このようなプラグ装置を備えた継手装置では、継手体をプラグ装置の接続部に装着した状態ではプラグ装置の弁部材は開状態に保持され、継手体を取り外さなければ弁部材は閉状態にならない。このようなことから、長期不在時、外出時、就寝時などに、プラグ装置(ガスコンセント)の弁部材を閉状態にするために、継手体をプラグ装置から取り外すようにするガス使用者がいる。
この継手体にはキャップなどが付属され、ガス使用者が継手体をプラグ装置から取り外したときには、継手体のシール面に塵、埃などの異物が付着しないようにキャップを装着するように構成されている。しかし、ガス使用者によってはキャップを装着するのを忘れることがあり、このキャップの装着を忘れると、継手体のシール面に塵、埃などの異物が付着し、その後プラグ装置に継手体を装着したときにシール面に付着した異物によって確実なシールができなくなるおそれがある。
本発明の目的は、プラグ装置に継手体を装着した状態においてガス流路の開閉を行うことができる継手装置を提供することである。
本発明の請求項1に記載の継手装置は、接続部を有するプラグ装置と、前記プラグ装置の前記接続部に着脱自在に装着される継手体とから構成される継手装置であって、
前記継手体は、一端から他端まで延びる内部空間が設けられた筒状部材と、前記プラグ装置側に位置する第1の位置と前記第1の位置から後退する第2の位置との間を移動自在に前記筒状部材の前記内部空間に装着された作動部材とを備えており、
前記プラグ装置は、流体流路が設けられたプラグハウジングと、前記流体流路を閉塞する閉位置と前記流体流路を開放する開位置との間を移動自在に前記プラグハウジングに装着された弁部材とを備えており、
前記継手体を前記プラグ装置から離脱させた状態及び前記継手体を前記接続部に装着し且つ前記作動部材が前記第2の位置に位置する状態においては、前記プラグ装置の前記弁部材は前記閉位置に保持され、前記継手体を前記プラグ装置の前記接続部に接続した状態において前記作動部材を前記第2の位置から前記第1の位置に移動させると、前記作動部材が前記弁部材に作用して前記弁部材が前記開位置に保持されることを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の継手装置では、前記継手体には、更に、第1ロック手段及び第1ロック解除手段が設けられ、前記第1ロック手段は前記筒状部材の一端部と前記プラグ装置の前記接続部とを接続状態にロック保持し、前記第1ロック解除手段は前記第1ロック手段によるロック保持状態を解除することを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載の継手装置では、前記継手体の前記作動部材に関連して、前記作動部材を前記第2の位置に向けて弾性的に偏倚する第1偏倚部材と、前記作動部材を前記第1の位置にロック保持するための第2ロック手段と、前記第2ロック手段によるロック状態を解除するための第2ロック解除手段とが設けられていることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載の継手装置では、前記第2ロック手段は、前記作動部材の外周面に設けられた係合凹部と、前記筒状部材に周方向に間隔をおいて配設された複数のロック用ボールから構成され、また前記第2ロック解除手段は前記筒状部材の外周側にロック位置とロック解除位置との間を摺動自在に装着された摺動部材と、前記摺動部材を前記ロック位置に向けて弾性的に偏倚する第2偏倚部材から構成されており、
前記作動部材を前記第2の位置から前記第1の位置に移動させると、前記複数のロック用ボールが径方向内方に移動して前記作動部材の前記係合凹部に係合するとともに、前記第2偏倚部材の作用によって前記摺動部材が前記ロック位置に保持され、また前記摺動部材を前記ロック位置からロック解除位置に移動させると、前記第1偏倚部材の作用によって前記複数のロック用ボールが径方向外方に移動して前記作動部材の係合凹部から外れて前記作動部材が前記第2の位置に位置付けられるとともに、前記摺動部材が前記解除位置に保持されることを特徴とする。
また、本発明の請求項5に記載の継手装置では、前記継手体の前記作動部材に関連して、前記作動部材を前記第1の位置に向けて弾性的に偏倚する第1偏倚部材と、前記第1の位置にロック保持するための第2ロック手段と、前記第2ロック手段によるロック状態を解除するための第2ロック解除手段とが設けられ、更に、前記接続部に関連して、前記作動部材を前記第1の位置に向けて弾性的に偏倚させるための弁側偏倚部材が設けられ、前記弁側偏倚部材の偏倚力が前記第1偏倚部材の偏倚力よりも大きく設定されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項6に記載の継手装置では、前記第2ロック手段は、前記作動部材の外周面に設けられた係合凹部と、前記筒状部材に周方向に間隔をおいて配設された複数のロック用ボールから構成され、また前記第2ロック解除手段は前記筒状部材の外周側にロック位置とロック解除位置との間を摺動自在に装着された摺動部材と、前記摺動部材を前記ロック位置に向けて弾性的に偏倚する第2偏倚部材から構成され、
前記作動部材を前記第2の位置から前記第1の位置に移動させると、前記複数のロック用ボールが径方向内方に移動して前記作動部材の前記係合凹部に係合するとともに、前記第2偏倚部材の作用によって前記摺動部材が前記ロック位置に保持され、また前記摺動部材を前記ロック位置からロック解除位置に移動させると、前記弁側偏倚部材の作用によって前記複数のロック用ボールが径方向外方に移動して前記作動部材の係合凹部から外れて前記作動部材が前記第2の位置に位置付けられるとともに、前記摺動部材が前記解除位置に保持されることを特徴とする。
