JP2009016005A - 対物レンズアクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】対物レンズアクチュエータの周波数特性を向上し、対物レンズを安定して動作させることが可能な対物レンズアクチュエータを提供する。
【解決手段】対物レンズアクチュエータ50は、ベース1と、レンズホルダ2と、レンズホルダ2を片持ち状態で支持するワイヤ9a〜9fと、を備える。ベース1上には、ワイヤ9a〜9fを挿通する挿通孔10a、10bを有し、挿通孔10a、10bに第1の減衰材を保持するゲルボックス7が設けられる。レンズホルダ2には、ワイヤ9a〜9fの一方の端部が固定される中継基板13a、13bが設けられ、中継基板13a、13bはスリット14を有する。また、レンズホルダ2には、ワイヤ9a〜9fを挿通し、第2の減衰材を保持する減衰材保持部15a、15bが設けられる。中継基板13a、13bと減衰材保持部15a、15bとは分離されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ディスクの情報の再生や光ディスクへの情報の記録を行う光ディスク装置が備える対物レンズアクチュエータに関する。
コンパクトディスク(以下、CDという。)やデジタル多用途ディスク(以下、DVDという。)といった光ディスクが普及している。更に、最近では、光ディスクの情報量を更に増やすために光ディスクの高密度化に関する研究が進められ、例えば、高品位のDVDであるHD−DVDやブルーレイディスク(以下、BDという。)といった高密度化された光ディスクも実用化されてきている。このような光ディスクの情報の再生や光ディスクへの情報の記録は光ディスク装置によって行われる。
ところで、光ディスク装置によって光ディスクの再生や記録を行う場合、光ディスクの面振れ等によらず、光源から出射される光ビームの焦点が常に光ディスクの記録面に合うように調整(フォーカシング調整)する必要がある。また、光源から出射されたレーザ光が光ディスクの記録面に形成するビームスポットが、光ディスクに形成されるトラックに追従するように調整(トラッキング調整)する必要がある。
このようなフォーカシング調整やトラッキング調整を行えるように、光ディスク装置は対物レンズアクチュエータを備えている。対物レンズアクチュエータは、対物レンズを少なくともフォーカス方向とトラッキング方向とに移動可能とする。なお、フォーカス方向とは、対物レンズの光軸方向と平行な方向である。また、トラッキング方向とは、光ディスクの半径方向と平行な方向である。
従来の対物レンズアクチュエータについて、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、従来の対物レンズアクチュエータ100の構成を示す概略斜視図である。また、図5は、従来の対物レンズアクチュエータ100の構成を示す分解斜視図である。
1は、ベースであり、強磁性を有する金属からなる。ベース1には、そのほぼ中央に光ビームを通過させる貫通孔1aが形成されている。そして、この貫通孔1aの上に、その詳細は後述するレンズホルダ2が配置される。また、ベース1上には、レンズホルダ2を挟むように所定間隔をあけて対向配置される一対の永久磁石3a、3bが立設されている。
永久磁石3a、3bは、同一の極(N極又はS極)が向かい合うように配置される。また、永久磁石3a、3bは、それぞれの外面がベース1から折曲形成されたヨーク1b、1cに着磁された状態となっている。
レンズホルダ2には、光ビームが通過できるように光路孔が形成されている。そして、この光路孔の上部側には対物レンズ4を保持する対物レンズ保持部2aが形成されている。レンズホルダ2の内側の側壁には、レンズホルダ2に保持される対物レンズ4の光軸を取り巻くようにフォーカスコイル5が設けられ、レンズホルダ2に対して接着剤等で固着されている。
