JP2009002101A - プレキャストコンクリート造柱梁の接合方法および接合構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】PCa柱梁の場合に緊締や緊張等によるプレストレスの導入を一切無用にして、接合方式の省力化と施工の簡略化を図り、工期の短縮化とコストの低減を可能としたプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法を提供する。
【解決手段】一方の梁端部2の外側面から柱1を貫通して他方の梁端部2の外側面へ到達するように設けた貫通孔4へ、可撓性のある鋼材3を、梁主筋5と重ね継手を構成する配置に湾曲させて挿入し前記貫通孔4の両端へ架け渡し、更に当該貫通孔4内へ付着力の高いグラウト材6を充填して接続する。
【選択図】図1
【解決手段】一方の梁端部2の外側面から柱1を貫通して他方の梁端部2の外側面へ到達するように設けた貫通孔4へ、可撓性のある鋼材3を、梁主筋5と重ね継手を構成する配置に湾曲させて挿入し前記貫通孔4の両端へ架け渡し、更に当該貫通孔4内へ付着力の高いグラウト材6を充填して接続する。
【選択図】図1
Description
この発明は、プレキャストコンクリート造柱(以下、PCa柱と略す。)に、プレキャストコンクリート造梁(以下、PCa梁と略す。)を接合して建方を行うための技術分野に属し、更に云うと、梁の接合に圧着や緊締、緊張等によるプレストレスの導入を一切無用としたプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法および接合構造に関する。
構造物を構成するPCa柱梁の接合には多種多様な構造又は方法が公知であり、実用に供されてもいる。
例えば特許文献1には、横方向に貫通するシース孔を設けたPCa造梁をPCa柱間に架設し、PCa柱に予め設けたシース孔と前記PCa梁のシース孔を通じて緊張用鋼材を挿通し、同緊張用鋼材の両端を緊張し定着して梁にプレストレスを導入することでPCa柱梁を剛接合する方法が開示されている。
また、特許文献2には、PCa造柱の側面に、鉄筋梁の両端部に鉄筋コンクリート造の端部梁が一体化された複合梁の該端部梁を突き合わせ、同端部梁と同柱との隙間にグラウト材を充填した後、端部梁及び柱間に亘ってPC鋼線又はPC鋼棒を貫通し、その両端をナットで緊締し緊張して梁にプレストレスを導入して柱梁を接合する構造が開示されている。
特許文献3には、同文献3の図1と図5に示すように、コンクリート造の柱1に鉄骨造の梁2を接合するための構造であって、梁鉄骨6の端部にプレキャストコンクリート部7を一体に設けておき、そのプレキャストコンクリート部7を仕口部3に対して鋼棒8等の緊結具により緊結することで梁2を柱1に対して接合する構成としている。
また、特許文献2には、PCa造柱の側面に、鉄筋梁の両端部に鉄筋コンクリート造の端部梁が一体化された複合梁の該端部梁を突き合わせ、同端部梁と同柱との隙間にグラウト材を充填した後、端部梁及び柱間に亘ってPC鋼線又はPC鋼棒を貫通し、その両端をナットで緊締し緊張して梁にプレストレスを導入して柱梁を接合する構造が開示されている。
特許文献3には、同文献3の図1と図5に示すように、コンクリート造の柱1に鉄骨造の梁2を接合するための構造であって、梁鉄骨6の端部にプレキャストコンクリート部7を一体に設けておき、そのプレキャストコンクリート部7を仕口部3に対して鋼棒8等の緊結具により緊結することで梁2を柱1に対して接合する構成としている。
要するに、従来の柱梁の接合方法および接合構造は、柱梁に緊張や緊締等によるプレストレスを導入して剛接合する構成であった。
その他、図6に示すように、PCa柱10とPCa梁11を柱梁仕口部に現場でコンクリートを打設して一体化する方法も一般的である。また、図7に示すように、柱梁仕口と梁とを一体化したPCa梁部材12を製作し、柱主筋10aを通すためのシース管13を同仕口部に埋設しておき、グラウト作業のみで接合することにより、現場でコンクリート打設を行わない方法もある(所謂串刺し工法)。
特開昭50−78115号公報
特開平6−200560号公報
特開2004−52276号公報
従来の特許文献1〜3の柱梁接合方法は、PCa梁にプレストレスを導入するため、PC鋼線やPC鋼棒の如き緊張材の端部に締結具を取り付けて緊締、緊張する非常に面倒で手間のかかる特殊な工法を建物の多数の柱梁接合部ごとに実施する必要がある。そのため専門の作業者が必要となるほか、作業者に多大な労力と工数が負担になるし工期の長期化の要因ともなっていた。その上、プレストレス導入のための高価な部材(締結具等)が多数必要となるのでコストが嵩むという問題があった。