また、本発明の請求項7に記載の継手装置では、前記継手体の前記作動部材の外周面には、前記作動部材が前記第2の位置にあることを表示するための第1表示部が設けられ、前記摺動部材の外周面には、前記摺動部材が前記ロック位置にあることを表示するための第2表示部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の請求項8に記載の継手装置では、前記作動部材には一対の凹部が設けられ、前記筒状部材の他端部には前記一対の凹部に対応して一対のピンが装着され、前記一対のピンは前記一対の凹部を通して両端部が前記筒状部材に固定され、前記作動部材が前記第2の位置にあるときには、前記一対のピンは前記一対の凹部の一端部に位置し、前記作動部材が前記第1の位置にあるときには、前記一対のピンは前記一対の凹部の他端部に位置することを特徴とする。
更に、本発明の請求項9に記載の継手装置では、前記プラグ装置の前記弁部材の前記閉位置は、移動範囲の一端に位置する第1閉位置と、移動範囲の他端に位置する前記開位置と前記第1閉位置との間に位置する第2閉位置とを含み、前記継手体を前記プラグ装置から離脱させた状態においては、前記弁部材は前記第1閉位置に保持され、前記継手体を前記プラグ装置の前記接続部に接続し且つ前記作動部材を前記第2の位置に保持した状態においては、前記継手体の前記作動部材が前記プラグ装置の前記弁部材に作用して前記弁部材が前記第2閉位置に保持され、また前記継手体を前記プラグ装置の前記接続部に接続した状態において前記作動部材を前記第2の位置から前記第1の位置に移動させると、前記作動部材が前記弁部材に更に作用して前記弁部材が前記開位置に保持されることを特徴とする。
本発明の請求項1に記載の継手装置によれば、継手体の筒状部材の内部空間に作動部材が装着され、この作動部材が第1の位置と第2の位置との間を移動自在に構成され、またプラグ装置はプラグハウジングに閉位置と開位置との間を移動自在に装着された弁部材を備えている。そして、プラグ装置に筒状本体を装着した状態において、作動部材が第2の位置にあるときにはプラグ装置の弁部材が閉状態に保持され、この作動部材が第2の位置から第1の位置に移動するとこの弁部材が開状態に保持されるので、筒状部材をプラグ装置から取り外すことなく弁部材を開閉することができる。
また、本発明の請求項2に記載の継手装置によれば、第1ロック手段は筒状部材とプラグ装置の接続部とを接続状態にロック保持するので、筒状部材をプラグ装置に確実に接続した状態において作動部材を移動させてプラグ装置の弁部材を開閉操作することができる。また、第1ロック解除手段により第1ロック手段によるロック状態を解除することができる。
また、本発明の請求項3に記載の継手装置によれば、作動部材に関連して第2ロック手段が設けられているので、作動部材を第2の位置から第1の移動させると、この第2ロック手段によって第1の位置に確実にロック保持することができ、これによってプラグ装置の弁部材を開状態に保持することができる。また、第1偏倚部材及び第2ロック解除手段が設けられているので、第2ロック手段のロック状態を解除すると、この第1偏倚部材の作用により作動部材は第2の位置に位置付けられる。
また、本発明の請求項4に記載の継手装置によれば、第2ロック手段は、作動部材の外周面に設けられた係合凹部と、筒状部材に周方向に間隔をおいて配設された複数のロック用ボールから構成され、また第2ロック解除手段は筒状部材の外周側に摺動自在に装着された摺動部材と、この摺動部材をロック位置に向けて弾性的に偏倚する第2偏倚部材から構成されているので、作動部材を第2の位置から第1の位置に移動させると、複数のロック用ボールが径方向内方に移動して作動部材の係合凹部に係合し、これによって移動部材を第1の位置にロック保持することができ、また摺動部材をロック位置からロック解除位置に移動させると、第1偏倚部材の作用によって、複数のロック用ボールが径方向外方に移動して作動部材の係合凹部から外れて摺動部材の収容凹部に収容され、これによって第2ロック手段によるロック状態を解除して作動部材を第2の位置に位置付けることができる。
また、本発明の請求項5に記載の継手装置によれば、作動部材に関連して第2ロック手段が設けられているので、作動部材を第2の位置から第1の移動させると、この第2ロック手段によって第1の位置に確実にロック保持することができ、これによってプラグ装置の弁部材を開状態に保持することができる。また、作動部材に関連して第1偏倚部材が設けられ、接続部に関連して弁側偏倚部材が設けられ、弁側偏倚部材の偏倚力が前記第1偏倚部材の偏倚力よりも大きく設定されているので、第2ロック手段のロック状態を解除すると、この弁側偏倚部材の作用により作動部材は第2の位置に位置付けられる。
また、本発明の請求項6に記載の継手装置によれば、第2ロック手段は、作動部材の外周面に設けられた係合凹部と、筒状部材に周方向に間隔をおいて配設された複数のロック用ボールから構成され、また第2ロック解除手段は筒状部材の外周側に摺動自在に装着された摺動部材と、この摺動部材をロック位置に向けて弾性的に偏倚する第2偏倚部材から構成されているので、作動部材を第2の位置から第1の位置に移動させると、複数のロック用ボールが径方向内方に移動して作動部材の係合凹部に係合し、これによって移動部材を第1の位置にロック保持することができ、また摺動部材をロック位置からロック解除位置に移動させると、弁側偏倚部材の作用によって、複数のロック用ボールが径方向外方に移動して作動部材の係合凹部から外れて摺動部材の収容凹部に収容され、これによって第2ロック手段によるロック状態を解除して作動部材を第2の位置に位置付けることができる。
