図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態に係る複合機10の外観斜視図である。この複合機10は、下部にプリンタ部11を、上部にスキャナ部12を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。この複合機10のうちプリンタ部11が本発明に係るインクジェット記録装置に相当する。この複合機10において、プリンタ機能以外の機能は、任意のものであって省略されていてもよい。すなわち、本発明は、スキャナ部12がなく、スキャナ機能やコピー機能を有しない単機能のプリンタとして実施されてもよい。
複合機10は、主に図示されていないパーソナルコンピュータと接続され、このパーソナルコンピュータから送信される画像データや文書データを含む印刷データに基づいて、記録媒体の一例である記録用紙に画像や文書が記録される。ただし、複合機10の使用態様はかかる態様に限定されるものではなく、複合機10がデジタルカメラ等の外部機器と接続され、デジタルカメラから出力される画像データが記録用紙に記録されたり、メモリカード等の各種記憶媒体が複合機10に装填され、この記憶媒体に記憶された画像データ等が記録用紙に記録されることも可能である。なお、本明細書において開示される複合機10の構成は、本発明に係るインクジェット記録装置の一例であり、本発明の要旨を変更しない範囲で構成が適宜変更され得るものであることは当然である。
プリンタ部11は、正面に開口13が形成されており、この開口13から一部が露呈するようにして給紙トレイ14及び排紙トレイ15が上下2段に設けられている。給紙トレイ14は、記録用紙を貯蔵するためのものである。この給紙トレイ14に収容された記録用紙は、プリンタ部11の内部へ給送され、所望の画像が記録された後に排紙トレイ15へ排出されるようになっている。
複合機10の正面上部に操作パネル20が設けられている。この操作パネル20は、プリンタ部11やスキャナ部12を操作するための各種操作ボタンや液晶表示部を備えている。複合機10は、この操作パネル20からの操作指示に基づいて動作する。また、複合機10がパーソナルコンピュータに接続されている場合には、当該複合機10は、パーソナルコンピュータからプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信される指示に基づいても動作する。さらに、複合機10の正面にスロット部21が設けられている。記憶媒体である各種小型メモリカードは、このスロット部21に装填されるようになっている。操作パネル20からの入力に基づいて、スロット部21に装填された小型メモリカードに記録された画像データが読み出され、この画像データに関する情報が液晶表示部に表示され、あるいは、任意の画像がプリンタ部11により記録用紙に記録される。
図2は、プリンタ部11の主要な構成を示す斜視図である。プリンタ部11には、主に、給紙トレイ14と、給紙トレイ14の上方に設置されている給紙ローラ25と、給紙トレイ14の奥方から立設し、給紙ローラ25から給紙される記録用紙を搬送する搬送経路を形成する搬送ガイド体50と、搬送ガイド体50の下流側であって、搬送ローラ60と排紙ローラ62との間に往復移動可能に設置されている記録ヘッド39と、記録ヘッド39のインク吐出面と対向配置されているプラテン42とが設けられている。
給紙トレイ14は、上面が開放された略箱状に形成されており、その内部に記録用紙が積載収納される。また、給紙トレイ14の側壁には、図2では不図示の排紙トレイ15(図1参照)を支持する支持部14aが形成されており、排紙トレイ15は、支持部14a上にスライド可能に支持されている。
給紙ローラ25は、給紙トレイ14に積載されている記録用紙に当接した状態で回転し、記録用紙を搬送ガイド体50に形成されている搬送経路を経由して搬送ローラ60に給紙する。給紙ローラ25はアーム51の一端に回転可能に軸支されている。アーム51は、シャフト52に対して振り子状に回動可能に支持されており、給紙トレイ14に積載されている記録用紙の積載量に応じて、アーム51と記録用紙とのなす角度が可変するように構成されている。また、アーム51の内部には、図示しない複数個の歯車が直線状に並べて設置されており、この歯車を介して給紙ローラ25が回転する。
