JP2009013720A - 杭基礎構造の改修方法 - Google Patents
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【解決手段】既存の建物1が建っている状態で杭基礎構造2を構成する杭21とパイルキャップ22との接合部20を露出させる工程と、露出された接合部20の周縁のコンクリートを取り除く工程と、接合部20の周縁の削り取られた部分の周囲を補強部材25で覆う工程と、を備える杭基礎構造の改修方法であって、接合部20の断面積を、杭21の断面積よりも縮小させることでパイルキャップ22に剛接合された杭頭部を半剛接合化させる。
【選択図】図3
Description
例えば、特許文献1には、既存のコンクリート杭の頭部周面に、配筋を行った後、モルタルまたはコンクリートを吹き付けることにより、既存のコンクリート杭の断面を大きくして耐力を増強する補強方法が開示されている。
例えば、前述の杭の断面を大きくする補強方法は、基礎直下の掘削、配筋、モルタルまたはコンクリート吹付け等の作業に手間を要し、多種多様の施工設備が必要となる。そのため、施工が大掛かりとなり、工期も長くなる。
また、後述の基礎直下の地盤改良を行う補強方法は、広範囲に地盤改良を行う必要があるために作業の手間や材料費が嵩むことや、大掛かりな重機が必要となることなどにより費用が嵩むこと等の問題点を有していた。
また、本明細書における「基礎部材」とは、杭基礎構造において杭が接続される部材であって、例えば、基礎スラブ、パイルキャップ、フーチング、基礎梁等を表すものとする。
かかる杭基礎構造の改修方法は、作業が容易であるとともに、廃棄物量を縮小することができる。
かかる杭基礎構造の改修方法によれば、杭頭部の回転変形により作用する引張応力を小さくすることが可能となるため、杭基礎構造の耐震性がさらに向上する。
かかる杭基礎構造の改修方法によれば、断面が縮小された接合部のコンクリート強度と靭性を向上させることが可能となる。
第1の実施の形態に係る杭基礎構造の改修方法は、図1に示すように、杭基礎構造2により支持された既存の建物(構造物)1について、耐震性の向上を図ることを目的として行うものである。
ここで、図1は、本発明の好適な実施の形態に係る改修後の構造物の概要を示す立面図である。また、図2は、第1の実施の形態に係る杭基礎構造の改修方法を示す図であって、(a)は改修前の杭基礎構造を示す縦断面図、(b)は改修前の杭を上方から望む平面図、(c)は改修後の杭基礎構造を示す縦断面図、(d)は改修後の杭を上方から望む平面図である。さらに、図3の(a)〜(d)は、第1の実施の形態に係る杭基礎構造の改修方法の各工程を示す模式図である。
かかる杭基礎構造2は、建物荷重等を基礎梁23と杭21を介して支持地盤層G2へと伝達するものである。
杭21は、図2(a)および(b)に示すように、断面円形であって、主筋R1と帯筋R2とが所定のコンクリート被りを有して配筋されている。杭21は、上端面をパイルキャップ22に突き合わせた状態で、上端から突出した主筋R1がパイルキャップ22に定着されていることで、パイルキャップ22に剛接合されている。
パイルキャップ22には、下面から杭21が接合されているとともに、側面には基礎梁23が接合されている。さらに、パイルキャップ22の上面には、建物1の柱24が接合されている。
かかる杭基礎構造の改修方法は、(1)掘削工程と、(2)縮径工程と、(3)補強工程と、(4)埋め戻し工程とを備えている。
掘削工程は、図3(a)および(b)に示すように、杭基礎構造2の周囲の地盤Gを掘削することにより、杭21とパイルキャップ22との接合部20を露出させる工程である。
接合部20の周囲の掘削は、バックホウ等の掘削機械Mを利用して行い、必要に応じて、土留め工も行う。なお、第1の実施の形態では、掘削機械Mを利用して掘削を行うものとしたが、人力により掘削を行ってもよい。
縮径工程は、図3(b)に示すように、掘削工程により露出された接合部20について、コンクリートカッタCを利用してその周縁を削り取る工程である。
第1の実施の形態では、杭頭部の周縁を削り取ることにより接合部20の縮径を行う。
また、支持部材C1の外径は、杭頭部の縮径幅とコンクリートカッタCの刃の直径(長さ)に応じて決定されている。これにより、コンクリートカッタCを支持部材C1の外面に沿って移動させることで、所望の幅による縮径が可能となる。
