JP2008540967A - ブレーキディスク・ハブ結合構造 - Google Patents

Abstract

ブレーキディスク（１）が内周縁に支持部材（３）を有し、ブレーキディスクハブ（２）が外周縁上の複数の突起部（４）を有し、突起部（４）と支持部材（３）と間に形成された隙間（１０）内に突出する複数の中間部材（５）が、ブレーキディスクハブ（２）とブレーキディスク（１）との間に周方向に配置されて、ブレーキディスク（１）からブレーキディスクハブ（２）への制動トルクの伝達を確実にするように構成された、ブレーキディスク（１）をブレーキディスクハブ（２）に連結するためのブレーキディスク・ハブ結合構造において、各中間部材（５）は、半径方向に確保された態様で、協働する支持部材（３）および突起部（４）に嵌合している。

Description

本発明は、請求項１のおいて書きに記載されたブレーキディスク・ハブ結合構造に関するものである。

車両は、ブレーキディスクを用いて運動エネルギーを熱に変換することによって減速しており、その際には、ブレーキライニングがブレーキディスク上に密着してこれを摩擦する。

制動動作時には、一方では、車輪に間接的に連結されているブレーキディスクが車輪に周方向の力を車輪に伝達しなければならず、他方では、制動時に発生した摩擦熱をブレーキディスクが溜めて周囲に放散させなければならない。

これらの影響力の複合作用により、酷使によるブレーキディスク材料の溶融およびそれに続く冷却によって、ブレーキディスクの表面に亀裂が発生する可能性がある。そのうえ、もしブレーキディスクの熱膨張が抑圧され、さらに熱応力が発生すると、この亀裂は急速に広がる。

この問題は、ブレーキディスクをブレーキディスクハブから材料的に切り離すことによって軽減され、ブレーキディスクは独立した構造部分としてブレーキディスクハブに固定される。したがって、ブレーキディスクは熱の影響で半径方向に膨張する可能性がある。

このため、ブレーキディスクが熱せられたときに比較的自由に半径方向に膨張することが可能なように、半径方向の僅かな範囲のみでブレーキディスクをブレーキディスクハブに固定することが知られている。

完全な割れ目に発展する恐れもある亀裂がブレーキディスクに発生する可能性があるにもかかわらず、ブレーキディスクを半径方向の僅かな範囲のみで固定すると、ブレーキディスクセグメントが完全に離脱する場合がある。この部分は爆発的に外方へ飛散し、これによって必然的に重大な危険が発生する可能性がある。

特許文献１から知られているように、中間部材はボルトとしてあるいは湾曲した金属薄板部として形成されているのではなく、上述の問題点は除去されていない。

特許文献２には、請求項１のおいて書きの特徴を備えた中間部材としての偏心的配置が示されている。

さらに、特許文献３、特許文献４、および特許文献５および特許文献６が背景として挙げられる。

ボルトから成るブレーキディスク・ハブ結合構造は特許文献７から知られており、このボルトは突起部と支持部材との間に形成された隙間に位置し、ブレーキディスクからの制動トルクをブレーキディスクハブに伝達することが可能である。

しかしながらこの構造は、ブレーキディスクが半径方向に膨張するのは許容するが、ブレーキのブレーキディスク亀裂部分が外方へ飛び出すのを阻止する安全性は持ち合わせていない。
独国特許発明第１０３ ２１ ７９５ Ｂ３号明細書 独国実用新案第１８ ３６ ８３２ Ｕ号明細書 独国特許発明第１００ ４６ ７０５ Ｃ１号明細書 独国特許出願公開第１０１ ５９ ７９９ Ａ１号明細書 独国特許出願公開第１９９ １８ ０６９ Ａ１号明細書 独国実用新案出願公開第１９ １４ ４０９ Ａ号明細書 欧州特許第１ ３８４ ００９ Ｂ１号明細書

本発明は、ブレーキディスクの駆動安全性が改善されたブレーキディスク・ハブ結合構造を提供することを課題とするものである。

上記課題は、請求項１の特徴部分のブレーキディスク・ハブ結合構造によって解決される。

本発明によれば、各中間部材が、それが配置された上記支持部材に対し半径方向に確保された態様で凹部内に嵌着し、かつ上記突起部に対しても半径方向に確保された態様で凹部内に嵌着している。

