JP2009008672A - 検知素子、検出装置、及び検知素子の製造方法 - Google Patents

検知素子、検出装置、及び検知素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高感度な検知素子、検出装置、及び、これらの製造方法を提供する。
【解決手段】検体中の標的物質を検知する検知素子であって、基体と、金属構造体とを有し、前記基体に、前記基体の厚み方向を深さ方向とする孔であって、前記孔を形成する前記基体の一部が前記基体の外表面の一部をなす孔が存在し、前記金属構造体が前記孔の内部に存在し、前記金属構造体がリング形状を有することを特徴とする検知素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズモン共鳴を応用した検知素子、検出装置、及び検知素子の製造方法に関するものである。
近年、金属微粒子による局在プラズモン共鳴を利用したセンサが注目されている。
例えば、特許文献1には、陽極酸化アルミナの複数の孔に、互いに孤立する金属粒子を形成してプラズモン共鳴デバイスとした発明が開示されている。このデバイスでは、陽極酸化アルミナの孔を利用したことで、金属粒子を任意の均一なサイズで、かつ任意の配列で規則正しく独立に配列することが可能であり、さらなるセンサの感度向上、安定化を図ることができるとされている。
また、特許文献2では、光学的なノイズが小さく高感度なセンサを提供することを目的としたセンサチップが開示されている。このセンサチップは、表面に対して略垂直な方向に互いに独立する複数の微孔を有する保持部材と、複数の微孔の内部それぞれに互いに独立して保持される金属微粒子から成り、保持部材が、密度が均一な透明誘電体からなることを特徴としている。
特開2003-268592号公報 特開2004-279364号公報
しかしながら、特許文献1や、特許文献2においては、一つの孔内に保持される金属微粒子は事実上一つであり、チップ上に保持される金微粒子の量には限界があった。このため、単位面積あたりの金微粒子の数には限界があった。また、孔内に複数の金属微粒子を形成しようとしても互いに接触してしまい、その結果、大きさ、形状も不均一になってしまう可能性が高い。プラズモン共鳴デバイスとして、感度向上、安定化を図るためには、互いに孤立した状態の金属微粒子を均一なサイズで備えることが重要である。
本発明は、
基体と、金属構造体とを有し、
前記基体に前記基体の厚み方向を深さ方向とする孔であって、前記孔を形成する前記基体の一部が前記基体の外表面の一部をなす孔が存在し、
前記金属構造体が前記孔の内部に存在し、
前記金属構造体がリング形状を有する
ことを特徴とする検知素子である。
前記孔が前記基体を貫通する孔であることが好ましい。また、前記孔が、前記孔の深さ方向を高さ方向とする複数の円柱形状部分と該複数の円柱形状部分を連結する部分とからなり、前記金属構造体が前記円柱形状部分を連結する部分に存在することが好ましい。また、前記基体を前記基体の厚さ方向に垂直な第一の面で切断した断面に表れる孔の孔径と、前記基体を前記基体の厚さ方向に垂直な第二の面で切断した断面に表れる孔の孔径とが異なることが好ましい。
前記金属構造体が、金または銀を含むことが好ましい。また、前記金属構造体が、1つの孔内に複数備えられていることが好ましい。また、前記金属構造体が、表面に前記検体中の標的物質を捕捉する捕捉体成分を有していることが好ましい。
また、別の本発明は、
プラズモン共鳴法を利用して検体中の標的物質を検出する装置であって、
前記検知素子と、
前記検知素子を保持する保持機構と、
前記検知素子に光を照射する光源と、
前記検知素子からの出射光を検出する受光素子と、
を備えていることを特徴とする検出装置である。
前記検出装置は、前記検知素子に前記検体を接触させるための反応室を更に有することが好ましい。
また、別の本発明は、
プラズモン共鳴法を利用して検体中の標的物質を検知する検知素子の製造方法において、
基体の厚さ方向を深さ方向とする孔であって、前記孔を形成する前記基体の一部が前記基体の外表面の一部をなす孔が存在する基体を用意する工程と、
前記基体に前記孔の深さ方向と、交差する方向で金属構造体の形成材料を投射して前記孔内にリング形状の金属構造体を作製する工程と、
を有することを特徴とする検知素子の製造方法である。
前記孔が、前記孔の深さ方向を高さ方向とする複数の円柱形状部分と該円柱形状部分を連結する部分とからなることが好ましい。
また、別の本発明は、プラズモン共鳴法を利用して検体中の標的物質を検知する検知素子であって、
検体との接触面を有する基体と、該接触面に開口を有し、該基体の厚さ方向に配向して設けられた孔と、該孔内に備えられた金属構造体と、を有し、
前記金属構造体がリング状である
ことを特徴とする検知素子である。
また、別の本発明は、プラズモン共鳴法を利用して検体中の標的物質を検出する装置であって、
上記構成の検知素子を保持する保持機構と、
前記検知素子に光を照射する光源と、
前記検知素子から反射もしくは透過した光の特性を検出する受光素子
と、
を備えていることを特徴とする検出装置である。
また、別の本発明は、プラズモン共鳴法を利用して検体中の標的物質を検知する検知素子の製造方法において、
検体との接触面に開口を有し、該基体の厚さ方向に配向して設けられた孔を有する基