また、レンズホルダ2の側壁のうち、永久磁石3a、3bと対向する両側壁の外側には、それぞれ左右に一対ずつ並ぶようにトラッキングコイル6a、6b及びトラッキングコイル6c、6dが設けられている。また、トラッキングコイル6a及びトラッキングコイル6c、並びに、トラッキングコイル6b及びトラッキングコイル6dは、それぞれ対称位置に配置されている。トラッキングコイル6a〜6dは、レンズホルダ2に対して接着剤等で固着されている。なお、4つのトラッキングコイル6a〜6dは、全体として1本の線で繋がっている。
ベース1上には、2つの永久磁石3a、3bうち、一方の永久磁石3bが磁着されたヨーク1cの外面側に、ポリカーボネート等の樹脂成型品から成るゲルボックス7が固定される。また、ベース1上には、ゲルボックス7の外側に隣接して回路基板8が立設されている。
この回路基板8には、左右両側において、それぞれ上下方向に3箇所ずつ、導電性を有するワイヤ9a、9b、9c、9d、9e、9fの各一端がハンダ付けにて接続されている。ワイヤ9a〜9c及びワイヤ9d〜9fは、それぞれゲルボックス7に形成された挿通孔10a、10bを挿通している。
ワイヤ9a〜9cの他端は、レンズホルダ2の側壁に設けられる中継基板11aに半田付けにて固着されている。また、ワイヤ9d〜9fの他端は、レンズホルダ2の側壁に設けられる中継基板11bにハンダ付けにて固着されている。そして、これにより、レンズホルダ2は、ワイヤ9a〜9fによってベース1に対して揺動可能に支持された状態となっている。
なお、中継基板11a、11bには、配線パターンが形成されており、ワイヤ9a及びワイヤ9dは、中継基板11a、11bを介してフォーカスコイル5と電気的に接続された状態となっている。また、ワイヤ9c及びワイヤ9fは、中継基板11a、11bを介してトラッキングコイル6a〜6dと電気的に接続された状態となっている。
また、ゲルボックス7の各挿通孔10a、10b内には、シリコンを主成分とするゲル材が充填されている。ここでゲル材は、低粘度のゲル材(ゾル)がゲルボックス7の各挿通孔10a、10bに注入された後、所定時間の紫外線照射によってゲル状に硬化したものである。
このように構成される対物レンズアクチュエータ100の作用について簡単に説明しておく。回路基板8からワイヤ9a、9dを通じてフォーカスコイル5に電流が供給されると、永久磁石3a、3bによって形成される磁界との電磁気的な作用により、レンズホルダ2はフォーカス方向に変位可能となる。このため、フォーカスコイル5に供給する電流の大きさ及び向きを調整することでフォーカシング調整が可能となる。
また、回路基板8からワイヤ9c、9fを通じてトラッキングコイル6a〜6dに電流が供給されると、永久磁石3a、3bによって形成される磁界との電磁気的な作用により、レンズホルダ2は、トラッキング方向に変位可能となる。このため、トラッキングコイル6a〜6dに供給する電流の大きさ及び向きを調整することでトラッキング調整が可能となる。
従来の対物レンズアクチュエータ100は以上のように構成されるが、次に、このようなワイヤ支持方式の対物レンズアクチュエータの周波数特性について説明する。図6は、対物レンズアクチュエータの周波数特性について説明するための説明図である。図6に示すように、対物レンズアクチュエータは1次共振周波数f0で応答変位が非常に大きくなる。しかし、このオーバシュート量が大きすぎると不都合が生じる。このため、従来の対物レンズアクチュエータ100においては、ゲルボックス7にゲル材(減衰材)を充填して、このオーバシュート量を低減(1次共振を抑制)している。
また、1次共振周波数f0より高い周波数(例えば、1kHz〜5kHz程度の間)において、図6に示すように応答変位が乱れる部分がある。これは、ワイヤの長手方向への振動が原因となって、ピッチング共振及びヨーイング共振(図6においては、まとめてワイヤ共振と表現している)を発生することによる。なお、ピッチング共振とは、トラッキング方向と平行な軸周り方向に発生する共振モードである。また、ヨーイング共振とは、フォーカス方向と平行な軸周り方向に発生する共振モードである。
