JP2009001204A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】共鳴器の配設パターンの適正化を図ることにより、気柱共鳴音を効果的に低減するとともに、操縦安定性及び耐偏摩耗性の向上が可能な空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤ周方向に沿って延びる周方向溝2に気室部6と狭窄ネック8とで構成される共鳴器4を有し、車両装着への方向が指定された空気入りタイヤである。トレッド部1をタイヤ赤道線Leより車両外側の半域と車両内側の半域とに区画したとき、車両外側半域では、気室部6の延在方向Lrとタイヤ幅方向Lwとのなす角度が0度以上45度未満となる共鳴器4である幅方向傾斜共鳴器4aの個数が、気室部6の延在方向Lrとタイヤ幅方向Lwとのなす角度が45度を超えて90度以下となる共鳴器4である周方向傾斜共鳴器4bの個数よりも多く、車両内側半域では、周方向傾斜共鳴器4bの個数が、幅方向傾斜共鳴器4aの個数よりも多い。
【選択図】図1

Description

この発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に沿って延びる少なくとも一本の周方向溝と、これに隣接するリブ状の陸部とを具え、該リブ状陸部内に、該周方向溝に開口する狭窄ネックと、該狭窄ネックを介して該周方向溝と連通し該狭窄ネックよりも断面積が大きい気室部とで構成され、かつ該周方向溝に起因する騒音を減ずる複数の共鳴器を配設してなり、車両装着への方向が指定された空気入りタイヤに関するものである。
タイヤ周方向に沿って延びる周方向溝に起因する騒音とは、いわゆる気柱共鳴音のことであり、これは当該周方向溝と、トレッド部の接地域内の路面とによって形成される管内の空気の共鳴によって発生するものである。この気柱共鳴音の周波数は、一般的な乗用車では800〜1200Hz程度に観測されることが多く、ピークの音圧レベルが高く、周波数帯域が広いことから、タイヤの発生騒音の大きな部分を占めることになる。
また、人間の聴覚は、例えばA特性で示されるように、上記の周波数帯域でとくに敏感であるので、フィーリング面での静粛性を向上させる上においても、当該気柱共鳴音の低減は有効である。
従来、気柱共鳴音を低減する方法として、周方向溝に開口するサイプ(狭窄ネック)と、その狭窄溝につながる共鳴室(気室部)とから構成された、いわゆるヘルムホルツ型の共鳴器によって、気柱共鳴音の共鳴周波数付近のエネルギを吸収する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−338411号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたようなタイヤは、共鳴器は周方向溝に起因する気柱共鳴音を減ずる効果を有するものの、ある程度まとまった容積の空間を持つことから、トレッド部の陸部剛性が低下し、操縦安定性や耐偏摩耗性が低下するという問題がある。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、共鳴器の配設パターンの適正化を図ることにより、気柱共鳴音を効果的に低減するとともに、操縦安定性及び耐偏摩耗性を確保し得る空気入りタイヤを提供することにある。
この発明は、上記目的を達成するためになされたもので、この発明の空気入りタイヤは、トレッド部に、タイヤ周方向に沿って延びる少なくとも一本の周方向溝と、これに隣接するリブ状の陸部とを具え、該リブ状陸部内に、該周方向溝に開口する狭窄ネックと、該狭窄ネックを介して該周方向溝と連通し該狭窄ネックよりも断面積が大きい気室部とで構成され、かつ該周方向溝に起因する騒音を減ずる複数の共鳴器を配設してなり、車両への装着方向が指定された、すなわち車両に対して外側及び内側となる方向が指定された空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部をタイヤ赤道線より車両外側の半域と車両内側の半域とに区画したとき、車両外側半域では、前記気室部の延在方向とタイヤ幅方向とのなす角度が0度以上45度未満となる共鳴器である幅方向傾斜共鳴器の個数が、前記気室部の延在方向とタイヤ幅方向とのなす角度が45度を超えて90度以下となる共鳴器である周方向傾斜共鳴器の個数よりも多く、車両内側半域では、前記周方向傾斜共鳴器の個数が、前記幅方向傾斜共鳴器の個数よりも多いことを特徴とするものである。