また、本発明の請求項7に記載の継手装置によれば、継手体の作動部材の外周面に第1表示部が設けられているので、作動部材が第2の位置にある、即ち継手体の接続状態においてプラグ装置の弁部材が閉状態であることを容易に知ることができる。また、摺動部材の外周面に第2表示部が設けられているので、作動部材が第1の位置になる、即ち継手体の接続状態においてこの弁部材が開状態にあることを容易に知ることができる。
また、本発明の請求項8に記載の継手装置によれば、一対のピンが作動部材の一対の凹部を通して筒状部材に固定されているので、作動部材が第2の位置にあるときには、一対のピンは一対の凹部の一端部に位置してこの第2の位置を越える移動が阻止され、また作動部材が第1の位置にあるときには、一対のピンは一対の凹部の他端部に位置して第1の位置を越える移動が阻止される。
更に、本発明の請求項9に記載の継手装置によれば、プラグ装置の弁部材は第1閉位置から第2閉位置を通して開位置まで移動自在であり、継手体をプラグ装置から離脱させた状態においては、この弁部材は第1閉位置(移動範囲の一端の位置)に保持され、筒状体をプラグ装置の接続部に接続すると、弁部材は第1閉位置から第2閉位置に移動して保持され、また継手体をプラグ装置の接続部に接続した状態において作動部材を第1の位置に移動させると、この弁部材が開位置(移動範囲の他端)に移動してに保持される。
以下、添付図面を参照して、本発明に従う継手装置の実施形態について説明する。まず、図1〜図6を参照して、第1の実施形態の継手装置について説明する。第1図1は、第1の実施形態の継手装置におけるプラグ装置の一部及び継手体を示す断面図であり、図2は、図1の継手装置の継手体における作動部材を第1の位置に位置付けたときの状態を示す断面図であり、図3は、図1の継手装置のプラグ装置の要部を示す断面図であり、図4は、継手体をプラグ装置に接続したときの状態を示す断面図であり、図5は、継手体をプラグ装置に接続した状態において作動部材を第2の位置から第1の位置に移動させたときの状態を示す断面図であり、図6(a)は、継手体をプラグ装置に接続したときのプラグ装置の状態を示す断面図であり、図6(b)は、継手体をプラグ装置に接続した状態において作動部材を第1の位置に移動させたときのプラグ装置の状態を示す断面図である。
図1及び図2において、図示の継手装置2は継手体4及びプラグ装置6から構成され、この継手体4は、例えばゴムチューブの如きフレキシブルチューブ(図示せず)の一端部に取り付けられ、フレキシブルチューブの他端部がガスファンヒータ、ガスストーブなどのガス機器(図示せず)に接続され、またプラグ装置6は例えばフレキシブル配管(図示せず)を介してガス供給源(例えば、ガスボンベ、ガス埋設管)に接続される。
継手体4は、中空筒状の筒状部材8と、この筒状部材8の内周側に配設された作動部材10と、筒状部材8の外周側を覆うカバー部材12とを備えている。筒状部材8には一端(図1及び図2において右端)から他端(図1及び図2において左端)まで延びる内部空間14が設けられ、この内部空間14に作動部材10が軸方向(図1及び図2において左右方向)に移動自在に装着される。この筒状部材8の軸方向略中央部には、径方向内方に突出する環状係止突部16が設けられている。
作動部材10は、基部から先端部(図1及び図2において左側の端部から右側の端部)に向けて設けられた大径基部18、中間部20及び先端作用部22を有し、大径基部18と中間部20との間に第1段部24が設けられ、また中間部20と先端作用部22との間に第2段部26が設けられている。この作動部材10には、その大径基部18から中間部20にわたって内部流路28が設けられている。作動部材10の大径基部18の端部(筒状部材8の他端から外側に突出している部分)には接続部材30が取り付けられ、この接続部材30の先端側は作動部材10の内部流路28に連通され、その他端側はフレキシブルチューブ(図示せず)を介してガス機器に接続される。また、作動部材10の第2段部26には、周方向に間隔をおいて複数の連通孔32が設けられている。
この作動部材10の大径基部18が筒状部材8の他端部の内周面に支持され、その中間部20が筒状部材8の環状係止突部16の内周面に支持されている。この形態では、作動部材10の大径基部18の外周部に一対の凹部34が設けられ、また筒状部材8の他端部には、一対の凹部34に対応して一対のピン36が取り付けられている。一対のピン36は図1及び図2において紙面に垂直な方向に延び、作動部材10の対応する凹部34に受け入れられ、その両端部が筒状部材8に固定されている。作動部材10は、一対のピン36が一対の凹部34の他端部(図1及び図2において左端部)に位置する第1の位置(図2に示す位置)と、一対のピン36が一対の凹部34の一端部(図1及び図2において右端部)に位置する第2の位置(図1に示す位置)との間を軸方向に移動自在である。更に、この作動部材10の第1段部24と筒状部材8の環状係止突部16との間に第1偏倚部材38が介在されている。第1偏倚部材38はコイルばねから構成され、作動部材10を図1及び図2において左方に、即ち第2の位置に向けて弾性的に偏倚する。このように構成されているので、作動部材10は第1偏倚部材38の作用によって第2の位置に弾性的に保持され、一対のピン36が一対の凹部34の一端部に当接することによって、この第2の位置を越える移動が阻止され、また第2の位置から第1の位置に向けて移動させると、一対のピン36が一対の凹部34の他端部に当接することによって、この第1の位置を越える移動が阻止される。
