JP2009012501A - インフレータ及びエアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インフレ−タのガスの供給特性を容易に調整する。
【解決手段】カーテンエアバッグ装置にガスを供給するインフレ−タ12であり、第1のガス供給部41と、第2のガス供給部42と、1個の開放手段43とを備える。第1のガス供給部41の開口部41dと、第2のガス供給部42の開口部42dとを対向して配置する。開放手段43のスクイブ47が作動して、各開口部41d,42dのシール部41e,42eを開放すると、展開初期には、面積の大きい開口部41dを有する第1のガス供給部41が、面積の小さい開口部42dを有する第2のガス供給部42のガス流を抑制しつつ、迅速にガスを供給する。次いで、第2のガス供給部42が、長時間にわたり、ガスを供給する。
【選択図】図1
【解決手段】カーテンエアバッグ装置にガスを供給するインフレ−タ12であり、第1のガス供給部41と、第2のガス供給部42と、1個の開放手段43とを備える。第1のガス供給部41の開口部41dと、第2のガス供給部42の開口部42dとを対向して配置する。開放手段43のスクイブ47が作動して、各開口部41d,42dのシール部41e,42eを開放すると、展開初期には、面積の大きい開口部41dを有する第1のガス供給部41が、面積の小さい開口部42dを有する第2のガス供給部42のガス流を抑制しつつ、迅速にガスを供給する。次いで、第2のガス供給部42が、長時間にわたり、ガスを供給する。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、自動車の衝突時に乗員を保護するエアバッグにガスを供給するインフレータ及びインフレータを備えたエアバッグ装置に関する。
従来、ガスによりエアバッグを膨張させ自動車の乗員を保護するエアバッグ装置が用いられている。このようなエアバッグ装置は、センサからの信号により電流がガス発生装置であるインフレータに送られ、この電流によりインフレータが作動し、このインフレータから供給されたガスが袋状のエアバッグに送られ、エアバッグが急速に膨張する構成となっている。また、インフレータは、ガス発生剤の燃焼ガスを用いる燃焼型(火工式、パイロテクニックタイプ)の他、ボンベに貯蔵した貯蔵ガスを用いる貯蔵型(ストレージタイプ)や、貯蔵型と燃焼型とを複合したハイブリッドタイプなどが用いられている。
このようなインフレータについて、例えば、横転時にも乗員を保護可能なカーテンエアバッグなどのエアバッグ装置に用いるインフレータとして、起動した直後に大量のガスを供給してエアバッグを展開させるとともに、長時間にわたりガスの供給を継続して内圧を維持する特性などが求められる場合がある。
この点、例えば、圧縮したガスを貯蔵した第1ガス室及びこの第1ガス室からガスを供給させる第1作動装置を備えた膨張用ガス供給部材と、第1ガス室の上流側に接続され圧縮したガスを貯蔵した第2ガス室及びこの第2ガス室からガスを供給させる第2作動装置を備えた内圧保持用ガス供給部材とを具備したインフレータが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このように、いわば2個のガス供給部を備えるとともに、各ガス供給部をそれぞれ作動させる2個のスクイブを備える構成では、任意の時間差で各ガス供給部からガスを供給して、所望の特性の実現が図られるが、インフレータ自体の構造が複雑になるとともに、このインフレータを制御する系御系の配線なども複雑になり、部品点数の増加により製造コストが上昇するとともに質量も増加する問題を有している。また、この構成では、2個のガス供給部が直列に接続されているため、特性の調整の範囲が制限される問題を有している。
また、例えば、点火器を備えた点火手段室を囲み、第1燃焼室と第2燃焼室とを上下に重ねて配置するとともに、これら第1燃焼室と第2燃焼室とで点火手段室に開口する面積を異ならせた構成が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この構成では、第1燃焼室と第2燃焼室とで燃焼の開始及び燃焼の進行の状態とを異ならせて、所望の特性の実現が図られている。しかしながら、この構成では、2個の燃焼室を重ねて配置する構成に限られるため、特性の調整の範囲が限られるとともに、特性の調整が必ずしも容易でない問題を有している。