かかる構成のように、コーナリング時にタイヤ幅方向の応力が比較的集中するトレッド部の車両外側半域のリブ状陸部内に、共鳴器の設置によるタイヤ幅方向に対する当該陸部の剛性低下が相対的に小さい幅方向傾斜共鳴器を多く設け、駆動及び制動時にタイヤ周方向の応力が比較的集中するトレッド部の車両内側半域のリブ状陸部内に、共鳴器の設置によるタイヤ周方向に対する当該陸部の剛性低下が相対的に小さい周方向傾斜共鳴器を多く設けることにより、車両外側半域のリブ状陸部の剛性は、タイヤ幅方向の応力に対して相対的に大きくなり、車両内側半域のリブ状陸部の剛性は、タイヤ周方向の応力に対して相対的に大きくなる。また、駆動時、制動時及びコーナリング時に入力される応力に対するリブ状陸部の変形はトレッド部全体で均一化される。従って、共鳴器を設置しても操縦安定性及び耐偏摩耗性は確保される。
なお、ここでいう「周方向溝」には、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる溝のみならず、例えば波状又はジグザグ状に屈曲しつつ全体としてタイヤ周方向に延びる、いわゆる屈曲溝をも含むものとする。また、共鳴器の「断面積」とは、狭窄ネック及び気室部のそれぞれの仮想中心線と直交するそれぞれの面内の断面積を意味するものである。さらに、気室部の「延在方向」とは、気室部の長手方向に平行な方向を意味するものである。さらに、「気室部の延在方向とタイヤ幅方向とのなす角度」は、鋭角側から測定したときの角度を意味するものである。
前記幅方向傾斜共鳴器の前記気室部の延在方向とタイヤ幅方向とのなす角度は、30度以下であり、前記周方向傾斜共鳴器の前記気室部の延在方向とタイヤ幅方向とのなす角度は、60度以上であることが好ましい。
車両外側半域では、前記幅方向傾斜共鳴器の個数が、前記周方向傾斜共鳴器の個数より50%以上多く、車両内側半域では、前記周方向傾斜共鳴器の個数が、前記幅方向傾斜共鳴器の個数より50%以上多くすることが好ましい。
この発明によれば、駆動時、制動時及びコーナリング時に入力される応力が比較的大きくなる場所に、その応力の方向に対するリブ状陸部の剛性への影響が相対的に小さい共鳴器を配置したことから、気柱共鳴音を効果的に低減しつつ、操縦安定性及び耐偏摩耗性を確保することができる。
次に、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を説明する。ここに図1は、この発明に従う入りタイヤ(以下「タイヤ」という)のトレッド部の一部の展開図である。
図1に示すタイヤは、トレッド部1にタイヤ周方向に沿って延びる周方向溝2と、これに隣接するリブ状陸部3とを具える。また、リブ状陸部3内に、周方向溝2に起因する騒音を減ずる複数の共鳴器4をも具え、この共鳴器4は、さらにトレッド部1に開口する気室部6とこの気室部6及び周方向溝2間を連通する狭窄ネック8を有する。しかも、気室部6の仮想中心線CL1と直交する面内の断面積は、狭窄ネック8の仮想中心線CL2と直交する面内の断面積よりも大きい。
このタイヤは、車両への装着方向(すなわち、車両に対して外側及び内側となる方向)が指定されたものである。ここで、タイヤ赤道線Leを中心に車両外側の半域と車両内側の半域とに仮想的に区分すると(図1中、タイヤ赤道線Leより右側の半域を車両外側半域とし、タイヤ赤道線Leより左側の半域を車両内側半域とすると)、車両外側半域では、気室部6の延在方向Lrとタイヤ幅方向Lwとのなす角度θoutが0度以上45度未満となる共鳴器である幅方向傾斜共鳴器4aの個数が、気室部6の延在方向Lrとタイヤ幅方向Lwとのなす角度θinが45度を超えて90度以下となる共鳴器である周方向傾斜共鳴器4bの個数よりも多く、一方、車両内側半域では、周方向傾斜共鳴器4bの個数が、幅方向傾斜共鳴器4aの個数よりも多くなるように構成されている。一般にタイヤは、コーナリング時にはトレッド部1の車両外側半域にタイヤ幅方向の応力が比較的集中し、駆動及び制動時には、トレッド部1の車両内側半域にタイヤ周方向の応力が比較的集中する。しかも、共鳴器をリブ状陸部に設置することで、リブ状陸部の剛性は著しく低下し、操縦安定性が損なわれるのみならず偏摩耗も発生し易くなる。この発明では、タイヤ幅方向に対する当該陸部3の剛性低下を相対的に小さくする幅方向傾斜共鳴器4aを車両外側半域に多く設け、タイヤ周方向に対する当該陸部3の剛性低下を相対的に小さくする周方向傾斜共鳴器4bを車両内側半域に多く設けることにより、共鳴器4がリブ状陸部3の剛性へ与える影響を小さくすることができるとともに、応力入力時の陸部3の変形をトレッド部全体で均一化することができるので、気柱共鳴音を効果的に低減しつつ、操縦安定性及び耐偏摩耗性を確保できる。