この作動部材10に関連して、第1の位置にロック保持するためのロック手段(第2ロック手段を構成する)40及びロック手段40のロック状態を解除するロック解除手段42(第2ロック解除手段を構成する)が設けられている。ロック手段40は、作動部材10の大径基部18の外周面に設けられた環状の係合凹部44と、筒状部材8の他端部に装着された複数のロック用ボール46とから構成されている。作動部材10の係合凹部44は断面が略V字状の環状溝から構成されている。また、筒状本体8の他端部には周方向に所定の間隔をおいて複数のボール収容孔48が設けられ、これらボール収容孔48は筒状本体30を径方向に貫通し、複数のロック用ボール46は対応するボール収容孔48に径方向に移動自在に収容されている。複数のロック用ボール46は例えば鋼球から構成され、その外径はボール収容孔48の内径と実質上等しく、或いはその内径よりも僅かに小さく形成されている。
また、ロック解除手段42は、筒状部材8の他端側の外周側に装着された摺動部材50と、この摺動部材50を弾性的に偏倚する第2偏倚部材52とから構成されている。この形態では、カバー部材12は中空円筒状に形成され、その軸方向略中央部に設けられた環状内突部54が筒状部材8の軸方向略中央部の外周面に装着され、筒状部材8とカバー部材12が一体的となるように装着されている。この形態では、筒状部材8の外周面に係合凹部が設けられ、カバー部材12の内突部54に係合凸部56が設けられ、係合突部56を係合凹部に係合させることによって、カバー部材12が筒状部材8に固定的に取り付けられている。
この実施形態では、筒状部材8の他端部には径方向外方に突出する係止突部58が設けられ、摺動部材50はこの係止突部58の軸方向内側にて筒状部材8に装着され、図2に示すロック位置と図1に示すロック解除位置との間を摺動自在に装着されている。摺動部材50の一端側はその他端側よりも内径が小さく、これらの間に傾斜段部60が設けられ、この一端側が筒状部材8に支持され、その他端側が筒状部材8の係止突部58の外周側を覆っている。この摺動部材50の他端部には、径方向外方に突出する環状の操作突部62が設けられている。第2偏倚部材52は例えばコイルばねから構成され、筒状部材8を被嵌するように装着され、カバー部材12の内突部54と摺動部材50の一端部との間に介在されている。第2偏倚部材52は摺動部材50を図1及び図2において左方に、即ちロック位置に向けて弾性的に偏倚する。
ロック手段40及びロック解除手段42が上述したように構成されているので、作動部材10が第2の位置にあるときには、図1に示すように、複数のロック用ボール46は筒状部材8のボール収容孔48に収容された状態にて作動部材10の大径基部18の外周面に支持され、それらの一部はボール収容孔48から径方向外方に突出した状態に保持される。また、摺動部材50は第2偏倚部材52によって図1及び図2において左方に偏倚され、複数のロック用ボール46は摺動部材50の収容凹部に収容され、その傾斜段部60が複数のロック用ボール46に当接することによって、図1に示すロック解除位置に保持される。このような状態から作動部材10を第2の位置から第1の位置に移動すると、図2に示すように、作動部材10の係合凹部44が複数のロック用ボール46の径方向内側に位置し、第2偏倚部材52の偏倚作用によって摺動部材50の傾斜段部60が複数のロック用ボール46を径方向内方に押し下げ、このようにして複数のロック用ボール46が係合凹部44に係合し、かくしてロック手段40がロック状態となって作動部材10がこの第1の位置にロック保持される。このようなロック状態においては、複数のロック用ボール46はボール収容孔48に完全に収容されて径方向外方に突出することはなく、従って、摺動部材50は第2偏倚部材52の作用によって移動され、その傾斜段部60が筒状部材8の係止突部58に当接することによって、図2に示すロック位置に保持される。このロック位置においては、摺動部材50の一端部が複数のロック用ボール46の径方向外側を覆い、これによって、ロック用ボール46が径方向外方に移動するのが阻止され、ロック手段40による上述したロック状態が確実に保持される。
また、上述したロック状態において、摺動部材50をロック位置から図1に示すロック解除位置まで操作移動させる、即ちロック解除手段42をロック解除状態にすると、第1偏倚部材38の偏倚作用により作動部材10が第2の位置に向けて移動され、かく移動することによって、複数のロック用ボール46が径方向外方に移動して係合凹部44から外れ、作動部材10が上記第2の位置に保持される。また、このように複数のロック用ボール46が係合凹部44から外れて作動部材10の外周面に支持されると、それらの一部がボール収容孔48から径方向外方に突出し、摺動部材50の操作を解除することによって、この摺動部材50は複数のロック用ボール46によって図1に示すロック解除位置に保持される。
この実施形態では、筒状部材8の一端部にも、上述したと同様に機能するロック手段70(第1ロック手段を構成する)及びロック解除手段72(第1ロック解除手段を構成する)が設けられている。ロック手段70は、後述するプラグ装置6の接続部74の先端部の外周面に設けられた環状の係合凹部76と、筒状部材8の一端部に装着された複数のロック用ボール78とから構成されている。接続部74の係合凹部76は断面が略V字状の環状溝から構成され、複数のロック用ボール78は筒状本体8の一端部に設けられた複数のボール収容孔80に径方向に移動自在に収容されている。また、ロック解除手段72は、筒状部材8の一端側の外周側に装着された摺動部材82と、この摺動部材82とカバー部材12の内突部54との間に介在された第3偏倚部材84(例えば、コイルばねから構成される)とから構成されている。
筒状部材8の一端部には径方向外方に突出する係止突部86が設けられ、摺動部材82はこの係止突部86の軸方向内側にて筒状部材8に装着され、その一端側はその他端側よりも内径が大きく、これらの間に傾斜段部88が設けられ、この他端側が筒状部材8に支持され、その一端側が筒状部材8の係止突部86の外周側を覆っている。この摺動部材82の一端部には、径方向外方に突出する環状の操作突部90が設けられている。第3偏倚部材52は、摺動部材82を図1及び図2において右方に、即ちロック位置に向けて弾性的に偏倚する。
