JP2008534798A - 繊維材料の難燃処理方法 - Google Patents
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Abstract
シート状の布地構造、または糸の形態の繊維材料の場合において、難燃性は、ポリエチレンイミンとホスホン酸をその繊維材料に適用することにより達成することができる。
Description
本発明は、繊維材料の難燃処理方法に関する。
繊維材料は、それらに難燃性を付与するために、ある種の製品で処理することができることが知られている。そこで、例えば、DE−A3003648およびDE−A4244194には、製紙において、窒素含有縮合物を使用することが記載されている。
EP−A542071には、銅塩を含有し、さらにポリエチレンイミンおよび/またはホスホン酸を含有する木材保存剤が記載されている。
繊維材料の処理について従来技術で公知の方法は、羊毛を含む材料の難燃処理に関しては最適ではない。しばしば、適切な難燃処理は、公知の方法では達成されず、および/または得られる難燃性は、処理された繊維材料が水と接触すると、ほんの短時間で劣化する。
本発明の目的は、繊維材料の改良された難燃処理方法を開発することであり、それは、また、特に、30〜100重量%の羊毛を含む繊維材料に良好な難燃効果を付与することが可能であり、これは、良好な耐久性、すなわち、繊維材料が水と接触したときに、実質的に劣化しない難燃効果をも有する。
その目的は、シート状の布地構造の形態で、または糸の形態で存在し、20重量%未満のセルロース繊維を含む繊維材料の難燃処理方法であって、繊維材料が成分Aおよび成分Bで連続的に、または同時に処理され、成分Aは、一級、二級および三級アミノ基を含有し、5000〜1,500,000、好ましくは10,000〜1,000,000の範囲の重量平均分子量を有する分枝状ポリエチレンイミンであって、ここで、二級アミノ基と一級アミノ基の数の比は、1.00:1〜2.50:1の範囲であり、二級アミノ基と三級アミノ基の数の比は、1.20:1〜2.00:1の範囲であり、成分Aは、そのようなポリエチレンイミンの混合物であり、
成分Bは、式(I)、(II)、または(III):
成分Bは、式(I)、(II)、または(III):
(ここで、式(I)、(II)、または(III)中、リンに結合しているOH基の50%までにおいて、その水素原子は、アルカリ金属、またはアンモニウム基で置換されていてもよいが、好ましくはこれらのOH基の100%は、非中和形態で存在し、あるいは成分Bは、式(I)、(II)、または(III)の化合物から選択される化合物の混合物であり、
yは、0、1、または2の値であることができ、好ましくは0の値を有し、
R1は、H、またはOHであり、
Rは、R1がOHであるときには、1〜7個の炭素原子を含有し、R1がHであるときには、3〜7個の炭素原子を含有する直鎖状、または分枝状のアルキル基であり、
R2は、
yは、0、1、または2の値であることができ、好ましくは0の値を有し、
R1は、H、またはOHであり、
Rは、R1がOHであるときには、1〜7個の炭素原子を含有し、R1がHであるときには、3〜7個の炭素原子を含有する直鎖状、または分枝状のアルキル基であり、
R2は、
であり、
R3は、H、またはR2、好ましくはR2であり、かつ
すべての基R4は、互いに独立に、H、または
R3は、H、またはR2、好ましくはR2であり、かつ
すべての基R4は、互いに独立に、H、または
であるか、または式(IV):
の基であり、すべてのR4の50〜100%は、
であることが好ましく、
tは、0、または1〜10の数である)
のホスホン酸である、難燃処理方法により達成された。
tは、0、または1〜10の数である)
のホスホン酸である、難燃処理方法により達成された。
本明細書に記載の本発明の文脈において、繊維材料は、天然繊維もしくは合成繊維の糸、またはそのような繊維を含むシート状の布地構造を意味するものとして理解され、そのような繊維のブレンドが存在することも可能である。これらの材料は、好ましくは、セルロース繊維を含まないが、いかなる場合でも、セルロース繊維は含まれても20重量%未満である。
繊維材料は、好ましくは、30〜100重量%の羊毛を含む。残余の0〜70重量%は、ポリオレフィン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、またはポリアミド繊維であることができる。ポリエステル繊維は、羊毛のブレンド成分としては、あまり好ましくない。繊維材料は、30重量%未満の羊毛含量を有してもよく、あるいは、羊毛を全く含まなくてもよいが、これはあまり好ましくない。これらの代替物に対して好適な繊維は、また再び、上記の繊維である。
