JP2009000643A - 排NOx浄化方法 - Google Patents

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【課題】従来困難であったポストインジェクション方式の排NOxを効率的に浄化処理するための排NOx浄化方法を提供する。
【解決手段】メソ細孔と高比表面積を有するメソポーラス材料に担持した白金系触媒を用いることによって、従来困難であったリーンバーン雰囲気(通常、5%以上の酸素濃度雰囲気)にあるNOxを還元性の低い脂肪族炭化水素を用いて160〜400℃において効率的に浄化処理する。
【選択図】なし

Description

本発明はポストインジェクション方式によって排出される内燃機関の排NOxを浄化するための排NOx浄化方法に関するものであり、該内燃機関が排出するリーンバーンオンリーの排ガスに含まれるNOxを高効率で浄化処理するための排NOx浄化方法に関する。
従来、ガソリン車の排ガスに含まれるNOx、一酸化炭素、及び炭化水素は、白金族元素から成る三元触媒によって浄化されている(特許文献1参照)。三元触媒の主成分である白金族触媒は、酸素濃度が1%以下であるリッチバーン排ガス中のNOをNOに酸化する能力が高く、NOを還元性物質によってNO及び窒素に還元する能力も高く、又、還元性物質を酸素によって完全酸化する能力も高い。三元触媒は、通常、触媒支持体としてコージェライト製のモノリス成形体を用い、該成形体のガス流路内壁に数μm〜数十μmの大きさの活性アルミナ粒子を塗布し、該塗布層に数10nm〜数100nmの大きさの白金−パラジウム−ロジウム粒子を担持させた構造となっている。三元触媒による浄化方法は、空気:燃料の重量混合比である空燃比を理論空燃比(=14.7)近傍に制御することで(この燃焼はリッチバーンと呼ばれている)排ガスに含まれる酸素濃度を1%以下に維持できるので、排ガスに含まれる一酸化炭素及び炭化水素をNOxの還元剤として利用できるという利点を持つが、排ガス中の酸素濃度が数%以上になると触媒の著しい酸化劣化が生じるという問題がある。
また、軽油燃料で走行するトラック、バス等の大型ディーゼル車の排ガス処理は、触媒として遷移金属化合物及び又は白金族元素を用い還元剤として尿素水を用いる、所謂尿素SCR法が検討されている(特許文献2参照)。この方法は、100℃付近の比較的低温領域から600℃付近の比較的高温領域に渡ってNOxを効率的に浄化できるという利点を持つが、還元剤として高価な尿素水の搭載が必要であるという問題と、200℃付近以下の低温排NOxの多くが硝酸アンモニウムとして排出されるので水質環境汚染を招くという問題がある。
尿素水以外の還元剤を用いる方法としては、自動車燃料(燃料に少量含有されるエチレン、プロピレン等の炭化水素が還元性を有する)を還元剤として用いるハイドロカーボンSCR法が検討されており、この方法はリッチバーン排NOxに対しては高い浄化率が得られるが、リーンバーン排NOxに対しては浄化率が低いという問題がある。また、メタノールを還元剤として用いる方法が提案されているが(非特許文献1参照)、反応開始温度が300℃以上であるという問題がある。さらに、最近では、燃料を改質触媒で改質後に、排ガスに導入して排ガス浄化用触媒によって排NOxを処理する方法が提案されているが(特許文献4及び非特許文献2参照、)、反応開始温度が300℃以上であるという問題がある。
一方、ディーゼル乗用車等の小型ディーゼル車の排NOx処理には三元触媒が使用できない。それは、空燃比がガソリンの空燃比の数倍以上であるので(ディーゼル燃料の燃焼はリーンバーンである)ディーゼル排ガス中の酸素濃度が通常5%以上であり還元性物質がほとんど含まれていないためである。同様の理由でリーンバーンガソリン車の排ガスも三元触媒だけでは浄化が難しい。三元触媒の主成分である白金族触媒は、前述の如く、NOをNOに酸化する能力が高いが、NOを還元性物質によってNO及び窒素に還元する能力も高く、又、還元性物質を酸素によって完全酸化する能力も高いので、従来の白金を主体とした触媒を酸素濃度の高いリーンバーンの排ガスと直接接触させると、リーンバーン排ガスに燃焼しやすい水素、一酸化炭素、ハイドロカーボン等の還元性物質を供給した場合でもNOxの処理温度帯域がおよそ200℃〜250℃の非常に狭い領域に限定されるという問題があった。一方、遷移金属酸化物触媒は実用に供されていないが、酸化還元力が白金よりも低いので、250℃〜400℃の範囲がNOxの処理温度帯域であることが報告されている。
リーンバーンガソリン車及び小型ディーゼル車の排NOx処理には、現在、主として、白金族触媒にNOx吸蔵剤を添加した所謂NOx吸蔵還元触媒を用いる浄化方法が採られている(特許文献3参照)。この方法は、リーンバーンだけでは排NOx浄化が困難であるので、リーンバーンとリッチバーンを交互に繰り返す燃焼方式を行っている。この方法でのNOx浄化は、リーンバーン排NOxをNOx吸蔵剤で吸収し、吸収NOxをリッチバーン雰囲気下で放出させ、放出NOxをリッチバーン排ガス中に供給した燃料もしくはリッチバーン排ガス中に存在する多量の一酸化炭素、水素、炭化水素等の還元性物質を用い白金族触媒で還元処理するという考えに立脚している。リーンバーンとリッチバーンを交互に繰り返す燃焼方式とNOx吸蔵還元触媒を用いた浄化方法は、ガソリン乗用車の排ガス処理に用いられている三元触媒が使用できないような高濃度の酸素雰囲気中でも250℃付近から600℃付近に渡ってNOxを浄化できるという利点を持つが、200℃付近以下でのNOx浄化は非常に困難であるという問題がある。また、排ガス中の水分及び少量のSOxによってNOx吸蔵剤が著しく劣化するので、通常750℃以上での定期的な高温処理による触媒再生が必要であり、再生処理によって触媒は著しく熱劣化するという問題もある。
上記の問題は、NOx吸蔵剤の物理的・化学的性質に由来して起きている。リーンバーン雰囲気でNOを吸収するためのNOx吸蔵剤は、強塩基性のアルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩等であるので、NOもしくは硝酸はこれらのアルカリ性の金属化合物とマイルドな温度で容易に反応して硝酸塩として吸収される。リッチバーン雰囲気では、これらの硝酸塩が分解して元の金属化合物と遊離のNOを発生する。そのため排ガスの処理温度はNOx吸蔵剤である金属化合物の硝酸塩の分解温度に完全に依存している。公知のNOx吸蔵剤の分解温度は250℃以上であり、200℃以下で作動するようなアルカリ性の金属化合物は知られていない。また、上記金属化合物は水溶性でありSOxとも容易に反応して不活性な硫酸塩になる。それゆえ、上記のような様々の弊害を起こすNOx吸蔵剤の使用を避けることが望まれている。
また、上記リーンバーンとリッチバーンを交互に繰り返す燃焼方式は、内燃機関における燃焼と酸素濃度を精密に制御するための高度で複雑な制御システムの搭載を必要とするので、リーンバーンだけの排ガスでもNOx浄化ができるのであれば上記の制御システムが簡略化できるので、このようなリーンバーン専用車のためのNOx浄化方法が望まれている。