この実施形態では、更に、筒状部材8の一端部内に筒状の摺動作用部材85が装着され、この摺動作用部材85の開口部に環状のシール部材87が装着され、このシール部材87は、後述する如くプラグ装置6の接続部74に接続した状態においてこの接続部74の開口部外周部をシールする(図4、図5参照)。この摺動作用部材85の他端部内周面には環状シール89が装着され、環状シール89は作動部材10が第1の位置に位置付けられたときにその中間部20の外周面に作用して摺動作用部材85と作動部材10の中間部20との間をシールする。
この摺動作用部材85の外周面には所定範囲にわたって環状凹部91が設けられ、また筒状部材8の一端側内周面には環状係止突起93が設けられ、この環状係止突起93が摺動作用部材85の環状凹部91に受け入れられている。また、摺動作用部材85の他端部には環状の受け部材95が装着され、この受け部材95と筒状部材8の環状係止突部16との間に第4偏倚部材97が介在されている。第4偏倚部材97は例えばコイルばねから構成され、受け部材95を介して摺動作用部材85を図1及び図2において右方に弾性的に偏倚し、環状凹部91の端部(図1及び図2において左側の端部)が筒状部材8の環状係止突起93に当接することによって、図1に示す受け位置に保持される。
次いで、主として図3を参照してプラグ装置6について説明する。室内の壁などにガスコンセントとして設置されるプラグ装置6はプラグハウジング92を備え、このプラグハウジング92の上端部に上記接続部74が一体的に設けられている。このプラグハウジング92内には流体流路94が設けられ、この流体流路94が接続部74内に延びている。
この形態では、接続部74の基部側に、流体流路94を開閉するための弁部材96が配設されている。弁部材96の一端部には外径が大きい弁部98が設けられ、この弁部98によって流体流路94を開閉する。この弁部材96の他端には、幾分かの間隔をおいてロッド100が配設され、ロッド100は接続部74内をその先端部まで延び、その先端部には拡径部102が設けられている。このロッド100の拡径部102と弁部材96の弁部98との間には第1コイルばね104(弁側偏倚部材を構成する)が介在され、また弁部98とプラグハウジング92の一部との間に第2コイルばね106が介在されている。第1コイルばね104はロッド100を図3において左方に弾性的に偏倚し、拡径部102が接続部74の開口部に当接することによって、このロッド100は図3に示す当接位置に保持される。また、第2コイルばね106は弁部材96を図3において左方に弾性的に偏倚し、プラグハウジング92に設けられた当接突部(図示せず)に当接することによって、弁部材96は図3に示す第1閉位置に保持される。この第1閉位置においては、弁部材96の弁部98の外周面がプラグ装置6の接続部74の内周面をシールして流体流路94を閉塞する。尚、第2コイルばね106の弾性偏倚力が第1コイルばね104の弾性偏倚力よりも大きくなるように構成されている。
この実施形態では、後述するように、弁部材96は、移動範囲の一端に位置する第1閉位置から移動範囲の他端に位置する開位置(図6(b)に示す位置)まで移動自在に装着され、上記第1閉位置と上記開位置との間に第2閉位置(図6(a)に示す位置)が存在する。第2閉位置においては、図6(a)に示すように、弁部材96の弁部98の一部が接続部74の内周面をシールし、弁部材96は流体流路94を閉塞状態に保つ。また、上記開位置においては、図6(b)に示すように、弁部材96の弁部98が接続部74から外れ、流体流路94が開状態に保たれる。
次に、主として図1、図4及び図5を参照して、上述した継手装置2の接続操作について説明する。継手体4をプラグ装置6の接続部74に接続するには、継手体4のカバー部材12を持って摺動作用部材85のシール部材87をプラグ装置6の接続部74の先端部に当て、かかる状態にてカバー部材12を更に押し込むようにすればよい。このように押し込むと、図4に示すように、プラグ装置6の接続部74の係合凹部76が複数のロック用ボール78の径方向内側に位置し、第3偏倚部材84の偏倚作用によって摺動部材82の傾斜段部88が複数のロック用ボール78を径方向内方に押し下げ、このようにして複数のロック用ボール78が係合凹部76に係合し、かくしてロック手段70がロック状態となり、継手体4が接続部74に着脱自在に接続される。
この接続状態においては、複数のロック用ボール78はボール収容孔80に完全に収容され、従って、摺動部材82は第3偏倚部材84の作用によって移動され、その傾斜段部88が筒状部材8の係止突部86に当接することによって、図4に示すロック位置に保持される。このロック位置においては、摺動部材82の一端部が複数のロック用ボール78の径方向外側を覆い、これによって、ロック用ボール78の径方向外方への移動が確実に阻止され、ロック手段70による上述したロック状態が確実に保持される。
この継手体4の接続状態においては、プラグ装置6の接続部74の先端部が継手体4側の摺動作用部材85のシール部材87に作用して第4偏倚部材97の偏倚作用に抗して内側に(即ち、図4において左方に)押圧し、この第4偏倚部材97の作用によってシール部材87が接続部74の先端部に押圧され、継手体4とプラグ装置6の接続部74との間がシールされる。また、この接続状態においては、図4に示す如く、継手体4側の作動部材10の先端部22がプラグ装置6のロッド100の拡径部102に作用してこれを図4に二点鎖線で示す位置から図4に実線で示す位置に移動し、これによって、弁部材96は図3に示す第1閉位置から図6(a)に示す第2閉位置に移動されるが、プラグ装置6の流体流路84が開放されることはない。従って、継手体4をプラグ装置6に単に接続した状態ではこの接続状態が保たれるのみで、プラグ装置6からの流体、例えば燃料用ガスが継手体4に送給されることはない。