図1に示す実施形態に関連し、さらに好適な実施形態を図2に示す。図2は、この発明に従うタイヤのトレッド部のパターンを示す図である。
上述のようにこの発明に従い共鳴器4を配置することで共鳴器4がリブ状陸部の剛性に及ぼす影響、すなわち剛性の低下を小さくするこができる。この影響をより効果的に小さくするためには、共鳴器4の気室部6の延在方向Lrを応力の入力方向に対して平行に近づけることが必要である。そこで、車両外側半域内の幅方向傾斜共鳴器4aの気室部6の延在方向Lrとタイヤ幅方向Lwとのなす角度を、30度以下とし、車両内側半域内の周方向傾斜共鳴器4bの気室部6の延在方向Lrとタイヤ幅方向Lwとのなす角度を、60度以上とすることが好ましい。より好ましくは、気室部6の延在方向Lrと応力の入力方向とを完全に平行にすることであり、図2に示すように、車両外側半域内(図2では、タイヤ赤道線Leより右側の半域内)の幅方向傾斜共鳴器4aの気室部6の延在方向Lrとタイヤ幅方向Lwとのなす角度を0度とし、車両内側半域内(図2では、タイヤ赤道線Leより左側の半域内)の周方向傾斜共鳴器4bの気室部6の延在方向Lrとタイヤ幅方向Lwとのなす角度は、90度とすることである。
さらに、共鳴器4がリブ状陸部の剛性に及ぼす影響をより効果的に小さくするためには、車両外側半域では、幅方向傾斜共鳴器4aの個数が、周方向傾斜共鳴器4bの個数より50%以上多く、車両内側半域では、周方向傾斜共鳴器4bの個数が、幅方向傾斜共鳴器4aの個数より50%以上多くすることが好ましい。より好ましくは、図2に示すように、車両外側半域の共鳴器を全て幅方向傾斜共鳴器4aで構成し、車両内側半域の共鳴器を全て周方向傾斜共鳴器4bで構成することである。
なおこの発明のタイヤに用い得る種々の共鳴器4について、図を参照しつつ詳しく説明する。ここで、図3は、この発明に適用可能な共鳴器の一例を示すものであり、(a)は、ヘルムホルツ型の共鳴器、(b)は、段付き管型の共鳴器をそれぞれ模式的に示した模式図である。
上述のように、気室部6及び狭窄ネック8により構成される共鳴器4は、気室部6のリブ開口及び狭窄ネック8がともに路面によって密閉された状態の下では、図3(a)に模式的に示すようなヘルムホルツ型の共鳴器を形成することになり、その共鳴器4の共鳴周波数fは、狭窄ネック8の長さをl、狭窄ネック8の半径をr、狭窄ネック8の断面積をSとするとともに気室部6の容積をV、音速をcとしたとき、
Figure 2009001204
として表すことができるので、この共鳴周波数fは、周方向溝2の気柱共鳴周波数との関連の下で、狭窄ネック8の長さl、狭窄ネック8の断面積S(半径r)及び気室部6の容積Vの大きさを選択的に変えることによって、所要に応じて変化させることができる。
なお、共鳴器4の狭窄ネック8の断面形状が円形ではない場合は、上記の式中の半径rは、該狭窄ネック8の断面積を基にして逆算することによって求められる。また、式中の係数「1.3」は文献によっては異なる値が存在するが、一般的には実験式から求めることが可能で、この発明においても一つの係数として用いるものとする。
また共鳴器4の気室部6は、その深さ方向の全体に亘って、開口面積と同一の横断面積を有するものを適用することができるが、深さ方向に向けて当該横断面積が漸増もしくは漸減するものを適用してもよい。また、気室部6の底壁は実質的に平坦面としてもよく、あるいは開口側に向けて凸もしくは凹状の曲面とすることもできる。
さらに、上記実施形態においては、共鳴器4の気室部6の、リブ状陸部3の表面への開口形状は矩形であるが、気室部6は長手方向を有していればよいので、この開口形状はこれに限定されず多角形と、楕円形と、その他の閉鎖曲線形状と、不規則な閉鎖形状等を適用することができる。