体を用意する工程と
金属構造体の形成材料を前記孔の開口方向に対して斜め方向から投射して前記孔内
にリング状の金属構造体を作製する工程
と、を有することを特徴とする検知素子の製造方法である。
本発明により、高感度な検知素子、検出装置、及び、検知素子の製造方法を提供することが可能となる。
次に、本発明の実施の形態の一例について、詳細に説明する。
まず、本発明に係る検知素子について説明する。本発明の検知素子は、プラズモン共鳴法を利用して検体中の標的物質を検知するための構成を有する。基本的には、基体と、基体の有する細孔内に備えられた金属構造体と、を少なくとも有して構成されている。基体は、検体との接触面を有し、細孔はこの接触面に開口し、かつ接触面から基体の厚み方向を深さ方向として設けられている。更に、細孔中に備えられた金属構造体は、リング状の形状を有する。
言い換えれば、本発明の検知素子は、
検体中の標的物質を検知する検知素子であって、
基体と、金属構造体とからなり、
前記基体に前記基体の厚さ方向を深さ方向とする孔であって、前記孔を形成する前記基体の一部が前記基体の外表面の一部をなす孔が存在し、
前記金属構造体が前記孔の内部に存在し、
前記金属構造体がリング形状を有することを特徴とする検知素子である。
本発明にかかる検知素子の一例を図1(a)及び(b)に示す。図1(a)は、1つの孔内に金属構造体は1つ備えられている例を示す図であり、図1(b)は複数備えられている例を示す図である。図1(a)において、1は基体、2は金属構造体、3は基体が有する孔を示している。
以下、各部について説明する。
(基体)
基体1は、孔(言い換えれば細孔)3を有する。基体1としては、孔3の内部に存在するリング形状の金属構造体2のプラズモン共鳴を利用した標的物質の検知に必要な材質及び形状を有するものが用いられる。したがって、基体1は、通常、金属構造体を形成する材料とは異なる材料で構成される。更に、基体は、図1のようにリング形状の金属構造体を保持させる孔を設けることができる材料から構成される。よって、基体の材料は、金属構造体を保持可能な孔を形成でき、検体液に対して耐性を有すれば、材質、形状質等限定されるものではなく、ガラス等の無機材料、樹脂等の有機材料、シリコン等の半導体材料、金属構造体を形成する材料とは異なる金属材料等いかなる材料を用いることも可能である。
孔3は、基体1の厚み方向を深さ方向とする孔であり、前記孔を形成する前記基体の一部が前記基体の外表面の一部をなす。言い換えれば、孔3の端部を形成する面は検体5との接触面4である。ここで、「AがBの外表面の一部をなす」とは、Bと外気との接触部分の一部をAがなしていることであり、例えば、Bに外部から液体を付着させた場合には、Aに前記液体が付着する。なお、孔3の端部を形成する面と、基体の厚み方向の孔の中心軸は垂直であることが好ましい。ここで、本発明において、「AとBとが垂直である」とは、AとBとのなす角が85°以上95°以下であり、好ましくは87°以上93°以下である。
また、孔3は、図2(a)のように基体1を前記基体の厚み方向に貫通した構造であっても良いし、図2(b)や(c)のように貫通していない構造であっても良い。貫通していない構造である場合には、図2(c)のように、基体を一つの層(同一材料からなる一体型)として該層を貫通しない構造としても良い。あるいは、図2(b)のように、基体を複数の層で構成し、該複数の層のうちの一つの層1Aを、貫通孔を有する層とし、その他の層を、孔を有さない層1Bとする構造としても良い。なお、図2(a)のように、貫通した構造である場合には、検知素子を、検体液を検知素子が有する対向する2つの面のうちの一方の面から他方の面に(表面から裏面)に透過させて使用するいわゆるフロースルー型素子とすることができる。また、図2(b)のような場合には、基体が有する複数の層のうち、孔を有さない層は、材料選択の幅が広いため、より検知素子の強度を高めることも可能である。また、検知素子からの出射光として検知素子の透過光を用いる場合は、前記複数の層のうちの孔を有していない層は、入射する測定光(入射光)及び検出を行う光(検出光)の波長に対して、透明であることが好ましい。ここで、「特定の波長Aに対して透明である」とは、特定の波長Aの透過度が0.7以上であることである。また、金属構造体を透過した後に、基体の孔を有さない層から反射した光を検知素子からの反射光として検出に用いることも可能である。この場合、前記層は、入射光および検出を行う光の波長を反射する面(部分)を前記孔を有する層と接触する面に有する構成とする。
さらに、孔3は、前記孔の深さ方向を高さ方向とする複数の円柱形状部分と該円柱形状部分を連結する部分とで構成されることが好ましい。具体的には、図3(a)に示すように、孔3が、孔の深さ方向を高さ方向とする円柱形状の部分(孔パーツ)aおよび円柱形状の部分(孔パーツ)bと、前記円柱形状の部分(孔パーツ)aと円柱形状の部分(孔パーツ)bとを連結する部分(孔子パーツ)cとからなる。なお、孔を形成する円柱形状部分aと円柱形状部分bは、(a)のように、前記各々の円柱形状部分を形成する基体の輪郭を、前記円柱形状部分の高さ方向に垂直な面で切断した断面における円の半径(すなわち、前記断面における孔径)が異なる円柱形状部分とすることが好ましい。しかしながら、(c)のように、円柱形状部分aを形成する基体の輪郭と円柱形状部分eを形成する基体の輪郭の前記断面における半径が同じであっても良い。なお、「前記各々の円柱形状部分を形成する基体の輪郭を、前記円柱形状を有する空間の高さ方向に垂直な面で切断した断面における円の半径が異なる円柱形状部分を有する基体」とは、言い換えれば、「前記基体を前記基体の厚さ方向に垂直な第一の面で切断した断面に表れる孔の孔径と、前記基体を前記基体の厚さ方向に垂直な第二の面で切断した断面に表れる孔の孔径とが異なる基体」である。すなわち、基体に垂直な任意の複数の異なる断面に表れる同一孔の孔径が異なるように孔を構成することができる。