また、図6に係る技術は、柱梁仕口部で鉄筋を接合しなければならず、現場でのコンクリート打設作業が必要となるので、手間とコストが嵩む上に工期が長期化する問題があった。図7に係る技術は、現場でのコンクリート打設作業は省力化できるもののPCa柱部材の端部に予め鉄筋を突出させておかねばならず、PCa柱の内部構造が複雑になるなど、PCa柱部材の製作が煩雑になりコストが嵩むという問題があった。
本発明の目的は、PCa柱梁の場合に緊締や緊張等によるプレストレスの導入を一切無用にして、接合方式の省力化と施工の簡略化を図り、工期の短縮化とコストの低減を可能としたプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法を提供することにある。
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明に係るプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法は、プレキャストコンクリート造柱に、プレキャストコンクリート造梁を接合する方法であって、
一方の梁端部の外側面から柱を貫通して他方の梁端部の外側面へ到達するように設けた貫通孔へ、可撓性のある鋼材を、梁主筋と重ね継手を構成する配置に湾曲させて挿入し前記貫通孔の両端へ架け渡し、更に当該貫通孔内へ付着力の高いグラウト材を充填して接続することを特徴とする。
一方の梁端部の外側面から柱を貫通して他方の梁端部の外側面へ到達するように設けた貫通孔へ、可撓性のある鋼材を、梁主筋と重ね継手を構成する配置に湾曲させて挿入し前記貫通孔の両端へ架け渡し、更に当該貫通孔内へ付着力の高いグラウト材を充填して接続することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載したプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法において、可撓性のある鋼材は、PC鋼線、PC鋼より線、インデント付きPC鋼より線、或いは細径の鉄筋などの湾曲可能な鋼材とすることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載したプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法において、付着力の高いグラウト材は、モルタル、樹脂モルタル、グラウト、或いはエポキシ樹脂等の樹脂とすることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載したプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法において、貫通孔は、シース管で形成することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載したプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法において、可撓性のある鋼材は、柱を中心に上下左右対称配置に配設していることを特徴とする。
請求項6記載の発明に係るプレキャストコンクリート造柱梁の接合構造は、プレキャストコンクリート造柱に、プレキャストコンクリート造梁を接合した接合構造であって、
一方の梁端部の外側面から柱を貫通して他方の梁端部の外側面へ到達するように設けた貫通孔に、可撓性のある鋼材が、梁主筋と重ね継手を構成する配置に湾曲させて挿入されて前記貫通孔の両端へ架け渡され、更に当該貫通孔内に付着力の高いグラウト材が充填されて接続されていることを特徴とする。
一方の梁端部の外側面から柱を貫通して他方の梁端部の外側面へ到達するように設けた貫通孔に、可撓性のある鋼材が、梁主筋と重ね継手を構成する配置に湾曲させて挿入されて前記貫通孔の両端へ架け渡され、更に当該貫通孔内に付着力の高いグラウト材が充填されて接続されていることを特徴とする。