あるいは、上述したようなヘルムホルツ型の共鳴器に代えて、図3(b)に示すように気室部6及び狭窄ネック8をそれぞれ第一管路6’、第二管路8’とみなしてそれらを相互に連結した連結管路からなる段付き管型の共鳴器を適用することもでき、この場合には、以下の説明のようにして共鳴周波数fを求めることができる。
段付き管型の共鳴器につき、境界における第一管路6’側の音響インピーダンスをZ12、境界における第二管路8’側の音響インピーダンスをZ21、第一管路6’の断面積をS、第二管路8’の断面積をSとすると、連続の条件から、
21=(S/S)・Z12
との関係が成り立つ。
第二管路8’について、境界条件を、x=0でV=Vjwt、x=lでP/V=Z21とすると、第二管路8’の開口からの距離xの位置における音圧Pは、
=Z・{(Z21cos(k(l−x))+jZsin(k(l−x)))/(Zcos(kl)+jZ21sin(kl))}・Vjwt
と表される。
ここに、lは、第二管路8’の長さ、Vは、第二管路8’の粒子速度分布、Vは、入力点の粒子速度、jは、虚数単位、Zは、ρc(ρは、空気の密度、cは、音速)、kは、2πf/cである。
また、第一管路6’について、境界条件を、x=lでV=0、x=0でP=Pとすると、第一管路6’の開口からの距離xの位置における音圧Pは、
=Z・〔Z21cos(k(l−x))/(cos(kl)・{Zcos(kl)+jZ21sin(kl)})〕・ejwt
と表される。
ここに、lは、第一管路6’の長さである。
ここで、共鳴の条件 x=0でP=0より、
tan(kl)tan(kl)−(S/S)=0 となり、この共鳴の条件式に基づいて、k、l、l、S、S、cを決定して共鳴周波数fを求めることができる。
段付き管型の共鳴器は、図示の例では、直方体になる管路を組み合わせたものを示したが、上記の条件式で共鳴周波数を求めるには各管路の断面積及び長さを決定すればよいので、管路の形状は直方体に限定されることはなく種々の形状のものを適用し得る。
また、第二管路8’の一端は周方向溝2の溝壁で開口していることが不可欠となるが、第一管路6’、第二管路8’は、トレッド踏面の接地面内で路面との接触により閉鎖空間を形成することになるので、その上端をリブの表面で開口させておくことが可能であり、この点についても限定されることはない。
上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。
次にこの発明に従うタイヤを試作し性能評価を行ったので、以下に説明する。
性能評価では、共鳴器の配置の違いが操縦安定性及び耐偏摩耗性に与える影響を調べた。実施例1のタイヤは、タイヤサイズが225/55R17の乗用車用ラジアルタイヤであり、図2に示すように、車両外側半域内の共鳴器を全て幅方向傾斜共鳴器で構成し、車両内側半域内の共鳴器を全て周方向傾斜共鳴器で構成してなるトレッドパターンを有する。周方向溝は幅が10mm、深さが8mmである。また、幅方向傾斜共鳴器及び周方向傾斜共鳴器の寸法はいずれも、気室部の長手方向の長さが18mm、気室部の幅が6mm、気室部の深さが7mm、狭窄ネックの長さが6mm、狭窄ネックの幅が1mm、狭窄ネックの深さが2mmであり、共鳴器の共鳴周波数は1061Hzである。なお、この実験に使用するタイヤの周方向溝及び幅方向傾斜共鳴器並びに周方向傾斜共鳴器の寸法は、全てこれに則るものとする。
比較のため、タイヤサイズ及び周方向溝は実施例1と同じであるものの、図4に示すようにタイヤ赤道線を含むリブ状陸部の両側に位置するリブ状陸部内の共鳴器を周方向傾斜共鳴器で構成し、さらにその両側に位置するリブ状陸部内の共鳴器を幅方向傾斜共鳴器で構成してなるトレッドパターンを有する比較例1のタイヤ、及び図5に示すように、実施例1のトレッドパターンとは逆に、車両外側半域内の共鳴器を周方向傾斜共鳴器で構成し、車両内側半域内の共鳴器を幅方向傾斜共鳴器で構成してなるトレッドパターンを有する比較例2のタイヤを併せて試作した。
前記各供試タイヤを、サイズ7.5J×17のリムに装着し、空気圧220kPa(相対圧)を適用したのち実験及び各供試タイヤ毎に乗用車に組み付け二名乗車相当の負荷荷重条件にて以下の実験及び評価を行った。
(静粛性)