このように、孔を、孔の深さ方向を高さ方向とする複数の円柱形状を有する部分と該円柱形状を有する部分を連結する部分とで構成される構造とすることで、リング形状を有する金属構造体の形成が容易となる。なお、以降、このような基体を、孔の深さ方向に垂直な断面の孔径が、孔の深さ方向に異なっている基体と呼ぶ場合がある。なお、後の製造方法において詳細に説明するが、このような形状の基体を用いて、孔に対して斜め着膜処理を行い、一つの孔内に一度に複数のリング状金属構造体を形成することが可能となる(図4(a)、(c))。
また、図3(a)のような構造である場合には、円柱形状部分a(小さい方の円柱)を形成する基体の輪郭の前記断面における半径A(孔径A)は、5nm〜10μmであることが好ましい。円柱形状を有する孔パーツb(大きい方の円柱)を形成する基体の輪郭の前記断面における半径B(孔径B)は、孔径Aよりも大きくかつ10nm〜10μmであることが好ましい。なお、基体の単位面積あたりに保持される金属構造体の数量を増やすために、図3(a)のように、前記断面における孔径の異なる円柱形状部分は一つの孔において複数存在することが好ましい。また、図3(b)のように、孔が、円柱形状部分aと同一の孔径を有し高さが異なる円柱形状部分dをさらに有していても良い。
なお、図3(a)において、円柱形状部分aをくびれ部分、円柱形状部分bを膨らみ部分と呼ぶこともできる。
(金属構造体)
本発明における金属構造体は、図1のような細孔の深さ方向の軸を取り囲んで配置されたリング状の形状を有する。このようなリング状の周回構造を有する金属構造体は次の特徴を有する。まず、同じ外形で中央に中空部を持たない構造体と比べ、構造体の表面プラズモンの増強領域としての外縁部(エッジ部)が長くなる。なお、リング状形状では、外縁長は、リング状形状の外周縁と内周縁の合計長となる。そして、表面プラズモンの増強割合が大きい、リング状形状の内側と外側のエッジが近接するので表面プラズモン同士が相互作用し表面プラズモンが、より大きく増強される。また、リング形状では、このような周回構造を持たない構造体の中央部分のように検出能力の低い領域が少ないので実効的な検出領域の割合が増大する。本発明においては、検知素子にリング状金属構造体を備え、リング状金属構造体の上述の特徴を利用することにより、検知素子として充分な感度を得ることが可能となる。
金属構造体2の材質には、プラズモン共鳴現象を生じうる金属が含まれていればよく、このような金属としては、金、銀、銅が好ましい。特に、銀は、耐食性が弱いものの、感度が高く、好適に用いられる。また、金は、耐食性が高く安定な検知素子を作製することができる、チオール等用いた表面修飾が容易であるといった利点を有し、好適に用いられる。また、金属構造体は、一つの孔内に複数備えらえていることが好ましい。前述の孔を利用することで、基体の孔内部に、基体の厚さ方向(図面では縦方向)に金属構造体を階層配置することが可能となり、基体の検体との接触面(孔の端部を形成する面)の単位面積あたりの金属構造体数を増やすことにより、高感度化することができる。
また、リング状金属構造体の外縁を構成する円の半径は、10nm〜10μmであることが好ましい。また、リング状金属構造体の内縁を構成する円の半径は、1nm〜10μmであることが好ましい。さらに、前記金属構造体の帯幅は、1nm〜1μmであることが好ましい。なお、前記断面における前記金属構造体の外縁半径−前記断面における前記金属構造体の内縁の半径=帯幅となる。
(捕捉体成分および測定対象)
金属構造体2の表面には、捕捉体成分を配置させても良い。金属構造体自体が標的物質を捕捉する機能を有する場合は、捕捉体成分を配置しなくても良いし、金属構造体自体が標的物質を捕捉する機能を有しない場合は、検体中の標的物質を捕捉する捕捉体成分を金属構造体表面に設けてもよい。使用する捕捉体成分は、検体液が含む標的物質の選択に係わる物質である。例えば、検体中の標的物質と選択的に直接反応する物質(いわゆるレセプター)であっても良い。あるいは、標的物質の反応に係わる物質(例えば、標的物質の反応に選択的に触媒作用をもたらす物質)や検体中の標的物質以外の物質を不活性化する物質等の標的物質を間接的に測定する物質であっても良い。また、この捕捉体成分は、検出の有無や程度の表示に係わる機能、例えば、レセプターが放出する物質や残余の物質と反応し発色する機能等を兼ねるものであってもよい。
標的物質は生体物質に限るものではなく、またそのサイズも限定されるものではないが、糖、蛋白質、アミノ酸、抗体、抗原や疑似抗原、ビタミン、遺伝子などの生物に含有される生体物質、及び、その関連物質や人工的に合成された擬似生体物質であることが望ましい。
したがって、捕捉体成分としては、酵素、糖鎖、触媒、抗体、抗原、遺伝子、呈色試薬、などを用いることができるがこれに限る物ではない。