特開2002−225670号公報 (第5頁、図3)
特開2006−168670号公報 (第3頁、図1)
上記従来のように、2個のガス供給部及び2個のスクイブを備える構成では、構成が複雑になり、製造コストが上昇する問題を有している。また、1個のスクイブにより、重ねて配置した2個の燃焼室に順次点火する構成では、特性の調整の範囲が限られるとともに、特性の調整が必ずしも容易でない問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、所望の特性を容易に実現できるとともに製造コストを低減できるインフレータ及びエアバッグ装置を提供することを目的とする。
請求項1記載のインフレータは、エアバッグにガスを供給して膨張展開させるインフレータであって、互いに独立してガスを供給可能な第1のガス供給部及び第2のガス供給部と、前記第1のガス供給部に接続され、第1の面積の開口部を備えた第1のガス噴射口と、この第1のガス噴射口を開放可能に封止する第1のシール部と、前記第2のガス供給部に接続され、前記第1の面積より小さい第2の面積の開口部を前記第1の開口部に対向して備えた第2のガス噴射口と、この第2のガス噴射口を開放可能に封止する第2のシール部と、前記第1のシール部及び前記第2のシール部を同時に開放させ、前記第1のガス噴射口及び前記第2のガス噴射口からガスを噴射させる開放手段とを具備したものである。
そして、この構成では、開放手段が作動すると、この開放手段が第1のシール部及び第2のシール部を同時に開放させ、第1のガス噴射口及び第2のガス噴射口からガスを噴射させる。ここで、第1のガス噴射口の開口部の面積は第2のガス噴射口の開口部の面積より大きいため、第1のガス噴射口からは比較的大きな流量で短時間だけガスが供給され、第2のガス噴射口からは第1のガス噴射口と比べて小さな流量で長時間ガスが供給される。そして、開放手段が作動した初期には、第1のガス噴射口の開口部から噴射された第1のガス流は、第2のガス噴射口の開口部に向かって噴射されると同時に、第2のガス噴射口の開口部から噴射された第2のガス流が、第1のガス噴射口の開口部に向かって噴射されるが、より流量の大きな第1のガス流が第2のガス流の流量を抑制する。そこで、第1のガス噴射口を介して、第1のガス供給部のガスが急速に供給され、エアバッグを迅速に展開することが可能になる。次いで、この第1のガス供給部のガスの供給が減少すると、第2のガス流の流量を抑制する作用が減少し、第2のガス供給部のガスの供給が増加し、エアバッグが展開した状態を所定の時間にわたり維持することなどが可能になる。開放手段は第1のガス供給部及び第2のガス供給部に対して共通であり、複数系統の制御手段を備える構成に比べ、構成を簡略化して製造コストの低減が可能になる。第1のガス供給部のガスの容量、第2のガス供給部のガスの容量、及び各開口部の面積は互いに独立して自由に設定可能であり、これら容量及び面積を適宜設定することにより、所望の特性が容易に実現される。
請求項2記載のインフレータは、請求項1記載のインフレータにおいて、第1のガス噴射口から噴射されたガス及び第2のガス噴射口から噴射されたガスをエアバッグに供給する1個の供給管を備えたものである。
そして、この構成では、供給管により、インフレ−タとエアバッグとを接続する作業が容易になる。
請求項3記載のエアバッグ装置は、請求項1または2記載のインフレータと、このインフレータが供給するガスの吹き込みにより膨張展開するエアバッグとを具備したものである。
そして、この構成では、請求項1または2記載のインフレータを備えたため、エアバッグを所望の特性で膨張展開させることが容易になる。
請求項4記載のエアバッグ装置は、請求項3記載のエアバッグ装置において、エアバッグは、ガスの吹き込みにより膨張展開する一次展開部と、ガスの吹き込みにより内圧が所定の圧力を超えた状態で膨張展開する二次展開部とを備えたものである。