このため、従来の対物レンズアクチュエータ100においては、ゲルボックス7に充填するゲル材について、1次共振の抑制と、高周波数領域で起こるピッチング共振及びヨーイング共振の抑制と、の両方を実現できるように選択する必要があった。しかし、必ずしも適当なゲル材がなく、対物レンズアクチュエータの周波数特性について問題を生じていた。
この点、特許文献1には、基板(上述の回路基板8が相当)とサスペンションホルダ(上述のゲルボックス7が相当)の間に隙間を設け、この隙間に第1のシリコン系ダンピング材を配置し、サスペンションホルダの内部にサスペンション(上述のワイヤが相当)を被うように第2のシリコン系ダンピング材が注入された光ピックアップの対物レンズ駆動ユニットが提案されている。そして、第1のシリコン系ダンピング材と第2のシリコン系ダンピング材とは互いに硬度が異なる材料(硬度;第1のシリコン系ダンピング材>第2のシリコン系ダンピング材)で、前者は500〜5kHz程度の比較的高い周波数帯域で、後者は数10〜500Hz程度の比較的低い周波数帯域で最もダンピング効果を持つ。このため、特許文献1の対物レンズ駆動ユニットにおいては、上述の1次共振と、高周波数領域で起こるピッチング共振及びヨーイング共振と、を抑制することが可能となる。
また、特許文献2には、比較的高い周波数帯域で発生するピッチング共振、ヨーイング共振をダンピングする技術が示されている。これによると、サスペンションホルダに支持アームを一体に成形し、支持アームの剛性が小さくなるようにしてサスペンション部材の伸縮挙動を吸収し、ダンピング効果を得るようにしている。
また、特許文献3にも、1次共振、ピッチング共振及びヨーイング共振を抑制できる対物レンズ駆動装置の支持構造が提案されている。これによれば、可動部(上述のレンズホルダ2が相当)に基板取付部が形成され、基板取付部の取付面に基板が面接合され、この基板には配線パターンとランド部が形成され、ランド部の中央部にはワイヤバネが挿入される中心穴が形成されている。また、基板取付部には、取付面とこれに対向する対向面との間を貫通して前述の中心穴と略同じ中心線上に位置する挿通穴が形成され、挿通穴にはワイヤバネが挿通されている。挿通穴は、その内径寸法がランド部の外形寸法より大きく形成され、挿通穴内には粘弾性材が充填され、この粘弾性材が基板に当接されている。
そして、この構成によれば、粘弾性材がワイヤバネに生じた撓みを吸収することにより、可動部の1次共振を抑制できるとしている。また、ワイヤバネが軸方向(長手方向)へ振動した時に基板におけるランド部及びその周囲の部分がワイヤバネと共に振動し、ワイヤバネの軸方向の剛性が小さくなり、ピッチング共振、ヨーイング共振を抑制できるとしている。更に、ワイヤバネと共に基板がワイヤバネの軸方向へ振動した時に、粘弾性材より基板の振動が吸収され、ワイヤバネの軸方向への振動が原因となってピッチング共振やヨーイング共振が発生しても、そのピーク値が小さくなり、安定したフォーカシング制御及びトラッキング制御を行えるとしている。
特開2002−367202号公報 特開2005−63496号公報 特開2000−315329号公報
しかしながら、特許文献1の対物レンズ駆動ユニットの場合、高周波数帯域で問題となるピッチング共振やヨーイング共振を、減衰材のみを用いて抑制する構成であり、ピッチング共振及びヨーイング共振を十分に抑制することができない。これは、ワイヤ(棒状弾性支持部材)の長手方向の振動が原因となって発生するピッチング共振やヨーイング共振を抑制しようとする場合には、特許文献2に示されるように、機械的にワイヤの伸縮挙動を吸収する構成が存在するのが好ましいことによる。
一方、特許文献2に示される構成の場合には、ピッチング共振やヨーイング共振が発生するレンズホルダから離れた位置(サスペンションホルダ側)にワイヤの長手方向の振動を抑制する構成要素が設けられるために、レンズホルダへの振動の伝達を十分低下させることができない場合が起こり得る。