本発明に係る方法において、繊維材料は、成分Aおよび成分Bで、連続的に、または同時に処理される。そこで、AおよびBは、繊維材料に、例えば、成分AおよびBを含有する混合物の形態で、同時に適用することができる。成分AおよびBを連続的に適用することはしばしば有利であり、成分A(ポリエチレンイミン)を、成分B(ホスホン酸)よりも早く繊維製品に適用することがさらに好ましい。事実、多くの場合に、記述した他の変形法に比して、この手順でより効果的な難燃効果が達成できることが見出されている。
繊維材料に適用する前に成分AとBを混合する、すなわち、AとBを同時に繊維材料に適用しようとする場合、これは繊維材料が高い比率で羊毛を含む場合に特に好適であるが、繊維材料に適用する前に、混合物のpHを4より大きい値、好ましくは6〜8の範囲の値に調整することがしばしば望ましい。このpH調節に特に好ましいものは、アンモニア水溶液である。この目的で、アミンを使用することも可能である。アンモニアを使用すると、成分A、成分Bおよび水の混合物を均一な水溶液として得ることが可能であり、これは、本発明に係る方法で繊維材料を処理するのに非常に好適である。アンモニアの使用は、繊維材料の続く熱処理、例えば110℃〜180℃での熱処理において、アンモニアが繊維材料から除去されるので有利である。良好な耐久性の難燃処理が結果としてもたらされる。
成分Aおよび/または成分Bが純粋な形態ではなく水との混合物の形態で繊維材料に適用されること、つまり、成分Aと成分Bの双方が、各々の場合に、成分Aと成分Bおよび付加的な水を含有する混合物の形態で適用されることがしばしば有利である。そこで、成分Aは、例えば、100重量部の成分Aあたり50〜500重量部の水を含む混合物の形態で、また、成分Bは、100重量部の成分Bあたり20〜300重量部の水を含む混合物の形態で使用することができる。これらの混合物の一方、または双方は、さらなる成分、例えばポリマレイン酸、または部分的に加水分解されたポリマレイン酸無水物を含んでいてもよい。部分的に、または完全に加水分解されたポリマレイン酸無水物の添加は、そのような添加物が使用される場合、好ましくは、成分Aまたは成分Bと水とを含む全混合物に対して、1〜50重量%の範囲である。
ポリマレイン酸、または部分的に加水分解されたポリマレイン酸無水物が使用される場合、それは、好ましくは、成分Aと水を含む混合物に添加される。多くの場合において、この添加は、難燃効果の耐久性の増大をもたらす。この文脈における「耐久性」は、繊維材料の難燃性が、繊維材料が水と接触する場合においても、全体として保持されることを意味するものとして理解されるものである。耐久性におけるこの増大は、部分的に、または完全に加水分解されたポリマレイン酸無水物の付加的な使用が、繊維材料上での成分Aおよび/または成分Bのより良好な固定をもたらしているという事実によるものと考えられる。
ある場合には、オルトリン酸の部分エステルを繊維材料に付加的に適用することが、さらに有利でありうる。この部分エステルの適用は、成分A、または成分Bの適用と同時に、あるいは、好ましくは、それとは別個に、別の操作において行われる。適用されるオルトリン酸の部分エステルの量は、好ましくは、無水繊維材料に対して、2〜10%の範囲である。好適なリン酸の部分エステルは、特に、エステルのアルコール成分に6〜12個の炭素原子を有するオルトリン酸のモノエステルもしくはジエステル、またはそのようなモノエステルおよびジエステルの混合物である。
これの例は、リン酸ジイソオクチル、またはリン酸ジフェニル、またはリン酸ビス(tert−ブチルフェニル)である。そのようなエステルの添加により、難燃効果を増大させることがしばしば可能である。
好ましくは、成分A、または成分B、または成分Aもしくは成分Bおよび水の混合物のいずれも、微量の不純物の他には、金属、または金属化合物を含有していない。このことは、例えば、ジルコニウム化合物を使用する公知のZIRPRO(登録商標)法と比較して、コストの理由および環境の理由から有利であり、また、金属イオンによる最終繊維材料の着色が回避される。リンに結合したヒドロキシル基の50%までの水素原子は場合によりアルカリ金属、またはアンモニウムイオンで置き換えることができるが、これは好ましくはない。