このような事情から、最近、リーンバーンとリッチバーンを交互に繰り返す燃焼方式に代り、還元剤の少ないリーンバーンと還元剤の豊富なリーンバーンを交互に繰り返す燃焼方式が検討されはじめた。これがポストインジェクション方式と呼ばれる方式であり、通常のリーンバーンから次のリーンバーンに移行するまでの非常に短い時間に少量の燃料噴射をする燃焼方式である。この方式は、リーンバーン直後のまだ高温状態にある燃焼室に少量の燃料噴射をすることによって該噴射燃料を熱分解し、それによって低級炭化水素を生成させる方式である。この方式を行えば、低級炭化水素が豊富に存在するリーンバーン排ガスを発生させることができる。ただし、この低級炭化水素は、一酸化炭素やエチレン、プロピレン等の還元性能の高い不飽和低級炭化水素と違って還元性能の低いC6からC10の飽和及び不飽和炭化水素が主成分である。従来の三元触媒やNOx吸蔵還元触媒等の公知の排ガス浄化触媒では、ポストインジェクション方式で排出される排ガスのNOx処理が困難であるので、このような炭化水素でも排NOxを還元することができる従来にない画期的な高活性のNOx浄化触媒の開発が必要となる。
ところで、国内ではディーゼル乗用車の排出する排ガスの温度は過渡走行時でおよそ120℃〜200℃であり安定走行時でおよそ200℃〜400℃であるが、排出されるNOxの約80%が過渡走行時に排出されている。
以上のことから、ディーゼル乗用車の排ガス処理方法については、ポストインジェクション方式を用いたリーンバーンオンリーで動く内燃機関が排出する上記120℃〜200℃の過渡走行時及び200〜400℃の安定走行時のリーンバーン排NOxを効率的に除去するための排NOx浄化方法が期待されている。
一般に、工業的な触媒は多孔性材料に担持した状態で使用されることが多い。多孔性材料の細孔は、IUPAC(国際純正及び応用化学連合)によると、細孔直径が2nm以下のミクロ細孔、2〜50nmのメソ細孔、及び50nm以上のマクロ細孔に分類されている。ミクロからメソの範囲にわたる広い分布をもつような単一の多孔性材料は活性炭以外には知られていない。
近年、細孔径が数nmの細孔が規則的に配列し、比表面積が400〜1100m2/gという非常に大きな値を有するシリカ、アルミナ、及びシリカアルミナ系のメソポーラス分子篩が開発された。これらは、例えば、特許文献1、2、及び3等に開示されており、細孔の細孔配列があたかも結晶性物質の原子配列に類似していることから結晶性メソポーラス分子篩と命名されている。
触媒反応は表面反応であるので触媒の比表面積が大きいほど触媒活性が高い。また、触媒を担持するための担体は比表面積が大きいほど触媒活性を発現しやすい。このような観点から自動車用三元触媒をみると、支持体としてのモノリス成形体は成形体の断面が網目状で、軸方向に平行に互いに薄い壁によって仕切られたガス流路を設けている成形体であり、その比表面積が約0.2m2/g、担体としてのアルミナ粒子の比表面積が110〜340m2/gであり、触媒の比表面積は粒径から20〜40m2/g程度であると推定される。したがって、従来の触媒粒子の粒径よりも一桁から二桁小さいナノサイズの触媒粒子を上記結晶性のメソポーラス材料の細孔内に担持することによって触媒の表面積は従来の三元触媒の102〜104倍大きくなるので、これをモノリス成形体に塗布することによって自動車排ガスに対する触媒活性の向上を図ることが考えられ、この考えは、例えば、特許文献4〜9に開示されている。しかし、ディーゼル乗用車等が排出する120℃〜200℃付近の低温排NOxを効果的に除去することはできなかった。
特開平05−254827号公報 特表平05−503499号公表 特表平06−509374号公表 WO2005/103461号公報 米国特許第5,143,707号明細書 特開平08−257407号公報 特開2001−009275号公報 特開2002−210369号公報 特開2002−320850号公報 特開2003−135963号公報 Applied Catalysis B:Environmental 17(1998)115−129. Applied Catalysis B:Environmental 17(1998)333−345.
本発明の目的は、上記の事情に鑑み、ディーゼル等の内燃機関が排出するリーンバーン排NOxを浄化する方法に関する。具体的には、従来困難であったリーンバーン排NOxを浄化するために、ポストインジェクション方式の内燃機関が排出するリーンバーン排NOxの効率的な浄化方法を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の細孔分布と高比表面積を有するメソポーラス材料に白金を担持した触媒がリーンバーン排NOx処理に対して非常に有効であることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ポストインジェクション方式によって排出される内燃機関の排NOxを浄化する方法において、細孔径が1〜50nmの細孔と100〜3000m2/gの比表面積とを有するメソポーラス材料に白金を主成分とした触媒を担持したメソポーラス触媒を用いることを特徴とする排NOx浄化方法、
(2)前記メソポーラス材料がメソポーラスのシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナであることを特徴とする上記(1)に記載の排NOx浄化方法、
(3)前記メソポーラス材料が非晶性メソポーラスシリカであることを特徴とする上記(1)に記載の排NOx浄化方法、に関する。
本発明浄化方法によって、従来達成できなかったリーンバーン排NOxを低温領域でも極めて効率よく浄化することができる。例えば、三元触媒ではポストインジェクション方式の排ガスを模した炭化水素を豊富に含むNOxガスでも10%程度の高濃度の酸素が存在する場合には一酸化窒素はほとんど浄化できないが、本発明のメソポーラス触媒を用いる浄化方法では、同様のNOxガスに対しても一酸化窒素の80%以上を160℃〜400℃において浄化できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明浄化方法で用いる排ガスは、ポストインジェクション方式の内燃機関が排出する排ガスである。該方式は、前記説明の如く、通常のリーンバーンから次のリーンバーンに移行するまでの非常に短い時間に内燃機関の燃焼室に少量の燃料噴射を行う方式である。該方式による排ガスは、低級炭化水素が豊富に存在するリーンバーン排ガスである。ただし、この低級炭化水素は、還元性能の低いC6からC10の飽和及び不飽和炭化水素が主成分である。それゆえ、本発明浄化方法で用いる排NOx浄化触媒は、このような還元性能の低い炭化水素でもNOxの還元剤として機能させることができる画期的な触媒である。
本発明浄化方法で用いる排NOx浄化触媒としては、メソポーラス材料に白金を主成分とした触媒を担持したメソポーラス触媒を用いる。担体としてメソポーラス材料を用いる理由は、メソポーラス材料の細孔に触媒を担持できること、細孔チャンネルを通じたガス拡散の効果が期待できること、細孔分布を制御することで触媒活性種の好ましい粒径範囲を維持できること、触媒を細孔内に担持することで触媒粒子の再凝集を抑制し触媒の均一高分散を図れること、NOx浄化反応が低温で開始する、などの優れた効果があるからである。
本発明で用いるメソポーラス材料とは、高比表面積を有しなおかつ一次微粒子間の空隙がメソ細孔を形成する所謂メソポーラス材料であり、その比表面積が100〜3000m2/gであり細孔の大きさが直径表示で1〜50nmの範囲にあるものをいう。
本発明で用いるメソポーラス材料としては、例えば、メソポーラスシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、イットリア、ニオビア、カルシア、ゼオライト、活性炭、及びこれらの複合材料を挙げることができる。この中で、メソポーラスシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナは耐熱性や機械物性が比較的高いので好ましい。