搬送ガイド体50は、給紙ローラ25から給紙された記録用紙を搬送ローラ60までU字状に搬送する搬送経路を形成するものである。搬送ローラ60には、搬送ローラ60に追従して回転する従動ローラ(図示せず)が対向配置されており、搬送経路を経由して搬送された記録用紙は、この搬送ローラ60と従動ローラとに挟持され、記録ヘッド39とプラテン42との間に搬送される。
記録ヘッド39は、インク滴を吐出して画像を形成するものであり、キャリッジ38に搭載され、主走査方向に往復移動可能に構成されている。記録ヘッド39には、複合機10に着脱自在に設置されるインクカートリッジ(図示せず)からシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色のインクが供給される。
プラテン42は、記録ヘッド39の下方に対向配置されており、搬送ローラ60から搬送される記録用紙を記録ヘッド39とは反対側から支持する。インクが供給された記録ヘッド39は、往復移動しながらインクを微小なインク滴としてプラテン42側に吐出し、プラテン42上に搬送される記録用紙に対して画像を形成する。尚、主走査方向においてプラテン42と隣接する位置には、パージ機構や廃インクトレイ等が設けられたメンテナンスユニット48が配設されている。これらメンテナンスユニット48により、記録ヘッド39内の気泡や混色インクの除去等のメンテナンスが行われる。
プラテン42を搬送ローラ60との間に挟んで設置されている排紙ローラ62には、排紙ローラ62に追従して回転する従動ローラ(図示せず)が対向配置されており、記録ヘッド39とプラテン42との間を経由して搬送される記録済みの記録用紙は、この排紙ローラ60と従動ローラとに挟持され、排紙トレイ15(図1参照)に排紙される。
図3(a)は、図2に示すプラテン42の上面を拡大して示す拡大斜視図である。図3(b)は、図3(a)に示すIIIb−IIIb断面図線におけるプラテン42の断面図である。尚、図3(a)における、矢印Hの方向は、記録用紙の搬送方向を示している。
プラテン42は、記録ヘッド39に対向して配置され、搬送される記録用紙を支持するものであり、主に、フレーム41と、可動リブ46と、可動リブ46をスライド駆動する駆動機構58(図5参照)とが設けられている。
フレーム41は、プラテン42の骨格をなし、中空箱状に構成されている。例えば合成樹脂や鋼板からなり、複合機10に係止固定されている。フレーム41の上面には、搬送方向に沿って延びる複数のスリット49が並列に穿設されている。スリット49からは、中空箱状のフレーム41内に設けられている可動リブ46の一部が突出している。可動リブ46は、プラテン42のフレーム41内を、駆動機構58によって搬送方向と、その反対方向とに往復移動し、スリット49から突出する部分によって記録用紙を支持して記録用紙を搬送する。
また、図3(b)に示すように、フレーム41の側壁の内面には、搬送方向における上流側に第1インク吸収体47a、下流側に第2インク吸収体47bが設置されている。第1,第2インク吸収体47a,47bは、可動リブ46の端部46a,46bに集中するインクを吸い取り、可動リブ46からインクを除去するためのものである。第1,第2インク吸収体47a,47bは、例えば、スポンジ、フォーム等のインクを吸収可能な材料によって構成することができる。
次に、図4および図5を参照して、可動リブ46について説明する。図4は、プラテン42のフレーム41の上側カバーを外した状態を示す斜視図である。図5は、図4のA部分に示すリブ53の拡大斜視図である。可動リブ46には、箱状に形成されたリブベース52と、そのリブベース52上に突設されたリブ53とが設けられている。
リブベース52は、複数のリブ53を立接するベースであり、フレーム41の底板41aに穿設された長孔54を介して後述する駆動機構58と連結され、駆動機構58によって搬送方向Hと、その反対方向とにスライド可能に支持されている。