成分A、成分B、または成分Aもしくは成分Bに加えて水をも含む混合物の繊維材料への適用は、任意の所望の方法により行うことができる。水と成分Aを含む混合物、次いで水と成分Bを含む混合物を繊維材料に適用することが最も有利である。繊維材料がシート状の布地構造として存在する場合には、その適用は、公知のパッデング法により行うことができる。繊維材料が糸の形態で存在する場合には、成分Aと成分Bの適用は、成分A、または成分Bおよび水を含む1以上の浴に糸を通過させ、次いで、糸を乾燥されることにより行うことができる。しかしながら、染色工程の間に、成分Aおよび/または成分Bを含む1以上の浴中に糸が巻かれているボビンを浸漬し、次いで、ボビンを乾燥することも可能である。
成分Aと成分Bがそれぞれ水との混合物として、または純粋な形態で繊維材料に適用されるか否かにかかわらず、本発明に係る方法の好ましい実施態様において、繊維材料に適用される成分Aの量の、適用される成分Bの量に対する重量比は、各々の場合に無水製品に対して、1:1.8〜1:5.0の範囲である。この比は、好ましくは、1:2.3〜1:3.5の範囲である。
繊維材料に適用される成分Aと成分Bの量は、好ましくは、無水の繊維材料に対して、成分Aが3〜10重量%で、成分Bが7〜20重量%が最終繊維材料に存在するような量である。
成分Aは、ポリエチレンイミンである。ポリマーの場合に通常そうであるように、これは、全く同質の分子からなる生成物ではなく、異なる鎖長の生成物の混合物である。ポリエチレンイミンの場合には、文献から公知であるが、その個々の分子はまた分枝単位の数が異なる分枝状ポリマーの混合物が通常存在するという事実も存在する。これは、二級と一級アミノ基とのおよび三級アミノ基との数の比によって表され、その比は、以下により詳細に説明される。
ポリエチレンイミンは、文献公知の生成物である。それらは、特に、1,2−エチレンジアミンと1,2−ジクロロエタンとの反応により製造することができる。その新規な方法を行うために、非置換アジリジン(エチレンイミン)の重合により製造することができるポリエチレンイミンが、好ましく使用される。この重合は、公知の方法により、場合により酸性触媒、例えば、塩酸を添加して、場合により水の存在下に、行うことができる。
本発明に係る方法に好適なポリエチレンイミンは、市場、例えば、ドイツのBASF(LUPASOL(登録商標)グレードおよびPOLYMIN(登録商標)グレード)から入手することができる。
US6,451,961B2およびUS5,977,293には、ポリエチレンイミンとその製造方法が記載されている。そこに記載のポリエチレンイミンは、それらが上記および請求項1に記載の条件を満たす限りにおいて、本発明に係る方法を行うために使用することができる。さらに、好適なポリエチレンイミンとそれらの製造方法が、D.A. Tomalia et al., in "Encyclopedia of polymer Science and Engineering, Vol. 1, Willey N.Y. 1985, page 680-739に記載されている。
ポリエチレンイミン、それらの製造および特性は、また、D. Horn, "Polyethyleneimine-Physicochemical Properties and Applications, in "Polymeric Amines and Ammonium Salts", Goethals E.J., Pergamon Press: Oxford, New York 1980, pages 333-355に記載されている。
本発明に係る方法のための成分Aとして好適なポリエチレンイミンは、分枝状である。これは、式:
の末端基および、ポリマー鎖内に、式:
の単位を有するポリマーが、さらに、鎖内に、式:
の単位を含んでいることを意味する。
そこで、ポリマーは、一級、二級および三級アミノ基を含んでいる。
本発明に係る方法の手順で、繊維材料の難燃性に関して良好な効果を得るために、個々のアミノ基の数の比は、ある特定の範囲内の値である必要がある。そこで、成分Aにおいて、二級アミノ基の数と一級アミノ基の数との比は、1.00:1〜2.50:1の比である必要があり、二級アミノ基の数と三級アミノ基の数との比は、1.20:1〜2.00:1の比である必要がある。これらの数値は、ポリエチレンイミンの製造におけるパラメーターを介して調節することができる。