この構成によりブレーキディスク・ハブ結合構造が形成され、これにより、拡がったブレーキディスクの亀裂によるブレーキディスクセグメントの飛散が実際に排除される。

上記中間部材は、半径方向の固定手段として働き、ブレーキディスクセグメントを所定位置に保持し、したがって、ブレーキの機能を果たす大きな能力を有し、ブレーキが全損することはなくなる。上記中間部材は、ブレーキディスクハブに対するブレーキディスクの位置ずれを防ぐ機能を有し、その際に、上記中間部材が半径方向に若干の遊びをもって支持部材および／または突起部に密着しているので、ブレーキディスクハブに対向するブレーキディスクの熱膨張が保証される。

さらに予測されるように、ブレーキディスクハブ上の突起部に配置されている各中間部材は、背面側の半径方向の地域的に僅かな距離以外は覆われている。ブレーキディスクの支持部材に嵌着している中間部材が動かないように固定されている場合には、ブレーキディスクの膨張に際して中間部材が対応する距離だけ移動することができる。しかし原理的には、中間部材が突起部に対して動かないように固定されているかまたは僅かに移動可能に嵌合しているのに対して、支持部材内の中間部材が半径方向内方へ同じ僅かな距離だけ移動し得るように支持部材が構成されていてもよい。

ブレーキディスクからブレーキディスクハブへの熱伝導を最少にするために、熱伝導率の低い鋼で、例えばステンレススチールで中間部材が作成されているのが好ましい。

中間部材はまた、突起部と支持部材との間の隙間のほぼ全体を埋める、平坦な部分が折り畳まれた金属薄板から作成されることも可能である。

しかしながら、同じ範疇に属する特許文献７に記載されているように、ボルトからなる中間部材も考えられる。

ブレーキディスク・ボルト・ブレーキディスクハブの接触部を除いて、支持部材と突起部との間には直接的な接触部分が存在しない。接触領域以外の領域においては、熱はブレーキディスクからブレーキディスクハブへの輻射のみによって伝達され、熱を発生する部分から熱を受け取る部分への間隔をおいた輻射による熱の伝達量は、構成要素相互間の直接的接触よりも本質的に少ない。

極めて硬い材料の場合、支持部材もしくは突起部に対するボルトの接触部は、最悪の場合に線接触に限られ、これにより、局部的な過負荷および塑性変形が生じ得る。これを防止するために、高い弾性変形性を備えたボルトを用いるべきである。そのため、ボルトは好ましくは管状の中空体として形成される。これにより接触部が拡大され、発生する応力が低減される。

中間部材は、一部が支持部材の凹部内にありかつ一部が突起部の凹部内にあるボルトとして形成されるのが好ましい。このように形成された中間部材は、安価に製造することができ、かつそれでもなお本発明の意図に沿って、ブレーキディスクの卓越した安全性が考慮されている。

中間部材をボルトとする際には、ブレーキディスクの硬度がブレーキディスクハブに較べて僅かに低いことに基づいて、ボルトが部分的に面で囲まれるように、支持部材の凹部内でボルトが面接触していることが好ましい。これに対し、突起部の凹部内のボルト部分は、必ずしも面接触していなくてもよい。

上記ボルトは、円形の断面形状を有するのが好ましい。また、楕円形または多角形の断面形状を有するボルトも考えられる。

あるいは、帯状の中間部材も考えられる。

１枚の細長い金属薄板からなる中間部材は低コストを実現する。

上記薄板の両外端縁部には厚くなった部分が形成されているのが好ましく、これら厚くなった部分の間の沈下した平坦な領域に対し支持部材が密着する。

さらに、上記沈下した平坦な領域の反対側には、突起部の溝状の凹部内に介入する張出し部が形成されているのが好ましい。

細長い形状の中間部材は、支持部材に対し形状的に半径方向に密着するのが好ましい。

また、平らな中間部材の半径方向の固定のために、突起部が凹部を備えており、この凹部内に、中間部材の対応する形状を有する張出し部が介入し、これにより、この張出し部と、これに適合する上記凹部とが、突起部と中間部材との間に僅かな移動距離を発生させる。

本発明のさらに有利な展開が従属請求項に示されている。

以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。

図１には、ブレーキディスク１をブレーキディスクハブ２に結合するためのブレーキディスク・ハブ結合構造の分解図が示されている。本図には、内周縁に複数の支持部材３を備えた環状のブレーキディスク１と、外周縁に複数の突起部４を備えたブレーキディスクハブ２が示されており、突起部４は対応する支持部材３と噛合するように考慮されている。