リブ53は、リブベース52の上面に、主走査方向に沿って所定間隔で複数並設されている。リブ53は、山状に形成されており、頂から搬送方向Hの上流側に向かって延びる溝53aと、頂から搬送方向Hの下流側とに向かって延びる溝53bとが形成されている。記録ヘッド39から吐出されたインクは、この溝53a,53bを流下して可動リブの端部46a,46bに集中することになる。
そして、リブベース52を駆動機構58によって搬送方向Hとその反対方向とにスライドさせ、可動リブ46の端部46a,46bを、第1,第2インク吸収体47a,47bに接触させることで、端部46a,46bに集中したインクを、第1,第2インク吸収体47a,47bに吸収させ、可動リブ46からインクを除去することができる。
尚、このリブ53の配置ピッチは、フレーム41の上面に形成されたスリット49(図3参照)のピッチに対応しており、このリブ53の頂部分が、各スリット49から突出して、記録用紙を記録ヘッド39の反対側から支持している。
次に、図6を参照して、駆動機構58について説明する。図6は、プラテン42を裏側(記録ヘッド39とは反対側)から見た斜視図である。駆動機構58は、可動リブ46を搬送方向と、その反対方向とにスライドさせるためのものであって、伝動機構511と、回転板512と、連結バー513とが設けられている。
伝動機構511は、可動リブ46の一端側に隣接して配置され、排紙ローラ62から回転板512に回転力を伝達する複数のローラ群によって構成される。また、伝達機構511には、可動リブ46が後述する初期位置にある場合に、排紙ローラ62から回転板512に伝達する回転力を遮断する図示しないキャリッジレバーが設けられている。可動リブ46が初期位置にある場合には、このキャリッジレバーによって、排紙ローラ62から回転板512には回転力が伝達されず、キャリッジ38をキャリッジレバーに衝突させることで、排紙ローラ62から回転板512に回転力が伝達されるのが許容される。
回転板512は、円盤状に形成され、回転軸514(図4参照)によって回転可能に軸支されている。回転板512には、この回転軸514に対して偏心したカム溝515が形成されている。
連結バー513は、回転板512と可動リブ46とを連結するものである。連結バー513の一端は、図示しない係合ピンを介して回転板512のカム溝515と連結されており、他端側は、長孔54を貫通する図示しない係合ピンを介して可動リブ46(リブベース53)と連結されている。また、連結バー513は、回転軸516を中心に回転軸516を挟む一端側と他端側とが回転可能に連結されている。よって、回転板512が回転すると、その回転板512の回転に伴って、連結バー513は回転軸516を中心に円弧状に揺動して、可動リブ46がフレーム41上を、搬送方向Hと、その反対方向とに移動する。
図7は、複合機10の制御部64の構成を示すブロック図である。制御部64は、プリンタ部11のみでなくスキャナ部12も含む複合機10の全体動作を制御するものであるが、スキャナ部12は本発明の主要な構成ではないので詳細な説明は省略する。制御部64は、図に示すように、CPU(Central Processing Unit)65、ROM(Read Only Memory)66、RAM(Random Access Memory)67、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)68を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス69を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)70に接続されている。
ROM66には、複合機10の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。例えば、図8に示す可動リブ制御処理を実行させるプログラム66aと、図11に示すクリーニング処理を実行させるクリーニングプログラム66bとが格納されている。RAM67は、CPU65が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。