あるポリエチレンイミン、またはポリエチレンイミンの混合物中に存在する種々のアミノ基の数の比についての値は、13C−NMR分光法により決定することができる。これは、T. St. Pierre and M. Geckle, 13C-NMR-Analysis of Branched Polyethyleneimines, J. Macromol. SCI.-CHEM., Vol. A 22(5-7), pages 877-887 (1985)中で説明されている。
ポリマーの場合に通常であるように、成分Aは、通常、ポリマーの混合物であり、異なる分子量および異なる分枝度合いのポリエチレンイミン分子からなるものであり、5000〜1,500,00、好ましくは10,000〜1,000,000の重量平均分子量を有する。個々の場合に存在するこの平均分子量の値は、ポリマーの文献に開示されている方法、例えば、ゲル透過クロマトグラフィーにより、また光散乱による検出で決定することができる。以下の手順を、この目的で採用することができる。
使用されるカラムは、1以上の「PSS−Suprema」型("Polymer Standards Service GmbH", Mainz, Germany)を含み、それは、目的の分子量範囲に調整され;溶出液:水中の1.5%強度のギ酸;多角度散乱光検出器MALLS(特に、"Polymer Standards Service "から同様に入手可能);内部標準を、場合によりさらに使用できる。
上記および請求項1に記載の重量平均分子量の値は、この方法での測定に基づくものである。
ポリエチレンイミンの平均分子量は、それらの製造におけるパラメーターを変化させることにより調節することができる。
本発明に係る方法の好ましい実施態様において、成分Aは、エチレンイミンの重合により形成され、以下の構造(式(V)):
を有するポリエチレンイミンであり、
重合は、場合により酸で触媒され、
三級アミノ基を有する個々の単位および二級アミノ基を有する個々の単位は、ポリマー鎖全体にわたって任意に分布していることができ、
bは、aよりも大きく、aとbは、分子量および互いのアミノ基の数の比についての請求項1に記載の条件が互いに満足されるような値を有するものであるか、
あるいは成分Aは、そのようなポリエチレンイミンの混合物である。
記載のように、成分Aは、通常、ポリエチレンイミンの混合物である。上記の好ましい実施態様において、成分Aは、したがって、通常、式(V)の化合物の混合物である。式(V)の化合物中のaとbの値は、当然のことながら、個々のアミノ基相互の数の比についておよび平均分子量について、混合物で測定される値が上記および請求項1に記載の範囲となるように選択される必要がある。記載のように、これらの値は、ポリエチレンイミンの製造におけるパラメーターを介して調節することができる。
重合は、場合により酸で触媒され、
三級アミノ基を有する個々の単位および二級アミノ基を有する個々の単位は、ポリマー鎖全体にわたって任意に分布していることができ、
bは、aよりも大きく、aとbは、分子量および互いのアミノ基の数の比についての請求項1に記載の条件が互いに満足されるような値を有するものであるか、
あるいは成分Aは、そのようなポリエチレンイミンの混合物である。
記載のように、成分Aは、通常、ポリエチレンイミンの混合物である。上記の好ましい実施態様において、成分Aは、したがって、通常、式(V)の化合物の混合物である。式(V)の化合物中のaとbの値は、当然のことながら、個々のアミノ基相互の数の比についておよび平均分子量について、混合物で測定される値が上記および請求項1に記載の範囲となるように選択される必要がある。記載のように、これらの値は、ポリエチレンイミンの製造におけるパラメーターを介して調節することができる。
成分Bは、式(I)、式(II)、または式(III):
のホスホン酸である。
成分Bは、また、式(I)、式(II)および式(III)の化合物から選択される化合物の混合物であってもよい。
式(I)において、Rは直鎖状、または分枝状のアルキル基である。下記の基R1がヒドロキシル基である場合、このアルキル基は、1〜7個の炭素原子を含有する。R1が水素であるとき、基Rは、3〜7個の炭素原子を含有する。
式(I)中の基R1は、H、またはOHである。
式(I)中、基R2は、基:
である。
式(I)中の基R3は、水素であってもよい。しかしながら、好ましくは、それは基R2である。これは、最終繊維製品に基づくリンの含量が、R3がHであるときよりも高いことを確実にし、改善された難燃性が通常もたらされるという結果となる。
式(II)において、yは値0、1、または2でありうる。yは、好ましくは、値0を有し、それは、上記の場合と同様に、繊維製品に基づくリン含量の増加がもたらす。