このように接続した状態において流体(燃料用ガス)を継手体4側に送給するには、継手体4側の作動部材10を図4に示す第2の位置から図5に示す第1の位置に移動させればよい。かく作動部材10を押圧移動させると、図5に示すように、複数のロック用ボール46が作動部材10の係合凹部44に係合し、作動部材10が上記第1の位置にロック保持される。このロック手段40のロック状態においては、摺動部材50の他端部が複数のロック用ボール46の径方向外側を覆い、ロック手段40による上述したロック状態が確実に保持される。
作動部材10が第1の位置に位置する状態においては、継手体4側の作動部材10の先端部22がプラグ装置6の接続部74内に大きく挿入され、挿入された先端部がロッド100の拡径部102に作用してこれを図5に示す位置まで大きく移動し、これによって、弁部材96は図6(a)に示す第2閉位置から図6(b)に示す開位置まで移動される。従って、プラグ装置6の流体流路84が開放され、プラグ装置6からの流体(例えば、燃料用ガス)が継手体4に送給される。
プラグ装置6からの流体(燃料用ガス)の送給を停止するには、摺動部材50を図5に示すロック位置から図4に示すロック解除位置に移動させてロック手段40をロック解除状態にすればよい。かくすると、図4に示す通り、複数のロック用ボール46が作動部材10の係合凹部44から外れ、この作動部材10が上述したようにして第2の位置に保持される。このように保持されると、継手体4がプラグ装置6の接続部74に接続された状態において作動部材10がプラグ装置6から後退し、第1コイルばね104の作用によってロッド100が図4に実線で示す位置に保持され、また第2コイルばね106の作用によって弁部材96が図6(a)に示す第2閉位置に保持され、弁部材96は流体流路94を閉塞し、このようにして流体の送給が停止される。
この継手装置2では、このように継手体4をプラグ装置6に接続した状態において、作動部材10を第1の位置に位置付けることによって流体(燃料用ガス)の供給を行うことができ、また作動部材10を第2の位置に位置付けることによって流体の供給を停止させることができる。
尚、接続した継手体4をプラグ装置6から取り外すには、継手体4側の作動部材10を上述したようして第2の位置に保持した後に、筒状部材8の一端側の摺動部材82を図4及び図5にロック位置から図1及び図2に示すロック解除位置に位置付けてロック手段70をロック解除状態にすればよい。かくすると、図1に示す通り、複数のロック用ボール78がプラグ装置6の接続部74の係合凹部76から外れ、接続体4を接続部74から離脱させることができる。この離脱させた状態では、プラグ装置6側に継手体4の作動部材10が作用することはなく、第1コイルばね104の作用によってロッド100が図4に二点鎖線で示す位置に位置して接続部74の開口部を閉塞し、また第2コイルばね106の作用によって弁部材96が図3に示す第1閉位置に位置して流体流路94を閉塞保持する。
この継手装置においては、作動部材10を第1の位置にロック保持した状態において筒状部材8の一端部をプラグ装置6の接続部74に着脱自在に接続するように操作することもできる。この場合、作動部材10の先端部がロッドの拡径部102に作用してこれを図5に示す位置まで大きく移動し、弁部材96が開位置まで移動され、接続操作するのみでプラグ装置6からの流体が継手体4に送給される。
上述した継手装置では、作動部材10が第2の位置にあることを表示する第1表示部を設けるようにしてもよい。この第1表示部は第1特定色(例えば、緑色)が施された塗装部、第1特定色を有するテープ、「閉」の表示部(プラグ装置6の弁部材96が閉状態であることを表示する表示記号)などから構成することができ、例えば作動部材10の他端部の外周面に設けることができる。この第1表示部は、作動部材10が第2の位置に位置するときには外部に露出し、第1の位置に位置付けられると筒状部材8の他端部内に隠れるように構成される。また、作動部材10が第1の位置にある、換言すると摺動部材50がロック位置にあることを表示する第2表示部を設けるようにしてもよい。この第2表示部も上述した第1表示部と略同様に構成することができ、第1表示部と異なる第2特定色(例えば、赤色)が施された塗装部、第2特定色を有するテープ、「開」の表示部(プラグ装置6の弁部材96が開状態であることを表示する表示記号)などから構成することができ、例えば摺動部材50の中央部付近の外周面に設けられる。この第2表示部は、摺動部材50がロック位置に位置するときには外部に露出し、ロック解除位置に位置付けられるとカバー部材12の他端部内に隠れるように構成される。
また、上述した継手装置では、プラグ装置6の弁部材96を第1閉位置(継手体4を外したとき)、第2閉位置(継手体4を装着したとき)及び開位置(継手体4を装着した状態において作動部材を第2の位置から第1の位置に移動させたとき)に位置付けるように構成しているが、このような構成に限定されず、弁部材96が単に閉位置及び開位置に位置付けられるように構成してもよい。この場合、継手体4をプラグ装置6に装着した状態においては継手体4側の作動部材10が弁部材96に作用せず、継手体4を外した状態及び継手体4を装着した状態においては、プラグ装置6の弁部材96は閉位置に保持され、継手体4を装着した状態において作動部材10を第2の位置から第1の位置に移動させて初めて作動部材10が弁部材96に作用して開位置に保持されるように構成される。