支持部材３と突起部４との間には隙間１０が形成され、これら隙間１０内に中間部材５が突出し、これら中間部材５を介して、ブレーキディスク１の制動トルクがブレーキディスクハブ２に伝達される。

本発明によれば、各中間部材５は、それが配置されている支持部材３にも突起部４にも半径方向に確保された態様で嵌着している。

図１および図２に示された実施の形態の場合には、中間部材５が、支持部材３の凹部７内にも突起部４の凹部８内にも嵌合する円筒状のボルトから成る。

突起部４および支持部材３の凹部７，８は浅く形成され、ブレーキディスクの回転軸線から見て完全にまたは基本的に放射状に（２０°以内の角度で）並んでいる。図２において、凹部７，８は互いに周方向に対向して形成されている。中間部材５は凹部７，８内に介入し、これら凹部に突起部４および支持部材３の材料が隣接していることによって、半径方向内方および外方に確保されている。

特に図２の左方には、その曲率半径が中間部材５の半径に相当する凹部７が示され、その結果、中間部材５の外面の一部が遊びなく凹部７内に嵌合している。

突起部４の凹部８の曲率半径は中間部材５の曲率半径よりも大きくなっているので、ブレーキディスクハブ２の凹部８内の中間部材５は、背面側の半径方向の僅かな距離以外は覆われている。このため空いた断面が生じ、この空間により、中間部材５が凹部８の上部領域に密着するまで、ブレーキディスクハブ２に対するブレーキディスク１の熱膨張による半径方向の移動が可能になる。

凹部８はまた、中間部材５の、したがってブレーキディスク１の半径方向の限界を形成し、これにより、ブレーキディスク・セグメントに起こり得る割れが外方へ飛散するのが効果的に阻止さされる。僅かな構造的努力にも拘らず、遠心力に対する安全性が確保される。

ブレーキディスク１は、それ自体公知の方法で、周方向に分割された支持金具６によりブレーキディスクハブ２に対し軸線方向に固定されており、その場合に、各支持金具６は両方向に延びる弾性側板１４を備え、これら弾性側板１４はそれぞれボルト形状の中間部材５を覆い、かつ保持金具６のねじ溝付きボルトが突起部４のねじ孔１１に締着されることにより、中間部材５を軸線方向に動かないように固定している。

中間部材５の他方向の軸線方向の固定は、中間部材５に溶接された側板９によって行なわれ、これら側板９はそれが配置された各支持部材３上に乗せられてストッパを構成している。

円形の横断面を有するボルト形状の中間部材５は、他の横断面形状を有することもできる。

図３には、基本的に帯状の薄板から形成された中間部材の他の実施の形態が示されており、この中間部材５は、その両外端縁部にそれぞれ厚くなった部分１２が形成され、これら厚くなった部分１２の間のいわば沈下した領域に、支持部材３の部分が介入し、これにより、中間部材５が支持部材３上に半径方向に位置がずれないように保持されている。

上記沈下した領域の反対側には、突起部４の凹部８内に介入する張出し部１３が形成されているが、この場合、張出し部１３が若干の遊びをもって凹部８内に介入し、かつこの遊びを形成しているＵ字状に曲がった部分は、ブレーキディスク１の膨張に際して半径方向に凹部８の内壁に当接する。支持部材３と突起部４との間に形成された隙間１０は、帯状の中間部材５によりほぼ完全に埋められる。

各中間部材５は、支持部材３および突起部４に嵌合されて半径方向に確保されているので、ブレーキディスクは技術水準に応じて確実にブレーキディスクハブに固定される。

本発明によるブレーキディスク・ハブ結合構造の分解図 図１に対応するブレーキディスク・ハブ結合構造の細部の平面図 本発明の別の実施の形態の同様の平面図

符号の説明

１ ブレーキディスク
２ ブレーキディスクハブ
３ 支持部材
４ 突起部
５ 中間部材
６ 支持金具
７ 凹部
８ 凹部
９ 側板
１０ 隙間
１１ ねじ孔
１２ 板厚部
１３ 張出し部
１４ 弾性側板

Claims (20)