式(III)の化合物中に存在するすべての基R4は、互いに独立に、水素、または、
または式(IV):
の基である。
この式(IV)において、tは0、または1〜10の数である。好ましくは、すべてのR4の50〜100%は、
である。
成分B中のすべてのホスホン酸が完全に非中和形態で存在する必要はない。むしろ、存在しかつリンに結合しているOH基の50%までは、その酸性水素原子は、アルカリ金属、またはアンモニウムイオンで置換されていてもよい。しかしながら、好ましくは、成分Bのすべてのホスホン酸は、完全に非中和形態で存在し、したがって、すべてのOH基が酸形態で存在する。
式(I)、(II)および(III)のホスホン酸は、市販製品であり、例えば、Protex-Extrosa製のMasquol P210-1、またはPhodia製のBriquest 301-50A、または製品Cublen D50(Zschimmer & Schwarz, Germany製)、またはDiquest 2060 S(Solutia, Belgium製)である。
式(I)、(II)および(III)のホスホン酸は、一般に文献公知の方法により製造することができる。
本発明に係る方法の特に有利な実施態様は、成分Bが式(II)のホスホン酸と式(III)のホスホン酸の混合物であり、その双方が、完全に非中和形態で存在するものであることを特徴とする。
そのような混合物において、式(II)のホスホン酸と式(III)のホスホン酸の混合比は、任意の所望の値でありうる。そこで、この二種のホスホン酸の重量比は、0:100〜100:0の値でありうる。例えば、70〜95重量%の式(II)の一つの化合物もしくは複数の化合物の混合物および5〜30重量%の式(III)の一つの化合物もしくは複数の化合物の混合物を含有する混合物を成分Bとして使用した場合に、良好な結果が得られる。yが0である式(II)の化合物を使用することが、特に有利である。
式(I)の一つの化合物もしくは式(I)の化合物の混合物、または式(II)の一つの化合物もしくは式(II)の化合物の混合物、または式(III)の一つの化合物もしくは式(III)の化合物の混合物をも、成分Bとして使用することができる。成分Bが、式(II)の一つの化合物もしくは式(II)の化合物の混合物の100%からなる場合に、特に良好な結果を得ることができ、この場合、式(II)中のyは、0、または1の値を有する。
本発明に係る方法で処理される繊維材料は、シート状の布地構造の形態で、または糸の形態で存在する。その糸は、連続的な単繊維よりなるもの、あるいはリング精紡、またはオープン精紡により紡糸された繊維から製造されたものであってもよい。好適なシート状の布地構造は、織布、ニットウエア、または不織布である。織布は、好ましくは、本発明に係る方法を行うために使用される。上で述べたように、繊維材料は、好ましくは30〜100重量%の羊毛を含んでいる。羊毛100%からなる織布は、特に、本発明に係る方法に好適である。羊毛の起源はここでは重要なことではないが、羊毛の品質は、当然のことながら、最終物品の特性に影響を与える。
羊毛含有繊維材料の処理は、所望であれば、成分AおよびBを含む処理浴に市販の防虫剤を添加することにより、防虫処理と組み合わせることができる。
本発明に係る方法により処理された繊維材料は、例えば、自動車用シート、カーテン、カーペットなどのような実用的布地の製造に使用することができる。
本発明を、実施態様により、ここに、より詳細に説明する。
実施例1
1a)請求項1に記載の成分Aを含む混合物の調製
50重量%の水と50重量%のポリエチレンイミンを含む、市販の水溶液(LUPASOL(登録商標)P、BASF、ドイツ)4.8kgを、水4.8kgおよび加水分解されたポリマレイン酸無水物の50%強度の水溶液0.35kgと混合した。調製された混合物(以下、「混合物1a」と呼ぶ)は、このように、約24重量%の成分Aを含んでいた。
1b)請求項1に記載の成分Bを含む混合物の調製
40重量%の水と60重量%の上記式(I)(式中、
1a)請求項1に記載の成分Aを含む混合物の調製
50重量%の水と50重量%のポリエチレンイミンを含む、市販の水溶液(LUPASOL(登録商標)P、BASF、ドイツ)4.8kgを、水4.8kgおよび加水分解されたポリマレイン酸無水物の50%強度の水溶液0.35kgと混合した。調製された混合物(以下、「混合物1a」と呼ぶ)は、このように、約24重量%の成分Aを含んでいた。
1b)請求項1に記載の成分Bを含む混合物の調製
40重量%の水と60重量%の上記式(I)(式中、