EEPROM68には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。EEPROM68には、縁なし印刷回数カウンタ68aと、第1往復回数カウンタ68bと、第2往復回数カウンタ68cとが設けられている。縁なし印刷回数カウンタ68aは、縁なし印刷回数をカウントするものであり、このカウント数が所定の閾値以上になった場合には、図11に示すクリーニング処理が自動的に実行される。第1往復回数カウンタ68bは、そのクリーニング処理において、可動リブ46の端部46aと第1インク吸収体47aとの衝突回数をカウントするものであり、第2往復回数カウンタ68cは、可動リブ46の端部46bと第1インク吸収体47bとの衝突回数をカウントするものである。
ASIC70は、CPU65からの指令に従い、LF(搬送)モータ71に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をLFモータ71の駆動回路72に付与し、該駆動回路72を介して駆動信号をLFモータ71に通電することにより、LFモータ71の回転制御を行っている。
駆動回路72は、給紙ローラ25、搬送ローラ60、排紙ローラ62などに接続されたLFモータ71を駆動させるものであり、ASIC70からの出力信号を受けて、LFモータ71を回転するための電気信号を形成する。該電気信号を受けてLFモータ71が回転し、該LFモータ71の回転力がギアや駆動軸等からなる周知の駆動機構を介して、給紙ローラ25、搬送ローラ60、排紙ローラ62へ伝達される。
ASIC70は、CPU65からの指令に従い、CR(キャリッジ)モータ73に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をCRモータ73の駆動回路74に付与し、該駆動回路74を介して駆動信号をCRモータ73に通電することにより、CRモータ73の回転制御を行っている。
駆動回路74は、上記キャリッジ38に接続されたCRモータ73を駆動させるものであり、ASIC70からの出力信号を受けて、CRモータ73を回転するための電気信号を形成する。該電気信号を受けてCRモータ73が回転し、該CRモータ73の回転力がキャリッジ38へ伝達されことによりキャリッジ38が往復動される。
駆動回路75は、記録ヘッド39から所定のタイミングでインクを記録用紙に対して選択的に吐出させるものであり、CPU65から出力される駆動制御手順に基づいてASIC70において生成された出力信号を受け、記録ヘッド39を駆動制御する。
ASIC70には、スキャナ部12や、複合機10の操作指示を行うための操作パネル20、各種小型メモリカードが挿入されるスロット部21、パソコン等の外部機器とパラレルケーブルやUSBケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインタフェース78及びUSBインタフェース79、レジストセンサ26等が接続されている。さらに、ファクシミリ機能を実現するためのNCU(Network Control Unit)80やモデム(MODEM)81が接続されている。
レジストセンサ26は、給紙ローラ25と搬送ローラ60との間に設置されており、給紙ローラ25から給紙される記録用紙の先端を検出した場合に「ON」信号を出力し、その終端を検出した場合に「OFF」信号を出力する。
次に図8乃至図10を参照して可動リブ制御処理について説明する。図8は、可動リブ制御処理を示すフローチャートである。図9および図10は、可動リブ制御処理における可動リブ46の動作を模式的に示す図である。
図8に示す可動リブ制御処理は、縁なし印刷の実行がユーザーから指示された場合に、可動リブ46が所定位置に移動するように制御する処理でありCPU65によって実行される。
この処理では、まず、レジストセンサ26がONかを判断する(S801)。ONでなければ(S801:No)、S801の処理を繰り返し、ONであれば(S801:Yes)、キャリッジ38をキャリッジレバーに衝突させるようにCRモータ73を駆動する(S802)。
そして、第1インク吸収体47aと可動リブ46の端部46aとが接触する第1位置に可動リブ46が移動するようにLFモータ71を駆動する(S803)。可動リブ46が第1位置に到達すると、搬送ローラ60から記録用紙が可動リブ46の上に搬送され、更に、記録ヘッド39によって記録用紙の先端にインク滴が吐出される。