この点、特許文献3の構成の場合には、可動部側にワイヤの長手方向の振動を抑制する構成要素を配置する構成であるために、レンズホルダへの振動の伝達を低下させやすい。しかしながら、特許文献3に示される構成の場合、基板取付部と面接合される基板に設けられるランド部及びその周囲の部分がワイヤバネとともに振動することを利用して、ワイヤバネの軸方向の剛性を低下させて、ピッチング共振及びヨーイング共振を抑制する構成となっている。この場合、ランド部及びその周囲の部分を十分に変位させるのは困難であり、ワイヤバネの軸方向の剛性の低下を満足に得られない場合もあり得る。
以上の点に鑑み、本発明の目的は、対物レンズアクチュエータの周波数特性を向上し、対物レンズを安定して動作させることが可能な対物レンズアクチュエータを提供することである。
上記目的を達成するために本発明は、ベースと、対物レンズを保持し、前記ベースに対して揺動するレンズホルダと、一方の端部を前記ベースに対して固定状態にある第1の固定部に固定され、他方の端部を前記レンズホルダに設けられる第2の固定部に固定され、前記レンズホルダを片持ち状態で支持する棒状弾性支持部材と、を備える対物レンズアクチュエータにおいて、前記ベース上には、前記棒状弾性支持部材を挿通する挿通孔を有して該挿通孔に第1の減衰材を保持する第1の減衰材保持部が設けられ、前記第2の固定部は、変形して前記棒状弾性支持部材の長手方向と略平行な方向に変位可能に設けられ、前記レンズホルダには、前記棒状弾性支持部材を挿通し、前記第1の減衰材と異なる第2の減衰材を保持する第2の減衰材保持部が形成され、前記第2の固定部と前記第2の減衰材保持部とは分離されていることを特徴としている。
この構成によれば、異なる減衰材を有する2つの減衰材保持部が別々に設けられるために、減衰材の選択の幅が増えて、複数種類の共振の抑制を行い易い。また、レンズホルダには、棒状弾性支持部材の一方の端部を固定し、且つ棒状弾性支持部材の長手方向と略平行な方向に変位可能な固定部が形成されているために、棒状弾性支持部材の長手方向の振動を抑制しやすい。また、レンズホルダ側にも共振を抑制する構成を設ける構成であるために、レンズホルダへの振動の伝達を低減しやすい。
また、本発明は、上記構成の対物レンズアクチュエータにおいて、前記第2の減衰材は、前記第1の減衰材よりも高い周波数帯域で減衰効果を発揮する減衰材であることとしても良く、更には、前記第1の減衰材は、1次共振を減衰させるのに適する減衰材であって、前記第2の減衰材は、ピッチング共振及びヨーイング共振を減衰させるのに適する減衰材であることとしても良い。この構成によれば、従来、対物レンズアクチュエータにおいて問題となっている、1次共振と、1次共振よりも高周波数側で発生するピッチング共振及びヨーイング共振と、を適切に抑制できる。
また、本発明は、上記構成の対物レンズアクチュエータにおいて、前記第2の固定部は、少なくとも1つの切り込み部を有する基板であることとしても良い。これにより、棒状弾性支持部材と、レンズホルダを駆動するために設けられるコイルと、を電気的に接続する役割(中継基板としての機能)を有し、変形して棒状弾性支持部材の長手方向と略平行な方向に変位可能な第2の固定部を容易に得ることができる。
また、本発明は、上記構成の対物レンズアクチュエータにおいて、前記第2の固定部及び前記第2の減衰材保持部は、前記レンズホルダと一体的に形成されることとしても良い。この構成によれば、対物レンズアクチュエータを組立てる際の作業負担を低減可能である。
本発明によれば、対物レンズアクチュエータの周波数特性を向上し、対物レンズを安定して動作させることが可能な対物レンズアクチュエータを提供できる。
以下、本発明の対物レンズアクチュエータの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の対物レンズアクチュエータの構成を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態の対物レンズアクチュエータの構成を示す概略側面図である。なお、図2では、一部において、側面から見た場合に本来見えない部分を見えるように描いている。以下、この図1及び図2を参照しながら本実施形態の対物レンズアクチュエータ50について説明する。