そして、この構成では、一次展開部と二次展開部とを備えたエアバッグに、ガスを供給する特性が段階的に変化する請求項1または2記載のインフレータによりガスを供給することにより、エアバッグの一次展開部と二次展開部とを所望の時点で展開させることが容易になる。
本発明によれば、エアバッグを容易に所望の特性で膨張展開できる。インフレ−タの構成を簡略化して製造コストを低減できる。
以下、本発明のインフレータ及びエアバッグ装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図2ないし図4において、1は自動車の車体で、この車体1の側部には、サイドウィンドウ3を備えた前後のドア部4があり、これらサイドウィンドウ3の上縁部に沿ったルーフサイド部5に、エアバッグ装置10が備えられている。このエアバッグ装置10は、サイドウィンドウ3を覆うようにエアバッグ11を膨張展開するいわゆるカーテンエアバッグ装置であり、ルーフサイド部5に細長く折り畳んで収納される袋状のエアバッグ11と、このエアバッグ11にガスを供給するインフレ−タ12とを備えている。なお、各図において、13はフロントガラス、14はAピラー、15はBピラー、16はCピラーであり、17は乗員用のハンドグリップである。また、Aは乗員を模したダミーの頭部である。また、前後方向、上下方向、及び両側方向などの方向は、自動車の車体1の直進方向を基準として説明する。
そして、エアバッグ11は、1枚の基布を折り返し、あるいは2枚の基布を重ね、これら基布の外周部を縫製し、扁平な袋状に形成されている。そして、エアバッグ11は、上縁部に沿って図示しない取付片部が所定間隔で複数形成され、これら取付片部が金属製のブラケットなどを介してルーフサイド部5に固定されている。
また、このエアバッグ11は、ガスが導入されるガス導入部20を備えるとともに、このガス導入部20に連通する膨張部である気室として、前側部に第1の気室である前席用展開部21、後側部に第2の気室である後席用展開部22、これら前席用展開部21と後席用展開部22との間に位置してこれら前席用展開部21の空間と後席用展開部22の空間とを連通する連通部23を備えるとともに、1枚の基布で構成され膨張展開しない非膨張部24を備えている。また、本実施の形態では、ガス導入部20は、エアバッグ11上縁部の、前後方向の略中央部である、前席用展開部21と連通部23との接続部分近傍に設定されているが、エアバッグ11の後端部などに設定することもできる。そして、前席用展開部21は、前席の乗員の側方に位置し、前側のサイドウィンドウ3を覆うように膨張展開する。また、後席用展開部22は、後席の乗員の側方に位置し、後側のサイドウィンドウ3の後部からCピラー16にかかる部分を覆うように膨張展開する。また、非膨張部24は、後側のサイドウィンドウ3の前側部に位置し、連通部23は、この非膨張部24の上側に位置する上部連通部23aと、非膨張部24の下側に位置する下部連通部23bとを備えている。さらに、前席用展開部21及び後席用展開部22には、内側の基布と外側の基布とを連結するように縫製して、エアバッグ11が展開する厚さ寸法を規制する規制部26が複数形成されている。また、このエアバッグ11では、図5に示すように、各規制部26は、規制部26の本体部26aの端末部が、円環状に縫製した保護部26bで囲まれて保護されている。さらに、エアバッグ11の外周の縫製部分及び各規制部26の縫製部分について、目止め用のシール密閉部28で覆われ、気室の密閉性が向上し、長時間の内圧保持が可能となっている。
さらに、このエアバッグ11の前席用展開部21、後席用展開部22、及び連通部23は、内部ベント部30により区画され、それぞれガス導入部20側に位置する一次展開部31と、ガス導入部20から離間する側に位置する二次展開部32とが形成されている。そして、各内部ベント部30は、規制部26の端末同士を所定の間隔で突き合わせ、あるいは規制部26の端末をエアバッグ11の外周の縫製部分に所定の間隔で突き合わせるなどして、所定の断面積の通路を形成する形成するとともに、この通路を、一定の圧力で離反する接着剤などのベント手段30aで開放可能に閉塞して構成されている。