その後は、記録用紙の搬送に追従させ、第2インク吸収体47bと可動リブ46の端部46bとが接触する第2位置に可動リブ46が移動するようにLFモータ71を駆動する(S804)。そして、可動リブ46が第2位置に到達すると、再び、可動リブ46が初期位置に移動するようにLFモータ71を駆動する(S805)。
ここまでの処理を、図9、図10(a)を参照して説明する。図9(a)に示すように、初期状態(縁なし印刷の実行が指示される前の状態)では、可動リブ46は可動リブ46の可動範囲の中心位置である初期位置に位置している。この状態では、可動リブ46が搬送方向Hの反対方向に移動するのが、キャリッジレバーによって規制されている。よって、縁なし印刷の実行が指示され、且つ、レジストセンサ26によって記録用紙Pの先端が検出された場合には、キャリッジ38をキャリッジレバーに衝突させ、その規制を解除する。
そして、図9(b)に示すように、LFモータ71を駆動して、初期位置に位置する可動リブ46を第1インク吸収体47aと可動リブ46の端部46aとが接触する第1位置に移動させる。すると、搬送ローラ60によって搬送される記録用紙Pの先端が可動リブ46に支持される。記録用紙Pの先端が可動リブ46に支持されると、記録ヘッド39から記録用紙Pの先端にインク滴が吐出される。この場合、縁なし印刷では、記録用紙Pの先端よりも上流側にインク滴を吐出するので、インク滴が可動リブ46のリブ53に形成されている溝53bに付着することになる。
その後は、図9(c)に示すように、再び、LFモータ71を再び駆動して、搬送ローラ60によって搬送される記録用紙Pに追従するように、可動リブ46を、第1位置から第2インク吸収体47bと可動リブ46の端部46bとが接触する第2位置に移動させる。そして、可動リブ46が第2位置に移動すると、可動リブ46が移動している間に、溝53bに沿って流下して可動リブ46の端部46bに集中しているインクが、第2インク吸収体47bによって吸収される。
そして、可動リブ46を第2位置に所定時間停止させた後で、図10(a)に示すように、LFモータ71を駆動して、第2位置に位置する可動リブ46を初期位置に移動させる。尚、可動リブ46を第2位置に所定時間停止させることで、第2インク吸収体47bによって可動リブ46の端部46bに集中しているインクを吸収する時間を確保することができる。
再び、図8に戻り説明を続ける。S805において、可動リブ46を再び初期位置に移動させると、次に、レジストセンサ26がOFFかを判断する(S806)。OFFでなければ(S806:No)、S806の処理を繰り返し、OFFであれば(S806:Yes)、上述したS802〜S805と同様に、S807〜S810を実行する。即ち、S806〜S810は、記録用紙の終端を可動リブ46によって支持しつつ搬送する処理である。
よって、上述したのと同様に、キャリッジ38をキャリッジレバーに衝突させるようにCRモータ73を駆動する(S807)。そして、初期位置に位置する可動リブ46が第1位置に移動するようにLFモータ71を駆動する(S808)。更に、第1位置に位置する可動リブ46が第2位置に移動するようにLFモータ71を駆動する(S809)。そして、可動リブ46が第2位置に到達すると、再び、可動リブ46が初期位置に位置するようにLFモータ71を駆動する(S810)。こうして、1枚分の記録用紙を可動リブ46によって支持しながら搬送することができる。
こうして、1枚分の記録用紙の縁なし印刷が終了すると、縁なし印刷回数カウンタ68aに「1」を加算し(S811)、縁なし印刷が終了したかを判断し(S812)、終了していなければ(S812:No)、再び、S801からの処理を繰り返し、終了していれば(S812:Yes)、本処理を終了する。
ここまでの処理を、図10を参照して説明する。図10(a)に示すように、可動リブ46はレジストセンサ26がOFFになるまでは、初期位置に位置する。そして、レジストセンサ26がOFFになると、即ち、記録用紙Pの終端を検出した場合には、キャリッジ38をキャリッジレバーに衝突させ、可動リブ46が搬送方向Hの反対方向に移動するのを解除する。