請求項1〜5に記載した発明に係るプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法および請求項6に記載した発明に係るプレキャストコンクリート造柱梁の接合構造によれば、可撓性のある鋼材を、一方の梁端部の外周面から柱を介して他方の梁端部の外周面へ貫通するように設けた貫通孔へ、梁主筋と重ね継手を構成する配置で湾曲させて挿入し、当該貫通孔内に付着力の高いグラウト材を充填するだけで実施できるので、面倒で時間のかかる緊張や緊結等によるプレストレスの導入作業は一切無用であるから、省力化と施工の簡略化を実現でき作業効率の向上、工期の短縮化を図ることができる。また、プレストレスの導入に係る締結具等の材料や工具も必要としない。
その他、可撓性のある鋼材を用いるため、同鋼材の挿入作業を容易に行うことができ、作業性が向上する。また、鉄筋が一切突出しない単純形状のPCa柱及びPCa梁で実施できるので、持ち運びが容易となり、運搬性及び作業性がよい。さらに、図6に係る技術と比して、現場で鉄筋同士を継手接合する必要もなく、いわゆる後打ちコンクリートが無用となる。
その他、可撓性のある鋼材を用いるため、同鋼材の挿入作業を容易に行うことができ、作業性が向上する。また、鉄筋が一切突出しない単純形状のPCa柱及びPCa梁で実施できるので、持ち運びが容易となり、運搬性及び作業性がよい。さらに、図6に係る技術と比して、現場で鉄筋同士を継手接合する必要もなく、いわゆる後打ちコンクリートが無用となる。
以下、本発明のプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法の一実施例を図1A〜図1Cに基づいて説明する。
先ず、図1A〜図1Bに示したように、PCa柱1の両端部の所定の高さにPCa梁2、2をセットする。次に、図1B〜図1Cに示したように、一方の梁2の端部の外側面から柱1を貫通して他方の梁2の端部の外側面へ到達するように設けた貫通孔4へ、可撓性のある鋼材3を、梁主筋5…と重ね継手を構成する配置に湾曲させて挿入し前記貫通孔4の両端へ架け渡す。更に、前記貫通孔4内へ付着力の高いグラウト材6を充填して接続する(請求項1記載の発明)。ちなみに、図中の符号7は、PCa梁2の端部を支持するブラケットを示している。
先ず、図1A〜図1Bに示したように、PCa柱1の両端部の所定の高さにPCa梁2、2をセットする。次に、図1B〜図1Cに示したように、一方の梁2の端部の外側面から柱1を貫通して他方の梁2の端部の外側面へ到達するように設けた貫通孔4へ、可撓性のある鋼材3を、梁主筋5…と重ね継手を構成する配置に湾曲させて挿入し前記貫通孔4の両端へ架け渡す。更に、前記貫通孔4内へ付着力の高いグラウト材6を充填して接続する(請求項1記載の発明)。ちなみに、図中の符号7は、PCa梁2の端部を支持するブラケットを示している。
前記可撓性のある鋼材3は、充填するグラウト材6と高い付着力を発揮する部材が好適に使用される。ちなみに、本実施例に係る前記可撓性のある鋼材3は、インデント付きPC鋼より線で実施しているがこれに限定されず、前記グラウト材6と高い付着力を発揮し、且つ柔軟性(フレキシビリティ)を有することを条件に、PC鋼線やPC鋼より線でも実施できるし、6〜10mm程度の細径の鉄筋を複数本結束した部材でも実施できる(請求項2記載の発明)。また、図示の便宜上省略しているが、本実施例に係るインデント付きPC鋼より線は、7本を結束して実施している。
前記付着力の高いグラウト材6は、前記可撓性のある鋼材3及び前記貫通孔4の内壁面に対し高い付着力を発揮する、モルタル、樹脂モルタル、グラウト、或いはエポキシ樹脂が好適に使用される(請求項3記載の発明)。前記グラウト材6の圧縮強度は、60N/mm2以上が好ましい。ちなみに、本実施例に係る前記グラウト材6は、161.7N/mm2の圧縮強度を有するグラウトを使用している。
前記貫通孔4は、シース管で形成され、工場等でPCa梁2を成型する際に一体化される(請求項4記載の発明)。
前記貫通孔4は、シース管で形成され、工場等でPCa梁2を成型する際に一体化される(請求項4記載の発明)。
要するに、本発明は、柱梁接合部の内部に挿入する可撓性のある鋼材3を、PCa梁2の梁主筋5…と重ね継手構造を形成するように配設することにより、梁主筋5の応力(主として剪断力)を前記可撓性のある鋼材3を通して前記PCa柱1へ伝達可能な構造として、構造力学上健全なPCa柱梁接合構造を実現している。
また、プレストレスを一切導入することなく、締結具等の材料や工具も無用として、構造力学上健全なPCa柱梁接合構造を実現している。
また、プレストレスを一切導入することなく、締結具等の材料や工具も無用として、構造力学上健全なPCa柱梁接合構造を実現している。