次に、図7〜図10を参照して、第2の実施形態の継手装置について説明する。図7は、第2の実施形態の継手装置における継手体を示す断面図であり、図8は、図7の継手体をプラグ装置に接続した状態において作動部材を第2の位置に移動させたときの状態を示す断面図であり、図9は、他の形態のプラグ装置を示す断面図であり、図10は、図7の継手体を図9のプラグ装置に装着した状態を示す断面図である。尚、この第2の実施形態において、第1の実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
この第2の実施形態においては、作動部材10Aは、通常、第1の位置に保持されるように構成されている。図7及び図8において、この第2の実施形態では、作動部材10Aの他端側に環状凹部120が設けられ、この環状凹部120はその他端まで延びている。また、筒状部材8Aの他端部の内周面には環状部材122が固定され、この環状部材122が作動部材10Aの環状凹部120内に配設され、筒状部材8Aを被嵌するように環状凹部120内に第1偏倚部材124が配設されている。第1偏倚部材124は例えばコイルばねから構成され、第1実施形態における第1偏倚部材38に代えて設けられ、作動部材10Aに作用してこの作動部材10Aをプラグ装置6側の第1の位置に向けて弾性的に偏倚する。
上述した構成に関連して、プラグ装置6側の第1コイルばね104(弁側偏倚部材を構成する)の偏倚力が継手体4A側の第1偏倚部材124の偏倚力よりも大きくなるように設定され、このように設定することによって、第1コイルばね104の偏倚力によって作動部材10Aが後述する如くして第1の位置から第2の位置に位置付けられる。更に、作動部材10Aの他端部外周面には、プラグ装置6の弁部材96が閉状態であることを表示する第1表示部126(例えば、「閉」の表示部)が設けられ、また摺動部材50の中央部付近の外周面には、この弁部材96が開状態であることを表示する第2表示部128(例えば、「開」表示部)が設けられる。この第2の実施形態のその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
この継手装置2Aの継手体4Aは、プラグ装置6から取り外したときには図7に示す状態に保持される。即ち、第1偏倚部材124作用によって作動部材10Aが図7において右側に弾性的に偏倚され(一対のピン36が一対の凹部34の他端部に当接保持される)、複数のロック用ボール46が作動部材10Aの係合凹部44に係合し、作動部材10Aが上記第1の位置にロック保持される。このロック手段40のロック状態においては、摺動部材50の他端部が複数のロック用ボール46の径方向外側を覆い、ロック手段40によるロック状態が保持される。また、筒状部材8Aの他端部が作動部材10Aの他端部(即ち、第1表示部126)覆うとともに、摺動部材50がロック位置に保持されてその略中央部(即ち、第2表示部128)が外部に露出し、第2表示部128は作動部材10Aが第1の位置に位置する(換言すると、プラグ装置6に接続されると弁部材(図示せず)が開状態となる位置に位置する)ことを表示する。
この状態において、継手体4をプラグ装置6の接続部74に接続すると、上述した第1の実施形態と同様に、プラグ装置6の接続部74の係合凹部76が複数のロック用ボール78の径方向内側に位置し、第3偏倚部材84の偏倚作用によって摺動部材82の傾斜段部88が複数のロック用ボール78を径方向内方に押し下げて複数のロック用ボール78が係合凹部76に係合し、かくしてロック手段70がロック状態となって、継手体4が接続部74に着脱自在に接続される。また、プラグ装置6の接続部74の先端部が継手体4側の摺動作用部材85のシール部材87に作用して第4偏倚部材97の偏倚作用に抗して内側に押圧し、第4偏倚部材97の作用によってシール部材87が接続部74の先端部に押圧され、継手体4とプラグ装置6の接続部74との間がシールされる(図8参照)。
この接続状態においては、容易に理解される如く、継手体4側の作動部材10の先端部22がプラグ装置6のロッド100の拡径部102に作用し、プラグ装置6の第1コイル部材104(第1偏倚部材)の偏倚力に抗してこれを図8において右方に移動し、このロット100を介して第2コイル部材(図示せず)の偏倚力を抗して弁部材(図示せず)が移動され、弁部材は開状態に保持される。従って、継手体4Aをプラグ装置6に接続すると、プラグ装置6の弁部材(図示せず)が開状態に保持され、プラグ装置6からの流体、例えば燃料用ガスが継手体4に送給される。
上述した状態からロック解除手段42によりロック手段40によるロック状態を解除する、換言すると摺動部材50を図7に示すロック位置から図7において右方にロック解除位置に移動させると、図8に示す通り、プラグ装置6側の第1コイルばね104の偏倚作用によって作動部材10Aが第1の位置から第2の位置に移動され(一対のピン36が一対の凹部34の一端部に当接保持される)、これによって、複数のロック用ボール46が作動部材10Aの係合凹部44から外れ、この作動部材10Aが上述したようにして第2の位置に保持される。この状態においては、継手体4Aがプラグ装置6の接続部74に接続された状態において作動部材10Aがプラグ装置6から後退し、第1コイルばね104の作用によってロッド100が図8に実線で示す位置に保持され、また第2コイルばね(図示せず)の作用によって弁部材(図示せず)が閉位置に保持され、従って、弁部材は流体流路を閉塞して流体の送給が停止される。
このロック手段40のロック解除状態においては、図8に示すように、複数のロック用ボール46が摺動部材50の収容凹部に収容され、この摺動部材50がロック解除位置に保持される。また、作動部材10Aの他端部(即ち、第1表示部126)が筒状部材8Aの他端部から外側に突出して外部に露出するとともに、摺動部材50がロック解除位置に保持されてその略中央部(即ち、第2表示部128)がカバー部材12の他端部内に挿入されてこれに覆われ、第1表示部126は作動部材10Aが第2の位置に位置する(換言すると、プラグ装置6の弁部材(図示せず)が閉状態にある)ことを表示する。