補強工程は、図2(d)および図3(c)に示すように、縮径工程において杭頭部の周縁の削り取られた部分の周囲を補強部材25で覆う工程である。
なお、第1の実施の形態では、外殻25aと充填材25bとにより補強部材25を構成するものとしたが、補強部材25はこれに限定されるものではなく、例えば、繊維補強シートや鋼板等の他の補強部材を使用することが可能である。また、外殻25aは鋼管に限定されるものではない。また、充填材25bとして使用する材料も限定されるものではない。さらに、第1の実施の形態では杭頭部の縮径された部分のみを補強部材25により覆うものとしたが、杭頭部の縮径された部分を含めた形で杭21の周縁を覆うものとしてもよい。
埋め戻し工程は、図3(d)に示すように、補強工程において、杭頭部(接合部20)の補強が完了した箇所を埋め戻す工程である。埋め戻し工程が完了することで、杭基礎構造の改修方法が完了する。
つまり、杭頭部(接合部20)の断面積を縮径することで、杭21とパイルキャップ22との接合部20に隙間を形成し、杭頭部の回転を許容する。これにより杭頭部および基礎梁端部に発生する曲げモーメントを小さくすることが可能となる。
また、施工に伴う廃棄物は、杭頭部の縮径により発生する少量のコンクリートガラと鉄筋のみなため、環境負荷が小さい。
また、建て替えによらず、既存の建物1の耐震性を向上させることが可能なため、用途変更や増改築等の自由度が高まる。
第2の実施の形態に係る杭基礎構造の改修方法は、第1の実施の形態と同様に、図1に示す杭基礎構造2により支持された既存の建物(構造物)1について、耐震性の向上を図ることを目的として行うものである。
ここで、図4は、第2の実施の形態に係る杭基礎構造の改修方法を示す図であって、(a)は改修前の杭基礎構造を示す縦断面図、(b)は改修前の杭を上方から望む平面図、(c)は改修後の杭基礎構造を示す縦断面図、(d)は改修後の杭を上方から望む平面図である。また、図5の(a)〜(d)は、第2の実施の形態に係る杭基礎構造の改修方法の各工程を示す模式図である。
ここで、第2の実施の形態では、接合部20をテーパ状に形成することにより接合部20の縮径を行い、さらに接合部20直下の杭の周囲に補強部材27を配した点で、接合部(縮径部分)の直径が一定に縮径される第1の実施の形態に係る杭基礎構造の改修方法と異なっている。
かかる杭基礎構造の改修方法は、(1)掘削工程と、(2)縮径工程と、(3)補強工程と、(4)埋め戻し工程とを備えている。
掘削工程は、図5(a)および(b)に示すように、杭基礎構造2の周囲の地盤Gを掘削することにより、杭21とパイルキャップ22との接合部20を露出させる工程である。
接合部20の周囲の掘削は、バックホウ等の掘削機械Mを利用して行い、必要に応じて、土留め工も行う。なお、第2の実施の形態では、掘削機械Mを利用して掘削を行うものとしたが、人力により掘削を行ってもよい。
縮径工程は、図5(b)に示すように、掘削工程により露出された接合部20について、コンクリートカッタCを利用して接合部20を縮径する工程である。
第2の実施の形態では、杭頭部の周縁を削り取ることにより接合部20の縮径を行う。
第2の実施の形態では、図4(c)に示すように、杭21の杭頭部を、杭21の上端に行くに従い、杭21の直径が狭まるように取り除いてテーパ26を形成する。また、本実施形態では、杭21の上端面の外周縁が、円を成すように配置された主筋R1の内側に位置するように、杭頭部の縮径を行い、あわせて、主筋R1も切断する。
なお、支持部材C1は鋼管に限定されないことはいうまでもない。
補強工程は、図4(c)、(d)および図5(c)に示すように、縮径工程において周縁が削り取られることにより形成されたテーパ26の直下の杭21の周囲を補強部材27で覆う工程である。
なお、第2の実施の形態では、外殻27aと充填材27bとにより補強部材27を構成するものとしたが、補強部材27はこれに限定されるものではなく、例えば、繊維補強シートや鋼板等の他の補強部材を使用することが可能である。また、外殻27aは鋼管に限定されない。また、テーパ部26についても補強部材27により補強する構成としてもよい。さらに、補強部材27で支持部材C1を代替させ、支持部材C1を省略することも可能である。