また、本発明で用いるメソポーラスシリカの種類としては、シリカゲルやシリカ骨格のケイ素原子が他の原子で置換された所謂メソポーラスメタロシリケートをも含まれる。該メタロシリケートにおける置換元素としては、例えば、周期律表におけるランタノイド族を含む3A族元素、3B族元素、4A族元素、5A族元素、6A族元素からなる群から選ばれた少なくとも一種類の元素を挙げることができる。これらは、意外にも触媒に低温活性を付与することがわかったので好ましい。3A族元素では、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、サマリウム、ガドリニウムが好ましく、3B族元素ではホウ素が好ましく、4A族元素ではチタン、及びジルコニウムが好ましく、5A族ではニオブ、及びタンタルが好ましく、6A族ではクロム、モリブデン、及びタングステンが好ましい。中でも、ホウ素、タングステン、ニオブ、及びセリウムが更に好ましく、持続性の面からはタングステン、及びセリウムが特に好ましい。これらの元素の導入量はメソポーラスシリカを構成する主金属に対して1〜20モル%が好ましく、より好ましくは1〜10モル%である。これらのメタロシリケートを用いた白金触媒によるNOx浄化反応の開始温度が、未置換のメソポーラスシリカを用いた白金触媒よりも数十度ほど低下するという予想外の低温活性機構はいまだ未解明であるが、触媒近傍でのNOx濃縮効果が関係しているものと考えられる。
メソポーラスシリカには細孔の配列があたかも結晶格子の配列のように或る結晶系に帰属できる結晶性メソポーラスシリカと、細孔の配列に秩序性がない非晶性メソポーラスシリカとが存在する。本発明では、これらのどちらでも用いることができるが、非晶性メソポーラスシリカのほうが触媒の高活性を発現させる上で好ましい。本発明で用いる非晶性メソポーラスシリカとは、細孔(=空孔)に起因する1本の小角X線回折ピークを持ちTEM観察によって細孔配列の秩序性がまったく観測されないメソポーラスシリカのことである。
一般に、多孔性材料に存在する空孔は小角X線回折法によって観測することができ、また、TEMによって直接観察することができる。IUPACで区分けされるミクロ領域(2nm以下)とメソ領域(2nm〜50nm)の空孔は、横軸に回折角2θ、縦軸にX線回折強度をとったとき、通常、回折角2θが数度以内の領域でブロードな回折ピークを示す。空孔が多孔性材料の細孔であり、それがある程度の長距離範囲において規則正しく配列している場合には、上記回折角の領域において、一般に、結晶性物質に観測されるような複数本の回折ピークが観測され、そのパターンから、細孔配列の帰属ができる。また、この材料をTEM(=透過型電子顕微鏡)観察すると細孔が秩序よく配列している像を観測することができる。このような規則配列した細孔を有するメソポーラス材料がモービルオイル社によって発明され、結晶性のメソポーラス分子篩と命名された(特許第3443428号公表)。
回折ピークが1本しか観測されないときには、パターンの帰属ができないので結晶性であるとは断定できない。このような場合、結晶性なのか非晶性なのかを決定するためにはTEM観察が有効である。本発明で用いる非晶性メソポーラスシリカは、細孔に起因する小角X線回折ピークを1本しか持たない。さらに、TEM観察によって細孔配列の長距離秩序性がまったく観測されないことから結晶性ではなく、所謂、非晶性であることが確認された。結晶性メソポーラスシリカと非晶性メソポーラスシリカは、小角X線回折測定及びTEM観察によって明確に区別することができる。
次に、触媒の担体としてメソポーラス材料を考える時には、細孔の形態、細孔分布、比表面積、等の細孔特性のパラメーターが重要である。細孔の形態は、細孔内における触媒粒子の捕捉状態に影響し、細孔分布は触媒粒子の粒径に影響し、比表面積は触媒の分散状態に影響するからである。前記に述べたモービルオイル社発明の結晶性メソポーラス分子篩は細孔配列が六方晶系に属しているので、細孔を有する面が層状に積層しており、各層の面内において繊維状の細長い円筒形状の細孔がそれぞれ平行に配列した蜂の巣状の形態をしている。一方、非晶性メソポーラスシリカは、小角X線回折測定及びTEM観察によって、無定型の浅い細孔が所々連結して無秩序に分散した構造をしている。
これら2種類のメソポーラスシリカに白金触媒を担持してNOx浄化反応の触媒活性を比較すると、非晶性メソポーラスシリカに担持した触媒のほうがはるかに優れた低温活性を有することが見出された。この意外な触媒活性の違いは、次のように説明することができる。すなわち、六方晶系メソポーラスシリカであるメソポーラスシリカMCM−41に担持された触媒は細孔の表面張力によって細長い細孔内の奥深くに捕捉され、非晶性メソポーラスシリカに担持された触媒は細孔の入り口近くの浅い所に捕捉されており、触媒表面での気相反応である排NOx浄化反応に対しては、物質移動が速やかに達成される本発明における非晶性メソポーラスシリカのほうが結晶性メソポーラスシリカよりも触媒担体として優れているからであろう。
本発明で用いるメソポーラス材料の細孔径と細孔に担持される触媒の粒径は密接に関係している。以下で述べるように、NOxに対して高活性を示す触媒粒子の粒径はナノサイズであるので、担体であるメソポーラス材料の細孔径は触媒粒子と同程度でなければならない。通常、メソポーラス材料の細孔内に担持される触媒の粒径は、細孔径とほぼ同程度であるので、メソポーラス材料の細孔径を制御することによって、好ましい粒径を有する触媒を均一分散坦持することができる。したがって、メソポーラス材料の細孔径は重要な設計要素である。
本発明で用いるメソポーラス材料の細孔の大部分は、細孔径(直径表示)が1〜50nmの範囲にあり、好ましくは2〜20nmの範囲にあり、より好ましくは2〜10nmの範囲にある。ここでいう細孔の大部分とは1〜50nmの細孔が占める細孔容積が全細孔容積の60%以上であることをいう。細孔径が1nm未満であっても触媒の担持は可能であるが、不純物等による触媒の汚染の影響や反応物質の物質輸送などを考えると1nm以上が好ましい。50nmを越えると分散担持された触媒が水熱高温条件などによるシンタリング(=燒結)によって巨大粒子に成長しやすくなるので50nm以下が好ましい。なお、本発明における細孔径は、吸脱着の気体として窒素を用いた窒素吸着法によって測定される値でありBJH法によって求められる1〜200nmの範囲の細孔分布(微分分布表示)で示される。
次に、メソポーラス材料の比表面積は触媒の均一な分散性を図るために重要な設計要素である。比表面積は、特別な事情がない限り高ければ高いほどよい。本発明に用いることのできるメソポーラス材料の比表面積は100〜3000m2/gであり、好ましくは100〜1500m2/g、さらに好ましくは、400〜1200m2/gである。比表面積が100m2/g未満では、触媒の担持量が少なくなるので担持触媒の触媒性能を引き出す上で100m2/g以上であることが好ましい。一方、材料強度上の面からは比表面積が3000m2/g以下であることが好ましい。なお、本発明における比表面積は、吸脱着の気体として窒素を用いたBET窒素吸着法によって測定される値である。
次に、本発明で用いる触媒は、白金を主成分とした触媒である。従来、白金を含有する自動車排ガス処理用触媒としては三元触媒が知られているが、この触媒はディーゼル排NOx浄化処理にはほとんど効果がないことが知られている。その理由は、白金以外の構成元素であるパラジウム及びロジウムが低濃度の酸素によって表面酸化を受けるためである。三元触媒は白金−パラジウム−ロジウムで構成されているので表面酸化を受けるとたちまち失活し易いからである。