尚、この接続状態において作動部材10Aを上記第2の位置から上記第1の位置に位置付けると、上述したように、複数のロック用ボール46が作動部材10Aの係合凹部44に係合し、作動部材10Aが上記第1の位置にロック保持され、ロック手段40によるロック状態が保持され、また摺動部材50の第2表示部128が外部に露出し、この第2表示部128は作動部材10Aが第1の位置に位置する、換言すると、プラグ装置6の弁部材(図示せず)が開状態であることを表示する。
このように第2の実施形態の継手装置2Aにおいても、継手体4Aをプラグ装置6に接続した状態において、作動部材10Aを第1の位置に位置付けることによって流体(燃料用ガス)の供給を行うことができ、また作動部材10Aを第2の位置に位置付けることによって流体の供給を停止させることができる。
この継手装置2では、このように継手体4をプラグ装置6に接続した状態において、作動部材10を第1の位置に位置付けることによって流体(燃料用ガス)の供給を行うことができ、また作動部材10を第2の位置に位置付けることによって流体の供給を停止させることができる。
この継手装置2Aは、更に、次の通りの特徴を有し、作動部材によって弁部材を開閉しない形態のプラグ装置に接続したときにその作用効果を発揮する。この種のプラグ装置132は、例えば図9に示す構成であり、例えば台所の壁などに設置されるプラグ装置132はプラグハウジング134を備え、このプラグハウジング134の一端部(図9において左端部)に接続部136が一体的に設けられている。この接続部136は、上述したプラグ装置6の接続部74と同一の構成であり、上述した継手体4Aが着脱自在に接続される。このプラグハウジング134には流体流路138が設けられ、この流体流路138がプラグハウジング接続部74内を接続部136に向けて延びている。プラグハウジング134の他端部は、例えばフレキシブル管などを介して流体供給源としての例えばガス供給源(ガスボンベ、埋設導管など)に接続される。
この形態のプラグ装置132では、プラグハウジング134の略中央部に弁ハウジング部140が設けられ、この弁ハウジング部140に弁体142が回転可能に装着され、この弁体142には貫通流路144が設けられている。弁ハウジング140には操作部146が回転可能に取り付けられ、この操作部146が連結部材148を介して弁体142に連結され、連結部材148と弁体142との間にはコイルばね150が介在されている。このように構成されているので、操作部146を押圧して所定方向に回動すると、貫通流路144が流体流路138に整合し、弁体142が開状態となって流体(例えば、燃料用ガス)が接続部136に供給され、また操作部146を押圧して上記所定方向と反対方向に回動すると、図9に示すように、貫通流路144が流体流路138から外れ、弁体142が閉状態となって流体が供給されなくなる。
継手体4Aをこのようなプラグ装置132に接続すると、図10に示す状態となる。プラグ装置132の接続部136の係合凹部152が複数のロック用ボール78の径方向内側に位置し、継手体4Aの第3偏倚部材84の偏倚作用によって摺動部材82の傾斜段部88が複数のロック用ボール78を径方向内方に押し下げて複数のロック用ボール78が係合凹部152に係合し、このようにして継手体4Aが接続部136に着脱自在に接続される。この接続状態においては、上述したと同様に、筒状部材8Aの他端部が作動部材10Aの第1表示部126を覆うとともに、摺動部材50がロック位置に保持されてその第2表示部128が外部に露出し、第2表示部128は作動部材10Aが第1の位置に位置する(換言すると、弁体142が開状態である)ことを表示する。
また、かく接続部136に接続した状態において、ロック解除手段42によりロック手段40によるロック状態を解除する、換言すると摺動部材50をロック位置からロック解除位置に移動させると、図10から理解されるように、第1偏倚部材124が作動部材10Aを第1の位置に向けて弾性的に偏倚しているので、筒状部材8Aに対して作動部材10Aが相対的に移動されることはなく、作動部材10Aは上記第1の位置に保持され続け、この摺動部材50の移動を解除すると、摺動部材50は第2偏倚部材52の偏倚作用によって再びロック位置に戻り、作動部材10Aは上記第1の位置にロック保持され、第2表示部128は作動部材10Aが第1の位置に位置する(換言すると、弁体142が開状態である)ことを表示する。
このように第2の実施形態における継手体4Aでは、作動部材10Aによって開閉される弁部材を備えていないプラグ装置132の接続部136に接続した場合、第1偏倚部材124によって作動部材10Aが第1の位置に保持され続け、従って、継手体4Bの第2表示部128は「開」表示(弁体142が開状態である表示)を常時示すようになる。それ故に、継手体4Aをプラグ装置132から取り外す場合、継手体4Aの第2表示部128の「開」表示を見て作業者はプラグ装置132の操作部146を閉操作し、その後継手体4Aをプラグ装置132から取り外すようになり、安全性の高い継手装置を提供することができる。
以上、本発明に従う継手装置の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
例えば、上述した実施形態では、作動部材10(10A)を軸方向にスライドして第1の位置と第2の位置との間を移動させる構成であるが、このような構成に限定されず、例えば作動部材10(10A)を所定角度範囲にわたって回動させて上記第1の位置と上記第2の位置との間を移動させるように構成してもよい。