次に、これら捕捉体成分の金属構造体表面への固定又は担持について説明する。上述の捕捉体成分は、例えば、共有結合やイオン結合などの結合による方式、吸着による方式などによって、金属構造体表面に固定又は担持されるが、これらの捕捉体成分が、検出に利用できる状態で良好に固定又は担持されれば、その固定または担持方法は限定されない。
結合による方式では、金属構造体表面に直接作用できる反応基を持った捕捉体成分を直接反応させて結合させてもよいし、金属構造体表面に直接作用出来る架橋材料を反応させて、さらに前記架橋材料に捕捉体成分を反応させることで結合させても構わない。例えば、金属構造体が金、もしくは、銀、もしくは銅を含む場合は、チオール基やアミノ基等を有する捕捉体成分を直接固定化させることができる。また、これらチオール基やアミノ基等を有するシランカップリング剤等を反応させて、さらにこのシランカップリング剤に捕捉体成分を結合させることで、担持させることもできる。吸着による方式では、捕捉体成分と、金属構造体の材質との組み合わせにおいて、適当な親和性を有する組み合わせを選択すればよい。また、金属構造体表面をいったん表面修飾して適当な親和性を有する表面を形成し、その上で捕捉体成分を固定化することも可能である。
次に、本発明の検知素子の製造方法の一例について説明する。本発明の検知装置の製造方法は、以下の工程を有することを特徴とする検知素子の製造方法である。
(A)基体の厚さ方向を深さ方向とする孔であって、前記孔を形成する前記基体の一部が前記基体の外表面の一部をなす孔が存在する基体を用意する工程。
(B)前記基体に前記孔の深さ方向と、交差する方向で金属構造体の形成材料を投射して前記孔内にリング形状の金属構造体を作製する工程。
以下、各工程について説明する。
工程(A)
(孔を有する基体を用意する工程)
本工程では、前述の孔を有する基体を用意する。基体は、材質、大きさ、形状等、限定されるものではなく、その孔が上述のようにリング状の金属構造体を形成する足場と成り得ればよい。例えば、任意の基板や膜にエッチング等の加工処理によって孔を設けたものを用いることが可能である。他にも、アルミニウムを酸性電解液中で陽極酸化処理することによりアルミニウム表面に形成される陽極酸化アルミナは、表面に貫通した柱状の孔を有しており、好適に用いられる。尚、陽極酸化アルミナは、孔径、孔深さを比較的自由に制御できるため、金属構造体の形状やサイズ制御を行う上で好適である。また、ポリカーボネート製メンブレンフィルターも貫通した孔を有しており、一般的にも市販されているため、簡便に用いる事ができる。
なお、円周方向に均一なリング状の金属構造体を形成する上では、図2に示すように、基体が有する面のうち孔の端部を形成する面に対して概ね直交する方向である基体の厚さ方向に直線状に延びる孔を有する基体を用いることがこのましい。また、基体を複数の層で形成し、特定の層に貫通孔を形成する場合は、貫通孔を形成した層に別の層を接着させて基体とすることもできる。
孔の深さ方向に垂直な断面の孔径が、孔の深さ方向に異なっている基体を形成する方法としては、例えば、異なる組成又は組成比を有したアルミニウム合金膜を積層し、陽極酸化、エッチングによるポアワイド処理を行う方法がある。アルミニウム合金に陽極酸化を行うと、陽極酸化アルミナと同様に、表面に孔が形成される。この陽極酸化アルミナ合金に対して、さらにポアワイド処理を行うと、アルミニウム合金に含有される添加元素の種類や量比によって、孔径の拡がり度合いに差が生じる。この差を利用することで、図3(a)、(b)のような、孔の深さ方向に垂直な断面の孔径が、孔の深さ方向に異なっている基体を作製することが可能となる。但し、上記方法に限らず、本発明に好適な形状の孔を有する基体を作製することができる方法であれば、本発明に用いることが可能である。
工程(B)
(孔内にリング状の金属構造体を作製する工程)
本工程では、金属構造体の形成材料を、孔の開口方向(言い換えれば孔の深さ方向の軸)に対して斜め方向から投射する斜め着膜法により、前記孔内にリング形状の金属構造体を作製する。なお、本発明において、「斜め着膜法」は、薄膜形成手段による薄膜形成材料の投射(着膜)方向と孔の開口方向7(孔の端部を形成する面である接触面4と平行な方向;すなわち、孔の径の方向)が交差する。つまり斜め方向から、形成材料を孔内に堆積させることを意味する。具体的には、図5(b)に示すように、孔の開口方向7に対して、金属構造体を形成する材料を、投射方向9から投射角度8で基体の孔を形成する輪郭(壁面)10に投射する。これにより、孔内に一度に複数のリング形状金属構造体を形成することが可能となる。なお、図5(a)は、基体を厚み方向と平行に基体の外部から光を照射した際の投影図であり、図5(a)のA−A´面で切断した断面図が図5(b)である。
