウム、ジルコン珪酸塩から選ばれた少なくとも1種類以上からなる無機フィラーとからなる伝熱プリプレグ11とすることで、伝熱プリント配線板26の熱伝導率を高められると共に、その強度を高められる。
コンポジット体14は、少なくとも半硬化状態のエポキシ樹脂と、ゴム樹脂と、その中に分散されたアルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、炭素、酸化マグネシウム、ジルコン珪酸塩から選ばれた少なくとも1種類以上からなる無機フィラーとからなる伝熱プリプレグ11とすることで、伝熱プリント配線板26の熱伝導率を高められると共に、その強度を高められる。
エポキシ樹脂の内、60重量%以上100重量%以下は、結晶性エポキシ樹脂である伝熱プリプレグ11とすることで、プリント配線板の熱伝導率を高められる。
結晶性エポキシ樹脂の重合度は20以下である伝熱プリプレグ11とすることで、伝熱プリント配線板26の熱伝導率を高められる。
硬化後の熱伝導率が0.5W/(m・K)以上20W/(m・K)以下となる、少なくとも樹脂と、その中に分散された無機フィラーとからなる部材17を用意する工程と、前記部材17を、ガラス織布15または不織布と、その一部を含浸する半硬化樹脂体13(または硬化樹脂体)とからなるシートの表面に塗布する工程と、前記部材17を半硬化状態とする工程とを有する伝熱プリプレグ11の製造方法とすることで、放熱性に優れた伝熱プリント配線板26を安価に製造できる。
硬化後の熱伝導率が0.5W/(m・K)以上20W/(m・K)以下となる伝熱プリプレグ11と、銅箔22とを複数枚積層し硬化してなる伝熱プリント配線板26であって、前記伝熱プリプレグ11は、ガラス織布15または不織布と、その一部を露出するように含浸した半硬化樹脂体13(または硬化樹脂体)と、これらを覆うコンポジット体14とからなる伝熱プリント配線板26を提供することで、携帯電話、プラズマテレビ、電装品、産業用の放熱が要求される機器の小型化、高性能化を実現できる。
以上のように、本発明にかかる伝熱プリプレグ11及びその製造方法とこれを用いた伝熱プリント配線板を用いることによって、携帯電話、プラズマテレビ、あるいは電装品、あるいは産業用等の放熱が要求される機器の小型化、高性能化が可能となる。
11 伝熱プリプレグ
12 ガラス繊維
13 半硬化樹脂体
14 コンポジット体
15 ガラス織布
16 露出部
17 部材
18 槽
19 設備
20 矢印
21 プレス
22 銅箔
23 積層体
24 孔
25 銅メッキ部
26 伝熱プリント配線板
27 開口部
28 治具
12 ガラス繊維
13 半硬化樹脂体
14 コンポジット体
15 ガラス織布
16 露出部
17 部材
18 槽
19 設備
20 矢印
21 プレス
22 銅箔
23 積層体
24 孔
25 銅メッキ部
26 伝熱プリント配線板
27 開口部
28 治具
Claims (10)
- 硬化後の熱伝導率が0.5W/(m・K)以上20W/(m・K)以下となる伝熱プリプレグであって、この伝熱プリプレグは、
ガラス織布または不織布と、その一部を露出するように含浸した第2の半硬化または硬化樹脂体と、これらを覆うコンポジット体と、からなり、
前記コンポジット体は、第1の半硬化樹脂と、この樹脂中に分散した無機フィラーと、からなる伝熱プリプレグ。 - 硬化後の熱伝導率が0.5W/(m・K)以上20W/(m・K)以下となる伝熱プリプレグであって、この伝熱プリプレグは、
ガラス織布または不織布と、このガラス織布または不織布からなる凹凸を表面に残すように含浸した第2の半硬化または硬化樹脂体と、これらを覆うコンポジット体と、からなり、
前記コンポジット体は、第1の半硬化樹脂と、この樹脂中に分散した無機フィラーと、からなる伝熱プリプレグ。 - ガラス織布または不織布は、結晶化ガラス繊維、石英ガラス繊維、強化ガラス繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維のいずれか一つ以上の繊維からなる請求項1もしくは2のいずれか一つに記載の伝熱プリプレグ。
- 第2の樹脂は、半硬化状態または硬化状態のエポキシ樹脂である請求項1もしくは2のいずれか一つに記載の伝熱プリプレグ。
- コンポジット体は、少なくとも半硬化状態のエポキシ樹脂と、
その中に分散されたアルミナ、窒化アルミ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、炭素、酸化マグネシウム、ジルコン珪酸塩から選ばれた少なくとも1種類以上からなる無機フィラーと、からな請求項1もしくは2のいずれか一つに記載の伝熱プリプレグ。 - エポキシ樹脂の内、60重量%以上100重量%以下は、結晶性エポキシ樹脂である請求項4〜5のいずれか一つに記載の伝熱プリプレグ。
- 結晶性エポキシ樹脂の重合度は20以下である請求項6または7のいずれか一つに記載の伝熱プリプレグ。
- 硬化後の熱伝導率が0.5W/(m・K)以上20W/(m・K)以下となる、少なくとも樹脂と、その中に分散された無機フィラーとからなる部材を用意する工程と、
前記部材を、ガラス織布または不織布と、その一部を含浸する半硬化または硬化樹脂体と、からなるシートの表面に塗布する工程と、
前記部材を半硬化状態とする工程と、
を有する伝熱プリプレグの製造方法。 - 硬化後の熱伝導率が0.5W/(m・K)以上20W/(m・K)以下となる伝熱プリプレグと、
銅箔と、
を複数枚積層し硬化してなる伝熱プリント配線板であって、
前記伝熱プリプレグは、
ガラス織布または不織布と、その一部を露出するように含浸した半硬化または硬化樹脂体と、これらを覆うコンポジット体と、
からなる伝熱プリント配線板。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012091322A (ja) * | 2010-10-25 | 2012-05-17 | Panasonic Corp | 高熱伝導性積層板 |
CN116723640A (zh) * | 2023-08-10 | 2023-09-08 | 四川超声印制板有限公司 | 一种多层pcb板盲孔打孔方法 |
-
2007
- 2007-07-13 JP JP2007183977A patent/JP2009019152A/ja active Pending
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