そのため、前記PCa柱1およびPCa梁2にそれぞれ設ける貫通孔(シース管)4…は、所要の位置にセットした際に一致させる配置に形成することはもとより、当該貫通孔4内に挿入する前記可撓性のある鋼材3が、梁主筋5における端部と重ね継手構造を形成するのに好適な部位に穿設しているのである。また、前記貫通孔4内に付着力の高いグラウト材6を充填することにより、前記貫通孔4の内壁面と前記可撓性のある鋼材3とを強固に付着して、梁主筋5の応力を前記可撓性のある鋼材3を通して前記PCa柱1へ確実に伝達可能な構造としているのである。
なお、前記貫通孔4及び可撓性のある鋼材3の使用数量は、前記PCa梁2内に設けられる梁主筋5…の数量に応じて適宜設計変更することが好ましい。
なお、前記貫通孔4及び可撓性のある鋼材3の使用数量は、前記PCa梁2内に設けられる梁主筋5…の数量に応じて適宜設計変更することが好ましい。
図2A、Bは、上記したプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法により施工した接合構造を示している。
この接合構造は、プレキャストコンクリート造柱1に、プレキャストコンクリート造梁2を接合した接合構造であって、一方の梁2の端部の外側面から柱1を貫通して他方の梁2の端部の外側面へ到達するように設けた貫通孔4に、可撓性のある鋼材3が、梁主筋5…と重ね継手を構成する配置に湾曲させて挿入されて前記貫通孔4の両端へ架け渡され、更に当該貫通孔4内に付着力の高いグラウト材6が充填されて接続されている(請求項6記載の発明)。
この接合構造は、プレキャストコンクリート造柱1に、プレキャストコンクリート造梁2を接合した接合構造であって、一方の梁2の端部の外側面から柱1を貫通して他方の梁2の端部の外側面へ到達するように設けた貫通孔4に、可撓性のある鋼材3が、梁主筋5…と重ね継手を構成する配置に湾曲させて挿入されて前記貫通孔4の両端へ架け渡され、更に当該貫通孔4内に付着力の高いグラウト材6が充填されて接続されている(請求項6記載の発明)。
図示例に係るPCa梁2の梁主筋5は、上端筋5及び下端筋5を3本ずつ、平面方向に見て一致する配置で、所要の間隔をあけて並行に設けられている。なお、前記梁主筋5…の数量はこれに限定されないことは勿論であり、使用するPCa梁2の大きさ及び形状、所望の構造設計に応じて適宜設計変更される。
図示例に係る前記貫通孔4及び可撓性のある鋼材3は、前記各梁主筋5…と平面方向に見て一致する配置に、それぞれ当該梁主筋5と重ね継手構造を形成するように湾曲させて設けられている(図2B参照)。具体的に、前記貫通孔4及び可撓性のある鋼材3は、前記梁主筋5のうち上端筋5には下向きに凸状に湾曲させて設けられ、下端筋5には上向きに凸状に湾曲させて設けられている(図2A参照)。
なお、前記貫通孔4及び可撓性のある鋼材3を配設する手法はこれに限定されず、図3A、Bにバリエーションを示したように、前記貫通孔4及び可撓性のある鋼材3を、前記各梁主筋5…を水平方向に見て一致する位置で(図3A参照)、それぞれ当該梁主筋5と重ね継手構造を形成するように湾曲させて設けることもできる(図3B参照)。
ちなみに、図示例に係るPCa梁2は、端部が拡径のPCa梁2を使用している。
また、図4A、Bにバリエーションを示したように、前記貫通孔4及び可撓性のある鋼材3を、中央部に位置する梁主筋5aには、平面方向に見て一致する位置に湾曲させて設け、端部に位置する梁主筋5b、5bには、水平方向に見て一致する位置に湾曲させて設けるなど、前記各手法を組み合わせても実施することができる。
なお、前記貫通孔4及び可撓性のある鋼材3を配設する手法はこれに限定されず、図3A、Bにバリエーションを示したように、前記貫通孔4及び可撓性のある鋼材3を、前記各梁主筋5…を水平方向に見て一致する位置で(図3A参照)、それぞれ当該梁主筋5と重ね継手構造を形成するように湾曲させて設けることもできる(図3B参照)。
ちなみに、図示例に係るPCa梁2は、端部が拡径のPCa梁2を使用している。
また、図4A、Bにバリエーションを示したように、前記貫通孔4及び可撓性のある鋼材3を、中央部に位置する梁主筋5aには、平面方向に見て一致する位置に湾曲させて設け、端部に位置する梁主筋5b、5bには、水平方向に見て一致する位置に湾曲させて設けるなど、前記各手法を組み合わせても実施することができる。