薄膜形成手段としては、RFスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、蒸着法、CVD法等が利用できる。本発明においては、この斜め着膜法を利用することで、主に孔内壁面に形成材料を堆積させることができ、さらにこの堆積時に、基体を回転させることで、図5(c)、(d)のように、孔内にリング形状の金属構造体を形成することが可能となる。なお、図5(c)は基体および金属構造体を外部から基体の厚み方向と平行に光を照射した際の投影図であり、図5(d)は図5(c)をB−B´面で切断した断面図である。例えば、薄膜形成手段としてスパッタリング法を利用する場合は、図6に示すように、ターゲット11から飛翔して投射されるスパッタリング粒子の進行方向(形成材料の投射方向9)と、孔の開口方向が所定の角度を持つような位置関係に設置する。そして、図6(a)のように、その状態でスパッタリング粒子を孔内に堆積させる(斜めスパッタリング)。尚、形成材料の投射方向は図6(b)、(c)のような所定の開口部を有するスリット12を使用して、制御してもよい。このようなスリット12を用いた場合、投射方向の制御性が向上するのみでなく、開口部を通過するスパッタリング粒子のみを基体に堆積させることも可能となり、堆積領域の制御性も向上する。
以上の工程(A)〜工程(B)を行うことより、検知素子を作製することが出来る。
次に、本発明の検出装置について説明する。
(検出装置)
本発明の検出装置は、上記検知素子を保持する保持機構と、検知素子に光を照射する光源と、検知素子からの出射光を検出する受光素子とを備えている検出装置である。検知素子に標的物質を含む検体液を接触させると、検体液に含まれる標的物質を金属構造体もしくは金属構造体表面に存在する捕捉体成分が捕捉し、金属構造体近傍の光学的特性が変化する。前記金属構造体近傍の光学的特性の変化を、検知素子に対して光照射し、検知素子からの出射光(例えば、透過光もしくは反射光)の特性を受光素子によって検出することが可能と成る。なお、検出装置には、検体液と検知素子とを接触させる反応室を設けることができる。
以下、実施例を用いてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、材料、組成条件、反応条件、製膜条件等、同様な機能を有する検知素子、検出装置、が得られる範囲で自由に変えることが可能である。
(実施例1)
本実施例は、フォトリソグラフィー法により孔を形成した石英基板を、支持体と一体型の基体とし、斜めスパッタリング法により、孔内に金からなるリング状の金属構造体を形成して、検知素子を作製する例である。本実施例は基体と支持体が一体型である例であり、製造工程において簡便であり、強度の点で優れている。
まず、石英基板を用意し、フォトリソグラフィーの手法を用いて、図2(c)のように基板表面に円柱形状の複数の孔を形成し、基体とする。孔の内径は250nm、深さは400nm、間隔は500nm程度である。尚、この際、孔以外の領域に形成されるフォトレジスト層は除去してもよいが、後に説明する金属構造体作製時に、孔以外の余分な領域に堆積した金属を除去するために、残しておいてもよい。次に、この基体に対して、斜めスパッタリング法により、金を堆積させる。投射角度は、孔が開口する基体表面(平面)に対して45°とする。すなわち、投射角度は、孔の中心軸に対して45°の角度とする。この処理により、孔内に金からなるリング状金属構造体が形成される。尚、この投射角を適宜制御することで、形成されるリング状構造体の厚さや帯幅等形状を制御することが可能となる。また、金を堆積させる前に、金と石英の密着性を向上させるために、下地層としてチタンやクロム等を斜めスパッタリング法により堆積させておくとよい。さらには、孔以外の領域の基体上面に堆積した金を取り除くとよい。除去には、研磨等の除去方法を用いてもよいが、前述のフォトレジスト層を残しておけば、このフォトレジスト層を除去することで、リフトオフ的に、余分な金を除去することが可能となる。以上の操作を経る事で、石英基板の孔内に、金からなるリング状の金属構造体が備えられた検知素子が作製される。
(実施例2)
本実施例は、アルミニウムの陽極酸化により孔を形成したアルミナ層を基体とし、斜めスパッタリング法により、孔内に金からなるリング状の構造体を形成して、検知素子を作製する例である。本実施例は、基体を複数の層で構成し、各々の層を異なる材料で構成する例であり、後に、基体を剥離して使用する場合や、検知素子として基体を透過した後に支持体から反射する光を利用する際に好適である。
まず、一つの層(支持体の機能を有する)としてシリコン基板を用意し、このシリコン基板上にアルミニウム層を製膜する。この際、層同士の密着性向上のために、下地2つの層の間に密着層として、チタンやクロムからなる薄膜を形成してもよい。次に、シリコン基板上のアルミニウム層を洗浄し、洗浄後のアルミニウム層に対してシュウ酸0.3M溶液中で、40Vで陽極酸化を行うと、アルミニウム表面がアルミナに酸化されるのと同時に、層厚方向に柱状の孔が形成され、基体とすることができる。尚、この陽極酸化電圧を適宜制御することで孔間隔を、そして、陽極酸化時間で孔の深さを制御可能であるので、陽極酸化条件は適宜選択すればよい。さらに、基体は5wt%リン酸に所定の時間浸漬するポアワイド処理を行うことで、孔の径を拡大し、所望のサイズの孔を有する基体を得ることもできる。尚、温度、浸漬時間、酸の種類、濃度等を適宜制御することで、孔径を制御することが可能であり、ポアワイド条件は適宜選択すればよい。以上の操作により、孔を有する基体が作製される。次に、この基体に対して、実施例1と同様に、斜めスパッタリング法により金を堆積させる。
以上の操作を経る事で、シリコンからなる層の表面に形成されたアルミナ層の孔内に、金からなるリング状の金属構造体が備えられた検知素子が作製される。