本発明で白金を主成分とした触媒を用いる理由は、白金族の中で白金が排NOxの主成分である一酸化窒素を共存酸素によって二酸化窒素に酸化する触媒能力が最も高く、高温の酸素雰囲気中でも酸化されにくいからである。又、NOx還元のための還元剤としての利用が困難とされていたC6からC10の飽和及び不飽和炭化水素に対しても活性であることがわかったからである。
触媒粒子の表面積は粒径の二乗に反比例するので、触媒粒子が小さいほど触媒活性が高くなる。例えば、1nmの触媒粒子の表面積は0.1μmのそれと比べると104倍大きい。また、ナノサイズに微粒化された触媒粒子は、活性を示すエッジ、コーナー、ステップなどの高次数の結晶面を多量にもつので、触媒活性が著しく向上するだけでなく、バルクでは触媒活性を示さないような不活性金属でも予期しなかった触媒活性を発現する場合があることが知られている。したがって、触媒能力の観点からは触媒粒子は細かいほど好ましいのであるが、反面、微粒化による表面酸化、副反応などの好ましくない性質もでてくるので、微粒子の粒子径には最適範囲が存在する。本発明目的のNOx還元浄化処理に対して効果的な活性を示す白金の平均粒径は1〜20nmの範囲にあり、特に1〜10nmの範囲が高活性を示すことがわかった。
本発明で用いる触媒はメソポーラス材料の細孔に担持された担持型触媒である。主触媒としての白金の担持量は0.01〜20質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%であるが、量的な問題がなければ、通常は、数%の担持量で用いる。メソポーラス材料の触媒担持量は20質量%以上でも可能であるが、担持量が過剰になると反応にほとんど寄与しない細孔深部の触媒が増えるので20質量%以下が好ましい。また、十分な触媒活性を得るには0.01質量%以上が好ましい。
本発明の主触媒である白金触媒に異なる機能をもつ助触媒的成分を添加することによってシナジー効果による触媒性能の向上をはかることもできる。このような成分として、例えば、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、バリウム、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、レニウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、バリウム、等の金属、及びこれらの化合物をあげることができる。これらの中で、少量の添加によって触媒性能のエージングが抑制できるロジウム、レニウム、不動態化膜になるクロム、鉄、コバルト、ニッケル、還元剤の吸着力が比較的高い銅、余剰還元剤の完全燃焼に効果を示す鉄(VI)酸バリウム、タングステン酸銀、モリブデン酸バリウム等のオキソ酸塩、及びリンタングステン酸塩、リンモリブデン酸塩等のヘテロポリ酸塩、中程度の酸化力をもつ酸化セリウム、酸化プラセオジム、三二酸化マンガン、SOx被毒防止に有効な銅-亜鉛、鉄−クロム、酸化モリブデン、などは好ましい。この成分の添加量は、通常、白金重量の0.01倍から100倍程度であるが、必要に応じて100倍以上であってもよい。
また、リーンバーンガソリン車のように排ガス温度が常時600℃以上にもなるような高温使用を必要とする場合には、本発明で用いるメソポーラス触媒に従来のアルミナ担持白金触媒のような耐熱性触媒を混合することによって対応することができる。
さらに、本発明で用いるメソポーラス触媒に必要に応じてNOx吸着剤を添加することもできる。NOx吸着剤の役割は、還元剤濃度が酸素濃度の200分の1以下の通常のリーンバーン雰囲気の場合、メソポーラス触媒だけでは不十分な120℃〜180℃領域でのNO2の除去と300℃以上でのNO2の除去を吸着によって一時的に行うためである。吸着剤によって吸着されたNO2は、ポストインジェクション時の炭化水素が豊富に存在するリーンバーン排ガスに接触したときにある程度還元処理できる。NOx吸着剤はNOx吸蔵剤と異なり、SOxによる永久被毒を受けないので高温再生の必要がない。該NOx吸着剤としては、例えば、陽イオン交換ゼオライトを挙げることができる。陽イオンは、プロトン、遷移金属イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類金属イオンの中から選ばれる少なくとも1種類以上の陽イオンである。遷移金属イオンとしては、4族から13族の金属イオンが好ましく、中でも鉄イオン、銅イオン、インジウムイオンがさらに好ましい。ゼオライトとしては、天然ゼオライト、合成ゼオライト、これらに類するゼオライト様の性質・構造をもつ化合物を用いる。現在、天然ゼオライトについては、30種類以上の天然ゼオライトが知られており、例えば、方沸石、リョウ沸石、毛沸石、ソーダ沸石、モルデン沸石、輝沸石、束沸石、濁沸石、などを挙げることができる。また、合成ゼオライトについては、現在、80種類以上の合成ゼオライトが知られており、例えば、A型ゼオライト、Y型ゼオライト、X型ゼオライト、L型ゼオライト、エリオナイト、モルデナイト、ベータゼオライト、ZSM−5ゼオライト、等を挙げることができる。これらに類するゼオライト様の性質・構造をもつ化合物としては、例えば、チタノシリケートTS−1を挙げることができる。陽イオン交換ゼオライトはアンモニア等を吸着する陽イオン交換能を持つので、その陽イオンにNOが吸着するものと考えられる。また、還元剤として働くプロピレン等の低級オレフィンを細孔内の吸着サイトに蓄えることができる。
他のNOx吸着剤としては、活性炭及び活性炭に類する炭素系の材料を挙げることができる。活性炭は万能の吸着剤であるのでNOx吸着剤として適している。活性炭に類する炭素系の材料としては、多孔性のグラファイト、カーボンナノチューブ、炭窒化ホウ素などが挙げられる。
本発明で用いるメソポーラス材料の製造法は特に限定するものでなく、従来の方法である界面活性剤のミセルをテンプレートとして用いるゾル−ゲル法を応用することによって所用の材料を製造することができる。メソポーラス材料の原料である前駆物質としては、通常、金属アルコキシドを用いる。例えば、メソポーラスシリカの前駆物質には、通常、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のアルコキシドを用いる。これに、必要に応じてシリカゾル、ヒュームドシリカ、水ガラス等を適量加えることもできる。
ミセル形成の界面活性剤は、例えば、長鎖のアルキルアミン、長鎖の4級アンモニウム塩、長鎖のアルキルアミンN−オキシド、長鎖のスルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等のいずれであってもよい。溶媒として、通常、水、アルコール類、ジオールの1種以上が用いられるが、水系溶媒が好ましい。反応系に金属への配位能を有する化合物を少量添加すると反応系の安定性を著しく高めることができる。このような安定剤としては、アセチルアセトン、テトラメチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、ピリジン、ピコリンなどの金属配位能を有する化合物が好ましい。