前記可撓性のある鋼材3に好適な長さは、図2Aの符号Bについて、使用する可撓性のある鋼材3の径の25〜50倍の範囲内で実施することが好ましい。このように数値限定する意義は、梁主筋5の応力を前記可撓性のある鋼材3を通して前記PCa柱1へ確実に伝達するのに必要な長さだからであり、それ以上長くしても経済的でなく、施工上も煩わしいからである。具体的に、前記可撓性のある鋼材3の長さは、当該可撓性のある鋼材3とグラウト材6との付着性状に応じて適宜設計変更されるが、試験体による実験では、使用する可撓性のある鋼材3の径の25〜30倍程度で実施すると、構造力学的にも経済的にも良好な結果が得られることが分かっている。
したがって、上記プレキャストコンクリート造柱梁の接合方法および接合構造によれば、一方の梁2の端部の外側面から柱1を貫通して他方の梁2の端部の外側面へ到達するように貫通するように設けた貫通孔4へ、可撓性のある鋼材3を、梁主筋5…と重ね継手を構成する配置に湾曲させて挿入して前記貫通孔4の両端へ架け渡し、更に当該貫通孔4内へ付着力の高いグラウト材6を充填して接続するだけで健全な接合構造を実現できる。
よって、面倒で時間のかかる緊張や緊結等によるプレストレスの導入作業は一切無用であるから、省力化と施工の簡略化を実現でき作業効率の向上、工期の短縮化を図ることができる。また、プレストレスの導入に係る締結具等の材料や工具も必要としない。
その他、可撓性のある鋼材3を用いるため、同鋼材3の挿入作業を容易に行うことができ、作業性が向上する。また、鉄筋が一切突出しない単純形状のPCa柱1及びPCa梁2で実施できるので、持ち運びが容易となり、運搬性及び作業性がよい。さらに、図6に係る技術と比して、現場で鉄筋同士を継手接合する必要もなく、後打ちコンクリートが無用となる。
よって、面倒で時間のかかる緊張や緊結等によるプレストレスの導入作業は一切無用であるから、省力化と施工の簡略化を実現でき作業効率の向上、工期の短縮化を図ることができる。また、プレストレスの導入に係る締結具等の材料や工具も必要としない。
その他、可撓性のある鋼材3を用いるため、同鋼材3の挿入作業を容易に行うことができ、作業性が向上する。また、鉄筋が一切突出しない単純形状のPCa柱1及びPCa梁2で実施できるので、持ち運びが容易となり、運搬性及び作業性がよい。さらに、図6に係る技術と比して、現場で鉄筋同士を継手接合する必要もなく、後打ちコンクリートが無用となる。
ちなみに、本出願人は、可撓性のある鋼材3の付着実験を以下のように行っている。
試験体は、200mm×200mm×200mmの立方体で、コンクリート強度を60
N/mm2とした。貫通孔4は、前記立方体の中央を一方向に貫通して設け当該貫通孔4の内径は23mmで、前記貫通孔4に貫通して設けた鋼材3に対して空隙率が70%となるようにしている。各試験体ともに試験体の鋼材3の引っ張り側端部から58mmの区間は鋼材3とグラウト材6との付着を無くしている。
そして、本出願人は、可撓性のある鋼材3として、インデント付きPC鋼より線を7本結束して、径(φ)=15.2mmとした鋼材3を用い、付着力の高いグラウト材6として、圧縮強度が60N/mm2のセメントグラウト、圧縮強度が120N/mm2のセメントグラウト、樹脂モルタル、及びエポキシ樹脂の計4種類のグラウト材6をそれぞれ使用して実験した結果、前記鋼材3とグラウト材6との付着強度は、鋼材3の降伏(引っ張り)強度より大きい値を示すなど、良好な結果が得られることを確認している。
同様に、本出願人は、可撓性のある鋼材3として、PC鋼より線を7本結束して、径(φ)=15.2mmとした鋼材3を用い、付着力の高いグラウト材6として、圧縮強度が60N/mm2のセメントグラウト、圧縮強度が120N/mm2のセメントグラウト、樹脂モルタル、及びエポキシ樹脂の計4種類のグラウト材6をそれぞれ使用して実験した結果、インデント付きPC鋼より線を使用した場合と比して付着強度は低いものの、前記鋼材3とグラウト材6との付着強度は、鋼材3の降伏(引っ張り)強度より大きい値を示すなど、良好な結果が得られることを確認している。
試験体は、200mm×200mm×200mmの立方体で、コンクリート強度を60
N/mm2とした。貫通孔4は、前記立方体の中央を一方向に貫通して設け当該貫通孔4の内径は23mmで、前記貫通孔4に貫通して設けた鋼材3に対して空隙率が70%となるようにしている。各試験体ともに試験体の鋼材3の引っ張り側端部から58mmの区間は鋼材3とグラウト材6との付着を無くしている。