(実施例3)
本実施例は、組成の異なるアルミニウム合金層を積層した膜を用いて、孔の断面の孔径が貫通方向に異なっている基体を作製し、斜めスパッタリング法により、孔内に金からなるリング状の構造体を複数形成して検知素子を作製する例である。本実施例のように、孔内に複数の金属構造体を形成することで、単位面積あたりの金属構造体の数を増やすことが可能となり、感度向上に寄与できる。
まず、シリコン基板を用意してシリコン層16とし、このシリコン層16上に図7(a)のようにアルミニウムタングステン合金層13を製膜する。この際、シリコン層16とアルミニウムタングステン合金層13との密着層として、チタンからなる薄膜(チタン層)17を形成するとよい。アルミニウムタングステン合金層13の上には、アルミニウムハフニウム合金層14を製膜する。そして、更に、このアルミニウムハフニウム合金層14の上に再び、アルミニウムタングステン合金を製膜し、アルミニウムタングステン合金層15とする。続いて、この基板を浴温100℃のリン酸0.3mol/L水溶液中にて80Vの電圧を印加することで陽極酸化を行う。尚、この陽極酸化電圧を適宜制御することで孔間隔を、そして、陽極酸化時間で孔の深さを制御可能であり、陽極酸化条件は適宜選択すればよい。さらに陽極酸化後、浴温22.5℃の0.3Mリン酸水溶液中に試料を浸しポアワイド処理を行うことで、図7(b)のような膨らみ部分18とくびれ部分19を有する孔を有する基体を得ることができる。尚、この温度、浸漬時間、酸の種類、濃度等を適宜制御することで、孔径を制御することが可能であり、ポアワイド条件は適宜選択すればよい。
以上の操作により、言い換えれば、孔の深さ方向に垂直な断面の孔径が、孔の深さ方向に異なっている基体が作製される。
次に、この基体に対して、実施例1と同様に、斜めスパッタ法により金を堆積させる。
投影角は孔径、孔深さにあわせて適宜選択することで、図7(c)に模式的に示すように、孔内にほぼ独立して複数のリング状金属構造体を形成することが可能となる。
以上の操作を経る事で、孔の深さ方向に垂直な断面の孔径が、孔の深さ方向に異なっている孔内に、金からなるリング状の金属構造体が複数備えられた検知素子が作製される。
(実施例4)
本実施例は、直孔を有するポリカーボネート製メンブレンフィルターを基体として用い、斜めスパッタリング法により、孔内に金からなるリング状の構造体を形成して検知素子を作製する例である。本実施例のように、貫通孔を有する基体はそのままフロースルー型の検出に用いることが可能となる。
まず、直孔を有する基体を用意する。このような基体は一般にも市販されており、本発明においても好適に使用することが可能である。例えば、ニュクリポアー・メンブレン(野村マイクロ・サイエンス社製)は種々の孔径を有するものがあり、好適である。次にこの基体に対して、実施例1と同様に、斜めスパッタリング法により金を堆積させる。投影角は孔径、孔深さにあわせて適宜選択することで、図1(a)のように、孔内にリング状金属構造体を形成することが可能となる。
以上の操作を経る事で、基体の孔内に金からなるリング状の金属構造体が備えられた検知素子が作製される。
(実施例5)
本実施例は実施例1で作製した検知素子に捕捉体成分を担持させ、さらに、検出装置を用い、標的物質の検出を行った例である。尚、本実施例は、検知素子を透過する光の特性を測定することで検出を行う例である。
まず、金からなるリング状金属構造体の表面に捕捉体成分として、抗体を固定化する操作について説明する。本実施例では、抗体としてウサギ抗マウスIgG抗体を用いる。最初に、チオール基を持つ、11-Mercaptoundecanoic acidのエタノール溶液を、実施例1で作製した検知素子が有する石英基体の孔の開口面(孔の端部を形成する面)に塗布する。この操作により、孔内のリング状金属構造体の表面にカルボキシル基が露出される。次に、N-Hydroxysulfosuccinimide水溶液と1-Ethyl-3-[3-dimethylamino]propyl carbodiimide hydrochloride水溶液を同様に塗布する。これらの操作により、リング状金属構造体の表面にスクシンイミド基が露出することになる。続いて、ウサギ抗マウスIgG抗体/トリス-塩酸緩衝液(pH8.0)に基体を浸漬する。そして、リング状金属構造体の表面上に形成された前記スクシンイミド基とウサギ抗マウスIgG抗体のアミノ基を反応させることにより、ウサギ抗マウスIgG抗体を金属構造体表面に固定化する。以上の操作を経る事で、捕捉体成分として、ウサギ抗マウスIgG抗体を有した検知素子を作製することができる。
次に、検出装置の例を説明する。尚、本実施例は検知素子を透過した光により検出を行う例である。
図8(a)は本実施例による検出装置を模式的に示した図である。検出装置は、検知素子保持機構、光源、受光素子を備える。検出時の光源の位置は、図8(a)に模式的に示すように、検知素子に測定光を照射しえる位置であり、受光素子の位置は検知素子を透過した測定光の特性を検出しうる位置である。尚、この他に、図示しない分光検出器が受光素子に備えられていても構わない。さらには、図示しないが、検出した特性変化を演算する演算装置、検出結果を表示する表示手段等が備えられていることが好ましい。
次に、標的物質を検出する例を説明する。