前駆物質、界面活性剤、溶媒及び安定剤からなる反応系の組成は、前駆物質のモル比が0.01〜0.60、好ましくは0.02〜0.50、前駆物質/界面活性剤のモル比が1〜30、好ましくは1〜10、溶媒/界面活性剤のモル比が1〜1000、好ましくは5〜500、安定剤/主剤のモル比が0.01〜1.0、好ましくは0.2〜0.6である。反応温度は、20〜180℃、好ましくは20〜100℃の範囲である。反応時間は5〜100時間、好ましくは10〜50時間の範囲である。この段階の反応生成物は、通常、ゲル状の沈殿物として得られる。該反応生成物は、テンプレートとして使用した界面活性剤を内含しているので所謂中間物質である。該反応生成物を通常、濾過により分離し、十分に水洗、乾燥後、大気中、通常、500℃以上1000℃以下での焼成によりテンプレートを熱分解除去することによって、最終的なメソポーラス材料を製造することができる。必要に応じて、焼成前に界面活性剤をアルコールなどで抽出することもできる。このようにして製造されるメソポーラス材料は、一般的に非晶性である。結晶性のメソポーラス材料は、焼成前に上記中間物質を熟成(又は結晶化)させる工程を経ることによって製造することができる。熟成(又は結晶化)は、通常90℃以上好ましくは95℃以上のスチーム雰囲気中で通常5時間以上数週間養生することで達成できる。
本発明で用いるメソポーラス触媒は、例えば、イオン交換法又は含浸法によって製造することができる。これらの二つの方法は、担体への触媒の沈着化について、イオン交換法が担体表面のイオン交換能を利用し、含浸法が担体のもつ毛管作用を利用しているという違いはあるが、基本的なプロセスはほとんど同じである。すなわち、メソポーラス材料を触媒原料の水溶液に浸した後、濾過、乾燥し、必要に応じて水洗を行い、還元剤で還元処理することによって製造することができる。
白金の触媒原料としては、例えば、H2PtCl4、(NH4)2PtCl4、H2PtCl6、(NH4)2PtCl6、Pt(NH3)4(NO3)2、Pt(NH3)4(OH)2、PtCl4、白金のアセチルアセトナート、等を用いることができる。必要に応じて主触媒に添加する助触媒的成分の原料としては、例えば、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩などの水溶性塩類を用いることができる。白金に助触媒的成分を添加した触媒についても、その原料を主触媒原料に混合して同様にして製造することができる。還元剤としては、水素、ヒドラジン水溶液、ホルマリン、等を用いることができる。還元は、それぞれの還元剤について知られている通常の条件で行なえばよい。例えば、水素還元は、ヘリウムなどの不活性ガスで希釈した水素ガス気流下にサンプルを置き、通常、300〜500℃で数時間処理することによって行なうことができる。還元後、必要に応じて、不活性ガス気流下500〜1000℃で数時間熱処理してもよい。
なお、3A族元素、3B族元素、4A族元素、5A族元素、及び/又は6A族元素をメソポーラスシリカのケイ素の変わりに導入したメソポーラスメタロシリケートは、メソポーラス材料の前駆物質にこれらの元素のアルコキシド、アセチルアセトナート等を適当量加えて、上記メソポーラス材料の製造法と同様の方法によって製造することができる。
本発明で用いるメソポーラス触媒は、通常、自動車触媒の一般的な成形体であるモノリス成形体に塗布して使用される。モノリス成形体とは、成形体の断面が網目状で、軸方向に平行に互いに薄い壁によって仕切られたガス流路を設けている成形体のことである。成形体の外形は、特に限定するものではないが、通常は、円柱形である。メソポーラス触媒をモノリス成形体のガス流路内壁に付着させたものを、便宜上、以下ではメソポーラスモノリス触媒と言うことにする。メソポーラスモノリス触媒におけるメソポーラス触媒の付着量は、3〜30質量%が好ましい。担体内部に存在する触媒へのガス拡散の面から30%以下が好ましい。また、十分な触媒性能を引き出す上で3%以上が好ましい。モノリス成形体への白金触媒の塗布量相当の付着量は、成形体の0.03〜3質量%が好ましい。
上記メソポーラスモノリス触媒は、自動車用三元触媒を付着したモノリス成形体の製造方法に準じて製造することができる。例えば、メソポーラス触媒とバインダーとしてのコロイダルシリカを、通常、1:(0.01〜0.2)の質量割合で混合した混合物をつくり、これを水分散することによって通常10〜50質量%のスラリーを調整した後、該スラリーにモノリス成形体を浸漬してモノリス成形体のガス流路の内壁にスラリーを付着させ、乾燥後、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性雰囲気下500〜1000℃で数時間熱処理することによって製造することがきる。コロイダルシリカ以外のバインダーとしては、アルミナゾル、メチルセルロース、アクリル樹脂、ポリエチレングリコールなどを適宜用いることもできる。あるいは、モノリス成形体にメソポーラス材料を塗布したのち、触媒原料を該メソポーラス材料に含浸し、還元処理、熱処理を行う方法によっても製造することができる。
また、他の製法としては、スラリーを付着させる代わりに、気体状の前駆物質を用いて薄膜状のメソポーラス材料を直接付着させる化学的蒸着法によって行うこともできる。該薄膜状のメソポーラス材料を付着したモノリス成形体への白金触媒の担持は、通常、触媒原料の水溶液を含浸、乾燥後、還元処理、熱処理を行う方法によって行うことができる。
モノリス成形体に付着させるメソポーラス触媒層の厚みは、付着方法によって異なり、前記のスラリーを付着させる方法では、通常、1μm〜100μmであるのが好ましく、10μm〜50μmの範囲が特に好ましい。100μmを超えると反応ガスの拡散が遅くなるので100μm以下が好ましい。触媒性能の劣化を抑制するためには1μm以上が好ましい。また、前記の化学的蒸着法では、通常、10nm〜10μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは100nm〜1μmである。10μm以上の厚みにすることは可能であるが、内部への排ガスの拡散が少ないので10μm以下であることが好ましい。
本発明のメソポーラスモノリス触媒を用いた排NOx浄化方法は、自動車、特にディーゼル自動車及びリーンバーンガソリン自動車に搭載することによって、自動車が排出するリーンバーン排NOxを160〜300℃の低温領域において極めて効果的に浄化することができる。排NOxの処理には還元剤が必要であるが、乗用車などの小型車の場合には、ポストインジェクション方式によって発生する脂肪族炭化水素を還元剤として利用できる。また、トラックなどの大型車の場合には、還元剤として搭載している尿素水の代わりにポストインジェクション方式を採用することによって、大型ディーゼル用の排NOx浄化方法としても用いることができる。
以下に実施例などを挙げて本発明を具体的に説明する。
実施例中の小角X線回折パターン及び粉末X線回折パターンは理学電機社製RINT2000型X線回折装置によって測定した。
担体の細孔及び触媒は日立製作所製H−9000UHR型透過型電子顕微鏡を用いて直接観察した。透過型電子顕微鏡によって観察した触媒の粒径は、粉末X線回折パターンのメインピークの半値幅をシェラー式に代入して算出した値と一致することを確認した。
比表面積及び細孔分布は、脱吸着の気体として窒素を用い、カルロエルバ社製ソープトマチック1800型装置によって測定した。比表面積はBET法によって求めた。細孔分布は1〜200nmの範囲を測定し、BJH法で求められる微分分布で示した。製造したメソポーラス材料の多くは指数関数的に左肩上がりの分布における特定の細孔直径の位置にピークを示した。このピークを与える細孔直径が細孔径である。
ポストインジェクション方式で排出されるNOxのモデルガスとして、ヘリウム希釈一酸化窒素、酸素、及び脂肪族炭化水素(1−ヘキセン、n−オクタン、及びn−デカン)を用いた。NOxの処理率は、減圧式化学発光法NOx分析計(日本サーモ株式会社製造:モデル42i−HL及び46C−H)によって処理後のガスに含まれるNOxを測定し、以下の式(1)によって算出した。なお、NOx濃度は、一酸化窒素の濃度と二酸化窒素の濃度の合計である。