なお、本実施形態の対物レンズアクチュエータ50は、一部の構成を除いて図4及び図5に示した従来の対物レンズアクチュエータ100と同様の構成を有する。このために、従来の対物レンズアクチュエータ100と同様の構成の部分については、同一の符号を付している。そして、従来と重複する部分については、特に必要がない場合は、その説明は省略する。
本実施形態の対物レンズアクチュエータ50は、それに発生する共振を抑制する構成において、従来の対物レンズアクチュエータ100と異なる。すなわち、本実施形態の対物レンズアクチュエータ50においては、レンズホルダ2側にも、対物レンズアクチュエータに発生する共振を抑制する構成が設けられており、この点について、従来の対物レンズアクチュエータ100と異なる。
レンズホルダ2に設けられる中継基板13a、13bには、従来の対物レンズアクチュエータ100の中継基板11a、11bの場合と同様に、それぞれワイヤ9a〜9c、ワイヤ9d〜9fの一方の端部が半田付けにて固着されている。なお、図1及び図2ではワイヤ9d〜9fについて示されていないが、図5に示す構成と同様である。
また、中継基板13a、13bには、配線パターン(図示せず)が形成されている。そして、これにより、回路基板8とレンズホルダ2に設けるコイル(フォーカスコイル5(図5参照)及びトラッキングコイル6a〜6d)とが電気的に接続されている。この点についても、従来の対物レンズアクチュエータ100の場合と同様である。
また、中継基板13a、13bには、ワイヤ9a〜9fが固着される位置に挟まれる部分に、図1に示すようなスリット(切り込み部)14が設けられている。本実施形態においては、中継基板13a、13bのそれぞれに固着されるワイヤの本数は3本ずつであり、スリット14の数は、各中継基板13a、13bに対して2つずつとなっている。このように中継基板13a、13bにスリット14か設けられる点は、従来の対物レンズアクチュエータ100が備える中継基板11a〜11bとは異なる。
ピッチング共振やヨーイング共振が生じた場合、ワイヤ9a〜9fはその長手方向(図2に矢印Aで示す方向)に伸縮する。この点、本実施形態の中継基板13a、13bはスリット14を有しており、ワイヤ9a〜9dの長手方向と略平行な方向に容易に変位できるようになっている。このために、各ワイヤ9a〜9fにおいて長手方向の伸縮が生じた場合においても、中継基板13a、13bが変位(変形)することによって、ワイヤ9a〜9fの伸縮の影響を積極的に緩和することができる。従って、レンズホルダ2に生じるピッチング共振やヨーイング共振を抑制することが可能となる。
中継基板13a、13bは、例えば液晶ポリマ(LCP)等によって形成されるレンズホルダ2と一体的に成形される。ただし、この構成に限定される趣旨ではなく、中継基板13a、13bとレンズホルダ2とを別の部材としても構わない。両者を別部材とする場合には、例えば、中継基板13a、13bをガラエポ(ガラス繊維を有するエポキシ樹脂)で形成し、LCP等で形成されるレンズホルダ2に中継基板13a、13bを取り付けるための嵌め込み部を設けて、この部分に中継基板13a、13bを取り付ける構成等とすれば良い。
なお、中継基板13a、13bは、変形し易いように、且つワイヤ9a〜9fの半田付け作業時に半田付けが行い難くならないように、その厚みを管理する必要がある。すなわち、中継基板13a、13bは、その厚みが厚く成りすぎず、一方で薄く成り過ぎないように注意する必要がある。本実施形態においては、その厚さを例えば0.2mmとしている。