まず、上記検出時の位置関係に、検知素子保持機構22、検知素子20、光源21、受光素子23を配置し、スペクトルを検出する。その後、検知素子20に標的物質としてマウスIgGが含まれたリン酸緩衝溶液からなる検体液を付与し、検知素子20と接触、捕捉体成分と反応させる。この反応後、金属構造体2表面をリン酸緩衝溶液で洗浄するとよい。その後再び、上記検出時と同様な位置関係に検知素子20、光源21、受光素子23を配置し、スペクトルを検出する。検体液付与前後のスペクトル変化は、金属構造体2のプラズモン共鳴状態の変化に由来するものであり、検知素子上で抗原抗体反応が起こり、捕捉体成分により標的物質が捕捉されたことを意味する。よって、スペクトル変化を検出することで、検体中の標的物質を検知することが可能と成る。また、ここでスペクトルの変化と標的物質濃度の関係については、あらかじめ、既知の複数濃度の標準検体を用いて、スペクトル変化と濃度の関係を取得しておき、この関係をもとに検量線を求めスペクトル変化と濃度の関数を求めておけば、この関数を用いて、実際の計測時のスペクトル変化から標的物質濃度を求めることができる。
尚、ここではスペクトルの変化と記載したが、このスペクトル変化は、最大値をもつ波長でのスペクトルピークの変化でもよいし、スペクトルピーク波形の半値幅等ピーク形状の変化をもちいてもよい。さらには、一つあるいは、複数の波長点での光強度をもちいても構わない。
以上のように、本発明により、検体中の標的物質を充分な感度で検出することが可能と成る。
(実施例6)
本実施例は、実施例2で作製した検知素子に捕捉体成分を担持させ、さらに、検出装置を用い、標的物質の検出を行った例である。尚、本実施例は、検知素子を反射する光の特性を測定することで検出を行う例である。
まず、実施例5と同様な方法で、金からなるリング状金属構造体の表面に捕捉体成分として、抗体を固定化する。本実施例においても、抗体としてウサギ抗マウスIgG抗体を用いる。この操作を経る事で、捕捉体成分として、ウサギ抗マウスIgG抗体を有した検知素子を作製することができる。
次に、検出装置の例を説明する。尚、本実施例は検知素子を反射した光により検出を行う例である。
図8(b)は本実施例による検出装置を模式的に示した図である。検出装置は、検知素子保持機構22、光源21、検知素子20、受光素子23を備える。検出時の光源21の位置は、図8(b)に模式的に示すように、検知素子20に測定光を照射しえる位置であり、受光素子23の位置は検知素子20を反射した測定光の特性を検出しうる位置である。尚、この他に、図示しない分光検出器が受光素子23に備えられていても構わない。さらには、図示しないが、検出した特性変化を演算する演算装置、検出結果を表示する表示手段等が備えられていることが好ましい。
次に、標的物質を検知する例を説明する。まず、上記検出時の位置関係に検知素子20、光源21、受光素子23を配置し、スペクトルを検出する。その後、検知素子20に標的物質としてマウスIgGが含まれたリン酸緩衝溶液からなる検体を付与し、検知素子と接触、捕捉体成分と反応させる。この反応後、金属構造体2の表面をリン酸緩衝溶液で洗浄するとよい。その後再び、上記検出時と同様な位置関係に検知素子20、光源21、受光素子23を配置し、スペクトルを検出する。検体付与前後のスペクトル変化は、金属構造体2のプラズモン共鳴状態の変化に由来するものであり、検知素子上で抗原抗体反応が起こり、捕捉体成分により標的物質が捕捉されたことを意味する。よって、スペクトル変化を検出することで、検体中の標的物質を検知することが可能と成る。
尚、実施例5と同様に検量線を求める事で、標的物質濃度を求めることも可能である。また、実施例5と同様に、スペクトル変化は、スペクトルピーク波長の変化でもよいし、スペクトルピークの形状の変化を用いてもよく、さらには、一つあるいは、複数の波長点での光強度をもちいても構わない。
以上のように、本発明により、検体中の標的物質を充分な感度で検知することが可能と成る。
(実施例7)
本実施例は、実施例4で作製した検知素子に捕捉体成分を担持させ、さらに、検出装置を用い、標的物質の検出を行った例である。尚、本実施例は、フロースルー法により標的物質の捕捉を行い、その後検出を行う例である。
まず、実施例5と同様な方法で、金からなるリング状金属構造体の表面に捕捉体成分として、抗体を固定化する。本実施例においても、抗体としてウサギ抗マウスIgG抗体を用いる。この操作を経る事で、捕捉体成分として、ウサギ抗マウスIgG抗体を有した検知素子を作製することができる。
次に、この検知素子を使用し、フロースルー法で標的物質の捕捉を行い、検出する方法について説明する。まず、実施例5や6で用いた検出装置を使用し、検知素子に測定光を照射して、検知素子を透過、もしくは反射した光のスペクトルを検出する。その後、検知素子に標的物質としてマウスIgGが含まれたリン酸緩衝溶液からなる検体液をフロースルー法で付与し、検知素子と接触、捕捉体成分と反応させる。本発明における金属構造体はリング状であるため、孔内部には空間が存在し、検体液が通過することが容易となる。フロースルー法による検体液付与は、検知素子、例えば、実施例4におけるメンブレンの片面から検体液を導入し、孔を通過させて、反対面に排出することで行えばよい。例えば、図9(a)のように、カートリッジ24内に検知素子20を設置し、ポンプやシリンジ等で負圧もしくは陽圧をかけて検体液を通過させてもよいし、図9(b)のように、片面に吸収剤25を接触させて、検体液を通過させる等、一般的な方法を用いればよい。