そして、図10(b)に示すように、LFモータ71を駆動して、初期位置に位置する可動リブ46を第1位置に移動させる。すると、搬送ローラ60によって搬送される記録用紙Pの終端が可動リブ46に支持される。記録用紙Pの終端が可動リブ46に支持されると、記録ヘッド39から記録用紙Pの終端にインク滴が吐出される。この場合、縁なし印刷では、記録用紙Pの終端よりも上流側にインク滴を吐出するので、インク滴が可動リブ46のリブ53に形成されている溝53aに付着することになる。
その後は、図10(c)に示すように、再び、LFモータ71を再び駆動して、搬送ローラ60によって搬送される記録用紙Pに追従するように、可動リブ46を、第1位置から第2インク吸収体47bと可動リブ46の端部46bとが接触する第2位置に移動させる。そして、所定時間後に、再び、LFモータ71を駆動して、第2位置に位置する可動リブ46を初期位置に移動させる。
一方、可動リブ46のリブ53に形成されている溝53aに付着して、溝53aに沿って可動リブ46の端部46aに集中しているインクは、記録用紙Pの次の記録用紙(図示せず)について縁なし印刷がされる場合、図9(b)に示すように、可動リブ46は第1位置に移動するので、この間に第1インク吸収体47aによって吸収される。
次に、図11及び図12を参照して、クリーニング処理について説明する。図11は、クリーニング処理を示すフローチャートである。図12は、可動リブ制御処理における可動リブ46の動作を模式的に示す図である。クリーニング処理は、可動リブ46に付着しているインクを除去(クリーニング)する処理であり、クリーニングプログラム66bに従って所定時間毎に実行される。
この処理では、まず、縁なし印刷回数カウンタ68aは閾値以上か否かを判断する(S1101)。閾値以上でなければ(S1101:No)、本処理を終了し、無駄にクリーニング処理を実行し、第1,第2インク吸収体47a,47bが劣化するのを抑制している。一方、縁なし印刷回数カウンタ68aが、閾値以上であれば(S1101:Yes)、第1,第2往復回数カウンタ68a,68bを初期化する(S1102)。そして、CRモータ73を駆動して、キャリッジ38をキャリッジレバーに衝突させた後、第1インク吸収体47aと可動リブ46の端部46aとが接触する第1位置に可動リブ46が移動するようにLFモータ71を駆動する(S1103)。
本実施形態では、図12(a)に示すように、縁なし印刷を実行した後は、可動リブ46は、初期位置に位置しているので、上述したのと同様に、可動リブ46が初期位置に位置している場合、可動リブ46が搬送方向Hの反対方向に移動するのが、キャリッジレバーによって規制されているので、キャリッジ38をキャリッジレバーに衝突させ、その規制を解除する。
そして、その初期位置に位置する可動リブ46を図12(b)に示すように、第1インク吸収体47aと可動リブ46の端部46aとが接触する第1位置に可動リブ46が移動するように、LFモータ71に所定パルスを出力する。
再び、図11に戻り説明を続ける。可動リブ46が第1位置に到達すると、所定時間が経過したか否かを判断する(S1104)。これにより、可動リブ46の端部46aに集中しているインクを第1インク吸収体47aが吸収する時間を確保することができる。
次に、第1往復回数カウンタ68aに「1」を加算した後(S1105)、その第1往復回数カウンタ68aが閾値以上かを判断する(S1106)。その結果、閾値以上でないと判断した場合には(S1106:No)、第1位置と、第1位置から所定距離離れた第3位置との間を可動リブ46が往復移動するようにLFモータ71に所定パルスを出力する(S1107)。その後、再びS1104からの処理を繰り返す。即ち、第1往復回数カウンタ68aが閾値以上になるまで(S1106:Yes)、S1107の処理を繰り返す。
このように、S1107の処理では、図12(b)に示すように、第1位置に位置する可動リブ46を、第1位置から搬送方向Hに所定距離離れた第3位置に移動させ(一点鎖線参照)、その後再び、可動リブ46を第1位置に移動させ、所定時間経過したら、再び、同じ往復移動をするように制御する。これを複数回繰り返すのである。