Figure 2009000643
「製造例1」三元触媒類似の貴金属触媒の製造
蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを1.3284g、PdCl2・2H2Oを1.0028g、及びRh(NO3)3・2H2Oを0.0474g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これにγ−アルミナ(日揮化学株式会社製造品)10gを加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃で3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れヘリウム希釈水素ガス(10%v/v)気流下500℃で3時間還元し、白金、パラジウム、及びロジウムの含有量がそれぞれ5質量%、5質量%、及び0.15質量%の貴金属触媒を合成した。これを、三元触媒を模した貴金属触媒として比較実験に用いた。
「製造例2」結晶性メソポーラスシリカに担持した白金触媒の製造
米国特許第5,143,707号明細書における実施例21の方法に従ってMCM−41タイプのメソポーラスシリカを作成した。すなわち、29質量%濃度のドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドの水溶液300gをハライド交換樹脂用ハイドロオキサイド10gを充填したカラムを通して、セチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイドの水溶液を得た。これを29質量%濃度のドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドの水溶液306gと混合し、これにテトラエチルオルトシリケートを30g加え、40℃で1時間攪拌した。この溶液をポリプロピレン製容器に移し、加湿器に入れ100℃で48時間放置した。
生成した沈殿を減圧濾過、水洗後、窒素気流中540℃で1時間仮焼成した後、さらに空気中540℃で6時間焼成した。得られた材料の比表面積は1450m2/g、細孔径は2.5nmであった。小角X線回折パターンは4本の回折ピークを示し、それぞれの面間隔(d値)は3.2nm(strong)、1.8nm(weak)、1.6nm(weak)、及び、1.2nm(very weak)であった。
上記の小角X線回折パターンは、米国特許第5,143,707号明細書における実施例21に記載のMCM−41のデータと一致することから、MCM−41タイプの結晶性メソポーラスシリカであることが確認された。
次に、蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.6642g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これに上記のMCM−41タイプのメソポーラスシリカ材料5gを加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ、100℃3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下、500℃で3時間還元し、白金の含有量が約5質量%の結晶性メソポーラス触媒を作成した(Pt/結晶性メソポーラスシリカ触媒)。担持された白金触媒の粒径は約2.5nmであった。
「製造例3」非晶性メソポーラスシリカに担持した白金触媒の製造
1リットルのビーカーに、蒸留水300g、エタノール240g、及びドデシルアミン30gを入れ、溶解させた。攪拌下でテトラエトキシシラン125gを加えて室温で22時間攪拌した。生成物を濾過、水洗し、110℃で5時間温風乾燥した後、空気中で550℃5時間焼成して含有するドデシルアミンを分解除去し、メソポーラスシリカを製造した。
該メソポーラスシリカを小角X線回折測定した結果、2θ角が2.72度(d=3.25nm)の所に1本のブロードな回折ピークを示した。また、透過型電気顕微鏡観察の結果、細孔の配列には規則的な配列が観測されず無秩序に分散している状態が観測された。
これらの結果から、製造したメソポーラスシリカは非晶性であることが確認された。また、細孔分布及び比表面積測定の結果、約2.5nmの位置に細孔ピークがあり、比表面積が1123m2/g、細孔容積が0.89cm3/g、2〜50nmの細孔が占める容積は0.95cm3/gであった。
次に、蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.6642g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これに上記のメソポーラスシリカ材料5gを加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元し、白金の含有量が約5質量%のメソポーラス触媒を製造した。メソポーラス触媒に坦持された白金粒子の平均粒径は約2.5nmであった。
「製造例4」シリカゲルに担持した白金-触媒の製造
蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.6642g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これにシリカゲルの粉末(日揮化学株式会社製造品:比表面積430m2/g、平均細孔径10nm)5gを加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元した。シリカゲルに担持された白金の含有量は5質量%であった。
「製造例5」タングステンを導入したメソポーラスシリカに担持した白金触媒の製造
1リットルのビーカーに、蒸留水300g、エタノール240g、及びドデシルアミン30gを入れ、溶解させた。攪拌下でテトラエトキシシラン99.6gとタングステン酸アンモニウムの水溶液(タングステン酸アンモニウム五水和物17.87gを蒸留水40gに溶解した溶液)を加えて室温で22時間攪拌した。生成物を濾過、水洗し、110℃で5時間温風乾燥した後、空気中で550℃5時間焼成して含有するドデシルアミンを分解除去し、タングステンを導入したメソポーラスシリカを製造した。Si/Wモル比は約10であった。細孔分布及び比表面積を測定した結果、約3.0の位置に細孔ピークがあり、比表面積が830m2/g、細孔容積が0.65cm3/g、2〜50nmの細孔が占める容積は0.60cm3/gであった。また、小角X線回折測定した結果、1本のブロードな回折ピークを示し、透過型電気顕微鏡観察の結果、細孔の配列には規則的な配列が観測されず無秩序に分散している状態が観測されたことから、製造したメソポーラス材料は非晶性であることが確認された。
次に、蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.6642g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これに上記のタングステンを導入したメソポーラスシリカの粉末5gを加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃3時間真空乾燥を行った。蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.6642g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これに上記のメソポーラスシリカ材料5gを加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元し、白金の含有量が約5質量%のメソポーラス触媒を製造した。メソポーラス触媒に坦持された白金粒子の平均粒径は約3nmであった。