そこで、このエアバッグ11は、後述するように、図2に示す状態から、インフレ−タ12から供給されるガスがガス導入部20から導入されると、まず、図3に示すように、各気室、すなわち前席用展開部21、後席用展開部22、及び連通部23の各一次展開部31にガスが供給されて迅速に膨張展開し、次いで、各気室の内圧が一定の圧力に達すると、図6に示すように、各内部ベント部30のベント手段30aが剥がれるなどして通路を開放し、図4に示すように、各二次展開部32にガスが供給されて膨張展開し、前席の乗員の頭部及び後席乗員の頭部を保護するようになっている。
また、インフレータ12は、本実施の形態では、基本的には貯蔵型であり、図1などに示すように、インフレ−タ本体部である連接管40と、この連接管40に接続された第1のガス供給部41、第2のガス供給部42、開放手段43、及び図2などに示す供給管44などを備えている。そして、連接管40は、直管状をなし、一端に第1のガス供給部41が気密に接続され、他端に第2のガス供給部42が気密に接続されている。そして、本実施の形態では、これら第1のガス供給部41及び第2のガス供給部42は、互いに独立してガスを供給可能な別体のボンベであり、それぞれヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの混合ガスが圧縮して充填されている。なお、本実施の形態では、第1のガス供給部41より第2のガス供給部42の方が容量が大きく、また、第1のガス供給部41と第2のガス供給部42とのガスの圧力は互いに等しく充填されている。
そして、第1のガス供給部41の第1のガス噴射口41aと、第2のガス供給部42の第2のガス噴射口42aとは、連接管40の内側で、互いに対向し、さらには、連接管40の中心軸にそれぞれガス噴射口41a,42aの中心軸を合わせて正対した状態で固定されている。さらに、これらガス噴射口41a,42aには、ガスの流量を調整する部材であるオリフィス41c,42cが設けられ、これらオリフィス41c,42cの円孔状の開口部41d,42dも、互いに正対して配置されている。そして、これら開口部41d,42dが、すなわち第1のガス供給部41及び第2のガス供給部42の開口部41d,42dであり、ガスの流量、すなわち単位時間に流出するガスの量であるマスフローレート(m〔Kg/s〕)を主として規定する。すなわち、この開口部41d,42dの面積を変えることで、マスフローレート(m)が変化し、インフレ−タ12の特性が変化する。そして、この実施の形態では、第1のガス供給部41の開口部41dの面積(第1の面積)が、第2のガス供給部42の開口部42dの面積(第2の面積)よりも、かなり大きく設定されている。さらに、第1のガス噴射口41a及び第2のガス噴射口42aには、各開口部41d,42dの外側に位置して、これらガス噴射口41a,42aを封止する第1のシール部41e及び第2のシール部42eが設けられている。各シール部41e,42eは、バーストディスクとも呼ばれ、破断可能な円盤として形成されている。
また、開放手段43は、連接管40の側部に固定され、先端部が、第1のガス噴射口41aと第2のガス噴射口42aとから等距離で、かつ、第1のガス噴射口41aと第2のガス噴射口42aとの中心軸上からは外れて位置するように配置されている。そして、この開放手段43は、先端側に収納された燃焼剤46と、この燃焼剤46に着火し燃焼させる点火器であるスクイブ47と、このスクイブ47に接続され連接管40の外側に露出するコネクタ48とを備えている。そして、このコネクタ48に、配線49を介して、車体1側に設けられた図示しない制御装置が接続され、開放手段43に電力を供給して作動させるようになっている。
さらに、連接管40の側部には、開放手段43に対向する位置に、開口部であるディフューザ50が設けられ、このディフューザ50に、供給管44が接続されている。そして、この供給管44は、1本の管状をなす本体部44aの先端部に、前後に分岐する管状をなす案内部44bが設けられ、この案内部44bが、エアバッグ11の内側に挿入され、ガス導入部20にガスを供給するようになっている。
次に、このインフレ−タ12及びエアバッグ11の動作を説明する。