この反応後、金属構造体表面をリン酸緩衝溶液で洗浄してもよい。その後再び、上記検出時と同様にスペクトルを検出する。検体液付与前後のスペクトル変化は、金属構造体のプラズモン共鳴状態の変化に由来するものであり、検知素子上で抗原抗体反応が起こり、捕捉体成分により標的物質が捕捉されたことを意味する。よって、スペクトル変化を検出することで、検体中の標的物質を検知することが可能と成る。
尚、実施例5と同様に検量線を求める事で、標的物質濃度を求めることも可能である。また、実施例5と同様に、スペクトル変化は、スペクトルピーク波長の変化でもよいし、スペクトルピークの形状の変化を用いてもよく、さらには、一つあるいは、複数の波長点での光強度をもちいても構わない。
以上のように、本発明により、検体中の標的物質を充分な感度で検知することが可能と成る。
本発明における基体と金属構造体からなる検知素子の一例を示す模式図である。 本発明における基体と金属構造体からなる検知素子の一例を示す模式図である。 本発明における、断面の孔径が貫通方向に異なっている孔を有する基体の断面の一例を示した模式図である。 本発明における、断面の孔径が貫通方向に異なっている孔を有する検知素子の断面の一例を示した模式図である。 斜め着膜法示す概念図である。 斜め着膜法による形成材料の投射の様子を模式的に示した図である。 実施例3の検知素子の作製過程を模式的に示した図である。 実施例5、6、7における検出装置の例を示す模式図である。 実施例7におけるフロースルー法の例を模式的に示した図である。
符号の説明
1 基体
1A 貫通孔を有する層
1B 孔を有さない層
2 金属構造体
3 孔
4 検体との接触面
5 検体
7 開口方向
8 投射角度
9 形成材料の投射方向
10 孔を形成する輪郭
11 ターゲット
12 スリット
13、15 アルミニウムタングステン合金層
14 アルミニウムハフニウム合金層
16 シリコン層
17 チタン層
18 ふくらみ部分
19 くびれ部分
20 検知素子
21 光源
22 検知素子保持機構
23 受光素子
24 カートリッジ
25 吸収剤
a、b、d、e 孔内部に存在する円柱形状空間
c 孔を形成する円柱状空間aと円柱状空間bを連結する部分

Claims (11)

  1. 検体中の標的物質を検知する検知素子であって、
    基体と、金属構造体とを有し、
    前記基体に、前記基体の厚み方向を深さ方向とする孔であって、前記孔を形成する前記基体の一部が前記基体の外表面の一部をなす孔が存在し、
    前記金属構造体が前記孔の内部に存在し、
    前記金属構造体がリング形状を有する
    ことを特徴とする検知素子。
  2. 前記孔が前記基体を貫通する孔であることを特徴とする請求項1に記載の検知素子。
  3. 前記孔が、前記孔の深さ方向を高さ方向とする複数の円柱形状部分と該複数の円柱形状部分を連結する部分とからなり、前記金属構造体が前記円柱形状部分を連結する部分に存在することを特徴とする請求項1または2に記載の検知素子。
  4. 前記基体を前記基体の厚さ方向に垂直な第一の面で切断した断面に表れる孔の孔径と、
    前記基体を前記基体の厚さ方向に垂直な第二の面で切断した断面に表れる孔の孔径とが異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の検知素子。
  5. 前記金属構造体が、金または銀を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の検知素子。
  6. 前記金属構造体が、1つの孔内に複数備えられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の検知素子。
  7. 前記金属構造体が、表面に前記検体中の標的物質を捕捉する捕捉体成分を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の検知素子。
  8. 検体中の標的物質を検出する検出装置であって、
    請求項1〜7のいずれかに記載の検知素子と、
    前記検知素子を保持する保持機構と、
    前記検知素子に光を照射する光源と、
    前記検知素子からの出射光を検出する受光素子と、
    を備えていることを特徴とする検出装置。
  9. 前記検知素子に前記検体を接触させるための反応室を更に有することを特徴とする請求項8に記載の検出装置。
  10. プラズモン共鳴法を利用して検体中の標的物質を検知する検知素子の製造方法において、
    基体の厚さ方向を深さ方向とする孔であって、前記孔を形成する前記基体の一部が前記基体の外表面の一部をなす孔が存在する基体を用意する工程と、
    前記基体に前記孔の深さ方向と、交差する方向で金属構造体の形成材料を投射して前記孔内にリング形状の金属構造体を作製する工程と、
    を有することを特徴とする検知素子の製造方法。
  11. 前記孔が、前記孔の深さ方向を高さ方向とする複数の円柱形状部分と該円柱形状部分を連結する部分とからなることを特徴とする請求項10に記載の検知素子の製造方法。
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