この往復移動により、可動リブ46が振動され、溝53a上で滞留しているインクがあったとしても、その滞留しているインクを溝53aに沿って流下させて可動リブ46の端部46aに集中させることができ、そのインクを第1インク吸収体47aに吸収させることができる。
一方、S1106の処理において、第1往復回数カウンタ68aが閾値以上であると判断した場合には(S1106:Yes)、第2インク吸収体47bと可動リブ46とが接触する第2位置に可動リブ46が移動するようにLFモータ71に所定パルスを出力する(S1108)。即ち、図12(b)の第1位置に位置する可動リブ46(実線参照)を、図12(c)の第2位置に移動する(実線参照)。
そして、可動リブ46が第2位置に到達すると、所定時間が経過したか否かを判断する(S1109)。これにより、可動リブ46の他端部46bに集中しているインクを第2インク吸収体47bが吸収する時間を確保することができる。
次に、第2往復回数カウンタ68bに「1」を加算した後(S1110)、その第2往復回数カウンタ68bが閾値以上かを判断する(S1111)。その結果、閾値以上でないと判断した場合には(S1111:No)、第2位置と、第2位置から所定距離離れた第4位置との間を可動リブ46が往復移動するようにLFモータ71に所定パルスを出力する(S1112)。その後、再びS1104からの処理を繰り返す。即ち、第2往復回数カウンタ68bが閾値以上になるまで(S1111:Yes)、S1112の処理を繰り返す。
このように、S1112の処理では、図12(c)に示すように、第2位置に位置する可動リブ46を、第2位置から搬送方向Hとは反対方向に所定距離離れた第4位置に移動させ(図12(b)一点鎖線参照)、その後再び、可動リブ46を第2位置に移動させ、所定時間経過したら、再び、同じ往復移動をするように制御する。これを複数回繰り返すのである。
この往復移動により、可動リブ46が振動され、溝53b上で滞留しているインクがあったとしても、その滞留しているインクを溝53bに沿って流下させて可動リブ46の端部46bに集中させることができ、そのインクを第2インク吸収体47bに吸収させることができる。
そして、S1111の処理において、第2往復回数カウンタ68bが閾値以上であると判断した場合には(S1111:Yes)、第2位置に位置する可動リブ46が初期位置に移動するようにLFモータ71に所定パルスを出力し(S1113)、本処理を終了する。即ち、図12(c)の第2位置に位置する可動リブ46(実線参照)を、図12(a)の初期位置に移動させ、本処理を終了する。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
本実施形態では、クリーニング処理において、可動リブ46を往復移動させる度に、可動リブ46の端部46a,46bがインク吸収体47a,47bに接触する場合について説明したが、可動リブ46の端部46a,46bをインク吸収体47a,47bに接触させることなく、単に、可動リブ46を複数回往復移動させるように構成しても良い。また、可動リブ46を複数回往復移動させた後で、所定時間以上、可動リブ46の端部46a,46bをインク吸収体47a,47bに接触させるように構成しても良い。この場合には、より効率的に可動リブ46に付着したインクをインク吸収体47a,47bに吸収させることができる。
また、可動リブ46の溝53a,53bの端部にインクを貯留可能な凹部等のバッファを設けるように構成しても良い。かかる場合には、溝53a,53bを流下するインクを一旦バッファに貯めておくことができ、可動リブ46の端部46a,46bがインク吸収体47a,47bに接触するまでの間に、可動リブ46の端部から下方にインクが垂れて本体装置内が汚れるのを防止することができる。
また、本実施形態では、クリーニング処理を縁なし印刷の回数に応じて自動的に実行する場合について説明したが、ユーザーの指示を受けて、このクリーニング処理を実行するように構成しても良い。
また、縁なし印刷において、最終の記録用紙への印刷が終了した場合には、可動リブ46を可動リブ46の端部46aと第1インク吸収体47aとが接触する第1位置に移動させるように構成しても良い。この場合には、可動リブ46の端部46aに集中しているインクを、と第1インク吸収体47aによって吸収させることができる。