「製造例6」γ−アルミナに担持した白金触媒の製造
蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.6642g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これにγ−アルミナの粉末(日揮化学株式会社製造品:比表面積250m2/g、平均細孔径6nm)5gを加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元した。γ−アルミナに担持された白金の含有量は5質量%であった。
「製造例7」シリカ−アルミナに担持した白金触媒の製造
蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.6642g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これにシリカ−アルミナの粉末(日揮化学株式会社製造品:Si/Al=5/1、比表面積4110m2/g、平均細孔径4nm)5gを加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元した。γ−アルミナに担持された白金の含有量は5質量%であった。
「製造例8」非晶性メソポーラスシリカに担持した白金−ロジウム−レニウム触媒の製造
製造例3で製造した非晶性メソポーラスシリカを担体として用いて、以下のように逐次担持法によって白金−ロジウム−レニウム触媒(Pt−Rh/Re/非晶性メソポーラスシリカ触媒)を製造した。
蒸留水20gに過レニウム酸アンモニウムを0.360g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これに非晶性メソポーラスシリカを5g加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元した。レニウムの含有量は5質量%であった。これを蒸発皿に入れ、蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.6642gと塩化ロジウムを0.0153g溶解した水溶液を加えて、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元した。非晶性メソポーラスシリカに担持された白金、ロジウム、及びレニウムのそれぞれの担持量は、5質量%、0.15質量%、及び5質量%であった。
「製造例9」γ−アルミナに担持した白金-ロジウム触媒の製造
蒸留水20gにH2PtCl6・6H2Oを0.6642gと塩化ロジウムを0.0153g溶解した水溶液を蒸発皿に入れ、これにγ−アルミナの粉末(日揮化学株式会社製造品:比表面積250m2/g、平均細孔径6nm)5gを加え、スチームバスで蒸発乾固した後、真空乾燥機に入れ100℃3時間真空乾燥を行った。この試料を石英管に入れ、ヘリウム希釈水素ガス(10v/v%)気流下500℃で3時間還元した。γ−アルミナに担持された白金、及びロジウムのそれぞれの含有量は5質量%、及び0.15質量%であった。
「製造例10」非晶性メソポーラスシリカに担持した白金−ロジウム−レニウム触媒とγ−アルミナに担持した白金−ロジウム触媒から成る混合触媒の製造
製造例8の非晶性メソポーラスシリカに担持した白金−ロジウム−レニウム触媒5gと製造例9のγ−アルミナに担持した白金−ロジウム触媒5gを乳鉢で均一に混練して、混合触媒を製造した。
「製造例11」非晶性メソポーラスシリカに担持した白金−ロジウム−レニウム触媒とγ−アルミナに担持した白金−ロジウム触媒の混合触媒にゼオライト系のNOx吸着剤を混合した触媒の製造
製造例10の混合触媒5gとカリウムイオン交換エリオナイト(東ソー株式会社製造品)6.25gを乳鉢で均一に混練して、混合触媒を製造した。
「製造例12」メソポーラスモノリス触媒の製造
製造例11の混合触媒10gとコロイダルシリカ1gを蒸留水100mlに加え、攪拌して、スラリーを調整した。これに、市販のコージェライトモノリス成形体(4.5mil/400cells/in2、直径143.8mm×長さ118mm)から切り出したミニ成形体(直径38mm×長さ50mm)を浸漬し、ミニ成形体をとりだし風乾した後、窒素気流下で500℃−3時間熱処理した。ミニ成形体当たりの白金の担持量は0.2267gであった。
「参考例1〜4」還元性の高い還元剤を用いたNOx処理と還元性の低い還元剤を用いたNOx処理
還元性の高い還元剤としてプロプレンを用いたリッチ条件での排NOx処理と還元性の低い還元剤としてn−デカンを用いたリッチ条件での排NOx処理を比較した。製造例1の触媒と製造例3の触媒を比較した。それぞれの触媒0.08gに海砂を1ml加え、均一に混合し、それぞれ石英製の連続流通式反応管(外径20mm×内径16mm×長さ200mm、以下同じ)に充填した。これに、ヘリウムで濃度調整した模擬ガスを流通した。還元性の高い還元剤としてプロプレンを用いた被処理ガスの成分モル濃度は、一酸化窒素250ppm、酸素0.5%、及びプロピレン0.4%とした。還元性の低い還元剤としてn−デカンを用いた被処理ガスの成分モル濃度は、一酸化窒素250ppm、酸素0.5%、及びn−デカン0.7%とした。反応管へ導入した混合ガスの流量を毎分500ml、処理温度を160℃〜400℃とした。排ガス(位置上記反応管出口、以下同じ)中のNOxの濃度をオンラインで測定しNOx処理率を求めた。結果を表1に示した。
Figure 2009000643
表1から、従来の三元触媒は還元性の高い還元剤を用いるとリッチ条件で排NOx処理ができるが、還元性の低い脂肪族炭化水素を還元剤として用いるとリッチ条件でもNOx浄化率は著しく低下する。これに対して本発明で用いるメソポーラス触媒は、還元性の低い脂肪族炭化水素を還元剤として用いてもNOxを効率よく浄化できることがわかる。
「実施例1〜10、比較例1」ポストインジェクション方式の排ガスを模した模擬ガスを用いたNOx処理実験
ポストインジェクション方式の排ガスを模した模擬ガスを用いてNOx処理実験を行った。それぞれの触媒0.08gに海砂を1ml加え、均一に混合し、それぞれ石英製の連続流通式反応管に充填した。これに、ヘリウムで濃度調整した模擬ガスを流通した。被処理ガスの成分モル濃度は、一酸化窒素250ppm、酸素10%、及び還元性の低い1−ヘキセン1.44%とした。反応管へ導入した混合ガスの流量を毎分500ml、処理温度を160℃〜400℃とした。排ガス中のNOxの濃度をオンラインで測定しNOx処理率を求めた。結果を表2に示した。
Figure 2009000643
表2から、従来の三元触媒では高濃度酸素共存下ではNOx処理は非常に困難であるが、本発明で用いるメソポーラス触媒は、還元性の低い1−ヘキセンを還元剤に用いても高濃度酸素共存下でのNOxを低温領域でも効率よく浄化できることがわかる。シリカ骨格にタングステンを導入したタングストシリケートを担体に用いた白金触媒(製造例5の触媒)は低温活性に優れており、未置換のメソポーラスシリカ担持白金触媒(製造例3の触媒)よりも反応開始温度を約10℃低下させることができる。また、結晶性メソポーラスシリカMCM−41に担持した白金触媒(製造例2の触媒)は、NOx処理の最大反応率を与える温度が200℃であるのに対して、非晶性メソポーラス触媒(製造例3の触媒)は、180℃でNOx処理の最大反応率を与える。したがって、非晶性メソポーラス触媒は低温活性が優れていることがわかる。