のホスホン酸を含む水溶液9.2kgを、50重量%の水および50重量%の式(II)(式中、y=0)のホスホン酸を含む水溶液0.8kgと混合した。調製された混合物(以下、「混合物1b」と呼ぶ)は、このように、約59重量%の成分Bを含んでいた。
実施例2(本発明に係る例)
この例は、糸の形態で存在する繊維材料の、成分AおよびBでの処理に関する。
この例は、糸の形態で存在する繊維材料の、成分AおよびBでの処理に関する。
3つの別々になされた実験において、3種の異なるタイプの紡績糸(2a,2b,2c)を、それぞれ、千鳥巻ボビンに巻き取り、それぞれを慣用の染色装置に取り付けた。糸2aは、羊毛100%を含む青色の酸染色紡績糸であり、糸2bは、羊毛90重量%およびポリアミド10重量%を含む褐色の紡績糸であり、かつ糸2cは、羊毛90重量%およびポリアミド10重量%を含む青灰色の紡績糸である。すべての3つの実験において、染色装置には、当該糸の重量(千鳥巻ボビンを除いて算出)に対して、各々の場合に、室温で、10倍の量の水を入れた。
次いで、水を装置から取り除き、混合物1cを室温で加えた。混合物1cは、50重量%の混合物1a(実施例1aに係るもの)および50重量%の水を含んでいた。混合物1cは、したがって、成分Aを含んでいた。すべての3つの実験において、添加された混合物1cの量は、当該糸の重量に対して、すなわち、糸2a、または糸2b、または糸2cの重量に対して、12重量%であった。すべての3つの実験において、千鳥巻ボビンは、染色装置中で、室温で10分間、混合物1cの作用に暴露した。その後、装置を5分間水で洗い流し、その洗い流した水を取り除いた。
その後、混合物1dを装置に室温で入れた。混合物1dは、実施例1b)に従って調製された混合物1bを50重量%と、水50重量%を含んでいた。したがって、混合物1dは、成分Bを含んでいた。3つの実験の各々において装置にその後に入れられた混合物1dの量は、糸2a、または糸2b、または糸2cの重量に対して、12重量%であった。千鳥巻ボビンは、染色装置中で、室温で10分間、混合物1dの作用に暴露した。その後、各々の場合に、装置を室温で2回、水で洗い流した。その後、すべての実験において、千鳥巻ボビンを装置から取り外し、120℃で15分間乾燥した。次いで、ニットウエアのそれぞれ1つのサンプルを、それぞれの糸から作製した。
実施例3(本発明に係るもの)
実施例2のすべての3つの実験を、染色装置に添加される混合物1cおよび混合物1dの量を糸重量に対して12重量%ではなく6重量%のみとしたことが異なるのみで、繰り返した。
実施例2のすべての3つの実験を、染色装置に添加される混合物1cおよび混合物1dの量を糸重量に対して12重量%ではなく6重量%のみとしたことが異なるのみで、繰り返した。
難燃性の測定は、実施例2および3からのニットウエア6サンプルについて行った。その測定は、糸2aおよび糸2cのサンプルの場合には、DIN4102 B2に従って、また、糸2bの場合には、方法"Federal Motor Vehicle Safety Standard (FMVSS)302"に従って行った。この方法は、"Jurgen Troitzsch, International Plastics Flammability Handbook", 2nd edition 1990, Carl Hanser Verlag, Munich, Germany, pages 289/290に記載されている。すべてのサンプルは、非常に良好な難燃性を有すること、すなわち、上記の規定に記載の条件を満たすことが見出された。
実施例4(本発明に係るもの)
この実施例は、本発明に係る方法による織布の処理に関する。使用された織布は、羊毛100%からなり、赤色に染色された205g/m2の材料であった。材料を、以下のようにして調製された液でパッデングすることにより処理した。
この実施例は、本発明に係る方法による織布の処理に関する。使用された織布は、羊毛100%からなり、赤色に染色された205g/m2の材料であった。材料を、以下のようにして調製された液でパッデングすることにより処理した。
ポリエチレンイミン(成分A)の25%強度の水溶液35gを、式(II)(式中、y=0)のホスホン酸(成分B)の50%濃度の水溶液45gと混合した。22%強度のアンモニア水溶液21gを混合物に加えた。撹拌すると、pH7.5の透明な溶液が生成した。この溶液を、水で、重量比1:1に希釈した。得られた混合物をパッデング液として使用した。