埋め戻し工程は、図5(d)に示すように、補強工程において、接合部20の補強が完了した箇所を埋め戻す工程である。埋め戻し工程が完了することで、杭基礎構造の改修方法が完了する。
ここで、図6は、構造物に横方向の荷重が作用した際の応力状態を示す模式図であって、(a)は従来の杭基礎構造を備える構造物、(b)は本発明の杭基礎構造の改修方法により改修された杭基礎構造を備える構造物を示している。また、図7は、図6に示す構造物の杭基礎構造を示す図であって、(a)は従来の杭基礎構造の接合部の拡大図、(b)は本発明の杭基礎構造の改修方法により改修された杭基礎構造の接合部の拡大図、(c)は(a)および(b)に示す接合部の曲げモーメントと回転変形との関係を示すグラフである。
例えば、前記各実施形態では、支持杭により構成された杭基礎構造について、改修工事を行う場合について説明したが、杭の形式は限定されるものではなく、例えば摩擦杭であってもよい。
かかる杭基礎構造の改修方法は、既存の構造物の杭基礎構造を構成する杭と基礎部材との接合部を露出させる掘削工程と、前記基礎部材を仮支承する仮支承工程と、露出された接合部を取り除くことで杭と基礎部材とを分離する分離工程と、分離された杭と基礎部材との間に該杭の断面積よりも小さい面積を有する接合部材を配置する接合工程とを備えている。
また、建物の基礎形式は、前記各実施形態に示したものに限定されるものではなく、例えば、パイルドラフト形式などであってもよい。
また、杭頭部の回転変形が可能であれば、主筋は切断しなくてもよい。
つまり、既存の建物が建っている状態で、杭と基礎部材との接合部を露出させた後、接合部の近傍のコンクリートを取り除くとともに杭と基礎部材との間に跨って配設された鉄筋を切断し、このコンクリートが取り除かれた部分に、モルタルやコンクリート等の充填材を充填することで、基礎部材と剛接合されていた杭頭部を半剛接合化させてもよい。
さらに、充填材が充填された接合部の外周囲を外殻で覆うことで、さらなる補強を行ってもよい。
かかる杭基礎構造の改修方法は、既存の構造物の杭基礎構造を構成する杭と基礎部材との接合部を露出させる掘削工程と、前記基礎部材を仮支承する仮支承工程と、露出された接合部を取り除くことで杭と基礎部材とを分離する分離工程と、分離された杭と基礎部材との間に充填材を充填する充填工程とを備えている。
さらに、充填材が充填された接合部の外周囲を補強部材で覆う工程を含んでいてもよい。
2 杭基礎構造
20 接合部
21 杭
22 パイルキャップ(基礎部材)
23 基礎梁
25 補強部材
Claims (5)
- 既存の構造物が建っている状態で杭基礎構造を構成する杭と基礎部材との接合部を露出させる工程と、
露出させた前記接合部の近傍のコンクリートを取り除く工程と、を備える杭基礎構造の改修方法であって、
前記接合部の断面積を、前記杭の断面積よりも縮小させることで、前記基礎部材と剛接合されていた杭頭部を半剛接合化させることを特徴とする、杭基礎構造の改修方法。 - 前記杭頭部の周縁のコンクリートを取り除くことで、前記接合部の断面積を縮小させて、前記基礎部材と剛接合されていた該杭頭部を半剛接合化させることを特徴とする、請求項1に記載の杭基礎構造の改修方法。
- 前記接合部の周縁において前記杭と前記基礎部材との間に跨って配設された鉄筋を切断することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の杭基礎構造の改修方法。
- 断面積が縮小された前記接合部の周囲を補強部材で覆う工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の杭基礎構造の改修方法。
- 剛接合されていた杭頭部を半剛接合化させる杭基礎構造の改修方法であって、
既存の構造物の杭基礎構造を構成する杭と基礎部材との接合部を露出させる工程と、
前記基礎部材を仮支承する工程と、
露出された前記接合部を取り除くことで前記杭と前記基礎部材とを分離する工程と、
分離された前記杭と前記基礎部材との間に該杭の断面積よりも小さい面積を有する接合部材を配置する工程と、を備えることを特徴とする、杭基礎構造の改修方法。
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