センサからの信号により、制御装置が車体1の側方からの衝突あるいは車体1の横転などを検出すると、制御手段はインフレ−タ12の開放手段43に電力を供給する。すると、スクイブ47が作動して、燃焼剤46に着火、燃焼させ、この爆圧などで、第1のシール部41e及び第2のシール部42eを同時に割って開放し、すなわち、第1のガス噴射口41aと第2のガス噴射口42aとを同時に開放する。
すると、第1のガス噴射口41a及び第2のガス噴射口42aから同時に、第1のガス供給部41及び第2のガス供給部42に充填されたガスが噴射され、ディフューザ50及び連接管40を介してエアバッグ11内で前後方向にガスを噴射し、エアバッグ11を膨張展開させる。
この時、インフレ−タ12は、第1のガス噴射口41a及び第2のガス噴射口42aが互いに向き合わされ、第1のガス噴射口41aから供給される第1のガス流G1と第2のガス噴射口42aから供給される第2のガス流G2とが相互に吹き当てるように配置されているため、初期においては、図7に線M1で示すマスフローレートのように、ガス流量の大きい第1のガス供給部41が、ガス流量の小さい第2のガス供給部42が吹き出すガスを制しつつ、大量のガスを迅速にエアバッグ11に供給し、エアバッグ11を迅速に展開できる。そして、この第1のガス供給部41のガス流量のピークが過ぎたところで、図7に線M2で示すマスフローレートのように、第2のガス供給部42のガス噴射が実質的に始まる。そこで、インフレ−タ12の全体としては、図8に示すガスの圧力のように、いわば2段階に特性が変化し、衝突の直後に大量のガスを供給するとともに、衝突時(図8に示すT1前)から横転時(図8に示すT1以後)にかけて、時間軸の後方に向かって噴射カーブが延び、車体1の横転時にも内圧を長い時間にわたり維持できる特性が実現される。
そして、このインフレ−タ12からガスが供給されるエアバッグ11は、図2に示す状態から、ガス導入部20にガスが導入されると、まず、図3に示すように、各気室、すなわち前席用展開部21、後席用展開部22、及び連通部23の各一次展開部31にガスが供給されて迅速に膨張展開し、一次展開状態となって、衝突時(図9に示すT1前)及び横転時(図9に示すT1以後)に必要な範囲で展開し、前席の乗員の頭部及び後席乗員の頭部を迅速に保護する。さらに、図9に示すように、各気室の内圧が一定の圧力(P1)に達した時点T2で、いわば拡大展開が開始し、各内部ベント部30のベント手段30aが剥がれるなどして通路を開放し、図4に示すように、各二次展開部32にガスが供給されて膨張展開し、二次展開状態となって、さらに広い範囲で前席の乗員の頭部及び後席乗員を保護し、乗員の車外放出を防止するようになっている。
このように、本実施の形態によれば、インフレ−タ12は、ガス流量の異なる複数の特性を備えた第1のガス供給部41及び第2のガス供給部42を備え、これらガス供給部41,42の第1のガス噴射口41aと第2のガス噴射口42aとを対向して配置するとともに、第1のガス噴射口41aの開口部41dの面積を第2のガス噴射口42aの開口部42dの面積より大きく設定したため、開放手段43によりこれらガス噴射口41a,42aを開放すると、初期には、第1のガス噴射口41aの開口部41dから噴射された第1のガス流G1が第1のガス噴射口42aの開口部42dから噴射された第2のガス流G2の流量を抑制する。そこで、ガスを供給する特性を容易に調整でき、いわばマスフローレートについて1山波形ではない2山波形を容易に実現でき、初期にはガスを迅速に供給してエアバッグ11を迅速に展開し、続いて所定のガス流を長時間、例えば数秒間供給し続け、エアバッグ11の内圧を維持できるとのカーテンエアバッグなどに好ましい特性を容易に実現できる。
そして、第1のガス供給部41及び第2のガス供給部42は、互いに独立してガスを供給可能であり、容量を自由に設定できるとともに、各ガス供給部41,42のガス噴射口41a,42aの開口部41d,42dの面積も独立して自由に設定できるため、これらガス供給部41,42の容量及び開口部41d,42dの面積を適宜設定することにより、所望の特性を制限されずに広い範囲で容易に実現できる。