レンズホルダ2には、中継基板13a、13bの横に減衰材保持部15a、15bが設けられている。減衰材保持部15a、15bは、それぞれ、レンズホルダ2から突出する略コの字状の部分と、レンズホルダ2のトラッキングコイル6a〜6dが固着されない側壁と、から成る。そして、コの字状の部分とレンズホルダ2の側壁との間に形成される空洞部16a、16bによって、減衰材の保持とともにワイヤ9a〜9fの挿通が可能となっている。
なお、レンズホルダ2から突出する略コの字状の部分については、本実施形態ではレンズホルダ2と一体的に形成している。ただし、レンズホルダ2とは別部材とし、略コの字状の部材をレンズホルダ2に接着する構成等としても良い。また、減衰材保持部15a、15bは、減衰材の保持及びワイヤ9a〜9fの挿通が可能な構成であれば良く、本実施形態の構成に限定されるものではない。
減衰材保持部15a、15bには、ゲルボックス7の挿通孔10a、10bに充填される第1の減衰材17とは異なる種類の第2の減衰材18が充填されている。本実施形態においては、第1の減衰材17は1次共振の抑制が可能となるように物性を合わせ込んだ減衰材とされ、第2の減衰材18は1次共振より高周波数で起こるピッチング共振及びヨーイング共振の抑制が可能となるように物性を合わせ込んだ減衰材とされている。例えば、第1の減衰材17も第2の減衰材18もシリコン系の減衰材から成るが、第1の減衰材17に比べ第2の減衰材18の方が硬質のものとされる。
なお、減衰材保持部15a、15bと中継基板13a、13bとの間には隙間が設けられており、両者は分離された状態となっている。これにより、中継基板13a、13bの変形が減衰材保持部15a、15bによって邪魔されることがない。
以上のように、本実施形態の対物レンズアクチュエータ50においては、1次共振を抑制する構成と、1次共振よりも高周波数側で発生するピッチング共振及びヨーイング共振を抑制する構成と、の両方を有する。このために、1次共振、ピッチング共振及びヨーイング共振を適切に抑制できる。また、ワイヤ9a〜9fの長手方向の振動が原因となって生じるピッチング共振及びヨーイング共振を抑制する構成をレンズホルダ2側に設けているために、レンズホルダ2への振動の伝達を低下させやすく、ピッチング共振及びヨーイング共振を効果的に抑制できる。
本発明は、以上に示した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、中継基板13a、13bの構成について、本実施形態の構成に限定される趣旨ではない。すなわち、本実施形態では、中継基板13a、13bは、図1に示すように、その長手方向(図2の上下方向が該当)の側面全体がレンズホルダ2の側壁とくっついた状態となっている。しかし、図3に示すように、中継基板13a、13bの長手方向の中央部近傍CKだけが、レンズホルダ2の側壁とくっついた状態となるように構成する等しても構わない。このように構成した場合には、中継基板13a、13bが更に変形し易くなり、対物レンズアクチュエータ50に発生する共振の抑制を行い易くなる。
なお、図3は、本実施形態の対物レンズアクチュエータ50が備える中継基板の変形例を示す図である。
また、中継基板13a、13bにスリット14を設けないで、中継基板13a、13bの厚みを薄くすることで、ワイヤ9a〜9dの長手方向と略平行な方向に変位可能とすることも可能である。この場合には、中継基板13a、13bをあまり薄くしすぎると、ワイヤの半田付け作業が行い難くなるので、その点の注意も要する。ただし、本実施形態のように中継基板にスリットを設ける構成の方が、各ワイヤの伸縮に合わせて中継基板13a、13bがワイヤの長手方向と略平行な方向に変位しやすいために好ましい。この意味で、中継基板13a、13bを各ワイヤについて独立に設ける構成とすることも可能である。
本実施形態では、レンズホルダ2を片側3本ずつの計6本のワイヤで支持する構成としたが、この数に限定される趣旨ではない。すなわち、片側2本ずつの計4本のワイヤでレンズホルダ2を支持する構成等しても良いし、更にワイヤの数を増やしても構わない。