1. ブレーキディスク（１）をブレーキディスクハブ（２）に結合するためのブレーキディスク・ハブ結合構造であって、
   ａ）上記ブレーキディスク（１）が内周縁に複数の支持部材（３）を備え、
   ｂ）上記ブレーキディスクハブ（２）が外周縁に複数の突起部（４）を備え、
   ｃ）上記ブレーキディスクハブ（２）と上記ブレーキディスク（１）との間には、複数の中間部材（５）が周方向に配置され、該中間部材（５）は、上記突起部（４）と上記支持部材（３）との間に予め形成された隙間（１０）内に突出して、上記ブレーキディスク（１）からの制動トルクの上記ブレーキディスクハブ（２）への伝達を保証するように構成されたブレーキディスク・ハブ結合構造において、
   ｄ）上記中間部材（５）のそれぞれが、それが配置された上記支持部材（３）に対し半径方向に確保された態様で凹部（７）内に嵌着し、かつ上記突起部（４）に対しても半径方向に確保された態様で凹部（８）内にも嵌着していることを特徴とするブレーキディスク・ハブ結合構造。
2. 上記中間部材（５）のそれぞれが、上記突起部（４）の凹部（８）内および／または上記支持部材（３）の凹部（７）内に半径方向の若干の遊びをもって係入していることを特徴とする請求項１記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
3. 上記ブレーキディスクハブ（２）上の突起部（４）に配置されている上記中間部材（５）のそれぞれが、背面側の半径方向の地域的に僅かな距離を除いて覆われていることを特徴とする請求項１または２記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
4. 上記中間部材（５）がボルトとして形成され、該ボルトが上記支持部材（３）の凹部（７）内および上記突起部（４）の凹部（８）内に係入していることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
5. 上記ボルト（５）が円形断面形状を有することを特徴とする請求項４記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
6. 上記ボルト（５）が楕円形断面形状を有することを特徴とする請求項４記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
7. 上記ボルト（５）が正多角形断面形状を有することを特徴とする請求項４記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
8. 上記中間部材（５）が半径方向に移動しないように上記支持部材（３）に密着していることを特徴とする請求項１から７のいずれか１項記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
9. 上記ボルト（５）が中空体として形成されていることを特徴とする請求項４から７のいずれか１記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
10. 上記中間部材（５）が、熱伝導度の低い鋼で形成されていることを特徴とする請求項１から９のいずれか１項記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
11. 上記支持部材（３）の凹部（７）の曲率半径が上記円筒形中間部材（５）の半径に相当し、かつ上記突起部（４）の凹部（８）の曲率半径が上記円筒形中間部材（５）の半径よりも大きいことを特徴とする請求項１から１０のいずれか１項記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
12. 上記ボルト（５）が、上記支持部材（３）に密着する側板（９）を一端に備えていることを特徴とする請求項４から７のいずれか１項または請求項９記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
13. 両側に延びる弾性側板（１４）を備えた支持金具（６）が各突起部（４）に結合され、上記弾性側板（１４）が各中間部材（５）の前面を覆っていることを特徴とする請求項１から１２のいずれか１項記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
14. 上記中間部材（５）が帯状に形成されていることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
15. 上記中間部材（５）が帯状の金属薄板から成ることを特徴とする請求項１４記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
16. 上記金属薄板からなる中間部材の両端縁部が、それよりも沈下した表面を区切る厚板部（１２）として形成され、上記表面上に上記支持部材（３）が密着していることを特徴とする請求項１５記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
17. 上記沈下した表面の反対側に張出し部（１３）が形成され、該張出し部（１３）が溝状に形成された凹部（８）内に係入していることを特徴とする請求項１６記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
18. 上記帯状の中間部材（５）が上記支持部材（３）に対し半径方向に移動しないように密着していることを特徴とする請求項１４から１７のいずれか１項記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
19. 上記凹部（７，８）が上記突起部および支持部材の表面に形成され、該凹部（７，８）は、ブレーキディスク回転軸線に関して完全にまたは本質的に平行に延びていることを特徴とする請求項１から１８のいずれか１項記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。
20. 上記中間部材（５）が上記凹部（７，８）内に嵌合し、上記中間部材（５）は、上記凹部（７，８）に隣接する上記突起部（４）および上記支持部材（３）の材料により、半径方向内方へおよび外方へ確保されていることを特徴とする請求項１から１９のいずれか１項記載のブレーキディスク・ハブ結合構造。

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