また、開放手段43は、第1のガス供給部41及び第2のガス供給部42に対して共通であり、各ガス供給部41,42のシール部41e,42eを同時に開放するため、スクイブ47が一個で良く、複数系統の制御手段を備える構成に比べ、構成を簡略化して製造コストを容易に低減できる。
また、第1のガス供給部41及び第2のガス供給部42から供給されるガスは、1の供給管44を介してエアバッグ11に連結されて供給されるため、インフレ−タ12とエアバッグ11とを接続する構造を簡略化し、接続作業を容易にできる。
さらに、本実施の形態では、上記のインフレ−タ12を、圧力に応じて容積を段階的に変化させて展開するエアバッグ11と組み合わせることにより、2段階に展開する時点の制御を容易に実現でき、エアバッグ11の一次展開部31と二次展開部32とを所望の時点で展開させることが容易になり、製造コストの上昇を抑制しつつ、長時間にわたり広い面積を保護できる展開特性を容易に実現できる。
なお、上記の実施の形態では、エアバッグ11は、車体1の側部に備えるカーテンエアバッグとしたが、この構成に限られず、ステアリングホイールに備える運転者用のエアバッグとすることもできる。
例えば、図10に示すように、運的席の座席60に着席した乗員に対向して扁平な円盤状に膨張展開するエアバッグ61に、上記のインフレ−タ12を接続し、エアバッグ装置10を構成することもできる。また、図10において、A1は比較的小柄な乗員を模したダミーであり、A2は比較的大柄な乗員を模したダミーである。そして、小柄な乗員のステアリングホイールすなわちエアバッグ装置10までの距離L1は、大柄な乗員のステアリングホイールすなわちエアバッグ装置10までの距離L2よりも小さいことが想定されている。また、このエアバッグ61は、容積が変化せずに一定である通常のエアバッグ61が用いられている。
そして、このエアバッグ61に用いるインフレ−タ12は、図11に示すように、線M1で示す第1のガス供給部41のマスフローレート、線M2で示す第2のガス供給部42のマスフローレートが設定され、インフレ−タ12全体のマスフローレートは、破線M3で示すよう2個の山を有するグラフとなる。
そこで、一定の容積を有するエアバッグ61の内圧は、図12に示すように、2個の山(P1,P2)を有する2段階となり、エアバッグ装置10に接近した小柄な乗員と、エアバッグ装置10から離間した大柄な乗員とに対して、それぞれ最適な圧力域(W1,W2)を実現することができる。
また、インフレ−タ12のガス供給部41,42は、上記の実施の形態のように、ボンベに貯蔵した貯蔵ガスを用いる貯蔵型(ストレージタイプ)が噴出ガスの温度が低く、膨らんだエアバッグ11,61に充填された状態でも体積収縮が少ないために、経時的に内圧の低下が緩やかになり、長時間の圧力保持を可能とするから、本願発明に適用するインフレータ12の形式として好ましいが、この貯蔵型に限られず、ガス発生剤の燃焼ガスを用いる燃焼型や、貯蔵型と燃焼型とを複合したハイブリッドタイプのいずれを用いても、マスフローレートの小さい側のガス供給部(第2のガス供給部42)のガス噴射を抑制し、同様の効果を実現できる。
例えば、燃焼型では、第1のガス供給部及び第2のガス供給部はそれぞれ燃焼室となり、燃焼材などが充填される。燃焼材も燃焼開始から極めて高速の燃焼をするものや、高速に燃焼はするものの中でも比較的ゆっくりのものもあって、これらを適宜選択することにより、本願発明の奏する効果をより高めることができる。そして、スクイブの作動により各ガス供給部の燃焼材が同時に点火されて、窒素(N2)などのガスを供給するようになっている。
本発明は、自動車の側部に備えられるいわゆるカーテンエアバッグ装置、ステアリングホイールに備えられるエアバッグ装置の他、座席の側部に備えられるサイドエアバッグ装置、助手席乗員用のエアバッグ装置などのエアバッグ装置に適用できる。
10 エアバッグ装置
11,61 エアバッグ
12 インフレータ
31 一次展開部
32 二次展開部
41 第1のガス供給部
41a 第1のガス噴射口
41d 開口部
41e 第1のシール部
42 第2のガス供給部
42a 第2のガス噴射口
42d 開口部
42e 第2のシール部
43 開放手段
44 供給管