パッデングののち、乾燥を150℃で10分間行った。その後、その繊維材料は9%の沈着固体を含んでおり、すなわち、繊維材料の重量は、パッデング前の繊維材料の重量よりも9%多かった。
実施例5(本発明に係るもの)
ホスホン酸水溶液45gの代わりに30gのみを用い、乾燥を150℃ではなく110℃で行ったことが異なるままで、実施例4を繰り返した。沈着固体は8.6%であった。
ホスホン酸水溶液45gの代わりに30gのみを用い、乾燥を150℃ではなく110℃で行ったことが異なるままで、実施例4を繰り返した。沈着固体は8.6%であった。
実施例6(本発明に係るもの)
羊毛100%からなる織布の代わりに羊毛90重量%およびポリアミド10重量%からなる織布を使用したことが異なるのみで、実施例4を繰り返した。
羊毛100%からなる織布の代わりに羊毛90重量%およびポリアミド10重量%からなる織布を使用したことが異なるのみで、実施例4を繰り返した。
難燃性を、実施例4,5および6に従って処理した織布について、特に燃焼時間から測定した。燃焼時間(CT)は、当該サンプルが3秒間炎に曝され、次いでこの炎が取り去られた後に燃え続ける、秒での時間を示す。そこで、CTのより大きい値は、難燃性に劣ることを意味する。燃焼時間の測定は、DIN54336(1986年11月版)に従って行った。燃焼時間は、記載された乾燥直後に得られた織布サンプルおよび同じ起源のもので、乾燥後洗浄(40℃/20分間純水)されたサンプルの双方について測定した。
結果を表1に示す。
実施例5の場合、成分Bの量は、非洗浄織布での良好な難燃性をもたらすのには十分であったが、成分Bをより多く沈積させることが、洗浄プロセスに対して良好な耐久性を達成するためには、必要であることが明らかである。
Claims (8)
- シート状の布地構造の形態で、または糸の形態で存在し、20重量%未満のセルロース繊維を含む繊維材料の難燃処理方法であって、繊維材料が成分Aおよび成分Bで連続的に、または同時に処理され、成分Aは、一級、二級および三級アミノ基を含有し、かつ5000〜1,500,000、好ましくは10,000〜1,000,000の範囲の重量平均分子量を有する分枝状ポリエチレンイミンであって、ここで、二級アミノ基と一級アミノ基の数の比は、1.00:1〜2.50:1の範囲であり、二級アミノ基と三級アミノ基の数の比は、1.20:1〜2.00:1の範囲であるか、成分Aは、そのようなポリエチレンイミンの混合物であり、成分Bは、式(I)、(II)、または(III):
(ここで、式(I)、(II)、または(III)中、リンに結合しているOH基の50%までにおいて、その水素原子は、アルカリ金属、またはアンモニウム基で置換されていてもよいが、好ましくはこれらのOH基の100%は、非中和形態で存在し、あるいは成分Bは、式(I)、(II)、または(III)の化合物から選択される化合物の混合物であり、
yは、0、1、または2の値であることができ、好ましくは0の値を有し、
R1は、H、またはOHであり、
Rは、R1がOHであるときには、1〜7個の炭素原子を含有し、R1がHであるときには、3〜7個の炭素原子を含有する直鎖状、または分枝状のアルキル基であり、
R2は、
であり、
R3は、H、またはR2、好ましくはR2であり、かつ
すべての基R4は、互いに独立に、H、または
であるか、または式(IV):
の基であり、存在するすべてのR4の50〜100%が、
であることが好ましく、
tは、0、または1〜10の数である)
のホスホン酸である、難燃処理方法。 - 成分Bが、式(II)と式(III)のホスホン酸の混合物であり、その双方が完全に非中和形態で存在することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 繊維製品に適用された成分Aの量と適用された成分Bの量の重量比が、1:1.8〜1:5.0の範囲、好ましくは1:2.3〜1:3.5の範囲であることを特徴とする、請求項1〜3の1以上に記載の方法。
- 成分Aおよび/または成分Bは、水との混合物の形態で繊維製品に適用されることを特徴とする、請求項1〜4の1以上に記載の方法。
- 成分A、または成分Bのいずれもが、金属または金属化合物ではないことを特徴とする、請求項1〜5の1以上に記載の方法。
- 繊維材料が、30〜100重量%の羊毛を含むことを特徴とする、請求項1〜6の1以上に記載の方法。
- 繊維材料が織布であることを特徴とする、請求項1〜7の1以上に記載の方法。
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