「実施例11〜15、比較例2」ポストインジェクション方式の排ガスを模した模擬ガスを用いたNOx処理実験
ポストインジェクション方式の排ガスを模した模擬ガスを用いてNOx処理実験を行った。それぞれの触媒0.08gに海砂を1ml加え、均一に混合し、それぞれ石英製の連続流通式反応管に充填した。これに、ヘリウムで濃度調整した模擬ガスを流通した。被処理ガスの成分モル濃度は、一酸化窒素250ppm、酸素10%、及びn−オクタン0.70%とした。反応管へ導入した混合ガスの流量を毎分500ml、処理温度を160℃〜400℃とした。排ガス中のNOxの濃度をオンラインで測定しNOx処理率を求めた。結果を表3に示した。
Figure 2009000643
表3から、従来の三元触媒では高濃度酸素共存下ではNOx処理は非常に困難であるが、本発明で用いるメソポーラス触媒は、還元性の低いn−オクタンを還元剤に用いても高濃度酸素共存下でのNOxを低温領域でも効率よく浄化できることがわかる。また、結晶性メソポーラスシリカMCM−41に担持した白金触媒は、NOx処理の最大反応率を与える温度が200℃であるのに対して、非晶性メソポーラス触媒は、180℃でNOx処理の最大反応率を与える。したがって、非晶性メソポーラス触媒は低温活性が優れていることがわかる。
「実施例16〜20、比較例3」ポストインジェクション方式の排ガスを模した模擬ガスを用いたNOx処理実験
ポストインジェクション方式の排ガスを模した模擬ガスを用いてNOx処理実験を行った。それぞれの触媒0.08gに海砂を1ml加え、均一に混合し、それぞれ石英製の連続流通式反応管に充填した。これに、ヘリウムで濃度調整した模擬ガスを流通した。被処理ガスの成分モル濃度は、一酸化窒素250ppm、酸素10%、及び還元性の低いn−デカン1%とした。反応管へ導入した混合ガスの流量を毎分500ml、処理温度を160℃〜400℃とした。排ガス中のNOxの濃度をオンラインで測定しNOx処理率を求めた。結果を表4に示した。
Figure 2009000643
表4から、従来の三元触媒では高濃度酸素共存下ではNOx処理は非常に困難であるが、本発明で用いるメソポーラス触媒は、還元性の低いn−デカンを還元剤に用いても高濃度酸素共存下でのNOxを低温領域でも効率よく浄化できることがわかる。また、結晶性メソポーラスシリカMCM−41に担持した白金触媒は、NOx処理の最大反応率を与える温度が200℃であるのに対して、非結晶性メソポーラス触媒は、180℃でNOx処理の最大反応率を与える。したがって、非結晶性メソポーラス触媒は低温活性が優れていることがわかる。
「実施例21、22」NOx吸着剤の添加効果についての実験
通常のリーンバーン排NOxを模した模擬ガスを用いてNOx処理実験を行った。それぞれの触媒0.08gに海砂を1ml加え、均一に混合し、それぞれ石英製の連続流通式反応管に充填した。これに、ヘリウムで濃度調整した模擬ガスを流通した。被処理ガスの成分モル濃度は、一酸化窒素250ppm、酸素10%、及びプロピレン400ppmとした。反応管へ導入した混合ガスの流量を毎分500ml、処理温度を160℃〜400℃とした。排ガス中のNOxの濃度をオンラインで測定しNOx処理率を求めた。結果を表5に示した。
Figure 2009000643
表5から、本発明で用いるメソポーラス触媒は、NOx吸着剤を添加することによって高濃度酸素共存下でのNOxを全温度領域に渡って効率よく浄化できることがわかる。
「実施例23〜25」触媒の耐熱性を調べた実験
触媒の耐熱性を調べるために、エージング処理後の触媒を用いて実験を行った。エージング処理条件は、空気中750℃−24時間処理とした。排ガスとして、ポストインジェクション方式の排ガスを模した模擬ガスを用いた。エージング処理後の触媒それぞれ0.08gに海砂を1ml加え、均一に混合し、それぞれ石英製の連続流通式反応管に充填した。これに、ヘリウムで濃度調整した模擬ガスを流通した。被処理ガスの成分モル濃度は、一酸化窒素250ppm、酸素10%、及びn−オクタン0.7%ppmとした。反応管へ導入した混合ガスの流量を毎分500ml、処理温度を160℃〜400℃とした。排ガス中のNOxの濃度をオンラインで測定しNOx処理率を求めた。結果を表6に示した。
Figure 2009000643
表6から、本発明で用いるメソポーラス触媒は、ロジウム及びレニウムを触媒成分として添加することによって耐熱性が向上することがわかる。また、アルミナ担持白金系触媒を添加するとさらに耐熱性が向上することがわかる。
「実施例26」モノリス成形体に触媒を塗布したモノリス触媒の実験
製造例12で製造したモノリス触媒を石英製の連続流通式反応管に充填した。排ガスとして、ポストインジェクション方式の排ガスを模した模擬ガスを用いた。被処理ガスの成分モル濃度は、一酸化窒素250ppm、酸素10%、及びn−オクタン0.7%とした。反応管へ導入した混合ガスの流量を毎分27.5L、処理温度を160℃〜400℃とした。排ガス中のNOxの濃度をオンラインで測定しNOx処理率を求めた。結果を表7に示した。
Figure 2009000643
表7から、本発明で用いるメソポーラスモノリス触媒は、還元性の低いn−オクタンを還元剤に用いても高濃度酸素共存下でのNOxを低温領域でも効率よく浄化できることがわかる。
「実施例27」モノリス成形体に触媒を塗布したモノリス触媒を用いたオールリーンNOxの処理実験
ポストインジェクション方式によるオールリーン排NOxを想定したNOx処理実験を行った。触媒として、製造例11のモノリス触媒を用いた。還元剤の少ないリーンNOxガス(ガス−1)と還元剤の豊富なリーンNOxガス(ガス−2)を交互に触媒に流通させ、それぞれのガスに対するNOx処理率を測定し、平均値をNOx処理率とした。ガス−1の流通時間を10分とし、ガス−2の流通時間を1分とした。ガス−1の成分モル濃度は、一酸化窒素250ppm、酸素10%、及びプロピレン400ppmとし、ガス−2の成分モル濃度は、一酸化窒素250ppm、酸素10%、及びn−オクタン0.7%とした。反応管へ導入した混合ガスの流量を毎分27.5L、処理温度を160℃〜400℃とした。排ガス中のNOxの濃度をオンラインで測定しNOx処理率を求めた。結果を表8に示した。
Figure 2009000643
表8から、本発明で用いるメソポーラスモノリス触媒は、ポストインジェクション方式で排出されるオールリーン排NOxを低温から中温にかけて効率的に浄化できることがわかる。
本発明のメソポーラス触媒及びメソポーラスモノリス触媒は、ポストインジェクション方式の内燃機関が排出するNOxを浄化するための排NOx浄化方法として有用である。

Claims (3)

  1. ポストインジェクション方式によって排出される内燃機関の排NOxを浄化する方法において、細孔径が1〜50nmの細孔と100〜3000m2/gの比表面積とを有するメソポーラス材料に白金を主成分とした触媒を担持したメソポーラス触媒を用いることを特徴とする排NOx浄化方法。
  2. メソポーラス材料がメソポーラスのシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナであることを特徴とする請求項1に記載の排NOx浄化方法。
  3. メソポーラス材料が非晶性メソポーラスシリカであることを特徴とする請求項1に記載の排NOx浄化方法。
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