11,61 エアバッグ
12 インフレータ
31 一次展開部
32 二次展開部
41 第1のガス供給部
41a 第1のガス噴射口
41d 開口部
41e 第1のシール部
42 第2のガス供給部
42a 第2のガス噴射口
42d 開口部
42e 第2のシール部
43 開放手段
44 供給管
Claims (4)
- エアバッグにガスを供給して膨張展開させるインフレータであって、
互いに独立してガスを供給可能な第1のガス供給部及び第2のガス供給部と、
前記第1のガス供給部に接続され、第1の面積の開口部を備えた第1のガス噴射口と、
この第1のガス噴射口を開放可能に封止する第1のシール部と、
前記第2のガス供給部に接続され、前記第1の面積より小さい第2の面積の開口部を前記第1の開口部に対向して備えた第2のガス噴射口と、
この第2のガス噴射口を開放可能に封止する第2のシール部と、
前記第1のシール部及び前記第2のシール部を同時に開放させ、前記第1のガス噴射口及び前記第2のガス噴射口からガスを噴射させる開放手段とを具備した
ことを特徴とするインフレータ。 - 第1のガス噴射口から噴射されたガス及び第2のガス噴射口から噴射されたガスをエアバッグに供給する1個の供給管を備えた
ことを特徴とする請求項1記載のインフレータ。 - 請求項1または2記載のインフレータと、
このインフレータが供給するガスの吹き込みにより膨張展開するエアバッグと
を具備したことを特徴とすエアバッグ装置。 - エアバッグは、ガスの吹き込みにより膨張展開する一次展開部と、ガスの吹き込みにより内圧が所定の圧力を超えた状態で膨張展開する二次展開部とを備えた
ことを特徴とする3記載のエアバッグ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007173426A JP2009012501A (ja) | 2007-06-29 | 2007-06-29 | インフレータ及びエアバッグ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007173426A JP2009012501A (ja) | 2007-06-29 | 2007-06-29 | インフレータ及びエアバッグ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009012501A true JP2009012501A (ja) | 2009-01-22 |
Family
ID=40353943
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007173426A Pending JP2009012501A (ja) | 2007-06-29 | 2007-06-29 | インフレータ及びエアバッグ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009012501A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010122827A1 (ja) * | 2009-04-21 | 2010-10-28 | 本田技研工業株式会社 | 車両用乗員保護装置 |
JP2014069612A (ja) * | 2012-09-27 | 2014-04-21 | Toyoda Gosei Co Ltd | 頭部保護エアバッグ装置 |
-
2007
- 2007-06-29 JP JP2007173426A patent/JP2009012501A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010122827A1 (ja) * | 2009-04-21 | 2010-10-28 | 本田技研工業株式会社 | 車両用乗員保護装置 |
JP2014069612A (ja) * | 2012-09-27 | 2014-04-21 | Toyoda Gosei Co Ltd | 頭部保護エアバッグ装置 |
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