長い直線部分を含む周回及び緩やかなカーブの多いハンドリング評価路等を有するテストコース内を、低速から100km/h程度までの、公道上で一般的なドライバーが経験する速度域で実車走行し、気柱共鳴音の聞こえ易さや気になり易さをプロのドライバーが10点満点のフィーリング評価を行った。その評価結果を表1に示す。この数値が大きいほど共鳴器による消音効果、すなわち静粛性が大きいことを意味する。
(操縦安定性)
長い直線部分を含む周回及び緩やかなカーブの多いハンドリング評価路等を有するテストコース内を、低速から100km/h程度までの、公道上で一般的なドライバーが経験する速度域で実車走行し、ドライ路面における操縦安定性についてプロのドライバーが10点満点のフィーリング評価を行った。その評価結果を表1に示す。この数値が大きいほど操縦安定性が大きいことを意味する。
(耐偏摩耗性)
一般道路、高速道路及び山道を含むコースを10,000km走行した後、共鳴器を配置した各リブ状陸部において最も摩耗の多い部分と、最も摩耗の少ない部分との段差量を測定する。この段差量の平均値を算出し、結果を表1に示す。その数値が小さいほど耐偏摩耗性に良好であると判断する。
Figure 2009001204
表1に示す結果から明らかなように、車両外側半域内の共鳴器を幅方向傾斜共鳴器で構成し、車両内側半域内の共鳴器を周方向傾斜共鳴器で構成することにより、静粛性を維持しつつ操縦安定性及び耐偏摩耗性の確保が可能であることが確認された。
以上の説明から明らかなように、この発明によって、気柱共鳴音の低減を維持しつつ、操縦安定性及び耐偏摩耗性の向上が達成可能な空気入りタイヤを提供することが可能となった。
この発明に従う空気入りタイヤのトレッド部の一部の展開図である。 この発明に従うタイヤのトレッド部のパターンを示す図である。 この発明に適用可能な共鳴器の一例を示すものであり、(a)は、ヘルムホルツ型の共鳴器、(b)は、段付き管型の共鳴器をそれぞれ模式的に示した模式図である。 比較例1のタイヤのトレッドパターンを示す図である。 比較例2のタイヤのトレッドパターンを示す図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 周方向溝
3 リブ状陸部
4 共鳴器
4a 幅方向傾斜共鳴器
4b 周方向傾斜共鳴器
6 気室部
6’ 第一管路
8 狭窄ネック
8’ 第二管路

Claims (3)

  1. トレッド部に、タイヤ周方向に沿って延びる少なくとも一本の周方向溝と、これに隣接するリブ状の陸部とを具え、該リブ状陸部内に、該周方向溝に開口する狭窄ネックと、該狭窄ネックを介して該周方向溝と連通し該狭窄ネックよりも断面積が大きい気室部とで構成され、かつ該周方向溝に起因する騒音を減ずる複数の共鳴器を配設してなり、車両への装着方向が指定された空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッド部をタイヤ赤道線より車両外側の半域と車両内側の半域とに区画したとき、
    車両外側半域では、前記気室部の延在方向とタイヤ幅方向とのなす角度が0度以上45度未満となる共鳴器である幅方向傾斜共鳴器の個数が、前記気室部の延在方向とタイヤ幅方向とのなす角度が45度を超えて90度以下となる共鳴器である周方向傾斜共鳴器の個数よりも多く、
    車両内側半域では、前記周方向傾斜共鳴器の個数が、前記幅方向傾斜共鳴器の個数よりも多いことを特徴とする、空気入りタイヤ。
  2. 車両外側半域内の前記幅方向傾斜共鳴器の前記気室部の延在方向とタイヤ幅方向とのなす角度は、30度以下であり、
    車両内側半域内の前記周方向傾斜共鳴器の前記気室部の延在方向とタイヤ幅方向とのなす角度は、60度以上である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 車両外側半域では、前記幅方向傾斜共鳴器の個数が、前記周方向傾斜共鳴器の個数より
    50%以上多く、
    車両内側半域では、前記周方向傾斜共鳴器の個数が、前記幅方向傾斜共鳴器の個数より
    50%以上多い、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
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