また、本実施形態のようにレンズホルダ2を支持するワイヤの数が、片側3本とされる場合には、真ん中のワイヤについては第2の減衰材18を挿通しない構成としても構わない。例えば、減衰材保持部15a、15bに仕切りを設けて、3本のワイヤがそれぞれ異なる部屋を挿通するように構成し、上下の2本のワイヤが挿通される部屋には第2の減衰材18を充填し、真ん中のワイヤが挿通される部屋には第2の減衰材18を充填しないように構成すれば、真ん中のワイヤについては第2の減衰材18を挿通しない構成を実現できる。
その他、本発明は、レンズホルダをワイヤによって片持ち状態で支持する構成の対物レンズアクチュエータに広く適用可能であり、対物レンズアクチュエータが保持する対物レンズの数や、レンズホルダに取り付けられるコイルの数等、本実施形態の構成に限定されるものではない。
本発明によれば、対物レンズアクチュエータの周波数特性を向上することができ、対物レンズを安定して動作させることができる。このため、本発明の対物レンズアクチュエータを用いれば、光ディスク装置における再生や記録の品質を向上でき、本発明は有用である。
は、本実施形態の対物レンズアクチュエータの構成を示す概略斜視図である。 は、本実施形態の対物レンズアクチュエータの構成を示す概略側面図である。 は、本実施形態の対物レンズアクチュエータが備える中継基板の変形例を示す図である。 は、従来の対物レンズアクチュエータの構成を示す概略斜視図である。 は、従来の対物レンズアクチュエータの構成を示す分解斜視図である。 は、対物レンズアクチュエータの周波数特性について説明するための説明図である。
符号の説明
1 ベース
2 レンズホルダ
4 対物レンズ
7 ゲルボックス(第1の減衰材保持部)
8 回路基板(第1の固定部)
9a〜9f ワイヤ(棒状弾性支持部材)
10a、10b 挿通孔
13a、13b 中継基板(第2の固定部)
14 スリット(切り込み部)
15a、15b 減衰材保持部(第2の減衰材保持部)
17 第1の減衰材
18 第2の減衰材
50 対物レンズアクチュエータ

Claims (5)

  1. ベースと、
    対物レンズを保持し、前記ベースに対して揺動するレンズホルダと、
    一方の端部を前記ベースに対して固定状態にある第1の固定部に固定され、他方の端部を前記レンズホルダに設けられる第2の固定部に固定され、前記レンズホルダを片持ち状態で支持する棒状弾性支持部材と、
    を備える対物レンズアクチュエータにおいて、
    前記ベース上には、前記棒状弾性支持部材を挿通する挿通孔を有して該挿通孔に第1の減衰材を保持する第1の減衰材保持部が設けられ、
    前記第2の固定部は、変形して前記棒状弾性支持部材の長手方向と略平行な方向に変位可能に設けられ、
    前記レンズホルダには、前記棒状弾性支持部材を挿通し、前記第1の減衰材と異なる第2の減衰材を保持する第2の減衰材保持部が形成され、
    前記第2の固定部と前記第2の減衰材保持部とは分離されていることを特徴とする対物レンズアクチュエータ。
  2. 前記第2の減衰材は、前記第1の減衰材よりも高い周波数帯域で減衰効果を発揮する減衰材であることを特徴とする請求項1に記載の対物レンズアクチュエータ。
  3. 前記第1の減衰材は、1次共振を減衰させるのに適する減衰材であって、前記第2の減衰材は、ピッチング共振及びヨーイング共振を減衰させるのに適する減衰材であることを特徴とする請求項2に記載の対物レンズアクチュエータ。
  4. 前記第2の固定部は、少なくとも1つの切り込み部を有する基板であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の対物レンズアクチュエータ。
  5. 前記第2の固定部及び前記第2の減衰材保持部は、前記レンズホルダと一体的に形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の対物レンズアクチュエータ。
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