そして、本出願人は、可撓性のある鋼材3として、インデント付きPC鋼より線を7本結束して、径(φ)=15.2mmとした鋼材3を用い、付着力の高いグラウト材6として、圧縮強度が60N/mm2のセメントグラウト、圧縮強度が120N/mm2のセメントグラウト、樹脂モルタル、及びエポキシ樹脂の計4種類のグラウト材6をそれぞれ使用して実験した結果、前記鋼材3とグラウト材6との付着強度は、鋼材3の降伏(引っ張り)強度より大きい値を示すなど、良好な結果が得られることを確認している。
同様に、本出願人は、可撓性のある鋼材3として、PC鋼より線を7本結束して、径(φ)=15.2mmとした鋼材3を用い、付着力の高いグラウト材6として、圧縮強度が60N/mm2のセメントグラウト、圧縮強度が120N/mm2のセメントグラウト、樹脂モルタル、及びエポキシ樹脂の計4種類のグラウト材6をそれぞれ使用して実験した結果、インデント付きPC鋼より線を使用した場合と比して付着強度は低いものの、前記鋼材3とグラウト材6との付着強度は、鋼材3の降伏(引っ張り)強度より大きい値を示すなど、良好な結果が得られることを確認している。
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために付言する。
例えば、構造物の角隅部に設けるPCa柱1へPCa梁2を接合する場合には、図5に示したように、ゴブ8付きの可撓性のある鋼材3を、PCa柱1側から、梁主筋5と重ね継手を構成する配置に湾曲させて当該コブ8がPCa柱1の側面に当接するまで挿入し、更に当該貫通孔4内へ付着力の高いグラウト材6を充填して接続する。
例えば、構造物の角隅部に設けるPCa柱1へPCa梁2を接合する場合には、図5に示したように、ゴブ8付きの可撓性のある鋼材3を、PCa柱1側から、梁主筋5と重ね継手を構成する配置に湾曲させて当該コブ8がPCa柱1の側面に当接するまで挿入し、更に当該貫通孔4内へ付着力の高いグラウト材6を充填して接続する。
1 PCa柱
2 PCa梁
3 可撓性のある鋼材
4 貫通孔(シース管)
5 梁主筋
6 グラウト材
7 ブラケット
8 コブ
2 PCa梁
3 可撓性のある鋼材
4 貫通孔(シース管)
5 梁主筋
6 グラウト材
7 ブラケット
8 コブ
Claims (6)
- プレキャストコンクリート造柱に、プレキャストコンクリート造梁を接合する方法であって、
一方の梁端部の外側面から柱を貫通して他方の梁端部の外側面へ到達するように設けた貫通孔へ、可撓性のある鋼材を、梁主筋と重ね継手を構成する配置に湾曲させて挿入し前記貫通孔の両端へ架け渡し、更に当該貫通孔内へ付着力の高いグラウト材を充填して接続することを特徴とする、プレキャストコンクリート造柱梁の接合方法。 - 可撓性のある鋼材は、PC鋼線、PC鋼より線、インデント付きPC鋼より線、或いは細径の鉄筋などの湾曲可能な鋼材とすることを特徴とする、請求項1に記載したプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法。
- 付着力の高いグラウト材は、モルタル、樹脂モルタル、グラウト、或いはエポキシ樹脂等の樹脂とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載したプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法。
- 貫通孔は、シース管で形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載したプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法。
- 可撓性のある鋼材は、柱を中心に上下左右対称配置に配設することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載したプレキャストコンクリート造柱梁の接合方法。
- プレキャストコンクリート造柱に、プレキャストコンクリート造梁を接合した接合構造であって、
一方の梁端部の外側面から柱を貫通して他方の梁端部の外側面へ到達するように設けた貫通孔に、可撓性のある鋼材が、梁主筋と重ね継手を構成する配置に湾曲させて挿入されて前記貫通孔の両端へ架け渡され、更に当該貫通孔内に付着力の高いグラウト材が充填されて接続されていることを特徴とする、プレキャストコンクリート造柱梁の接合構造。
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